(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記先行信号に基づく前記圧力調整弁の開度データを検出する検出部を含み、定常運転状態か否かを判定して、前記定常運転状態における前記開度データを検出する定常判定部と、
前記燃料制御信号と前記圧力調整弁の開度との関係を示すマップデータを前記定常判定部の検出部の検出結果に基づいて補正する学習部と、を備え、
前記フィードフォワード制御部は、前記補正されたマップデータに基づいて、前記先行信号を出力する請求項3に記載の燃料供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0020】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るガスタービン10の一例を示す構成図である。
図1に示すように、ガスタービン10は、空気を圧縮する圧縮機14と、圧縮機14から供給された圧縮空気に燃料を噴射して燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼器16と、燃焼器16から供給された燃焼ガスにより駆動するタービン12と、燃焼器16に燃料を供給する燃料供給装置50と、を備えている。ガスタービン10の作動により、発電機30が駆動する。タービン12と圧縮機14と発電機30とは、回転軸18により連結される。
【0021】
圧縮機14は、回転軸18により回転する。圧縮機14は、空気取込口からの空気を圧縮して圧縮空気を生成する。圧縮機14の入口に、圧縮機14に供給される空気の流量を制御する入口案内翼(Inlet Guide Vane:IGV)20が設けられている。燃焼器16は、圧縮機14から供給された圧縮空気に燃料を噴射して燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを生成する。タービン12は、燃焼器16から供給された燃焼ガスによって回転する。
【0022】
タービン12の回転力(駆動力)は、回転軸18によって圧縮機14及び発電機30に伝達される。発電機30は、タービン12の回転力によって発電する。
【0023】
燃焼器16は、パイロットノズル及びメインノズルを含むノズルを有する。燃焼器16のノズルに、燃料供給装置50から燃料が供給される。燃焼器16において、燃料供給装置50から供給された燃料と圧縮空気とが混合され、燃料が燃焼する。
【0024】
燃料供給装置50は、燃焼器16に供給される燃料の流量を調整可能な流量調整弁36と、燃焼器16に供給される燃料の圧力を調整可能な圧力調整弁34と、を有する。燃料供給流路において、圧力調整弁34は、流調調整弁36の上流に配置される。燃料供給源(不図示)から供給された燃料は、圧力調整弁34を通過し、流量調整弁36を通過した後、燃焼器16に供給される。圧力調整弁34で圧力が調整され、流量調整弁36で流量が調整された燃料が、燃焼器16に供給される。
【0025】
圧力調整弁34は、流量調整弁36の前後の差圧(流調弁差圧)を調整可能である。流調弁差圧が調整されることによって、燃焼器16に供給される燃料の圧力が調整される。また、圧力調整弁34は、流量調整弁36の前圧(流調弁前圧)を調整してもよい。
【0026】
燃料供給装置50は、圧力調整弁34によって調整された燃料の圧力を計測する圧力計測部38を有する。本実施形態において、圧力計測部38は、圧力調整弁34と流量調整弁36との間の燃料供給流路の燃料の圧力(流調弁前圧)を計測する。圧力調整弁34の開度は、その圧力計測部38の計測値に基づいて制御される。
【0027】
なお、圧力計測部38は、流量調整弁36の前後の差圧(流調弁差圧)を計測してもよい。流調弁差圧に基づいて、圧力調整弁34の開度が制御されてもよい。
【0028】
以下の説明においては、燃料の流量(単位時間当たりの燃料量(体積、質量))を適宜、燃料流量、と称し、燃料の圧力を適宜、燃料圧力、と称し、燃料の温度を適宜、燃料温度、と称する。
【0029】
図2は、本実施形態に係る燃料供給装置50の一例を示すブロック図である。燃料供給装置50は、圧力調整弁34の開度(圧調弁開度)、及び流量調整弁36の開度(流調弁開度)を制御する弁制御装置500を含む。
【0030】
弁制御装置500は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。弁制御装置500が実行する一連の処理が、記録媒体に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて実行されてもよい。
【0031】
弁制御装置500は、流量調整弁36の開度を制御する流調弁制御部52と、圧力調整弁34の開度を制御する圧調弁制御部54と、を備えている。
【0032】
流調弁制御部52は、ガスタービン10の状態量データを取得し、その取得した状態量データに基づいて、燃焼器16に供給する燃料の流量を制御するための燃料制御信号(Control Signal Output:CSO)を算出して、流量調整弁36の開度を制御する。ガスタービン10の状態量データは、ガスタービン10の負荷、タービン12の回転数、及びタービン12の排ガス温度(ブレードパス温度)を含む。
【0033】
流調弁制御部52は、負荷制御演算部56と、回転数制御演算部58と、温度制御演算部60と、低値選択部62と、燃料流量演算部64と、Cv値演算部66と、弁開度演算部68と、を含む。
【0034】
負荷制御演算部56は、ガスタービン10の負荷に基づいて燃料制御信号(LDCSO)を演算して低値選択部62へ出力する。回転数制御演算部58は、タービン12の回転数に基づいて燃料制御信号(GVCSO)を演算して低値選択部62へ出力する。温度制御演算部60は、タービン12の排ガス温度及びブレードパス温度に基づいて燃料制御信号(EXCSO、BPCSO)を演算して低値選択部62へ出力する。
【0035】
低値選択部62は、入力された燃料制御信号のうち、最も小さい燃料制御信号(CSO)を選択して燃料流量演算部64へ出力する。
【0036】
燃料流量演算部64は、燃料制御信号(CSO)と燃料流量との関係を示すデータに基づいて、入力された燃料制御信号(CSO)に対応する燃料流量の値をCv値演算部66へ出力する。
【0037】
Cv値演算部66は、入力された燃料流量の値、燃料温度、及び流調弁圧力(流量弁前圧又は流調弁差圧)に基づいて、予め定められた演算式を用いてCv値(弁容量を示す数値)を算出し、弁開度演算部68へ出力する。なお、流調弁圧力は、圧力計測部38で計測された流調弁圧力でもよいし、流調弁圧力の目標値でもよい。Cv値を算出するための演算式は、以下の(1)式で定義される。なお、(1)式において、流量は、燃料流量であり、流体温度は、燃料温度を含み、弁入口圧力は、流量調整弁36の入口圧力であり、弁出口圧力は、流量調整弁36の出口圧力である。
【0039】
弁開度演算部68は、例えばCv値と流量調整弁36の弁開度との関係を予め示したデータに基づいて、入力されたCv値に対応する弁開度(%)を流量調整弁36へ出力する。
【0040】
圧調弁制御部54は、減算部70と、フィードバック制御部72と、データ取得部74と、データ供給部76と、フィードフォワード制御部78と、加算部80と、ワンショット回路82と、を備えている。
【0041】
減算部70は、圧力計測部38で計測される流量調整弁36を流れる燃料圧力の計測値(流調弁圧力計測値)と、予め定められた燃料圧力の設定値(流調弁圧力目標値)との差分(偏差)を算出する。
【0042】
フィードバック制御部72は、燃料圧力が目標値(流調弁圧力目標値)になるように、燃料の圧力の計測値(流調弁圧力計測値)に基づいて、圧力調整弁34の開度をフィードバック制御するための制御信号を出力する。本実施形態において、フィードバック制御部72は、PI制御器を含み、減算部70によって算出された差分(偏差)に基づいて、圧力調整弁34の弁開度(%)をPI制御する。すなわち、フィードバック制御部72は、圧力計測部38の計測値に基づいて、PI制御により圧力調整弁34の弁開度を演算し、圧力調整弁34へ出力する。
【0043】
データ取得部74は、ガスタービン10の負荷の検出値を取得する。本実施形態において、ガスタービン10の負荷を検出する負荷検出部が設けられる。本実施形態において、負荷検出部は、ガスタービン10の負荷として、ガスタービン10の周波数を検出(モニタ)する。データ取得部74は、負荷検出部で検出されたガスタービン10の負荷(周波数)を取得する。
【0044】
データ取得部74は、取得した負荷の検出値(負荷データ)をワンショット回路82及びフィードフォワード制御部78のそれぞれに出力する。また、データ取得部74は、負荷の検出値が基準値に対して所定量以上変化したと判断したとき、負荷急変フラグをONにする。例えば、負荷検出部によってモニタされた周波数が基準値に対して±0.15Hz以上の偏差を生じた場合、データ取得部74は、負荷急変フラグをONにする。負荷急変フラグがONになった場合、その負荷急変フラグは、データ取得部74からワンショット回路82及びフィードフォワード制御部78のそれぞれに出力される。
【0045】
フィードフォワード制御部78は、データ取得部74で取得したガスタービン10の負荷の検出値が基準値に対して所定量(本例では±0.15Hz)以上変化したと判断したときに、フィードバック制御部72から出力される制御信号に先行して、圧力調整弁34が開くように先行信号を出力する。本実施形態において、フィードフォワード制御部78は、データ取得部74から出力された負荷急変フラグを取得したとき、先行信号を出力する。
【0046】
先行信号は、圧力調整弁34の弁開度に関する指令信号を含む。データ取得部74から負荷急変フラグが出力されたとき、先行信号(例えば先行信号の数値の大きさ)に基づいて、圧力調整弁34の弁開度(先行開度)が制御される。
【0047】
データ供給部76は、先行信号によって制御される圧力調整弁34の弁開度(先行開度)の数値データをフィードフォワード制御部78に供給する。すなわち、データ供給部76は、先行信号によって制御される圧力調整弁36の弁開度の目標値をフィードフォワード制御部78に供給する。本実施形態において、データ供給部76から供給される先行開度の目標値は、固定値である。固定値は、例えば事前実験又はシミュレーションにより予め求められている。固定値は、所定量(本例では±0.15Hz)以上変化した後のガスタービン10の負荷の検出値に基づいて定められてもよい。すなわち、フィードフォワード制御部10は、所定量以上変化した後のガスタービン10の負荷の検出値に基づいて先行信号を出力してもよい。
【0048】
負荷急変フラグがONのとき、データ供給部76からフィードフォワード制御部78に先行開度に関する数値データが供給される(データ供給がONになる)。負荷急変フラグがOFFのとき、データ供給部76からフィードフォワード制御部78に先行開度に関する数値データが供給されない(データ供給がOFFになる)。負荷急変フラグがOFFのとき、データ供給部76はフィードフォワード制御部78に数値0を出力する。
【0049】
負荷急変フラグがONのとき、フィードフォワード制御部78は、先行信号として、先行開度の固定値(0以外の数値データ)を出力する。負荷急変フラグがOFFのとき、フィードフォワード制御部78は、先行信号として、0を出力する。
【0050】
ワンショット回路82は、1回の入力信号(トリガ)の入力により、1回だけ所定時間の出力信号(パルス信号)を出力する。すなわち、ワンショット回路82は、入力信号がONのときにON信号を出力し、所定時間(例えば1秒間)経過後にOFF信号を出力する。
【0051】
本実施形態においては、データ取得部74からワンショット回路82に負荷急変フラグが入力されると、ワンショット回路82は、フィードバック制御部72にON信号を出力する。ワンショット回路82は、ON信号を出力して、フィードバック制御部72から出力される制御信号を一時的に0(零)にトラッキングする。本実施形態において、ワンショット回路82は、データ取得部74で取得した検出値が基準値に対して所定量以上変化したと判断したときに(負荷急変フラグがONのときに)、フィードバック制御部72から出力される制御信号を0(零)にトラッキングするトラッキング部として機能する。
【0052】
負荷急変フラグがONになった直後の期間(フィードバック制御部72から出力される制御信号が零にトラッキングされている期間)においては、フィードバック制御部72から出力される制御信号は零にトラッキングされており、フィードフォワード制御部78から出力される先行信号のみによって、圧力調整弁34の弁開度が制御される。
【0053】
負荷急変フラグがワンショット回路82に入力されてから所定時間経過後、ワンショット回路82は、フィードバック制御部72にOFF信号を出力する。これにより、フィードバック制御部72のトラッキングが解除される。フィードバック制御部72のトラッキングが解除されることにより、データ供給部76から供給される数値データに基づいてフィードフォワード制御部78から出力される先行信号と、減算部70によって算出された差分(偏差)に基づいてフィードバック制御部72から出力される制御信号とによって、圧力調整弁34の弁開度が制御される。
【0054】
このように、本実施形態においては、負荷急変フラグがOFFのとき、圧力調整弁34の弁開度は、フィードバック制御部78から出力される制御信号に基づいて制御される。
【0055】
また、負荷急変フラグがONのとき、フィードバック制御部72から出力される制御信号は零にトラッキングされ、フィードフォワード制御部78から先行開度を示す0以外の数値データが先行信号として出力される。負荷急変フラグがONになってから所定時間経過する前まで、圧力調整弁34の弁開度は、フィードフォワード制御部78から出力される先行信号に基づいて制御される。
【0056】
また、負荷急変フラグがONになってから所定時間経過した後、フィードバック制御部72のトラッキングが解除される。負荷急変フラグがONになってから所定時間経過した後においては、圧力調整弁34の弁開度は、フィードフォワード制御部78から出力される先行信号及びフィードバック制御部72から出力される制御信号に基づいて制御される。
【0057】
また、負荷急変フラグがONになった後、周波数が復帰して、基準値に対して所定値(本例では±0.15Hz)未満に収まった場合、データ取得部74は、負荷急変フラグをOFFにする。負荷急変フラグがOFFになった場合、フィードフォワード制御部78から出力される先行信号は、徐々に(ゆっくりと)零に移行する。フィードバック制御部72は、減算部70によって算出された差分(偏差)に基づいて、制御信号を出力し続ける。圧力調整弁34の弁開度は、フィードバック制御部72から出力される制御信号に基づいて制御される。
【0058】
加算部80は、フィードフォワード制御部78から出力される先行信号と、フィードバック制御部72から出力される制御信号とを加算する。加算部80は、加算した先行信号と制御信号とに基づく値に応じた弁開度(%)を圧力調整弁34へ出力する。
【0059】
上述のように、負荷急変フラグがOFFのとき、フィードフォワード制御部78から出力される先行信号は0である。負荷急変フラグがOFFのとき、フィードバック制御部72は、減算部70によって算出された差分(偏差)に基づく制御信号を出力する。これにより、加算部80から圧力調整弁34に、フィードバック制御部72から出力される制御信号に応じた弁開度が出力される。負荷急変フラグがOFFのとき、フィードバック制御部72により、燃料の圧力が目標値(流調弁圧力目標値)になるように、燃料の圧力の計測値(流調弁圧力計測値)に基づいて、圧力調整弁34の開度がフィードバック制御される。
【0060】
負荷急変フラグがONになってから所定時間経過する前まで、フィードバック制御部72から出力される制御信号が零にトラッキングされ、フィードフォワード制御部78から先行信号が出力される。これにより、加算部80から圧力調整弁34に、フィードフォワード制御部78から出力される先行信号に応じた弁開度(先行開度)が出力される。負荷急変フラグがONになってから所定時間経過する前まで、フィードフォワード制御部78により、圧力調整弁34の開度が先行開度に基づいてフィードフォワード制御される。
【0061】
負荷急変フラグがONになってから所定時間経過した後、フィードバック制御部72のトラッキングが解除され、フィードバック制御部72から減算部70によって算出された差分(偏差)に基づく制御信号が出力される。また、負荷急変フラグがONになってから所定時間経過した後においても、フィードフォワード制御部78から先行信号が出力される。これにより、加算部80から圧力調整弁34に、フィードバック制御部72から出力される制御信号及びフィードフォワード制御部78から出力される先行信号に応じた弁開度が出力される。
【0062】
このように、本実施形態においては、負荷急変フラグがOFFからONになった直後の所定時間においては、フィードバック制御部72が零にトラッキングされるものの、負荷急変フラグがONになってから所定時間経過後においては、フィードフォワード制御部78によるフィードフォワード制御が実施されるとともに、フィードバック制御部72によるフィードバック制御も実施される。負荷急変フラグがONからOFFになったとき、フィードバック制御部72のトラッキングが解除され、フィードフォワード制御部78の制御が徐々に解除(先行信号が徐々に減少)され、フィードバック制御部72によるフィードバック制御が実施される。
【0063】
次に、本実施形態に係る燃料供給装置50を用いてガスタービン10の燃焼器16に燃料を供給する燃料供給方法の一例について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0064】
ガスタービン10が駆動され、ガスタービン10の負荷が負荷検出部によって検出(モニタ)される(ステップSP1)。
【0065】
負荷検出部の検出値が急変したか否かが判断される(ステップSP2)。すなわち、データ取得部74で取得した負荷検出部の検出値が基準値に対して所定量以上変化したか否が判断される。
【0066】
ステップSP2において、負荷が急変していないと判断された場合(ステップSP2:No)、データ取得部74は負荷急変フラグをOFFにする。フィードバック制御部72は、燃料の圧力が目標値(流調弁圧力目標値)になるように、燃料の圧力の計測値(流調弁圧力計測値)に基づいて、圧力調整弁34の開度をフィードバック制御するための制御信号を出力する(ステップSP3)。これにより、圧力調整弁34によって、燃料の圧力が調整される。
【0067】
ステップSP2において、負荷が急変したと判断された場合(ステップSP2:Yes)、データ取得部74は負荷急変フラグをONにする。負荷急変フラグを取得したワンショット回路82は、フィードバック制御部72から出力される制御信号を0にトラッキングする。負荷急変フラグを取得したフィードフォワード制御部78は、フィードバック制御部72から出力される制御信号に先行して、圧力調整弁34が開くように先行信号を出力する(ステップSP4)。これにより、圧力調整弁34は、フィードバック制御及びフィードフォワード制御(2自由度制御)される。
【0068】
フィードフォワード制御部78は、フィードバック制御部72によるフィードバック制御においてフィードバック制御部72から制御信号が出力されるタイミングよりも前に、圧力調整弁34を開くための先行信号を出力する。本実施形態においては、負荷急変フラグがONになったときに、フィードフォワード制御部78から先行信号が出力され、負荷急変フラグがONになってから所定時間経過後に、フィードバック制御部72のトラッキングが解除されてフィードバック制御部72から制御信号が出力される。
【0069】
本実施形態において、フィードフォワード制御部78は、所定量以上変化した後のガスタービン10の負荷の検出値に基づいて先行信号を出力する。すなわち、フィードフォワード制御部78は、負荷が急変した後の負荷検出部の検出に基づいて先行信号を出力する。これにより、圧力調整弁34は、負荷に応じた先行開度にトラッキングされる。そのため、圧力調整弁34の追従性が向上し、流調弁圧力の変動が抑制される。その結果、流量調整弁36の開度に応じた燃料が投入できるため、負荷追従性が向上する。
【0070】
なお、負荷が急変したとき(ガスタービン10の負荷の検出値が基準値に対して所定量以上変化したとき)のフィードバック制御においてフィードバック制御部72から制御信号が出力されるタイミングは、事前実験又はシミュレーションにより予め求めることができる。圧調弁制御部54が有する記憶部は、その事前実験又はシミュレーションより予め求められているタイミング(実測値)を記憶する。フィードフォワード制御部78は、その記憶部に記憶されているタイミングに基づいて、フィードバック制御部72から制御信号が出力されるタイミングよりも前に、圧力調整弁34を開くための先行信号を出力してもよい。
【0071】
図4は、比較例に係る燃料供給装置50Jの一例を示す。比較例に係る燃料供給装置50Jは、流調弁制御部52Jと圧調弁制御部54Jとを有する。比較例に係る圧調弁制御部54Jは、フィードフォワード制御部(78)を有しない。比較例に係る圧調弁制御部54Jは、流調弁圧力目標値と流調弁圧力計測値との差分に基づいて、圧力調整弁34の開度をフィードバック制御するフィードバック制御部72を有する。
【0072】
図5は、本実施形態に係る燃料供給装置50の各種状態量の時系列波形と、比較例に係る燃料供給装置50Jの各種状態量の時系列波形とを示す。
図5の(A)は、発電機出力を示す。
図5の(B)は、流調弁開度を示す。
図5の(C)は、圧調弁開度を示す。
図5の(D)は、流調弁差圧を示す。
図5の(E)は、燃料流量を示す。
図5の(F)は、燃焼ガス温度を示す。
【0073】
図5において、実線LJは、比較例に係る燃料供給装置50Jの各種状態量の時系列波形を示す。破線LPは、本実施形態に係る燃料供給装置50の各種状態量の時系列波形を示す。横軸は、時間である。縦軸は、それぞれの状態量を示す。
【0074】
比較例に係る燃料供給装置50Jの各状態量の変化について説明する。ガスタービン10の負荷が急激に上昇した場合、燃焼器16に供給する燃料の流量を増大させる必要がある。燃料の流量の増大のために流量調整弁36の開度が増大される。流量調整弁36が急激に開くと、
図5(D)のラインLJで示すように、流量調整弁36の前後の差圧(流調弁差圧)は一時的に低下する。流調弁圧力計測値(例えば流調弁差圧の計測値)に基づいて圧力調整弁34のフィードバック制御が実行される場合、一時的に低下した流調弁差圧に基づいて圧力調整弁34がフィードバック制御されることとなる。そうすると、
図5(C)のラインLJで示すように、圧力調整弁34のフィードバック制御が開始されるタイミング(フィードバック制御の制御信号が出力されるタイミング)が遅れる可能性がある。その結果、
図5(E)のラインLJで示すように、燃焼器16に対して所望の流量で燃料が供給されることが遅れる。これにより、目標出力に対する実際の出力の追従性が低下し、ガスタービン10の性能が低下する可能性がある。また、流量調整弁36が急激に開き、圧力調整弁34の制御が遅れると、
図5(E)のラインLJで示すように、燃料流量が過大になり、その結果、ガスタービン10の出力が過大となって、
図5(F)のラインLJで示すように、燃焼ガスの温度が過度に上昇する可能性がある。そうすると、ガスタービン10の部材の損傷及び劣化がもたらされ、ガスタービン10の性能が低下する可能性がある。
【0075】
次に、本実施形態に係る燃料供給装置50の各状態量の変化について説明する。ガスタービン10の負荷が急激に上昇した場合、本実施形態においては、フィードバック制御部72から出力される制御信号(出力値)が0にトラッキングされるとともに、流調弁圧力計測値を用いることなく、上昇後の負荷(所定量以上変化した後の負荷の検出値)に基づく先行信号(先行開度)がフィードフォワード制御部78から圧力調整弁36に出力される。フィードフォワード制御により出力される先行信号は、フィードバック制御により出力される制御信号よりも先のタイミングで出力される。すなわち、
図5(C)のラインLPで示すように、圧力調整弁34の制御が遅れることが抑制される。フィードフォワード制御により、フィードバック制御よりも先に、圧力調整弁34の流調弁圧力(例えば流調弁差圧)が最適値に制御されるため、流量調整弁36の開度が増大されたとき、
図5(E)のラインLPで示すように、燃焼器16に対する所望の流量での燃料の供給の遅れが抑制される。また、燃料流量が過大になることも抑制されるため、
図5(F)のラインLPで示すように、燃焼ガスの温度が過度に上昇することも抑制される。また、
図5(D)のラインLPで示すように、流調弁差圧の低下が抑制され、流調弁差圧が確保されるため、燃料流量の遅れが抑制され、流量調整弁36が過度に開いてしまうことも抑制される。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、データ取得部74で取得したガスタービン10の負荷の検出値が基準値に対して所定量以上変化した(負荷が急変した)と判断したときに、フィードバック制御部72から出力される制御信号に先行して、フィードフォワード制御部87から圧力調整弁34を開くための先行信号が出力されるので、圧力調整弁34の弁開度は、急激な負荷上昇に対応して先行補償される。これにより、
図4に示したような従来例(比較例)と比較して、流調弁差圧の低減が抑制される(
図5(D)参照)。そのため、目標弁開度に対する圧力調整弁34の弁開度の追従性が向上し(
図5(C)参照)、目標出力に対するガスタービン10の出力の追従性が向上する。したがって、ガスタービン10の性能の低下が抑制される。
【0077】
また、本実施形態においては、データ取得部76で取得したガスタービン10の負荷の検出値が基準値に対して所定量以上変化した(負荷が急変した)と判断したときに、負荷急変フラグがONになり、フィードバック制御部72から出力される制御信号が零(0)にトラッキングされる。負荷急変フラグがOFFからONになっても、フィードバック制御部72によるフィードバック制御動作は実施され続け、負荷急変フラグがONになってから所定時間経過後、制御信号を零(0)にトラッキングする処理は解除され、フィードフォワード制御部78から先行信号の出力と並行して、フィードバック制御部72から制御信号が出力される。これにより、圧力調整弁34は、フィードバック制御及びフィードフォワード制御(2自由度制御)され、最適に制御される。
【0078】
また、本実施形態においては、先行信号の固定値は、事前実験又はシミュレーションにより予め求められた、データ取得部76で取得したガスタービン10の負荷の検出値が基準値に対して所定量以上変化した後の、ガスタービン19の負荷の検出値(実測値)に基づいて、定められ、圧調弁制御部54の記憶部に記憶されている。圧調弁制御部54は、その記憶部に記憶されている実測値に基づく固定値を有する先行信号を出力する。これにより、最適な弁開度で圧力調整弁34の弁開度をフィードフォワード制御することができる。
【0079】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0080】
図6は、本実施形態に係る燃料供給装置50Bの一例を示すブロック図である。燃料供給装置50Bは、弁制御装置500Bを有する。弁制御装置500Bは、流調弁制御部52及び圧調弁制御部54Bを有する。本実施形態に係る流調弁制御部52は、上述の第1実施形態で説明した流調弁制御部52と同等である。流調弁制御部52は、燃焼器16に供給する燃料の流量を制御するための燃料制御信号(CSO)を出力して、流量調整弁36の開度を制御する。
【0081】
本実施形態において、圧調弁制御部54Bは、データ供給部76からのデータが供給される燃料圧力演算部84を有する。本実施形態において、データ供給部76は、燃料制御信号(CSO)を燃料圧力演算部84に出力する。データ供給部76は、流調弁制御部52の低値選択部62から出力された燃料制御信号(CSO)を取得する。上述の第1実施形態で説明したように、低値選択部62は、負荷制御演算部56から入力された燃料制御信号(LDCSO)、回転数制御演算部58から入力された燃料制御信号(GVCSO)、及び温度制御演算部60から入力された燃料制御信号(EXCSO、BPCSO)のうち、最も小さい燃料制御信号(CSO)を選択する。低値選択部62によって選択された燃料制御信号(CSO)がデータ供給部76に供給される。データ供給部76は、低値選択部62から供給された燃料制御信号(CSO)を、燃料圧力演算部84に出力する。
【0082】
燃料圧力演算部84は、燃料制御信号(CSO)と圧力調整弁34の弁開度との関係を示すデータ(マップデータ)に基づいて、入力された燃料制御信号(CSO)に対応する先行開度の数値データをフィードフォワード制御部78に供給する。すなわち、燃料圧力演算部84は、先行信号によって制御される圧力調整弁36の弁開度の目標値を、燃料制御信号(CSO)に基づいて算出し、その算出された目標値を、フィードフォワード制御部78に供給する。本実施形態においては、燃料制御信号(CSO)が増大すると、先行信号によって制御される圧力調整弁36の弁開度の目標値が上昇する。燃料制御信号(CSO)が減少すると、先行信号によって制御される圧力調整弁36の弁開度の目標値が低下する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、フィードフォワード制御部78は、燃料制御信号(CSO)に基づいて、先行信号を出力する。燃料制御信号(CSO)に基づいて、流量調整弁36及び圧力調整弁34の両方が制御されるため、ガスタービン10の負荷に応じて、流量調整弁36の弁開度が適切に制御されるとともに、ガスタービン10の負荷に応じて、圧力調整弁34の弁開度も適切に先行補償される。これにより、流調弁差圧の制御精度が向上し、圧力調整弁34の負荷追従性が向上する。
【0084】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0085】
図7は、本実施形態に係る燃料供給装置50Cの一例を示すブロック図である。燃料供給装置50Cは、弁制御装置500Cを有する。弁制御装置500Cは、流調弁制御部52及び圧調弁制御部54Cを有する。本実施形態に係る流調弁制御部52は、上述の実施形態で説明した流調弁制御部52と同等である。流調弁制御部52は、燃焼器16に供給する燃料の流量を制御するための燃料制御信号(CSO)を出力して、流量調整弁36の開度を制御する。
【0086】
本実施形態に係る圧調弁制御部54Cのうち、上述の第2実施形態で説明した圧調弁制御部54Bと異なる部分は、圧調弁制御部54Cが、第2データ供給部86と、先行信号補正部88とを有した点である。
【0087】
第2データ供給部86は、先行開度に相関が高いデータを先行信号補正部88に供給する。本実施形態において、第2データ供給部86は、大気温度に関するデータ、燃料カロリに関するデータ、燃料温度に関するデータ、及び燃料圧力に関するデータを、先行信号補正部88に供給する。
【0088】
先行信号補正部88は、燃料圧力演算部84から供給された先行信号(先行開度の数値データ)を、第2データ供給部86から供給された大気温度、燃料カロリ、燃料温度、及び燃料圧力の少なくとも一つに基づいて補正する。なお、ここでいう燃料温度とは、燃料供給源(不図示)から燃料供給装置50Cに供給される燃料の温度をいう。ここでいう燃料圧力とは、燃料供給源(不図示)から燃料供給装置50Cに供給される燃料の圧力をいう。
【0089】
先行信号補正部88は、補正後の先行開度の数値データを、フィードフォワード制御部78に供給する。フィードフォワード制御部78は、先行信号補正部88から供給された、大気温度、燃料カロリ、燃料温度、及び燃料圧力の少なくとも一つに基づいて補正された先行信号(補正後の先行開度の数値データ)を出力して、圧力調整弁34を制御する。
【0090】
例えば、大気温度が高いと、燃焼器16に供給される燃料の圧力(圧力調整弁34によって調整される燃料の圧力)は小さくて済む。そのため、圧力調整弁34を開くための先行信号(先行開度の数値データ)は小さくて済む。大気温度が低いと、圧力調整弁34を開くための先行信号(先行開度の数値データ)は大きくなる。
【0091】
燃料カロリが高いと、燃焼器16に供給される燃料の圧力(圧力調整弁34によって調整される燃料の圧力)は小さくて済む。そのため、圧力調整弁34を開くための先行信号(先行開度の数値データ)は小さくて済む。燃料カロリが低いと、圧力調整弁34を開くための先行信号(先行開度の数値データ)は大きくなる。
【0092】
燃料供給源(不図示)から供給される燃料温度が高いと、燃焼器16に供給される燃料の圧力(圧力調整弁34によって調整される燃料の圧力)は小さくて済む。そのため、圧力調整弁34を開くための先行信号(先行開度の数値データ)は小さくて済む。燃料供給源(不図示)から供給される燃料温度が低いと、圧力調整弁34を開くための先行信号(先行開度の数値データ)は大きくなる。
【0093】
燃料供給源(不図示)から供給される燃料圧力が高いと、燃焼器16に供給される燃料の圧力(圧力調整弁34によって調整される燃料の圧力)は小さくて済む。そのため、圧力調整弁34を開くための先行信号(先行開度の数値データ)は小さくて済む。燃料供給源(不図示)から供給される燃料圧力が低いと、圧力調整弁34を開くための先行信号(先行開度の数値データ)は大きくなる。
【0094】
本実施形態において、先行信号補正部88は、先行開度に相関が高いデータである、大気温度に関するデータ、燃料カロリに関するデータ、燃料温度に関するデータ、及び燃料圧力に関するデータの少なくとも一つに基づいて、燃料圧力演算部84から供給された先行信号(先行開度の数値データ)を補正する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態によれば、フィードフォワード制御部78は、大気温度、燃料カロリ、燃料温度、及び燃料圧力の少なくとも一つに基づいて補正された先行信号を出力する。これにより、ガスタービン10の使用環境、及び使用される燃料の物性等に基づいて、圧力調整弁34の弁開度がより適切に先行補償される。これにより、流調弁差圧の制御精度が向上し、圧力調整弁34の負荷追従性が向上する。
【0096】
なお、本実施形態においては、先行信号補正部88は、燃料圧力演算部84から出力された先行信号を補正することとした。先行信号補正部88が、上述の第1実施形態で説明した燃料供給装置50に組み込まれてもよい。この場合、先行信号補正部88は、
図2に示したデータ供給部76から供給された先行開度(固定値)を、大気温度、燃料カロリ、燃料温度、及び燃料圧力の少なくとも一つに基づいて補正する。
【0097】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0098】
図8は、本実施形態に係る燃料供給装置50Dの一例を示すブロック図である。燃料供給装置50Dは、弁制御装置500Dを有する。弁制御装置500Dは、流調弁制御部52及び圧調弁制御部54Dを有する。本実施形態に係る流調弁制御部52は、上述の実施形態で説明した流調弁制御部52と同等である。流調弁制御部52は、燃焼器16に供給する燃料の流量を制御するための燃料制御信号(CSO)を出力して、流量調整弁36の開度を制御する。
【0099】
本実施形態に係る圧調弁制御部54Dのうち、上述の第3実施形態で説明した圧調弁制御部54Cと異なる部分は、圧調弁制御部54Dが、定常判定部90と、学習部92とを有した点である。
【0100】
定常判定部90は、先行信号に基づく圧力調整弁34の開度データを検出する検出部90Sを含む。定常判定部90は、プラント出力に基づいて、ガスタービン10が定常運転状態か否かを判定する。定常運転状態は、負荷が急変しない状態を含む。定常判定部90は、検出部90Sの検出結果に基づいて、圧力調整弁34の開度が定常状態か否か(開度が急激に変化していないか否か)を判定し、開度が急減に変化していないと判定した場合、ガスタービン10が定常運転状態であると判定し、開度が急減に変化していると判定した場合、ガスタービン10が定常運転状態でないと判定する。
【0101】
定常判定部90は、ガスタービン10が定常運転状態における圧力調整弁34の開度データを、検出部90Sを使って検出する。定常判定部90により検出された、定常運転状態における圧力調整弁34の開度データは、学習部92に出力される。
【0102】
学習部92は、燃料圧力演算部84と接続される。学習部92は、定常判定部90の検出部90Sの検出結果に基づいて、燃料圧力演算部84のマップデータを補正する。
【0103】
上述の第2実施形態で説明したように、燃料圧力演算部84は、燃料制御信号(CSO)と圧力調整弁34の弁開度との関係を示すマップデータを含み、そのマップデータに基づいて、入力された燃料制御信号(CSO)に対応する先行開度の数値データをフィードフォワード制御部78に供給する。
【0104】
本実施形態において、学習部92は、燃料圧力演算部84が保持する、燃料制御信号(CSO)と圧力調整弁34の開度との関係を示すマップデータを、定常判定部90の検出部90Sの検出結果に基づいて補正するマップデータ補正部として機能する。すなわち、学習部92は、定常運転状態における圧力調整弁34の開度データに基づいて、燃料圧力演算部84が保持するマップデータを補正する。これにより、マップデータは、実際の圧力調整弁34の状態(開度の状態)に基づいて補正(更新)される。
【0105】
燃料圧力演算部84は、先行信号によって制御される圧力調整弁36の弁開度の目標値を、補正されたマップデータに基づいて算出し、算出された目標値を、フィードフォワード制御部78に供給する。フィードフォワード制御部78は、学習部92により補正された、燃料圧力演算部84のマップデータに基づいて、圧力調整弁34に先行信号を出力する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態によれば、燃料圧力演算部84に保持されている、燃料制御信号(CSO)と圧力調整弁34の弁開度との関係を示すマップデータが、定常運転状態において検出部90Sによって検出された圧力調整弁34の弁開度を使って補正される。これにより、圧力調整弁34が劣化したり、圧力調整弁34の弁開度の実際の特性と設計値上の特性とが乖離したりした場合においても、圧力調整弁34の弁開度がより適切に先行補償される。これにより、流調弁差圧の制御精度が向上し、圧力調整弁34の負荷追従性が向上する。
【0107】
すなわち、燃料圧力演算部84に保持されているマップデータが、燃料制御信号(CSO)と設計値上の圧力調整弁34の弁開度との関係を示す場合、圧力調整弁34の経年劣化、又は圧力調整弁34の弁開度の実際の特性と設計値上の特性との違い等に起因して、燃料圧力演算部84に燃料制御信号(CSO)が入力されても、燃料圧力演算部84のマップデータに基づいて、圧力調整弁34の弁開度を制御するための適切な先行信号がフィードフォワード制御部78から出力されない可能性がある。
【0108】
本実施形態によれば、定常運転状態における実際の圧力調整弁34の弁開度が検出部90Sによって検出され、その検出部90Sの検出結果に基づいて、燃料圧力演算部84のマップデータが定期的に補正(更新)される。これにより、圧力調整弁34が経年劣化したり、圧力調整弁34の弁開度の実際の特性と設計値上の特性とが違ったりしていても、圧力制御弁34の弁開度の実際の特性に応じたマップデータが作りだされる。これにより、フィードフォワード制御部78は、補正(更新)されたマップデータに基づいて、弁開度の実際の特性に応じた、適切な制御信号を出力することができる。