(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1(a)〜
図1(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的断面図である。
図1(a)は、
図1(b)のB1−B2線断面図である。
図1(b)は、
図1(a)のA1−A2線断面図である。
図1(c)は、
図1(b)のB3−B4線断面図である。
図1(d)は、
図1(a)のA3−A4線断面図である。
【0009】
本実施形態に係る不揮発性記憶装置110は、第1層10uと、第2層20uと、第3層30uと、を含む。
【0010】
第1層10uは、複数の第1配線11と、第1絶縁部12と、を含む。複数の第1配線11のそれぞれは、第1方向D1に延在する。
【0011】
第1方向D1は、例えば、X軸方向である。X軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。X軸方向とY軸方向とに対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0012】
複数の第1配線11は、第1方向D1と交差する方向において互いに離間する。この例では、複数の第1配線11は、第1方向D1に対して垂直な方向(Y軸方向)において互いに離間する。
【0013】
第1絶縁部12は、複数の第1配線11どうしの間に設けられる。
【0014】
第2層20uは、積層方向において、第1層10uと離間する。積層方向は、上記の第1方向D1と交差する方向(Y軸方向)と第1方向D1に対して交差する方向である。この例では、積層方向は、Z軸方向である。第2層20uは、複数の第2配線21と、第2絶縁部22と、を含む。
【0015】
複数の第2配線21のそれぞれは、第1方向D1と交差する第2方向D2に延在する。この例では、第2方向D2は、Y軸方向である。複数の第2配線21は、第2方向D2と交差する方向(この例ではX軸方向)において互いに離間する。
【0016】
第2絶縁部22は、複数の第2配線21どうしの間に設けられる。
【0017】
第1配線11は、不揮発性記憶装置110の例えばビットラインとワードラインとの一方として機能する。第2配線21は、不揮発性記憶装置110の例えばビットラインとワードラインとの他方として機能する。
【0018】
第1絶縁部12及び第2絶縁部22には、例えば酸化シリコンなどの絶縁体が用いられる。
【0019】
第3層30uは、第1層10uと第2層20uとの間に設けられる。第3層30uは、強誘電体部31と、常誘電体部32と、を含む。強誘電体部31は、複数の第1配線11のそれぞれと複数の第2配線21のそれぞれとの間に設けられる。強誘電体部31は、酸化ハフニウム(HfO
x、xは1以上2以下)を含む材料を含む。強誘電体部31の抵抗は変化可能である。例えば、第1配線11と第2配線21との間に印加される電圧によって、強誘電体部31の抵抗は変化する。不揮発性記憶装置110において、強誘電体部31は、情報を記憶するセルとして機能する。
【0020】
常誘電体部32は、第1絶縁部12と複数の第2配線21との間、第2絶縁部22と複数の第1配線11との間、及び、第1絶縁部12と第2絶縁部22との間に設けられる。常誘電体部32は、強誘電体部31に用いられる材料を含む。すなわち、強誘電体部31と常誘電体部32とには、同じ材料(少なくとも酸化ハフニウムを含む材料)が用いられる。常誘電体部32は、セル(強誘電体部31)を分離する絶縁部として機能する。
【0021】
強誘電体部31と、常誘電体部32と、は、互いに連続している。強誘電体部31と、常誘電体部32と、は、互いに分断されていない。第3層30uにおいて、強誘電体部31と、常誘電体部32とは、パターニングされていない。
不揮発性記憶装置110は、例えば、クロスポイント型の記憶装置である。
【0022】
この例では、基板51(例えばシリコン基板)の上に層間絶縁膜52(例えばシリコン酸化膜)が設けられる。層間絶縁膜52の上に、第1層10u、第3層30u及び第2層20uが、この順で設けられる。実施形態において、層間絶縁膜52の上に、第2層20u、第3層30u及び第1層10uが、この順で設けられても良い。第1層10uと第2層20uとは、互いに入れ替えが可能である。基板51及び層間絶縁膜52は必要に応じて設けても良い。
【0023】
既に説明したように、強誘電体部31と常誘電体部32とには、同じ材料(少なくとも酸化ハフニウムを含む材料)が用いられる。そして、強誘電体部31は強誘電性を有する。そして、常誘電体部32は、常誘電性を有する。結晶構造の違いによって、誘電性の違いが生じる。
【0024】
強誘電体部31の結晶構造は、常誘電体部32の結晶構造とは異なる。例えば、強誘電体部31は、斜方晶構造を有する。これにより、酸化ハフニウムを主体とする強誘電体部31において、強誘電性が得られる。一方、常誘電体部32は、単斜晶構造を有する。この結晶構造を有し酸化ハフニウムを主体とする常誘電体部32において、常誘電性が得られる。
【0025】
酸化ハフニウムを含む材料が斜方晶構造を有する場合、中心対称性のない結晶構造となる場合がある。実施形態において、斜方晶構造は、例えば中心対称性のない斜方晶構造でも良い。強誘電体部31の結晶構造、及び、常誘電体部32の結晶構造に関する情報は、例えばX線回折などによって得られる。
【0026】
強誘電体部31の誘電率は、常誘電体部32の誘電率よりも高い。実施形態においては、常誘電体部32が設けられるセル間領域(第1絶縁部12と複数の第2配線21との間、第2絶縁部22と複数の第1配線11との間、及び、第1絶縁部12と第2絶縁部22との間)の誘電率は、セル(強誘電体部31)よりも低い。これにより、隣接セル間の干渉が抑制できる。そして、ビットラインどうし、及び、ワードラインどうしのリークも抑制できる。これにより、高い動作安定性が得られる。すなわち、セルサイズを縮小して記憶密度を高めたときにおいても、高い動作安定性が得られる。すなわち、セルサイズを縮小して記憶密度を高めたときにおいても、高い動作安定性を維持できる。
【0027】
実施形態に係る不揮発性記憶装置110においては、第3層30uは連続的であり、パターニングを必要としない。第3層30uの中の一部の領域が、強誘電体部31(セル)となる。他の領域が、常誘電体部32となり、セルを分離する。本実施形態においては、パターニングを必要としないため、高い生産性が得られる。
【0028】
例えば、不揮発性記憶装置110の製造過程において、熱処理が行われる。この熱処理により、第3層30uとなる膜(ハフニウム膜など)に応力が加わる。この応力は、第1配線11と第2配線21との間の領域と、それ以外の領域と、で異なる。この応力の違いが、強誘電体部31及び常誘電体部32における結晶構造の違いを生じさせると考えられる。
【0029】
実施形態において、複数の第1配線11及び複数の第2配線21は、TiNを含む。このような材料を用いることで、第3層30uにおける結晶構造の違いを安定して生じさせることができる。
【0030】
実施形態において、強誘電体部31及び常誘電体部32に用いられる材料は、酸化ハフニウムに加えて、Si、Al、Zr、Gd、Y及びSrよりなる群から選択された少なくとも1つをさらに含んでも良い。
【0031】
第1層10uの厚さt1(Z軸方向の長さ)は、例えば、10ナノメートル(nm)以上である。すなわち、第1配線11の厚さ及び第1絶縁部12の厚さは、10nm以上である。第1配線11の厚さ及び第1絶縁部12の厚さは、例えば、50nm以上500nm以下である。第1配線11の厚さが厚いと、第1配線11の抵抗を低くできる。第1配線11の厚さが過度に薄いと、抵抗が過度に高くなる。第1絶縁部12の厚さが過度に薄いと、例えば、常誘電体部32に加わる応力が所望の状態でなくなる場合がある。第1配線11の厚さ及び第1絶縁部12の厚さが例えば、10nm以上において、第3層30uに生じる応力が制御し易くできる。
【0032】
同様に、第2層20uの厚さt2は、例えば、10nm以上である。すなわち、第2配線21の厚さ及び第2絶縁部22の厚さは、10nm以上である。これらの厚さは、例えば、50nm以上500nm以下である。
【0033】
一方、第3層30uの厚さt3は、1nm以上50nm以下である。厚さt3が、1nm未満では、素子の特性ばらつきが顕著になるため、動作が不安定になる。厚さt3が50nmを超えると、強誘電体部31の抵抗が過度に高くなる。読み出し電流が過度に小さくなり、動作が不安定になる。
【0034】
この例では、複数の第1配線11のそれぞれは、強誘電体部31と接している。そして、複数の第2配線21のそれぞれは、強誘電体部31と接している。後述するように、第1配線11及び第2配線21のいずれかと、強誘電体部31との間に、第4層が設けられても良い。
【0035】
以下、不揮発性記憶装置110の製造方法の例について説明する。
【0036】
図2(a)〜
図12(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図2(a)及び
図2(b)は、それぞれ、
図1(a)及び
図1(b)に例示した断面に対応する。他の図もそれぞれ、
図1(a)及び
図1(b)に対応する断面図である。
【0037】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、基板51の上に層間絶縁膜52を形成する。その後、第1絶縁部12の一部となる第1絶縁膜12fを形成し、所定の形状にパターニングする。第1絶縁膜12fには、例えば酸化シリコンが用いられる。
【0038】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、第1配線11となる第1配線膜11fを形成する。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法が用いられる。
【0039】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、第1配線膜11fを後退させる。このとき、異方性エッチングを行う。例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法が用いられる。これにより、複数の第1配線11が得られる。複数の第1配線11の間には、凹部が形成されている。
【0040】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第1絶縁部12の別の一部となる第1絶縁膜12gにより、凹部を埋め込む。第1絶縁膜12gにも、例えば酸化シリコンが用いられる。
【0041】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、第1絶縁膜12gの一部を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去して、平坦化する。第1絶縁膜12f及び第2絶縁膜12gにより、第1絶縁部12が形成される。これにより、第1層10uが形成される。
【0042】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第1層10uの上に、第3層30uとなる膜30fを形成する。膜30fには、例えば、酸化ハフニウムが用いられる。上記のように、他の元素が添加されても良い。
【0043】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、膜30fの上に、第2絶縁部22の一部となる第2絶縁膜22fを形成し、所定の形状にパターニングする。第2絶縁膜22fには、例えば酸化シリコンが用いられる。
【0044】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、第2配線21となる第2配線膜21fを形成する。例えば、CVD法が用いられる。
【0045】
図10(a)及び
図10(b)に示すように、第2配線膜21fを後退させる。例えば、RIE法により、異方性エッチングを行う。これにより、複数の第2配線21が得られる。複数の第2配線21の間には、凹部が形成されている。
【0046】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、第2絶縁部22の別の一部となる第2絶縁膜22gにより、凹部を埋め込む。第2絶縁膜22gにも、例えば酸化シリコンが用いられる。
【0047】
図12(a)及び
図12(b)に示すように、第2絶縁膜22gの一部を例えばCMPにより除去して、平坦化する。第2絶縁膜22f及び第2絶縁膜22gにより、第2絶縁部22が形成される。これにより、第2層20uが形成される。
【0048】
この状態で、加熱処理を行う。すなわち、膜30fを加熱して、結晶化アニールを行う。加熱の温度は、例えば、900℃以上1100℃以下(例えば、1000℃)である。加熱処理の時間は、例えば、5秒以上30秒以下(例えば10秒)である。加熱温度は、600℃以上1100℃以下でもよい。
【0049】
これにより、膜30fのうちの、第1配線11と第2配線21との間の領域は、斜方晶になる。それ以外の領域は、例えば、単斜晶となる。このように、第1配線11と第2配線21との間の領域と、それ以外の領域と、において、互いに異なる結晶構造が形成される。
【0050】
結晶化するときに、上下の配線に挟まれた部分には、強い応力が印加される。歪みが大きくなる。それ以外の部分に印加される応力は、比較的小さい。歪みが小さい。強い歪が生じる部分の結晶構造は斜方晶となり、それ以外の部分では単斜晶となる。結晶構造が斜方晶であると、酸化ハフニウムは、強誘電性を示す。結晶構造がそれ以外の場合は、強誘電性が生じない。
このような加熱処理により、実施形態に係る不揮発性記憶装置110が形成できる。
【0051】
不揮発性記憶装置110においては、隣接セル間は、常誘電性の酸化ハフニウムにより絶縁されている。このため、隣接セル間のクロストークが抑制される。
【0052】
単斜晶の比誘電率は、斜方晶の比誘電率よりも低い。このため、セル間の容量結合などに起因するクロストークが、抑制される。このため、動作が安定化し、高い記憶密度が得られる。
【0053】
そして、上記のように、セルのそれぞれは、抵抗変化材料をパターニングせずに形成できる。これにより、高い生産性が得られる。
【0054】
例えば、複数の配線の交点に抵抗変化層を形成する場合、それぞれの交点に対応させて、抵抗変化層をピラー状に加工する参考例がある。これに対して、上記の方法を用いることで、ピラー状の加工を行わないで、交点に所望のセルを形成できる。
【0055】
実施形態によれば、抵抗変化層の加工が省略できる。製造工程を短縮することが可能であり、より簡便に記憶装置を形成できる。
【0056】
実施形態において、第3層30uは、例えば、多結晶構造である。
【0057】
実施形態において、Siの基板51には、例えば、記憶装置の周辺回路トランジスタなどの素子が形成されても良い。この場合、層間絶縁膜52には、基板51上の素子と、不揮発性記憶装置110と、を接続する配線(図示しない)が形成される。
【0058】
図13(a)及び
図13(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、第1配線11と第2配線21との間に電圧を印加したときの強誘電体部31におけるバリアハイトBH(eV)を例示している。横軸は、Z軸方向の位置pZである。これらの図において、強誘電体部の分極方向が互いに異なる。
【0059】
強誘電体部31において、バリアハイトBHの形状は、分極方向により変化する。強誘電体部31と第1配線11との界面、及び、強誘電体部31と第2配線21との界面におけるバリアハイトBHが変化する。この変化により、強誘電体部31の電気抵抗が変化する。
【0060】
本実施形態において、複数の第1配線11及び複数の第2配線21には、TiNの他にTaNまたはWNを用いても良い。
【0061】
(第2の実施形態)
図14(a)〜
図14(d)は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置を例示する模式的断面図である。
図14(a)は、
図14(b)のB1−B2線断面図である。
図14(b)は、
図14(a)のA1−A2線断面図である。
図14(c)は、
図14(b)のB3−B4線断面図である。
図14(d)は、
図14(a)のA3−A4線断面図である。
【0062】
本実施形態に係る不揮発性記憶装置120は、第1層10u、第2層20u、及び、第3層30uに加えて、第4層40をさらに含む。それ以外は、不揮発性記憶装置110と同様なので、説明を省略する。
【0063】
この例では、第4層40は、第1層10uと第3層30uとの間に設けられる。既に説明したように、第1層10uと第2層20uとは、互いに入れ替えが可能である。従って、第4層40は、第2層20uと第3層30uとの間に設けられても良い。
【0064】
第4層40の厚さは、0.5nm以上2.0nm以下である。第4層40には、酸化シリコンなどの絶縁体が用いられる。第4層40の厚さが薄いので、トンネル絶縁膜として機能できる。
【0065】
本実施形態において、第4層40(常誘電体層)には、例えば、シリコン酸化膜が用いられる。この他、シリコン窒化膜またはシリコン酸窒化膜を用いても良い。さらに、第4層40には、Ta、Ti、La及びAlの元素群の少なくともいずれかを含む酸化物を用いても良い。上記の元素群の少なくともいずれかを含む窒化物を用いても良い。上記の元素群の少なくともいずれかを含む酸化窒化物を用いても良い。
【0066】
不揮発性記憶装置120においても、隣接セル間の干渉が抑制できる。そして、ビットラインどうし、及び、ワードラインどうしのリークも抑制できる。これにより、高い動作安定性が得られる。そして、高い生産性が得られる。
【0067】
第4層40を設けることで、以下に説明するように、整流特性が得られる。
【0068】
図15(a)及び
図15(b)は、不揮発性記憶装置の特性を示すグラフ図である。
これらの図は、不揮発性記憶装置120において、第1配線11と第2配線21との間に電圧を印加したときの強誘電体部31におけるバリアハイトBHを例示している。これらの図において、強誘電体部の分極方向が互いに異なる。
強誘電体部31及び第4層40におけるバリアハイトBHの形状は、分極方向により変化する。強誘電体部31内におけるバリアハイトGHの傾斜方向は、分極方向により変化する。このため、強誘電体部31及び第4層40の積層体において、整流特性が生じる。
【0069】
図16は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の特性を例示するグラフ図である。
図16は、不揮発性記憶装置120の電気的特性の測定結果の例を示している。
図16の横軸は、不揮発性記憶装置120の1つのセル(強誘電体部31)に印加する電圧Vcである。縦軸は、そのセルに流れる電流Icである。
図16から分かるように、電圧Vcが正のときに流れる電流Icは大きく、電圧Vcが負のときに流れる電流Icは小さい。このように、第4層40を設けることで、整流特性が得られる。例えば、クロスポイント型の記憶装置において複数の配線に生じる迷走電流(sneak current)を抑制できる。
【0070】
図17(a)及び
図17(b)は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図17(a)及び
図17(b)は、それぞれ、
図14(a)及び
図14(b)に例示した断面に対応する。
【0071】
第1の実施形態に関して説明したのと同様に、第1層10uを形成する。本実施形態においては、第1層10uの上に、第4層40を形成する。そして、その上に、膜30fを形成する。そして、第1の実施形態に関して説明したのと同様に、膜30fの上に、第2層20uを形成する。そして、この状態で、加熱処理を行い、膜30fから、強誘電体部31及び常誘電体部32を形成する。
【0072】
この場合も、第1配線11と第2配線21との間の領域は、強誘電体部31となり、それ以外の領域は、常誘電体部32となる。第4層40の厚さが十分に薄いため、第3層30uにおいて、応力の違い(歪みの違い)を形成できる。
【0073】
この例では、第4層40は、第1層10uと第3層30uとの間に設けられており、複数の第2配線21のそれぞれは、強誘電体部31と接する。すなわち、第1配線11と第2配線21の少なくとも一方が、強誘電体部31と接する。これにより、強誘電体部31において、形成される歪みを大きくでき、強誘電体部31を安定して形成できる。
【0074】
(第3の実施形態)
本実施形態は、不揮発性記憶装置の製造方法に係る。
図18は、第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
まず、第1層10uを形成する(ステップS110)。第1層10uは、複数の第1配線11と、第1絶縁部12と、を含む。複数の第1配線11は、第1方向D1に延在し、第1方向D1と交差する方向において互いに離間する。第1絶縁部12は、複数の第1配線11どうしの間に設けられる。
【0075】
第1層10uの上に、膜30fを形成する(ステップS120)。膜30fは、例えば酸化ハフニウムを含む。
【0076】
膜30fの上に、第2層20uを形成する(ステップS130)。第2層20uは、複数の第2配線21と、第2絶縁部22と、を含む。複数の第2配線21は、第1方向D1と交差する第2方向D2に延在し、第2方向D2と交差する方向において互いに離間する。第2絶縁部22は、複数の第2配線21どうしの間に設けられる。
【0077】
第1層10u、膜30f及び第2層20uを熱処理する(ステップS140)。これにより、膜30fから、強誘電体部31及び常誘電体部32を形成する。強誘電体部31は、複数の第1配線11のそれぞれと、複数の第2配線21のそれぞれとの間に設けられる。強誘電体部31の抵抗は、変化可能である。常誘電体部32は、第1絶縁部12と複数の第2配線21との間、第2絶縁部22と複数の第1配線11との間、第1絶縁部12と第2絶縁部22との間に設けられる。
【0078】
本実施形態によれば、不揮発性記憶装置を高い生産性で製造できる。製造された不揮発性記憶装置においては、隣接セル間の干渉が抑制できる。そして、ビットラインどうし、及び、ワードラインどうしのリークも抑制できる。これにより、高い動作安定性が得られる。
【0079】
本実施形態においても、複数の第1配線11及び複数の第2配線21には、例えば、TiNが用いられる。
【0080】
強誘電体部31及び常誘電体部32に用いられる材料(酸化ハフニウム)は、Si、Al、Zr、Gd、Y及びSrよりなる群から選択された少なくとも1つをさらに含んでも良い。例えば、強誘電体部31は、斜方晶構造を有し、常誘電体部32は、単斜晶構造を有する。
【0081】
本実施形態において、第1層10uと膜30fとの間に、常誘電体の第4層40をさらに形成しても良い。この第4層40の厚さは、0.5nm以上2.0nm以下である。一方、第1絶縁部12の厚さは、10nm以上である。このとき、例えば、複数の第2配線21のそれぞれは、強誘電体部31と接する。強誘電体部31を安定して形成できる。
【0082】
本実施形態によれば、強誘電体薄膜を利用した2端子のFJT素子において、高い動作安定性が得られる。そして、高い生産性が得られる。FJT素子を用いることで、低電流、低電圧駆動、高速スイッチングが可能である。
【0083】
実施形態によれば、動作安定性が高い不揮発性記憶装置及びその製造方法が提供できる。
【0084】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0085】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、不揮発性記憶装置に含まれる配線層、配線、絶縁部、中間層、強誘電体部、常誘電体部、基板、及び、層間絶縁膜などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0086】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0087】
その他、本発明の実施の形態として上述した不揮発性記憶装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての不揮発性記憶装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0088】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。