(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
(同軸ケーブルの接続構造)
本実施形態の同軸ケーブルの接続構造は、同軸ケーブルの芯線が半田接続される構造である。本構造は、芯線の側周面が半田接続される接合面を有した導電性接合部と、導電性接合部の幅方向両端部において接合面よりも突出されたソルダーレジスト部と、を有する。以下において、
図1A及び
図1Bを用いて具体的に説明する。
【0019】
<プリント基板>
プリント基板100は、
図1Aに示すように、基板1と、基板1に形成された複数の導電性接合部2とを有している。導電性接合部2の上面(接合面)2aには半田3により同軸ケーブル4の芯線41が接続されている。導電性接合部2の左右両隣にはソルダーレジスト部5が形成されている。
【0020】
<導電性接合部>
導電性接合部2は所定のピッチで並んでいる。導電性接合部2の上面2aは、同軸ケーブル4の芯線41が接合される接合面となっている。上面2aには全体に半田3が施されている。導電性接合部2は、
図1Bに示すように、縦方向に一直線状に延在している。導電性接合部2の幅Cwは例えば50μm〜200μmであり、導電性接合部2のピッチCpは例えば100μm〜400μmである。導電性接合部2を上記幅とすることにより芯線41を導電性接合部2に良好に接続できる。また、導電性接合部2を上記ピッチで並べることによりフィレットを良好な形状にすることができる。これにより導電性接合部2と芯線41との接続強度を所定の強度に保つことができる。
【0021】
ここで、導電性接合部2のピッチCpは、導電性接合部2の幅Cwと導電性接合部2のスペースCsの合計である。導電性接合部2のスペースCsは、ソルダーレジスト部5を挟む2つの導電性接合部2の間隔である。
【0022】
導電性接合部2は基板1をエッチング処理等することにより形成される。また導電性接合部2は、基板1に銀、銅等の導電性材料を印刷後、焼成等して形成されることもある。
【0023】
<同軸ケーブル>
同軸ケーブル4は、
図1Bに示すように、円柱状の芯線41と、芯線41を覆う内部絶縁体42と、内部絶縁体42を覆う外部導体43と、最外層の外部絶縁体44とを有している。芯線41の側周面、特に下半分の面が半田3により導電性接合部2の上面2aに接合されている(
図1A参照)。芯線41の上半分の面は露出している。芯線41には例えば直径が15μm以上100μm以下の導線部材を用いることができる。芯線41のピッチpは例えば100μm以上400μm以下である。
【0024】
<ソルダーレジスト部>
ソルダーレジスト部5は、
図1Aに示すように、基板1の上面から突出し、導電性接合部2の上面(接合面)2aより高い。基板1が平面状であるとき、ソルダーレジスト部5の突出長Hは、導電性接合部2の高さ(厚み)hと芯線41の半径rの和より長い(H>h+r)。ここで、「ソルダーレジスト部5の突出長H」とは、基板1の上面からソルダーレジスト部5の突出側の頂点までの長さである。
【0025】
ソルダーレジスト部5は、
図1Bに示すように、縦方向に平行な一直線状に延在している。導電性接合部2を挟む2つのソルダーレジスト部5,5の間隔(スペース)は、長手方向のどの位置でも同じ長さ(幅)w
1である(
図1A,
図1B参照)。ソルダーレジスト部5の幅Rwは例えば50μm以上200μm以下であり、ソルダーレジスト部5のピッチRpは例えば100μm以上400μm以下である。ソルダーレジスト部5のピッチRpは、ソルダーレジスト部5の幅Rwとソルダーレジスト部5,5のスペースw
1の合計である。
【0026】
ソルダーレジスト部5は、基板1をエッチング処理等することによりされる。このとき、ソルダーレジスト部5の幅Rwを50μm以上200μm以下とし、スペースw
1を50μm以上200μm以下とすることが好ましい。ソルダーレジスト部5の幅Rw及びスペースw
1の調整は、UV照射時の光径、光の分布、照射位置、照射時間、光の強度等を変えることによって行うことができる。また、基板1のエッチング時にパターン幅を調整することによってもソルダーレジスト部5の幅Rw及びスペースw
1を調整することができる。
【0027】
なお、ソルダーレジスト部5の幅Rwは60μm以上120μm以下がさらに好ましく、より好適には100μm以上120μm以下である。また、ソルダーレジスト部5のスペースw
1は40μm以上80μm以下がさらに好ましい。このような幅Rw及びスペースw
1にすることにより、ソルダーレジスト部5の底部と基板1との接触面積を大きくできるため、ソルダーレジスト部5が基板1から剥がれにくくなる。
【0028】
(プリント基板の製造方法)
次に、プリント基板100の製造方法を、
図2A〜
図2Dを参照しつつ説明する。
【0029】
先ず、
図2Aに示すように、2つのソルダーレジスト部5,5の間に芯線41を収容し、導電性接合部2の上面2aに芯線41を載置する(導線部材セット工程)。芯線41が変形して幅方向に広がっていても、2つのソルダーレジスト部5,5間に芯線41を収容することで、芯線41を導電性接合部2の上面2aに位置決めできる。導電性接合部2の上面(接合面)2aには予め半田3が施されている。
【0030】
次に、導電性接合部2、半田3及び芯線41を光透過性シート30で覆う(
図2B参照)。このとき、芯線41が半田3に接触するようにする。また、光透過性シート30で芯線41及び半田3を覆い、芯線41が変形や移動しないようにする。
図2Bでは芯線41の側周面のうち上半分を光透過性シート30で覆っている。また、半田3において、芯線41の両側の領域r
1,r
2が光透過性シート30に覆われている。これにより芯線41が上下方向及び左右方向に変形及び移動しないようして、芯線41が導電性接合部2に載置された状態を保持する(載置状態保持工程)。
【0031】
光透過性シート30は、ポリイミドによって形成された樹脂層31と、樹脂層31の下方に形成された粘着層32とを有している(
図2Bの拡大図参照)。粘着層32により、光透過性シート30が芯線41及び半田3に接着する。
【0032】
なお、同軸ケーブル4の芯線41は細くて軽量であるため、自重で導電性接合部2に接触しにくい。また芯線41は移動や変形して導電性接合部2と非接触状態になりやすい。しかし、芯線41を2つのソルダーレジスト部5,5間に収容して導電性接合部2の上面2a上に位置決めするとともに、光透過性シート30で覆うことにより、芯線41を導電性接合部2の上面2aに載置した状態に保持できる。
【0033】
また、光透過性の部材を芯線41上だけに載置することも考えられる。しかし、芯線41は細くて軽量であるため、左右へ移動や変形し、導電性接合部2と非接触状態になりやすい。また、導電性接合部2の上面2aは湾曲状に盛り上がりやすい。ここに円柱状の芯線41を載置し、その上に光透過性の部材を載置すると、芯線41が移動や変形してしまう。そこで、本実施形態では光透過性シート30で芯線41と半田3(領域r
1,r
2)と導電性接合部2とを覆うことにより、芯線41が導電性接合部2に載置された状態を保持しつつ、芯線41の移動及び変形を抑止できる。
【0034】
次に、光を光透過性シート30に照射する(
図2C参照)。光は光透過性シート30を透過して半田3及び芯線41に照射され、光エネルギーにより半田3が溶融する。また、芯線41に照射された光のエネルギーが芯線41の下方の半田3にも伝搬し半田3を溶かす。これにより導電性接合部2と芯線41とが半田3によって接合される(接合工程)。光として例えばレーザーや赤外線を照射してもよい。その後、光透過性シート30を除去すると(
図2D参照)、本実施形態の接続構造が得られる(光透過性シート除去工程)。
【0035】
図2Dに示すように、芯線41の下半分の側周面は導電性接合部2に半田接合されている。一方、芯線41の上半分の側周面は露出し、光透過性シート30の粘着層32の一部(粘着剤)が部分的に残存し、積層されていることがある。
【0036】
以上に述べたように、本実施形態の同軸ケーブルの接続構造によると以下の効果を奏する。
同軸ケーブル4の芯線41は細くなるにつれて、軽量化し変形しやすいため、幅方向に広がりやすい。このような芯線41を導電性接合部2の上面(接合面)2aに載置することは難しいが、上記構成では、導電性接合部2の上面2aの両側にソルダーレジスト部5,5が突出しているため、ソルダーレジスト部5,5間に芯線41を収容した状態で、芯線41を上面2aに対して位置決めして載置できる。これにより、変形しやすい同軸ケーブル4の芯線41を導電性接合部2の上面2aに容易に半田接続することができる。また、上記構成では、芯線41をソルダーレジスト部5,5間に収容した状態で導電性接合部2に接続できるため、半田接合を手作業でなく、機械的に行える。これにより作業性が向上する。
【0037】
また、ソルダーレジスト部5の突出長Hが導電性接合部の高さhと芯線41の半径rの合計よりも長いため、芯線41を導電性接合部2の上面2aに載置した状態で振動や空気流等による外力が加えられても、芯線41がソルダーレジスト部5を乗り越える心配がない。したがって、芯線41の位置決めが解消される不具合が起こりにくい。
【0038】
さらに、上述した製造方法では、導電性接合部2への芯線41の載置状態を光透過性シート30で保持しながら光を照射して予備半田を加熱溶融することによって、導電性接合部2及び芯線41を接合している。これにより、芯線41が細くなって移動や変形し易くなっても、光透過性シート30で覆うことにより芯線41の移動や変形を防止して、芯線41を導電性接合部2と接触させることができる。このため、芯線41の導電性接合部2への接合を高い歩留まりで行える。また、導電性接合部2の予備半田を溶融して、芯線41と導電性接合部2との接触面側から半田による接合を行うため、従来のように手作業で芯線41の上方から半田ゴテを用いて半田付け作業を行う場合よりも、導電性接合部2間における半田ブリッジを生じにくくすることができる。これにより、半田ブリッジが原因で生じる短絡を起こり難くすることができる。特に、導電性接合部2間のピッチが狭くなった場合において、ブリッジの発生頻度を顕著に低減することが可能になる。
【0039】
また、光透過性シート30にポリイミド樹脂で形成された樹脂層31を用いている。ポリイミド樹脂は、予備半田を溶解させたときの溶融温度において強度を維持できるため、半田接合を完了するまで、芯線41の載置状態を保持することができる。
【0040】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、
図3A及び
図3Bを参照しつつ説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、ソルダーレジスト部の構成である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
【0041】
ソルダーレジスト部205は突出側の頂点(上端)に近付くにつれて先細りに形成されている。ソルダーレジスト部205の両側面には、頂点に近付くにつれて他方の側面に近付くように傾斜したテーパー部205a,205bが形成されている。テーパー部205a,205bは平面状である。
【0042】
上記構成により、導電性接合部2を挟む2つのソルダーレジスト部205,205の間隔(スペース)は頂点に近付くにつれて広くなっている。ソルダーレジスト部205,205の頂点(上端)ではこれらの間隔(スペース)が最も広い幅w
21であり、ソルダーレジスト部205の下端では最も狭い幅w
1であり、幅w
21は幅w
1より大きい。
【0043】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、変形や移動しやすい同軸ケーブル4の芯線41を導電性接合部2の上面(接合面)2aに容易に半田接続することができる。また、導電性接合部2を挟む2つのソルダーレジスト部205,205の間隔(スペース)は頂点で最も広いため、この幅w
21まで広がった芯線41をソルダーレジスト部205,205間に収容して導電性接合部2の上面2aに接続できる。したがって、作業性及び歩留まりを向上させることができる。
【0044】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について、
図4A及び
図4Bを参照しつつ説明する。第3実施形態において第1実施形態と異なる点は、ソルダーレジスト部の構成である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
【0045】
ソルダーレジスト部305は、平面視において、芯線41の基端に近い長手方向一端から遠ざかるにつれて幅が狭くなる台形状に形成されている(
図4B参照)。これにより導電性接合部2を挟む2つのソルダーレジスト部305,305の間隔(スペース)は、芯線41の固定端(基端)に近い長手方向一端から遠ざかるにつれて広くなっている。ソルダーレジスト部305,305の間隔(スペース)は、芯線41の固定端(基端)に近い長手方向一端で最も狭い距離(スペース)w
1であり、芯線41の先端に最も近い長手方向他端で最も広い距離(スペース)w
31であり、距離(スペース)w
31は距離(スペース)w
1より短い。
【0046】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、変形や移動しやすい同軸ケーブル4の芯線41を導電性接合部2の上面(接合面)2aに容易に半田接続することができる。また、芯線41は固定端(
図4Bの上端部)から遠ざかるにつれて変形して幅方向に拡がりやすい。しかし、上記構成では、ソルダーレジスト部305,305間の距離(スペース)が芯線41の固定端から遠ざかるにつれて広く、芯線41の先端で最大幅w
31まで広がっている。このため、芯線41の先端が幅w
31まで広がったものでも、、芯線41をソルダーレジスト部305,305間に収容し、導電性接合部2の上面2aに接続できる。したがって、作業性及び歩留まりを向上させることができる。
【0047】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について、
図5A及び
図5Bを参照しつつ説明する。第4実施形態において第1実施形態と異なる点は、ソルダーレジスト部の構成である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
【0048】
ソルダーレジスト部405は、平面視において、両側面405a,405bが外側に向かって凸状に湾曲し(
図5B参照)、長手方向中央付近で最も幅広である。導電性接合部2を挟む2つのソルダーレジスト部405,405の間隔(スペース)は、長手方向中央付近で最も狭く、中央付近から遠ざかるにつれて広い。また、2つのソルダーレジスト部405,405の間隔(スペース)は、ソルダーレジスト部405の長手方向中央付近で最も狭い距離(スペース)w
41であり、ソルダーレジスト部405の長手方向の一端部及び他端部で最も広い(スペース)距離w
42であり、距離w
41は距離w
42よりも短い。
【0049】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、変形や移動しやすい同軸ケーブル4の芯線41を導電性接合部2の上面(接合面)2aに容易に半田接続することができる。また、芯線41は固定端(
図5Bの上端部)から遠ざかるにつれて変形し、幅方向に拡がりやすい。しかし、上記構成では、ソルダーレジスト部405,405間の距離(スペース)が芯線41の固定端から遠ざかるにつれて広く、芯線41の先端において最大幅w
41まで広がっている。このため、芯線41の先端が幅w
41まで変形して広がったものでも、芯線41をソルダーレジスト部505,305間に収容し、導電性接合部2の上面2aに接続できる。また、ソルダーレジスト部405,405間の距離(スペース)が長手方向の両端部で広いため、芯線41が幅広となった位置が先端側(固定端側)であるか基端側であるか気にすることなく、芯線41を先端側又は基端側から傾斜した状態で収容できる。これにより作業性がより向上する。
【0050】
次に、導電性部材の幅Cw及びスペースCsとソルダーレジストの幅Rw及びスペースw
1を変えた実験について説明する。
【0051】
基板にエッチング処理を施すことにより導電性部材及びソルダーレジストを形成し、
図1A及び
図1Bに示す構造(半田及び芯材のない状態)を得た。そして下記の項目を基に、ソルダーレジストの剥がれ易さを評価した。
◎:ソルダーレジストが基板から全く剥がれない。
〇:ソルダーレジストが基板から剥がれない。
×:ソルダーレジストが基板から剥がれ易い。
◎は〇より剥がれにくいが、◎も〇も問題なく使用することができる。
【0052】
表1には実験条件及び評価結果を示している。
【表1】
【0053】
本実験では、基板のエッチング時に光(本実験では紫外光を使用)の照射幅を調整することにより、導電性部材の幅Cw及びスペースCsとソルダーレジストの幅Rw及びw
1を調整した。
ソルダーレジストを形成する際、光の照射幅を広げると、光の強度分布が照射幅に従って広がるため、ソルダーレジストの硬化範囲が幅方向および深さ方向に広がると考えられる。
実験No.1及びNo.2では光の照射幅を50μm以下とした。実験No.3では光の照射幅を60μmとし、実験No.4〜6では光の照射幅を100μm以上とした。実験No.6では光の照射幅を120μm以上としている。
【0054】
<評価結果>
実験No.1,2では、光の照射幅が狭いため、光の強度が不足した。これによりソルダーレジストの硬化範囲が狭く、ソルダーレジストと基板との接触面積が非常に小さかった。このためソルダーレジストが基板から剥離しやすくなったと考えられる。
【0055】
一方、実験No.3〜6ではソルダーレジストが基板から剥がれず、良好な結果が得られた。実験No.3〜6では上述した光の照射幅とすることでソルダーレジストの硬化範囲が広がり、ソルダーレジストと基板との接触面積が大きくなった。これによりソルダーレジストと基板との密着性を確保できたため、剥離しにくい構造が得られたと考えられる。特に実験No.6では強固な密着性を確保できた。
上記からソルダーレジストの硬化範囲が広がることにより、ソルダーレジストと基板との接触面積が広がるため、ソルダーレジストの基板との密着性を確保できる。これによりソルダーレジストが剥離しにくいく構造が得られると考えられる。
【0056】
また実験No.3〜6のプリント基板(半田及び芯材のない状態)を観察したところ、正面視(
図1Aに示す図)において下記の形状相違があった。
実験No.3〜5では、ソルダーレジストが基板に向かって凸状の略半円形状となっていた。
一方、実験No.6では、ソルダーレジストが略台形状であり、底面長さが上面長さよりやや短い形状となっていた。
このようにエッチング時の光照射幅を変えることにより、ソルダーレジストの形状に差違が生じるという知見を得た。
【0057】
実験No.3〜5のようにソルダーレジストが半円形状になると、ソルダーレジストと基板との接触面積がやや小さくなるため、ソルダーレジストの基板との密着性がやや低下する。一方、実験No.6のようにソルダーレジストが台形状では、半円形状の場合よりも基板との接触面積がやや大きくなるため、ソルダーレジストの基板との密着性が高まる。このため実験No.3〜5のソルダーレジストと実験No.6のソルダーレジストとを比較すると、実験No.6のソルダーレジストの方が基板から剥離しにくい。
【0058】
なお、第2〜第4実施形態及び後述する変形例は第1実施形態とソルダーレジストの形状が異なるが、これらの形状の相違は、ソルダーレジストの基板からの剥がれやすさに殆ど関係しない。したがって、第2〜第4実施形態及び変形例でも上記実験No.3〜6と同様な幅及びスペースとすることで、ソルダーレジストが剥離しにくい構造が得られる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
例えば、上述の第2実施形態では、ソルダーレジスト部205の両側面にそれぞれテーパー部205a,205bを形成したが、テーパー部を一方の側面だけに形成してもよい。これにより、導電性接合部2を挟む2つのソルダーレジスト部205,205間の距離(スペース)を拡げつつ、ソルダーレジスト部205の加工工程数を低減できる。
【0061】
また、上述の第2実施形態では、ソルダーレジスト部205に形成されたテーパー部205a,205bが平面状であるが、テーパー部を凸状又は凹状に湾曲させてもよい。
【0062】
さらに、上述の第2実施形態では、テーパー部205a,205bがソルダーレジスト部205の長手方向全体に形成されているが、テーパー部をソルダーレジスト部の長手方向の一部に形成してもよい。
【0063】
また、上述の第3実施形態では、導電性接合部2を挟む2つのソルダーレジスト部405,405の間の距離(スペース)が、長手方向中央付近で最も短く、長手方向両端に近付くにつれて幅広となっているが、このような構成に限られない。例えば、導電性接合部2を挟む2つのソルダーレジスト部405,405の間の距離は、長手方向中央付近で最も長く、長手方向両端に近付くにつれて幅狭である構成でもよい。芯線41の長手方向両端部が固定されている場合、芯線41の中央付近が変形しやすいため、上記構成を採用すると、作業性及び歩留まりを向上させることができる。
【0064】
また、上述の実施形態では1つのプリント基板に形成されたソルダーレジスト部が全て同じ形状であるが、異なる形状のソルダーレジスト部を用いてもよい。例えば、第1実施形態のソルダーレジスト部5と第2実施形態のソルダーレジスト部205とを1つのプリント基板で使用してもよい。
【0065】
また、上述の実施形態では、プリント基板の製造工程で光透過性シートの樹脂層にポリイミド樹脂を用いたが、半田よりも融点が高い樹脂であれば他の樹脂を用いてもよい。
【0066】
さらに、上述の実施形態では導電性接合部2の上面に全て半田が塗布されているが、導電性接続部材の上面の一部に半田が塗布されていてもよい。この場合、
図2Bに示す載置状態保持工程において、光透過性シート30を中心導体21の略上半分、半田3の露出部分及び導電性接合部2の上面の露出部分に貼り付けることが好ましい。これにより、中心導体21が導電性接合部2に載置された状態をより確実に保持することができる。
【0067】
また、上述の第1〜第4実施形態ではソルダーレジスト部の高さが一定であるが、ソルダーレジスト部の高さを変化させてもよい。例えば
図6A及び
図6Bに示すようにソルダーレジスト部505の突出高さを、芯線41の基端(
図6Bの右側)から遠ざかるにつれて高くしてもよい。ソルダーレジスト部505の突出長は、芯線41の基端に近い長手方向一端で最も低い突出長h
51であり、芯線41の先端に近い長手方向他端で最も長い突出長h
52であり、突出長h
51は突出長h
52より短い。また、突出長h
51及び突出長h
52はいずれも導電性接合部2の高さと芯線41の半径の和より長い。このような構成でも本発明の効果が得られる。また、芯線41は固定端(
図6Bの左端部)から遠ざかるにつれて変形して幅方向や高さ方向に広がりやすい。このため、芯線41をソルダーレジスト部505,505間に収容した状態で振動や空気流等の外力が生じると、芯線41の先端部(
図6Bの右端部)はソルダーレジスト部505を乗り越えやすい。しかし、上記構成では、芯線41の先端側でソルダーレジスト部505の突出長が高いため、芯線41は先端側でもソルダーレジスト部505を乗り越えにくい。したがって、芯線41の位置決めが解消される不具合が起こりにくい。
なお、
図6A及び
図6Bでは第1実施形態においてソルダーレジスト部の高さを変化させたが、第2〜第4実施形態でも
図6A及び
図6Bのようにソルダーレジスト部の高さを変化させてもよい。