(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193840
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】エレベータガイドレール揚重装置およびエレベータガイドレール揚重方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/02 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
B66B7/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-246474(P2014-246474)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-108084(P2016-108084A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】原 茂壽
【審査官】
井上 信
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−70296(JP,A)
【文献】
特開2005−8390(JP,A)
【文献】
特開2013−129526(JP,A)
【文献】
特開2006−306621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路に立てられた既立ガイドレールの上に対象ガイドレールを連結するために前記既立ガイドレールの上に前記対象ガイドレールを積み上げる際に用いられるエレベータガイドレール揚重装置であって、
前記対象ガイドレールの上部に接続される長尺部を有し、前記長尺部を巻き取ることによって前記対象ガイドレールが引き上げられる巻取装置と、
前記対象ガイドレールの下部に接続され、前記巻取装置が前記対象ガイドレールを引き上げる際に前記対象ガイドレールを下方に付勢する下方付勢装置と、
前記対象ガイドレールの回転を検出する回転検出装置と
を備え、
前記回転検出装置が前記対象ガイドレールの回転を検出する場合に、前記対象ガイドレールの引き上げを停止することを特徴とするエレベータガイドレール揚重装置。
【請求項2】
前記下方付勢装置は、前記対象ガイドレールの下部に接続される長尺部を含み、前記巻取装置による前記対象ガイドレールの引き上げに連動して、前記対象ガイドレールを下方に付勢するように前記長尺部を送り出す送出装置を有していることを特徴とする請求項1に記載のエレベータガイドレール揚重装置。
【請求項3】
昇降路に立てられた既立ガイドレールの上に対象ガイドレールを連結するために前記既立ガイドレールの上に前記対象ガイドレールを積み上げる際に用いられるエレベータガイドレール揚重方法であって、
前記対象ガイドレールの上部に接続された長尺部を巻き取ることによって前記対象ガイドレールを引き上げる揚重工程を備え、
前記揚重工程では、前記対象ガイドレールの下部を下方に付勢しながら前記対象ガイドレールを引き上げ、前記対象ガイドレールが回転する場合に前記対象ガイドレールの引き上げを停止することを特徴とするエレベータガイドレール揚重方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータのガイドレールを積み上げる際に用いられるエレベータガイドレール揚重装置およびエレベータガイドレール揚重方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降路に立てられた既立ガイドレールの上に対象ガイドレールを連結するために既立ガイドレールの上に対象ガイドレールを積み上げる際に用いられるエレベータガイドレール揚重装置であって、対象ガイドレールの上部に接続されるロープを有し、ロープを巻き取ることによって対象ガイドレールを引き上げる電動ホイスト装置を備えたエレベータ揚重装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−219665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、対象ガイドレールを引き上げる際に、引き上げられる対象ガイドレールの下端部が振れてしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、対象ガイドレールを引き上げる際に、引き上げられる対象ガイドレールの下端部が振れてしまうことを抑制することができるエレベータガイドレール揚重装置およびエレベータガイドレール揚重方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータガイドレール揚重装置は、昇降路に立てられた既立ガイドレールの上に対象ガイドレールを連結するために既立ガイドレールの上に対象ガイドレールを積み上げる際に用いられるエレベータガイドレール揚重装置であって、対象ガイドレールの上部に接続される長尺部を有し、長尺部を巻き取ることによって対象ガイドレールが引き上げられる巻取装置と、対象ガイドレールの下部に接続され、巻取装置が対象ガイドレールを引き上げる際に対象ガイドレールを下方に付勢する下方付勢装置と
、対象ガイドレールの回転を検出する回転検出装置とを備え
、回転検出装置が対象ガイドレールの回転を検出する場合に、対象ガイドレールの引き上げを停止する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータガイドレール揚重装置によれば、対象ガイドレールの上部に接続される長尺部を有し、長尺部を巻き取ることによって対象ガイドレールが引き上げられる巻取装置と、対象ガイドレールの下部に接続され、巻取装置が対象ガイドレールを引き上げる際に対象ガイドレールを下方に付勢する下方付勢装置とを備えているので、対象ガイドレールを引き上げる際に、引き上げられる対象ガイドレールの下端部が振れてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータガイドレール揚重装置を示す構成図である。
【
図2】
図1のエレベータガイドレール揚重装置を示すブロック図である。
【
図3】
図1のエレベータガイドレール揚重装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】この発明の実施の形態2に係るエレベータガイドレール揚重装置を示す構成図である。
【
図5】
図4のエレベータガイドレール揚重装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータガイドレール揚重装置を示す構成図、
図2は
図1のエレベータガイドレール揚重装置を示すブロック図である。図において、エレベータガイドレール揚重装置は、昇降路100の上部に設けられる電動ホイスト装置(巻取装置)1と、昇降路100の下部に設けられる電動ホイスト装置(送出装置)2と、電動ホイスト装置1および電動ホイスト装置2の駆動を制御する制御装置3と、ロープ11の先端部に接続されるレール吊具4と、ロープ21の先端部に接続されるレール吊具5とを備えている。
【0010】
電動ホイスト装置1は、ロープ(長尺物)11を有している。電動ホイスト装置1は、駆動することによってロープ11を巻き取る。
【0011】
電動ホイスト装置2は、ロープ(長尺物)21を有している。電動ホイスト装置2は、駆動することによってロープ21を送り出す。
【0012】
エレベータガイドレール揚重装置は、昇降路100に立てられた既立ガイドレール200の上に対象ガイドレール300を連結するために既立ガイドレール200の上に対象ガイドレール300を積み上げる際に用いられる。対象ガイドレール300の上部には、目板301が取り付けられている。対象ガイドレール300の下部にも、目板302が取り付けられている。目板301および目板302のそれぞれは、高さ方向に隣り合う一対のガイドレールを連結する際に用いられる。
【0013】
制御装置3は、制御装置本体31と、作業者に操作される操作部32とを有している。操作部32には、対象ガイドレール300を上昇させる上昇ボタンと、対象ガイドレール300の上昇を停止させる停止ボタンとが含まれている。上昇ボタンが操作されると、制御装置本体31は、電動ホイスト装置2が対象ガイドレール300を下方に付勢させながら電動ホイスト装置1が対象ガイドレール300を上昇させるように、電動ホイスト装置1および電動ホイスト装置2の駆動を制御する。したがって、電動ホイスト装置2は、電動ホイスト装置1が対象ガイドレール300を引き上げる際に対象ガイドレール300を下方に付勢する下方付勢装置となっている。
【0014】
次に、エレベータガイドレール揚重装置を用いて対象ガイドレール300を引き上げる方法について説明する。
図3は
図1のエレベータガイドレール揚重装置の動作を示すフローチャートである。まず、制御装置3は、上昇ボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101で上昇ボタンが操作されていないと判定された場合には、ステップS101が繰り返される。
【0015】
一方、ステップS101で上昇ボタンが操作されたと判定された場合には、制御装置3は、電動ホイスト装置2に対象ガイドレール300を下方に付勢させながら、電動ホイスト装置1にロープ11を巻き取らせることによって電動ホイスト装置1に対象ガイドレール300を引き上げさせる(揚重工程)(ステップS102)。
【0016】
その後、制御装置3は、停止ボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103で停止ボタンが操作されていないと判定された場合には、ステップS103が繰り返される。
【0017】
一方、ステップS103で停止ボタンが操作されたと判定された場合には、制御装置3は、電動ホイスト装置1および電動ホイスト装置2の駆動を停止して、対象ガイドレール300の引き上げを停止する(ステップS104)。以上により、エレベータガイドレール揚重装置を用いて対象ガイドレール300を引き上げる方法が終了する。
【0018】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータガイドレール揚重装置によれば、対象ガイドレール300の上部に接続されるロープ11を有し、ロープ11を巻き取ることによって対象ガイドレール300が引き上げられる電動ホイスト装置1と、対象ガイドレール300の下部に接続され、電動ホイスト装置1が対象ガイドレール300を引き上げる際に対象ガイドレール300を下方に付勢する下方付勢装置とを備えているので、対象ガイドレール300を引き上げる際に、引き上げられる対象ガイドレール300の下端部が振れてしまうことを抑制することができる。
【0019】
また、下方付勢装置は、対象ガイドレール300の下部に接続されるロープ21を含み、電動ホイスト装置1による対象ガイドレール300の引き上げに連動して、対象ガイドレール300を下方に付勢するようにロープ21を送り出す電動ホイスト装置2を有しているので、電動ホイスト装置1および電動ホイスト装置2のそれぞれを同期して駆動することによって、電動ホイスト装置2による下方への付勢力を一定にすることができる。
【0020】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータガイドレール揚重方法によれば、対象ガイドレール300の上部に接続されたロープ11を巻き取ることによって対象ガイドレール300を引き上げる揚重工程を備え、揚重工程では、対象ガイドレール300の下部を下方に付勢しながら対象ガイドレール300を引き上げるので、対象ガイドレール300を引き上げる際に、引き上げられる対象ガイドレール300の下端部が振れてしまうことを抑制することができる。
【0021】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係るエレベータガイドレール揚重装置を示す構成図、
図5は
図4のエレベータガイドレール揚重装置を示すブロック図である。図において、エレベータガイドレール揚重装置は、周方向についての対象ガイドレール300の回転を検出する回転検出装置6をさらに備えている。回転検出装置6は、対象ガイドレール300が引き上げられる際にロープ21が周方向に回転することを検出することによって、周方向についての対象ガイドレール300の回転を検出する。回転検出装置6が検出するロープ21の回転量は予め設定される。回転検出装置6の検出結果は、制御装置3に送られる。制御装置3は、回転検出装置6が対象ガイドレール300の回転を検出した場合に、対象ガイドレール300の引き上げを停止する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0022】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータガイドレール揚重装置によれば、対象ガイドレール300の回転を検出する回転検出装置6を備え、回転検出装置6が対象ガイドレール300の回転を検出する場合に、対象ガイドレール300の引き上げを停止するので、対象ガイドレール300が引き上げられる際に対象ガイドレール300が回転することを抑制することができる。
【0023】
なお、各上記実施の形態では、巻取装置および送出装置として、電動ホイスト装置を例に説明したが、長尺物がチェーンの場合には、電動チェーンブロックが挙げられる。
【0024】
また、各上記実施の形態では、目板にレール吊具を係合させて対象ガイドレール300を引き上げる構成について説明したが、目板に限らず、例えば、支持台を対象ガイドレール300に取り付けて、支持台にレール吊具を係合させて対象ガイドレール300を引き上げる構成であってもよい。また、電磁石による磁力を用いて、対象ガイドレール300とロープ11およびロープ21とを連結してもよい。
【0025】
また、各上記実施の形態では、下方付勢装置として、電動ホイスト装置2を例に説明したが、電動ホイスト装置2に限らず、例えば、対象ガイドレール300の下端部に接続されるロープと、ロープが巻き掛けられる軸部と、ロープが軸部に巻き掛けられる方向に軸部を付勢するばね部材とを有する構成であってもよい。この場合、ばね部材の付勢力よりも強い力で電動ホイスト装置1がロープ11を巻き取ることによって、対象ガイドレール300が引き上げられる。
【符号の説明】
【0026】
1 電動ホイスト装置(巻取装置)、2 電動ホイスト装置(送出装置)、3 制御装置、4 レール吊具、5 レール吊具、6 回転検出装置、11 ロープ(長尺物)、21 ロープ(長尺物)、31 制御装置本体、32 操作部、100 昇降路、200 既立ガイドレール、300 対象ガイドレール、301 目板、302 目板。