【文献】
CHANDRA A,RECTIFICATION AT N-N GAAS: (GA, AL)AS HETEROJUNCTIONS,ELECTRONICS LETTERS,英国,IEE STEVENAGE,1979年 2月 1日,V15 N3,P90-91
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電子障壁が、前記アノード層および前記カソード層のうち少なくとも1つに含まれる材料の少なくとも1つの組成を適切に選択することによって調整され得る請求項1に記載のダイオード。
前記電子障壁が、前記アノード層および前記カソード層のうち少なくとも1つに含まれる材料の少なくとも1つの組成を適切に選択することによって調整され得る請求項16に記載のダイオード。
前記サブカソード層を生成する前記ステップと、前記カソード層を生成する前記ステップと、前記アノード層を生成する前記ステップとのうち少なくとも1つが、エピタキシアルに実行される請求項20に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明には、さまざまな形式の実施形態の余地があるが、1つまたは複数の特定の実施形態が図面に示され、本明細書で詳細に説明されることになり、本開示は、本発明の原理の例示と見なされるべきであって、示され、説明された特定の実施形態に、本発明を限定するようには意図されていないことの理解を伴う。以下の説明および図面のいくつかの図解では、類似の参照数字は、図面のいくつかの視野における、同一の部分、類似の部分、または対応する部分を説明するために用いられる。
【0011】
開示される発明の実施形態には、低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオードが含まれる。本発明の実施形態によれば、このダイオードは、サブカソード半導体層、低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層、および高ドープで狭バンドギャップのアノード半導体層を備えるエピタキシアル・スタックから製作されてよい。アノード層がカソード層上に配置されてよく、カソード層がサブカソード層上に配置されてよい。あるいは、サブカソード層がカソード層上に配置されてよく、カソード層がアノード層上に配置されてよい。
【0012】
本発明の実施形態によれば、このダイオードは、アノードメサ/カソードメサのまわりをサブカソードまでエッチングで掘り下げることにより、製作されてよい。このステップに続いて、アノード層上に金属アノード接触が配置されてよく、サブカソード層上に金属カソード接触が配置されてよい。これによって、伝導帯に、小さくて調整可能な、非常に高品質の電子障壁が生成され、低ターンオン電圧をもたらす。この障壁は、ショットキーダイオードの金属と半導体の間の障壁に類似の阻止特性(blocking characteristics)を有する。
【0013】
本発明の実施形態によれば、低ターンオン電圧のダイオードは、エピタキシアル成長により、ショットキーダイオードよりはるかに簡単な素子製造プロセスによって、順次に作製され得る。例えば、分子ビーム成長法(MBE)を用いて各層を作製してよい。例えば、有機金属気相成長法(MOCVD)を用いて各層を作製してよい。各層は、単一の半導体エピタキシアル成長反応器で作製され得て、接合汚染が実質的に低減され、製造が容易になり、接合容量が大幅に低減される。本発明の実施形態による接合容量は、従来技術の逆方向トンネルダイオード(backward tunneling diode)に関する約70フェムトファラッド(70fF)以上の一般的な接合容量と比較して、一般に約10fF小さくなるはずである。本発明の実施形態は、従来技術の逆方向トンネルダイオードに対して、より高速で動作し得るダイオードを提供する。
【0014】
本発明の実施形態は、ダイオードのターンオン電圧を低下させ、それによって自己バイアスの構成でダイオードを使用するミキサ回路または検出回路を作動させるのに必要なRF電力またはLO電力を低減する。RF電力を低減すると、回路の感度が改善され、LO電力を低減すると、回路の効率および/または変換損が改善される。
【0015】
本発明の実施形態によれば、ユニポーラ・ダイオードは、n
+のサブカソード半導体層上の低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層の上にn
+の狭バンドギャップのアノード半導体層を備えるエピタキシアル・スタックから製作されてよい。このダイオードは、アノードメサ/カソードメサのまわりをサブカソード層までエッチングで掘り下げることにより、製作されてよい。次いで、アノード層上に金属アノード接触が配置されてよく、サブカソード層上に金属カソード接触が配置されてよい。
【0016】
本発明の実施形態によれば、アノード層とカソード層の間の接合が、伝導帯における、小さくて高品質の電子障壁を生成する。この障壁により、低ターンオン電圧で電流の整流が生じる。この障壁の高さは、本発明の実施形態によって、アノード層およびカソード層の構成を変化させることにより、特定の用途向けに適切な任意のレベルに調整することができる。例えば、本発明の実施形態によれば、障壁の高さは、カソード層およびアノード層に用いられるガリウム(Ga)とアルミニウム(Al)の部分の相対的な存在を記述する組成比を変化させることによって調整することができる。本発明の実施形態によってカソード層およびアノード層の構成を変化させることにより、カソード層およびアノード層の伝導帯の配置を変化させることができ、それによって障壁の高さを調整することができる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、n
+の狭バンドギャップのアノード半導体層が、低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層とともに用いられる。これは、ショットキーダイオードの金属と半導体の間の障壁に類似の、伝導帯における電子障壁を生成し得る。カソード層は、真性の広バンドギャップのカソード半導体層でよい。カソード層は、低ドープで非真性の広バンドギャップのカソード半導体層でよい。
【0018】
本発明のダイオードは、電気的特性が自由キャリアのただ1つの極性によって支配されるので、ユニポーラである。n
+のサブカソード半導体層と、このサブカソード層上に製作された低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層と、カソード層上に製作されたn
+の狭バンドギャップのアノード半導体層とを有する本発明の実施形態の場合には、ダイオードの電気的特性が電子によって支配される。電子は、ダイオードのすべての層における多数キャリアであり、電流のほとんどすべてをもたらすが、正孔の存在は無視することができる。したがって、このダイオードの少数キャリアは無視することができ、よって少数キャリアの電荷蓄積を無視することができる。オン状態からオフ状態に切り換わるとき少数キャリア電荷蓄積による容量性の遅延を有するPN接合ダイオードなどの比較対象となり得るバイポーラ・ダイオードと比較して、ユニポーラ・ダイオードは、より高速である。
【0019】
図1は、低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオード100の断面図である。ユニポーラ・ダイオード100は、高ドープで狭バンドギャップのアノード半導体層110、低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層120、およびサブカソード半導体層130を備える。ダイオードは、半絶縁性基板140上に製作される。
【0020】
ダイオード100は、ダイオード100を形成する半導体材料が金属または誘電体層によって覆われる、または完全に取り囲まれるという点で、十分に密封されている。
【0021】
ダイオード100のサイズおよび形状は、特定の用途および要求次第で、さまざまな選択肢から選択することができる。アノード層110のカソード層120に対する境界面のサイズおよび形状は、特定の用途および要求次第で、以下のものを含む多数の例示的構成のうちの1つによって形成される。
A=10μm
2:0.5×20、1×10、2×5、3×3.33
A=4μm
2:0.5×8、0.8×5、1×4、2×2
A=2μm
2:0.5×4、1×2
A=1μm
2:0.5×2、0.8×1.2、1×1
【0022】
一例として、アノード層110は、エピタキシアル成長させた(grown epitaxial)インジウム・ガリウム砒素(InGaAs)層を備えてよい。一例として、カソード層120は、エピタキシアル成長させたインジウム・アルミニウム砒素(InAlAs)層を備えてよい。一例として、サブカソード層130は、エピタキシアル成長させたインジウム・アルミニウム砒素(InAlAs)層を備えてよく、カソード層120を支持するための所望形状を形成するようにエッチングされる。あるいは、サブカソード層130は、エピタキシアル成長させたインジウム・アルミニウム砒素(InAlAs)副層(図示せず)およびエピタキシアル成長させたインジウム・ガリウム砒素(InGaAs)副層(図示せず)を備えてよい。一例として、基板140は、半絶縁性のリン化インジウム(InP)ウェーハを備えてよい。
【0023】
誘電体層145は、必要な場合に、ダイオード100の構造と、例えば第1の金属相互接続150および第2の金属相互接続155との間に絶縁をもたらす。この例では、アノード接続をもたらすのは、アノード層110に接触し、アノード層110によって支持されている、金属オーミック・アノード接触160による第1の金属相互接続150である。カソード接続をもたらすのは、サブカソード層130に接触し、サブカソード層130によって支持されている、金属オーミック・カソード接触170による第2の金属相互接続155である。
【0024】
図2A〜
図2Dは、低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオード100を製作する方法を示す1組の図である。この例では、ダイオード100は、サブカソード層130をエピタキシアル成長させ、次いでサブカソード層130上にカソード層120を成長させ、次いでカソード層120上にアノード層110を成長させることによって製作される。次に、この製造方法は、カソード層120およびアノード層110を備えるメサのまわりをサブカソード層130までエッチングで掘り下げるステップを伴う。このステップに続いて、アノード層上に金属アノード接触160が配置され、サブカソード層上に金属カソード接触170が配置される。
【0025】
図2Aにおいて、開始断面210は、基板上に、例えば半絶縁性のリン化インジウム(InP)ウェーハ140、サブカソード半導体層130をエピタキシアル成長させるステップと、次いで、低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層120をエピタキシアル成長させるステップと、次いで、高ドープで狭バンドギャップのアノード半導体層110をエピタキシアル成長させるステップとからもたらされる。例えば、分子ビーム成長法(MBE)を用いて各層を作製してよい。例えば、有機金属気相成長法(MOCVD)を用いて各層を作製してよい。半導体材料、例えば、インジウム・アルミニウム・ガリウム砒素(InAlGaAs)、または別の例のアルミニウム・ガリウム砒素(AlGaAs)といったさまざまな構成を備えてよい。
【0026】
図2Bにおいて、断面220は、次の製造ステップの結果を示す。サブカソード層130、カソード層120、およびアノード層110を所望の形状にエッチングするステップが実行される。次いで、金属オーミック・カソード接触170が、サブカソード半導体層130によって支持されるように、堆積される。
【0027】
図2Cにおいて、断面230は、誘電体層145が堆積される、すぐ次の製造ステップの結果を示す。例えば、誘電体層145は、窒化シリコン(SIN)を含んでよい。次いで、誘電体層145の一部分が、下部層に対する接触位置を現わすために除去される。
【0028】
図2Dにおいて、断面240は、最終的な製造ステップの結果を示す。金属オーミック・アノード接触160は、例えば電子ビーム蒸着によって堆積される。次いで、金属オーミック・アノード接触160上に、第1の金属相互接続150が、例えば電子ビーム蒸着によって形成される。金属オーミック・カソード接触170上に、第2の金属相互接続155が、例えば電子ビーム蒸着によって形成される。それによって、第2の金属相互接続155が、オーミック・カソード接触170に接続されて誘電体層145を密封する。断面240は、堆積された第1の金属相互接続150および堆積された第2の金属相互接続155を図示する。
【0029】
図3Aは、ゼロ・バイアスの場合の、本発明の実施形態による、n
+のサブカソード半導体層と、サブカソード層上に製作された低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層と、カソード層上に製作されたn
+の狭バンドギャップのアノード半導体層とを備える、低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオードを製作する方法の動作を示すエネルギー帯の図である。
【0030】
低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層と高ドープで狭バンドギャップのアノード半導体層の間の接合が、伝導帯における障壁を生成し、この障壁は低ターンオン電圧のダイオードをもたらすように構成される。
【0031】
図3Aは、実施形態のこの組によるゼロ・バイアスでのダイオードの半導体層のエネルギー帯の図を示す。このエネルギー帯の図は、電子エネルギーを、ダイオード100の深さの関数として概略的にプロットしており、ダイオード100は、n
+のサブカソード半導体層130、サブカソード層130上に製作された低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層120、およびカソード層120上に製作されたn
+の狭バンドギャップのアノード半導体層110を備える。
【0032】
ダイオード100には伝導帯310が生成される。n
+の狭バンドギャップのアノード半導体層110と広バンドギャップのカソード半導体層120の間の接合における伝導帯310の不連続性が、伝導帯障壁320を生成する。
【0033】
ライン330は、n
+のアノード半導体層110の疑似フェルミエネルギー・レベルE
F−anodeを示す。ライン340は、n
+のサブカソード半導体層130の疑似フェルミエネルギー・レベルE
F−subcathodeを示す。E
F−anodeは、完全に組み立てられたダイオード100の金属オーミック・アノード接触160(図示せず)の電圧とほぼ等しい。同様に、E
F−subcathodeは、完全に組み立てられたダイオード100の金属オーミック・カソード接触170(図示せず)の電圧とほぼ等しい。ゼロ・バイアスの場合には、E
F−anodeは、E
F−subcathodeとほぼ等しい。
【0034】
疑似フェルミエネルギーのライン330がn
+のアノード半導体層110の伝導帯310上にあり、疑似フェルミエネルギーのライン340がn
+のサブカソード半導体層130の伝導帯310上にあるので、これらの半導体層のどちらにも自由電子が大量に供給される。
【0035】
図3Bは、実施形態の同一の組による正バイアスでのダイオードの半導体層のエネルギー帯の図を示す。このエネルギー帯の図は、電子エネルギーを、ダイオード100の深さの関数として、やはり概略的にプロットしている。
【0036】
ダイオード100には、やはり伝導帯310が生成され、n
+の狭バンドギャップのアノード半導体層110と広バンドギャップのカソード半導体層120の間の接合における伝導帯310の不連続性が、やはり伝導帯障壁320を生成する。
【0037】
ライン330は、やはりn
+のアノード半導体層110の疑似フェルミエネルギー・レベルE
F−anodeを示し、ライン340は、やはりn
+のサブカソード半導体層130の疑似フェルミエネルギー・レベルE
F−subcathodeを示す。正バイアスの場合には、E
F−anodeがE
F−subcathodeより低い。正バイアスにより、ダイオード100が電流を伝導するように、電子が、伝導帯障壁320を乗り越えてサブカソード130からアノード110へ流れることができる。
【0038】
図3Cは、実施形態の同一の組による負バイアスでのダイオードの半導体層のエネルギー帯の図を示す。このエネルギー帯の図は、電子エネルギーを、ダイオード100の深さの関数として、やはり概略的にプロットしている。
【0039】
ダイオード100には、やはり伝導帯310が生成され、n
+の狭バンドギャップのアノード半導体層110と広バンドギャップのカソード半導体層120の間の接合における伝導帯310の不連続性が、やはり伝導帯障壁320を生成する。
【0040】
ライン330は、やはりn
+のアノード半導体層110の疑似フェルミエネルギー・レベルE
F−anodeを示し、ライン340は、やはりn
+のサブカソード半導体層130の疑似フェルミエネルギー・レベルE
F−subcathodeを示す。負バイアスの場合には、E
F−anodeがE
F−subcathodeより高い。負バイアスにより、伝導帯障壁320が生成されて、電子がアノード110からサブカソード130へ流れるのを妨げ、その結果、ダイオード100がそれと分かるほどの電流を伝導することはない。
【0041】
したがって、本発明の実施形態によるダイオードの基本動作は、一般的なショットキーダイオードの基本動作に似ている。本発明の実施形態によれば、一般的なショットキーダイオードの金属半導体障壁が、
図3A〜
図3Cにおいて概説された原理に従って動作する半導体−半導体の伝導帯障壁で置換される。
【0042】
図4Aは、低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオードについて、ダイオードを流れる電流を、ダイオードの両端の電圧の関数として示すグラフである。より具体的には、
図4Aは、本発明の実施形態による低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオードと、2つのクラスの従来技術のショットキーダイオード、すなわちリン化インジウム(InP)ショットキーダイオードおよびガリウム砒素(GaAs)ショットキーダイオードとの、ほぼ9μm
2(3μm×3μm)の表面積を有する3つの別々のダイオードに関して、ダイオード電圧Vd(ボルト)の関数としてのダイオード電流Id(アンペア)のグラフを示しており、電圧の直線状のプロットに対して電流は対数を用いてプロットされている。
【0043】
ターンオン電圧を、電流が少なくとも10
−6アンペアでの電圧として定義すると、9μm
2の表面積を有する本発明の実施形態は、約0.2ボルト未満のターンオン電圧を有することになる。ほぼ9μm
2の表面積を有する本発明の他の実施形態は、約0.1ボルト未満のターンオン電圧を有し、比較すると、従来技術のInPショットキーダイオードのターンオン電圧は約0.25ボルト以上高く、従来技術のGaAsショットキーダイオードのターンオン電圧は約0.5ボルト以上高い。
【0044】
このダイオードの障壁の高さは、材料と、接合を構成するカソード層およびアノード層の合金組成とを適切に変化させることによって調整され得る。1組の実施形態では、ダイオードの障壁の高さは、カソード層およびアノード層におけるアルミニウム(Al)およびガリウム(Ga)の相対的な存在を適切に変化させることによって調整され得る。一般に、従来技術の逆方向トンネルダイオードには、調整可能な障壁がない。従来技術のショットキーダイオードは、金属−半導体接合部における汚染または材料の不完全性に起因する表面状態により、調整するのが一般に困難である。
【0045】
図4Bは、低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオードについて、伝導帯の障壁の高さを、ダイオード構成の関数として示すグラフである。より具体的には、
図4Bには、表面積が約4μm
2(2μm×2μm)で、アノードがInGaAsから成り、カソードがInAlGaAsから成り、どちらの材料もInPに格子整合している低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオードに関して、伝導帯障壁の高さが、組成比xの関数として電子ボルト(eV)で示されており、組成比xの直線状のプロットに対して、障壁の高さが直線的にプロットされている。組成比xは、カソード層におけるアルミニウム(Al)原子の数とアルミニウム(Al)およびガリウム(Ga)の原子の合計数の比として定義される。x=Al/(Al+Ga)である。x=0であればカソードはInGaAsを含み、x=1であればカソードはInAlAsを含む。xの値が大きければ大きいほど、アルミニウムの存在が多く、障壁も高くなる。組成比に対して障壁の高さのプロットが変化していることから、調整可能であることが明白である。
【0046】
図4Aおよび
図4Bによって示されるように、本発明の実施形態は、非常に小さい、調整可能なショットキー障壁を有するショットキーダイオードであるかのように作用する。
【0047】
ショットキーダイオードを構成する半導体層および金属層は、別々のステップで製作されることがあり、その結果、それらの間の境界面には、かなりの濃度の汚染物質および欠陥が含まれる。この汚染がもたらす表面状態により、ダイオードの、障壁の高さおよび漏れ電流の再現および制御がかなり困難になり、したがって電気的特性の再現および制御も困難になる。
【0048】
本発明の実施形態は、従来技術に対してより大きな設計の融通性を提供する固定構成の障壁を用いる。本発明の実施形態によれば、低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオードの層は、単一の半導体エピタキシアル成長反応器の中で生成され得る。この製作方法により、接合汚染がかなり低減される。もたらされるダイオードは、まさに繰り返し製作することができる。本発明の実施形態によるエピタキシアル成長プロセスおよび素子製造プロセスは、従来技術の通常のショットキーダイオードに対して、はるかに簡単である。
【0049】
さらに、本発明の実施形態による接合容量は、従来技術の逆方向トンネルダイオードに関する70フェムトファラッド(70fF)以上の一般的な接合容量と比較して、一般に約10fF小さくなるはずである。
【0050】
図5は、低ターンオン電圧のユニポーラ・ダイオードを製作する方法500の流れ図である。方法500のステップの順番は、
図5に示されたもの、または以下の議論で説明されるものに制限されない。ステップのいくつかは、最終結果に影響を及ぼすことなく、別の順序で起こり得る。
【0051】
ブロック510で、基板上にサブカソード半導体層が生成される。次いで、制御が、ブロック510からブロック520に移る。
【0052】
ブロック520で、サブカソード層上に低ドープで広バンドギャップのカソード半導体層が生成される。次いで、制御が、ブロック520からブロック530に移る。
【0053】
ブロック530で、カソード層上に高ドープで狭バンドギャップのアノード半導体層が生成される。次いで、制御が、ブロック530からブロック540に移る。
【0054】
ブロック540で、カソード層を露出させるために、アノード層の一部分が除去される。次いで、制御が、ブロック540からブロック550に移る。
【0055】
ブロック550で、サブカソード層を露出させるために、カソード層の第2の部分が除去される。次いで、制御が、ブロック550からブロック560に移る。
【0056】
ブロック560で、サブカソード層の頂部上に金属カソード接触が配置される。次いで、制御が、ブロック560からブロック570に移る。
【0057】
ブロック570で、誘電体層が堆積される。次いで、制御が、ブロック570からブロック580に移る。
【0058】
ブロック580で、アノード層および金属カソード接触を露出させるために、誘電体層の一部分が除去される。次いで、制御が、ブロック580からブロック590に移る。
【0059】
ブロック590で、アノード層上に金属アノード接触が配置される。次いで、制御が、ブロック590からブロック592に移る。
【0060】
ブロック592で、カソード接触上に第1の金属相互接続が形成され、ダイオードへの接続が可能になる。次いで、制御が、ブロック592からブロック595に移る。
【0061】
ブロック595で、アノード接触上に第2の金属相互接続が形成され、ダイオードへの接続が可能になる。結果として、接合が、伝導帯における電子障壁を生成し、この障壁は、ダイオードの低ターンオン電圧をもたらすように構成される。次いで、ブロック595でプロセスが終結する。
【0062】
あるいは、本発明の実施形態は、p
+の狭バンドギャップのカソード半導体層、広バンドギャップのアノード半導体層、およびp
+のサブアノード半導体層を含んでよい。実施形態のこの組によれば、伝導帯における電子障壁の代わりに、価電子帯において正孔障壁が生成される。実施形態のこの代替の組の動作および利点は、上記で説明された実施形態の組の動作および利点と同等である。
【0063】
上記の代表的な実施形態が、例示的構成において特定の構成要素を用いて説明されてきたが、別の構成および/または別の構成要素を用いて他の代表的な実施形態を実施し得ることが、当業者には理解されよう。例えば、本発明の機能を実質的に損なうことなく、特定の製造ステップの順番および特定の構成要素を変更し得ることが当業者には理解されよう。
【0064】
例えば、金属アノード接触を配置する製造ステップは、代わりに、金属アノード接触のうちの1つをアノード半導体層に自己整合させるステップを伴ってもよい。別の実例として、金属アノード接触を配置する製造ステップは、金属相互接続への片持ち梁をさらに設けてもよい。別の実例として、金属相互接続を配置する製造ステップは、サブカソード半導体領域の上に空中連絡路をさらに設けてもよい。別の実例として、この素子は、アノード層を最下層とし、サブカソード層を最上層として備えてもよく、本発明の機能を実質的に損なうことなく、それに応じて製作され得る。
【0065】
本明細書では、代表的な実施形態および開示された対象が詳細に説明され、実例および説明図として示されており、限定するものではない。説明された実施形態の形式および細部において、添付の特許請求の範囲の範囲内にとどまる等価な実施形態をもたらす、さまざまな変更が行なわれ得ることが、当業者には理解されよう。そのうえ、製造の詳細は単なる例示であり、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義される。