特許第6193851号(P6193851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6193851-太陽電池用の伝導性基材 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193851
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】太陽電池用の伝導性基材
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20170828BHJP
   H01L 31/0749 20120101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01L31/04 260
   H01L31/06 460
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-517882(P2014-517882)
(86)(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公表番号】特表2014-523124(P2014-523124A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】FR2012051450
(87)【国際公開番号】WO2013001222
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年4月17日
(31)【優先権主張番号】1155712
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク クラボ
(72)【発明者】
【氏名】マチュー ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】シャルル レイデル
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト ライテンベルク
(72)【発明者】
【氏名】デルフィーヌ デュプイ
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−200418(JP,A)
【文献】 特開2001−172052(JP,A)
【文献】 特開2001−265250(JP,A)
【文献】 特表2004−532501(JP,A)
【文献】 特開平08−222750(JP,A)
【文献】 特開2007−059484(JP,A)
【文献】 特表2011−501455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/056
C03C 17/22−17/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を具備する太陽電池用伝導性基材:
アルカリイオンを含む誘電性基材(1);
前記基材(1)に形成されている、少なくとも20nmで最大で500nmの厚みを有するモリブデン系層を含む電極コーティング(4)であって、ここで前記伝導性基材は、前記基材(1)上に形成されており、かつ前記基材(1)と前記電極コーティング(4)との間に位置する複数の層の積層体を含み、この積層体は、以下を含む:
前記基材(1)上に形成されている、アルカリ不透過性の第一層(2A);
前記アルカリ不透過性の第一層(2A)上に形成されており、かつ前記アルカリ不透過性の第一層(2A)の材料以外の材料で作製されている、アルカリ保持層(2B)、ここで前記アルカリ保持層(2B)の、前記アルカリ不透過性の第一層(2A)に対する厚みの比は、2以上である;
前記アルカリ保持層(2B)上に形成されており、かつ前記アルカリ保持層(2B)の材料以外の材料で作製されている、アルカリ不透過性の第二層(2A’)。
【請求項2】
前記アルカリ保持層(2B)の、前記アルカリ不透過性の第一層(2A)に対する厚みの比が、3以上である、請求項1に記載の伝導性基材。
【請求項3】
前記アルカリ不透過性の第一層(2A)が、30nm以下の厚みを有する、請求項1又は2に記載の伝導性基材。
【請求項4】
前記アルカリ保持層(2B)が、60nm以下の厚みを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の伝導性基材。
【請求項5】
前記アルカリ保持層(2B)の前記アルカリ不透過性の第二層(2A’)に対する厚みの比が、2以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の伝導性基材。
【請求項6】
前記アルカリ不透過性の第二層(2A’)が、30nm以下の厚みを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の伝導性基材。
【請求項7】
前記アルカリ不透過性の第一層(2A)と、前記アルカリ不透過性の第二層(2A’)とが、1つの同じ材料で作られている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の伝導性基材。
【請求項8】
アルカリ不透過性の各層(2A,2A’)が、窒化ケイ素又は窒化アルミニウムに基づいている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の伝導性基材。
【請求項9】
アルカリ保持層(2B)が、酸化ケイ素又は酸化スズに基づいている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の伝導性基材。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の伝導性基材、及び前記基材上に形成されている光吸収剤の層(6)を含む半導体デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体デバイスを含む、太陽電池。
【請求項12】
以下を本質とする工程を含む、伝導性基材の製造方法:
−アルカリを含む誘電性基材(1)上にアルカリ不透過性の第一層(2A)を形成する工程;
−前記アルカリ不透過性の第一層(2A)上にアルカリ保持層(2B)を形成する工程、ここで前記アルカリ保持層(2B)の前記アルカリ不透過性の第一層(2A)に対する厚みの比は2以上であり、かつ前記アルカリ保持層(2B)は、前記アルカリ不透過性の第一層(2A)以外の材料で作られる;
−前記アルカリ保持層上(2B)に、アルカリ不透過性の第二層(2A’)を形成する工程、これは前記アルカリ保持層(2B)以外の材料で作られる;
−前記アルカリ不透過性の第二層(2A’)上に、少なくとも20nmで最大で500nmの厚みを有するモリブデン系層を含む電極コーティング(4)を形成する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の分野に関し、より特定的には薄膜太陽電池を製造するために用いるモリブデン系伝導性基材の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、知られているように、第二世代と言われるいくつかの薄膜太陽電池は、通常銅Cu、インジウムIn、並びにセレンSe、及び/又は硫黄Sの黄銅鉱で通常は作製される吸収剤層でコーティングした、モリブデン系伝導性基材を用いる。例えば、吸収剤は、CuInSeタイプの材料であってもよい。この種の材料は、略語CISとして知られる。また、CIGSであってもよく、すなわちさらにガリウムを含む材料であってもよい。
【0003】
この種の用途について、電極は、通常、モリブデンMoに基づいている。これは、この材料が多数の利点を示すからである。この材料は、良好な電導体である(10μΩ.cmオーダーの比較的低い比抵抗)。また、この材料が高融点(2,610℃)であるため、必要な高熱処理にさらすことができる。この材料は、セレン及び硫黄に対して、ある程度まで、良い抵抗性を示す。吸収剤層の堆積では、通常、セレン又は硫黄を含む雰囲気との接触を必要とするが、これは多くの金属を損傷させる傾向を与える。モリブデンは、特にセレンとその表面で反応し、MoSeを形成するが、その性質の多く、特に電気的な性質の多くを維持し、CIS層又はCIGS層との適切な電気的接触を保持する。最後に、モリブデンは、CIS層によく付着する材料であり、その結晶の成長を促進させる傾向さえある。
【0004】
しかし、モリブデンは、産業的な生産を考えたときに、大きな障害がある。すなわち、高価な材料である。これは、モリブデン層を、通常(磁界で促進された)カソードスパッタリングによって堆積するためである。実際に、モリブデンターゲットは高価である。所望のレベルの導電率(すなわち、S又はSeを含む雰囲気において処理した後、2Ω/□以下、好ましくは1Ω/□以下、又は0.5Ω/□以下の表面抵抗(resistance per square))を得るために、一般的に700nm〜1μmのオーダーの比較的厚いモリブデン層が必要とされるので、このことは非常に重要である。
【0005】
サン−ゴバン グラス フランスによる特許文献1は、比較的薄いモリブデン層の提供、及び続く熱処理の間にモリブデン層の質を保持するための、基材とモリブデン層との間のアルカリ不透過性の1以上の層の提供を教示している。
【0006】
しかし、この種類の伝導性基材は、未だに比較的高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第02/065554号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、製造コストが比較的低い、新規なモリブデン系伝導性基材を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するための、本発明の主題は、以下を具備する太陽電池用伝導性基材である:
アルカリイオンを含む誘電性基材;
上記基材に形成されている、モリブデン系層を含む電極コーティング、
ここで、上記伝導性基材は、上記基材上に形成されており、かつ上記基材と電極コーティングとの間に挿入されている複数の層の積層体を含み、この積層体は、以下を含む:
基材上に形成されている、アルカリ不透過性(すなわち、アルカリイオン不透過性)の第一層;
上記アルカリ不透過性の第一層に形成されており、かつ上記アルカリ不透過性の第一層の材料以外の材料で作製されている、アルカリ保持層、ここで上記アルカリ保持層の、上記アルカリ不透過性の第一層に対する厚みの比が、2以上であり;
上記アルカリ保持層に形成されており、かつ上記アルカリ保持層の材料以外の材料で作製されている、アルカリ不透過性(すなわち、アルカリイオン不透過性)の第二層。
【0010】
このような積層体は、伝導性基材の熱処理の間の、特に黄銅鉱系吸収剤の堆積の間の、有効なアルカリバリア(すんわち、アルカリイオンバリア)を与えることができる。
【0011】
いくつかの材料が、2つの理由で、アルカリ金属の上部層への移動を妨げることが分かった。
【0012】
「アルカリ不透過性」と言われるいくつかの材料に、アルカリ金属イオンが浸透することは困難であり、この理由で、これらの材料は上部層へのアルカリ金属の移動を妨げることが分かった。「アルカリ保持」と本明細書で言われる他の材料が、アルカリイオンを蓄える役割を果たし、そしてこれも上部層へのアルカリ金属の移動を妨げる。
【0013】
この積層体は、保持層を2つの不透過性層との間に位置させることによって、不透過性層と保持層とを好適に組み合わせている。これにより、アルカリイオンが第一の不透過性層を通過しても、特に、第二の不透過性層が保持層からアルカリイオンが出る可能性を大幅に制限するため、それらは保持層で大部分が捕捉される。
【0014】
Si/SiO/Si積層体を用いる特許文献1でのような、光学用途に最適化される積層体とは対照的に、本発明での層は、同じ厚みを有するように選択されない。
【0015】
積層体の保持層は、保持層が上に堆積している不透過性層の厚みの、少なくとも2倍の厚みを有する。これは、実質的に保持層の厚みのみが、積層体のアルカリバリア特性に顕著な有効性を持つということが分かったからである。したがって、積層体は、上層へのアルカリイオンの移動を防ぐのに特によく適しており、これは比較的低いコストで達成される。
【0016】
この積層体の作用によって、基材からのアルカリの移動は、大きく制限され、そしてモリブデン系層の品質が保持される。
【0017】
アルカリイオンの作用によって損傷を受けるリスクがないため、薄いモリブデン系層、例えば30nmの薄いモリブデン系層を与えることができ、電極コーティングのコストを比較的低くすることができる。
【0018】
さらに、特許文献1で説明されているように、モリブデン層の厚みを低下させることは、他の利点を発揮する:厚い層で起こりうる層剥離の問題を起こさずに、比較的高い歪みを有する層をもたらす堆積パラメーターを用いるカソードスパッタリングで、これらの比較的薄い層を堆積することを可能とする。また、ピンホールとして知られる欠陥が薄い層では少なくなる傾向にある。
【0019】
このような積層体を与えることで、基材として、フロートプロセスによって得られるソーダ−ライム−シリカ型のガラスシートを用いることができる。このガラスは、比較的安く、この種の材料について知られている全ての品質、例えばその透明性、水に対する不透過性及び硬度を示す。
【0020】
特定の実施態様によれば、上記のデバイスは、次の技術的特徴の1以上を、個々に又は技術的に可能な全てを組み合わせて、さらに有する:
−アルカリ保持層のアルカリ不透過性の第一層に対する厚みの比は、3以上である;
−アルカリ不透過性の第一層は、3nm以上、例えば5nm以上の厚みを有する;
−アルカリ不透過性の第一層は、30nm以下、例えば20nm以下、又は例えば15nm以下の厚みを有する;
−アルカリ保持層は、20nm以上、例えば25nm以上の厚みを有する:
−アルカリ保持層は、60nm以下、例えば40nm以下、又は例えば35nm以下の厚みを有する:
−アルカリ保持層は、アルカリ不透過性の第一層と接触している;
−アルカリ保持層のアルカリ不透過性の第二層に対する厚みの比は、2以上、例えば3以上である;
−アルカリ不透過性の第二層は、3nm以上、例えば5nm以上の厚みを有する;
−アルカリ不透過性の第二層は、30nm以下、例えば20nm以下、又は例えば15nm以下の厚みを有する;
−アルカリ不透過性の第二層は、アルカリ保持層と接触している;
−アルカリ不透過性の第一層と、アルカリ不透過性の第二層とは1つの同じ材料で作られている;
−上記積層体は、アルカリ不透過性の第一層、アルカリ保持層、及びアルカリ不透過性の第二層のみを含む;
−上記積層体は、アルカリ不透過性の第二層の上に形成されている第二のアルカリ保持層を有し、この積層体は、第二のアルカリ保持層の上に形成されているアルカリ不透過性の第三層を有する;
−第二のアルカリ保持層のアルカリ不透過性の第二層に対する厚みの比は、2以上、例えば3以上である;
−第二のアルカリ保持層のアルカリ不透過性の第三層に対する厚みの比は、2以上、例えば3以上である;
−アルカリ不透過性の各層は、窒化ケイ素に基づく;
−アルカリ保持層の層又は各層は、酸化ケイ素、又は酸化スズ、例えば亜鉛とスズとの複合酸化物に基づく;
−モリブデン系層は、少なくとも20nmの厚みを有し、例えば少なくとも50又は80nmの厚みを有する;
−モリブデンMo系層は、最大で500nm、例えば最大で400nm、例えば最大で300nm、又は例えば最大で200nmの厚みを有する。
【0021】
本発明の他の1つの主題は、上述の伝導性基材、及びその伝導性基材に形成されている光吸収剤の層、例えば黄銅鉱系の光吸収剤の層を含む半導体デバイスである。
【0022】
さらなる本発明の主題は、上記の半導体デバイスを含む太陽電池である。
【0023】
本発明の更なる主題は、以下の工程を本質とする、伝導性基材の製造方法である:
−アルカリを含む誘電性基材上にアルカリ不透過性の第一層を形成する工程;
−アルカリ不透過性の第一層上にアルカリ保持層を形成する工程、ここでアルカリ保持層のアルカリ不透過性の第一層に対する厚みの比は2以上であり、かつアルカリ保持層は、アルカリ不透過性の第一層以外の材料で作られている;
−アルカリ保持層上にアルカリ不透過性の第二層を形成する工程、これはアルカリ保持層以外の材料で作られている;
−アルカリ不透過性の第二層上にモリブデン系層を含む電極コーティングを形成する工程。
【0024】
特定の実施態様によれば、上記の方法は、次の技術的特徴の1以上を、個々に又は技術的に可能な全てを組み合わせて、さらに有する:
−アルカリ保持層のアルカリ不透過性の第一層に対する厚みの比は、3以上である;
−アルカリ不透過性の第一層は、3nm以上、例えば5nm以上の厚みを有する;
−アルカリ不透過性の第一層は、30nm以下、例えば20nm以下、又は例えば15nm以下の厚みを有する;
−アルカリ保持層は、20nm以上、例えば25nm以上の厚みを有する:
−アルカリ保持層は、60nm以下、例えば40nm以下、又は例えば35nm以下の厚みを有する:
−アルカリ保持層は、アルカリ不透過性の第一層上に直接形成される;
−アルカリ保持層のアルカリ不透過性の第二層に対する厚みの比は、2以上、例えば3以上である;
−アルカリ不透過性の第二層は、3nm以上、例えば5nm以上の厚みを有する;
−アルカリ不透過性の第二層は、30nm以下、例えば20nm以下、又は例えば15nm以下の厚みを有する;
−アルカリ不透過性の第二層は、アルカリ保持層上に直接形成される;
−アルカリ不透過性の第一層と、アルカリ不透過性の第二層とは1つの同じ材料で作られる;
−アルカリ不透過性の第一層、アルカリ保持層、及びアルカリ不透過性の第二層のみが、電極コーティングの形成前に、特にモリブデン系層の形成前に、基材上に形成される;
−この方法が、アルカリ不透過性の第二層の上に第二のアルカリ保持層を形成することに本質を有する工程、及び第二のアルカリ保持層の上にアルカリ不透過性の第三層を形成することに本質を有する工程を含む;
−第二のアルカリ保持層のアルカリ不透過性の第二層に対する厚みの比は、2以上、例えば3以上である;
−第二のアルカリ保持層のアルカリ不透過性の第三層に対する厚みの比は、2以上、例えば3以上である;
−アルカリ不透過性の各層は、窒化ケイ素に基づく;
−アルカリ保持層の層又は各層は、酸化ケイ素、又は酸化スズ、例えば亜鉛とスズとの複合酸化物に基づく;
−モリブデン系層は、少なくとも20nmの厚みを有し、例えば少なくとも50又は80nmの厚みを有する;
−モリブデンMo系層は、最大で500nm、例えば最大で400nm、例えば最大で300nm、又は例えば最大で200nmの厚みを有する。
【0025】
例示のみを与えている図面を参照し、以下の記載を読むことで、本発明の良好な理解が得られるであろう。
【0026】
図面は、明快な表示のためであって、縮尺を与えるものではない。特に、基材と堆積する層の厚みの違いは、例えば500倍程度となっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】伝導性基材の断面の概略図である。
図2図1の伝導性基材を含む太陽電池を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
太陽電池用の伝導性基材を、図1に示す。この伝導性基材は、以下を含む:
ガラス製の誘電性基材1;
基材1上に形成されているアルカリバリア積層体2;
アルカリバリア積層体2上に形成されているモリブデン系電極コーティング4。
【0029】
用語「層B上に形成(又は堆積)されている層A」は、本明細書を通じて、層B上に直接形成され、そして層Bと接触している層A;又は層Aと層Bとの間に1以上の層を挿入して層Bの上に形成されている層A;のいずれかを意味しているものと理解される。
【0030】
さらに、明細書を通じて、用語「…を含む(有する)」とは、当然に、「少なくとも1つの…を含む(有する)」として理解される。
【0031】
図示されているアルカリバリア積層体2は、次の3つの層のみを含む:
−ガラス基材1上に直接形成されている、アルカリ不透過性の第一の層2A;
−アルカリ不透過性の第一の層2A上に直接形成されている、アルカリ保持層2B;
−アルカリ保持層2B上に直接形成されている、アルカリ不透過性の第二の層2A’。
【0032】
しかし、別の形態では、アルカリバリア積層体2は、3超の層を含む。例えば、積層体が、アルカリ不透過性の層とアルカリ保持層とを好ましくは交互に有する奇数の層を含む。
【0033】
他の1つの別の形態では、第一の不透過性層2Aは、ガラス基材1上に直接には堆積されない。
【0034】
さらに、他の層を、アルカリバリア積層体の層間に挿入することができる点に留意すべきである。
【0035】
したがって、通常、アルカリバリア積層体は、次を含む:
−ガラス基材1上に形成されている、アルカリ不透過性の第一の層2A;
−アルカリ不透過性の第一の層2A上に形成されている、例えばアルカリ不透過性の第一の層2A上に直接形成されている、アルカリ保持層2B;
−アルカリ保持層2B上に形成されている、例えばアルカリ保持層2B上に直接形成されている、アルカリ不透過性の第二の層2A’
【0036】
本明細書を通じて、「層を含む(有する)」は、「1以上の層を含む(有する)」と理解されるべきである。
【0037】
アルカリ保持層2Bは、アルカリ不透過性の第一の層2Aの材料以外の材料で形成される。さらに、アルカリ保持層2Bのアルカリ不透過性の第一層2Aに対する厚みの比は、2以上、例えば3以上である。
【0038】
用語「アルカリ不透過性」は、本明細書を通じて、アルカリ不透過性の材料で構成されている層、すなわちアルカリ金属イオンが透過することが困難な材料で構成されている層を意味するものと理解され、また用語「アルカリ保持層」は、アルカリを保持する材料で構成されている層、すなわちアルカリイオンをその材料内に保持する性能を有する材料で構成されている層を意味するものと理解される。
【0039】
以下の二つの試験では、これらの材料を記載する。
【実施例】
【0040】
・アルカリ不透過性材料及びアルカリ保持材料の試験
Cガラスと表わされる、ナトリウムイオンの重量濃度が少なくとも5%である、2mmの最小厚みを有するガラス基材を用いる。この試験材料を、この基材に100nmの厚みで直接堆積させる。
【0041】
この組合せ体を続いて、空気中で約1atmの圧力で、30分間600℃でアニールする。
【0042】
アニール後に、ナトリウムイオンの重量濃度を、SIMS(二次イオン質量分析)法によって、この層中の50nmの深さで測定する。これをC50と表わす。この濃度を、上記保持材料の試験用については、アニール前の標準サンプルについても測定する。これもC50と表わす。
【0043】
アルカリ不透過性材料の試験では、アニール後にC50/Cガラス≦0.001の場合に合格である。
【0044】
アルカリ保持材料の試験では、アニール前にC50/Cガラス≦0.001であり、そしてアニール後にC50/Cガラス≧0.3の場合に合格である。
【0045】
例えば、ナトリウムイオンの濃度を測定するために、SIMS測定を次のパラメーターを用いて実行することができる:
−Cs原子との摩擦(エネルギー=3keV);
−Ga原子での解析(エネルギー=15keV)。
【0046】
上記の測定方法は、例として与えられている。別の形態では、ナトリウムイオンの重量濃度の解析方法は、任意の適切な方法である。
【0047】
アルカリ不透過性材料は、例えば、窒化ケイ素又は窒化アルミニウムで作製される。
【0048】
アルカリ保持材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化スズ、又は酸化亜鉛が少量成分であるスズ及び亜鉛の複合酸化物で作製される。
【0049】
上記の窒化物及び酸化物は、それぞれ窒素及び酸素について、準化学量論的、化学量論的、又は過化学量論的であってもよいということに留意すべきである。
【0050】
アルカリ保持層及び/又はアルカリ不透過性層を、特にこの層をマグネトロン堆積する場合には、例えばアルミニウム等の金属でドープする。
【0051】
アルカリバリア積層体の全てのアルカリ不透過性層及び全てのアルカリ保持層について、それぞれ同じ材料を用いてもよい。
【0052】
アルカリ不透過性の第一層2Aは、例えば3nm以上の厚みを有し、例えば5nm以上の厚みを有し、かつ30nm以下の厚みを有し、20nm以下の厚みを有し、15nm以下の厚みを有する。
【0053】
アルカリ保持層2Bは、例えば20nm以上の厚みを有し、例えば25nm以上の厚みを有し、かつ60nm以下の厚みを有し、40nm以下の厚みを有し、35nm以下の厚みを有する。
【0054】
アルカリ不透過性の第二層2A’は、例えば3nm以上の厚みを有し、例えば5nm以上の厚みを有し、かつ30nm以下の厚みを有し、20nm以下の厚みを有し、15nm以下の厚みを有する。
【0055】
別の形態では、アルカリバリア積層体は、少なくとも2つの追加層、すなわちアルカリ不透過性の第二層上に形成された第二のアルカリ保持層、例えばアルカリ不透過性の第二層の直接上に形成された第二のアルカリ保持層、及び第二のアルカリ保持層上に形成されたアルカリ不透過性の第三層、例えば第二のアルカリ保持層の直接上に形成されたアルカリ不透過性の第三層を有する。
【0056】
第二のアルカリ保持層は、例えば20nm以上の厚みを有し、例えば25nm以上の厚みを有し、かつ60nm以下の厚みを有し、40nm以下の厚みを有し、35nm以下の厚みを有する。
【0057】
アルカリ不透過性の第三層は、例えば3nm以上の厚みを有し、例えば5nm以上の厚みを有し、かつ30nm以下の厚みを有し、20nm以下の厚みを有し、15nm以下の厚みを有する。
【0058】
伝導性基材の他の部分を以下に記載する。
【0059】
電極コーティング4は、特に、少なくとも1つのモリブデン系層を含む。例えば、電極コーティングは、特許文献1に記載されている。
【0060】
明細書を通じて、用語「電極コーティング」は、電子を伝導する少なくとも1つの層、すなわち電子の移動度で定義される伝導率を有する少なくとも1つの層を含む、電流輸送コーティングを意味するものと理解される点に留意すべきである。
【0061】
明細書を通じて、「モリブデン系」は、実質的な量のモリブデンで構成されている材料、すなわちモリブデンのみで構成されている材料(したがって、金属)、モリブデンを主に含む金属合金、モリブデン系の化合物、例えば二硫化モリブデン、二セレン化モリブデン、二硫化モリブデン、二セレン化化合物Mo(S,Se)、又は酸化モリブデン、窒化モリブデン若しくは酸窒化モリブデンMo(O,N)を意味しているものと理解される。
【0062】
通常、表記(S,Se)は、SSe1−x(0≦x≦1)の混合物を示す。
【0063】
例として、電極コーティング4は、図1及び図2に示されるように、例えば1層のみを含む。この層は、モリブデンで作製されており、300nm〜500nmの厚みを有し、例えば300nm〜450nmの厚みを有する。
【0064】
明細書を通じて、「1層のみ」は、1つの同じ材料で作られている1層を意味するものと理解される。しかし、この単一層は、特許文献1に記載されたような、特徴付けることができる界面がその間に存在する、1つの同じ材料の複数の層の重ね合せによって得ることもできる。
【0065】
通常は、マグネトロン堆積チャンバー中で、複数のターゲットによって、1つの同じ材料の複数の層を、誘電性基材上に連続して形成するであろう。これによって、最終的に、同じ材料の、すなわちモリブデンの1層のみを形成する。
【0066】
別の形態では、電極コーティング4が複数の導電層を含む場合、例えば、コーティング4の上部層をモリブデン層として、電極コーティング4にセレン化に対する抵抗を与える。そして、モリブデンで作製された上部層を、薄くすることができ、例えば50nm以下の厚みにすることができる。
【0067】
誘電性基材1、アルカリバリア積層体2、及び電極コーティング4で形成された伝導性基材は、光源に対して光活性層の背面に位置すること、すなわち光活性層の後に入射光を受光することが意図される。したがって、これは背面伝導性基材である。
【0068】
誘電性基材1は、例えばガラスの性能を有するシートである。しかし、別の形態では、これは透明ではない。
【0069】
このシートは、平坦であってもよく、凸面であってもよい。また、任意の寸法を有していてもよく、特に少なくとも1つの寸法が1メートル超であってもよい。
【0070】
これは有利には、ガラスシートである。
【0071】
このガラスは、クリア(clear)又はエクストラ−クリア(extra−clear)であってもよく、あるいは、例えばブルー、グリーン、アンバー、ブロンズ、若しくはグレーに着色されていてもよい。
【0072】
ガラスシートの厚みは、典型的には0.5〜19mmの間であり、特に2〜12mmの間であり、実際には4〜8mmでもよい。また、50μm以上の厚みを有するガラスフィルムであってもよい(この場合、バリア積層体及び電極コーティングを、例えばロールツーロールプロセスで堆積する)。
【0073】
一般的には、この基材は、任意の適切な種類であり、アルカリ、例えばナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含む。この基材は、例えばソーダ−ライム−シリカガラスである。
【0074】
ソーダ−ライム−シリカ型のガラスを、フロートガラスプロセスによって得ることができる。したがって、これは、比較的安く、この種の材料について知られている全ての品質、例えばその透明性、水に対する不透過性及び硬度を示すガラスである。
【0075】
用語「ソーダ−ライム−シリカ型」は、その組成に、シリカ(SiO)を形成酸化物として含み、かつナトリウムの酸化物(ソーダ、NaO)及びカルシウムの酸化物(ライム、CaO)を含むガラスであると理解される。この組成は、好ましくは次の構成成分を、以下に規定される重量制限内で様々となる含有量で含む:
SiO:60〜75%
:0〜5%、好ましくは0
CaO:5〜15%
MgO:0〜10%
NaO:5〜20%
O:0〜10%
BaO:0〜5%、好ましくは0。
【0076】
別の形態では、これはソーダ−ライム−シリカガラスではない。
【0077】
一般的に、誘電性基材は、少なくとも5重量%のNaOを示す構成成分の組成を有するシリカ系ガラスで作製される。
【0078】
本発明の他の1つの主題は、上述の伝導性基材の製造方法である。
【0079】
この方法は、次の工程を本質として含む:
−誘電性基材1上にアルカリ不透過性の第一層2Aを形成する工程;
−アルカリ不透過性の第一層2A上に、例えばアルカリ不透過性の第一層2Aの直接上に、アルカリ保持層2Bを形成する工程、ここでアルカリ保持層2Bのアルカリ不透過性の第一層2Aに対する厚みの比は2以上であり、かつアルカリ保持層2Bは、アルカリ不透過性の第一層2A以外の材料で作られている;
−アルカリ保持層2B上に、例えばアルカリ保持層2B上の直接上に、アルカリ不透過性の第二層2A’を形成する工程、これはアルカリ保持層2B以外の材料で作られている;
−アルカリ不透過性の第二層2A’上に、例えばアルカリ不透過性の第二層2A’の直接上に、モリブデン系層を含む電極コーティング4を形成する工程。
【0080】
本発明の他の1つの主題は、上述の伝導性基材、及びその伝導性基材に形成されている光吸収剤の層、例えば黄銅鉱系の光吸収剤の層を含む半導体デバイスである。
【0081】
これは、例えば、銅Cu、インジウムIn、並びにセレンSe、及び/又は硫黄の黄銅鉱の層である。これは、例えばCuInSe(CIS)型の材料であってもよい。これは、またさらにガリウムを含む材料(CIGS)となることができる。
【0082】
通常、これは、伝導性基材への吸収剤の堆積中又は堆積前にアルカリイオンを添加することによって形成される吸収剤の層である。米国特許第5,626,688号は、この種の方法を記載している。
【0083】
吸収剤へのアルカリイオンの拡散を防ぐアルカリバリア積層体の存在との組合せで、このような方法は、吸収剤の層へのアルカリイオンの精確な添加を可能とする利点を示す。
【0084】
本発明の他の1つの主題は、上記の半導体デバイスを含む太陽電池である。伝導性基材は、光源に対して光活性層の背部に位置すること、すなわち光活性層の後に入射光が通過することが意図される。
【0085】
例えば、図2に示すように、このセルは以下を含む:
−上記の伝導性基材;
−モリブデン系層を含む電極コーティング4に直接形成されている、p型のCu(In,Ga)Seのドーピング層6;
−Cu(In,Ga)Seの層上に形成されており、例えばCdSで構成されている、緩衝層と呼ばれる、n型のドーピング層8;
−例えばZnO:Alである透明電極コーティング10、ここで、この透明電極コーティング10と緩衝層との間に、例えば真性の(intrinsic)ZnOの保護層12の挿入があってもよい。
【0086】
しかし、別形態では、このセルは、緩衝層を含まず、これはCu(In,Ga)Seの層が、それ自身でp−nホモ接合となることが可能であることに留意すべきである。
【0087】
他の1つの形態では、光吸収剤の層は、Cu(Sn,Zn)(S,Se)の式の黄錫亜鉛鉱(kesterite)又は黄錫鉱(stannite)に基づく層、又は金属化合物のセレン化のみによって形成されている必要はないが、例えば硫黄化によっても形成されている黄銅鉱に基づく層、例えばCu(In,Ga)(S,Se)型の層。
【0088】
通常、p型の層又はp−nホモ接合を含む層の光活性層は、アルカリ元素の添加によって得られる。別形態では、緩衝層16は、例えばIn、Zn(O,S)、又はZnMgOである。
【0089】
透明電極コーティング18は、別形態では、ガリウム若しくはホウ素でドーピングされている酸化亜鉛の層、又はITO層を含む。一般的に、これは、任意の適切な種類の透明導電性材料(TCO)となる。
【0090】
良好な電気的接触及び良好な伝導率のために、続いて、金属グリッドを透明電極コーティング10に、例えばマスクを通じて、例えば電子ビームによって、随意に堆積してもよい(図2に示していない)。例えば、これは、例えば約2μmの厚みを有するAl(アルミニウム)グリッドに、例えば50nmの厚みを有するNi(ニッケル)グリッドを、Al層を保護するために堆積させたものである。
【0091】
セルを続いて保護する。このために、セルは、例えば図示するように正面電極コーティング10を覆い、かつ熱硬化性プラスチック製の積層中間層14によって基材1に積層される対向基材1’を含んでもよい。これは、例えばEVA製、PU製、又はPVB製の積層中間層である。
【0092】
本発明の他の1つの主題は、上記の半導体デバイス及び太陽電池の製造方法であり、これは、光吸収剤の層の形成工程を含む。
【0093】
光吸収剤の層の形成工程は、セレン系ガス及び/又は硫黄系ガスを含む雰囲気中で、300℃超の温度で実行されるセレン化及び/又は硫黄化の工程を含む。
【0094】
吸収剤の層は、例えば次の方法で形成されるCIGS層である。
【0095】
Cu、In、及びGaに基づく金属積層体を、スパッタリングによって、常温で電極コーティング6上に堆積し、続いてセレン系雰囲気中で、高温、例えば約600℃でセレン化する。
【0096】
アルカリイオンは、例えば、電極コーティング4上に、セレン化ナトリウム(NaSe)の層の堆積によって導入されており、そして、例えば2×1015のナトリウム原子/cmの水準で導入されている。
【0097】
セレン化ナトリウムのこの層の上に金属積層体を堆積する。
【0098】
例えば、金属積層体は、Cu/In/Ga/Cu/In/Ga...型の多層構造を有する。しかし、別の形態では、これは、Cu−Ga/In合金型の2層構造、又はCu/In/Ga型の3層を含む。
【0099】
例えば、セレン層を、続いて熱蒸着によって金属積層体に堆積する。
【0100】
続いて、金属積層体を、例えばS又はHS等のガス状の硫黄で構成されている雰囲気中で、少なくとも300℃、例えば400℃、例えば600℃で加熱して、そしてCu(In,Ga)(S,Se)の層を形成する。
【0101】
別の形態では、セレン化を、セレンの層を堆積させずに、硫黄を富化した雰囲気にさらす前に、Se又はHSeに基づくガス状のセレンを含む雰囲気によって行う。
【0102】
硫黄化工程は、緩衝層なしで、例えばCdSなしで、随意に行うことができる。
本発明の態様としては、以下の態様を挙げることができる:
《態様1》
以下を具備する太陽電池用伝導性基材:
アルカリイオンを含む誘電性基材(1);
前記基材(1)に形成されている、モリブデン系層を含む電極コーティング(4)であって、ここで前記伝導性基材は、前記基材(1)上に形成されており、かつ前記基材(1)と前記電極コーティング(4)との間に位置する複数の層の積層体を含み、この積層体は、以下を含む:
前記基材(1)上に形成されている、アルカリ不透過性の第一層(2A);
前記アルカリ不透過性の第一層(2A)上に形成されており、かつ前記アルカリ不透過性の第一層(2A)の材料以外の材料で作製されている、アルカリ保持層(2B)、ここで前記アルカリ保持層(2B)の、前記アルカリ不透過性の第一層(2A)に対する厚みの比は、2以上である;
前記アルカリ保持層(2B)上に形成されており、かつ前記アルカリ保持層(2B)の材料以外の材料で作製されている、アルカリ不透過性の第二層(2A’)。
《態様2》
前記アルカリ保持層(2B)の、前記アルカリ不透過性の第一層(2A)に対する厚みの比が、3以上である、態様1に記載の伝導性基材。
《態様3》
前記アルカリ不透過性の第一層(2A)が、30nm以下、例えば20nm以下、又は例えば15nm以下の厚みを有する、態様1又は2に記載の伝導性基材。
《態様4》
前記アルカリ保持層(2B)が、60nm以下、例えば40nm以下、又は例えば35nm以下の厚みを有する、態様1〜3のいずれか一項に記載の伝導性基材。
《態様5》
前記アルカリ保持層(2B)の前記アルカリ不透過性の第二層(2A’)に対する厚みの比が、2以上、例えば3以上である、態様1〜4のいずれか一項に記載の伝導性基材。
《態様6》
前記アルカリ不透過性の第二層(2A’)が、30nm以下、例えば20nm以下、又は例えば15nm以下の厚みを有する、態様1〜5のいずれか一項に記載の伝導性基材。
《態様7》
前記アルカリ不透過性の第一層(2A)と、前記アルカリ不透過性の第二層(2A’)とが、1つの同じ材料で作られている、態様1〜6のいずれか一項に記載の伝導性基材。
《態様8》
アルカリ不透過性の各層(2A,2A’)が、窒化ケイ素又は窒化アルミニウムに基づいている、態様1〜7のいずれか一項に記載の伝導性基材。
《態様9》
アルカリ保持層(2B)の前記層又は各層が、酸化ケイ素、又は酸化スズ、例えば亜鉛とスズとの複合酸化物に基づいている、態様1〜8のいずれか一項に記載の伝導性基材。
《態様10》
態様1〜9のいずれか一項に記載の伝導性基材、及び前記基材上に形成されている光吸収剤の層(6)、例えば黄銅鉱系の層を含む半導体デバイス。
《態様11》
態様10に記載の半導体デバイスを含む、太陽電池。
《態様12》
以下を本質とする工程を含む、伝導性基材の製造方法である:
−アルカリを含む誘電性基材(1)上にアルカリ不透過性の第一層(2A)を形成する工程;
−前記アルカリ不透過性の第一層(2A)上にアルカリ保持層(2B)を形成する工程、ここで前記アルカリ保持層(2B)の前記アルカリ不透過性の第一層(2A)に対する厚みの比は2以上であり、かつ前記アルカリ保持層(2B)は、前記アルカリ不透過性の第一層(2A)以外の材料で作られる;
−前記アルカリ保持層上(2B)に、アルカリ不透過性の第二層(2A’)を形成する工程、これは前記アルカリ保持層(2B)以外の材料で作られる;
−前記アルカリ不透過性の第二層(2A’)上に、モリブデン系層を含む電極コーティング(4)を形成する工程。
図1
図2