特許第6193855号(P6193855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6193855マニホールドと接触するためのマルチルーメン導管を有する減圧インターフェースを含む、減圧を用いて組織部位を治療するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193855
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】マニホールドと接触するためのマルチルーメン導管を有する減圧インターフェースを含む、減圧を用いて組織部位を治療するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   A61M27/00
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-522915(P2014-522915)
(86)(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公表番号】特表2014-521441(P2014-521441A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012047733
(87)【国際公開番号】WO2013016239
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月17日
(31)【優先権主張番号】61/511,827
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/511,840
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】タウト,エイダン,マーカス
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー,ブライアン
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0270820(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/068502(WO,A1)
【文献】 特表2009−506877(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/087871(WO,A2)
【文献】 国際公開第2010/094957(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0085795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 1/00
A61F 13/00
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧を用いて患者の組織部位を治療するシステムにおいて、前記システムが:
前記組織部位に近接させて配置する分配マニホールドと;
前記分配マニホールド、および前記患者の無傷の表皮の一部分を覆って、密閉空間を形成するシール部材と;
前記シール部材を通して前記分配マニホールドに減圧をもたらす減圧インターフェースと;
減圧源と;
前記減圧源を前記減圧インターフェースに流体的に結合するマルチルーメン導管と;
を含み、
前記減圧インターフェースが:
組織対面空洞開口部を有する空洞を形成する空洞壁部分を有するハウジングであって、閾値圧力を下回る前記空洞の圧力にさらされると折り畳まれるように構成される半剛体材料を含むハウジングと、
前記ハウジングに結合され、前記ハウジングを前記シール部材に結合する取付装置と、
前記空洞壁部分に結合されかつ導管アパーチャを有する導管ポートと、
を含み、
前記マルチルーメン導管が:
遠位端部および近位端部を有し、前記遠位端部が、前記導管アパーチャを通って前記空洞まで延在し、
前記マルチルーメン導管が、さらに、減圧を供給するための少なくとも1つの主ルーメンおよび複数の感知ルーメンを含み、
前記複数の感知ルーメンのうち少なくとも1つの感知ルーメンが、前記ハウジングが折り畳まれたときに、前記分配マニホールドと接触するよう導かれるように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記マルチルーメン導管が前記導管ポートに接続されていることを特徴とする、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記主ルーメンが中心ルーメンを構成し、前記複数の感知ルーメンが周辺ルーメンを構成することを特徴とする、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記主ルーメンの遠位端部および前記複数の感知ルーメンのうちの少なくとも1つの遠位端部が前記分配マニホールドに接触していることを特徴とする、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記減圧インターフェースが、前記シール部材にあるアパーチャを通して前記分配マニホールドに流体的に結合されていることを特徴とする、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記取付装置が接着剤であることを特徴とする、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、前記複数の感知ルーメンのうちの少なくとも1つに流体的に結合された計測ユニットを含み、前記計測ユニットは、圧力センサーおよびマイクロプロセッサを含み、前記マイクロプロセッサは、前記圧力センサーからの圧力信号を処理するように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに:
前記組織対面空洞開口部に近接して前記ハウジングに少なくとも一時的に結合された切断要素であって、前記切断要素が駆動力によって前記シール部材に追い込まれると、前記シール部材にアパーチャを形成するように適合されている切断要素;
を含み、
前記マルチルーメン導管が、前記導管ポートに接続されていることを特徴とする、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、前記切断要素が水溶性材料から形成されていることを特徴とする、システム。
【請求項10】
請求項8に記載のシステムにおいて、減圧治療を適用するときの減圧の影響下にあるときに、前記分配マニホールドの厚さがTを上回り、前記切断要素が穿孔長さ(L)を有し、L<Tであり、および前記切断要素が、前記分配マニホールドにアパーチャを形成することを特徴とする、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに:
前記ハウジングに少なくとも一時的に結合された切断要素
を含み、
前記切断要素が、さらに、前記マルチルーメン導管を受け入れるための前記導管ポートに接続された導管アダプタを含み、前記導管アダプタが、前記空洞壁部分の外面にアダプタフランジを有し、および前記導管アパーチャとかみ合いかつ前記マルチルーメン導管を受け入れるよう構成されており前記マルチルーメン導管が、前記導管アダプタを越えて、前記空洞へと延在するように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記切断要素が水溶性材料から形成されていることを特徴とする、システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムにおいて、減圧治療を適用するときの減圧の影響下にあるときに、前記分配マニホールドの厚さがTを上回り、前記切断要素は穿孔長さ(L)を有し、L<Tであり、および前記切断要素が、減圧治療を適用するときの減圧下に置かれると前記分配マニホールドの一部分に貫入することを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、35 USC § 119(e)下において、2011年7月26日出願の米国仮特許出願第61/511,827号(「Systems and Methods for Treating a Tissue Site with Reduced Pressure Involving a Reduced−Pressure Interface having a Multi−Lumen Conduit for Contacting a Manifold」)、および2011年7月26日出願の米国仮特許出願第61/511,840号(「Systems and Methods for Treating a Tissue Site with Reduced Pressure Involving a Reduced−Pressure Interface having a Cutting Element」)の利益を主張し、あらゆる点において本願明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、治療システムに関し、より詳細には、限定するものではないが、マニホールドと接触するためのマルチルーメン導管を有する減圧インターフェースを含む、減圧によって組織部位を治療するシステム、方法、および装置に関する。
【0003】
臨床試験および実習から、組織部位に近接して減圧をもたらすことによって、組織部位における新しい組織の成長を増強および加速することが示されている。この現象の適用は多数あるが、減圧を行うことは、創傷の治療においてかなり成功している。この治療(医学界では「陰圧閉鎖療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と呼ばれることが多い)はいくつもの利点を提供し、それら利点には、迅速な治癒や肉芽組織の形成加速化が含まれる。一般に、減圧は、多孔質パッドなどのマニホールド装置を通して組織に行われる。多孔質パッドは、減圧を組織に分配しかつ組織から引き出された流体を運ぶことができる気泡または細孔を含む。
【発明の概要】
【0004】
説明に役立つ実施形態によれば、マルチルーメン導管を分配マニホールドに接続するための減圧インターフェースが示されている。減圧インターフェースは、分配マニホールドに少なくともある程度当接するマルチルーメン導管を含む。分配マニホールドは、マルチルーメン導管の感知ルーメンに開口する少なくともいくつかの遠位アパーチャに接触する。それにより、分配マニホールドは、感知ルーメンを詰まらせる恐れのある液体が入らないように、それら開口部を保護し得る。
【0005】
別の説明に役立つ実施形態によれば、減圧を用いて患者の組織部位を治療するシステムは、組織部位に近接させて配置する分配マニホールドと、分配マニホールド、および患者の無傷の表皮の一部分を覆って、密閉空間を形成するシール部材と、シール部材を通して分配マニホールドに減圧をもたらす減圧インターフェースと、減圧源と、減圧源を減圧インターフェースに流体的に結合するマルチルーメン導管とを含む。減圧インターフェースは、空洞壁部分を有するハウジングを含む。空洞壁部分は、組織対面空洞開口部を有する空洞を形成する。減圧インターフェースは、さらに、ハウジングに結合されてハウジングをシール部材に結合する取付装置と、空洞壁に結合されかつ導管アパーチャを有する導管ポートと、マルチルーメン導管とを含む。マルチルーメン導管は、遠位端部および近位端部を有する。マルチルーメン導管の遠位端部は、導管アパーチャを通って空洞まで延在する。マルチルーメン導管は、さらに、減圧を供給する少なくとも1つの主ルーメンと、複数の感知ルーメンとを含む。主ルーメンおよび複数の感知ルーメンは、マルチルーメン導管の遠位端部からマルチルーメン導管の近位端部の方へ延在する。複数の感知ルーメンは、マルチルーメン導管の遠位端部に、対応する複数の遠位開口部を有する。複数の感知ルーメンの複数の遠位開口部のうちの少なくとも1つは、分配マニホールドに接触する。
【0006】
減圧インターフェースは、感知ルーメンが詰まらないようにできる。これは、分配マニホールドが、遠位アパーチャの少なくとも1つに接し、かつ感知ルーメンを、液体が入らないように保護するのを助けるためである。減圧インターフェースはまた、組織部位からの液体がしぶきを飛ばすことまたは液体のエアゾール効果を回避してもよく、それら液体は、そうでなければ感知ルーメンに入る可能性がある。
【0007】
別の説明に役立つ実施形態によれば、減圧を用いて患者の組織部位を治療する方法は、組織部位に近接させて分配マニホールドを配置するステップと、シール部材によって、分配マニホールド、および患者の無傷の表皮の一部分を覆って、分配マニホールドが配置される密閉空間を形成するステップとを含む。シール部材は、第1の側面および第2の組織対面側面を有する。この方法は、さらに、減圧源を提供するステップと、遠位端部および近位端部を有するマルチルーメン導管を提供するステップとを含む。マルチルーメン導管は、複数の感知ルーメンおよび少なくとも1つの主ルーメンを含む。この方法は、さらに、マルチルーメン導管の遠位端部を密閉空間に流体的に結合するステップと、複数の感知ルーメンの複数の遠位開口部の少なくとも1つの遠位開口部を、分配マニホールドと接触させて配置するステップとを含む。この方法はまた、マルチルーメン導管に減圧を供給するステップを含む。
【0008】
別の説明に役立つ実施形態によれば、シール部材によって形成された密閉空間にある組織部位に減圧をもたらす減圧接続部は、組織部位に近接させて配置する分配マニホールドと、マルチルーメン導管とを含む。分配マニホールドは発泡部材を含む。マルチルーメン導管は、複数の感知ルーメンおよび少なくとも1つの主ルーメンを有する。複数の遠位開口部は、マルチルーメン導管の遠位端部の複数の感知ルーメンに関連付けられる。マルチルーメン導管の遠位端部は、分配マニホールドと直接接触して、複数の遠位アパーチャのうちの少なくとも1つが分配マニホールドと当接するようにする。
【0009】
別の説明に役立つ実施形態によれば、減圧を用いて患者の創傷を治療する減圧治療システムが、創傷に隣接して位置決めするマニホールドと、マニホールド、および患者の無傷の表皮の一部分を覆って密閉空間を形成するドレープと、ドレープを通してマニホールドに減圧をもたらす減圧インターフェースと、減圧源と、減圧源を減圧インターフェースに流体的に結合する第1の導管および第2の導管とを含む。減圧インターフェースは、組織対面空洞開口部を有する空洞を形成する空洞壁部分を有するハウジングと、ハウジングに結合されてハウジングをドレープに結合する取付装置と、空洞壁に結合されかつ導管アパーチャを有する導管ポートと、第1の導管および第2の導管とを含む。第1の導管および第2の導管は、遠位端部および近位端部を有し、遠位端部は、導管アパーチャを通って空洞まで延在する。第1の導管は、さらに、減圧を供給する少なくとも1つの主ルーメンを含み、主ルーメンが、第1の導管の遠位端部から近位端部まで延在するようにする。第2の導管は、さらに、第2の導管の遠位端部から近位端部まで延在する複数の感知ルーメンを含む。複数の感知ルーメンは、第2の導管の遠位端部に、対応する複数の遠位開口部を有し、および複数の感知ルーメンの複数の遠位開口部の少なくとも1つは、マニホールドに接触する。
【0010】
さらに別の説明に役立つ実施形態によれば、減圧を用いて患者の創傷を治療する方法は、創傷に隣接してマニホールドを位置決めするステップと、ドレープによって、マニホールド、および患者の無傷の表皮の一部分を覆って、密閉空間を形成するステップとを含む。ドレープは、第1の側面および第2の組織対面側面を有する。この方法は、さらに、減圧源を提供するステップと、第1の導管および第2の導管を提供するステップとを含む。第1の導管および第2の導管は、遠位端部および近位端部を有する。第2の導管は、さらに、複数の感知ルーメンを含む。第1の導管は、さらに、少なくとも1つの減圧ルーメンを含む。この方法は、さらに、第1の導管の遠位端部および第2の導管をドレープに流体的に結合するステップと、複数の感知ルーメンの複数の遠位開口部の少なくとも1つの遠位開口部を、マニホールドと接触させて配置するステップと、第1の導管に減圧を供給するステップとを含む。
【0011】
別の説明に役立つ実施形態によれば、ドレープによって形成された密閉空間にある創傷に減圧をもたらす減圧接続部は、創傷に近接させて配置するマニホールドを含む。マニホールドは発泡部材を含む。接続部は、さらに、少なくとも1つの主ルーメンを含む、遠位端部を有する第1の導管と、複数の感知ルーメンを有する第2の導管とを含み、複数の遠位開口部が、第2の導管の遠位端部の複数の感知ルーメンと関連付けられるようにする。第1および第2の導管の遠位端部は、マニホールドと直接接触して、複数の遠位アパーチャのうちの少なくとも1つがマニホールドと当接するようにする。
【0012】
説明に役立つ実施形態の他の特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することにより、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、減圧を用いて組織部位を治療するシステムの説明に役立つ実施形態の概略的な斜視図である。
図2図2は、図1に示すシステムのマルチルーメン導管の、線2−2に沿って取った、説明に役立つ実施形態の概略的な断面図である。
図3A図3Aは、減圧インターフェースの空洞まで延在するマルチルーメン導管を有する減圧インターフェースの、説明に役立つ実施形態の概略的な断面図である。
図3B図3Bは、減圧下にある図3Aの減圧インターフェースの、分配マニホールドがマルチルーメン導管に接触している状態の概略的な断面図である。
図4図4は、減圧インターフェースの空洞に延在するマルチルーメン導管を有する減圧インターフェースの、別の説明に役立つ実施形態の概略的な上面斜視図である。
図5A図5Aは、組織部位に適用される際の、図4の減圧インターフェースの概略的な断面図である。
図5B図5Bは、減圧下の図5Aの減圧インターフェースの、分配マニホールドがマルチルーメン導管と接触している概略的な断面図である。
図6図6は、減圧を用いて組織部位を治療するシステムの一部として使用するための切断要素を有する減圧インターフェースの、説明に役立つ一実施形態の概略的な断面図である。
図7A図7Aは、減圧下にあるが、切断要素がシール部材に孔をあける前の、図6の減圧インターフェースの概略的な断面図である。
図7B図7Bは、切断部材がシール部材に孔をあけた後の、減圧下にある、図6の減圧インターフェースの別の概略的な断面図である。
図7C図7Cは、切断部材がシール部材に孔をあけかつ切断要素が除去された後の、減圧下にある、図6の減圧インターフェースの別の概略的な断面図である。
図8図8は、減圧を用いて組織部位を治療するシステムの一部として使用するための切断要素を有する減圧インターフェースの別の説明に役立つ実施形態の概略的な断面図である。
図9A図9Aは、患者に適用されているが、減圧が供給される前の、図8の減圧インターフェースの概略的な断面図である。
図9B図9Bは、切断要素がシール部材に孔をあける前の、減圧下にある、図8の減圧インターフェースの概略的な断面図である。
図9C図9Cは、切断部材がシール部材に孔をあけかつ切断要素が除去された後の、減圧下にある、図8の減圧インターフェースの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明に役立つ非限定的な実施形態の詳細な説明において、本明細書の一部をなす添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるようにするのに十分な程度、詳細に説明し、および本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに、他の実施形態を使用し得ること、および論理的な構造上の、機械的な、電気的な、および化学的な変更がなされ得ることが理解される。当業者が、本明細書で説明する実施形態を実施できるようにするのに必要ではない詳細に関する説明を避けるために、当業者に公知の特定の情報に関する説明を省略し得る。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定的ととられるべきではなく、説明に役立つ実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。他に指定のない限り、本明細書では、「または」は相互排他性である必要はない。
【0015】
本明細書では、用語「減圧」は、一般的に、治療が施されている組織部位における周囲圧力を下回る圧力を指す。ほとんどの場合、この減圧は、患者がいる場所の気圧を下回る。あるいは、減圧は、組織部位における組織に関連付けられる静水圧を下回り得る。他に指定のない限り、本明細書で述べる圧力の定量値は、ゲージ圧である。減圧の上昇への言及は、一般に、絶対圧の低下を指し、かつ減圧の低下は、一般に、絶対圧の上昇を指す。
【0016】
ここで図面を、および初めに図1〜3Bを参照すると、減圧によって患者104の組織部位102を治療するシステム100が示されている。システム100は、組織部位102に近接させて配置する減圧ドレッシング106を含む。システムは、マルチルーメン導管110を分配マニホールド112に流体的に結合する減圧インターフェース116を含む。減圧インターフェース116は、作動中、マルチルーメン導管110内の複数の感知ルーメン122のうちの少なくとも1つを開放したまままたは詰まらないままにする、簡単に製造される接続部を可能にし得る。作動中、感知ルーメン122は、マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも1つの遠位アパーチャを、分配マニホールド112と接触させるようにすることで、マルチルーメン導管110の遠位端部118が分配マニホールド112に接する(すなわち当接する)または埋め込まれることによって、詰まらない状態を保ち得る。この接触は、今度は、液体が遠位アパーチャの方へしぶきになって出たり、泡立ったり、または他の方法で移動したりする開放領域を回避し、かつまた遠位アパーチャの前にフィルター部材を使用できるようにする。
【0017】
システム100はまた、マルチルーメン導管110によって減圧ドレッシング106に流体的に接続された、組織部位102に減圧を行うための減圧治療ユニット108を含む。減圧ドレッシング106は、さらに、分配マニホールド112、シール部材114、および減圧インターフェース116を含む。減圧インターフェース116は、マルチルーメン導管110に接続するように適合されている。マルチルーメン導管110は、遠位端部118を有し、かつ少なくとも1つの主ルーメン120と、複数の感知ルーメン122とを含む。通常、主ルーメン120は1つのみであるが、組織部位102に減圧を伝えかつ同時に流体を全て除去する追加的な大きなルーメンがあることがある。マルチルーメン導管110の遠位端部118は、減圧インターフェース116まで延在しかつ少なくとも部分的に分配マニホールド112に接触するように適合されている。マルチルーメン導管110は、分配マニホールド112と当接するかまたはそこに埋め込まれるかのいずれかとし得る。
【0018】
マルチルーメン導管110の遠位端部118と分配マニホールド112との間の接触を促すために、マルチルーメン導管110を減圧インターフェース116まで延在させることは、上述した利点に加え、いくつもの利点をもたらし得る。これら利点には、適用を容易にすること、マルチルーメン導管110と分配マニホールド112との間にシールを形成するときの誤差を低減すること、および組織部位102から流体が除去されるときに感知ルーメンが閉塞する回数を減らすことを含む。感知ルーメン122が閉塞される場合には、システム100の、減圧のレベルを監視する能力を断ち、そうして、組織部位102の減圧を制御し得る。
【0019】
組織部位102から除去される流体は、最も抵抗の少ない経路を辿り、それは、優先的には、主ルーメン120である。主ルーメン120と、感知ルーメン122の少なくとも1つとが、マニホールドに直接接触していないとき、流体は、はねたり、泡立ったり、またはそうでなければ主ルーメン120への滑らかな移行ができなかったりする可能性がある。流体がはねたりまたは泡立ったりする場合、流体は、感知ルーメン122に入って、感知ルーメン122を閉塞し得る。全ての感知ルーメン122が閉塞されると、感知ルーメン122は、組織部位102の減圧レベルを効果的に感知できなくなる。主ルーメン120と、感知ルーメン122の少なくとも1つとが、分配マニホールド112と接触している場合、組織部位102から引き出された流体は、分配マニホールド112に接触する感知ルーメン122に入るのを回避して、主ルーメン120に流れ込む傾向がある。分配マニホールド112は、さらに、主ルーメン120と、分配マニホールド112に接触する感知ルーメン122の少なくとも1つとの間に、障壁を提供し得る。さらに、分配マニホールド112と直接接触するマルチルーメン導管110を有することは、マルチルーメン導管110に流れ込む一定の低速の液体の流れが確実にあるように支援し、それにより、分配マニホールド112に接触する少なくとも1つの感知ルーメン122の周囲に、エアゾール化した粒子が堆積する機会を最小限にし、かつまた、少なくとも1つの感知ルーメン122に入る液体に対してフィルターを提供し得る。
【0020】
減圧インターフェースおよびマルチルーメン導管を使用する、従来の減圧治療システムでは、減圧インターフェースは、分配マニホールドとの直接接触から感覚ルーメンを引き離して、流体が感覚ルーメンを閉塞させないように設計されている。しかしながら、試験したところ、分配マニホールドとの接触から感覚ルーメンを引き離すと、はねおよび泡立ちを生じ、それにより感覚ルーメンを閉塞させることが示され、分配マニホールドとの接触から感覚ルーメンを引き離す目的が崩れた。
【0021】
システム100は、様々な異なるタイプの組織部位102と共に使用し得る。組織部位102は、創傷124または創腔とし得る。少なくとも図3A〜3Bに示すように、組織部位102または創傷124は、表皮126を通って皮下組織または任意の他の組織まで存在し得る。組織部位102は、骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯、体腔または任意の他の組織を含む、任意のヒト、動物、または他の生物の体の組織とし得る。組織部位102の治療は、流体、例えば滲出液や腹水の除去を含み得る。
【0022】
さらに、図1〜3Bを参照して説明すると、分配マニホールド112は組織部位102に近接しており、かつ第1の側面128および第2の組織対面側面130を含む。本明細書では、用語「分配マニホールド」は、一般的に、組織部位102に対して減圧を行ったり、流体を供給したり、または組織部位から流体を除去したりするのを支援するために設けられる物体または構造を指す。分配マニホールド112は、一般に、流体を、分配マニホールド112の周りの組織部位102にもたらしかつそこから除去されるように分配させる複数の流路または流れ経路を含む。説明に役立つ一実施形態では、流路または流れ経路は相互に接続されて、組織部位102に提供されるまたはそこから除去される流体の分配を改善する。分配マニホールド112は、組織部位102と接触して配置されかつ組織部位102に減圧を分配することができる生体適合性材料とし得る。分配マニホールド112の例は、限定されるものではないが、流路を形成するように配置された構造要素などを有する装置、例えば、気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、液体、ゲル、および流路を含む、または硬化して流路を含む発泡体などを含み得る。分配マニホールド112は、多孔質としてもよく、かつ発泡体、ガーゼ、フェルトのマット、または特定の生物学的適用に好適な任意の他の材料から作製されてもよい。一実施形態では、分配マニホールド112は多孔質発泡体であり、かつ流路の機能を果たす複数の連続気泡または細孔を含む。多孔質発泡体は、ポリウレタンの連続気泡の網状発泡体、例えばKinetic Concepts、Incorporated(San Antonio、Texas)製のGranuFoam(登録商標)材とし得る。場合によっては、分配マニホールド112はまた、薬剤、抗菌薬、成長因子、および様々な溶液などの流体を組織部位102に分配するためにも使用し得る。分配マニホールド112にまたは分配マニホールド112上に、吸収材料、ウィッキング材料、疎水性材料、および親水性材料などの他の層も含まれ得る。
【0023】
説明に役立つ一実施形態では、分配マニホールド112は、システム100の使用後に患者の体から取り出す必要のない生体再吸収性材料から構成し得る。好適な生体再吸収性材料は、限定されるものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを含み得る。ポリマーブレンドはまた、限定されるものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトン(capralactone)を含み得る。分配マニホールド112は、新しい細胞増殖のための足場としての機能をさらに果たしてもよいし、または細胞増殖を促進するためにマニホールド112と足場材料が一緒に使用されてもよい。足場は、細胞増殖または組織形成を増進させるまたは促進するのに使用される物体または構造であり、例えば、細胞増殖のテンプレートを提供する三次元の多孔質構造である。足場材料の説明に役立つ例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト(coral hydroxy apatite)、カーボネート、または加工された同種移植片材料を含む。
【0024】
分配マニホールド112は、ドレープとも称し得るシール部材114によって覆われ得る。シール部材114は、組織部位102を覆って密閉空間132を形成する。シール部材114は第1の側面134、および第2の組織対面側面136を有する。シール部材114は、流体シールをもたらす任意の材料とし得る。「流体シール」または「シール」は、特定の減圧源または関連のサブシステムによって与えられた減圧を所望の部位において維持するのに適切なシールを意味する。シール部材114は、例えば、不透過性または半透過性のエラストマー性材料とし得る。「エラストマー性」は、エラストマーの特性を有することを意味する。エラストマーは、一般的に、ゴムのような特性を有するポリマー材料を指す。より具体的には、ほとんどのエラストマーは、100%超の極限伸び、および相当の弾力性を有する。材料の弾力性は、弾性変形から回復する材料の能力を指す。比較的弾力性の低いエラストマーはまた、切断要素に直面すると裂ける可能性が高いので、エラストマーとして使用し得る。エラストマーの例は、限定されるものではないが、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン(PU)、EVAフィルム、コ−ポリエステル、およびシリコーンを含み得る。さらに、ドレッシングのシール部材材料の具体例は、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennison Corporation(Pasadena、California)から入手可能なものなどのポリウレタン(PU)ドレープを含む。ドレッシングのシール部材材料の追加的な非限定的な具体例は、Exopack(商標)Advanced Coatings(Matthews、North Carolina)製のInspire(商標)2317などの30μmの無光沢のポリウレタンフィルムを含む。シール部材114は、分配マニホールドから減圧治療ユニット108へ流体を送るアパーチャまたは他の手段を備えて、前もって作られてもよい。あるいは、ヘルスケア提供者がシール部材を切断してアパーチャを形成してもよいし、または減圧インターフェースに取り付けられた切断要素を使用してアパーチャを形成してもよい。
【0025】
取付装置138を使用して、シール部材114を患者の無傷の表皮126、またはガスケットもしくは追加的なシール部材などの別の層の一部分に当ててもよい。取付装置138は多数の形態をとり得る。例えば、取付装置138は、シール部材114の周囲にまたは全てに延在する医学的に容認できる接着剤、例えば感圧接着剤とし得る。取付装置138はまた、シールリングまたは他の装置とし得る。取付装置138をシール部材114の第2の組織対面側面136に配置する。使用前、取付装置138は剥離ライナー(図示せず)によって覆われていてもよい。
【0026】
減圧インターフェース116は、シール部材114に隣接してまたはそれに結合されて位置決めされ、分配マニホールド112への流体通路を提供し得る。取付装置138と同様の別の取付装置152を使用して、減圧インターフェース116をシール部材114に当ててもよい。マルチルーメン導管110は、減圧治療ユニット108と減圧インターフェース116を流体的に結合する。減圧インターフェース116は、減圧を組織部位102に供給できるようにする。組織部位に行われる減圧の量および性質は、一般に適用に応じて変動するが、減圧は、典型的には、−5mm Hg(−667Pa)〜−500mm Hg(−66.7kPa)、より典型的には−75mm Hg(−9.9kPa)〜−300mm Hg(−39.9kPa)である。例えば、限定するものではないが、圧力は、−12、−12.5、−13、−14、−14.5、−15、−15.5、−16、−16.5、−17、−17.5、−18、−18.5、−19、−19.5、−20、−20.5、−21、−21.5、−22、−22.5、−23、−23.5、−24、−24.5、−25、−25.5、−26、−26.5kPaまたは別の圧力とし得る。
【0027】
図示の通り、マルチルーメン導管110は、主ルーメン120および複数の感知ルーメン122を含む。説明に役立つ一実施形態では、主ルーメン120は中心ルーメン140であり、および複数の感知ルーメン122は周辺ルーメン142である。主ルーメン120および複数の感知ルーメン122は、マルチルーメン導管110が流体を減圧インターフェース116から減圧治療ユニット108へ輸送するときの、主ルーメン120と複数の感知ルーメン122との間の流体分離を維持するように適合されている。分配マニホールド112から主ルーメン120を通って流れた液体や滲出液は、マルチルーメン導管110から除去され、かつ、減圧治療ユニット108と流体連通している液体収集チャンバ(明示せず)に保持される。複数の感知ルーメン122は、組織部位102が示す減圧を、計測ユニット144に流体的に伝える。
【0028】
減圧治療ユニット108は、液体収集チャンバ、または収集キャニスターと、減圧源146に流体連通する計測ユニット144とを含み得る。計測ユニット144はマイクロプロセッサ148を含み、このマイクロプロセッサは、マルチルーメン導管110が受信した圧力信号を処理し、圧力信号を監視し、および予め決められた圧力構成に従って警告を発するように適合され得る。
【0029】
説明に役立つ実施形態では、減圧源146は電動真空ポンプである。別の実装例では、その代わりに、減圧源146は、電力を必要としない、手動によって作動されるまたは手動で充電されるポンプとし得る。その代わりに、減圧源146は、任意の他のタイプの減圧ポンプ、または、病院および他の医療施設で利用可能なものなどの壁面吸い込みポートとし得る。減圧源146は、同様に計測ユニット144を含み得る治療ユニット108内に収容され得るかまたはそれと共に使用され得る。計測ユニット144は、センサー、処理装置、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示装置、およびユーザインターフェースを含み、組織部位102に減圧治療を適用するのをさらに容易にし得る。
【0030】
一例では、計測ユニット144にある圧力検出センサー(図示せず)は、減圧源146にまたはその付近に配置され得る。圧力検出センサーは、圧力検出センサーへの減圧データの伝送用の複数の感知ルーメン122のうちの少なくとも1つを介して、減圧インターフェース116からの圧力データ、または圧力信号を受信し得る。圧力信号またはデータは、複数の感知ルーメン122のいずれか1つの遠位端部150における圧力を表すものとし得る。圧力検出センサーは、減圧源146によって供給される減圧を監視しかつ制御する処理装置と通信し得る。
【0031】
ここで主に図3A〜3Bを参照すると、減圧インターフェース116の説明に役立つ実施形態が詳細に示されている。減圧インターフェース116は、ハウジング154と、ハウジング154に結合された導管ポート156と、減圧インターフェース116をシール部材114に結合する取付装置152と、マルチルーメン導管110とを含む。
【0032】
ハウジング154は、フランジ部分160および空洞壁部分162を有し得る。空洞壁部分162は、組織対面空洞開口部166を有する空洞164を形成する。導管ポート156は、ハウジング154の空洞壁部分162に結合されるかまたはその一部として形成される。導管ポート156は導管アパーチャ168を含み、それにより、導管ポート156は、マルチルーメン導管110を受け入れるように適合されている。取付装置152は、フランジ部分160の組織対面側面170に結合されて、ハウジング154をシール部材114の第1の側面134に結合し得る。ハウジング154は、駆動力172などの力の下で折り畳むことができる半剛体材料で作製される。非限定的な例では、減圧インターフェース116、それゆえハウジング154は、可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、環状オレフィン共重合体エラストマー、熱可塑性エラストマー、ポリアクリル酸、シリコーン重合体、およびポリエーテルブロックアミド共重合体から作製し得る。
【0033】
マルチルーメン導管110は、遠位端部118および近位端部158を含む。遠位端部118は、導管アパーチャ168を通って、空洞壁部分162を越えて空洞164まで延在する。非限定的で具体的な一実施形態では、遠位端部118は、空洞壁部分162を5mmまで越えて延在する。しかしながら、遠位端部1118は、空洞壁部分162を5mm越えて延在し得ることを理解されたい。遠位端部118が空洞壁部分162を越えて延在する範囲は、駆動力172の下でのハウジング154の折り畳める能力に基づいて決定され得る。マルチルーメン導管110の近位端部158は、減圧治療ユニット108につながっている。一実施形態では、マルチルーメン導管110は、導管ポート156に接続されている。マルチルーメン導管110は、溶接または接着剤によって導管ポート156に接続され得る。マルチルーメン導管110を、空洞壁部分162を越えて延在するとして示すが、マルチルーメン導管110は、空洞壁部分162と同一平面にあるとしてもよい(図示せず)。マルチルーメン導管110は、マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分が減圧療法の最中に分配マニホールド112に接触するように、適合されている。一実施形態では、主ルーメン120の遠位アパーチャ174および複数の感知ルーメン122のうちの少なくとも1つの遠位アパーチャ176は、分配マニホールド112に接触するように適合されている。
【0034】
作動中、減圧によって患者104の組織部位102を治療する方法は、組織部位102に近接させて分配マニホールド112を配置することを含む。分配マニホールド112と患者104の無傷の表皮126の部分とがシール部材114によって覆われて密閉空間132を形成し、そこに分配マニホールド112が配置される。シール部材114は、第1の側面134および第2の組織対面側面136を有する。減圧インターフェース116は、シール部材114の第1の側面134に近接して結合される。マルチルーメン導管110は、減圧インターフェース116を減圧源146に結合する。減圧インターフェース116は、フランジ部分160と空洞壁部分162とを有するハウジング154を含み、空洞壁部分162が、組織対面空洞開口部166を有する空洞164を形成するようにする。ハウジング154のフランジ部分160の組織対面側面170に結合された取付装置138は、ハウジング154をシール部材114に接続する。減圧インターフェース116は、さらに、空洞壁部分162に結合された、導管アパーチャ168を有する導管ポート156を含み、マルチルーメン導管110を受け入れかつ結合する。マルチルーメン導管110は、遠位端部118および近位端部158を含む。遠位端部118は、導管アパーチャ168を通りかつ空洞壁部分162を越えて空洞164まで延在する。マルチルーメン導管110は、さらに、減圧を供給する主ルーメン120と、複数の感知ルーメン122とを含む。主ルーメン120および複数の感知ルーメン122は、マルチルーメン導管110の近位端部158から遠位端部118まで延在する。マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分が、分配マニホールド112と接触して位置決めされる。
【0035】
マルチルーメン導管110は導管ポート156に接続される。一実施形態では、マルチルーメン導管110は、梱包前に導管ポート156に溶接される。別の実施形態では、マルチルーメン導管110は、接着剤によって導管ポート156に取り付けられる。
【0036】
シール部材114にアパーチャが形成されて、ハウジング154と分配マニホールド112との間に流体連通をもたらす。アパーチャは、予め作られ得る、ヘルスケア提供者よって形成され得る、または減圧インターフェース116にある切断要素によって形成され得る。
【0037】
シール部材114の第1の側面134に近接して減圧インターフェース116を結合するステップは、減圧インターフェース116の取付装置152を使用して、減圧インターフェース116をシール部材114に接着させることを含む。
【0038】
マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分を、分配マニホールド112と接触させて位置決めするステップは、さらに、主ルーメン120の遠位アパーチャ174と、複数の感知ルーメン122のうちの少なくとも1つの遠位アパーチャ176とを、分配マニホールド112と接触させて位置決めすることを含み得る。一実施形態では、複数の感知ルーメン122のうちの少なくとも1つの遠位アパーチャ176は、分配マニホールド112に対して主ルーメン120の遠位アパーチャ174の下方に位置決めされる。
【0039】
別の実施形態では、マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分を、分配マニホールド112と接触させて位置決めするステップは、さらに、減圧インターフェース116に、十分な強さの駆動力172を加えて、マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分を分配マニホールド112と接触させることを含む。駆動力172によって、マルチルーメン導管110を分配マニホールド112に押し込む。一実施形態では、駆動力172によって、分配マニホールド112をマルチルーメン導管110に引き入れる。さらに別の実施形態では、駆動力172は、分配マニホールド112をマルチルーメン導管110に引き入れながら、マルチルーメン導管110を分配マニホールド112に押し込み得る。
【0040】
マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分を、分配マニホールド112に接触させて位置決めするステップは、さらに、減圧を行うことを含み得る。
【0041】
一実施形態では、マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分を、分配マニホールド112に接触させて位置決めするステップは、さらに、減圧インターフェース116を通して減圧を行って、空洞164に十分な減圧を生じさせ、分配マニホールド112の一部分を空洞164に引き入れて、分配マニホールド112が主ルーメン120の遠位アパーチャ174に当接するようにすることを含む。
【0042】
別の実施形態では、マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分を、分配マニホールド112に接触させて位置決めするステップは、さらに、減圧インターフェース116を通して減圧を行い、空洞164に十分な減圧を生じさせ、ハウジング154を分配マニホールド112の方へ押して、主ルーメン120の遠位アパーチャ174と、感覚ルーメン122のうちの少なくとも1つの遠位アパーチャ176とが、分配マニホールド112に当接するようにするステップを含む。
【0043】
さらに別の実施形態では、マルチルーメン導管110の遠位端部118の少なくとも一部分を、分配マニホールド112に接触させて位置決めするステップは、さらに、減圧インターフェース116の外面に駆動力172を手動で加えることを含む。
【0044】
一実施形態では、駆動力172を減圧インターフェース116に加えるステップは、閾値圧力(P)を下回る減圧を空洞164に加えて、壁部分が折り畳んで、マルチルーメン導管110を分配マニホールド112に追い込むようにすることを含む。
【0045】
ここで主に図4〜5Bを参照すると、減圧インターフェース216の別の説明に役立つ実施形態が示されている。減圧インターフェース216は、多くの点で図3A〜3Bの減圧インターフェースに類似している。減圧インターフェース216は、フランジ部分260と空洞壁部分262とを有し得るハウジング254を含む。フランジ部分260は、取付装置152によってシール部材114に結合され得る。空洞壁部分262は減圧下で折り畳み可能である。一実施形態では、空洞壁部分262は、手動圧力下で折り畳み可能である。空洞壁部分262は、空洞264内の空洞264の圧力(P)が絶対圧で閾値圧力(P)を下回るときに空洞壁部分262が折り畳むことができるようにするベローズ構成290を含み得る。
【0046】
減圧インターフェース216は、さらに、マルチルーメン導管110を受け入れて減圧治療ユニット108と組織部位102との間に流体連通をもたらすための導管アダプタ292を含み得る。導管アダプタ292はアダプタフランジ294を含む。アダプタフランジ294は、空洞壁部分262の外面284に位置決めされる。非限定的な具体例では、導管アダプタ292およびアダプタフランジ294は、可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、環状オレフィン共重合体エラストマー、熱可塑性エラストマー、ポリアクリル酸、シリコーン重合体、およびポリエーテルブロックアミド共重合体を含む材料から形成し得る。
【0047】
マルチルーメン導管110は導管アダプタ292に接続される。非限定的で具体的な実施形態では、マルチルーメン導管110は、溶接または接着剤によって導管アダプタ292に接続され得る。マルチルーメン導管110は、導管アダプタ292を越えて空洞264まで延在する。減圧インターフェース216は、マルチルーメン導管110の遠位端部118を分配マニホールド112と接触させて位置決めするように構成される。
【0048】
一実施形態では、減圧インターフェース216を通して適用される減圧は、空洞264に十分な減圧を生じ、分配マニホールド112の一部分を空洞264に引き入れて、マルチルーメン導管110の主ルーメン120に当接させ得る。別の実施形態では、分配マニホールド112は、部分的に、主ルーメン120に引き入れられ得る。分配マニホールド112は、複数の感知ルーメン122のうちの少なくとも1つの遠位アパーチャ176を含むマルチルーメン導管110の遠位端部118に当接する。分配マニホールド112をマルチルーメン導管110の遠位端部118に完全に当接させることによって、マルチルーメン導管110のルーメンの各々を確実に流体分離するのを支援し得る。
【0049】
ここで主に図6〜7Cを参照すると、減圧インターフェース316の別の説明に役立つ実施形態が示されている。減圧インターフェース316は、多くの点で、図3A〜3Bの減圧インターフェースに類似している。減圧インターフェース316は、ハウジング354と、ハウジング354に結合された導管ポート356と、減圧インターフェース316をシール部材114に結合する取付装置152とを含む。減圧インターフェース316は、さらに、切断要素317を含む。
【0050】
ハウジング354は、フランジ部分360および空洞壁部分362を有し得る。空洞壁部分362は、組織対面空洞開口部366を有する空洞364を形成する。導管ポート356は、ハウジング354の空洞壁部分362に結合されるか、またはその一部として形成される。導管ポート356は導管アパーチャ368を含み、それにより、導管ポート356はマルチルーメン導管110を受け入れるように適合されている。取付装置152は、フランジ部分360の組織対面側面370に結合されて、ハウジング354をシール部材114の第1の側面134に結合し得る。ハウジング354は、駆動力172などの力の下で折り畳むことができる半剛体材料製とし得る。非限定的な例では、減圧インターフェース316、それゆえハウジング354は、可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、環状オレフィン共重合体エラストマー、熱可塑性エラストマー、ポリアクリル酸、シリコーン重合体、およびポリエーテルブロックアミド共重合体から作製し得る。
【0051】
切断要素317は、組織対面空洞開口部366に近接してハウジング354に少なくとも一時的に結合され得る。切断要素317は、駆動力172によって切断要素317がシール部材114に追い込まれるとき、シール部材114にアパーチャ319を形成するように適合されている。駆動力172はまた、切断要素317が分配マニホールド112の一部分を突き抜けるまたは切断するようにさせ得る。
【0052】
切断要素317は、穿孔長さ(L)を有し得る。分配マニホールド112は、減圧を受けるときにはTを上回る厚さを有し、切断要素317の穿孔長さ(L)は、厚さTを下回る、すなわち、L<Tとなるようにし得る。減圧下で穿孔長さ(L)が分配マニホールド112の厚さTを下回る利点の1つは、切断要素317が、分配マニホールド112を完全に切断して組織部位102に達することができないことである。
【0053】
先に述べたように、切断要素317は、一時的にのみハウジング354に結合され得る。一実施形態では、切断要素317は、介護者によって除去され得る。別の実施形態では、切断要素317は、切断要素317を溶解できるように適合された水溶性材料などの液溶性材料から形成され得る。例えば、水溶性材料は、以下のうちの少なくとも1つを含み得る:ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシルおよびカルボキシル変性セルロース、ヒドロキシルおよびカルボキシル変性アクリル、スターチ、糖(スクロース、グルコース、フルクトース)、弱酸(酒石酸、クエン酸、リンゴ酸)、塩(塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)。切断要素317は、液体が組織部位102から除去されにつれて溶解し得る。シール部材114の孔あけ後に減圧インターフェース316に減圧が適用され、一般に、組織部位102から液体を除去するようにする。十分な時間の後で、組織部位102から除去された液体は、切断要素317を実質的に溶解させる。切断要素317は、2分以内、5分、10分、または別の期間で溶解し得る。切断要素317が溶解されると、切断要素317は、組織部位102からの液体と共にマルチルーメン導管110によって除去される。液体、例えば食塩水がまた、マルチルーメン導管110、または他のものに投入されて、切断要素317を溶解し得る。
【0054】
図7Cに示すように、切断要素317が実質的に溶解されたら、減圧インターフェース316を通して適用される減圧は、空洞364に十分な減圧を生じ、分配マニホールド112の一部分を空洞364に引き入れ、分配マニホールド112がマルチルーメン導管110の遠位端部118に当接して、複数の感知ルーメン122のうちの少なくとも1つの遠位アパーチャ176を含むようにする。分配マニホールド112がマルチルーメン導管110の遠位端部118に完全に当接できるようにすることによって、マルチルーメン導管110の各ルーメン間を確実に流体分離させるのを支援し得る。
【0055】
作動中、介護者は、患者104の組織部位102を、組織部位102に近接させて分配マニホールド112を配置することを含む方法によって、治療し得る。分配マニホールド112と患者104の無傷の表皮126の一部分とがシール部材114によって覆われて密閉空間132を形成し、そこに、分配マニホールド112が配置される。減圧インターフェース316はシール部材114に結合される。マルチルーメン導管110は、一方の端部が減圧源146に、および対向端部が減圧インターフェース316に流体的に結合される。その後、減圧インターフェース316に、十分な強さの駆動力172を加えて、切断要素317がシール部材114に孔をあける(例えば、穿孔する、引き裂く、切断する、または他の方法でアパーチャ319を形成する)。
【0056】
ここで主に図8〜9Cを参照すると、減圧インターフェース416の別の説明に役立つ実施形態が示されている。減圧インターフェース416は、多くの点で、図5Aおよび図5Bの減圧インターフェース316に類似している。減圧インターフェース416は、ハウジング454および切断要素417を含む。ハウジング454は、フランジ部分460および空洞壁部分462を有し得る。フランジ部分460は、取付装置152によってシール部材114に結合され得る。空洞壁部分462は減圧下で折り畳み可能である。空洞壁部分462は、空洞464内の空洞圧力(P)が絶対圧で閾値圧力(P)を下回るときに空洞壁部分462が折り畳むことができるようにするベローズ構成490を含み得る。
【0057】
減圧インターフェース416は、さらに、マルチルーメン導管110を受け入れる導管アダプタ492を含み、減圧治療ユニット108と組織部位102との間に流体連通をもたらし得る。導管アダプタ492はアダプタフランジ494を含む。アダプタフランジ494は、空洞壁部分462の外面484に位置決めされる。非限定的な具体例では、導管アダプタ492およびアダプタフランジ494は、可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、環状オレフィン共重合体エラストマー、熱可塑性エラストマー、ポリアクリル酸、シリコーン重合体、およびポリエーテルブロックアミド共重合体を含む材料から形成し得る。
【0058】
マルチルーメン導管110は導管アダプタ492に接続される。非限定的で具体的な実施形態では、マルチルーメン導管110は、溶接または接着剤によって導管アダプタ492に接続され得る。マルチルーメン導管110は、導管アダプタ492を越えて空洞464まで延在し得る。減圧インターフェース416は、マルチルーメン導管110の遠位端部118を、分配マニホールド112に接触させて位置決めするように構成される。
【0059】
切断要素417は、少なくとも一時的に導管アダプタ492に結合され得る。切断要素417は、ハウジング454が駆動力172によって圧迫され、それにより切断要素417を押し込んだとき、シール部材114に直交する切れ目を形成するように構成される。それゆえ、切断要素417は、シール部材114に追い込まれる。駆動力172は、減圧インターフェース416の外面484に手動で加えられて、ハウジング454を折り畳ませ、かつそれにより、切断要素417をシール部材114に追い込むまたは押し込む。別の実施形態では、駆動力172は、空洞464に減圧を行って、空洞464の空洞圧力(P)が閾値圧力(P)を下回るように、加えられる。空洞464の空洞圧力(P)が閾値圧力(P)を下回る場合、空洞壁部分462は折り畳まれて、切断要素417に影響を及ぼす。継続的に減圧を行う場合、切断要素417の一部分がシール部材114を通り抜ける。閾値圧力(P)は、少なくとも一部は、ハウジング454に使用される材料のタイプおよび厚さに依存する。減圧が空洞464において行われる場合、シール部材114に張力473がかけられて、シール部材114が空洞464に引き入れられるようにする。この動きによって、切断要素417をシール部材114に追い込むのを支援し得る。
【0060】
一実施形態では、切断要素417は、切断要素417を溶解させることができるように適合された水溶性材料などの液溶性材料から形成され得る。水溶性材料は、以下のうちの少なくとも1つを含み得る:ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシルおよびカルボキシル変性セルロース、ヒドロキシルおよびカルボキシル変性アクリル、スターチ、糖(スクロース、グルコース、フルクトース)、弱酸(酒石酸、クエン酸、リンゴ酸)、塩(塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)。切断要素417は、液体が組織部位102から除去されにつれて溶解し得る。減圧インターフェース416に減圧を適用して、一般に、液体を組織部位102から除去する。十分な時間の後で、組織部位102から除去された液体が、切断要素417を実質的に溶解させ得る。切断要素417が溶解されると、切断要素417は、組織部位102からの液体と共にマルチルーメン導管110によって除去される。切断要素417は溶解可能とし得るが、導管アダプタ492およびアダプタフランジ494は溶解しないことが注目に値する。
【0061】
切断要素417が実質的に溶解したら、減圧インターフェース416によって適用された減圧は、空洞464において、分配マニホールド112の一部分を空洞464に引き入れかつマルチルーメン導管110の主ルーメン120と接触させるのに十分な減圧とし得る。分配マニホールド112は、複数の感知ルーメン122のうちの少なくとも1つの遠位アパーチャ176を含むマルチルーメン導管110の遠位端部118に当接する。分配マニホールド112をマルチルーメン導管110の遠位端部118に完全に当接できるようにすることによって、マルチルーメン導管110の各ルーメン間を確実に流体分離させることを支援し得る。
【0062】
本発明およびその利点を、特定の説明に役立つ非限定的な実施形態に照らして開示したが、添付の特許請求の範囲で定義した本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更、代替、置換、および修正をなし得ることを理解されたい。いずれか一つの実施形態に関連して説明された任意の特徴はまた、任意の他の実施形態にも適用可能であり得ることを理解されたい。
【0063】
上述の利益および利点は、一実施形態に関連し得ること、またはいくつかの実施形態に関連し得ることを理解されたい。「1つの(an)」品目への言及は、1つ以上のそれら品目を指すことをさらに理解されたい。
【0064】
本明細書で説明した方法のステップは、任意の好適な順序で、または適切な場合には同時に実施し得る。
【0065】
適切な場合には、上述の例のいずれかの態様を、説明の任意の他の例の態様と組み合わせて、類似のまたは異なる特性を有しかつ同じまたは異なる問題に対処する別の例を形成する。
【0066】
好ましい実施形態の上述の説明は例示にすぎず、当業者は様々な修正をなし得ることを理解されたい。上述の明細書、例、およびデータは、本発明の例示的な実施形態の構造および使用の完全な説明を提供する。本発明の様々な実施形態を、ある程度詳細に、または1つ以上の個々の実施形態を参照して上記で説明したが、当業者は、特許請求の範囲から逸脱せずに、開示の実施形態に多数の修正をなすことができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C