特許第6193860号(P6193860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6193860ヘテロシクリルアミド置換イミダゾールのスルホン酸塩
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  • 特許6193860-ヘテロシクリルアミド置換イミダゾールのスルホン酸塩 図000037
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193860
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ヘテロシクリルアミド置換イミダゾールのスルホン酸塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20170828BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20170828BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20170828BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20170828BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20170828BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20170828BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   A61K31/496
   A61K47/40
   A61K47/12
   A61P31/12
   A61P31/20
   A61P31/22
【請求項の数】14
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-530193(P2014-530193)
(86)(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公表番号】特表2014-530180(P2014-530180A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2012067814
(87)【国際公開番号】WO2013037812
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年8月28日
(31)【優先権主張番号】102011113749.5
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514064752
【氏名又は名称】アイクリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ビルフリート シュバブ
(72)【発明者】
【氏名】グイド シッファー
(72)【発明者】
【氏名】クルト フォークトリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス キアス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト オスバルト
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−531508(JP,A)
【文献】 特表2009−501170(JP,A)
【文献】 特表平09−512007(JP,A)
【文献】 特表平05−503929(JP,A)
【文献】 特表2000−503986(JP,A)
【文献】 特表2007−527394(JP,A)
【文献】 BERGE S M,PHARMACEUTICAL SALTS,JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES,米国,AMERICAN PHARMACEUTICAL ASSOCIATION,1977年 1月 1日,V66 N1,P1-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】
[式中、
1は、メチル、エチル、ブチル又はシクロプロピルメチルを表し、
2は、フェニルを表し、ここで、フェニルは、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシからなる群から選択される置換基で置換され、そして
3は、水素、メチル、塩素、メトキシ又はトリフルオロメチルを表す]
の化合物のメタンスルホン酸とのジメシル酸塩、又はこれらの溶媒和物若しくは水和物。
【請求項2】
以下の式
【化2】
を有する、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
粉末XRD回折図において、6.37、11.77、12.56、17.17、18.81、20.34、21.47、23.04、及び35.46°(2θ)に特徴的なピークを示す、−(1−メチル−2−{[4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−トリフルオロメトキシフェニル]尿素ジメシラートの結晶形態
【請求項4】
図1
に表される粉末XRD回折図により特徴付けられる、−(1−メチル−2−{[4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−トリフルオロメトキシフェニル]尿素ジメシラートの結晶形態
【請求項5】
式(I)の化合物又はメタンスルホン酸のジメシル酸塩ではない式(I)の化合物の酸性塩と、メタンスルホン酸又はメタンスルホン酸イオン源との溶媒中での反応させることを含む、請求項1に記載の式(I)の化合物の塩の製造方法。
【請求項6】
少なくとも一つの不活性な、非毒性の医薬的に好適なアジュバントとの組み合わせにおける、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩を含む、医薬品。
【請求項7】
5〜12.5mg/mlの前記塩、50〜150mg/mlのヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、0.5〜2.0mg/mlの酢酸ナトリウム、及び水、及び任意で他の医薬的に有害でないアジュバントを含む、請求項6に記載の医薬品。
【請求項8】
疾患の治療及び/又は予防のための、請求項6又は7に記載の医薬品。
【請求項9】
前記疾患がウイルス感染である、請求項8に記載の医薬品。
【請求項10】
前記ウイルス感染が、ルペスウイルス科のウイルスによる感染である、請求項9に記載の医薬品。
【請求項11】
前記ヘルペスウイルス科のウイルスはHCMVである、請求項10に記載の医薬品。
【請求項12】
ウイルス感染の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のための請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩の使用。
【請求項13】
前記ウイルス感染が、ルペスウイルス科のウイルスによる感染である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記ヘルペスウイルス科のウイルスはHCMVである、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式
【0002】
【化1】
【0003】
[式中、
1は、メチル、エチル、ブチル又はシクロプロピルメチルを表し、
2は、フェニルを表し、ここで、フェニルは、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシからなる群から選択される置換基で置換され、そして
3は、水素、メチル、塩素、メトキシ又はトリフルオロメチルを表す。]
の化合物の塩に関する。
【0004】
本発明は、さらに、これらの生産、疾患の治療及び/又は予防のためのこれらの使用、及び疾患の治療及び/又は予防のための医薬品の生産のためのこれらの使用、特にサイトメガロウイルスに対する抗ウイルス剤としての使用のための方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
式(I)の化合物は、例えば、国際公開第2006/089664号から知られており、出願人により、抗ウイルス的に有効な物質、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)による感染と闘うための有望な候補として開発された。しかしながら、開発において、水性溶媒及び強い極性溶媒において、該物質は、十分でない可溶性を示すことが示されている。該化合物は、該プロセスが、HCl塩のin−situ形成から開始され得るヒトの胃において存在する条件下においても(約0.1M HCl、pH約1)十分でない可溶性を示す点で、可溶性に関する問題はさらに強まる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明の目的は、式(I)の化合物の遊離塩基と比べて、著しく改善された可溶性を示す塩を記載することである。さらに、これらの塩はまた、通常の保存条件下で長期間にわたり、安定的であるべきである。特に、該化合物は、何等の上昇した吸湿性を示すべきではない。また、該塩は、希HCL溶液の存在下において、ヒトの胃において存在する条件下でさえ、素早く、且つ均一な放出を確実にするために、ゆっくりとHCl塩に変換されるべきである。
【0007】
驚くべきことに、式(I)の化合物の有機スルホン酸塩は、該遊離塩基と比較して、優れた可溶性、且つ式(I)の化合物の他の塩の広いスペクトルを示すことを発見した。さらに、これらの塩は、薬物療法において使用のために必要な長期安定性も示した。加えて、本発明の塩はまた、ヒトの胃におけるものに対応する条件下で、高く、且つ均一な可溶性を示すことが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の塩の粉末XRD回折図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の主題は、式(I)の化合物の有機スルホン酸との塩、又はこれらの溶媒和物若しくは水和物である。
【0010】
本発明の範囲内で、有機スルホン酸の塩は、式(I)の化合物と有機スルホン酸との反応の付加物である。これに関連して、式(I)の化合物及び有機スルホン酸は、任意の比で存在してもよい。この場合、該比は、好ましくは、整数である(例えば、1:1、1:2、1:3、3:1、2:1)。この場合、これらの塩は、式(I)の化合物と有機スルホン酸との直接的な反応により、あるいは式(I)の化合物の他の酸の塩の生産に続く対イオンの交換により生産することができる。
【0011】
本発明の範囲内で、溶媒分子の配位により錯体を形成する本発明による化合物のこれらの形態は、溶媒和物と称される。水和物は、水により配位が行なわれる溶媒和物の特殊な形態である。
【0012】
本発明の範囲内で、有機スルホン酸がメタンスルホン酸である塩は、好ましい。
【0013】
本発明の範囲内で、ジメシル酸塩は、特に好ましい。
【0014】
本発明の範囲内で、以下の式:
【0015】
【化2】
【0016】
を有する塩は、好ましい。
【0017】
本発明の範囲内で、特に、粉末XRD回折図において、約6.37、11.77、12.56、17.17、18.81、20.34、21.47、23.04、35.46°(2−θ)に特徴的なピークを示す、結晶性N−(1−メチル−2−{[4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−トリフルオロメトキシフェニル]尿素 ジメシラートは、好ましい。
【0018】
本発明の範囲内で、図1に本質的に表されるような粉末XRD回折図を示す、結晶性N−(1−メチル−2−{[4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−トリフルオロメトキシ−フェニル]尿素 ジメシラートは、更に好ましい。
【0019】
本発明の塩は、一般的に、溶媒中での式(I)の化合物と有機スルホン酸との反応により、生産される。
【0020】
溶媒中で、有機スルホン酸の塩ではない式(I)の化合物の酸性塩と、有機スルホン酸のスルホン酸アニオン源との反応により、本発明の塩を生産することは、更に可能である。
【0021】
後者の場合では、スルホン酸アニオン源は、有機スルホン酸又は有機スルホン酸の塩でもよい。
【0022】
本発明の主題は、従って、更に、溶媒中での、式(I)の化合物又は有機スルホン酸の酸性塩ではない式(I)の化合物の塩と、有機スルホン酸又は有機スルホン酸アニオン源との反応を含む、式(I)の化合物の有機スルホン酸塩の生産のための方法に関する。
【0023】
溶媒は、好ましくは、溶媒中での式(I)の化合物又は有機スルホン酸塩ではない式(I)の化合物の塩の可溶性と、有機スルホン酸又はスルホン酸アニオンの源の優れたバランスを提供する様なかかる方法において選択される。好ましくは、用いられる溶媒中の本発明の塩は、可能な限り難溶性であるべきである。しかしながら、任意で、本発明の塩を、対溶媒(counter solvent)を添加することにより、沈殿させてもよい。
【0024】
本発明の塩の生産のための用いられる溶媒の例としては、即ちアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、及びブタノール;エーテル、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン若しくはテトラヒドロフラン;炭化水素、例えばベンゼン若しくはトルエン;又は他の溶媒、例えばアセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、へプタン、ジメチルスルホキシド若しくはジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0025】
任意で、本発明の塩を沈殿させるために、対溶媒は添加される。かかる対溶媒の例としては、即ち水及びアルコール、例えばメタノール、エタノール、又はプロパノールが挙げられる。
【0026】
このようにして本発明により得られる塩は、適用にこれらの物理的特性を更に適合させるために、任意で更に処理、例えば、再結晶、微粉化をすることができる。
【0027】
本発明の塩の生産に用いられるヘテロシクリルアミド置換イミダゾールは知られており、例えば、国際公開第2006/089664号に記載される方法に従って生産され得る。
【0028】
特に、用いられるヘテロシクリルアミド置換イミダゾールの生産は、式
【0029】
【化3】
【0030】
[式中、
1及びR2は、上記に定義される通りであり、
4は、メチル又はエチルを表す]
の化合物と、第一工程において塩基と、そして第二工程において、脱水試薬の存在下での、式
【0031】
【化4】
【0032】
[式中、
3は、上記に定義される通りである]
の化合物との反応により行なわれる。
【0033】
第一工程における反応は、一般的に、不活性溶媒中で、好ましくは通常の圧力において溶媒の還流が生じるまで、0℃の温度範囲において、行なわれる。
【0034】
塩基は、例えば、水酸化アルカリ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム若しくは水酸化カリウム、又は炭酸アルカリ、例えば炭酸セシウム、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウムである。この場合、水酸化ナトリウムは好ましい。
【0035】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばメチレンクロリド、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン若しくはトリクロロエチレン;エーテル、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、若しくはジエチレングリコールジメチルエーテル;アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール若しくはtert−ブタノール;炭化水素、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン若しくは原油画分;又は他の溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル若しくはピリジン、又は溶媒と水との混合物である。溶媒としては、エタノールと水との混合物が好ましい。
【0036】
第二工程における反応は、一般的に、不活性溶媒中で、任意で塩基の存在下で、好ましくは通常の圧力において、−70℃〜40℃の温度範囲にて行なわれる。
【0037】
本明細書において、脱水試薬としては、例えば、カルボジイミド、例えばN,N’−ジエチル−,N,N’−ジプロピル−,N,N’−ジイソプロピル−,N,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N’−エチルカルボジイミド−塩酸塩(EDC)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチル−ポリスチレン(PS−カルボジイミド);又はカルボニル化合物、例えばカルボニルジイミダゾール;又は1,2−オキサゾリウム化合物、例えば2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−硫酸塩若しくは2−tert−ブチル−5−メチル−イソキサゾリウム−過塩素酸塩;又はアシルアミノ化合物、例えば2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、若しくはプロパンホスホン酸無水物、若しくはイソブチルクロロホルメート、若しくはビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリド若しくはベンゾトリアゾリルオキシ−トリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、若しくはO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)若しくはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、若しくは1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBt)若しくはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)又は塩基を含む後者の混合物は、好ましい。
【0038】
塩基は、例えば炭酸アルキル、例えば炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム、若しくは炭酸水素カリウム;又は有機塩基、例えばトリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジン、若しくはジイソプロピルエチルアミン、若しくはDBU、DBN、又はピリジンであり;N−メチルモルホリンは好ましい。
【0039】
プロパンホスホン酸無水物(T3P)との縮合は、好ましくはN−メチルモルホリン(NMM)の存在下で行なわれる。
【0040】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばメチレンクロリド、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン若しくはトリクロロエチレン;エーテル、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、若しくはジエチレングリコールジメチルエーテル;炭化水素、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン若しくは原油画分;又は他の溶媒、例えば酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ブタノン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル若しくはピリジンであり、水混和性溶媒の場合、それと水との混合物であり;ジメチルホルムアミドは好ましい。
【0041】
式(II)の化合物は知られており、あるいは式(IV)
【0042】
【化5】
【0043】
[式中、R1及びR4は、上記で定義された通りである]
の化合物を、第一工程において還元剤と、そして第二工程において炭酸誘導体の存在下で式
【0044】
【化6】
【0045】
[式中、R2は、上記で定義された通りである]
の化合物と反応させ、あるいは第二工程において式
【0046】
【化7】
【0047】
[式中、R2は、上記で定義された通りである]
の化合物と反応させることにより生産することができる。
【0048】
この場合、該反応は、第一工程において一般的に、不活性溶媒中で、好ましくは最大3barまでの通常の圧力において溶媒の還流が生じるまで、0℃の温度範囲において、行なわれる。
【0049】
還元剤は、例えば、パラジウム炭素及び水素、ギ酸/トリエチルアミン/パラジウム炭素、亜鉛、亜鉛/塩酸、鉄、鉄/塩酸、硫酸鉄(II)/塩酸、硫化ナトリウム、二硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、ポリ硫化アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム/塩化ニッケル、二塩化錫、三塩化チタン又はラネーニッケル及びヒドラジン水溶液であり;ラネーニッケル及びヒドラジン水溶液、パラジウム炭素及び水素又はギ酸/トリエチルアミン/パラジウム炭素は好ましい。
【0050】
不活性溶媒は、例えば、エーテル、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、若しくはジエチレングリコールジメチルエーテル;アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール若しくはtert−ブタノール;炭化水素、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン若しくは原油画分;又は他の溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル若しくはピリジンであり、水混和性溶媒の場合、それと水との混合物である。溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロパノールは好ましく、あるいはラネーニッケル及び水性ヒドラジン溶液の場合、テトラヒドロフランは好ましい。
【0051】
第一の変形による第二工程における反応は、一般的に、不活性溶媒中で、好ましくは通常の圧力において、室温から最大40℃の温度範囲にて行なわれる。
【0052】
炭酸誘導体は、例えば、N,N−カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン,クロロギ酸フェニル,又はクロロギ酸−4−ニトロフェニルエステルであり;N,N−カルボニルジイミダゾールは好ましい。
【0053】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばメチレンクロリド、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン若しくはトリクロロエチレン;エーテル、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、若しくはジエチレングリコールジメチルエーテル;炭化水素、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン若しくは原油画分;又は他の溶媒、例えば酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ブタノン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル若しくはピリジンであり、水混和性溶媒の場合、それと水との混合物であり;ジメチルスルホキシドは好ましい。
【0054】
第二の変形による第二工程における反応は、一般的に、不活性溶媒中で、任意で塩基の存在下で、好ましくは室温から通常の圧力において溶媒の還流が生じるまでの温度範囲において、行なわれる。
【0055】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばメチレンクロリド、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン若しくはトリクロロエチレン;エーテル、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、若しくはジエチレングリコールジメチルエーテル;炭化水素、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン若しくは原油画分;又は他の溶媒、例えば酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ブタノン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル若しくはピリジンであり;テトラヒドロフラン又はメチレンクロリドは好ましい。
【0056】
塩基は、例えば、炭酸アルカリ、例えば炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、若しくは炭酸カリウム、若しくはカリウム−tert−ブタノエート、又は他の溶媒、例えば水素化ナトリウム、DBU、トリエチルアミン、又はジイソプロピルエチルアミン、好ましくはトリエチルアミンである。
【0057】
式(IV)の化合物は知られており、あるいは、式
【0058】
【化8】
【0059】
[式中、R1及びR4は、上記で定義された通りである]
の化合物を、任意で溶媒として無水酢酸の存在下で、好ましくは通常の圧力で、室温から最大60℃の温度範囲で発煙硝酸、濃硝酸、硝化酸、又は硫酸及び硝酸の他の混合比と反応させることにより生産することができる。
【0060】
式(III)、(IV)、(V)、(VII)の化合物は、知られており、あるいは、既知の方法に従って、対応する抽出物から合成され得る。
【0061】
本発明の塩の生産のために用いられるヘテロシクリルアミド置換イミダゾールの生産は、下記の合成ダイアグラムにおける実施例により、より詳細に例示される。これに関連して、合成ダイアグラムは、実施例の方法により純粋に定義され、決して限定されない。
【0062】
【化9】
【0063】
本発明による塩は、ヘルペスウイルス科(ヘルペスウイルス)の群の代表、主にサイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に対して抗ウイルス作用を示す。これらは、従って、疾患、主にウイルス、特に本明細書で言及されるウイルスによる感染、及び結果として生じる感染疾患の治療及び/又は予防に適する。本明細書では、ウイルス感染は、ウイルスによる感染及びウイルスによる感染により引き起される疾患の双方として定義される。
【0064】
本発明による塩を、疾患、特にウイルス感染の予防及び/又は治療に適した医薬品の製造のためのこれらの特別な性質に基づいて用いることができる。
【0065】
適応症の種類としては、以下:
1)AIDS患者におけるHCMV感染(網膜炎、肺炎、胃腸感染症)の治療及び予防
2)HCMV肺炎、HCMV脳炎、並びに胃腸及び全身性HCMV感染の生死に関わる形態にしばしば罹患する、骨髄及び臓器移植患者におけるサイトメガロウイルス感染の治療及び予防
3)新生児及び幼児におけるHCMV感染の治療及び予防
4)妊婦における急性HCMV感染の治療
5)癌に罹患した免疫抑制患者及び癌療法におけるHCMV感染の治療
が挙げられる。
【0066】
HCMVが仲介する腫瘍(J. Cinatl, et al., FEMS Microbiology Reviews 2004, 28, 59-77を参照のこと)の進行を抑制する目的を有するHCMV陽性癌患者の治療。
【0067】
医薬品の製造のための本発明による塩は、ヘルペスウイルス科の群の代表、特にサイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルスによる感染の予防及び/又は治療のために用いられる。
【0068】
これらの薬理学的特性に単独に基づいて、そして必要であれば、他の活性成分、特に抗ウイルス活性成分、例えばバルガンシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、アシクロビル、フォスカネット、シドファビル、及び関連する誘導体と組み合わせて、本発明による塩を、ウイルス感染、特にHCMV感染の治療及び/又は予防に用いることができる。
【0069】
本発明の別の主題は、疾患、好ましくはウイルス感染、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)又はヘルペスウイルス科の群の別の代表による感染の治療及び/又は予防のための方法における本発明の塩の使用である。
【0070】
本発明の別の主題は、疾患、特に上述の疾患の治療及び/又は予防のための本発明の塩の使用である。
【0071】
本発明の別の主題は、疾患、特に上述の疾患の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のための本発明の塩の使用である。
【0072】
本発明の別の主題は、抗ウイルス的有効量の本発明の塩の使用を含む、疾患、特に上述の疾患の治療及び/又は予防のための方法である。
【0073】
本発明による塩は、全身及び/又は局所効果を有し得る。この目的のために、これらを、好適な方法により、例えば以下の方法、例えば、経口、非経口、肺、鼻、舌下腺、舌、頬、直腸、皮膚、経皮、結膜、耳により、又は埋め込み若しくはステントとして投与することができる。
【0074】
これらの投与方法については、本発明による塩を、投与の好適な形態において投与することができる。
【0075】
経口投与については、速効性の及び/又は改変された方法で本発明の塩もたらし、そして結晶及び/又は非晶質及び/又は溶解した形態における本発明の化合物を含む投与の形態、例えば錠剤(例えば胃酸耐性、又は緩速溶解性、又は不溶性コーティングを有する非被覆錠剤若しくは被覆錠剤、これらは本発明の化合物の放出を制御する)、腔内で迅速に溶解する錠剤若しくはフィルム/ウエハー、フィルム/凍結乾燥物、カプセル(例えば、硬カプセル又は軟カプセル)、被覆錠剤、顆粒、小粒、粉末、エマルジョン、懸濁液、エアロゾル又は溶液は、本技術分野の状態によれば、適している。
【0076】
非経口投与は、再吸収工程を経ることにより(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内又は腰椎内により)、あるいは再吸収をふくむことにより(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮又は腹腔内により)行なわれ得る。非経口投与のために、とりわけ溶液、懸濁液、エマルジョン、凍結乾燥物、又は滅菌粉末の形態における注射、注入調製物は、投与の形態に適する。
【0077】
他の投与方法については、例えば、医薬の吸入形態(特に、粉末吸入器、ネブライザー)、点鼻剤、鼻用溶液、鼻用スプレー;舌、舌下、又は頬に投与するための錠剤;フィルム/ウエハー若しくはカプセル、座薬、耳若しくは眼調製物、膣カプセル、水性懸濁液(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁液、軟膏、クリーム、経皮治療系、乳液、ペースト、泡状物、散在性粉末、埋込物又はステントは適している。
【0078】
本発明による塩は、引用される投与の形態に変換することができる。これは、不活性で非毒性の医薬的に好適なアジュバントと混合することにより当該技術分野において知られている方法により行なわれ得る。これらのアジュバントは、とりわけ、ビヒクル(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤及び分散剤又は湿潤剤(例えば、硫酸ドデシルナトリウム、ポリオキシソルビタノレート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成及び天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定化剤(例えば、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸)、色素剤(例えば、無機色素、例えば、酸化鉄)、及び香料、及び/又は香り矯正剤である。
【0079】
本発明の範囲内で、5〜12.5mg/mlの本発明の塩、50〜150mg/mlのヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、0.5〜2.0mg/mlの酢酸ナトリウム、及び水、並びに任意で他の医薬的に無害のアジュバントを有する医薬品は好ましい。
【0080】
本発明の他の主題は、1又は複数の不活性で非毒性の医薬的に好適なアジュバントとともに、少なくとも1つの本発明の塩を含む医薬品、並びに上述の目的のためのこれの使用である。
【0081】
一般的に、静脈投与の場合、有効的な結果を達成するために、体重の約0.001〜10mg/kg、好ましくは約0.01〜5mg/kgの純粋な活性成分に対応する量を投与することが、有利であることが証明されている。経口投与の場合、計量は、通常、体重の約0.01〜25mg/kg、好ましくは0.1〜10mg/kgである。
【0082】
とは言え、特に、体重、投与方法、活性成分に対する個人の挙動、調合の種類、及び投与が行なわれる時間又は間隔に基づいて、任意で、上述の量から逸脱することが必要であってもよい。従って、場合によっては、上述の最低量よりも少ない量で十分であってもよい一方で、他の場合においては、上述の上限を超えるべきであってもよい。多量の投与の場合、後者を1日に亘る数回の個別の投与に分散させることが望ましい。
【0083】
本発明は、以下の実施例に基づいて、そして添付の図面の参照により、より詳細に説明される。ここで、図1は、実施例1の塩の粉末XRD回折図を示す。
【0084】
以下の試験及び実施例中の百分率は、他に示されない場合、重量百分率;即ち部分は重量による部分である。溶媒比、希釈比及び液体/液体溶液の濃度情報は、何れの場合も容量に対応する。
【実施例】
【0085】
実施例
用いられる略語:
Ex. 実施例
TLC 薄層クロマトグラフィー
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
d.Th. 理論上
EI 電子衝撃イオン化(MS)
ESI 電子スプレーイオン化(MS)
h 時間
HPLC 高圧、高性能液体クロマトグラフィー
LC−MS 液体クロマトグラフィー−結合質量分析計
MS 質量分析法
NMR 核磁気共鳴分光法
RP−HPLC 逆相HPLC
RT 室温
t 保持時間(HPLC)
TBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン
【0086】
HPLC−及びLC−MS方法:
方法1(LC−MS):装置:HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶出液A:1lの水+0.5mlの50%ギ酸、溶出液B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%ギ酸;勾配:0.0分 90%A→2.5分 30%A→3.0分 5%A→4.5分 5%A;流速:0.0分 1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208〜400nm。
【0087】
方法2(LC−MS):装置:HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Platform LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶出液A:1lの水+0.5mlの50%ギ酸、溶出液B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%ギ酸;勾配:0.0分 90%A→2.5分 30%A→3.0分 5%A→4.5分 5%A;流速:0.0分 1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0088】
方法3(LC−MS):デバイス型 MS:Micromass ZQ;デバイス型 HPLC:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶出液A:1lの水+0.5mlの50%ギ酸、溶出液B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%ギ酸;勾配:0.0分 90%A→2.5分 30%A→3.0分 5%A→4.5分 5%A;流速:0.0分 1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0089】
方法4(LC−MS):デバイス型 MS:Micromass ZQ;デバイス型 HPLC:HP 1100 Series;UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶出液A:1lの水+0.5mlの50%ギ酸、溶出液B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%ギ酸;勾配:0.0分 90%A→2.5分 30%A→3.0分 5%A→4.5分 5%A;流速:0.0分 1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0090】
方法5(分析HPLC):カラム:Kromasil 100 RP-18、60 mm x 2.1 mm、3.5 μm;溶出液A:水+0.5%過塩素酸(70%)、溶出液B:アセトニトリル;勾配:0分 2%B、0.5分 2%B、4.5分 90%B、9分 90%B、9.2分 2%B、10分 2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;検出:UV 210nm。
【0091】
出発化合物
実施例1A
1−(シクロプロピルメチル)−4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−1H−イミダゾール−2−カルボン酸
【0092】
【化10】
【0093】
工程1
1−(シクロプロピルメチル)−4−ニトロ−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【0094】
【化11】
【0095】
15g(81mmol)の4−ニトロ−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステルを、アルゴン雰囲気下で、DMF中13.13g(97.2mmol)のシクロプロピルメチルブロミド及び22.4g(162mmol)の炭酸カリウムと80℃で1時間撹拌する。冷却後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機相を水で1回、そして飽和塩化ナトリウム溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下での蒸発により濃縮する。結晶残留物を次の反応のために直ぐに再利用する。
収量:17.59g(理論上70%)
LC-MS (方法 1): Rt = 2.02分.
MS (ESI+): m/z = 240 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.2 (s, 1H), 4.4 (q, 2H), 4.3 (d, 2H), 1.4 (m, 4H), 0.55 (q, 2H), 0.45 (q, 2H) ppm.
【0096】
工程2
4−アミノ−1−(シクロプロピルメチル)−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【0097】
【化12】
【0098】
3.89g(16.26mmol)の1−(シクロプロピルメチル)−4−ニトロ−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステルを50mlのTHFに溶解し、スパチュラの先端一杯の量のラネーニッケルと混合する。反応混合物を室温において水素化装置中で水素により水素化する。結晶を濾過し、濾液を真空下で蒸発により濃縮する。蒸発残余物を次の反応のために直ぐに再利用する。
収量:3.46g(理論上100%)
LC-MS (方法 2): Rt = 1.21分.
MS (ESI+): m/z = 210 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 6.55 (s, 1H), 4.55 (s, 2H), 4.2 (q, 2H), 4.1 (d, 2H), 1.25 (tr, 3H), 1.2 (m, 1H), 0.5 (q, 2H), 0.3 (q, 2H) ppm.
【0099】
工程3
4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−1−(シクロプロピルメチル)−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【0100】
【化13】
【0101】
7.49g(35.8mmol)の4−アミノ−1−(シクロプロピルメチル)−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステルをアルゴン雰囲気で18mlのTHF中で、6g(35.8mmol)の4−(トリフルオロメトキシ)フェニルイソシアネートと混合し、室温で4時間撹拌する。反応混合物を真空下で蒸発により濃縮し、この場合において結晶化する生成物を40mlの酢酸エチル中で撹拌し、吸引する。
収量:11.1g(理論上82%)
LC-MS (方法 1): Rt = 2.66分.
MS (ESI+): m/z = 376 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 9.45 (s, 1H), 8.0 (d, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.3 (d, 1H), 7.2 (dd, 1H), 4.3 (q, 2H), 4.25 (d, 2H), 2.25 (s, 3H), 1.3 (tr, 3H), 1.25 (m, 1H), 0.55 (q, 2H), 0.35 (q, 2H) ppm.
【0102】
工程4
4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−1−(シクロプロピルメチル)−1H−イミダゾール−2−カルボン酸
【0103】
【化14】
【0104】
10.6g(28.1mmol)の4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−カルボニル)アミノ]−1−(シクロプロピルメチル)−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステルを158mlのエタノール中で懸濁する。氷で冷却しながら16.4mlの水及び6ml(112mmol)の50%水酸化ナトリウム水溶液を添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後、真空下で蒸発により濃縮する。残余物を100mlのイソプロパノールに溶解し、氷で冷却しながら100mlの1N塩酸で混合する。結晶を吸引し、40℃において真空下で乾燥させる。
収量:9.85g(理論上100%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.74分.
MS (ESI+): m/z = 349 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.4 (s, 1H), 8.0 (d, 1H), 7.3 (s, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.2 (dd, 1H), 4.25 (d, 2H), 2.25 (s, 3H), 1.25 (m, 1H), 0.55 (q, 2H), 0.35 (q, 2H) ppm.
【0105】
実施例2A
1−ブチル−4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−1H−イミダゾール−2−カルボン酸
【0106】
【化15】
【0107】
生産は実施例1Aと同様に行なった。
収量:2.05g(理論上96%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.96分.
MS (ESI+): m/z = 387 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 9.0 (s, 1H), 8.9 (s, 1H), 7.55 (d, 2H), 7.3 (s, 1H), 7.25 (d, 1H), 4.35 (tr, 2H), 1.7 (quintet, 2H), 1.25 (sextet, 2H), 0.9 (tr, 3H) ppm.
【0108】
実施例3A
1−メチル−4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【0109】
【化16】
【0110】
1.22g(3.61mmol)の4−アミノ−1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステル(実施例1A、工程3と同様に、あるいはtetrahedron Lett. 2003, 44, 1607及びこれらの引用文献のいずれかに従って合成)をアルゴン雰囲気下で、50mlのTHF中で、1.46g(7.21mmol)の4−(トリフルオロメトキシ)フェニルイソシアネートと混合し、室温で一晩撹拌する。反応混合物を濾過し、濾液を真空下で蒸発により濃縮し、そしてクロマトグラフィーでこれを精製する。
収量:860mg(理論上62%)
LC-MS (方法 4): Rt = 2.41分.
MS (ESI+): m/z = 373 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.98 (bs, 2H), 7.55 (m, 2H), 7.36 (s, 1H), 7.29 (m, 2H), 4.28 (q, 2H), 3.91 (s, 3H), 1.30 (t, 3H).
【0111】
実施例4A
1−メチル−4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−1H−イミダゾール−2−カルボン酸
【0112】
【化17】
【0113】
835mg(2.13mmol)の1−メチル−4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−アミノ}カルボニル)アミノ]−1H−イミダゾール−2−カルボン酸エチルエステル(実施例3A)を5mlのエタノール及び12mlのテトラヒドロフラン中で懸濁する。氷で冷却しながら、2ml(25mmol)の50%水酸化ナトリウム水溶液を添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌し、その後氷で冷却しながら、1N塩酸で酸性にする。溶液をジクロロメタンで抽出する。有機相を真空下で蒸発により濃縮する。残余物を調製用HPLCにより精製する。
【0114】
収量:346mg(理論上44%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.62分.
MS (ESI+): m/z = 345 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.33 (bs, 1H), 8.98 (bs, 1H), 7.55 (m, 2H), 7.30 (s, 1H), 7.28 (m, 2H), 3.90 (s, 3H).
【0115】
実施例5A
1−エチル−4−[({[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−1H−イミダゾール−2−カルボン酸
【0116】
【化18】
【0117】
生産は実施例4Aと同様に行なった。
収量:425mg(理論上91%)
LC-MS (方法 4): Rt = 1.94分.
MS (ESI+): m/z = 359 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 10.3 (bs, 1H), 7.67 (m, 2H), 7.24 (s, 1H), 7.20 (m, 2H), 4.45 (q, 2H), 1.33 (t, 3H).
【0118】
実施例6A
4−[({[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボン酸
【0119】
【化19】
【0120】
生産は実施例4Aと同様に行なった。
収量:964mg(理論上81%)
HPLC (方法 5): Rt = 3.57分.
MS (ESI+): m/z = 327 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.9 (s, 1H), 8.8 (s, 1H), 7.5 (d, 2H), 7.3 (s, 2H), 7.1 (t, 1H), 7.09 (d, 2H), 3.9 (s, 3H).
【0121】
実施例7A
1−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン
【0122】
【化20】
【0123】
工程1
1−(tert−ブチルオキシカルボニル)−4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン
【0124】
【化21】
【0125】
アルゴン雰囲気下で、2.50g(19.6mmol)の2−メチル−5−クロロピリジン及び4.38g(23.5mmol)のN−(tert−ブチルオキシカルボニル)−ピペラジンを50mlの純トルエンに溶解する。その後2.26g(23.5mmol)のtert−酪酸ナトリウム、0.37g(0.59mmol)のBINAP、及び0.36g(0.39mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウムを添加し、これを70℃で12時間加熱する。冷却後、反応混合物をジエチルエーテルと混合し、飽和塩化ナトリウム溶液で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして溶媒を真空下で除去する。残余物をフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル9:1)で精製する。
【0126】
別の方法として、触媒として酢酸パラジウム(II)の使用によっても、結合反応を行なうことができる。
収量:5.27g(理論上97%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.26分.
MS (ESI+): m/z = 278 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 8.02 (d, 1H), 7.34 (dd, 1H), 6.59 (d, 1H), 3.55 (m, 4H), 3.45 (m, 4H), 2.21 (s, 3H), 1.49 (s, 9H).
【0127】
工程2
1−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン
【0128】
【化22】
【0129】
3.47g(12.5mmol)の1−(tert−ブチルオキシカルボニル)−4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジンを10mlのジオキサンに溶解し、31ml(125mmol)のジオキサン(4mol)中塩化水素と混合する。これを室温で2時間撹拌する。その後、これを蒸発により濃縮し、残余物を1M水酸化ナトリウム溶液でアルカリ化し、ジクロロメタンで数回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発により濃縮し、真空下で乾燥させる。
【0130】
別の方法として、実施例7Aの化合物を塩酸塩の形態において単離することができる。
収量:2.18g(理論上98%)
LC-MS (方法 4): Rt = 0.38分.
MS (ESI+): m/z = 177 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 8.02 (d, 1H), 7.32 (dd, 1H), 6.59 (d, 1H), 3.45 (m, 4H), 3.00 (m, 4H), 2.20 (s, 3H).
【0131】
実施例8A
N−{1−メチル−2−[(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)カルボニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−N’−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]尿素
【0132】
【化23】
【0133】
1.50g(4.36mmol)の実施例4Aの化合物を30mlのDMFに溶解し、1.82g(5.66mmol)のO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)及び266mg(2.18mmol)の4−ジメチルアミノピリジンと混合する。925mg(5.66mmol)の1−(ピリジン−2−イル)−ピペラジンを添加後、これを室温で4時間撹拌する。反応混合物をRP−HPLCにより精製する。
【0134】
収量:1.79g(理論上83%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.83分.
MS (ESI+): m/z = 490 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.89 (bs, 2H), 8.12 (d, 1H), 7.55 (m, 3H), 7.29 (m, 2H), 7.20 (s, 1H), 6.88 (d, 1H), 6.68 (dd, 1H), 4.02 (bs, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.71 (bs, 2H), 3.58 (bs, 4H).
【0135】
実施例9A
N−(1−メチル−2−{[4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]尿素
【0136】
【化24】
【0137】
5.6g(26.14mmol)の実施例7Aの化合物及び13.22g(130.7mmol)のN−メチルモルホリンを110mlの酢酸エチル中9.0g(26.14mmol)の実施例4Aの化合物の溶液に添加し、そして反応混合物を0℃に冷却する。16.63g(52.26mmol)のプロパンホスホン酸無水物(T3P)を反応溶液に90分に亘り添加し、そして得られた懸濁液をこの温度でさらに10分間撹拌する。反応混合物をその後60分間に亘り、20℃まで加熱し、この温度で一晩撹拌する。未反応のT3Pを45mlの水の添加によりクエンチし、反応混合物をさらに10分間撹拌する。その後、相を分離し、有機層を水(3x45ml)で数回洗浄し、これはpH5に設定される。合わせた水相を酢酸エチルで1回以上洗浄し、合わせた有機層を45mlの炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発により濃縮する。得られた粗生成物をエタノールからの再結晶させ、その後、淡黄色固体として最終生成物を得る。
【0138】
収量:8.42g(理論上64%)
LC-MS (方法 4): Rt = 2.01分.
MS (ESI+): m/z = 504 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.92 (bs, 2H), 7.99 (d, 1H), 7.54 (m, 2H), 7.42 (dd, 1H), 7.28 (m, 2H), 7.20 (s, 1H), 6.80 (d, 1H), 4.00 (bs, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.72 (bs, 2H), 3.51 (bs, 4H), 2.16 (s, 3H).
【0139】
実施例10A
N−(2−{[4−(5−クロロピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}−1−エチル−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]尿素
【0140】
【化25】
【0141】
生産は実施例5A〜9Aと同様に行なった。
収量:55mg(理論上68%)
LC-MS (方法 4): Rt = 2.76分.
MS (ESI+): m/z = 538 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.97 (bs, 1H), 8.92 (bs, 1H), 8.14 (d, 1H), 7.65 (dd, 1H), 7.54 (m, 2H), 7.28 (m, 2H), 7.24 (s, 1H), 6.92 (d, 1H), 4.16 (q, 2H), 3.97 (bs, 2H), 3.72 (bs, 2H), 3.59 (bs, 4H), 1.32 (t, 3H).
【0142】
実施例11A
N−(2−{[4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}−1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]尿素
【0143】
【化26】
【0144】
生産は実施例4A〜9Aと同様に行なった。
収量:35mg(理論上58%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.24分.
MS (ESI+): m/z = 519 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.89 (bs, 2H), 7.53 (m, 2H), 7.28 (m, 2H), 7.19 (s, 1H), 6.92 (m, 2H), 6.84 (m, 2H), 4.05 (bs, 2H), 3.75 (m, 5H), 3.69 (s, 3H), 3.08 (bs, 4H).
【0145】
実施例12A
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−(1−メチル−2−{[4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)尿素
【0146】
【化27】
【0147】
生産は実施例6A〜9Aと同様に行なった。
収量:17mg(理論上29%)
LC-MS (方法 4): Rt = 1.70分.
MS (ESI+): m/z = 486 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.84 (bs, 1H), 8.77 (bs, 1H), 7.98 (d, 1H), 7.47 (m, 2H), 7.42 (dd, 1H), 7.18 (s, 1H), 7.11 (t, 1H), 7.10 (m, 2H), 6.80 (d, 1H), 4.01 (bs, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.71 (bs, 2H), 3.50 (bs, 4H), 2.16 (s, 3H).
【0148】
表1の実施例を、実施例8Aと同様に生産する。
【0149】
【表1】
【0150】
実施形態
実施例1
N−(1−メチル−2−{[4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−トリフルオロメトキシフェニル]尿素 ジメシラート
【0151】
【化28】
【0152】
全ての操作を窒素ガス雰囲気下で行なった。反応ベッセル中で、3,202gの実施例9Aの化合物(6.36mol、1当量)を15lのTHF及び1lの水からなる混合物と混合する。得られた懸濁液を60℃までゆっくりと加熱し、その後、この温度で30分間撹拌する。1,252gのメタンスルホン酸(13.03mol、2.05当量)を添加し、形成される黄色がかった溶液に添加し、その後N−(1−メチル−2−{[4−(5−メチル−ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−トリフルオロメトキシフェニル]尿素 ジメシラートを添加する。さらに30lのTHFを結晶性N−(1−メチル−2−{[4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−カルボニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−N’−[4−トリフルオロメトキシフェニル]尿素ジメシラートから生成される懸濁液に2時間かけて添加する。懸濁液をゆっくりと20℃まで冷却し、その後さらに12時間この温度で撹拌する。形成される結晶を真空濾過により回収し、そして反応器をTHF、そしてその後n−へプタンでフラッシュし、これらの有機層を、その後結晶を洗浄するために用いる。最終的に、結晶を、真空、且つ窒素流下で、フィルター上で乾燥させる。4,262g(収量:96.4%、純度>99%)の所望のジメシル酸塩を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.07 (s, 1H), 8.98 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.92 (d, 1H), 7.56 (d, 2H), 7.41 (d, 1H), 7.33-7.24 (m, 3H), 4.18 (s, br., 2H), 3.92-3.69 (m, 9H), 2.43-2.39 (s, 6H), 2.25 (s, 3H).
【0153】
図1に表すX線回折図は、Rigaku MiniFlex粉末XRD分光計の使用により記録した。
【0154】
実施例8A及び実施例10A〜15Aの化合物は、同様の方法によりジメシル酸塩に変換することができる。
【0155】
溶解度試験
20mgの実施例1の化合物、並びに比較のための実施例9Aの化合物のクエン酸塩、マレイン酸塩、硫酸塩、及び酒石酸塩、並びに1、2及び4当量の塩酸により生成された実施例9Aの塩酸塩、並びに遊離塩基をマグネチックスターらが備えられたHPLCガラスに量り入れる。1mlのH2Oをそれぞれ添加し、HPLCガラスを密閉する。生成される懸濁液を25℃で一晩撹拌する。溶解される物質の量を評価するために、懸濁液をピペットマイクロフィルターを介して濾過し、そして得られた濾液を1:4に希釈し、HPLCにより分析した。HPLC分析を5μm 50x4.6mmの寸法を有するDionex Luna RP18(100A)−カラム上で、3:7の比におけるアセトニトリルとH2O+0.1%TFAの均一溶媒の混合物の使用により行なった。
【0156】
溶解度測定の結果として、下記の表2に表す値を決定した。
【0157】
【表2】
【0158】
これらの値は、実施例9Aの化合物の他の塩と比較して、水性媒体における実施例1の塩の優れた溶解度を明確に示す。
【0159】
ヒトの胃を模倣した条件下での溶解度
ヒトの胃を模倣した条件下での溶解度を決定するために、実施例1の塩、並びに実施例9のクエン酸塩及び酒石酸塩の懸濁液、並びに塩化ナトリウム水溶液中の対応する遊離塩基(0.2重量%)(塩酸で1.2のpHに合わせる)を5時間撹拌する。その後、サンプルを上述のように処理し、溶液中の遊離塩基の量をHPLCにより決定する。ヒトの胃を模倣した条件下での溶解度に対応する値を下記の表3に表す。
【0160】
【表3】
【0161】
この表は、ヒトの胃を模倣した条件下における、本発明の塩の著しく優れた溶解度を明確に示す。これに関して、溶液をより長い期間放置した後に、懸濁液の新たな出現を観察することができることに気付いた。後者は、実施例9Aの難溶性の塩化物塩の形成から生じることが予測される。この不溶性塩化物塩の観察される形成は、深刻ではないと考えられるが、しかしながら、後者は、実施例1に従って主に用いられる場合、遅れた参加を有し、従って、最初は準安定的な過飽和溶液として存在する。これは、医薬品の製造のための本発明の塩の使用により達成することができる有利な点をさらに示す。
【0162】
吸湿性
相対湿度約46%且つ24℃において、純粋な形態で実施例1の塩を保存することにより、本発明による塩の吸湿性を測定した。この場合、約2日間の保存後、実施例1の塩は、0.11%未満の重量増加を示し、これは医薬における使用に許容される吸湿性を表す。
【0163】
B.生理学的有効性の評価
HCMV(ヒトサイトメガロウイルス)の複製に関する本発明の化合物のインビトロ作用を、以下の抗ウイルスアッセイに示すことができる。
【0164】
HCMV蛍光減少試験
試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中50ミリモーラー(mM)溶液として用いる。参照化合物として、例えばガンシクロビル(登録商標)、フォスカネット(登録商標)、シドホビル(登録商標)、そうでなければ実施例9Aの化合物を使用することができる。試験の開始の1日前、1.5x104ヒト包皮線維芽細胞(NHDF細胞)/ウェルを96ウェルプレート(透明底を有する黒色)中のウェルB2〜G11に200μlの細胞培養培地中に播種した。各96ウェルプレートのエッジ位置において、ウェルを200μlの培地のみで満たし、エッジ効果を回避した。試験の日、試験培養培地を各96ウェルプレートのウェルB2〜G11から吸引し、100μlのウイルス懸濁液(感染の多重度(MOI):0.1〜0.2)で置き換える。用いられるウイルスは、組み換えHCMVであり、これは、ウイルスゲノム中に緑色蛍光タンパク質(GFP)についての発現カセットを統合している(HCMV AD 169 RV-HG, E. M. Borst, K. Wagner, A. Binz, B. Sodeik, and M. Messerle, 2008, J. Virol. 82: 2065-2078)。37℃且つ5%CO2において2時間のインキュベーション後、ウイルス接種物を吸引し、そして第3列中のウェルを除く全てのウェルを200μlの細胞培養培地で満たした。第2列は、さらに処理されず、ウイルス対照として役割を果たす。第3列中のウェルを、二重決定のいずれの場合にも、300μの試験物質(細胞培養培地で希釈される)で満たした。第3列中それぞれの抗ウイルス物質の濃度は、いずれの場合にも予測されるEC50値の約27倍の濃度である。第3列中の試験物質は、いずれの場合にも右列に移され、そして存在する200μlの細胞培養培地とそこで混合される100μlの列により、96ウェルプレートにわたり8工程で1:3に希釈される。このような方法で、3つの抗ウイルス物質が2重決定において試験される。プレートを37℃/5%CO2において7日間インキュベートする。その後、プレートの全てのウェルをPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で3回洗浄し、そして50μlのPBSで満たした。その後、96ウェルプレートの各ウェルのGFP強度を、蛍光読み取り装置(FluoBox;Bayer Technology Services GmbH;フィルター設定: GFP, Ex 480 nm, Em 520 nm)により決定した。抗HCMV物質のEC50をこのようにして得られる測定値から決定することができる。
【0165】
EC50(GFP−RA)=未処理ウイルス対照と比較して、感染した細胞のGFP蛍光を50%まで減少させる物質濃度(μM)。
【0166】
本発明の化合物についての代表的なインビトロ活性データを表4に再現する。
【0167】
【表4】
【0168】
医薬組成物の実施形態
本発明の化合物を以下のような医薬調製物に変換することができる。
【0169】
錠剤:
組成:
100mgの実施例1の化合物、50mgのラクトース(一水和物)、50mgのコーンスターチ(天然)、10mgのポリビニルピロリドン(PVP 25)(BASF Company, Ludwigshafen, Germany)及び2mgのステアリン酸マグネシウム。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
【0170】
製造:
活性成分、ラクトース、及びスターチの混合物を、水中PVPの5%溶液(m/m)で顆粒化する。乾燥後、顆粒を5分間ステアリン酸マグネシウムと混合する。この混合物を一般的な錠剤圧搾機で圧搾する(錠剤の形態、上記参照)。15kNの押圧を圧搾のための指針値として用いる。
【0171】
経口投与可能な懸濁液:
組成:
1,000mgの実施例1の化合物、1,000mgのエタノール(96%)、400mgのRhodigel(FMC Company, Pennsylvania, USAのキサンタンガム)、及び99gの水。
【0172】
10mlの経口懸濁液は、100mgの本発明の化合物の個別用量に相当する。
【0173】
製造:
Rhodigelをエタノール中で懸濁し、活性成分を懸濁液に添加する。撹拌しながら、水の添加を行なう。Rhodigelの膨張が完了するまで、これを約6時間撹拌する。
【0174】
静脈投与可能な溶液:
組成:
5.53gの実施例1の化合物、10%(w/v)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(Aldrich)を含む注射用の1,000gの水、及び985mgの酢酸ナトリウム。
【0175】
製造:
本発明の化合物を撹拌しながら水に溶解し、そして溶液のpHを酢酸ナトリウムで約3.94に合わせる。溶液を濾過(孔径0.22μm)により滅菌し、そして減圧条件下で加熱滅菌した注入フラスコに移す。後者は注入ストッパー及びフランジキャップで密閉される。
図1