(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から4に記載のブロー型ユニットに形成されるキャビティの開口部に嵌合可能な第1芯出し部と、ブローノズルの延伸ロッドの周囲に形成される隙間に嵌合可能な第2芯出し部と、を有する芯出し治具を用意し、
前記芯出し治具を用いて、前記ブロー型ユニットと前記ブローノズルとを位置決めし、
前記芯出し治具を用いて位置決めされた状態の前記ブロー型ユニットを、型締め機構の型締め盤に固定することを特徴とするブロー型ユニットの固定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の構造によれば、ブローキャビティ型を構成する一対のブローキャビティ割型が型閉じされる際には、一対のブローキャビティ割型の上端面は、底型側に固定されたストッパ部材と接触しつつ型閉じされることになる。
【0009】
ここで、底型側に固定されたストッパ部材は、ブローキャビティ型の型開き状態で、一対のブローキャビティ割型の上端面に渡って当接する長さに設定されている。よって、一対のブローキャビティ割型が型開き状態から型閉じ状態に移行する過程で、ストッパ部材が一対のブローキャビティ割型の上端面に常に接触し続ける。
【0010】
ストッパ部材には、耐摩耗性を高めるために窒化処理が施される。しかし、ストッパ部材の経時的な摩耗は避けられない。ストッパ部材とブローキャビティ型との摺動面でかじり(噛み合い)が生ずると、金型や底型駆動部材(ガイドロッドや軸受け等)の寿命が短くなるという問題があった。
【0011】
本発明の幾つかの態様は、底型の型締め動作を安定させ、底型の駆動機構や金型にかかる負担を軽減することができるブロー型ユニット及びブロー成形機を提供することにある。また、本発明の幾つかの態様は、精度良く且つ迅速に、ブロー型を型締め盤に固定することが可能なブロー型ユニットの固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明の一態様は、
パーティング面同士を当接させて型締めされる第1,第2のブローキャビティ割型と、
前記第1,第2のブローキャビティ割型にて規定される複数のキャビティに複数の底形状を規定する複数の底型と、
前記複数のキャビティが配列される方向に沿った第1方向の両端に位置する、前記第1のブローキャビティ割型の両側面に、それぞれ固定される第1の圧受け板と、
前記第2のブローキャビティ割型の両側面にそれぞれ固定され、型締め時に前記第1の圧受け板と当接される第2の圧受け板と、
前記第1のブローキャビティ割型及び前記第1の圧受け板が固定される第1の固定板と、
前記第2のブローキャビティ割型及び前記第2の圧受け板が固定される第2の固定板と、
前記複数の底型が固定される底型固定板と、
前記第1,第2の固定板にそれぞれ固定され、前記第1,第2のブローキャビティ割型の型締め時に、前記底型固定板と係合して、前記底型へのブロー圧を圧受けする圧受け部材と、
前記第1の方向の両端部の各々にて、前記底型固定板に固定されるガイド板と、
前記第1の方向の両端部の各々にて、前記第1,第2の圧受け板にそれぞれ支持され、前記底型が型閉じ位置にある時に前記ガイド板と当接可能な被ガイド部材と、
を有し、
前記底型固定板は、
ブロー成形機に設けられる型締め機構により駆動される底型開閉部と連結される第1の連結部と、
前記型閉じ位置にある前記底型を前記底型の型閉じ方向に移動付勢する、前記ブロー成形機に設けられる移動付勢部材と連結される第2の連結部と、
を有するブロー型ユニットに関する。
【0013】
本発明の一態様によれば、型閉じされた第1,第2のブローキャビティ割型の圧受け部材が底型固定板と係合するので、第1,第2のブローキャビティ割型及び底型を一体としたブロー型ユニットとして取り扱うことができる。しかも、底型固定板に設けられる第1,第2の連結部はねじ孔などとすることで、底型固定板から突出する部材がない。よって、平坦な底型固定板をブロー成形機上にて滑らせて、ブロー型ユニットをブロー成形機に搬入することができる。
【0014】
ここで、このブロー型ユニットがブロー成形機に装着されると、ブロー成形機の型締め機構により駆動された底型開閉部により、この底型開閉部と第1の連結部を介して連結された底型固定板が駆動される、それにより、底型固定板に固定された底型が型閉じ位置に設定される。第1,第2のブローキャビティ割型は、型閉じ位置にある底型に対して型閉じされる。その時、底型開閉部により設定された底型の型閉じ位置にずれがあると、被ガイド部材がガイド板と当接する。底型はブロー成形機に設けられた移動付勢部材と第2の連結部を介して連結され、移動付勢部材により型閉じ方向に移動付勢されている。そのため、被ガイド部材による押圧力によって、移動付勢部材の付勢力に抗して底型の高さ位置や傾きが修正される。それにより、第1,第2のブローキャビティ割型に設けられた圧受け部材を底型固定板と確実に係合させることができる。
【0015】
その際、被ガイド部材は、特許文献1のようなストッパ部材ではないので、底型の型閉じ位置が正常であれば、ガイド板と接触しないように構成できる。また、被ガイド部材はガイド板に接触するとしても、ガイド板は底型と共に移動付勢部材により移動が許容されるので、被ガイド部材とガイド板とに過度な応力は作用せず、かじりや経時的な摩耗は防止できる。なお、被ガイド部材は、例えばローラーで形成してガイド板と転接(回転可能に接触)させることで、あるいはスライドメタルにて形成することで、ガイド板との間に生ずる摩擦力は小さくできる。
【0016】
(2)本発明の一態様では、前記第1,第2のブローキャビティ割型が開閉される方向に沿った第2方向での前記ガイド板の長さは、少なくとも前記圧受け部材が前記底型固定板に係合する直前に前記被ガイド部材と前記ガイド板とが対向する長さに形成することができる。
【0017】
こうして、被ガイド部材とガイド板とは、少なくとも圧受け部材が底型固定板に係合する直前に底型の位置を修正することができる。それにより、ガイド板を無駄に長くして被ガイド部材との無駄な接触が生ずることを防止できる。
【0018】
(3)本発明の一態様では、前記ガイド板は、前記被ガイド部材と当接可能な端面と、前記第2方向の両端側の前記端部にて前記端面と交わる側面とが成す角部を、面取りすることができる。
【0019】
こうすると、被ガイド部材がガイド板の端部に乗り上げる際の摩擦抵抗を低減できる。それにより、ガイド板の経時的な摩耗を低減できる。
【0020】
(4)本発明の一態様では、
前記第1,第2の固定板の各々は、
前記第1,第2のブローキャビティ割型の一方と前記圧受け部材とが固定される内側固定板と、
前記内側固定板が固定され、前記ブロー成形機の型締め盤に取り付けられる外側固定板と、
前記外側固定板に支持されて前記内側固定板と転接され、前記内側固定板が前記外側固定板に固定される前に、前記内側固定板を前記第1方向にて移動案内する第1のガイドローラーと、
を有することができる。
【0021】
この場合、ブロー成形機にブロー型ユニットを取り付ける際に、例えば、2つの外側固定板を2つの型締め盤に取り付ける。次に、第1,第2のブローキャビティ割型が固定された内側固定板を、外側固定板に支持された第1のガイドローラー上にて移動させて、キャビティの配列方向である第1の方向にて位置調整する。位置調整後に、内側固定板を外側固定板に固定することができる。なお、内側固定板と外側固定板の固定順序は上記とは逆順であっても良い。
【0022】
(5)本発明の一態様では、前記第1のブローキャビティ割型に固定された前記外側固定板と、前記第2のブローキャビティ割型に固定された前記外側固定板との間に、前記第1,第2のブローキャビティ割型を、前記第1,第2のブローキャビティ割型が開閉される方向に沿った第2の方向に移動案内する移動案内部材をさらに有することができる。
【0023】
通常、第1,第2のブローキャビティ割型をその開閉方向に移動案内するタイバーは、第1,第2のブローキャビティ割型の外側に配置される。移動案内部材は、対向する外側固定板の間のスペースを利用して配置されるので、省スペース化される。
【0024】
(6)本発明の他の態様は、
上述した(1)〜(3)のいずれかに記載のブロー型ユニットと、
型締め機構と、
前記ブロー型ユニットの前記第1の連結部と連結され、前記型締め機構に駆動される底型開閉部と、
前記ブロー型ユニットの前記第2の連結部と連結され、前記型閉じ位置にある前記底型固定板を前記底型の型閉じ方向に移動付勢する移動付勢部材と、
を有するブロー成形機に関する。
【0025】
このブロー成形機によれば、(1)〜(3)にて説明された作用・効果を奏することができる。
【0026】
(7)本発明のさらに他の態様は、
上述した(4)または(5)に記載のブロー型ユニットと、
型締め機構と、
前記ブロー型ユニットの前記第1の連結部と連結され、前記型締め機構に駆動される底型開閉部と、
前記ブロー型ユニットの前記第2の連結部と連結され、前記型閉じ位置にある前記底型を前記底型の型閉じ方向に移動付勢する移動付勢部材と、
前記ブロー型ユニットの前記外側固定板が固定される型締め盤と、
前記型締め盤に支持されて前記外側固定板と転接して、前記外側固定板が前記型締め盤に固定される前に、前記ブロー型ユニットを前記第1方向にて移動案内する第2のガイドローラーと、
を有するブロー成形機に関する。
【0027】
このブロー成形機によれば、(1)〜(3)にて説明された作用・効果を奏することができる。加えて、ブロー成形機にブロー型ユニットを取り付ける際に、外側固定板を、型締め盤に支持された第2のガイドローラー上にて移動させて、キャビティの配列方向である第1の方向にて位置調整する。位置調整後に、外側固定板を型締め盤に固定することができる。
【0028】
(8)本発明のさらに他の態様は、
上述した(1)から(4)に記載のブロー型ユニットに形成されるキャビティの開口部に嵌合可能な第1芯出し部と、ブローノズルの延伸ロッドの周囲に形成される隙間に嵌合可能な第2芯出し部と、を有する芯出し治具を用意し、
前記芯出し治具を用いて、前記ブロー型ユニットと前記ブローノズルとを位置決めし、
前記芯出し治具を用いて位置決めされた状態の前記ブロー型ユニットを、型締め機構の型締め盤に固定することを特徴とするブロー型ユニットの固定方法。
【0029】
この方法によれば、精度良く且つ迅速に、ブロー型ユニットを型締め盤に固定することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の幾つかの態様によれば、底型の型締め動作を安定させ、底型の駆動機構や金型にかかる負担を軽減することができるブロー型ユニット及びブロー成形機を提供することができる。また、本発明の幾つかの態様によれば、精度良く且つ迅速に、ブロー型を型締め盤に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0033】
1.ブロー型ユニット
1.1.基本構造
ブロー型ユニット10の構成について、
図1〜
図4を参照して説明する。なお、ブロー型ユニット10は、
図1では型開き時の全開状態、
図2及び
図3は型締め状態で示されている。また、
図1及び
図2はブロー型ユニット10のみが示されているに対して、
図3及び
図4はブロー成形機200に取り付けられた状態でブロー型ユニット10が示されている。また、
図3及び
図4は、ブロー成形機200の型締め盤204の上下方向(D3方向)の長さが短い小型容器をブロー成形する例を示している。そのために、小型容器のブロー成形専用に用いる付属部材300,310等が追加されている。
【0034】
ブロー型ユニット10は、第1,第2のブローキャビティ割型12,14と、複数の底型100とを含む。第1,第2のブローキャビティ割型12,14は、パーティング面12A,14A同士を当接させて型締めされる。複数の底型100は、第1,第2のブローキャビティ割型12,14にて規定される複数のキャビティ16に、複数の上げ底等の底形状を規定する。
【0035】
ここで、
図1〜
図4では、複数のキャビティ16が配列される方向を第1方向D1とし、第1,第2のブローキャビティ割型12,14が開閉される方向を第2方向D2とし、底型100が開閉される方向を第3方向D3とする。第1〜第3の方向D1〜D3は互いに直交する。また、第3方向D3のうち、底型100の型閉じ方向をD3Aとし、底型100の型開き方向をD3Bとする。本実施形態では、D3A方向が下向き、D3B方向が上向きであるが、特許文献1のようにD3A方向が上向き、D3B方向が下向きとなるように、第1,第2のキャビティ割型12,14及び底型100を配置しても良い。
【0036】
ブロー型ユニット10はさらに、第1方向D1の両端に位置する第1のブローキャビティ割型12の両側面にそれぞれ固定される第1の圧受け板20と、第2のブローキャビティ割型14の両側面にそれぞれ固定される第2の圧受け板30とを有する。第1,第2の圧受け板20,30は、型締め時に互いに当接されてブロー圧を圧受けする。
【0037】
第1の圧受け板20はさらに、第1のブローキャビティ割型12及び第1の圧受け板20が固定される第1の固定板40と、第2のブローキャビティ割型14及び第2の圧受け板30が固定される第2の固定板50と、複数の底型100が固定される底型固定板110とを有する。
【0038】
第1,第2の固定板40,50の各々は、
図3に示すように圧受け部材60を有する。圧受け部材60は、
図3に示す第1,第2のブローキャビティ割型12,14の型締め時に、底型100が型閉じ位置にある時に底型固定板110と係合する。それにより、圧受け部材60は、底型100へのブロー圧を圧受けすることができる。
【0039】
1.2.底型の位置決め構造
底型固定板110は、圧受け部材60が係合される被係合部として例えば溝112(
図2及び
図4参照)を有する。
図3に示すように、型締め時には圧受け部材60が底型固定板110の溝112と係合して、底型固定板110及びそれに固定された底型100は、ブロー圧を受けてもD3B方向に後退しない。
【0040】
従って、第1,第2のブローキャビティ割型12,14が型閉じされる時に、圧受け部材60が溝112に係合するように、底型100及び底型固定板110が型閉じ位置に設定されるように位置決めする必要がある。
【0041】
ブロー型ユニット10は、底型固定板110の第1の方向D1の両端部の各々にて、底型固定板に固定されるガイド板120を有する。ブロー型ユニット10は、第1,第2の圧受け板20,30の第1の方向D1の両端部の各々にて、第1,第2の圧受け板20,30にそれぞれ支持される被ガイド部材例えばガイドローラー70を有する。
【0042】
ガイドローラー70は、底型100が
図1に示す型閉じ位置にある時にガイド板120と転接可能である。ただし、第1,第2のブローキャビティ割型12,14が
図1に示すように全開状態の時には、ガイドローラー70は第1の方向D1でのガイド板120の両端部より外れた位置にあってもよい。つまり、第1,第2のブローキャビティ割型12,14が開閉される方向に沿った第2方向D2でのガイド板120の長さL(
図1)は、第1,第2のブローキャビティ割型12,14が型開き時の全開状態の時にはガイドローラー70とガイド板120の端部とは非対向となり、圧受け部材60が底型固定板110の溝112に係合する直前にガイドローラー70とガイド板120の端部と対向する長さに形成することができる。なお、第1,第2の固定板40,50には、
図1に示すように、第1,第2のブローキャビティ割型12,14の型閉じ時にガイド板120と干渉しないように、切欠き部40A,50Aを設けることができる。
【0043】
ガイド板120は、
図1に示すように、ガイドローラー70と転接可能な端面122と、第2方向D2の両端側の端部にて端面122と交わる側面124とが成す角部を、面取り部126とすることができる。面取り部126は、角部を傾斜面又は湾曲面とすることができる。
【0044】
こうすると、ガイドローラー70がガイド板120の端部に乗り上げる際の摩擦抵抗を、面取り部126により低減できる。それにより、ガイド板120の経時的な摩耗を防止することができる。ただし、被ガイド部材70はローラーに限らず、例えばスライドメタル等の摩擦抵抗の少ない部材で形成しても良い。
【0045】
ここで、ガイドローラー70とガイド板120との接触により、底型100及び底型固定板110が押し下げられて、圧受け部材60が底型固定板110の溝112に確実に係合される。
【0046】
その際、底型100及び底型固定板110は、圧受け部材60が溝112に係合される前は、型閉じ位置にてリジットに位置決めされるのではなく、第3の方向D3に移動可能としている。
【0047】
そのために、底型固定板110には、
図4に示すように、第1の連結部114と第2の連結部116とが設けられている。本実施形態では、第1,第2の連結部114,116は底型固定板110の下面に設けられたねじ孔である。
【0048】
1.3.ブロー型ユニットとブロー成形機との連結
ブロー成形機200は、
図3及び
図4に示すように、型締め機構(図示せず)により駆動される底型開閉部210を有する。底型開閉部210は、昇降板212と、昇降板212に下端が連結されて上方に延びる複数の軸部214とを有する。複数の軸部214は、ブロー成形機200の機台(図示せず)に設けられた下部基盤202に固定された昇降案内部206に昇降案内される。昇降板212は、
図3に示すように、型締め機構(図示せず)と連結される連結部212Aが設けられる。連結部214Aに設けられた孔214Bに、型締め機構(図示せず)の出力軸または出力リンクの端部が連結される。
図3に示すように、下部基盤202から垂下するアーム207には上限センサー208Aと下限センサー208Bが固定される。
図3は、昇降板212が上限センサー208Aで検出される上限位置に設定された状態を示している。このとき、底型100は型閉じ位置に設定される。ブロー成形後に昇降板212が下降駆動されて底型100が型開きされる。底型100の型開き状態は、下限センサー208Bにて検出される。これらの上限・下限センサー208A,208Bは、ブロー成形動作のシーケンス制御や、第1,第2のブローキャビティ割型12,14と底型100との同期駆動制御に用いることができる。
【0049】
底型開閉部210の複数の軸部214を底型固定板110の第1の連結部114と直接固定することができるが、本実施形態では複数の軸部214を底型固定板110の第1の連結部114とを第1のスペーサー部材300を介して連結している(
図4)。つまり、第1のスペーサー部材300は、底型固定板110の第1の連結部114と、底型開閉部210の複数の軸部214と、ボルト(図示せず)により連結される。
図4に示すように小型容器のブロー成形に用いられる底型100と、下部基盤202との間の距離が長くなるため、第1のスペーサー部材300が用いられている。この構造により、底型固定板110及びそれに固定された底型固定板110が開閉移動される。
【0050】
第2の連結部116は、型閉じ位置にある底型100を型閉じ方向D3Aに移動付勢する移動付勢部材、例えばエアーシリンダー250と連結される。ただし、
図3及び
図4に示すように小型容器をブロー成形する時には、エアーシリンダー250と底型固定板110との間には第2のスペーサー部材310が介在されている。本実施形態では、エアーシリンダー250は、
図4に示すように、ブロー成形機200の機台(図示せず)に設けられた下部基盤202に固定されたシリンダー252と、シリンダー252内の圧縮流体であるエアーにより型閉じ方向D3Aに突出付勢されたロッド254とを有する。
【0051】
この構造により、底型100及び底型固定板110は、底型開閉部210により型閉じ位置まで上昇されると共に、その上限位置(型閉じ位置)ではシリンダー252より突出付勢されたロッド254により移動が許容されている。
【0052】
また、
図3に示すブロー成形機200の型締め盤204は、孔204Bを介して型締め機構(図示せず)に連結される。例えば、型締め機構として特許文献2に示すように第1,第2のブローキャビティ割型12,14と割型100とを単一駆動源であるモーター出力に基づいて同期駆動するものを用いることができる。この場合、型締め盤204の孔204Bにはトグル機構のリンクが連結され、トグル機構がモーターにより駆動される同期型締め機構(例えばピストン−クランク機構)と連結される。底型開閉部210の連結部212Aに形成された孔212Bにも、モーターにより駆動される同期型締め機構と連結される。なお、特許文献2の同期型締め機構に設けられたエアーシリンダーは、同期型締め機構であるピストン−クランク機構の上死点にて底型100が型閉じ位置に到達された後、上死点を超えて駆動される間も底型100を型閉じ位置に維持するものである。よって、
図3及び
図4に示すエアーシリンダー250と特許文献2のエアーシリンダーとは用途の目的が異なる。また、エアーシリンダー250は、特許文献2と異なり、基盤202上に固定されている。よって、型開閉動作を行わなくても、底型100のみを単独で昇降させることができる。これは、底型100のみを型交換する場合や高精度で位置調整しなくてはならない場合に好適である。なお、本実施形態にて特許文献2の同期型締め機構を用いると、
図3及び
図4に示すエアーシリンダー250を特許文献1のエアーシリンダーとして兼用できる。
【0053】
また、型締め機構は特許文献2に開示されたものを利用するものに限らない。例えば、第1,第2のブローキャビティ割型12,14の型締め機構と、割型100の型締め機構とを分離し、シーケンス制御によって2つの型締め機構を同期駆動しても良い。
【0054】
1.4.小型容器を成形するブロー型ユニットへの追加構造
小型容器をブロー成形する
図3及び
図4に示すブロー型ユニット10では、第1の固定板40は、第1のブローキャビティ割型12と圧受け部材60とが固定される内側固定板42と、内側固定板42をブロー成形機200の型締め盤204に連結させる外側固定板44とに分割することができる。同様に、第2の固定板50も、内側固定板52と外側固定板54とに分割することができる。その場合、
図1に示す第1の固定板40は
図3に示す内側固定板42に相当し、
図1に示す第2の固定板50は
図3に示す内側固定板52に相当する。
【0055】
この場合、外側固定板44,54に支持されて内側固定板42,52の下端面と転接される第1のガイドローラー80をさらに設けることができる。第1のガイドローラー80は、内側固定板42,52が外側固定板44,54に固定される前に、内側固定板42,52を第1方向D1にて移動案内することができる。
【0056】
ブロー成形機200にブロー型ユニット10を取り付ける際に、先ず、2つの外側固定板42,52を2つの型締め盤204に取り付ける。次に、第1,第2のブローキャビティ割型12,14が固定された内側固定板42,52を、外側固定板44,54に支持された第1のガイドローラー80上にて移動させて、キャビティ16の配列方向である第1の方向D1にて位置調整する。位置調整後に、内側固定板42,52を外側固定板44,54に固定することができる。なお、内側固定板42,52と外側固定板44,54の固定順序は上記とは逆順であっても良い。
【0057】
なお、ブロー成形機200の型締め盤204には、外側固定板44,54の下端面と転接する第2のガイドローラー204Aを設けることができる。第2のガイドローラー204Aは、外側固定板44,54が型締め盤204に固定される前に、ブロー型ユニット10第1方向D1にて移動案内して位置調整する。位置調整後に、外側固定板44,54を型締め盤204に固定することができる。
【0058】
また、小型容器をブロー成形する
図3及び
図4に示すブロー型ユニット10では、外側固定板44,54の間に、第1,第2のブローキャビティ割型12,14を第2の方向D2に移動案内する移動案内部材90を設けることができる。移動案内部材90は、例えば、外側固定板44に固定された筒部92と、外側固定板54に固定され、筒部92に案内される軸部94とで構成される。通常、第1,第2のブローキャビティ割型12,14をその開閉方向D2に移動案内するタイバーは、第1,第2のブローキャビティ割型12,14の外側に配置される。本態様の移動案内部材90は、対向する外側固定板44,54の間のスペースを利用して配置されるので、省スペース化される。
【0059】
ところで、機械側の型締め盤204には、ブロー型ユニット10の位置決め部材1000が設けられている。しかし、ブローノズルの中心位置とキャビティの中心位置とが一致する、いわゆる芯出しレベルでの位置決めを、可動する機構である型締め盤204に設けた位置決め部材1000によって行うことは難しい。本来、このような位置決め部材1000は、静止部位(不動部位)に設置することが望ましいが、ブロー型ユニット10の下方においても、昇降案内部206などの可動する機構があり、機台と連結する静止部位が存在しない。そこで、この位置決め決め部材1000で十分な位置精度が得られない場合、ブローノズルとブロー型(ブローキャビティ割型)の互いの芯出し調整を、作業者が定規等を用いて手動で行う必要があった。この方法では、ブロー型ユニット10の下部がローラーで容易に位置ずれしてしまうため、芯出し状態でブロー型を型締め盤204に固定することは容易では無かった。
【0060】
本実施形態では、上述した芯出し作業を自動かつ簡便に実施するために、
図5,
図6に示す芯出し治具400を採用した。芯出し治具400は、互いに当接された状態の第1,第2のブローキャビティ割型12,14の上面410に形成された開口部410Aより拡径のフランジ部401と、開口部410Aと略同径を有し開口部410Aの内側に収容可能な第1芯出し部402と、ブローノズル500のインナーノズル501とアウターノズル502の間の隙間に収容可能な第2芯出し部403と、を備える。なお、芯出し治具400と接触した際のブローノズル500側の破損リスクを軽減させるため、第2芯出し部403先端の外周縁は面取りされて逆テーパー形状になっている。同様の理由で、第2芯出し部403先端の内周縁も、テーパー状とするのが好ましい。
【0061】
芯出し治具400は、フランジ部401によって開口部410Aに支持されることが可能である。第1芯出し部402は、キャビティ16の開口部410Aに略隙間なく嵌合されることが可能で形状であれば良い。第2芯出し部403は、ブローノズル500のインナーノズル501とアウターノズル502の間の隙間に略隙間なく嵌合されることが可能な形状が好ましい。また、第2芯出し部403は、インナーノズル501の開口部の先端部付近の外周面を覆うように嵌合する形状を有するものでも良い。また、ブローノズル500の変形例として、例えば、アウターノズル502のみを有する構成であってもよい。この構成の場合、第2芯出し部403はアウターノズル502の開口部の先端部付近の内周面と嵌合する形状を有すれば良い。このように、第2芯出し部403は、ブローノズル500の延伸ロッド504の先端部の周囲に形成される隙間に嵌合する形状であれば良い。
【0062】
次に、芯出し治具400を用いた位置決め方法について説明する。
1)第1のブローキャビティ割型12と第2のブローキャビティ割型14と底型100とを固定治具で固定して1ユニット化する(以下、1ユニット化したものをブロー型とも称する)。
2)型締め盤204を開状態にし、ブローノズル500を上昇位置に配置する。
3)1ユニット化したブロー型を型締め盤204内の所定のスペース内にスライドして挿入するとともに、仮の位置決めを行う。
4)型締め盤204を閉状態に設定する。
5)固定治具を取り外し、ブロー型ユニット10を型締め盤204にボルト等で仮固定する。
6)芯出し治具400を少なくともブロー型の両端の開口部410Aに挿入する(
図5を参照)。このとき、芯出し治具400の第1芯出し部402が開口部410Aの内側に略隙間なく収容される。
7)ブローノズル500を下降させ、ブローノズル500と芯出し治具400とを嵌合させる。このとき、芯出し治具400の第2芯出し部403がインナーノズル501とアウターノズル502の間に略隙間なく収容される。具体的には、ブローノズル500の下降・嵌合に伴い芯出し治具400と一体となったブロー型も押し動かされ、ブローノズル500の中心位置を基準とし、ブロー型が位置合わせされる。このようにして、芯出し治具400が、ブロー型とブローノズル500の両方に嵌合された状態となる。この結果、芯出し治具400を介して、ブロー型の開口部410Aの中心位置とブローノズル500の中心位置とが互いに一致した状態に調整される(芯出し調整がされる)。
8)この調整がされた状態で、ブロー型を型締め盤204にボルト等で本固定する。
9)ブローノズル500を上昇させ、型締機構を閉状態に設定する。
なお、上記の芯出し治具400を用いた位置調整は、プリフォームをブロー成型する作業を行う前に行うことが好ましい。
【0063】
上記のように、芯出し治具400を用いてブロー型とブローノズルとが互いに位置決めされた状態で、ブロー型を型締め盤204にボルト等で本固定することにより、精度良く且つ迅速に、ブロー型を型締め盤204に固定することができる。
【0064】
2.ブロー型ユニットの型閉じ及び型締め動作
次に、
図1、
図7の(A)〜(D)及び
図8〜
図9を参照して、ブロー型ユニット10の型閉じ及び型締め動作について説明する。
図7(A)は、ブロー型ユニット10の型開き状態を示している。第1,第2のブローキャビティ割型12,14は全開状態であり、底型100は下限位置に設定されている。この時に、プリフォーム(図示せず)が搬送治具によってブロー型ユニット10内に搬入され、プリフォームの搬入後に型閉じ動作が開始される。
【0065】
図1及び
図7(B)は、底型100の型閉じ後の状態を示している。底型100の型閉じ動作は、ブロー成形機200の型締め機構により底型開閉部210が上昇されることで実現される。底型開閉部210は、第1のスペーサー部材300を介して底型固定板110及びそれに固定された底型100を上限位置である型閉じ位置に設定することができる。
【0066】
図7(C)及び
図8は、例えば底型100が型閉じ位置に設定された後の第1,第2のブローキャビティ割型12,14の型閉じ移動途中の状態を示している。なお、第1,第2のブローキャビティ割型12,14の型閉じ移動は、底型100が型閉じ位置に到達する前から開始されても良い。ただし、遅くとも第1,第2のブローキャビティ割型12,14と一体で移動する圧受け部材60が底型固定板110の溝112に係合される直前には、底型100は型閉じ位置に到達している必要がある。
【0067】
ここで、底型開閉部210により設定された底型100の型閉じ位置にずれがあると、ガイドローラー70がガイド板120と転接する。そのとき、ガイドローラー70による押圧力によって、エアーシリンダー250によるD3A方向への移動付勢力に抗して底型100の高さ位置や傾きが修正される。それにより、第1,第2のブローキャビティ割型12,14の固定板40,50に設けられた圧受け部材60を底型固定板110の溝112と確実に係合させることができる。また、底型100と第1,第2のブローキャビティ割型12,14との位置関係(クリアランス)を確実に規制でき、金型同士の位置ずれ接触に起因する破損も防止できる。さらに、型開閉動作時に、ブロー型ユニット10の側方から底型100の動作状況や位置関係を視認できるため、より安全にブロー成形を実施することができる。
【0068】
その際、ガイドローラー70は、特許文献1のようなストッパ部材ではないので、底型100の型閉じ位置が正常であれば、ガイド板120と接触しないように構成できる。また、ガイドローラー70はガイド板120に接触するとしても、転接することで摩擦力は小さくなる上に、ガイド板120は底型100と共にエアーシリンダー250により移動が許容されている。よって、ガイドローラー70とガイド板120とに過度な応力は作用せず、かじりや経時的な摩耗は防止できる。
【0069】
図7(D)及び
図9は、第1,第2のブローキャビティ割型12,14と底型100との型締め状態を示している。このとき、第1,第2のブローキャビティ割型12,14のパーティング面12A,14A(
図1参照)同士が接触し、第1,第2の圧受け板20,30が当接して第1,第2のブローキャビティ割型12,14に作用するブロー圧を圧受け可能となる。また、圧受け部材60が底型固定板110の溝112と係合することから、底型100に作用するブロー圧も圧受け可能となる。
【0070】
その後、プリフォーム内にブローエアーが導入されると共に延伸ロッドが縦軸駆動され、キャビティ16内にてプリフォームを二軸延伸ブロー成形して容器を成形することができる。
【0071】
ブロー成形終了後は、上述した型閉じ動作とは逆順で型開き動作が実施され、容器をブロー型ユニット10より取り出すことができる。
【0072】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
本出願は、2012年8月17日出願の日本特許出願・出願番号2012-181033に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。