特許第6193868号(P6193868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193868
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】不正行為対策デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20170828BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20170828BHJP
   A61B 5/1171 20160101ALI20170828BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20170828BHJP
【FI】
   G06T1/00 400G
   G06T7/00 530
   A61B5/10 362
   G06F21/32
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-537581(P2014-537581)
(86)(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公表番号】特表2015-501484(P2015-501484A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】EP2012070973
(87)【国際公開番号】WO2013060681
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年9月17日
(31)【優先権主張番号】11/59678
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508288744
【氏名又は名称】モルフォ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】ピカール,シルヴェーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ティボ,アラン
【審査官】 新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/070886(WO,A1)
【文献】 特開2009−238014(JP,A)
【文献】 特表2007−511845(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0131237(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0125994(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 7/00
A61B 5/1171
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の実際の部分の圧痕担持基体としての使用を妥当性検査するためであって、
−制御ユニットと
−センサ上に配置された前記基体によって担持される圧痕のイメージをキャプチャすることを目的とするセンサと
−前記センサが取り付けられ、前記センサに所定の移動を適用させることを目的とする、移動モジュールと
−前記センサの前記移動前にキャプチャされた圧痕のイメージと前記センサの前記移動後にキャプチャされた圧痕のイメージとを表すデータを受信すること、及びそれらを分析することを目的とする、分析モジュールと
−前記分析モジュールによって送信された情報から、前記基体が身体の実際の部分であるか否かに関して決定することを目的とする、意思決定モジュールと
を備え、
前記分析モジュールは、前記2つの圧痕のイメージを表すデータからの前記圧痕上の稜部周波数の局所修正の第1マップと、前記2つの圧痕イメージを表す前記データからの前記圧痕の構造の局所移動の第2マップと、を構築することを目的とし、
前記第1マップの構築は、前記2つの圧痕イメージの間で、複数のポイントのそれぞれのポイントの稜部周波数の変動を表す情報を計算することを含み、
前記第2マップの構築は、細孔、瘢痕の端部、分岐、又は線の端部の前記圧痕の特徴的ポイントを特定することと、特定された特徴的ポイントのそれぞれの移動ベクトル、並びに、稜部周波数の変動の値の分散及び大きさを計算することと、を含み、前記移動ベクトルの分散、方向、及び大きさにより、前記意思決定モジュールが身体の実際の部分の圧痕担持基体としての前記使用の妥当性検査が実行可能になる不正行為対策デバイス。
【請求項2】
前記身体の部分が指である場合、前記移動モジュールが、前記指が前記センサ上に置かれた時に前記指の縦軸に対して平行な平行移動を作り出すように設計されることを特徴とする、請求項1に記載の不正行為対策デバイス。
【請求項3】
圧痕のイメージをキャプチャすることを目的とするセンサを備える妥当性検査デバイスを用いて、圧痕を担持する基体としての身体の実際の部分の使用を妥当性検査するための妥当性検査方法であって、
−前記圧痕の第1のイメージが前記センサによってキャプチャされる間の、初期キャプチャ・ステップと
所定の移動が前記センサに適用される間の、移動ステップと
−前記圧痕の第2のイメージが前記センサによってキャプチャされる間の、キャプチャ・ステップと
−そのようにしてキャプチャされた前記2つの圧痕イメージを表すデータが分析される間の、分析ステップと
−前記分析ステップの結果に従って前記基体の妥当性に関して決定される間の、意思決定ステップと
を含
前記分析ステップは、前記2つの圧痕のイメージを表すデータからの前記圧痕上の稜部周波数の局所修正の第1マップと、前記2つの圧痕イメージを表す前記データからの前記圧痕の構造の局所移動の第2マップと、を構築することを目的とし、
前記第1マップの構築は、前記2つの圧痕イメージの間で、複数のポイントのそれぞれのポイントの稜部周波数の変動を表す情報を計算することを含み、
前記第2マップの構築は、細孔、瘢痕の端部、分岐、又は線の端部の前記圧痕の特徴的ポイントを特定することと、特定された特徴的ポイントのそれぞれの移動ベクトル、並びに、稜部周波数の変動の値の分散及び大きさを計算することと、を含み、前記移動ベクトルの分散、方向、及び大きさにより、前記意思決定ステップの間、身体の実際の部分の圧痕担持基体としての前記使用の妥当性検査が実行可能になる妥当性検査方法。
【請求項4】
前記妥当性検査方法が、前記分析ステップと前記意思決定ステップとの間に、前記センサの新規移動が実行されなければならないかどうかをチェックする間の、試験ステップを含み、前記妥当性検査方法が、肯定の場合に前記試験ステップを前記移動ステップへループさせるループ・ステップを含むことを特徴とする、請求項に記載の妥当性検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の実際の部分の圧痕担持基体(imprint-bearing substrate)としての使用を妥当性検査するための不正行為対策デバイス(antifraud device)、並びに、かかる不正行為対策デバイス内で使用される、身体の実際の部分の圧痕担持基体としての使用を妥当性検査するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人をその人の圧痕、特にその人の指紋によって識別するためのデバイスは、当該圧痕のイメージをキャプチャすることを目的とするセンサ、及びこのイメージを、識別デバイスによって識別されるべきである人物の圧痕のイメージをまとめて収集しているデータベース内のイメージと比較することを目的とする比較手段、及び比較の結果から個人の識別に関して決定することを目的とする意思決定手段からなる。
【0003】
何らかの悪意ある個人は、識別デバイスを誤らせるために、おとりを使用することによって不正に識別させようと試行する。
【0004】
従来、
−用紙に印刷され、水によってセンサと光学的に結合する、用紙上に圧痕のイメージを再現することからなる、不正行為、
−シリコンのブロック上に圧痕を再現することからなる、厚形の不正行為、及び
−たとえばラテックス・タイプの薄いフィルム上に圧痕を再現し、次に指の上に貼り付けることからなる、薄形の不正行為、
の、3種類の不正行為が識別される。
【0005】
こうした不正行為の使用を検出するために、センサの上で指を変形させ、実際に皮膚に相当するかどうかをチェックする用法が知られており、皮膚の弾性特性はおとりを再現するための材料のそれとは異なる。
【0006】
特に、イメージの歪みを生じさせるために指をセンサ上で回転させることが知られており、これによって、皮膚又は不正行為を支持する材料の弾性を分析することが可能となる。
【0007】
しかしながら、識別されることを希望している個人にこうした動きを説明しなければならないため、たとえば識別デバイスが監視されていない場合などは想定不可能であり、こうした方法はあまり人間工学的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、従来技術の欠点を有さず、特に個人にとって非常に人間工学的である、身体の実際の部分の圧痕担持基体としての使用を妥当性検査するための不正行為対策デバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、
−制御ユニットと、
−センサ上に配置された基体によって担持される圧痕のイメージをキャプチャすることを目的とするセンサと、
−当該センサが取り付けられ、当該センサを移動させることを目的とする、移動モジュールと、
−当該センサの移動前にキャプチャされた圧痕のイメージと当該センサの移動後にキャプチャされた圧痕のイメージとを表すデータを受信すること、及びそれらを分析することを目的とする、分析モジュールと、
−分析モジュールによって送信された情報から、基体が身体の実際の部分であるか否かに関して決定することを目的とする、意思決定モジュールと、
を備える、身体の実際の部分の圧痕担持基体としての使用を妥当性検査するための、不正行為対策デバイスが提案される。
【0010】
有利なことに、分析モジュールは、圧痕の2つのイメージを表すデータからの圧痕上の稜部(ridge)周波数の局所修正のマップと、2つの圧痕イメージを表すデータからの圧痕の構造の局所移動のマップとを構築すること、及び、各マップの構造と基準マップの構造とを比較することを目的とする。
【0011】
有利なことに、当該身体の部分が指である場合、移動モジュールは、指がセンサ上に置かれた時に指の縦軸に対して平行な平行移動(translation)を作り出すように設計される。
【0012】
本発明は、圧痕のイメージをキャプチャすることを目的とするセンサを備える妥当性検査デバイスを用いて、圧痕を担持する基体としての身体の実際の部分の使用を妥当性検査するための妥当性検査方法も提案し、当該妥当性検査方法は、
−圧痕の第1のイメージが当該センサによってキャプチャされる間の、初期キャプチャ・ステップと、
−当該センサが移動される間の、移動ステップと、
−圧痕の第2のイメージが当該センサによってキャプチャされる間の、キャプチャ・ステップと、
−そのようにしてキャプチャされた2つの圧痕イメージを表すデータが分析される間の、分析ステップと、
−分析ステップの結果に従って基体の妥当性に関して決定される間の、意思決定ステップと、
を含む。
【0013】
有利なことに、分析ステップは、2つの圧痕イメージを表すデータからの圧痕の稜部周波数の局所修正のマップと、2つの圧痕イメージを表すデータからの圧痕の構造の局所移動のマップとを構築すること、及び、各マップの構造と基準マップの構造とを比較することからなる。
【0014】
有利なことに、妥当性検査方法は、分析ステップと意思決定ステップとの間に、センサの新規移動が実行されなければならないかどうかをチェックする間の、試験ステップを含み、妥当性検査方法は、肯定の場合に試験ステップを移動ステップへループさせるループ・ステップを含む。
【0015】
前述並びに他の本発明の特徴は、例示の実施形態の以下の説明を読むことでより明白となり、当該説明は添付の図面との関係で与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に従った、個人の圧痕担持基体としての身体の実際の部分の使用を妥当性検査するための不正行為対策デバイスを示す概略図である。
図2】検出デバイスによって歪められた指のイメージを表す概略図である。
図3】本発明に従った、個人の圧痕担持基体としての身体の実際の部分の使用を妥当性検査するための方法のアルゴリズムを示す図である。
図4】実際の指に対応する光学ストリームのハーフ・マップを示す図である。
図5】紙の不正行為に対応する光学ストリームのハーフ・マップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明において、本発明は、より詳細には、身体の部分が指である場合について説明されるが、圧痕を担持する身体のすべての他の部分にも同様に適用される。
【0018】
図1は、個人の圧痕を担持する実際の指の使用を妥当性検査することを目的とする、不正行為対策デバイス100を示す。
【0019】
不正行為対策デバイス100は、
−不正行為対策デバイス100の他の要素を制御するように設計された、制御ユニット106と、
−センサ102上に配置された基体150によって担持される圧痕のイメージをキャプチャすることを目的とするセンサ102と、
−キャプチャされた圧痕のイメージを表すデータを受信すること、及びそれらを以下で説明するように分析することを目的とする、分析モジュール108と、
−その分析に続き、分析モジュール108によって送信された情報から、指紋を担持している基体150が実際の指であるか偽の指であるかに関して決定することを目的とする、意思決定モジュール110と、
を備える。
【0020】
不正行為対策デバイス100は、当該センサ102が取り付けられ、当該センサ102を移動させることを目的とする、当該制御ユニット106によって制御される移動モジュール104も備える。
【0021】
分析モジュール108は、より詳細には、センサ102の移動前にキャプチャされた圧痕イメージとセンサ102の移動後にキャプチャされた圧痕イメージとを表すデータを受信すること、及びそれらを分析することを目的とする。
【0022】
したがって本発明の一般的な原理は、基体150の圧痕のイメージをキャプチャすること、移動モジュール104を用いてセンサ102を移動することであって、これにより基体150及びそれが担持する圧痕の歪みが生じ、並びにその後、センサ102が静止している場合、そのように歪められた圧痕の新規イメージをキャプチャすること、当該基体150を構成する材料を表すデータをそこから導出するためにそのようにキャプチャされた2つのイメージを分析すること、及び、そのように導出された代表的なデータの値に従って基体150を妥当性検査することからなる。
【0023】
本来、いくつかの連続した移動を実行し、それぞれの移動について圧痕のイメージのキャプチャが行われることが可能である。したがって分析は、そのようにしてキャプチャされた様々なイメージに関連することになる。
【0024】
移動しているセンサ102であるという事実により、もはや識別されるべきである旨を個人に通知する必要がないため、より人間工学的な不正行為対策デバイス100を取得することが可能になる。
【0025】
不正行為対策デバイス100は、データベース内のイメージと比較するためにセンサ102を用いて基体150の圧痕のイメージをキャプチャする、識別デバイスに結合することができる。
【0026】
センサ102は、基体150が隣接状態になる支持体表面を有する。
【0027】
移動モジュール104の影響下でセンサ102が受ける移動は、支持体表面の平面に平行な平面内で実施される。
【0028】
センサ102が受ける移動は単純な移動、すなわち平行移動又は回転とするか、或いは単純な移動の組み合わせからなる複雑な移動とすることが可能である。
【0029】
平行移動の場合、及び人間工学的な理由のため、移動の長さはミリメートル位数(order)であり、優先的には2mm未満である。2つの移動間の停止時間は、センサ102の捕捉速度に依存する。
【0030】
指の場合、後者は優先的にはセンサ102上に配置され、移動モジュール104は、センサ102上に配置された時に指の縦軸に平行な平行移動を作り出すように設計される。これは、指の骨が指の端部まで延在していないことから、移動の2つの端部間で機械的条件が異なるが、おとりを使用する場合、このおとりは均質であるためこうした機械的特徴を示さず、取得される歪みは実際の指の方がより特徴的なためである。
【0031】
移動モジュール104は、たとえば圧電振動子などの任意の好適なデバイスとすることができる。
【0032】
図2は、移動方向202でのセンサ102の直線移動後に歪みを受けた基体150の圧痕200のイメージの概略図である。
【0033】
本明細書で提案された本発明の実施形態において、キャプチャされた各圧痕イメージ200についてゼロ光学ストリームに対応する基準領域が確定される。
【0034】
確定された基準領域の重心が決定され、圧力中心を構成し、極座標系(ρ,θ)の原点として働く、ポイント「O」を構成する。このようにして、ペア(ρ,θ)により、圧痕イメージ200上にポイントAが特徴付けられる。
【0035】
センサ102上に置かれた基体150の面は、圧痕を形成する稜部を有する。これらの稜部は基体150の面全体にわたって分散される。中央稜部204が位置する中央領域、ここでは遠位稜部206及び近位稜部208である周辺稜部が位置する周辺領域が見られる。
【0036】
中央領域は、基体150がセンサ102上、すなわち圧力中心「O」周囲でそれを介して隣接する、圧力領域に対応する。中央稜部204は、それらにかかる圧力によってセンサ102に貼り付いたままとなるため、センサ102の移動によってわずかに歪められる。
【0037】
本明細書で提示された本発明の実施形態では、2つの周辺領域、すなわち、センサ102の移動202の方向に関して圧力中心Oの上流、すなわちここでは近位稜部208が存在する場所に位置する上流領域と、センサ102の移動202の方向に関して圧力センサOの下流、すなわちここでは遠位稜部206が存在する場所に位置する下流領域とが、存在する。
【0038】
基体150の端部、及び実際の指の場合には潜在的に指骨の端部に位置する遠位稜部206と、基体105の基部、に位置する近位稜部208とが、センサ102の移動によって歪められる。
【0039】
センサ102の移動の方向が近位稜部208から遠位稜部208へと配向される本発明の実施形態では、遠位稜部206は互いにより近く移動するため、遠位稜部206の周波数は増加し、近位稜部208は分離するため、近位稜部208の周波数は減少する。
【0040】
同時に、稜部はセンサ102の移動によって移動する。基準250はセンサ102の移動前の稜部を示し、基準252はセンサ102の移動後の同じ稜部を示す。
【0041】
代表的なデータの分析は、これらから、稜部206及び208の周波数の局所修正マップと、センサ102と接触する圧痕の構造250、252の局所移動マップとを構築すること、並びに、各マップの構造と基準データベースに記憶された基準マップの構造とを比較することからなる。
【0042】
稜部204、206、及び208の周波数の局所修正マップの分析は、2つのイメージ間で、圧痕イメージ200の少なくともいくつかの部分上、及び特に中央領域上の、並びに圧力中心Oに関する少なくとも1つの周辺領域の、稜部204、206、及び208の周波数における変動を分析することからなる。
【0043】
本明細書で提示された本発明の実施形態において、及び実際の指の場合、センサ102の動きによって中央稜部204の周波数は変化しないが、センサ102の移動と共に、遠位稜部206の周波数は増加し、近位稜部208の周波数は減少する。
【0044】
言い換えれば、実際の指の場合、圧力中心O周囲の中央稜部204の周波数はセンサ102の移動と共に変化しないが、周辺稜部、ここでは近位及び遠位の周波数は、センサ102の移動と共に減少するか又は増加することによって変化する。
【0045】
稜部周波数の局所修正のマップを構築するために、位数i及びjそれぞれの少なくとも2つの圧痕イメージ200の間で、複数のポイントA(ρ,θ)が観察され、ポイントA(ρ,θ)での圧痕のイメージ200のiとjとの間の稜部周波数における変動は、以下の公式によって与えられる。
【数1】
【0046】
稜部周波数の局所修正のマップは、圧痕のイメージ200全体にわたって分散された、多数のポイントA(ρ,θ)について構築することが可能である。その後、値Δfの分散及び大きさにより、基体150が実際の指であるという事実が妥当であるか否かが検査可能になる。
【0047】
センサ102と接触する基体150の圧痕の構造250、252の局所移動のマップの分析は、たとえば細孔、瘢痕の端部、分岐、又は線の端部などの、圧痕のイメージ200上の特徴的なポイント250、252の位置を特定すること、及び、センサ102の移動の影響下でそれらのそれぞれが受ける移動を分析することからなる。特に、周辺領域が大幅に移動するのに対して、中央領域は移動しない。
【0048】
このようにして位置が特定されたそれぞれの特徴的なポイント250、252について、
センサ102の移動前に位置が特定された特徴的ポイント250とセンサ102の移動後に位置が特定された特徴的ポイント252との間に、移動ベクトル254が構築され得る。
【0049】
したがって局所移動マップは、圧痕のイメージ200全体にわたって分散された複数の特徴的ポイントを監視することによって、及び、それらのそれぞれの移動ベクトル254の決定によって構築され、これを実行するためには光学ストリーム計算が使用され、オプションで異常なポイントの数を制限するために局所フィルタリングが用いられる。
【0050】
その後、移動ベクトル254の分散、方向、及び大きさにより、基体150が実際の指であるか否かの妥当性検査が実行可能になる。
【0051】
図4は、実際の指について取得された光学ストリームのハーフ・マップ400を示す。センサ102の支持体表面と接触する中央領域402はごくわずかに移動し、点408によって示されているが、センサ102の支持体表面と接触していない周辺領域404はより大きく移動し、ここでは矢印406によって示されている。
【0052】
紙の不正行為の場合、基体150は弾性がなく、したがって稜部の周波数に変動はなく、基体150の歪みが存在しないため、すべての特徴的ポイントは同じ移動を受ける。基体がセンサ102の支持体表面全体にわたってスライドするか、又はセンサ102の支持体表面全体にわたってスライドしないかに依存して、異なる結果が得られる。
【0053】
支持体がスライドする場合、基体上にある特徴的ポイントの移動はセンサ102の移動に対応する。
【0054】
その後、稜部周波数の局所修正のマップは、圧痕のイメージ200全体にわたって分散する「ゼロ」のセットであり、局所移動は、すべてがセンサ102の移動ベクトルと同一の移動ベクトル254のセットである。
【0055】
支持体がスライドしない場合、これは基体の後方にある要素、一般に不正行為者の指であり、センサ102の移動を吸収するため、基体上にある特徴的ポイントの移動は存在しない。
【0056】
図5は、スライドしない紙の不正行為について取得される光学ストリームのハーフ・マップ500を示す。センサ102は移動するが、全体のイメージは変化しないままであり、点502によって示されている。
【0057】
厚形の不正行為の場合、基体150は、圧力領域の周辺を除いてほぼ紙と同様に挙動する。したがってマップは紙の不正行為と同様であるか、又は周辺部がわずかに異なるが、基体150が実際の指であるかどうかを、たとえば皮膚とシリコンとの柔軟性の差、及び/又は、おとりの均質構造と指の非均質構造との差によって、判別するには不十分である。
【0058】
薄形の不正行為の場合、薄層と指との間の接着領域は、実際の指を用いて取得される結果とは異なる結果を引き起こす。これらの相違はマップ上に見られる。
【0059】
マップは極座標系の原点Oを中心とし、マップの解像度は圧痕のイメージ200のそれとは異なり、たとえば解像度50dpiが選択されるが、他の解像度も可能である。
【0060】
すべての圧痕のイメージ200上に何らかの特徴的ポイントが見られない場合、マップを構築するために必要な情報、すなわちΔf及び対応する移動ベクトル254は、すべてのマップが同じ寸法を有するように、「ゼロ」に設定される。したがってマップは、すべてが同じ寸法を有するベクトルと見られる。
【0061】
上記で提示された本発明の実施形態では、より詳細には、マップは正常にキャプチャされた2つの圧痕のイメージ200を用いて構築されるが、あるタイプのマップでは、平均値Δf及び移動ベクトル254を取得するために、同じマップ内でキャプチャされた圧痕のイメージ200のすべてのペアの分析をまとめてグループ化することが可能である。
【0062】
基体150が実際の指であるか偽の指であるかの事実に基づく分析及び意思決定は、いくつかの中の1つのクラスに、当該クラスと同様の特性を有するサンプルを分類する役割を伴う分類器に委託することができる。
【0063】
分類器の使用には、実際の指のマップ及びクラス内に分散された不正行為の例を含む基準データベースが作成される間の、学習メカニズムを必要とする。
【0064】
分類器は、SVM又はマルチクラスSVMタイプ、或いは、主成分分析(PCA)とそれに続く線形判別分析(LDA)とを実行するタイプとすることができる。
【0065】
基体150が妥当性検査される場合、基体150によって担持されている圧痕の第1のイメージ200がキャプチャされ、センサ102の移動が実行され、圧痕の第2のイメージ200がキャプチャされる。前述のように、センサ102の他の移動を実行すること、及び各移動の後に圧痕イメージをキャプチャすることが可能である。
【0066】
その後、稜部周波数の局所修正マップ及び局所移動マップが確立され、分類器の入力に伝送される。
【0067】
クラスの数は、「実際の指」及び「不正行為」の場合の2から、「実際の指」、「紙の不正行為」、「厚形の不正行為」、及び「薄形の不正行為」の場合の4まで変化する。
【0068】
第1の分類を実行した後、第2の分類を実行することによる、段階的な動作も可能である。
【0069】
第1の分類は、第1の2クラス分類器を用いて、サンプルを「紙の不正行為」クラス又は「その他」クラスに分類することからなる。この第1の分類は、区別が最も容易な紙の不正行為を速やかに除外する。
【0070】
第2の分類は、サンプルを「実際の指」、又は厚形の不正行為及び薄形の不正行為を含む「不正行為」の中の、「その他」クラスに分類することからなる。
【0071】
図3は、基体150が実際の指であるという事実を妥当性検査するための、妥当性検査方法300のアルゴリズムを示す。
【0072】
妥当性検査300は、
−第1の圧痕イメージ200がキャプチャされる間の、初期キャプチャ・ステップ302と、
−センサ102が移動される間の、移動ステップ304と、
−第2の圧痕イメージ200がキャプチャされる間の、キャプチャ・ステップ306と、
−そのようにしてキャプチャされた2つの圧痕イメージを表すデータが分析される間の、分析ステップ308と、
−分析ステップの結果に従って基体150の妥当性に関して決定される間の、意思決定ステップ310と、
を含む。
【0073】
センサ102のいくつかの移動が実行される場合、分析ステップ308は、センサ102の移動が実行される予定である限り移動ステップ304へとループする。これを達成するために、妥当性検査方法300は、分析ステップ308と意思決定ステップ310との間に、センサ102の新規移動の存在の妥当性検査が実行される間の試験ステップ312を含む。否定応答の場合、プロセスは意思決定ステップ310の後、続行する。肯定応答の場合、プロセスは移動ステップ304にループする。これを達成するために、妥当性検査方法300は、試験ステップ312から移動ステップ304へとループする、ループ・ステップ314を含む。その後、意思決定ステップ310は様々な分析ステップ308の結果に基づく。
【0074】
分析ステップ308は、稜部周波数の局所修正マップと、キャプチャされた圧痕イメージ200の各ペアの圧痕イメージ200を表すデータからの構造の局所移動マップとを構築すること、及び、たとえば分類器を用いて、各マップの構造と基準データベース内に記憶された基準マップの構造とを比較することからなる。
【0075】
意思決定ステップ310は、分析ステップ308の結果に従って、実際の指が存在するか否かの妥当性検査を行うことからなる。
【0076】
本来、本発明は、説明及び示された例及び実施形態に限定されるものではなく、当業者がアクセス可能な多数の変形形態が可能である。
【0077】
たとえば本発明を、特に1本の指からなる基体の場合について説明してきたが、本発明は4本の指からなる基体の場合に適用可能である。さらに、各指について稜部周波数の局所修正マップ及び構造の局所移動マップを構築することが可能であるが、すべての代表的なデータから、稜部周波数の単一の局所修正マップ及び構造の単一の局所移動マップを構築することも可能である。後者の場合、マップは、代表的なデータから生じる平均を表す。
図1
図2
図3
図4
図5