(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193876
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】粉末状の薬剤を再調製するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-544040(P2014-544040)
(86)(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公表番号】特表2015-502863(P2015-502863A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】IB2012056926
(87)【国際公開番号】WO2013080190
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】61/566,255
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136576
【氏名又は名称】アエシント トプコ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100182660
【弁理士】
【氏名又は名称】三塚 武宏
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ フィオラバンティ
(72)【発明者】
【氏名】ワルテル ビアンコ
(72)【発明者】
【氏名】ササ マリンコビク
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエレ クチチ
【審査官】
臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−051385(JP,A)
【文献】
特開2001−310285(JP,A)
【文献】
特表2005−524457(JP,A)
【文献】
特表2008−525125(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0136095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/00−15/00
A61J 3/00− 9/00
G06F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの軸線(H)に沿った長尺状であり粉末状の薬剤(4)及び希釈剤(5)を収容する容器(3)を担持する可動要素を備えたロボット(2)の制御方法であって、
前記ロボット(2)は、前記容器を移動させることによって、粉末状の薬剤を希釈剤に完全に溶解させる再調製工程を実行できるように構成され、
前記制御方法が、
再調製工程の対象となる薬剤を示すデータを導入するユーザインタフェース(22)を用意し、
前記再調製工程において使用される基本動作P1,P2,・・Pi,・・Pnのリストを、選択された薬剤について出力する内部データベースDBに、導入されたデータに基づいてアクセスすることを含み、
前記基本動作の各々は、手動による再調製の下で実施された動作を模擬する所定の単純な動作を三次元の空間において定義する既定の軌道に従って前記容器を移動させるための、前記ロボット向けの電子化された命令を含み、
さらに、
出力された前記基本動作が順次実行されるように前記ロボット(2)を操作して、前記容器(3)を前記基本動作の命令に従って移動させ、
ロボット動作の下で前記容器が移動する間に、前記空間における前記容器(3)の物理的な位置及び前記容器(3)の動的パラメータを測定して、登録されたデータのリストを作成し、
測定された前記空間における位置及び動的パラメータを、対応する前記基本動作の位置及び動的パラメータと比較して、十分な近似レベルが達成される場合には、適格な基本動作のリストを選択し、
選択された適格な基本動作を合成することによって、前記単純な動作を包含する複雑な動作を可能にする命令を前記ロボット向けに生成し、
前記ロボット(2)を使用して、前記空間において移動される前記容器を前記複雑な動作に従って振り動かすことを含むことを特徴とする、制御方法。
【請求項2】
前記内部データベースDBが制約事項のリストを前記基本動作の各々について提供する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記基本動作が順次実行されるように前記ロボット(2)を操作する前に、任意の選択された基本動作に関する複数の運動パラメータの定義付けが実行され、
さらに、
前記近似レベルが達成されない場合に前記運動パラメータを修正し、
前記基本動作が実行されるように、更新済みの運動パラメータで前記ロボットを操作することを含む、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記基本動作のリストが、基本動作P1(NONE)、基本動作P2(SWEEP_CONE)、基本動作P3(SWEEP_CYLINDER)、基本動作P4(CUSTOM)、及び基本動作P5(PENDULUM_AXIS)のうちの2つ又は3つ以上から構成され、
前記基本動作P1(NONE)では、薬剤を収容する長尺状の前記容器(3)が、前記ロボット(2)によって、前記容器(3)の主要な軸線Hと平行な第1の方向D1と、第1の方向D1に垂直な第2の方向D2と、から構成される軌道に沿って振り動かされ、第1の方向D1及び第2の方向D2に沿った並進運動の間に、旋回運動ないし回転運動が前記容器(3)にさらに加えられることはなく、
前記基本動作P2(SWEEP_CONE)では、前記容器の軸線Hが、錐体の面上に位置する軌道に沿って移動し、回転する前記容器(3)の角速度が、一定若しくは正弦波状にされることができるか又は鋸刃状のプロファイルを有することができ、前記錐体が、完全にスイープされるか又は所定の円弧(0°〜360°)に限定され、
前記基本動作P3(SWEEP_CYLINDER)では、前記容器の軸線Hが、円筒体の面上に位置する軌道に沿って移動し、回転する前記容器の角速度が、一定若しくは正弦波状にされることができるか又は鋸刃状のプロファイルを有することができ、前記円筒体が完全にスイープされるか又は所定の円弧(0°〜360°)に限定され、
前記基本動作P4(CUSTOM)では、前記容器の軸線Hが、三次元空間において定義された特製のパラメトリック面上に位置する軌道に沿って移動し、
前記基本動作P5(PEUDULUM_AXIS)では、軸線Hが、前記ロボット(2)の基底部分(13)に対して可変の平面において振子式の回転運動をさせられ、前記容器(3)が、一定若しくは正弦波状にされうるか又は鋸刃状のプロファイルに追随しうる角速度の影響を受けることができ、前記ロボットの回転軸線の周りの回転運動が、所定の円弧(0°〜360°)に限定されることができる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項5】
制約事項には、
前記ロボット(2)の部材又は前記容器(3)が再調製フェーズの間に越えてはならない限界位置を示す制約事項、
前記ロボット(2)の部材又は前記容器(3)が再調製フェーズの間に超過してはならない最大速度値、
前記ロボット(2)の部材又は前記容器(3)が再調製フェーズの間に超過してはならない最大傾斜角度、及び
前記ロボット(2)の部材又は前記容器(3)が再調製フェーズの間に超過してはならない最大加速度値、のうちの1つ又は2つ以上が含まれる、請求項2に記載の制御方法。
【請求項6】
前記基本動作が設定フェーズにおいて生成され、
前記設定フェーズでは、
熟練した作業者が既定の手順に従って再調製フェーズを実施するために前記容器を手動で保持して振り動かす間に前記容器(3)の運動を測定する慣性測定手段(IM)が、前記容器(3)に取り付けられ、
前記慣性測定手段が、薬剤の再調製のための三次元的な薬剤再調製動作を記述する位置及び動的パラメータを測定し、
前記三次元的な薬剤再調製動作を分析することによって、作業者が手動で実施した1つ1つの動作を近似する基本動作を抽出する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項7】
前記基本動作を合成することには、
a)各々の基本動作を繰り返す回数を設定すること、
b)同時に実行される可能性のある2つ又は3つ以上の基本動作の同時実行を設定すること、
c)連続する2つの基本動作間の中断を設定すること、及び
d)基本動作のリスト全体を繰り返す回数を設定すること、のうちの少なくともいずれか1つが含まれる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状の薬剤を再調製するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知であるように、薬剤は一旦溶液内に混合されると急速に効力を失うので、薬剤は粉末状の形態で(凍結乾燥されて)保管されることが多い。通常、粉末薬剤は非経口投与に用いられ、共通の言い方として、「粉末注射剤」(PI)、「注射用乾燥粉末」、又は「再調製用粉末」と称されることが多い。注射用乾燥粉末の広範なサンプルリストが、米国薬局方においてUSP29−NF24の下で利用可能である。
【0003】
上記の粉末状の薬剤は、一般に「希釈剤」と称される液体と容器(通常は、バイアル)内で混合される必要があり、より具体的には、再調製される必要がある。
【0004】
粉末状の薬剤に一旦希釈剤が加えられると、薬剤粉末が完全に溶解するまで、すなわち、再調製プロセスが終了するまで、液体と粉末の混合物が容器内で撹拌され続ける必要がある。例えば、米国薬局方は、再調製プロセスの完了を、未溶解の粉末の可視的な残留物が一切見られないか、又は調製された溶液の清澄度が同じ体積の希釈剤若しくは精製水と比較して著しく低くはない状態と定義している。
【0005】
殆どの化学薬品について、効率的な再調製を達成するための特別な取扱い及び技法が記述されておらず、殆どの場面において、再調製の効率性は撹拌の効率性を主眼に置いている。その場合は、薬剤が最短時間で完全に溶解するように容器を撹拌することによって、最適手順が達成される。
【0006】
時折、市販の薬剤に、容器の撹拌を実施する方法についての限定的な指示書が付されることがあるものの、それら指示書は、「静かに掻き混ぜる(gently swirl)」又は「振り混ぜない(avoid shaking)」のような曖昧かつ一般的な内容であることが多い。つまり、殆どの場面において、それら指示書は、再調製された薬剤における発泡又はゲル生成を防止する目的、又は容器が開けられるときに噴霧効果又はエアゾール効果を事後的に発生させうる容器内の過圧力をあらゆる場面で抑制する目的のために提供されている。
【0007】
通常、より正確な指示書が入手可能であることはなく、その理由は、典型的には薬剤技師である作業者が、再調製されるべき容器を手で持って移動させることによって、再調製プロセスが実施されるからである。すなわち、作業者の個々の技能及び訓練に結果が大きく左右されるし、環境的な制約によって結果が条件付けされる。加えて、作業者によって撹拌が実施される必要がある場合には、正確な撹拌の指示書があったとしても、撹拌に要する時間が数十秒から数十分であるとしたら、その指示書が適切に遂行されることはない。どんな作業者も、そのような長時間にわたって複雑な動作を手作業で繰り返すことはできないからである。
【0008】
このような理由から、過去における研究及び解決策の殆どは、粉末状の薬剤の最良の溶解状態を最短時間で達成し、それにより撹拌プロセスを最適化することを目的とする、粉末状の薬剤の再調製用の自動化システムの設計を主眼に置いてきた。
【0009】
粉末状の薬剤の再調製に用いられる幾つかの自動化システムが設計されており、それらが現在市販されているものの、これまでに撹拌の実施に利用されてきたのは、限られた自由度のみであった。
【0010】
市販のシステムは以下の動作によって撹拌を実施する。
− 容器を長手方向軸線の周りで回転させる。
− 容器バイアルを回転式ディスクの回転軸線の周りで回転させる。容器の長手方向軸線は、上記の回転軸線と平行であるか、又は傾斜しているか、若しくは回転軸線と直交している。
− 可変周波数で容器を振り混ぜる。
− 2つ又は3つの軸線の周りの回転並進運動によって容器を撹拌する。
− 希釈液に浸された混合器具を用いて希釈液内で渦を発生させる。
【0011】
現存するどのシステムも、2つ以上の動作の組み合わせに基づく複雑な撹拌技法、例えば、容器を垂直軸線の周りで回転させ、次いで、容器の長手方向軸線を錐体の面上で移動させ、次いで、バイアルのストッパの高さでは容器をゼロに近い速度で静かに振り混ぜ、そして、ストッパの底部では容器を高速で振り混ぜる技法を実践するのには適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、粉末薬剤を効果的に溶解させることを目的とする、制御された繰り返し可能な還元式の再調製方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、請求項1に記載された、薬剤の再調製工程に使用されるロボットの制御方法に関連している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による粉末状の薬剤の再調製システムを簡略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して本発明について説明する。
図1は、本発明によるロボットの制御方法が実行される、粉末状の薬剤の再調製に使用されるシステムを示している。
【0016】
システム1は、容器3(公知の種類、典型的にはバイアル)を保持するように構成されたロボット2(公知の種類)を備えており、容器3では、凍結乾燥された薬剤4が再調製プロセスの過程で液体5(希釈剤)と混合される。
【0017】
容器3は、1つの長手方向軸線Hに沿った長尺状になっており(例示において、容器3は、軸線Hと同軸である管状の円筒体形状を有する)、公知の種類のキャップ6によって閉塞された開口部を有している。
【0018】
容器3は、ロボット2の把持保持部材9によって保持され、把持保持部材は、容器3が把持部材9によって安定的に保持される(図示された)閉鎖位置から、容器が再調製工程の最後にソケット10の内側に放出される(図示されない)開放位置まで移動可能である。
【0019】
例示において、ロボット2は、6つの自由度を有しており(勿論、別々のロボットが使用されてもよい)、
− 第1の垂直軸線A1の周りで基底部分13に対して角度方向に移動可能にされた下方部分12と、
− 一方の端部15aが基底部分12と旋回式に連結され、第2の水平軸線A2の周りで角度方向に移動可能にされた第1のアーム15と、
− 第1の端部16aがアーム15の第2の端部15bと旋回式に連結され、第3の水平軸線A3の周りで角度方向に移動可能にされた第2のアーム16と、
− アーム16の第2の端部16bによって担持され、第2の水平軸線A4の周りでアーム16に対して移動可能にされた1つのヘッド17と、
− 第5の軸線A5の周りでヘッド17に対して移動しうる把持保持部材9と、を備えている。
把持保持部材9は、第6の軸線A6に沿ってヘッド17に対しても移動しうる。
【0020】
ロボット2は、ロボット3のアクチュエータ(図示されない)を制御するコンピュータユニット20と通信し、それにより、容器3を、以下の説明のように定義される軌道に沿って、基準系X,Y,Zに対して空間内で移動させる。
【0021】
容器3の移動は、凍結乾燥された薬剤4を薬剤の再調製フェーズにおいて液体5と完全かつ十分に混合するのに利用される。
【0022】
コンピュータユニット20は、使用方法が以下で説明される1つ(又は2つ以上)の内部データベースDBを有している。
【0023】
コンピュータユニットは(公知の種類の)ユーザインタフェース22を有しており、ユーザインタフェース22は、キーボード、マウス、タッチパネル、又はデータの入力及び結果の表示に適した他の手段を備えうる。
【0024】
図2を参照して、本発明による薬剤再調製方法の工程を例示する。
ブロック100では、作業者が、ユーザインタフェース22(例えば、タッチパネル)を用いて、再調製の対象とされる薬剤を示すデータを導入する。例えば、薬剤の商品名が導入されうるか、又は薬剤の活性配合が導入されうる。
【0025】
作業者の入力に基づいて、システム1が、選択された薬剤を再調製するプロセスに使用されるべき基本動作P1,P2,・・Pi,・・Pnのリストを出力する内部データベースDBにアクセスする(ブロック110)。
【0026】
各々の基本動作は、作業者が再調製フェーズで行う動作を模擬したものであり、ロボット2によって容器3を予め定めた軌道に従って移動させるための電子化された命令を含んでいる。予め定めた軌道は、所定の単純な動作、例えば、回転運動、1つ又は2つの軸線による並進運動、振子運動等を三次元空間X,Y,Zにおいて定義している。
【0027】
好ましくは、データベースDBが、多数の薬剤のリストを格納するように構成されうるとともに、リストに記憶された薬剤の各々について、対応する基本動作と動作制約が関連付けられる。
【表1】
【0028】
基本動作の非限定的な例を以下に示す。
基本動作P1(NONE) 薬剤を収容する長尺状の容器3が、ロボット3によって、主要な軸線Hと平行な第1の方向D1と、第1の方向D1に垂直な第2の方向D2と、から構成される軌道に沿って
振り動かされる。上記の並進運動の間に、旋回運動ないし回転運動が容器3にさらに加えられることはない(
図3aを参照)。
【0029】
基本動作P2(SWEEP_CONE):容器の軸線Hが、錐体の面上に位置する軌道D3に沿って移動する(
図3bを参照)。回転する容器3の角速度が、一定若しくは正弦波状にされうるか、又は鋸刃状のプロファイルを有しうる。錐体が、完全にスイープされるか又は所定の円弧(0°〜360°)に制限される。
【0030】
基本動作P3(SWEEP_CYLINDER):容器の軸線Hが、円筒体の面上に位置する軌道D4に沿って移動する(
図3cを参照)。回転する容器の角速度が、一定若しくは正弦波状にされうるか、又は鋸刃状のプロファイルを有しうる。
円筒体が完全にスイープされるか、又は所定の円弧(0°〜360°)に制限される。
【0031】
基本動作P4(CUSTOM):容器の軸線Hが、三次元空間において定義された特製のパラメトリック面上に位置する軌道に沿って移動する。
【0032】
基本動作P5(PENDULUM_AXIS):軸線Hが、可変の平面において軸線A
6の周りで振子式の回転運動をさせられる(
図3dを参照)。容器3が、一定又は正弦波にされうるか又は鋸刃状のプロファイルに追随しうる角速度の影響を受けうる。ロボットの回転軸線の周りの回転運動が、所定の円弧(0°〜360°)に制限されうる。
【0033】
これら基本動作は、以下に示す設定フェーズ(ブロック105)で生成されうる。
設定フェーズでは、容器3に、(
図3に概略的に示される)慣性測定手段が取り付けられる(公知の種類の慣性測定手段は、軸線Hと平行な軸線を有する1つの加速度計及び1つのジャイロスコープのうちのいずれか一方を備える)。慣性測定手段は、熟練した作業者が、既定の手順に従って再調製フェーズを実施する目的で、容器を保持して振り動かすことによって、手動で移動させられる容器3の運動を測定するようになっている。
【0034】
慣性測定手段は、薬剤の再調製を目的とする三次元的な薬剤再調製動作を記述する角度、位置、及び加速度を測定するようになっている。上記の三次元的な薬剤再調製動作は、作業者が手動で実施した1つ1つの動作を近似する基本動作を抽出する市販のソフトウェアによって分析される。
【0035】
動作制約については以下の例が考えられる。
− ロボット2の部材(例えば、アーム)又は容器3が再調製フェーズの間に越えてはならない限界位置を示す制約;
− ロボット2の部材(例えば、アーム)又は容器3が再調製フェーズの間に超過してはならない最大速度値;
− ロボット2の部材(例えば、アーム)又は容器3が再調製フェーズの間に超過してはならない最大傾斜角度;
− ロボット2の部材(例えば、アーム)又は容器3が再調製フェーズの間に超過してはならない最大加速度値。
対象の薬剤向けに生成された基本動作のリストがインタフェース22に示されるので(ブロック120)、基本動作の全て又は基本動作のサブセットが作業者によって選択されうる。基本動作の選択は、例えば、タッチパネルによって実行されうる。
【0036】
さらに、各々の選択された基本動作について、作業者が当該基本動作と関連する運動パラメータを決定しうる。運動パラメータの例は、末端位置、最大速度値、最大傾斜角度、最大加速度値等である。次いで、ロボット2が、ダウンロードされた基本動作を順次実行し、より具体的には、容器3を基本動作の命令に従って移動させる(ブロック125)。
【0037】
容器が移動する間に、容器3の三次元空間における実際の物理的な位置ないし動的パラメータ(加速度ないし傾斜度)が、慣性測定手段IMによって登録される。慣性測定手段IMは、設定フェーズで使用されたものと同一でありうる。
【0038】
三次元空間における登録された位置(ブロック130)ないし動的パラメータが、対応する基本動作の位置ないしパラメータ、すなわち、既に説明したように、熟練した作業者が実施した手動による再調製の下で設定フェーズにおいて定義された位置ないしパラメータと比較される(ブロック140)。
【0039】
この比較は、差異を評価する適切なソフトウェアによって(例えば、相関関数を用いて)実行されうるか、又は、例えば、基本動作の関連データが表示されることによって、作業者によって直接的に実施されうる(ブロック150)。
【0040】
換言すると、ソフトウェア又は作業者は、ロボットによって自動的に実行された動作が、熟練した作業者によって手動で実施された動作を十分に近似しているかどうかを判断しうる。
【0041】
近似レベルが十分であると判断される場合には、作業者が適格な基本動作のリストを選択する。
近似レベルが十分でないと判断される場合には、作業者が、再設定フェーズにおいて、既に設定された運動パラメータを修正しうる(ブロック140からブロック120へ)。或いは、他の基本動作が選択されうる。
【0042】
再設定フェーズが実行される場合には、ロボットが再び操作されるとともに(ブロック125)、作業者が適格な基本動作を定義して選択するまで(ブロック140の出口がYES)、上記の測定、記憶(ブロック130)、及び比較(ブロック140)の工程が繰り返される。
【0043】
選択された適格な基本動作がインタフェースに示されることによって、作業者がそれら基本動作を組み合わせて、薬剤の再調製に使用される最終的な動作を生成できるようになる。適格な基本動作の組み合わせは、以下の事項の動作のうちの少なくとも1つを含む。
【0044】
a)各々の基本動作を繰り返す回数を設定すること、
b)同時に実行される可能性のある2つ又は3つ以上の基本動作の同時実行を設定すること、
c)連続する2つの基本動作間の中断(より具体的には、容器が移動されない時間の長さ)を設定すること、及び
d)基本動作のリスト全体を繰り返す回数を設定すること。
【0045】
上記のb)の動作によると、X,Y,Z軸の運動成分の組み合わせ(重ね合わせ)によって得られる複雑な動作が生成される。例えば、x1(t)及びx2(t)が2つの基本動作Pi及びPi+1のそれぞれのX軸に沿った動作を表す場合における複雑な動作は、x1(t)及びx2(t)の線形合成である。
【0046】
最終的な動作のパラメータが記憶される。
最後に、ロボットが最終的な複雑な動作に従って容器を移動させることによって、再調製サイクルが実行される(ブロック200)。
【0047】
この場合も、ロボットによって物理的に実行された動作を登録する目的のために、慣性測定手段が容器に適用されうる。記憶されたこれらのデータは、承認又は修正の目的のために、インタフェースにおいて提示されうる。