(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
他方、上記したレシプロソーにあっては、充電式バッテリから供給される電力について、電圧を高く設定したいとの要請や、供給容量を大きく設定したいとの要請がある。しかしながら、電圧を高く設定した充電式バッテリや供給容量を大きく設定した充電式バッテリにあっては、高価である上、汎用性にも乏しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、長尺形の切断刃を往復動させることにより該切断刃により被切断材を切断する切断工具において、切断工具として利用するにあたって電圧を高く設定したり供給容量を大きく設定したりする要請に応じるにあたって、汎用性に優れた充電式バッテリを利用できるようにすることにある。
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明に係る切断工具は次の手段をとる。本発明の第1の側面とする切断工具は、切断刃が取り付けられる出力軸を有し、該出力軸を往復動させることにより取り付けられた切断刃にて被切断材を切断する切断工具であって、前記出力軸が前端から突き出される工具本体は、充電式バッテリからの供給電力によりモータ軸を回転駆動させる電動モータと、該モータ軸の回転駆動を前記出力軸の往復動に変換する往復動変換機構と、を備え、前記工具本体の外装をなすハウジングには、前記充電式バッテリを装着可能とするバッテリ装着部が2つ設けられており、前記2つのバッテリ装着部のそれぞれは、スライドさせることにより装着されるスライド装着タイプの充電式バッテリに対応した、スライド装着タイプのバッテリ装着部として構成される。
【0007】
この第1の側面とする切断工具によれば、工具本体の外装をなすハウジングには、充電式バッテリを装着可能とするバッテリ装着部が2つ設けられているので、切断工具として利用するにあたって電圧を高く設定したり供給容量を大きく設定したりする要請に応じることができる。また、この第1の側面とする切断工具によれば、2つのバッテリ装着部は、スライド装着タイプのバッテリ装着部として構成される、スライドさせることにより装着されるスライド装着タイプの充電式バッテリに対応させることができる。つまり、広く汎用されるスライド装着タイプの充電式バッテリを利用することができる。したがって、切断工具として利用するにあたって電圧を高く設定したり供給容量を大きく設定したりする要請に応じつつ、汎用性に優れた充電式バッテリを利用することができる。
【0008】
本発明の第2の側面とする切断工具は、前記第1の側面とする切断工具において、前記工具本体の後部には、手握りされるハンドル部を有するグリップハウジングが設けられており、前記2つのバッテリ装着部のそれぞれに装着される前記2つの充電式バッテリのそれぞれの装着方向が、前記出力軸の往復動方向と交差する方向であり、且つ前記グリップハウジングが延びる方向と交差する方向である。このため、充電式バッテリのそれぞれの装着方向は、工具本体の幅方向に設定されることとなる。
【0009】
工具本体は、一般的に、出力軸の往復動方向に沿って延びる形状を有しているので、工具本体の幅方向に充電式バッテリを装着させると、この工具本体が延びる方向で充電式バッテリを並列して配置させることとなる。これによって、2つの充電式バッテリを並列配置させることができながら、工具本体の幅方向の嵩張りを抑えることができて、狭い場所での切断作業を行い易くして工具の取回しの良さを維持することができる。また、充電式バッテリのそれぞれの装着方向は、工具本体の振動方向と交差するので、装着された充電式バッテリが外れてしまうのを防止する作用を高めることができる。
【0010】
本発明の第3の側面とする切断工具は、前記第2の側面とする切断工具において、前記2つの充電式バッテリのそれぞれの装着方向が共に同じ方向である。この第3の側面とする切断工具によれば、2つの充電式バッテリのそれぞれの装着方向が共に同じ方向であるので、2つの充電式バッテリを1方向で纏めて装着あるいは取外しをすることができるので、このような装着作業あるいは取外し作業が行い易くて便利である。
【0011】
本発明の第4の側面とする切断工具は、前記第1から前記第3のいずれかの側面とする切断工具において、前記2つのバッテリ装着部は、前記工具本体において前後方向に延びる中心線上に跨って設けられている。なお、この工具本体の左右方向(幅方向)は、工具本体の前後方向と交差する方向として設定される。
【0012】
この第4の側面とする切断工具によれば、2つのバッテリ装着部に装着された充電式バッテリは、工具本体において前後方向に延びる中心線上に跨るように配置される。これによって、工具本体の左右方向で、バッテリ装着部に装着された充電式バッテリの荷重をバランスさせ易くすることができて、工具の取回しの良さを維持することができる。
【0013】
本発明の第5の側面とする切断工具は、前記第1から前記第4のいずれかの側面とする切断工具において、前記2つのバッテリ装着部のそれぞれに装着される前記2つの充電式バッテリについての合成重心は、前記工具本体において前後方向に延びる中心線上で位置されるように、該2つのバッテリ装着部のそれぞれの位置が設定されている。
【0014】
この第5の側面とする切断工具よれば、2つの充電式バッテリについての合成重心は、工具本体において前後方向に延びる中心線上で位置されるように2つのバッテリ装着部のそれぞれの位置が設定されている。これによって、2つの充電式バッテリを取り付けた状態であっても、切断工具として左右にバランスされたものとすることができる。
【0015】
本発明の第6の側面とする切断工具は、前記第1から前記第5のいずれかの側面とする切断工具において、前記2つのバッテリ装着部のそれぞれに対する前記2つの充電式バッテリの装着方向は、前記出力軸の往復動する方向に対して上から下に交差させる角度を有するように、該2つのバッテリ装着部のそれぞれの位置が設定されている。
【0016】
この第6の側面とする切断工具によれば、2つの充電式バッテリの装着方向は、出力軸の往復動する方向に対して上から下に交差させる角度を有するように2つのバッテリ装着部のそれぞれの位置が設定されている。これによって、本切断工具を水平方向に向けたり上側に向けたりして作業するにあたって、バッテリ装着部に装着された充電式バッテリがバッテリ装着部から外れてしまうのを抑えることができる。つまり、作業姿勢がどのような場合でも、バッテリ装着部に装着された充電式バッテリに重力が作用することをなくして、このバッテリ装着部から充電式バッテリが外れてしまうことを防止することができる。
【0017】
本発明の第7の側面とする切断工具は、前記第1から前記第6のいずれかの側面とする切断工具において、前記2つのバッテリ装着部のそれぞれに装着された前記2つの充電式バッテリの下面のそれぞれが互いに同一平面をなすように、該2つのバッテリ装着部のそれぞれの位置が設定されている。
【0018】
この第7の発明によれば、2つの充電式バッテリの下面のそれぞれが互いに同一平面をなすように、2つのバッテリ装着部のそれぞれの位置が設定されている。これによって、2つの充電式バッテリの下面同士は、共通下面をなすように面一となって、この共通下面を載置面に対面させて切断工具を載せておくことができる。
【0019】
本発明の第8の側面とする切断工具は、切断刃が取り付けられる出力軸を有し、該出力軸を往復動させることにより取り付けられた切断刃にて被切断材を切断する切断工具であって、前記出力軸が前端から突き出される工具本体は、充電式バッテリからの供給電力によりモータ軸を回転駆動させる電動モータと、該モータ軸の回転駆動を前記出力軸の往復動に変換する往復動変換機構と、を備え、前記工具本体の外装をなすハウジングには、前記充電式バッテリを装着可能とするバッテリ装着部が2つ設けられており、前記2つのバッテリ装着部のうち少なくとも1つのバッテリ装着部は、前記電動モータを支持するモータハウジングに設けられている。
【0020】
この第8の側面とする切断工具によれば、バッテリ装着部は電動モータを支持するモータハウジングに設けられているので、バッテリ装着部に装着される充電式バッテリに対して、電動モータを冷却するための冷却風を当てることができる。これによって、使用している際の充電式バッテリを冷却することができる。
【0021】
本発明の第9の側面とする切断工具は、切断刃が取り付けられる出力軸を有し、該出力軸を往復動させることにより取り付けられた切断刃にて被切断材を切断する切断工具であって、前記出力軸が前端から突き出される工具本体は、充電式バッテリからの供給電力によりモータ軸を回転駆動させる電動モータと、該モータ軸の回転駆動を前記出力軸の往復動に変換する往復動変換機構と、を備え、前記工具本体の外装をなすハウジングには、前記充電式バッテリを装着可能とするバッテリ装着部が少なくとも1つ設けられており、前記少なくとも1つのバッテリ装着部の配設位置が、前記出力軸が往復動する往復動軸線を挟んで、前記充電式バッテリが取り外された前記工具本体の重心の位置とは反対側の位置に設定されている。
【0022】
この第9の側面とする切断工具によれば、少なくとも1つのバッテリ装着部に装着された充電式バッテリの重心の位置は、出力軸が往復動する往復動軸線を挟んで、充電式バッテリが取り外された工具本体の重心の位置とは反対側の位置に設定されることとなる。これによって、少なくとも1つのバッテリ装着部に充電式バッテリが装着された切断工具全体の重心の位置を、出力軸が往復動する往復動軸線に近づけることができる。これによって、充電式バッテリが装着された切断工具全体の重心の位置を、往復動変換機構により変換されて往復動する出力軸の往復動軸線に向けて近づけることができる。したがって、被切断材を切断するにあたって往復動する出力軸に生ずるバタつきを抑えることができる。したがって、ユーザにとっての使用感を向上させて扱いやすくなる切断工具とすることができる。
【0023】
本発明の第10の側面とする切断工具は、切断刃が取り付けられる出力軸を有し、該出力軸を往復動させることにより取り付けられた切断刃にて被切断材を切断する切断工具であって、前記出力軸が前端から突き出される工具本体は、充電式バッテリからの供給電力によりモータ軸を回転駆動させる電動モータと、該モータ軸の回転駆動を前記出力軸の往復動に変換する往復動変換機構と、を備え、前記工具本体の後部には、手握りされるハンドル部を有するグリップハウジングが設けられており、前記グリップハウジングには、前記充電式バッテリを装着可能とするバッテリ装着部が少なくとも1つ設けられており、前記グリップハウジングの前側部分と、該グリップハウジングの該前側部分が連結されるモータハウジングの後側部分との間の少なくとも一部には弾性体が介在されている。
【0024】
この第10の側面とする切断工具によれば、グリップハウジングには充電式バッテリを装着可能とするバッテリ装着部が少なくとも1つ設けられているので、この少なくとも1つのバッテリ装着部に充電式バッテリを装着させることができる。これによって、ハンドル部を有するグリップハウジングの重量を重くすることができるので、出力軸が往復動することによって生ずる振動をハンドル部に伝わり難くさせることができる。したがって、振動を低減したユーザにとっての使用感を向上させた切断工具とすることができる。
【0025】
さらに、この第10の側面とする切断工具によれば、グリップハウジングの前側部分と、このグリップハウジングの前側部分が連結されるモータハウジングの後側部分との間には弾性体が介在されている。これによって、出力軸が往復動することによって生ずる振動がハンドル部に伝わるには弾性体を介して伝わることとなり、この振動を緩衝させてハンドル部に伝えさせることとなる。したがって、振動を低減したユーザにとっての使用感を向上させた切断工具とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施の形態]
次に、本発明に係る第1の実施の形態を
図1〜
図10を参照しながら説明する。
図1に示す符号10は、本発明に係る切断工具に相当するレシプロソーである。この
図1の斜視図では、レシプロソー10の略全体の斜め後側からの外観を示している。
図2の側面図では、
図1に示すレシプロソー10を側面視している。
図3の平面図では、
図1に示すレシプロソー10を後側から視ている。
図4の平面図では、
図1に示すレシプロソー10を上側から視ている。
図5の断面図では、
図4の(V)-(V)断面矢視を示している。
図6の断面図では、
図4の(VI)-(VI)断面矢視を示している。
図7の斜視図では、充電式バッテリ80を取り外したレシプロソー10の略全体の斜め後側からの外観を示している。
図8の平面図では、
図7に示すレシプロソー10を下側から視ている。
図9の斜視図では、バッテリ装着部60にスライドさせて装着される充電式バッテリ80を示している。
図10の平面図では、バッテリ端子接続部600を拡大して示している。なお、以下の説明では、図中に記載される方向を用いてレシプロソー10を説明する。
【0028】
このレシプロソー10は、ユーザが手で持って加工作業を行うための手持ち式の切断工具であり、供給電力の電圧が36Vに設定されるハイパワータイプのレシプロソーである。このレシプロソー10は、切断刃としてのブレードBが取り付けられる出力軸50を有して構成される。この出力軸50には、ブレードBを把持しておくための取付部51が設けられている。この取付部51にはブレードBが取り付けられる。このブレードBは、出力軸50の往復動を受けて往復動する。したがって、往復動するブレードBは、被切断材を切断することができる。
【0029】
このレシプロソー10は、概略、上記した出力軸50が前端から突き出される工具本体100と、この工具本体100の前端側に取り付けられるシュー57とを備える。工具本体100は、概略、ハウジング11と、電動モータ22と、クランク機構42とを備える。なお、このクランク機構42は、本発明に係る往復動変換機構に相当する。ハウジング11は、この工具本体100の外装をなす。このハウジング11としては、後から順に、グリップハウジング12と、モータハウジング21と、ギヤハウジング41とを備える。なお、これらの、グリップハウジング12と、モータハウジング21と、ギヤハウジング41とは、互いに連結されて、レシプロソー10の外装の一部をなしている。グリップハウジング12は、樹脂製の半割り成形部品として形成されている。このグリップハウジング12は、図示するように前後に延びる輪状(ループ形状)をなして形成されている。このグリップハウジング12は、側面視略D字形をなしている。このようにループ形状をなすグリップハウジング12後部は、ユーザにより手握りされるハンドル部13として形成されている。
【0030】
このハンドル部13の外周面には、適宜のエラストマが取り付けられている。このエラストマは、ハンドル部13を手握りした際の滑り止め等の機能を確保する。なお、このハンドル部13の下端は、ハンドルエンド部33として設定される。このハンドルエンド部33は、工具本体100の中で略最後端でありながら工具本体100の中で最下端を形成するように設定されている。このハンドル部13の上部側には、前側に突き出される上側連接部14が形成されている。また、ハンドル部13の下部側にも、前側に突き出される下側連接部15が形成されている。これら上側連接部14の前部と下側連接部15の前部とは、互いに繋がるように連接されている。このように上側連接部14と下側連接部15とを連接するグリップハウジング12の前側部分は、次に説明するモータハウジング21と結合されている。
【0031】
ハンドル部13には、操作スイッチ17が設けられている。この操作スイッチ17は、
図5に示すように、スイッチ本体18と、操作ボタン部19とを備える。スイッチ本体18は、グリップハウジング12に内装されグリップハウジング12に支持されている。このスイッチ本体18は、広く利用される接点スイッチにて構成される。操作ボタン部19は、前後方向に移動可能にグリップハウジング12に支持されている。操作ボタン部19のハンドル部13の握り方向に沿った押込み操作によりスイッチ本体18の接点をオンとする。接点がオンとされたスイッチ本体18は、スイッチオンとする旨の信号を不図示のコントローラに入力する。
【0032】
操作ボタン部19が押込み操作されていない場合には、不図示の付勢ばねにより押込みが解除され、接点がオフとされたスイッチオフとする状態となる。なお、このグリップハウジング12の前端部分には、次に説明する電動モータ22のモータ軸23を支持する後側ベアリング35が設けられている。後側ベアリング35はグリップハウジング12にて支持されている。なお、このグリップハウジング12には、不図示のコントローラが内装されている。このコントローラは、シャント抵抗やFET(field-effect transistor)回路等の各種の電材部品を装備して構成される。このコントローラは、電力供給に関する各種の制御を行う基板にて構成されている。
【0033】
このモータ軸23の軸線を含む前後上下平面が、工具本体100の中心線X1として規定される。グリップハウジング12の前側にはモータハウジング21が連結されている。このモータハウジング21は、アルミ鋳物製の成形部品として形成されている。このモータハウジング21は、このモータハウジング21の内部に配設される電動モータ22を支持する。電動モータ22は、供給電力によりモータ軸23を回転駆動させる。この電動モータ22は、所謂ブラシモータで構成され、ステータ24と、ロータ25と、コンミテータ26とを備える。
【0034】
ステータ24は、モータハウジング21にて支持される永久磁石となっている。ロータ25は、コイルが巻回されることにより形成される。このロータ25の回転軸としてモータ軸23が設定されている。このモータ軸23は、後端側の後側ベアリング35と前端側の前側ベアリング36とにより、回転可能に支持されている。モータ軸23のうちロータ25の前側には、冷却ファン28が取り付けられている。この冷却ファン28の下側には、モータハウジング21の内外を貫通させる排気孔30が設けられている。
【0035】
この排気孔30に対する吸気孔29は、
図1等に記載のとおりにグリップハウジング12の前側に設けられている。この前側ベアリング36は、ギヤハウジング41に支持されている。また、このモータ軸23の前端には、このモータ軸23を回転軸とするピニオンギヤ37が設けられている。このピニオンギヤ37は、次に説明するクランク機構42のベベルギヤ43と噛合する先細ったベベルギヤとしての形状を有して形成されている。
【0036】
このモータハウジング21の前側には、ギヤハウジング41が連結されている。ギヤハウジング41にはクランク機構42が内装される。ギヤハウジング41は、アルミ鋳物製となっており、下側ハウジング411と上側ハウジング412とを合体させることにより形成される。下側ハウジング411と上側ハウジング412とは、合体させることにより前方に開口される略筒状をなしている。
【0037】
このギヤハウジング41は、モータハウジング21に対して、フランジ部413にて螺子止めされている。このギヤハウジング41には、モータ軸23の回転駆動の駆動態様を変換するクランク機構42が内装されている。このクランク機構42は、モータ軸23の回転駆動を出力軸50の往復動に変換する。すなわち、クランク機構42は、概略、ベベルギヤ43と、ベベルギヤ回転軸44と、クランク軸45と、スライダ46とを備える。ベベルギヤ43は、モータ軸23の前端のピニオンギヤ37と噛合する。このベベルギヤ43は、下側ハウジング411にて支持されるベベルギヤ回転軸44を回転軸として回転する。このベベルギヤ43の偏心位置には、クランク軸45が上側に突き出されるように設けられている。
【0038】
このクランク軸45は、このベベルギヤ43の偏心軸として機能する。スライダ46は前端が出力軸50として設定される。このスライダ46は、円筒棒状に形成される。スライダ46は、上側ハウジング412にて支持されるガイドスリーブ49により前後スライド移動がガイドされている。このスライダ46の下部には、スライドプレート47が設けられている。このスライドプレート47は、下部が開口された断面視コ字形をなしている。このスライドプレート47のコ字形内部には、クランク軸45の上端が遊嵌されている。つまり、クランク軸45は、このスライドプレート47のコ字形内部を左右にスライド移動しながら、スライダ46を連動させるようになっている。このようにして、モータ軸23が回転駆動すると、ピニオンギヤ37も回転し、このピニオンギヤ37に噛合されるベベルギヤ43も回転する。
【0039】
そうすると、このベベルギヤ43に設けられる偏心位置のクランク軸45は、スライドプレート47のコ字形内部を左右にスライド移動する。この際、このクランク軸45の回転運動は、クランク軸45の移動軌跡の直径を、スライドプレート47の前後ストローク量としてスライドプレート47を前後動させる。つまり、スライダ46は、スライドプレート47の前後動により前後動されて出力軸50を前後動、つまり往復動させることとなる。このようにして出力軸50に取付部51に取り付けられたブレードBは往復動することとなり、この往復動するブレードBは被切断材を切断することができる。
【0040】
この出力軸50の軸線の延長ラインが、出力軸50の往復動軸線X2として規定される。なお、このように構成されるギヤハウジング41の外周には、ゴム樹脂製の絶縁カバー53が設けられている。この絶縁カバー53は、このギヤハウジング41の外周の全範囲におよぶように設けられている。この絶縁カバー53は、熱伝導および電気伝導を絶縁する効果がある。このため、ギヤハウジング41を被覆する絶縁カバー53の外周部分は、ユーザにより手握りされるハンドル部としても機能できるようになっている。
【0041】
符号57はシューである。出力軸50の取付部51に取り付けられるブレードBは、シュー57を突き抜けるように前側に突き出される。なお、この出力軸50は、上下方向にずらされているものの、モータ軸23の軸線の延長ライン(モータ軸23の軸線を含む前後上下平面をなす中心線X1)上に配置されている。
【0042】
次に、上記したモータハウジング21には、2つのバッテリ装着部60(60a,60b)が設けられている。すなわち、モータハウジング21の略下半分には、2つのバッテリ装着部60a,60bが設けられている。つまり、このモータハウジング21に設けられる2つのバッテリ装着部60a,60bは、電動モータ22の周囲に設けられることとなっている。このバッテリ装着部60a,60bのそれぞれには、スライドさせることにより装着される充電式バッテリ80a,80bが取り付けられる。
【0043】
この充電式バッテリ80a,80bは、
図9に示すように、広く汎用される供給電力の電圧が18Vに設定される充電式バッテリ80である。この充電式バッテリ80は、スライドさせることによってバッテリ装着部60に装着されるいわゆるスライド装着タイプの充電式バッテリとなっている。このため、この充電式バッテリ80の図示上面(接続端子配置面)側には、スライド装着させるための構造および電気的接続がなされる構造が設けられている。
【0044】
すなわち、
図9に示すように、充電式バッテリ80の図示上面側には、スライド装着させるための構造として、対をなすスライドガイド部81,82が設けられている。また、この充電式バッテリ80の図示上面側には、電気的接続がなされる構造として、正極側端子83と負極側端子84と信号側端子85とが設けられている。また、この充電式バッテリ80の図示上面側には、充電式バッテリ80をスライド装着させて電気的接続がなされた際に、この状態にて充電式バッテリ80をバッテリ装着部60に対して係合させた状態とする雄フック87が設けられている。
【0045】
この充電式バッテリ80の取り外し方向側には、上記した雄フック87を操作するための押しボタン88が設けられている(
図4等参照)。この押しボタン88は雄フック87と連結している。この押しボタン88を押し操作することで、雄フック87が動作して充電式バッテリ80の内部に収納される。これにより、充電式バッテリ80がバッテリ装着部60に対して係合しない状態となり、充電式バッテリ80をバッテリ装着部60から取り外せるようになる。
【0046】
図9に記載される符号Lは、この充電式バッテリ80の長手方向の長さを示している。また、
図9に記載される符号Wは、この充電式バッテリ80の幅方向の長さを示している。また、
図9に記載される符号Hは、この充電式バッテリ80の高さ方向の長さを示している。つまり、この充電式バッテリ80の外形寸法は、長手方向の長さL>幅方向の長さW>高さ方向の長さH、という大小関係にある略直方体形状を有して形成されている。
【0047】
次に、上記した充電式バッテリ80をスライドさせて装着させるバッテリ装着部60について説明する。
図7および
図10に示すように、このバッテリ装着部60は、上記した充電式バッテリ80をスライドさせて装着される構造を有する。つまり、このバッテリ装着部60は、上記した充電式バッテリ80に対応したスライド装着タイプのバッテリ装着部として構成される。このため、上記した充電式バッテリ80に対応する装着構造を有して構成される。
【0048】
すなわち、バッテリ装着部60は、
図7および
図10に示すように、上記した充電式バッテリ80をスライド装着させるための構造、および上記した充電式バッテリ80を電気的接続をする構造が設けられている。
図7に示すように、このバッテリ装着部60には、スライド装着させるための構造として、対をなすスライドガイド受部61,62が設けられている。
【0049】
図10に示すように、このバッテリ装着部60には、電気的接続がなされる構造として、正極側端子63と負極側端子64と信号側端子65とを備えるバッテリ端子接続部600が設けられている。また、
図7に示すように、このバッテリ装着部60には、充電式バッテリ80をスライド装着させて電気的接続がなされた際に、この状態の充電式バッテリ80がバッテリ装着部60にロックされる。つまり、バッテリ装着部60には、この状態の充電式バッテリ80の雄フック87が係合する雌部(凹み)66が設けられている。
【0050】
ところで、これら2つのバッテリ装着部60(60a,60b)のそれぞれの配設位置は、次のように設定される事項に基づいてモータハウジング21に対して設けられている。すなわち、これら2つのバッテリ装着部60(60a,60b)のそれぞれは、
図6および
図8に示すように、電動モータ22に隣接配置されるように電動モータ22を支持するモータハウジング21に対して設けられている。
【0051】
これらバッテリ装着部60(60a,60b)は、これら2つのバッテリ装着部60(60a,60b)のそれぞれに装着される2つの充電式バッテリについての合成重心X5は、工具本体100において前後方向に延びる中心線X1(モータ軸23の軸線を含む前後上下平面)上に位置される。言い換えれば、これら2つのバッテリ装着部60(60a,60b)のそれぞれは、モータ軸23の軸線の延長ラインとなる中心線X1(モータ軸23の軸線を含む前後上下平面)に対して左右対称となる構造を有して形成されている。
【0052】
図6に示すように、これら2つのバッテリ装着部60(60a,60b)の上端部分は、モータ軸23と略同じ位置に設定されている。より詳しく述べると、これら2つのバッテリ装着部60(60a,60b)の上端部分は、モータ軸23よりも僅かに下側となる位置に設定されている。このため、これら2つのバッテリ装着部60(60a,60b)が配設される箇所は、モータ軸23の軸線の延長ライン(工具本体100の中心線X1)に対して上記した出力軸50の往復動軸線X2とは反対側に設けられている。
【0053】
図3の符号X3にて示す仮想線は、第1バッテリ装着部60aに対して充電式バッテリ80aがスライド装着される軸線を示している。また、
図3の符号X4にて示す仮想線は、第2バッテリ装着部60bに対して充電式バッテリ80bがスライド装着される軸線を示している。なお、これら第1および第2のバッテリ装着部60a,60bは、上記したバッテリ装着部60の構造にて構成されている。これら2つのバッテリ装着部60(60a,60b)のそれぞれに対する2つの充電式バッテリ80(80a,80b)の装着方向は、出力軸50の往復動する方向に対して上から下に交差させる角度を有するように設定されている。
【0054】
すなわち、第1バッテリ装着部60aに対しての充電式バッテリ80aのスライド装着の方向(軸線X3)は、左上から右下に傾斜する方向となっている。また、第2バッテリ装着部60bに対しての充電式バッテリ80bのスライド装着の方向(軸線X4)は、右上から左下に傾斜する方向となっている。詳しく言えば、第1バッテリ装着部60aに対する充電式バッテリ80aのスライド装着方向と、第2バッテリ装着部60bに対する充電式バッテリ80bのスライド装着方向とは、互いに上側から下側に向かうところ、若干中心に向かう方向に傾けられるようにして設定されている。
【0055】
すなわち、第1バッテリ装着部60aと第2バッテリ装着部60bとは、互いに斜め下側に向けた傾斜方向にて充電式バッテリ80a,80bをスライド装着させるようになっている。このため、
図3および
図8に示すように、第1バッテリ装着部60aに対して充電式バッテリ80aがスライド装着される軸線X3と、第2バッテリ装着部60bに対して充電式バッテリ80bがスライド装着される軸線X4とは、モータハウジング21の下側で交差する。なお、これら第1バッテリ装着部60aと第2バッテリ装着部60bとに装着された充電式バッテリ80(80a,80b)は、電動モータ22に電力を供給することとなる。
【0056】
この第1の実施の形態のレシプロソー10によれば、次の作用効果を奏することができる。すなわち、上記したレシプロソー10によれば、工具本体100の外装をなすハウジング11のうちモータハウジング21には、充電式バッテリ80(80a,80b)を装着可能とするバッテリ装着部60(60a,60b)が2つ設けられているので、レシプロソー10として利用するにあたって電圧を高く設定したり供給容量を大きく設定したりする要請に応じることができる。
【0057】
このレシプロソー10によれば、2つのバッテリ装着部60a,60bは、スライド装着タイプのバッテリ装着部として構成される。このため、2つのバッテリ装着部60a,60bは、スライドさせることにより装着されるスライド装着タイプの充電式バッテリ80a,80bに対応させることができる。つまり、広く汎用されるスライド装着タイプの充電式バッテリ80を利用することができる。したがって、レシプロソー10として利用するにあたって電圧を高く設定したり供給容量を大きく設定したりする要請に応じつつ、汎用性に優れた充電式バッテリ80を利用することができる。
【0058】
上記したレシプロソー10によれば、2つの充電式バッテリ80a,80bについての合成重心X5は、工具本体100において前後方向に延びる中心線X1(モータ軸23の軸線を含む前後上下平面)上で位置されるように2つのバッテリ装着部60a,60bのそれぞれの位置が設定されている。これによって、2つの充電式バッテリ80a,80bを取り付けた状態であっても、レシプロソー10として左右にバランスされたものとすることができる。
【0059】
上記したレシプロソー10によれば、2つの充電式バッテリ80a,80bの装着方向は、出力軸50の往復動する方向に対して上から下に交差させる角度を有するように2つのバッテリ装着部60a,60bのそれぞれの位置が設定されている。これによって、このレシプロソー10を水平方向に向けたり上側に向けたりして作業するにあたって、バッテリ装着部60a,60bに装着された充電式バッテリ80a,80bがバッテリ装着部60a,60bから外れてしまうのを抑えることができる。つまり、作業姿勢がどのような場合でも、バッテリ装着部60a,60bに装着された充電式バッテリ80a,80bに重力が作用することをなくして、このバッテリ装着部60a,60bから充電式バッテリ80a,80bが外れてしまうことを防止することができる。
【0060】
上記したレシプロソー10によれば、バッテリ装着部60a,60bは電動モータ22を支持するモータハウジング21に設けられているので、バッテリ装着部60a,60bに装着される充電式バッテリ80a,80bも電動モータ22の冷却を間接的に受けることができる。つまり、バッテリ装着部60a,60bに装着される充電式バッテリ80a,80bも、電動モータ22の冷却に準じて冷却することができ、使用している際の発熱を抑えたレシプロソー10とすることができる。
【0061】
[第2の実施の形態]
次に、上記した第1の実施の形態の変形例となる第2および第3の実施の形態について
図11〜
図22を参照しながら説明する。なお、以下に説明する第2および第3の実施の形態のレシプロソー10A,10Bは、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と比較して、バッテリ装着部60の配設構成のみが相違するものとなっている。このため、以下に説明する第2および第3の実施の形態のレシプロソー10A,10Bにあっては、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10のうち、バッテリ装着部60の配設構成のみを説明するものとして、上記した第1の実施の形態と同一に構成される箇所については、上記した第1の実施の形態にて付した符号と同一の符号を図面に付し、その説明については省略するものとする。
【0062】
第2の実施の形態となるレシプロソー10Aは、
図11〜
図16に示すとおりの構成となっている。すなわち、
図11の斜視図では、第2の実施の形態のレシプロソー10Aの斜め後側の外観を示している。
図12の斜視図では、
図11に示すレシプロソー10Aの他の外観を示している。
図13の側面図では、
図11に示すレシプロソー10Aを側面視している。
図14の平面図では、
図11に示すレシプロソー10Aを後側から視ている。
図15の平面図では、
図11に示すレシプロソー10Aを上側から視ている。
図16の平面図では、
図11に示すレシプロソー10Aを下側から視ている。
【0063】
この第2の実施の形態となるレシプロソー10Aにあっては、次の点で上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と相違する。すなわち、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10にあっては、バッテリ装着部60a,60bのスライド装着させる開口形状が上側に向いて設定されるものとなっていた。このため、充電式バッテリ80a,80bにあっては、上側から略下側に向けてスライド装着させるものとなっていた。これに対して、
図11〜
図16に示す第2の実施の形態のレシプロソー10Aは、バッテリ装着部60Aa,60Abのスライド装着させる開口形状は前側に向いて設定されている。このため、充電式バッテリ80a,80bにあっては、前側から後側に向けてスライド装着させることとなる。つまり、この第2の実施の形態のバッテリ装着部60Aa,60Abは、上記した第1の実施の形態のバッテリ装着部60a,60bを、前側に向けて90度回転させるようにしてモータハウジング21に設けられるようになっている。
【0064】
この第2の実施の形態となるレシプロソー10Aでは、第1バッテリ装着部60Aaに対する充電式バッテリ80aのスライド装着させる方向の軸線X3と、第1バッテリ装着部60Abに対する充電式バッテリ80bのスライド装着させる方向の軸線X4とは、互いに平行となる方向に設定されている。この第2の実施の形態のようにレシプロソー10Aを構成した場合でも、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と略同様に構成される箇所については略同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
このレシプロソー10Aによれば、さらに充電式バッテリ80a,80bが装着されているレシプロソー10Aの左右幅の嵩張りを減らすことができる。さらに、バッテリ装着部60Aa,60Abに装着された充電式バッテリ80a,80bの両者の端縁部分(図示符号891,892)によって面支持可能な仮想座面(図示符号893)を形成することができる。これによって、載置面からの支持を受けるように仮想座面893を配置することができて、充電式バッテリ80a,80bが装着されたレシプロソー10Aを載置させておくことが可能となる。
【0066】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態となるレシプロソー10Bは、
図17〜
図22に示すとおりの構成となっている。すなわち、
図17の斜視図では、第3の実施の形態のレシプロソー10Bの斜め後側の外観を示している。
図18の斜視図では、
図17に示すレシプロソー10Bの他の外観を示している。
図19の側面図では、
図17に示すレシプロソー10Bを側面視している。
図20の平面図では、
図17に示すレシプロソー10Bを後側から視ている。
図21の平面図では、
図17に示すレシプロソー10Bを上側から視ている。
図22の平面図では、
図17に示すレシプロソー10Bを下側から視ている。
【0067】
この第3の実施の形態となるレシプロソー10Bにあっては、上記した第2の実施の形態のレシプロソー10と比較して、バッテリ装着部60Ba,60Bbに対する充電式バッテリ80a,80bのスライド装着させる姿勢が相違する。すなわち、第2の実施の形態のバッテリ装着部60Aa,60Abに装着される充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bは、互いに上記した工具本体100Bにて規定される左右方向に傾斜する方向で延びるようになっていた。
【0068】
これに対して、第3の実施の形態のバッテリ装着部60Ba,60Bbに装着される充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bは、互いに上記した工具本体100Bにて規定される左右方向にならった方向で延びるようになっている。つまり、
図17〜
図22に示すように、これら2つのバッテリ装着部60Ba,60Bbのそれぞれにスライド装着された2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれが互いに同一平面をなすように、これら2つのバッテリ装着部60Ba,60Bbのそれぞれの位置が設定されている。このため、これら2つのバッテリ装着部60Ba,60Bbのそれぞれにスライド装着された2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれは、互いに面一をなす共通下面800cをなすこととなる。
【0069】
このようにスライド装着された2つの充電式バッテリ80a,80bの共通下面800c(800a,800b)は、ハンドル部13の下端をなすハンドルエンド部33とも同一平面をなすように設定されている。なお、この第3の実施の形態のバッテリ装着部60Ba,60Bbにあっても、充電式バッテリ80a,80bを前側から後側に向けてスライド装着させるように設定されている。また、第1バッテリ装着部60Baに対する充電式バッテリ80aのスライド装着させる方向の軸線X3と、第1バッテリ装着部60Bbに対する充電式バッテリ80bのスライド装着させる方向の軸線X4とは、互いに平行となる方向に設定されている。
【0070】
この第3の実施の形態のようにレシプロソー10Bを構成した場合でも、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と略同様に構成される箇所については略同様の作用効果を奏することができる。また、このレシプロソー10Bによれば、2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれが互いに同一平面をなすように、2つのバッテリ装着部60Ba,60Bbのそれぞれの位置が設定されている。これによって、2つの充電式バッテリ80a,80bの下面同士800a,800bは、共通下面800cをなすように面一となって、この共通下面800cを載置面に対面させてレシプロソー10Bを載せておくことができる。さらに、これら2つの充電式バッテリ80a,80bの共通下面800c(800a,800b)は、ハンドル部13の下端をなすハンドルエンド部33とも同一平面をなすので、工具本体100Bの工具本体100B自身の下端からの支持も受けることができて、レシプロソー10Bを載置面により安定的に載せておくことができる。
【0071】
[第4の実施の形態]
次に、上記した第1〜第3の実施の形態とは相違する第4および第5の実施の形態について
図23〜
図33を参照しながら説明する。なお、以下に説明する第4および第5の実施の形態のレシプロソー10C,10Dは、上記した第1〜第3の実施の形態のレシプロソー10〜10Bと比較して、充電式バッテリ80a,80bをスライド装着させた状態でも、レシプロソー自体の左右幅の大きさが小さくなるように考えられたものである。
【0072】
すなわち、第4および第5の実施の形態のレシプロソー10C,10Dにあっては、2つの充電式バッテリ80a,80bをスライド装着させるための2つのバッテリ装着部60C(60Ca,60Cb)および60D(60Da,60Db)が、工具本体100の前後方向でずらされて設けられている点で、上記した第1〜第3の実施の形態のレシプロソー10〜10Bと相違するものとなっている。この第4の実施の形態となるレシプロソー10Cは、
図23〜
図27に示すとおりの構成となっている。
【0073】
すなわち、
図23の斜視図では、第4の実施の形態のレシプロソー10Cの斜め後側の外観を示している。
図24の側面図では、
図23に示すレシプロソー10Cを側面視している。
図25の平面図では、
図23に示すレシプロソー10Cを後側から視ている。
図26の平面図では、
図23に示すレシプロソー10Cを上側から視ている。
図27の平面図では、
図23に示すレシプロソー10Cを下側から視ている。この第4の実施の形態となるレシプロソー10Cでは、第1バッテリ装着部60Caが、グリップハウジング12の下側連接部15に設けられている。
【0074】
第2バッテリ装着部60Cbが、モータハウジング21の下側の下側延設部38が設けられている。この下側延設部38は、モータハウジング21の下側に延びるようにして設けられている。なお、第1バッテリ装着部60Caに装着される充電式バッテリ80aは、第2バッテリ装着部60Cbに装着される充電式バッテリ80bに比して、工具本体100Cの下側に配置されるように設定されている。ここで、第1バッテリ装着部60Caに対する充電式バッテリ80aのスライド装着させる方向の軸線X3と、第2バッテリ装着部60Cbに対する充電式バッテリ80bのスライド装着させる方向の軸線X4とは、互いに平行となる方向に設定されている。
【0075】
これら第1および第2のバッテリ装着部60Ca,60Cbの充電式バッテリ80a,80bのスライド装着の方向は、ともに工具本体100Cの前側から後側に向いたものとなっている。このため、順番としては、第1バッテリ装着部60Caに対して充電式バッテリ80aをスライド装着させた後に、第2バッテリ装着部60Cbに対して充電式バッテリ80bをスライド装着させるようにしなければ、両者のバッテリ装着部60Ca,60Cbに充電式バッテリ80a,80bをスライド装着させることはできない。
【0076】
この第4の実施の形態のようにレシプロソー10Cを構成した場合には、工具本体100Cの外装をなすハウジング11には、充電式バッテリ80a,80bを装着可能とするバッテリ装着部60Ca,60Cbが2つ設けられているので、レシプロソー10Cとして利用するにあたって電圧を高く設定したり供給容量を大きく設定したりする要請に応じることができる。また、このレシプロソー10Cによれば、2つのバッテリ装着部60Ca,60Cbは、スライド装着タイプのバッテリ装着部として構成されるので、2つのバッテリ装着部60Ca,60Cbは、スライドさせることにより装着されるスライド装着タイプの充電式バッテリ80a,80bに対応させることができる。つまり、広く汎用されるスライド装着タイプの充電式バッテリ80を利用することができる。
【0077】
したがって、レシプロソー10Cとして利用するにあたって電圧を高く設定したり供給容量を大きく設定したりする要請に応じつつ、汎用性に優れた充電式バッテリ80を利用することができる。また、2つの充電式バッテリ80a,80bをスライド装着させるための2つのバッテリ装着部60Ca,60Cbが、工具本体100Cの前後方向でずらされて設けられている点で、レシプロソー10C全体としての左右幅を小さくすることができ、狭い箇所への作業への利便性を高めることができる。
【0078】
[第5の実施の形態]
次に、上記した第4の実施の形態のレシプロソー10Cの変形例となる第5の実施の形態のレシプロソー10Dについて説明する。この第5の実施の形態となるレシプロソー10Dは、
図28〜
図33に示すとおりの構成となっている。すなわち、
図28の斜視図では、第5の実施の形態のレシプロソー10Dの斜め後側の外観を示している。
図29の斜視図では、
図28に示すレシプロソー10Dの他の外観を示している。
図30の側面図では、
図28に示すレシプロソー10Dを側面視している。
図31の平面図では、
図28に示すレシプロソー10Dを後側から視ている。
図32の平面図では、
図28に示すレシプロソー10Dを上側から視ている。
図33の平面図では、
図28に示すレシプロソー10Dを下側から視ている。
【0079】
この第5の実施の形態のレシプロソー10Dは、上記した第4の実施の形態のレシプロソー10Cと比較して、第2バッテリ装着部60Dbが設けられる箇所について相違する。すなわち、第4の実施の形態のレシプロソー10Cの第2バッテリ装着部60Cbは、モータハウジング21の下側の下側延設部38に対して設けられていた。これに対し、第5の実施の形態のレシプロソー10Dの第2バッテリ装着部60Dbは、工具本体100Dのグリップハウジング12の前側延在部39に対して設けられている。
【0080】
この前側延在部39の前面部分に、第2バッテリ装着部60Dbが設けられている。この第2バッテリ装着部60Dbは、充電式バッテリ80bを下側から上側に向けてスライド装着させるようになっている。なお、この前側延在部39に設けられる第2バッテリ装着部60Dbに充電式バッテリ80bがスライド装着された場合には、モータハウジング21の下側に配置されることとなる。また、第1バッテリ装着部60Daにあっては、上記した第4の実施の形態のレシプロソー10Cの第1バッテリ装着部60Caとはスライド装着させる方向が反対側になるように設定されている。
【0081】
すなわち、第5の実施の形態のレシプロソー10Dの第1バッテリ装着部60Daは、充電式バッテリ80aを後側から前側に向けてスライド装着させるようになっている。この第5の実施の形態のようにレシプロソー10Dを構成した場合にあっても、上記した第4の実施の形態のようにレシプロソー10Cを構成した場合と略同様に構成される箇所については略同様の作用効果を奏することができる。さらに言えば、この第5の実施の形態のようにレシプロソー10Dを構成した場合には、第4の実施の形態のようにレシプロソー10Cを構成した場合と比較して、前側部分の嵩張りを減らすことができるので、さらに狭い箇所への作業への利便性を高めることができる。
【0082】
[第6の実施の形態]
次に、本発明に係る第6の実施の形態について説明する。なお、この第6の実施の形態のレシプロソー10Eは、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と比較して、バッテリ装着部60の配設構成のみが相違するものとなっている。このため、以下に説明する第6の実施の形態のレシプロソー10Eにあっては、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10のうち、バッテリ装着部60の配設構成のみを説明するものとして、上記した第1の実施の形態と同一に構成される箇所については、上記した第1の実施の形態にて付した符号と同一の符号を図面に付し、その説明については省略するものとする。
【0083】
第6の実施の形態となるレシプロソー10Eは、
図34〜
図39に示すとおりの構成となっている。すなわち、
図34の斜視図では、第6の実施の形態のレシプロソー10Eの斜め後側の外観を示している。
図35の斜視図では、
図34に示すレシプロソー10Eの他の外観を示している。
図36の側面図では、
図34に示すレシプロソー10Eを側面視している。
図37の平面図では、
図34に示すレシプロソー10Eを後側から視ている。
図38の平面図では、
図34に示すレシプロソー10Eを上側から視ている。
図39の平面図では、
図34に示すレシプロソー10Eを下側から視ている。
【0084】
この第6の実施の形態となるレシプロソー10Eにあっては、次の点で上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と相違する。すなわち、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10にあっては、バッテリ装着部60a,60bがモータハウジング21の下部に設けられるものとなっていた。これに対して、
図34〜
図39に示す第6の実施の形態のレシプロソー10Eでは、バッテリ装着部60Ea,60Ebが工具本体100Eの上側部分に設けられるようになっている。
【0085】
すなわち、2つのバッテリ装着部60Ea,60Ebの配設位置は、出力軸50が往復動する往復動軸線X2を挟んで、充電式バッテリ80(80a,80b)が取り外された工具本体100Eの重心の位置X6とは反対側の位置に設定されている。具体的には、第1バッテリ装着部60Eaは、グリップハウジング12の上側連接部14の上面に設けられている。この第1バッテリ装着部60Eaは、充電式バッテリ80aを後側から前側に向けてスライド装着させるように構成されている。
【0086】
第2バッテリ装着部60Ebは、モータハウジング21の上面に設けられている。この第2バッテリ装着部60Ebは、充電式バッテリ80bを前側から後側に向けてスライド装着させるように構成されている。このように構成される2つのバッテリ装着部60Ea,60Ebに対して2つの充電式バッテリ80a,80bをスライド装着させると、この2つの充電式バッテリ80a,80bは工具本体100Eの上面に配置されることとなる。
【0087】
このようにバッテリ装着部60Ea,60Ebに装着される充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bは、互いに上記した工具本体100Eにて規定される左右方向にならった方向で延びるようになっている。つまり、
図34〜
図39に示すように、これら2つのバッテリ装着部60Ea,60Ebのそれぞれにスライド装着された2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれが互いに同一平面をなすように、これら2つのバッテリ装着部60Ea,60Ebのそれぞれの位置が設定されている。このため、これら2つのバッテリ装着部60Ea,60Ebのそれぞれにスライド装着された2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれは、互いに面一をなす共通下面800cをなすこととなる。
【0088】
この第6の実施の形態のようにレシプロソー10Eを構成した場合でも、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と略同様に構成される箇所については略同様の作用効果を奏することができる。また、このレシプロソー10Eによれば、2つのバッテリ装着部60Ea,60Ebに装着された2つの充電式バッテリ80a,80bの重心の位置X7は、出力軸50が往復動する往復動軸線X2を挟んで、充電式バッテリ80a,80bが取り外された工具本体100Eの重心の位置X6とは反対側の位置に設定されることとなる。これによって、2つのバッテリ装着部60Ea,60Ebに2つの充電式バッテリ80a,80bが装着されたレシプロソー10E全体の重心の位置を、出力軸50が往復動する往復動軸線X2に近づけることができる。したがって、2つの充電式バッテリ80a,80bが装着されたレシプロソー10E全体の重心の位置を、クランク機構42により変換されて往復動する出力軸50の往復動軸線X2に向けて近づけることができる。
【0089】
これによって、被切断材を切断するにあたって往復動する出力軸50に生ずるバタつきを抑えることができる。したがって、ユーザにとっての使用感(扱い易くなる感じ)を向上させた切断工具とすることができる。また、このレシプロソー10Eによれば、2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれが互いに同一平面をなすように、2つのバッテリ装着部60Ea,60Ebのそれぞれの位置が設定されている。これによって、2つの充電式バッテリ80a,80bの下面同士800a,800bは、共通下面800cをなすように面一となって、この共通下面800cを載置面に対面させてレシプロソー10Eを載せておくことができる。
【0090】
[第7の実施の形態]
次に、本発明に係る第7の実施の形態について説明する。なお、この第7の実施の形態のレシプロソー10Fは、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と比較して、バッテリ装着部60の配設構成のみが相違するものとなっている。このため、以下に説明する第7の実施の形態のレシプロソー10Fにあっては、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10のうち、バッテリ装着部60の配設構成のみを説明するものとして、上記した第1の実施の形態と同一に構成される箇所については、上記した第1の実施の形態にて付した符号と同一の符号を図面に付し、その説明については省略するものとする。
【0091】
第7の実施の形態となるレシプロソー10Fは、
図40〜
図45に示すとおりの構成となっている。すなわち、
図40の斜視図では、第7の実施の形態のレシプロソー10Fの斜め後側の外観を示している。
図41の斜視図では、
図40に示すレシプロソー10Fの他の外観を示している。
図42の側面図では、
図40に示すレシプロソー10Fを側面視している。
図43の平面図では、
図40に示すレシプロソー10Fを後側から視ている。
図44の平面図では、
図40に示すレシプロソー10Fを上側から視ている。
図45の平面図では、
図40に示すレシプロソー10Fを下側から視ている。この第7の実施の形態となるレシプロソー10Fにあっては、次の点で上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と相違する。
【0092】
すなわち、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10にあっては、バッテリ装着部60a,60bがモータハウジング21の下部に設けられるものとなっていた。これに対して、
図40〜
図45に示す第7の実施の形態のレシプロソー10Fでは、バッテリ装着部60Fa,60Fbがグリップハウジング12の下側連接部15に設けられるようになっている。また、この第7の実施の形態のレシプロソー10Fは、バッテリ装着部60Fa,60Fbのスライド装着させる開口形状は前側に向いて並列に設定されている。このため、充電式バッテリ80a,80bにあっては、前側から後側に向けてスライド装着させることとなる。
【0093】
このようにバッテリ装着部60Fa,60Fbにスライド装着される充電式バッテリ80a,80bは図示のとおりの並列配置されたものとなっている。つまり、上記した第3の実施の形態のレシプロソー10Bのように、下面800a,800bが工具本体100Fにて規定される左右方向にならった方向で並んで延びるようになっている。つまり、これら2つのバッテリ装着部60Fa,60Fbのそれぞれにスライド装着された2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれが互いに同一平面をなすように、これら2つのバッテリ装着部60Fa,60Fbのそれぞれの位置が設定されている。これにより、2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれは、互いに面一をなす共通下面800cをなすこととなる。
【0094】
このグリップハウジング12の前端部121と、モータハウジング21の後端部211との間には、介在ゴム40が設けられている。この介在ゴム40は、弾性復元性を有する樹脂ゴムにて形成されており、本発明に係る弾性体に相当する。この介在ゴム40は、グリップハウジング12の前端部121の全周に亘って設けられている。この介在ゴム40は、グリップハウジング12の前端部121と、モータハウジング21の後端部211とを連接するように設けられている。なお、グリップハウジング12の前端部121は、本発明に係るグリップハウジングの前側部分に相当する。また、モータハウジング21の後端部211は、本発明に係るモータハウジングの後側部分に相当する。
【0095】
この第7の実施の形態のようにレシプロソー10Fを構成した場合でも、上記した第1の実施の形態のレシプロソー10と略同様に構成される箇所については略同様の作用効果を奏することができる。また、このレシプロソー10Fによれば、グリップハウジング12には充電式バッテリ80(80a,80b)を装着可能とするバッテリ装着部60F(60Fa,60Fb)が2つ設けられているので、この2つのバッテリ装着部60Fa,60Fbのそれぞれに2つの充電式バッテリ80a,80bのそれぞれを装着させることができる。これによって、ハンドル部13を有するグリップハウジング12の重量を重くすることができるので、出力軸50が往復動することによって生ずる振動をハンドル部13に伝わり難くさせることができる。したがって、振動を低減したユーザにとっての使用感を向上させたレシプロソー10Fとすることができる。
【0096】
さらに、このレシプロソー10Fによれば、グリップハウジング12の前端部121と、このグリップハウジング12の前端部121が連結されるモータハウジング21の後端部211との間には介在ゴム40が介在されている。これによって、出力軸50が往復動することによって生ずる振動がハンドル部13に伝わるには介在ゴム40を介して伝わることとなる。ここで、この介在ゴム40は、自身の機能によってハンドル部13に伝えさせる振動を緩衝させることができる。したがって、振動を低減したユーザにとっての使用感を向上させたレシプロソー10Fとすることができる。また、このレシプロソー10Fによれば、2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれが互いに同一平面をなし、共通下面800cをなすように面一としている。このため、この共通下面800cを載置面に対面させてレシプロソー10Fを載せておくことができる。
【0097】
[第8の実施の形態]
次に、本発明に係る第8の実施の形態について説明する。なお、この第8の実施の形態のレシプロソー10Hは、上記した第7の実施の形態のレシプロソー10Fと比較して、バッテリ装着部60の配設構成のみが相違するものとなっている。このため、以下に説明する第8の実施の形態のレシプロソー10Hにあっては、上記した第7の実施の形態のレシプロソー10Fのうち、バッテリ装着部60の配設構成のみを説明するものとして、上記した第7の実施の形態と同一に構成される箇所については、上記した第7の実施の形態にて付した符号と同一の符号を図面に付し、その説明については省略するものとする。
【0098】
第8の実施の形態となるレシプロソー10Hは、
図46〜
図51に示すとおりの構成となっている。すなわち、
図46の側面図では、第8の実施の形態のレシプロソー10Hを右側面視外観を示している。
図47の側面図では、
図46に示すレシプロソー10Hの左側面視外観を示している。
図48の側面図では、
図46に示すレシプロソー10Hの右側ハウジングが取り外されている。
図49の断面図では、
図46に示すレシプロソー10Hの中心軸線断面を示している。
図50の平面図では、
図46に示すレシプロソー10Hを後側から視ている。
図51の断面図では、
図46における(XXXXXI)-(XXXXXI)断面矢視を示している。
【0099】
この第8の実施の形態となるレシプロソー10Hは、上記した第7の実施の形態のレシプロソー10Fと比較して、バッテリ装着部60Hにおける充電式バッテリ80のそれぞれの装着方向が相違する。この第8の実施の形態のバッテリ装着部60Hにおいての充電式バッテリ80のそれぞれの装着方向は、工具本体100Hの幅方向に設定されている。つまり、2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbのそれぞれに装着される2つの充電式バッテリ80a,80bのそれぞれの装着方向は、出力軸50の往復動方向(前後方向)と交差する方向であり、グリップハウジング12が延びる方向(上下方向)と交差する方向である、工具本体100Hの幅方向(左右方向)に設定されている。
【0100】
この第8の実施の形態のバッテリ装着部60Hにあっても、上記した第7の実施の形態のバッテリ装着部60Fと同様、2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbがグリップハウジング12の下側連接部15に設けられるようになっている。なお、これら2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbは、工具本体100Hにおいて前後方向に延びる中心線上に跨って設けられている。また、本発明に係るレシプロソーのグリップハウジングが延びる方向としては、レシプロソー10Hの出力軸50の往復動方向(前後方向)に対して直交方向で設定されるものを含むほか、
図52に示すレシプロソー10Gの出力軸50の往復動方向(前後方向)に斜め方向で設定されるものも含む。ここで、この工具本体の幅方向としては、前後方向に交差する左右方向に沿う方向で設定されている。
【0101】
この第8の実施の形態の2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbは、2つの充電式バッテリ80a,80bのそれぞれの装着方向が共に同じ方向である。具体的には、つまり、この2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbのスライド装着させる開口形状は左側に向いて並列に設定されている。このため、この2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbに装着される2つの充電式バッテリ80a,80bのそれぞれの装着方向は、
図46および
図47に示すように、左側から右側に向けてスライド装着させることとなる。
【0102】
このようにバッテリ装着部60Ha,60Hbにスライド装着される充電式バッテリ80a,80bは図示のとおりの並列配置される。このため、下面800a,800bが工具本体100Hにて規定される前後方向にならった方向で並んで延びるようになる。つまり、これら2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbのそれぞれにスライド装着された2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれも、上記した第7の実施の形態と同様に互いに同一平面をなすように、これら2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbのそれぞれの位置が設定されている。これにより、2つの充電式バッテリ80a,80bの下面800a,800bのそれぞれは、互いに面一をなす共通下面800cをなすこととなる。
【0103】
図49および
図51に示すように、グリップハウジング12の前端部121Hには、モータハウジング21の後端部211Hとの間には、介在ゴム40Hが内装されている。この介在ゴム40Hも、上記した第7の実施の形態と同様、弾性復元性を有する樹脂ゴムにて形成されており、本発明に係る弾性体に相当する。この介在ゴム40Hは、外周側のグリップハウジング12の前端部121Hと、内周側のモータハウジング21の後端部211Hとの間に設けられる空間を埋めるように、グリップハウジング12の内部の上下位置に設けられている。
【0104】
グリップハウジング12の前端部121Hは、本発明に係るグリップハウジングの前側部分に相当する。また、モータハウジング21の後端部211Hは、本発明に係るモータハウジングの後側部分に相当する。なお、このグリップハウジング12の下部に位置される下側連接部15には、コントローラ20Hが内装されている。このコントローラ20Hは、上記した電動モータ22に対する供給電力を制御する。また、このコントローラ20Hの近くのグリップハウジング12の下側連接部15には、外部から内部に吸気するための吸気孔29Hが設けられている。なお、図示符号30Hは、外部に向けて排気する排気孔である。また、この下側連接部15は、図示例のようにグリップハウジング12と一体の成形部品にて構成されるものであってもよいし、また逆にグリップハウジング12とは別体の成形部品にて構成されるものであってもよい。
【0105】
この第8の実施の形態のようにレシプロソー10Hを構成した場合でも、上記した第1や第7の実施の形態のレシプロソー10,10Fと略同様に構成される箇所については略同様の作用効果を奏することができる。例えば、レシプロソー10Hによれば、バッテリ装着部60Ha,60Hbのそれぞれは、グリップハウジング12の下部に設けられているので、ハンドル部13を有するグリップハウジング12の重量を従前よりも相対的に重くすることができる。これによって、ギヤハウジング41側からの振動がハンドル部13側に伝播するにあたって、この振動の伝播によるグリップハウジング12の振動を、グリップハウジング12の重さにより抑えることができる。つまり、振動を低減したユーザにとっての使用感を向上させたレシプロソー10Hとすることができる。
【0106】
特に、ギヤハウジング41とハンドル部13との間にバネ部材(弾性部材)を設けている場合には、グリップハウジング12の重量を重くすることによりバネ部材のバネ定数を高めに設定することができる。これによって、ハンドル部13とギヤハウジング41とを一体な状態に近づけることができて、レシプロソー10Hとしての扱い易さ(使用感)を高めることができる。なお、出力軸50が往復動することによって生ずる振動がハンドル部13に伝わるには介在ゴム40Hを介して伝わるので、介在ゴム40の弾性によりハンドル部13に伝えさせる振動を緩衝させることができる。したがって、振動を低減したユーザにとっての使用感を向上させたレシプロソー10Hとすることができる。
【0107】
このレシプロソー10Hによれば、工具本体100Hの左右方向(幅方向)に2つの充電式バッテリ80a,80bを装着させるので、工具本体100Hが延びる方向(前後方向)に2つの充電式バッテリ80a,80bを並列して配置することができる。なお、この工具本体100Hは、図示するように出力軸50の往復動方向となる前後方向に沿って延びるように構成されている。これによって、2つ並列される充電式バッテリ80a,80bは、レシプロソー10Hとしての左右方向(幅方向)の嵩張りを抑えることができて、狭い場所での切断作業を行い易くして工具の取回しの良さを維持することができる。
【0108】
さらに、2つの充電式バッテリ80a,80bのそれぞれの装着方向は、工具本体100Hの振動方向と交差するので、装着された2つの充電式バッテリ80a,80bが外れてしまうのを防止する作用を高めることができる。また、このレシプロソー10Hによれば、2つの充電式バッテリ80のそれぞれの装着方向が共に同じ方向となる左側から右側となっているので、2つの充電式バッテリ80a,80bを1方向で纏めて装着することができる。逆に、2つの充電式バッテリ80のそれぞれの取外し方向が共に同じ方向となる右側から左側となっているので、2つの充電式バッテリ80a,80bを1方向で纏めて取り外すことができる。したがって、2つの充電式バッテリ80a,80bの装着作業あるいは取外し作業が行い易くて便利である。
【0109】
このような2つの充電式バッテリ80a,80bのそれぞれの装着方向については、この実施の形態とは逆の方向となる右側から左側に設定されるものであってもよいし、また互いに向き合う方向で設定されるものであってもよい。また、このレシプロソー10Hによれば、2つのバッテリ装着部60Ha,60Hbに装着された2つの充電式バッテリ80a,80bは、工具本体100Hにおいて前後方向に延びる中心線上に跨るように配置される。これによって、工具本体100Hの左右方向で、バッテリ装着部60Hに装着された充電式バッテリ80の荷重をバランスさせ易くすることができて、工具の取回しの良さを維持することができる。
【0110】
なお、本発明に係る切断工具としては、上記したレシプロソーの例に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る切断工具としては、手で持って切断作業を行う手持ち式の切断工具であれば、上記した実施の形態の構成等について適宜に変更が加えられるものであってもよい。また、上記した実施の形態にあっては、2つの第1および第2のバッテリ装着部に対して充電式バッテリを取り付けるためのスライド装着の構成としては、図示の方向に限定されるものではなく、図示とは逆の方向に設定して構成されるものであってもよく、また互いに同一となる方向あるいは互いに逆となる方向のいずれの方向の組合せで設定されるものであってもよい。
【0111】
上記した実施の形態における介在ゴム40は、グリップハウジング12の前端部121の全周に亘って設けられるものであった。しかしながら、本発明に係る弾性体としては、これに限定されることなく、グリップハウジングの前側部分と該グリップハウジングの該前側部分が連結されるモータハウジングの後側部分との間の少なくとも一部に介在されるものであればよい。また、本発明に係る切断工具としては、上記した実施の形態のようなレシプロソー10〜10Fのタイプに限定されるものではなく、
図52に示すタイプのレシプロソー10Gについて応用することが可能である。なお、上記した実施の形態と同様に機能する箇所については、上記した実施の形態と同様の符号が図面において付してある。
【0112】
上記した実施の形態における充電式バッテリ80a,80bは、電圧18Vに設定されるものとなっていた。しかしながら、本発明に係る充電式バッテリの電圧としては、これに限定されることなく、10Vや14V等の適宜の電圧にて設計される充電式バッテリ(二次電池)を利用することができる。また、これら2つの充電式バッテリ80a,80bから供給される電力は、電圧を上げることのみならず、供給容量(全ての充電量)を高めるものであってもよい。つまり、充電式バッテリ80から供給される電力の電圧を上げるための構成に限定されることなく、充電式バッテリ80から供給される電力の供給容量を上げるための適宜の構成としてもよい。