特許第6193907号(P6193907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193907
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】決済端末およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20170828BHJP
   G07G 1/14 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G07G1/12 321P
   G07G1/14
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-61044(P2015-61044)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-181125(P2016-181125A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 純平
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−239977(JP,A)
【文献】 特開平2−191061(JP,A)
【文献】 特開2008−210121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 − 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払額の入力を受付ける支払額受付手段と、
ハウスカードの種類を特定するカード種情報と、前記ハウスカードの会員を特定する会員情報との入力を受付ける入力受付手段と、
前記支払額と、前記カード種情報と、前記会員情報とを前記ハウスカードの決済サーバに送信し、前記会員の前記ハウスカードによって前記支払額を決済可能かについて応答するよう、信用照会の要求を送信する信用照会要求手段と、
前記決済サーバから前記信用照会の応答を受信できなければ、前記ハウスカードの会員に提供される特典を前記支払額に対して適用した上で、前記ハウスカード以外の支払方法によって決済処理を行う決済手段と、
前記決済サーバとの通信が可能になると、前記信用照会の応答を受信できなかった際に前記決済手段が適用した特典内容を示す情報と、適用先の前記会員情報とを前記ハウスカードの決済サーバに出力する取引情報出力手段と、
を備えた決済端末。
【請求項2】
前記ハウスカードの決済サーバとの通信状態を監視する監視手段を更に備え、
前記取引情報出力手段は、前記監視手段が前記決済サーバとの通信が可能になったことを検知すると、前記特典内容を示す情報と、前記会員情報とを前記決済サーバに出力する、請求項1に記載の決済端末。
【請求項3】
前記特典として前記ハウスカードの会員に適用される値引率を記憶した第1記憶手段から、前記入力受付手段が受付けた前記カード種情報で特定される前記ハウスカードの会員に対する前記値引率を読み込む第1読込手段を更に備え、
前記決済手段は、前記支払額受付手段が受付けた前記支払額に、前記第1読込手段が読み込んだ前記値引率を適用して値引額を算出し、算出した値引額を前記ハウスカード以外の支払方法によって決済処理を行い、
前記取引情報出力手段は、前記決済サーバとの通信が可能になると、前記決済手段が算出した前記値引額と、値引を適用した会員の前記会員情報とを前記ハウスカードの決済サーバに出力する、請求項1または2に記載の決済端末。
【請求項4】
前記特典として前記支払額に応じて前記ハウスカードの会員に付与されるポイント付与率を記憶した第2記憶手段から、前記入力受付手段が受付けた前記カード種情報で特定される前記ハウスカードの会員に対する前記ポイント付与率を読み込む第2読込手段を更に備え、
前記決済手段は、前記支払額受付手段が受付けた前記支払額と、前記第2読込手段が読み込んだ前記ポイント付与率とを用いて、前記ハウスカードの会員に付与するポイントを算出し、
前記取引情報出力手段は、前記決済サーバとの通信が可能になると、前記決済手段が算出したポイントと、ポイント付与対象の会員の前記会員情報とを前記ハウスカードの決済サーバに出力する、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の決済端末。
【請求項5】
通常期間より特典サービスを割り増す特典割増期間と、当該特典割増期間内に前記ハウスカードの会員に適用する特典の内容とを対応付けて記憶した期間特典記憶手段に基づいて、現在日付が前記特典割増期間内であれば、当該特典割増期間内に適用する特典を前記期間特典記憶手段から読み込む期間特典読込手段を更に備え、
前記決済手段は、前記期間特典読込手段が読み込んだ前記特典に現在日付に該当する特典があれば、当該特典を適用して、前記ハウスカード以外の支払方法によって前記決済処理を行う、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の決済端末。
【請求項6】
決済端末において、コンピュータを、
支払額の入力を受付ける支払額受付手段と、
ハウスカードの種類を特定するカード種情報と、前記ハウスカードの会員を特定する会員情報との入力を受付ける入力受付手段と、
前記支払額と、前記カード種情報と、前記会員情報とを前記ハウスカードの決済サーバに送信し、前記会員の前記ハウスカードによって前記支払額を決済可能かについて応答するよう、信用照会の要求を送信する信用照会要求手段と、
前記決済サーバから前記信用照会の応答を受信できなければ、前記ハウスカードの会員に提供される特典を前記支払額に対して適用した上で、前記ハウスカード以外の支払方法によって決済処理を行う決済手段と、
前記決済サーバとの通信が可能になると、前記信用照会の応答を受信できなかった際に前記決済手段が適用した特典内容を示す情報と、適用先の前記会員情報とを前記ハウスカードの決済サーバに出力する取引情報出力手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、決済端末およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカードには、特定企業やグループ内で利用可能なハウスカードと呼ばれるカードがある。ハウスカードは、その企業やグループ内での顧客の囲い込みや取引拡大を目的としている。ハウスカードのカード会員は、例えばハウスカードでの支払い時ごとに会員ポイントの付与サービスや、値引サービスを受けられる等のメリットがある。会員への特典サービスとしては他にも、特典期間中にポイントの割増サービスや値引き率アップなどのサービスが設けられる場合もある。一方、ハウスカードを発行している企業やグループにとっては、顧客の囲い込みや取引拡大ができる他、ハウスカード利用時に得られる取引履歴を、マーケティングに活用できる等のメリットがある。従来技術としては、ハウスカードによる決済を行う販売登録データ処理装置に関する技術が開示されている。
【0003】
ところで、ハウスカードの決済処理を管理する決済センタのサーバ(決済サーバ)にトラブルが発生したり、店舗と決済センタ間で通信トラブルが発生したりする等の可能性がある。このようなトラブルが発生すると、店舗で決済処理を行う決済端末は決済サーバとの信用照会を行えないため、ハウスカードによる決済処理をその場で行うことができない。従って従来、このようなトラブルが発生すると、ハウスカードの会員は上述したような会員特典を受けることができなかった。特に会員は、上述したような特典期間に合わせて買物をするケースが多く、特典期間中にハウスカードの特典サービスを得られない事態が発生すると、ハウスカードの信用を損ね兼ねない点が危惧されていた。そこで従来、信用照会を行えないようなトラブル発生時においても、ハウスカードの特典サービスを安定して提供できることが望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信用照会を行えないようなトラブル発生時においても、ハウスカードの特典サービスを安定して提供できる決済端末およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の決済端末は、支払額受付手段と、入力受付手段と、信用照会要求手段と、決済手段と、取引情報出力手段と、を備える。支払額受付手段は、支払額の入力を受付ける。入力受付手段は、ハウスカードの種類を特定するカード種情報と、前記ハウスカードの会員を特定する会員情報との入力を受付ける。信用照会要求手段は、前記支払額と、前記カード種情報と、前記会員情報とを前記ハウスカードの決済サーバに送信し、前記会員の前記ハウスカードによって前記支払額を決済可能かについて応答するよう、信用照会の要求を送信する。決済手段は、前記決済サーバから前記信用照会の応答を受信できなければ、前記ハウスカードの会員に提供される特典を前記支払額に対して適用した上で、前記ハウスカード以外の支払方法によって決済処理を行う。取引情報出力手段は、前記決済サーバとの通信が可能になると、前記信用照会の応答を受信できなかった際に前記決済手段が適用した特典内容を示す情報と、適用先の前記会員情報とを前記ハウスカードの決済サーバに出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る決済システムの概略構成図である。
図2図2は、決済端末の外観斜視図である。
図3図3は、決済端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、決済端末の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、期間特典格納部のデータ構成例を示す図である。
図6図6は、値引情報格納部のデータ構成例を示す図である。
図7図7は、ポイント情報格納部のデータ構成例を示す図である。
図8図8は、エラー時トランデータのデータ構成例を示す図である。
図9図9は、決済端末が実行する決済処理の手順例を示すフローチャートである。
図10図10は、決済端末が実行するエラー時トランデータ送信処理の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、実施形態に係る決済システム100の概略構成図である。決済システム100は、決済端末1と、ハウスカードの決済サーバ4とを有する。決済端末1と決済サーバ4との間は、有線又は無線のネットワークNにより通信可能に接続されている。また、決済システム100において、決済端末1はピンパッド端末2およびリーダ装置3と接続している。なお、ネットワークNに接続される決済端末1の個数は特に問わない。
【0008】
ピンパッド端末2は、決済端末1がクレジットカードによる決済処理を行う際に、暗証番号の入力を受付ける入力装置である。ピンパッド端末2にはテンキーや確定キー等の操作キーが設けられている。ピンパッド端末2は、操作キーから受付けた暗証番号等の入力情報を、決済端末1に出力する。
【0009】
リーダ装置3は、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信技術を用いたリーダ装置である。リーダ装置3は、電子的に金銭情報を記録した非接触型のICカードから、電子決済に係る情報(電子マネー情報)等を読み取る。
【0010】
尚、決済端末1は、ピンパッド端末2あるいはリーダ装置3を内蔵してもよい。また、決済端末1と、POS(Point Of Sales)端末等の他の装置とを接続し、他の装置と協働して決済処理を行ってもよい。
【0011】
ハウスカードの決済サーバ4は、ハウスカードの決済処理を管理するサーバ装置である。尚、ハウスカードとは、決済端末1を設置した店舗が加盟しているハウスカードを指す。ハウスカードの決済サーバ4は、決済端末1から受信したハウスカード決済にかかる決済情報(トランザクションデータ)を、決済履歴データベースに格納し、管理する。また、ハウスカードの決済サーバ4は、ハウスカードの会員に提供する特典に関する情報を格納した会員特典データベース(DB)41を有している。
【0012】
会員特典DB41は、例えば、期間限定の特典や、通常期間に適用する特典に関する情報を格納している。特典としては、支払額に応じて付与されるポイント付与率を示す情報、あるいは、会員に対する値引率を示す情報が格納される。決済端末1は、決済サーバ4の会員特典DB41にアクセスし、自装置のメモリ60内のデータベース(図4に示す、期間特典格納部62、値引情報格納部63、ポイント情報格納部64)のデータを更新する。
【0013】
決済端末1がこれらデータベースのデータを更新するタイミングは特に限定しない。例えば、決済端末1の制御部50(図4参照)は、開店前あるいは営業時間内の所定のタイミングで会員特典DB41にアクセスし、期間特典格納部62、値引情報格納部63、ポイント情報格納部64(図4参照)を更新してもよい。
【0014】
その他のカードの決済サーバ5は、ハウスカード以外のクレジットカードの決済を行うサーバ装置である。実際には、クレジット会社ごとに決済サーバ5が設けられているので、複数の決済サーバ5がネットワークN上に接続することとなる。図1では簡略のため、クレジットカード1種の決済を受け持つ決済サーバ5を1つだけ図示した。客がハウスカードによる決済を希望したが、決済端末1とハウスカードの決済サーバ4との接続にトラブルが生じた場合、決済端末1は代替決済方法として、その他のクレジットカードによる決済処理を行うことができる。当該決済処理において決済端末1はその他のカードの決済サーバ5との間で決済情報等のデータ通信を行う。
【0015】
電子マネーの決済サーバ6は、電子マネーの決済を行うサーバ装置である。決済サーバ5と同様に、実際には電子マネーの種類ごとに決済サーバ6が設けられている。従って、複数の決済サーバ5がネットワークN上に接続することとなるが、図1では簡略のため、決済サーバ6が1つ接続された例を示した。客がハウスカードによる決済を希望したが、決済端末1とハウスカードの決済サーバ4との接続にトラブルが生じた場合、決済端末1は代替決済方法として、電子マネーによる決済処理を行うことができる。当該決済処理において決済端末1は電子マネーの決済サーバ6との間で決済情報等のデータ通信を行う。
【0016】
次に、決済端末1の構成および機能について一例を示して説明する。
【0017】
図2は、決済端末1の外観斜視図である。決済端末1の本体11の側部には電源スイッチ12が設けられている。また、本体11の上部には、本体11に対して開閉可能な上面パネル13が設けられている。上面パネル13を開放することで、本体11の内部にロール状のレシート用紙をセットすることができる。また、この上面パネル13の表面には、操作部14であるタッチパネルを表面に配設した表示部15が設けられている。
【0018】
また、上面パネル13の右端部には、クレジットカードから磁気情報を読み取るカードリーダ16が設けられている。上面パネル13において、表示部15とカードリーダ16との間には、リセットボタン17が設けられている。リセットボタン17は、操作部14から入力された情報、またはカードリーダ16が読み取った情報をリセットするための操作ボタンである。
【0019】
本体11の内部には、上述のレシート用紙に決済に関する情報や売上レポート等を印字するプリンタ25(図3参照)が備えられている。印字後のレシート用紙は、本体11と上面パネル13との間に設けられているレシート発行口18から発行される。
【0020】
図3は、決済端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、決済端末1は、各部を制御するための制御部50を備えている。制御部50は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)21に、アドレスバス、データバス等のバスライン24を介して、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23とを接続して構成されている。RAM23は、CPU21のワークエリアとして機能する。
【0021】
また、制御部50にはバスライン24を介して、メモリ60と、コントローラ26と、通信I/F(Interface)27、28、29とが接続されている。メモリ60は、電源を切っても記憶情報が保持されるフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、プログラムや各種設定データ等を記憶する。メモリ60が格納するデータについては図4にて後述する。
【0022】
コントローラ26には、操作部14、表示部15、カードリーダ16、リセットボタン17およびプリンタ25が接続されている。表示部15は、操作キーなどを表示する。即ち、表示部15は制御部50を受けて、カード決済に係る各種操作を支援するためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。即ち表示部15は、支払額を入力したり、支払方法(一括払い、または分割払いなど)を選択したりするソフトウェアキーボード(操作キー)等を表示する。操作部14は、表示部15に表示された操作キーに対するタッチ操作を受付ける。プリンタ25は、サーマルヘッド等を制御して、レシートデータやエラーデータ等をレシート用紙に印字する。
【0023】
通信I/F27は、ピンパッド端末2を接続するためのインタフェースである。通信I/F28は、リーダ装置3を接続するためのインタフェースである。制御部50は、通信I/F27を介してピンパッド端末2との間でデータ通信を行う。通信I/F29は決済端末1がネットワークNに接続するためのインタフェースである。制御部50は、通信I/F29およびネットワークNを介して、ハウスカードの決済サーバ4、あるいはその他のクレジットカードの決済サーバ5、あるいは電子マネーの決済サーバ6との間でデータ通信を行う。
【0024】
図4は、決済端末1の機能構成を示すブロック図である。メモリ60は、決済端末1が決済処理時に実行するプログラム61と、期間特典格納部62と、値引情報格納部63と、ポイント情報格納部64と、トランデータ格納部65とを有している。トランデータ格納部65はエラートラン格納部651を有している。
【0025】
尚、メモリ60以外の外部記憶装置に期間特典格納部62、値引情報格納部63、ポイント情報格納部64を格納してもよい。或いは、上述のようにPOS端末と決済端末1とを接続する際には、POS端末にこれらデータベースを格納してもよい。そして、決済端末1は外部記憶装置またはPOS端末から、これらデータベースにアクセスして、特典に関する各種情報を読み込んでもよい。
【0026】
図5は、期間特典格納部62のデータ構成例を示す図である。期間特典格納部62は、通常期間より特典サービスを割り増す特典割増期間内に適用する特典の内容を格納したデータファイルである。図5に示すように、期間特典格納部62には、「カード種情報」と、特典割増期間を設定した「期間」と、「特典内容」とが対応付けて設定されている。「カード種情報」は、ハウスカードのカード種を特定する情報である。「特典内容」は、「期間」で設定された特典割増期間に、「カード種情報」で設定されたハウスカードの会員に付与する特典の内容を示す情報である。特典内容としては、値引率、ポイント付与率などを示す情報が格納される。
【0027】
図6は、値引情報格納部63のデータ構成例を示す図である。値引情報格納部63は、ハウスカードの会員に対して通常期間に適用される値引率を格納したデータファイルである。図6に示すように、値引情報格納部63には、「カード種情報」と、そのハウスカードの会員に対する値引率を設定した「値引情報」とが対応付けて格納されている。
【0028】
図7は、ポイント情報格納部64のデータ構成例を示す図である。ポイント情報格納部64は、ハウスカードの会員に対し、支払額に応じて付与されるポイント付与率(ポイント還元率ともいう)を格納したデータファイルである。図7に示すように、ポイント情報格納部64には、「カード種情報」と、そのハウスカードの会員に付与されるポイント付与率を設定した「ポイント付与率情報」とが対応付けて格納されている。
【0029】
図4に戻って、トランデータ格納部65は、決済端末1が決済処理を行った各取引についてその決済情報(トランザクションデータ)を格納するためのメモリ領域である。尚、以下ではトランザクションデータのことを「トランデータ」と略称する。決済端末1は、トランデータとして、ハウスカードによる決済にかかる情報や、その他のクレジットカードによる決済にかかる情報、電子マネー決済にかかる情報、現金決済にかかる情報、エラーに関する情報などを記録する。
【0030】
決済端末1は、通信エラー時に生成したトランデータと、通常時のトランデータとを容易に分別できるよう、その記録領域を分けて格納する。ここで通常時とは、決済端末1とハウスカードの決済サーバ4との間でデータ通信を異常なく行える場合のことである。通常時、決済端末1は決済サーバ4とデータ通信を行い、ハウスカードによる決済処理を遂行することができる。一方、通信エラー時とは、決済端末1とハウスカードの決済サーバ4との間のデータ通信に異常があり、ハウスカードの決済処理を遂行することができない状態を指す。この場合に決済端末1は、その他のクレジットカードによる決済や、電子マネーによる決済、あるいは現金決済など、ハウスカードに代わる代替支払方法の決済処理を行う。
【0031】
また、決済端末1は、これら代替支払方法による決済処理において、ハウスカード会員に提供される特典をその取引の支払額に適用した上で、決済処理を行う。そして決済端末1は、代替支払方法による決済情報とともに、代替支払方法によって会員に臨時的に提供した特典の内容を示す情報を含めてエラー時のトランデータ(エラー時トランデータ)を生成し、エラートラン格納部651に格納しておく。そして決済端末1と決済サーバ4との接続が復旧すると、決済端末1はエラートラン格納部651に格納されているデータを決済サーバ4に送信する。
【0032】
なお、トランデータ格納部65は一連の動作ログを通しで記録する。つまりトランデータ格納部65は、通常時のトランデータと、決済端末1と決済サーバ4との間の通信エラー時に代替支払方法により決済処理が行われた際のトランデータ(エラー時トランデータ)とを、通しで記録する。その上で決済端末1は、エラー時トランデータをエラートラン格納部651に格納し、決済サーバ4との通信復旧時に速やかにエラー時トランデータを決済サーバ4に送信できるようにする。
【0033】
尚、図4ではエラー時トランデータを、通常時のトランデータの格納領域とは分けてエラートラン格納部651に格納するようにしたが、エラートラン格納部651は特設せずともよい。即ち、決済端末1の制御部50が一連のトランデータからエラー時トランデータを抽出する機能を有するのであれば、エラートラン格納部651のメモリ領域を分けて持つ必要はない。
【0034】
次に、決済端末1が決済処理時に実行するプログラム61について説明する。本実施形態の決済端末1が実行するプログラム61は、メモリ60に予め組み込まれて提供される。尚、本実施形態の決済端末1が実行するプログラム61は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0035】
さらに、本実施形態の決済端末1が実行するプログラム61を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の決済端末1が実行するプログラム61をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0036】
本実施形態の決済端末1が実行するプログラム61は、図4に示すように、入力受付部51、通信監視部52、決済部53を含むモジュール構成となっている。CPU21(プロセッサ)は、メモリ60からプログラム61を読み出して、RAM23上に展開することにより、上記各部を主記憶装置上にロードし、入力受付部51、通信監視部52、決済部53を主記憶装置上に生成する。
【0037】
入力受付部51は、操作部14、カードリーダ16、ピンパッド端末2、リーダ装置3から入力された各種情報を受付ける。
【0038】
例えば入力受付部51は、カードリーダ16がクレジットカードから読み取った磁気情報を受付ける。ここで、クレジットカードの磁気情報には、クレジットカードの種類を特定するカード種情報と、会員情報とが含まれている。会員情報とは、会員名義、カード番号など、クレジットカードの所有者(会員)を特定する情報のことである。クレジットカードがハウスカードである場合、カード種情報はハウスカードの種類を特定するカード種情報であり、会員情報はハウスカードの会員を特定する会員情報である。
【0039】
また、入力受付部51は、操作部14が操作キーに対するタッチ操作を受付けると、その操作キーに対応付られた情報の入力を受付ける。これにより入力受付部51は、支払額や支払方法等の入力を受付ける。支払方法とは、一括払いや分割払いなどのクレジット決済の支払方法(支払回数)のことである。尚、ハウスカードで決済できない際に、現金決済や電子マネー決済が操作キーから選択された際には、入力受付部51はこれら代替の決済方法を、支払方法を示す情報として受付ける。
【0040】
また、入力受付部51は、ピンパッド端末2で操作されたキーに応じた入力情報を受付ける。また、入力受付部51は、リーダ装置3がICカードから読み取った電子マネーID等の電子マネー情報を読み取る。
【0041】
通信監視部52は、決済端末1と決済サーバ4との間の通信状態を監視する。通信監視部52は、決済端末1と決済サーバ4との間の接続が切れると、通信エラーが発生したことを決済部53に通知する。また、通信監視部52は、通信エラー発生後も通信状態の監視を続け、決済端末1と決済サーバ4との間の接続が復旧すると、通信可能となったことを決済部53に通知する。
【0042】
決済部53は、ハウスカードによる決済、ハウスカード以外のクレジットカードによる決済、電子マネーによる決済、現金決済等、各種支払媒体による決済処理を制御する。また、決済部53は、ハウスカードによる決済時に、ハウスカードの会員特典を付与する特典付与処理を行う。また、決済部53は、入力受付部51が受付けた支払額が、入力受付部51が受付けたハウスカードによって決済可能か否かの応答を求める信用照会を、ハウスカードの決済サーバ4に対して要求する。
【0043】
・特典付与処理
決済部53は、入力受付部51が受付けたカード種情報で特定されるハウスカードの特典に関する情報を、メモリ60の期間特典格納部62、値引情報格納部63、ポイント情報格納部64から読み込む。期間特典格納部62に現在日付に該当する特典が設定されていれば、決済部53は当該期間特典を優先して特典を付与する。期間特典格納部62に現在日付に該当する特典が設定されていなければ、決済部53は値引情報格納部63およびポイント情報格納部64に格納されている特典をそれぞれ付与する。
【0044】
そして決済部53は、読み込んだ特典を、入力受付部51が受付けた支払額に適用して、決済処理を行う。特典として値引を適用するのであれば、決済部53は支払額と値引率とから値引後の支払額を算出する。そして決済部53は、入力受付部51が受付けた他の支払方法により当該値引後の支払額の決済処理を行う。また、特典としてポイント付与を適用するのであれば、決済部53は支払額とポイント付与率とから今回の取引分の加算ポイントを算出する。
【0045】
・信用照会の要求
決済部53は、決済日時、店舗名、担当者情報、カード種情報、会員情報、支払額、支払い方法、特典内容などの情報を含めて照会情報を生成し、決済サーバ4に送信する。そして、決済部53は、送信した決済情報に対する信用照会を実行するよう、決済サーバ4に対して信用照会の要求を送信する。信用照会とは、決済サーバ4が、照会対象の会員のクレジットカードが、問合せされた支払額を決済可能であるか否かを判定し、その判定結果(信用照会の結果)を決済端末1に応答する処理のことである。
【0046】
決済サーバ4は、支払い停滞などにより当該会員がブラックリストに挙げられていれば、決済不可能である旨の照会結果を決済端末1に送信応答する。一方、決済可能とする条件をクリアしていれば、決済サーバ4は当該照会内容が決済可能である旨の照会結果を決済端末1に送信応答し、決済要求を受理する。決済可能とする条件とは、例えば支払い停滞等が無く、クレジット決済を許可できる会員であり、当月支払額が支払限度額以内である等の条件のことである。決済端末1の決済部53は、決済サーバ4から送信された照会結果を受信する。
【0047】
・接続通常時の決済処理
決済部53は、決済サーバ4から決済可能の旨の照会結果を受信すると、その取引の決済要求が受理済みとなった旨を記録して、トランデータ(正常データ)を生成する。正常時のトランデータには、決済サーバ4に送信した照会情報と同様の情報と、当該取引が決済受理済みである旨を示す情報とが含まれる。決済部53は、生成した正常時のトランデータをトランデータ格納部65に格納する。
【0048】
・接続エラー時の決済処理
一方、決済部53が決済サーバ4から照会結果を受信できない場合、即ち、通信監視部52により通信エラーが通知されている場合、決済部53は決済サーバ4にトランデータを送信できない。このような場合に決済部53は、ハウスカードの会員特典を適用した上で、ハウスカード以外の支払方法によって決済処理を行う。即ち、上述のように会員特典として値引サービスが適用されるのであれば、決済部53は会員値引した後の支払額を、他の決済媒体による支払額として設定する。また、決済部53は、エラー発生の記録と、ハウスカード会員に対して適用した特典内容を示す情報とを含めて、エラー時トランデータを生成する。
【0049】
・エラー時トランデータの構成例
図8は、エラー時トランデータのデータ構成例を示す図である。図8に示すように、エラー時トランデータは、エラー発生日時を含む。またエラー時トランデータは、入力受付部51が操作部14から入力を受け付けた担当者情報を含む。担当者情報は、決済処理を担当した店員を示す情報である。また、エラー時トランデータは、入力受付部51がカードリーダ16を介して入力を受付けた、ハウスカードのカード種、カード番号、カード名義を含む。さらに、エラー時トランデータは、入力受付部51が受付けた支払額を含む。
【0050】
また、エラー時トランデータは、エラー状態を示すエラー情報を含む。エラー情報は、エラー状態と対応付けられたエラー番号が格納されてもよいし、エラー状態を示すテキストデータが格納されてもよい。例えばエラー情報としては、決済サーバ4との通信にエラーが発生したことを示す情報が用いられる。
【0051】
加えて、エラー時トランデータは、エラー発生時にハウスカードの決済サーバ4の替りに、決済端末1が代替的にハウスカード会員に適用した特典内容を示す情報を含む。特典内容の例としては、「AAAカード特典 5%引き」あるいは「AAAカード ポイント2倍キャンペーン XXポイント」等が用いられる。また、特典として会員値引が適用されるのであれば、エラー時トランデータは図8に示すように値引額と、値引後の支払額を含む。また、特典としてポイントが加算されるのであれば、エラー時トランデータは図8に示すように加算ポイントを含む。
【0052】
また、エラー時トランデータは、ハウスカードの替りに最終的に代金の支払いを行った支払方法に関する情報として、「代替支払情報」をトランデータに含めて生成する。
決済部53は、最終的に現金で精算した際には、代替支払情報として現金決済を行ったことを示す情報を設定する。また、決済部53は、最終的に電子マネーで精算した場合には、電子マネー決済を行ったことを示す情報を代替支払情報として設定する。
【0053】
また、決済部53は、最終的にハウスカード以外の他のクレジットカードで精算した場合には、決済処理を行ったクレジットカードのカード種、カード番号、カード名義、支払方法(支払回数など)等の情報を、代替支払情報として設定する。尚、ハウスカード以外の他のクレジットカードによる決済処理時には、決済部53は従来通り、そのクレジットカードの決済サーバ5に対して信用照会を行う。信用照会の処理の詳細については従来技術を用いればよいので、ここでの説明は省略する。
【0054】
・接続復旧後のトラン送信処理
決済部53は、通信監視部52が決済端末1と決済サーバ4との間の接続が復旧したことを検出すると、エラートラン格納部651に格納されているエラー時トランデータをハウスカードの決済サーバ4に送信出力する。
【0055】
決済サーバ4は、決済端末1から受信したエラー時トランデータに基づいて、値引額を代替して負担した店舗、またはカード会社、または電子マネー決済サービスに対して、負担額を補填する処理を行う。図8とともに上述したように、エラー時トランデータには、値引額と、代替支払情報が含まれているので、ハウスカードの決済サービスは、値引額を代替した企業と、補填する必要のある金額とを示す情報を簡便に入手できる。従って、ハウスカードの決済サービスは、値引処理を代替して行った企業等に対して、その値引額の補填処理をスムーズかつ確実に行うことができる。
【0056】
また、決済サーバ4は、エラー時トランデータに含まれる加算ポイントを用いて、会員マスタ(不図示)が管理する会員のポイント数を更新する。図8とともに上述したように、エラー時トランデータには、会員情報と加算ポイントが含まれるので、決済サーバ4は接続エラー復旧後に、ポイントの更新処理をスムーズに行うことができる。
【0057】
次に、プログラム61の動作手順例について説明する。
【0058】
図9は、決済端末1が実行する決済処理の手順例を示すフローチャートである。入力受付部51は、操作部14を介して一取引の支払額の入力を受付ける(ステップS1)。次いで、入力受付部51は、カードリーダ16によりクレジットカードの磁気情報が読み取られると、当該磁気情報に含まれるカード種情報、カード番号、カード名義等のカード情報の入力を受付ける(ステップS2)。
【0059】
次に、決済部53は、ステップS2で読み取られたカード情報に基づいて、決済処理を行うクレジットカードがハウスカードであるか否かを判定する(ステップS3)。ハウスカードでない場合(ステップS3:No)には、決済部53は通常のクレジットカードによる決済処理を行う(ステップS30)。即ち決済部53は、支払額に対してハウスカード会員向けの値引は行わず、会員ポイントも付与せずに、取引内容を示す照会情報を生成し、カード種が示すクレジットカード会社の決済サーバ5に信用照会を行う。そして、信用照会の結果、決済可能との応答を決済サーバ5から受信すれば、決済成立のトランデータを生成し、トランデータ格納部65に格納して処理を終了する。
【0060】
ハウスカードであれば(ステップS3:Yes)、決済部53は特典付与処理を行う(ステップS4)。即ち、決済部53は、期間特典格納部62に現在日付に該当する期間特典の値引率が設定されていれば、当該値引率を適用して値引額、値引後の支払額を算出する。期間特典格納部62に現在日付に該当する期間特典が設定されていない場合には、決済部53は値引情報格納部63から値引率を読み込む。そして、決済部53は読み込んだ値引率に基づき、ステップS1で受付けた支払額の値引き後の価格を算出し、支払額を更新する。また、決済部53は表示部15に値引後の支払額を表示する。
【0061】
また、決済部53は上述したように加算ポイントを計算する。即ち、期間特典格納部62に現在日付に対応する期間特典のポイント付与率が設定されていれば、決済部53は当該ポイント付与率と支払額とから加算ポイントを計算する。また、期間特典格納部62に現在日付に適用すべきポイント付与率が設定されていない場合には、決済部53はポイント情報格納部64からポイント付与率を読み込む。そして決済部53は、読み込んだポイント付与率と、支払額とから加算ポイントを計算する(ステップS4)。
【0062】
次に、決済部53は、決済サーバ4に対して信用照会要求を送信する(ステップS5)。即ち、決済部53は、決済日時、店舗名、担当者情報、カード種情報、会員情報、値引前の合計額、値引額、値引後の支払額、支払い方法(1回払いまたは分割払い等の情報)、加算ポイント等の情報を含む照会情報を生成し、決済サーバ4に送信する。
【0063】
決済サーバ4から信用照会の応答があれば(ステップS6:Yes)、ステップS7に移行する。決済サーバ4から信用照会の応答が無ければ(ステップS6:No)、ステップS13に移行する。決済サーバ4から受信した信用照会結果において、決済可能である旨の応答内容であれば(ステップS7:Yes)、ステップS8に移行する。信用照会されたクレジットカードにより支払額の決済は不可能である旨の応答内容を受信した場合(ステップS7:No)には、ステップS11に移行する。
【0064】
ステップS8において決済部53は、ステップS5で生成した照会情報に、信用照会した決済内容が受理されたこと示す情報を付して、決済受理のトランデータを生成する。即ち、当該トランデータは、決済日時、店舗名、担当者情報、カード種情報、会員情報、値引前の合計金額、値引額、値引後の支払額、支払い方法、加算ポイントなどの情報を含む。そして決済部53は、生成したトランデータをトランデータ格納部65に格納する(ステップS9)。また、決済部53は決済日時、店舗名、担当者情報、カード種情報、会員情報、値引前の合計額、値引額、値引後の支払額、支払い方法等の情報を含むレシートデータを生成する。決済部53はプリンタ25にレシートデータを出力し、レシートを印字出力する(ステップS10)。
【0065】
決済が不可能である場合(ステップS7:No)、決済部53は、信用照会の結果、当該カードでの支払いを行えない旨の判定結果が出たことをエラーメッセージに含めて表示部15に表示する(ステップS11)。また、決済部53は、信用照会の応答結果を含むエラーレポートをプリンタ25により印字出力する(ステップS12)。この場合、客はハウスカード以外の決済方法により精算を行う。
【0066】
一方、ステップS6において決済サーバ4からの応答が得られなかった場合(ステップS6:No)、決済部53は、決済サーバ4との接続エラーが発生した旨を表示部15に表示して通知する。入力受付部51は、操作部14を介して決済方法の変更を受付ける(ステップS13)。ハウスカード決済に代わる代替決済方法として、客は現金決済、または、他のクレジットカードによる決済、または、電子マネー決済のいずれかの決済方法を申し出る。
【0067】
決済端末1の決済部53は、客が所望する決済方法に応じて決済処理を行う(ステップS14)。この際、決済部53は、ステップS4で会員特典を適用した値引後の支払額を、代替決済方法による支払額として設定する。例えば代替決済方法として、ハウスカード以外の他のクレジットカードによる決済を行うのであれば、入力受付部51は当該クレジットカードのカード情報の入力を受付ける。そして決済部53は、そのクレジットカードのカード情報とともに、ハウスカードの会員値引を適用した値引後の支払額を照会情報に含めて、その他のクレジットカードの決済サーバ5に送信する。信用照会の結果、決済サーバ5から決済可能の応答が送信されると、決済部53は、代替支払方法での決済に関するトランデータを生成し、正常時のトランデータとしてトランデータ格納部65に格納する(ステップS14)。
【0068】
次に、決済部53はエラー時トランデータの生成処理を行う。即ち決済部53は、ハウスカードに関する情報と、ハウスカード取引時のエラー内容と、代替支払方法に関する情報とを含めて、エラー時トランデータを生成する(ステップS15)。エラー時トランデータは、図8で説明したように、ハウスカードのカード情報、ハウスカードの特典内容、値引額、値引後の支払額、加算ポイント、代替支払情報などの情報を含む。
【0069】
決済部53は、生成したエラー時トランデータを、エラートラン格納部651に格納する(ステップS16)。また、決済部53は、取引内容を示すレシートデータを生成し、プリンタ25によりレシートを印字出力する(ステップS17)。
【0070】
・レシート印字例
決済部53は、決済日時、店舗名、担当者情報、代替支払を行ったクレジットカードのカード情報、値引前の合計額、値引額、値引後の支払額、支払い方法等、ハウスカードの加算ポイント等の情報を含めてレシートデータを生成する。尚、レシートデータには、最終的に決済を行ったクレジットカードのカード情報に加え、ハウスカードのカード情報(カード番号または会員番号)を含めてもよい。また、レシートデータには、適用した特典を示す情報として、期間特典の期間や特典内容を示す情報を含めたり、期間特典の広告や、次回の特典期間の予告などを含めてもよい。これらレシートデータの生成は、決済部53が、期間特典格納部62から期間特典に関する情報を読み込んで印字データとして組み込むことで実現できる。
【0071】
次に、決済端末1が、通信エラー復旧後にエラートラン格納部651を送信する処理について、その手順例を図10とともに説明する。図10は、決済端末1が実行するエラー時トランデータの送信処理の手順例を示すフローチャートである。
【0072】
通信監視部52は、接続エラー発生後に、決済端末1と決済サーバ4との間の通信状態を監視する(ステップS21)。そして通信監視部52は、決済端末1と決済サーバ4との間の通信状態が復帰したか否かを判定する(ステップS22)。通信状態が復帰していなければ(ステップS22:No)ステップS21に戻る。
【0073】
通信状態が復帰すれば(ステップS22:Yes)、決済部53はエラートラン格納部651にエラー時トランデータが格納されているか否かを判定する(ステップS23)。エラー時トランデータが格納されている場合(ステップS23:Yes)、決済部53はエラートラン格納部651に格納されているエラー時トランデータを決済サーバ4に送信する(ステップS24)。エラー時トランデータが格納されていなければ(ステップS23:No)、そのまま処理を終了する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態にかかる決済端末1は、決済サーバ4から信用照会の応答結果を受信できなければ、ハウスカードの会員に提供される特典を適用した上で、ハウスカード以外の支払方法によって決済処理を行う。これにより、ハウスカードの会員は、決済サーバ4でトラブルが発生して信用照会ができない場合であっても、ハウスカードの特典サービスを受けて決済することができる。また、決済端末1は、決済サーバ4との通信が可能になると、信用照会の応答を受信できなかった際に会員に適用した特典内容を示す情報をハウスカードの決済サーバ4に出力する。これにより、ハウスカードの決済サービス提供者は、値引額を代理で支払った企業に対する補填金額の精算処理や、ポイントの更新処理などの後処理をスムーズに行うことができる。
【0075】
このように本実施形態によれば、信用照会を行えないようなトラブル発生時においても、ハウスカードの特典サービスを安定して提供できる決済端末およびプログラムを提供することができる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0077】
例えば、上述では、信用照会前にメモリ60内のデータベースを参照して決済部53が特典付与処理を行ったが、決済サーバ4との接続ができる正常時においては、ハウスカードの決済サーバ4に都度、特典内容を問い合わせてもよい。例えば、ハウスカードの決済サーバ4は、信用照会時に会員特典DB41を参照して、当該決済内容に会員特典を適用する。即ち、特典として値引サービスを提供する場合には、支払額と値引率とから値引後の支払額を算出し、当該支払額の決済を受理する。また、特典として会員ポイントを付与する場合には、支払額とポイント付与率とから加算ポイント数を算出し、当該加算ポイント数により会員マスタ(不図示)の累積ポイント数を更新する。そして、決済サーバ4は値引後の支払額や加算ポイント、累積ポイントを決済端末1に送信応答する。決済端末1の決済部53は、決済サーバ4から受信したデータを用いて、トランデータを生成すればよい。
【符号の説明】
【0078】
100…決済システム、1…決済端末、4…決済サーバ、51…入力受付部、52…通信監視部、53…決済部、62…期間特典格納部、63…値引情報格納部、64…ポイント情報格納部、65…トランデータ格納部、651…エラートラン格納部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開平7−239977号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10