(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
射出成形機と、該射出成形機で製造された成形品を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送された成形品の検査を行う検査手段と、前記搬送手段の搬送部の位置を検出する搬送位置検出手段と、データを記憶するデータ記憶手段と、を有する射出成形システムにおいて、
前記データ記憶手段は、
前記射出成形機で成形品を製造する際の成形データと、
製造された前記成形品が前記搬送手段で回収された際の前記搬送位置検出手段で検出された前記搬送部の位置である第1の搬送部の位置と、を組にして記憶し、かつ、
前記検査手段で成形品の検査をした際の該成形品に関する検査データと、
前記成形品が前記検査手段で検査された際の前記搬送位置検出手段で検出された前記搬送部の位置である第2の搬送部の位置と、を組にして記憶し、さらに、
記憶された成形データと第1の搬送部の位置との組と、検査データと第2の搬送部の位置との組の内、前記第1の搬送部の位置と前記第2の搬送部の位置との搬送部の位置の差が、予め設定された、成形品が前記搬送手段で回収される回収位置と、成形品が前記検査手段で検査される検査位置との間の距離に等しい成形データと第1の搬送部の位置の組と、検査データと第2の搬送部の位置の組とを抽出し、該抽出した組の成形データと検査データを組として記憶することを特徴とする射出成形システム。
射出成形機と、該射出成形機で製造された成形品を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送された成形品の検査を行う検査手段と、現在時刻を検出する時刻検出手段と、データを記憶するデータ記憶手段と、を有する射出成形システムにおいて、
前記データ記憶手段は、
前記射出成形機で成形品を製造する際の成形データと、
製造された前記成形品が前記搬送手段で回収された際の前記時刻検出手段で検出された時刻である第1の時刻と、を組にして記憶し、かつ、
前記検査手段で成形品の検査をした際の検査データと、
前記成形品が前記検査手段で検査された際の前記時刻検出手段で検出された時刻である第2の時刻と、を組にして記憶し、さらに、
記憶された成形データと第1の時刻との組と、検査データと第2の時刻との組の内、前記第1の時刻と前記第2の時刻との差が、成形品が前記搬送手段で回収される回収位置と、成形品が前記検査手段で検査される検査位置間との距離と、前記搬送手段の搬送速度とから求めた成形品の前記回収位置と前記検査位置との間の移動時間に等しい成形データと第1の時刻との組と、検査データと第2の時刻との組とを抽出し、該抽出した組の成形データと検査データを組として記憶することを特徴とする射出成形システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形システムに関し、特に射出成形機と、射出成形機で成形された成形品を搬送する搬送装置と、搬送装置で搬送された成形品を検査する検査装置とからなる射出成形システムに関する。
【0002】
射出成形機で成形した成形品において発生する不良品を検出するために、成形品が良品か不良品かを判別する必要がある。成形品の良/不良の判別方法としては、目視や機械を用いて成形品を直接検査して判別する方法と、成形品を直接検査する代わりに、射出成形機における成形時の射出圧力、射出速度、位置、温度等の物理量を計測することによって間接的に判別する方法とがある。
成形品を直接検査する方法をより詳しく述べると、寸法や重量などの物理量を測定して測定値が許容範囲内であるか否かによって判別する方法と、成形品の外観をビジョンセンサーや目視によって視覚的に検査して判別する方法とがある。
【0003】
特許文献1には、射出成形機において成形品の良否を自動判別する成形品検査装置において、射出成形機の1ショットごとに取りだされる成形品の重量を自動測定して、その成形品重量の実測値を、射出成形機の1次圧、2次圧、1次射出時間等の複数のモニタ項目とともに取り込んで良否判別を行う射出成形機の成形品検査装置の技術が開示されている。
特許文献2には、樹脂製品としてのコネクタハウジングを成形する射出成形機と、射出成形機から落下する樹脂製品を受けて搬送するベルトコンベアが設けられ、ベルトコンベアで搬送された後に、成形されたコネクタハウジングの重量を検査する重量検査装置を設けた射出成形システムの技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている技術は、射出成形機において成形を行った後すぐに成形品を直接検査している。このため、検査をした検査データと、成形品を成形する際の成形データとを組にして収集すれば、射出成形機の成形データと、検査によって得られた実際の成形品の品質との関係が明確となるため、成形データと検査データとの関係をフィードバックすることによって成形品の品質の向上に役立てることが可能となる。しかしながら、射出成形機で成形品が成形された後すぐに成形品の検査を行っているため、検査に要する時間の分サイクル時間が長くなってしまうことがある。また、成形直後の成形品は十分に固化していないため、その時点で検査を行っても、その後完全に固化したときには状態が変化しているおそれもあった。
【0006】
特許文献2に開示されている技術は、射出成形機で製造された成形品をベルトコンベアによって検査装置の検査箇所まで搬送して成形品の検査を行っている。しかしながら、この方法では、成形品が成形されたタイミングからベルトコンベアで搬送される分だけ時間が遅れ、場所も異なって検査が行われるため、検査装置による検査の結果と、成形を行う際の射出成形機の成形データとの関連付けを行って記憶することに困難が生じることがあった。
【0007】
そこで本発明は、射出成形機による成形品の製造と、成形品の検査のタイミングが異なる場合においても、射出成形機の成形時の成形データと検査データとを関連付けた成形品の品質管理を行うことのできる射出成形システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に係る発明では、射出成形機と、該射出成形機で製造された成形品を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送された成形品の検査を行う検査手段と、前記搬送手段の搬送部の位置を検出する搬送位置検出手段と、データを記憶するデータ記憶手段と、を有する射出成形システムにおいて、前記データ記憶手段は、前記射出成形機で成形品を製造する際の成形データと、製造された前記成形品が前記搬送手段で回収された際の前記搬送位置検出手段で検出された前記搬送部の位置である第1の搬送部の位置と、を組にして記憶し、かつ、前記検査手段で成形品の検査をした際の
該成形品に関する検査データと、前記成形品が前記検査手段で検査された際の前記搬送位置検出手段で検出された前記搬送部の位置である第2の搬送部の位置と、を組にして記憶し、さらに、記憶された成形データと第1の搬送部の位置との組と、検査データと第2の搬送部の位置との組の内、前記第1の搬送部の位置と前記第2の搬送部の位置との搬送部の位置の差が、予め設定された、成形品が前記搬送手段で回収される回収位置と、成形品が前記検査手段で検査される検査位置との間の距離に等しい成形データと第1の搬送部の位置の組と、検査データと第2の搬送部の位置の組とを抽出し、該抽出した組の成形データと検査データを組として記憶することを特徴とする射出成形システムが提供される。
【0009】
請求項1に係る発明では、予め設定された、成形品が搬送手段で回収される回収位置と、成形品が検査手段で検査される検査位置との間の距離に等しくなる成形データと第1の搬送部の位置の組と、検査データと第2の搬送部の位置の組とを抽出して、抽出した成形データと検査データとを組として記憶するようにしたことによって、成形品の製造と成形品の検査のタイミングが異なる場合であっても、成形データと検査データとを確実に関連付けて成形品の管理をすることが可能となる。
【0010】
本願の請求項2に係る発明では、射出成形機と、該射出成形機で製造された成形品を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送された成形品の検査を行う検査手段と、現在時刻を検出する時刻検出手段と、データを記憶するデータ記憶手段と、を有する射出成形システムにおいて、前記データ記憶手段は、前記射出成形機で成形品を製造する際の成形データと、製造された前記成形品が前記搬送手段で回収された際の前記時刻検出手段で検出された時刻である第1の時刻と、を組にして記憶し、かつ、前記検査手段で成形品の検査をした際の検査データと、前記成形品が前記検査手段で検査された際の前記時刻検出手段で検出された時刻である第2の時刻と、を組にして記憶し、さらに、記憶された成形データと第1の時刻との組と、検査データと第2の時刻との組の内、前記第1の時刻と前記第2の時刻との差が、成形品が前記搬送手段で回収される回収位置と、成形品が前記検査手段で検査される検査位置間との距離と、前記搬送手段の搬送速度とから求めた成形品の前記回収位置と前記検査位置との間の移動時間に等しい成形データと第1の時刻との組と、検査データと第2の時刻との組とを抽出し、該抽出した組の成形データと検査データを組として記憶することを特徴とする射出成形システムが提供される。
【0011】
請求項2に係る発明では、成形品が搬送手段で回収される回収位置と、成形品が検査手段で検査される検査位置間との距離と、搬送手段の搬送速度とから求めた成形品の回収位置と検査位置との間の移動時間に等しい成形データと第1の時刻との組と、検査データと第2の時刻との組とを抽出して、抽出した成形データと検査データとを組として記憶するようにしたことによって、成形品の製造と成形品の検査のタイミングが異なる場合であっても、成形データと検査データとを確実に関連付けて成形品の管理をすることが可能となる。
【0012】
本願の請求項3に係る発明では、前記検査手段は、前記成形品を検査する検査装置と、前記成形品を移動させる移動手段と、を有し、前記移動手段が、前記成形品を前記検査位置から前記検査装置に移動させ、前記検査装置は、移動された前記成形品を検査して前記検査データを取得することを特徴とする請求項1または2記載の射出成形システムが提供される。
また、本願の請求項4に係る発明では、前記移動手段はロボットであることを特徴とする請求項3に記載の射出成形システムが提供される。
【0013】
請求項3,4に係る発明では、検査手段として検査装置と成形品を移動させるロボット等の移動手段を有し、移動手段で検査装置のところまで移動させてから検査を行うことによって、検査装置として成形品の重量を測定したり寸法を測定したりする場合など、搬送装置上では検査を行いにくい場合であっても、確実に検査を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、射出成形機による成形品の製造と、成形品の検査のタイミングが異なる場合においても、射出成形機の成形時の成形データと検査データとを関連付けた成形品の品質管理を行うことのできる射出成形システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の射出成形システムの構成を示した図である。
射出成形機10は、従来公知の射出成形機を用いることができ、型締装置によって金型の型閉じ、型締めを行い、その後、樹脂材料を射出装置のシリンダやスクリュによって、金型内に射出することによって、成形品14の成形を行う。成形後の成形品は金型を開いた後に突出し装置によって金型内から突き出され、射出成形機10外に回収される。本実施形態においては、射出成形機10から回収された成形品14は、後述するコンベア40の成形品回収位置Aにおいて回収される。
【0017】
また、射出成形機10内には、成形データ記憶手段12及び記憶手段18が設けられており、成形データ記憶手段12には射出成形機10で成形品を成形する際の成形データが記憶されており、記憶手段18は成形データと検査データの組が記憶されるようになっている。
コンベア40は
図1における時計回り方向に搬送されており、コンベア40の上面は左方から右方へ移動する。そのため、コンベア40の成形品回収位置Aにおいて回収された成形品14は、時間の経過に伴いコンベア40によって右方に搬送されることとなる。
【0018】
コンベア40によって成形品回収位置Aから搬送された成形品14は、成形品検査位置Bへと運ばれる。成形品14は成形品検査位置Bにおいて、検査装置30に設けられたカメラ32によって撮像されて検査が行われる。検査の結果は検査データとして、検査装置30内に設けられている検査データ記憶手段34に記憶される。
【0019】
20はコンベア40の搬送部の位置を検出する位置検出手段であり、コンベア40に取り付けられたエンコーダ等を用いて、コンベア40の搬送部の位置を検出する。この位置検出手段20で検出する搬送部の位置とは、コンベア40の搬送部である、かけ回されているベルトがどのような回転位置にあるかということを、例えばベルトの一部に付加された基準マークをもとに検出するものであり、搬送部上に載せられている成形品14の位置を指すものではない。
【0020】
射出成形機10で成形品14の成形が行われて排出された後、コンベア40で回収されると、位置検出手段20はそのときの搬送部の位置を第1の搬送部の位置として検出し、その第1の搬送部の位置の情報を成形データ記憶手段12に送信する。第1の搬送部の位置の情報が送信された成形データ記憶手段12は、成形品14に関する成形データと、送信されてきた第1の搬送部の位置の情報を組にして記憶する。これらの手順を、成形品14が成形されてコンベア40に回収されるたびに行う。
【0021】
コンベア40で搬送された成形品14は、成形品検査位置Bにおいて検査装置30のカメラ32によって、成形品14の外観上の検査や画像処理に基づく寸法検査などの検査が行われる。位置検出手段20は、成形品14が検査装置30によって検査を行われたときの搬送部の位置を第2の搬送部の位置として検出し、その第2の搬送部の位置の情報を検査データ記憶手段34に送信する。第2の搬送部の位置の情報が送信された検査データ記憶手段34は、成形品に関する検査データと、送信されてきた第2の搬送部の位置の情報を組にして記憶する。これらの手順を、成形品14が搬送されてきて成形品検査位置Bにおいて検査装置30によって検査が行われるたびに行う。
【0022】
ここで、成形品回収位置Aと成形品検査位置Bとの間の距離は測定するなどしてあらかじめ設定しておく。そして、成形データ記憶手段12に記憶された成形データと第1の搬送部の位置の情報の組と、検査データ記憶手段34に記憶された検査データと第2の搬送部の位置の情報の組のうち、第1の搬送部の位置の情報と第2の搬送部の位置の情報の差が、あらかじめ設定された成形品回収位置Aと成形品検査位置Bとの間の距離に等しいデータの組をそれぞれ抽出し、記憶手段18に記憶させる。
【0023】
図2は、本実施形態における各記憶手段におけるデータの記憶構造を示した図である。
図2(a)は、成形データ記憶手段12に記憶される成形データと第1の搬送部の位置である回収位置データの組を示したものであり、例えばショット数1における成形データM0(1)、M1(1)・・・Mm(1)とともに、その時点での回収位置データP1をP1(1)として合わせて記憶する。次のショット数2においては、成形データM0(2)、M1(2)・・・Mm(2)とともに、その時点での回収位置データP1をP1(2)として合わせて記憶する。以下、同様に記憶していき、ショット数Nにおける成形データM0(N)、M1(N)・・・Mm(N)とともに、その時点での回収位置データP1をP1(N)として合わせて記憶する。
【0024】
コンベア40は、成形品14がコンベア40上に回収されるたびに搬送されるか、または常時一定の速度で搬送される。成形品14が搬送され、成形品検査位置Bにおいて検査装置30によって順次検査を行う。
図2(b)は、検査データ記憶手段34に記憶される検査データと第2の搬送部の位置である検査位置データの組を示したものである。検査によって得られた検査データは、検査データT0(1)、T1(1)・・・とともに、その時点での検査位置データP2をP2(1)として合わせて記憶する。次においても同様に、検査データT0(2)、T1(2)・・・とともに、その時点での検査位置データP2をP2(2)として合わせて記憶する。以下、同様に記憶していき、検査データT0(N)、T1(N)・・・とともに、その時点での検査位置データP2をP2(N)として合わせて記憶する。
【0025】
本実施形態においては、測定等によって、成形・回収における成形品回収位置と、検査における成形品検査位置との間の距離がショット数で5つずれたものであることがあらかじめ設定されている。そのため、P1(1)を含む成形データの組とP2(6)を含む検査データの組とを抽出して、記憶手段18に記憶する。
図2(c)は、記憶手段18に記憶されるデータの組を示したものであり、ショット数1として、成形データM0(1)、M1(1)・・・Mm(1)と、それに対応する検査データである、T0(6)、T1(6)が組となって記憶されている。同様に、ショット数2として、成形データM0(2)、M1(2)・・・Mm(2)と、それに対応する検査データである、T0(7)、T1(7)が組となって記憶されている。以下、同様に記憶していき、ショット数Nとして、成形データM0(N)、M1(N)・・・Mm(N)と、それに対応する検査データである、T0(N+5)、T1(N+5)が組となって記憶されている。
【0026】
これらのデータの取得にあたっては、第1の搬送部の位置である回収位置データと、第2の搬送部の位置である検査位置データを正確に検出するために、成形品の回収時と検査時においてはコンベア40をいったん停止するように構成することが望ましい。
【0027】
また、本実施形態においては、射出成形機10内に成形データ記憶手段12と記憶手段18を設け、検査装置30内に検査データ記憶手段34を設ける構成としているが、必ずしもこのように配置しなければならないものではなく、射出成形システム全体のいずれかの箇所に設けるようにすればよい。さらに、例えば成形データ記憶手段12、記憶手段18、検査データ記憶手段34はそれぞれ別々に設けずに、射出成形機10とコンベア40と検査装置30とを集中管理する管理手段を設け、管理手段上で成形データと検査データとを組にして記憶するようにしてもよい。また、成形データ、検査データ、第1の搬送部の位置、第2の搬送部の位置をすべて射出成形機10内で取得して、射出成形機10上で成形データと検査データとを組にして記憶するようにしてもよいし、成形データ、検査データ、第1の搬送部の位置、第2の搬送部の位置をすべて検査装置30内において取得して、検査装置30上で成形データと検査データとを組にして記憶するようにしてもよい。
【0028】
(第2の実施形態)
図3は、本実施形態の射出成形システムの構成を示した図である。本実施形態は、第1の実施形態における第1の搬送部の位置と第2の搬送部の位置の差を用いて成形データと検査データの関連付けることに代えて、射出成形機10からコンベア40に成形品14が回収されたときの第1の時刻と、検査装置30において成形品14の検査を行うときの第2の時刻との差を用いて成形データと検査データを関連付ける点が異なっている。以下、
図1に示された第1の実施形態の射出成形システムと同様の構成については説明を省略する。
【0029】
22は時刻検出手段であり、射出成形機10で成形品14の成形が行われて排出された後、コンベア40で回収されると、時刻検出手段22はそのときの時刻を第1の時刻として検出し、その第1の時刻の情報を成形データ記憶手段12に送信する。第1の時刻の情報が送信された成形データ記憶手段12は、成形品14に関する成形データと、送信されてきた第1の時刻の情報を組にして記憶する。これらの手順を、成形品14が成形されてコンベア40に回収されるたびに行う。
【0030】
コンベア40で搬送された成形品14は、成形品検査位置Bにおいて検査装置30のカメラ32によって、成形品14の外観上の検査や画像処理に基づく寸法検査などの検査が行われる。時刻検出手段22は、成形品14が検査装置30によって検査を行われたときの時刻を第2の時刻として検出し、その第2の時刻の情報を検査データ記憶手段34に送信する。第2の時刻の情報が送信された検査データ記憶手段34は、成形品に関する検査データと、送信されてきた第2の時刻の情報を組にして記憶する。これらの手順を、成形品14が搬送されてきて成形品検査位置Bにおいて検査装置30によって検査が行われるたびに行う。
【0031】
ここで、成形品回収位置Aと成形品検査位置Bとの間の距離は測定するなどしてあらかじめ求めておき、両者間の距離とコンベア40の搬送速度から成形品回収位置Aと成形品検査位置Bとの間の移動時間を求めておく。そして、成形データ記憶手段12に記憶された成形データと第1の時刻の情報の組と、検査データ記憶手段34に記憶された検査データと第2の時刻の情報の組のうち、第1の時刻と第2の時刻との差が、成形品回収位置Aと成形品検査位置Bとの間の移動時間に等しいデータの組をそれぞれ抽出し、記憶手段18に記憶させる。
【0032】
図4は、本実施形態における各記憶手段におけるデータの記憶構造を示した図である。
図4(a)は、成形データ記憶手段12に記憶される成形データとそのときの時刻である回収時刻データとの組を示したものであり、例えばショット数1における成形データM0(1)、M1(1)・・・Mm(1)とともに、その時点での回収時刻データt1をt1(1)として合わせて記憶する。次のショット数2においては、成形データM0(2)、M1(2)・・・Mm(2)とともに、その時点での回収時刻データt1をt1(2)として合わせて記憶する。以下、同様に記憶していき、ショット数Nにおける成形データM0(N)、M1(N)・・・Mm(N)とともに、その時点での回収時刻データt1をt1(N)として合わせて記憶する。
【0033】
コンベア40は、成形品14がコンベア40上に回収されるたびに搬送されるか、または常時一定の速度で搬送される。成形品14が搬送され、成形品検査位置Bにおいて検査装置30によって順次検査を行う。
図4(b)は、検査データ記憶手段34に記憶される検査データとそのときの時刻である検査時刻データの組を示したものである。検査によって得られた検査データは、検査データT0(1)、T1(1)・・・とともに、その時点での検査時刻データt2をt2(1)として合わせて記憶する。次においても同様に、検査データT0(2)、T1(2)・・・とともに、その時点での検査時刻データt2をt2(2)として合わせて記憶する。以下、同様に記憶していき、検査データT0(N)、T1(N)・・・とともに、その時点での検査時刻データt2をt2(N)として合わせて記憶する。
【0034】
本実施形態においては、測定等によって、成形・回収における成形品回収位置と、検査における成形品検査位置との間の移動時間がショット数で5つ分の時間であることがあらかじめ設定されている。そのため、t1(1)を含む成形データの組とt2(6)を含む検査データの組とを抽出して、記憶手段18に記憶する。
図4(c)は、記憶手段18に記憶されるデータの組を示したものであり、ショット数1として、成形データM0(1)、M1(1)・・・Mm(1)と、それに対応する検査データである、T0(6)、T1(6)が組となって記憶されている。同様に、ショット数2として、成形データM0(2)、M1(2)・・・Mm(2)と、それに対応する検査データである、T0(7)、T1(7)が組となって記憶されている。以下、同様に記憶していき、ショット数Nとして、成形データM0(N)、M1(N)・・・Mm(N)と、それに対応する検査データである、T0(N+5)、T1(N+5)が組となって記憶されている。
【0035】
本実施形態においては、射出成形機10内に成形データ記憶手段12と記憶手段18を設け、検査装置30内に検査データ記憶手段34を設ける構成としているが、必ずしもこのように配置しなければならないものではなく、射出成形システム全体のいずれかの箇所に設けるようにすればよい。さらに、例えば成形データ記憶手段12、記憶手段18、検査データ記憶手段34はそれぞれ別々に設けずに、射出成形機10とコンベア40と検査装置30とを集中管理する管理手段を設け、管理手段上で成形データと検査データとを組にして記憶するようにしてもよい。また、成形データ、検査データ、第1の
時刻、第2の
時刻をすべて射出成形機10内で取得して、射出成形機10上で成形データと検査データとを組にして記憶するようにしてもよいし、成形データ、検査データ、第1の
時刻、第2の
時刻をすべて検査装置30内において取得して、検査装置30上で成形データと検査データとを組にして記憶するようにしてもよいことなどは、第1の実施形態と同様である。
【0036】
また、なんらかの理由で成形品14が成形されてコンベア40で回収される回収位置から、検査装置30で検査を行う検査位置までの間にコンベア40が停止してしまうことが発生した場合には、コンベア40が停止した時間を計測して、停止時間の分だけ差し引いた上で成形データと検査データの対応を取るようにすればよい。
【0037】
(第3の実施形態)
図5は、本実施形態の射出成形システムの構成を示した図である。本実施形態においては、第1の実施形態や第2の実施形態において検査装置が配置されていた箇所に、移動手段であるロボット36を配置し、成形品14が検査位置に搬送されたときに、ロボット36によって検査装置30に運び、運ばれた位置において検査装置30によって検査を行う点が異なっており、その他の構成は第1の実施形態又は第2の実施形態と同様である。
【0038】
本実施形態は、特に検査装置30として重量計や寸法測定装置を用いる場合など、コンベア40上では検査を行うことが困難な場合に特に有効である。検査装置30による検査が終了した成形品14は、コンベア40上に戻してもよいし、別の場所に運んでもよい。
【0039】
また、これまでの実施形態で用いられてきた検査装置30としては、成形品14の品質を検査できるものであれば種々のものを用いることができ、成形品の重量測定装置、寸法測定装置、ビジョンシステムを使用した成形品の画像取得装置等を用いることができる。
【0040】
いずれの実施形態においても、成形データと検査データの組を記憶手段18に記憶する処理は、ショット毎に行ってもよいし、1つの成形品の検査が完了するたびに行ってもよい。または、例えば100ショット行うたびに100ショット分のデータの処理を行うなど、所定のショット数ごとに処理を行ってもよく、あるいは例えば1時間ごとに1時間分のデータの処理を行うなど、所定の時間ごとに処理を行ってもよい。さらに、所定の数の成形が完了した後に、成形が完了した分のデータの処理を行うようにしてもよい。