(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電動アシスト自転車では、通常の乗車時の補助駆動力を調整するつもりでスイッチを操作した場合でも、利用者の意図に反して押し歩きのためのモータが駆動されてしまうおそれがある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの意図により忠実に、押し歩き時の車輪駆動のアシストを可能とする自転車用制御装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(Na)上記課題を解決する自転車用制御装置は、自転車の車輪駆動をアシストするためのモータを制御する自転車用制御装置において、前記モータを制御する制御部と、前記モータの動作モードを切り替える操作部とを有し、前記制御部は、前記動作モードとして少なくともウォークモードを有し、前記ウォークモードにおいて前記モータを駆動中に、車輪の回転速度が予め定められた
ゼロよりも大きい値以下になるとき、前記モータの出力が徐々に小さくなるように前記モータを制御して、前記モータの駆動を停止させる。
(Nb)上記課題を解決する自転車用制御装置は、自転車の車輪駆動をアシストするための
トルクを発生させるモータを制御する自転車用制御装置において、前記モータを制御する制御部と、前記モータの動作モードを切り替える操作部とを有し、前記制御部は、前記動作モードとして少なくともウォークモードを有し、前記ウォークモードにおいて前記モータを駆動中に、
前記トルクの発生に対するモータ負荷であって前記モータに予め定められた値以上の負荷が与えられるとき、前記モータの出力が徐々に小さくなるように前記モータを制御して、前記モータの駆動を停止させる。
(Nc)上記課題を解決する自転車用制御装置は、自転車の車輪駆動をアシストするためのモータを制御する自転車用制御装置において、前記モータを制御する制御部と、前記モータの動作モードの切り替え及び前記モータの停止を指令する操作部とを有し、
前記操作部は、スイッチとして構成され、前記制御部は、前記動作モードとして少なくともウォークモードを有し、前記ウォークモードにおいて前記モータを駆動中に、前記操作部の
スイッチ操作に基づいて前記モータの駆動を停止するとき、前記操作部の操作後、前記モータの出力が徐々に小さくなるように前記モータを制御して、前記モータの駆動を停止させる。
更に、前記制御部は、前記ウォークモードで前記操作部が操作され続けている間のみ前記モータを駆動することが好ましい。
以下は、参考技術である。
(N1)参考に係る自転車用制御装置は、自転車の車輪駆動をアシストするためのモータを制御する自転車用制御装置において、前記モータを制御する制御部を有し、前記制御部は、ウォークモードにおいて前記モータを駆動中に、車輪の回転速度が予め定められた値以下になるとき、または前記ウォークモードにおいて前記モータを駆動中に、前記モータに予め定められた値以上の負荷が与えられるとき、あるいは前記ウォークモードにおいて前記モータを駆動中に、入力部の操作に基づいて前記モータの駆動を停止するとき、前記モータの出力が徐々に小さくなるように前記モータを制御して、前記モータの駆動を停止させる。
(N2)参考に係る上記自転車用制御装置において、前記入力部をさらに備え、前記制御部は、前記ウォークモードで前記入力部が操作され続けている間のみ前記モータを駆動する。
(1)参考に係る自転車用制御装置は、自転車の車輪駆動をアシストするためのモータを制御する自転車用制御装置において、入力部と、人力駆動力に応じて前記モータを制御する乗車モード及び前記入力部の操作に応じて前記モータを駆動するウォークモードを前記入力部の操作によって切り替え可能な制御部とを有し、前記制御部は、前記ウォークモードに切り替えた後、前記入力部の操作に応じて前記モータを駆動する。
【0007】
(2)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記入力部は、少なくとも第1操作スイッチと第2操作スイッチとを含む。
(3)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記乗車モードのときに、前記第1操作スイッチが操作されることによって前記乗車モードから前記ウォークモードに切り替え、前記ウォークモードのときに、前記第2操作スイッチが操作されることによって前記ウォークモードから前記乗車モードに切り替え、前記ウォークモードに切り替えるための第1操作スイッチの操作が終了した後、前記ウォークモードのときに、前記第1操作スイッチが操作されることによって前記モータを駆動する。
【0008】
(4)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記ウォークモードのときに、
前記第1操作スイッチが操作されている間のみ前記モータを駆動する。
(5)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記ウォークモードのときに、前記第1操作スイッチが操作されると、前記第2操作スイッチが操作されるまで、前記モータを駆動する。
【0009】
(6)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記乗車モードのときに、前記第1操作スイッチが所定時間以上操作されることによって前記乗車モードから前記ウォークモードに切り替える。
【0010】
(7)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記入力部は、少なくとも第3操作スイッチと第4操作スイッチとを含み、前記第3操作スイッチは、前記ウォークモードに変更するためのスイッチであり、前記第4操作スイッチは、モードの変更を除く、他の機能のためのスイッチである。
【0011】
(8)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記第4操作スイッチは、変速スイッチであり、前記制御部は、前記乗車モードのときに前記第4操作スイッチに基づいて変速装置を制御し、前記ウォークモードのときに前記第4操作スイッチに基づく変速を禁止する。
【0012】
(9)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記乗車モードは、人力駆動力に応じて前記モータに補助力を出力させる第1乗車モードと、前記モータに補助力を出力させない第2乗車モードとを含み、前記制御部は、前記第1乗車モードのときに前記第1操作スイッチが操作されると、前記第2乗車モードに切り替え、前記第2乗車モードのときに前記第1操作スイッチが操作させると、前記ウォークモードに切り替える。
【0013】
(10)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記第1乗車モードは、人力駆動力に対する補助力の大きさが異なる複数のアシストモードをさらに含み、前記制御部は、前記乗車モードのときに、前記第1操作スイッチ及び前記第2操作スイッチの操作に応じて、前記複数のアシストモードを切り替える。
【0014】
(11)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記ウォークモードのとき、前記人力駆動力が予め定める値以上になると、前記モータの駆動を停止する。
(12)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記ウォークモードのとき、前記自転車の車速が予め定める値以上になると、前記モータの駆動を停止する。
【0015】
(13)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記ウォークモードで前記モータを駆動しているとき、前記自転車の車速が予め定める値以下となるように、前記モータを駆動する。
【0016】
(14)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記予め定める値は、設定変更可能である。
(15)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記入力部の操作に応じて前記モータを駆動しているとき、車輪の回転速度が予め定める値以下になった場合、前記モータの駆動を停止する。
【0017】
(16)
参考に係る上記自転車用制御装置において、前記制御部は、前記モータの駆動を停止するときに、前記モータの出力が徐々に小さくなるように前記モータを制御する。
(17)
参考に係る電動アシスト自転車は、上記のいずれかの自転車用制御装置と前記モータとを含む。
【0018】
(18)
参考に係るモータ制御方法は、自転車の車輪駆動をアシストするためのモータを制御するモータ制御方法において、人力駆動力に応じて前記モータを制御する乗車モード、及び入力部の操作に応じて前記モータを駆動するウォークモードを、前記入力部の操作によって
切り替え、前記ウォークモードに切り替えた後、前記入力部の操作に応じて前記モータを駆動する。
【0019】
(19)
参考に係る上記モータ制御方法において、前記ウォークモードに切り替えるための第1操作スイッチの操作が終了した後、前記ウォークモードのときに、前記第1操作スイッチが再度操作されることによって前記モータを駆動する。
【0020】
(20)
参考に係る上記モータ制御方法において、前記ウォークモードのときに電源を切った後、再度電源を投入すると、前記乗車モードで前記モータを制御する。
【発明の効果】
【0021】
上記自転車用制御装置
では、ユーザの意図により忠実に、押し歩き時の車輪駆動のアシストが実行される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
図1〜
図5を参照して自転車用制御装置について説明する。
以降の説明において、「左側」とは、電動アシスト自転車(自転車)に乗車したユーザの左手側を示し、「右側」とは、電動アシスト自転車に乗車したユーザの右手側を示す。「前方」とは、電動アシスト自転車の前進方向を示す。「後方」とは、電動アシスト自転車の後進方向を示す。
【0024】
図1に、自転車用制御装置を備える電動アシスト自転車の一例を示す。
電動アシスト自転車は、フレーム2と、フレーム2に回転可能に取り付けられる一対の車輪(前輪4及び後輪6)と、後輪6を駆動するための駆動機構8と、前輪4の向きを変えるためのハンドル10と、サドル12と、バッテリー14と、操作部16と、表示部18とを備える。
【0025】
操作部16及び表示部18は、例えば、ハンドル10に取り付けられる。
バッテリー14は、例えば、フレーム2若しくはリアキャリアに、またはフレーム2及びリアキャリアの両者に取り付けられる。バッテリー14は、駆動機構8に電力を供給する。
【0026】
駆動機構8は、クランク部20と、クランク部20の動力を伝達するためのチェーン22と、後輪6の車軸に取り付けられてチェーン22により駆動するリアスプロケット24とを備える。クランク部20は、クランクシャフト26と、クランクシャフト26の回転動力をチェーン22に伝達するフロントスプロケット28と、後輪6の駆動をアシストするモータ30とを備える。
【0027】
クランクシャフト26の回転動力は、ワンウェイクラッチを介してフロントスプロケット28に伝達される。ワンウェイクラッチは、クランクシャフト26が前回転するときに、クランクシャフト26の回転動力をフロントスプロケット28に伝達する一方、クランクシャフト26が後回転するときにはクランクシャフト26の回転動力をフロントスプロケット28に伝達させない。なお、「前回転する」とは、電動アシスト自転車が前進する方向にクランクシャフト26が回転することを意味する。クランクシャフト26とフロントスプロケット28との間の経路に、ワンウェイクラッチを設けない構成にしてもよい。この場合には、後輪6のハブに設けられるコースターブレーキを操作することができる。
【0028】
モータ30の回転動力は、減速機構及び伝達機構を介してチェーン22に伝達される。減速機構は、複数のギア組によりモータ30の出力軸の回転速度を減速して伝達機構に出力する。伝達機構は、チェーン22に噛み合うスプロケットとして構成されたり、クランクシャフト26に回転動力を伝達するギア機構として構成されたりする。
【0029】
図2に、自転車用制御装置のブロック図を示す。
自転車用制御装置は、制御部32と、入力部34(
図3参照)とを有する。入力部34は、ユーザの操作に対応する信号を制御部32に出力する。制御部32は、例えば、クランク部20に配置される。制御部32は、マイクロコンピュータ、メモリ、モータ30を駆動するためのインバータを含んで構成される。メモリは、不揮発性メモリを含むことが好ましい。
【0030】
制御部32には、モータ30と、ケイデンスセンサ36と、トルクセンサ38と、スピードセンサ40と、操作部16と、表示部18とが接続される。
ケイデンスセンサ36は、クランク部20に設けられて、クランクシャフト26の回転数(1分間あたりの回転数、以下「ケイデンス」という。)を検出する。ケイデンスセンサ36は、例えば、クランクアームに取り付けられる磁石を検出するセンサによって実現される。
【0031】
トルクセンサ38は、クランク部20に設けられる。クランクシャフト26とフロントスプロケット28との間の伝達経路には、クランクシャフト26の回転力をフロントスプロケット28に伝達するための動力伝達部材が設けられる。トルクセンサ38は、実際には前記動力伝達部材に生じるトルクを検出する。トルクは、電動アシスト自転車のペダルに入力される踏力に対応する力(人力駆動力)に相当する。
【0032】
スピードセンサ40は、フレーム2のチェーンステイに設けられて、後輪6の回転速度を検出する。スピードセンサ40は、例えば車輪に取り付けられる磁石を検出するセンサによって実現される。
【0033】
なお、スピードセンサ40は、前輪4の回転速度を検出するように構成されてもよい。
制御部32は、ケイデンスセンサ36からの信号を受信して、この信号に基づいてケイデンスを計算する。計算したケイデンスは、表示部18で表示されてもよい。
【0034】
また、制御部32は、トルクセンサ38からの信号を受信して、この信号に基づいてトルクを計算する。
また、制御部32は、スピードセンサ40からの信号を受信して、この信号に基づいて電動アシスト自転車の車速を計算する。計算した車速は、表示部18で表示されてもよい。
【0035】
制御部32は、車速とトルクとに基づいてアシスト力を定義し、アシスト力に相当するトルクが発生するようにモータ30を制御する。アシスト力は予め設定されたマップに基づいて定義される。
【0036】
マップは、車速に対するアシスト比を規定する。アシスト比は、人力駆動力に対するモータ30のアシスト力の比率を示す。このようなマップは、モータ30の動作モードそれぞれに対応して設定されている。制御部32は、マップではなく、演算式によってアシスト力を定義してもよい。次に、モータ30の動作モードについて説明する。
【0037】
<動作モードの説明>
制御部32は、モータ30の制御態様として複数の動作モードを有する。動作モードを分類すると、乗車モードとウォークモードとに区分される。乗車モードは、電動アシスト自転車にユーザが乗っている状態(以下、「乗車状態」という。)において実行されうるモータ30の動作モードを示す。具体的には、乗車モードでは、制御部32は、人力駆動力に応じてモータ30を駆動する。ウォークモードは、電動アシスト自転車がユーザにより押されている状態(以下、「押し歩き状態」という。)において実行されうるモータ30の動作モードを示す。具体的には、ウォークモードでは、制御部32は、入力部34の操作に応じてモータ30を駆動したり、モータ30の駆動を停止したりする。
【0038】
乗車モードには、ノーマルモード(NORMALモード)と、オフモード(OFFモード)とが含まれる。ノーマルモードは、規定態様でモータ30を駆動する動作モードである。オフモードは、モータ30を駆動しない動作モードである。
【0039】
乗車モードには、さらに、人力駆動力に対する補助力の大きさが異なる複数のモードが含まれる。乗車モードには、ハイモード(HIGHモード)と、エコモード(ECOモード)が含まれることが好ましい。ハイモードは、所定の車速範囲において、ノーマルモードよりも大きいアシスト力を発生させる動作モードである。エコモードは、所定の車速範囲において、ノーマルモードよりも小さいアシスト力を発生させる動作モードである。ウォークモードは、歩行速度範囲において、モータ30を駆動可能な動作モードである。ウォークモードでは、次の車速制限制御が実行される。車速制限制御では、制御部32は、ウォークモードでモータ30を駆動しているとき、車速が予め定める値以上になると、このモータ30の駆動を停止する。これにより、車速が予め定める値よりも大きくなることが抑制される。この予め定める値は、例えばモータ30の駆動を停止するときの値と等しく、ユーザによって設定可能としてもよい。
【0040】
また、ウォークモードでは、さらに次の車速抑制制御が実行される。車速抑制制御では、制御部32は、ウォークモードでモータ30を駆動しているとき、車速が予め定める値以下となるように、モータ30を駆動する。これにより、車速が予め定める値よりも大きくなることが抑制される。
【0041】
なお、上記「予め定める値(上限値)」は設定変更可能に構成されることが好ましい。電動アシスト自転車のユーザによって歩く速度が異なるためである。この予め定める値を設定するためのスイッチは例えば操作部16に設けられる。予め定める値は、例えば時速3〜5kmに選ばれる。
【0042】
また、ウォークモードでは、次のトルク制限制御が実行される。トルク制限制御では、制御部32は、ウォークモードでモータ30を駆動しているとき、トルク(人力駆動力)が予め定める値以上になると、モータ30の駆動を停止する。これにより、ユーザがペダリングを行っているときには、モータ30が駆動されない。
【0043】
図3に、表示部18を示す。表示部18は、モータ30の動作モードを表示する。表示部18は、例えば、
図3に示すように、ハンドル10の左側グリップ10aの右側の近傍に配置される。表示部18には、第1〜第5表示灯52,54,56,58,60が設けられている。第1表示灯52は、動作モードがハイモードであるときに点灯する。第2表示灯54は、動作モードがノーマルモードであるときに点灯する。第3表示灯56は、動作モードがエコモードであるときに点灯する。第4表示灯58は、動作モードがオフモードであるときに点灯する。第5表示灯60は、動作モードがウォークモードであるときに点灯する。表示部18は、例えばLED表示装置または液晶表示装置によって構成されてもよい。表示部18が、液晶表示装置によって構成される場合、第1〜第5表示灯52,54,56,58,60の代わりに各動作モードに対応する文字が表示される。この場合、表示部18に、選択された動作モードに対応する文字のみを表示しても、選択された動作モードに対応する文字を他の動作モードに対応する文字とは区別して表示するようにしてもよい。
【0044】
<動作モードの切替>
図3に、操作部16を示す。モータ30の動作モードは入力部34が操作されることによって切り替えられる。操作部16は、グリップの近傍に設けられる。本実施形態では、操作部16は、例えば、左側グリップ10aの近傍でかつ表示部18の近傍で、表示部18と左側グリップ10aの間に設けられる。操作部16には、入力部34として、2個のスイッチが設けられている。スイッチは、例えば、押しボタン式のスイッチ、タッチ式のスイッチ、またはスライド式のスイッチ等により構成される。本実施形態では、入力部34は、第1操作スイッチ42及び第2操作スイッチ44を含む。ハンドル10に操作部16を取り付けた時に、第1操作スイッチ42は、第2操作スイッチ44よりも下方に配置される。
【0045】
第1操作スイッチ42及び第2操作スイッチ44は、操作されることにより制御部32に操作信号を出力する。ここでは、第1操作スイッチ42及び第2操作スイッチ44は、押される度に、操作信号を出力する。制御部32は、第1操作スイッチ42から出力される操作信号と、第2操作スイッチ44から出力される操作信号を受信し、これらの操作信号に基づいてモータ30の動作モードを切り替える。
【0046】
制御部32は、原則として、乗車モードの実行中(ハイモード、ノーマルモード、エコモードのいずれかのとき)、第1操作スイッチ42から出力される操作信号を受信すると、アシスト力を弱める方向に動作モードを切り替える。
【0047】
また、制御部32は、原則として、乗車モードの実行中(ノーマルモード、エコモード、OFFモードのいずれかのとき)、第2操作スイッチ44から出力される操作信号を受信すると、アシスト力を強める方向に動作モードを切り替える。
【0048】
また、制御部32は、乗車モードにおいて、所定のスイッチ操作が行われると、動作モードを乗車モードからウォークモードに切り替える。以下、モード切替処理について説明する。
【0049】
図4及び
図5に、モード切替処理の一例のフローチャートを示す。なお、
図5は、
図4の続きのフローチャートであり、
図4の「A」が
図5の「A」に続く。
図4は、第1操作スイッチ42の押下状態に基づく制御部32の処理を示し、
図5は、第2操作スイッチ44の押下状態に基づく制御部32の処理を示す。このモード切替処理では、まず、第1操作スイッチ42の押下状態に基づいて各種の処理を実行し、次いで、第2操作スイッチ44の押下状態に基づいて各種の処理を実行する。なお、制御部32は、モード切替処理を所定周期毎に繰り返し実行する。
【0050】
図4を参照して、第1操作スイッチ42のスイッチ状態に基づく処理(ステップS11〜ステップ19の処理)について説明する。ステップS11では、制御部32は、第1操作スイッチ42の押下状態と第2操作スイッチ44の押下状態を読み込む。例えば、制御部32は、第1操作スイッチ42から操作信号(押下状態を示す信号)を受信するときは、第1操作スイッチ42が押下状態にあると判定し、第1操作スイッチ42から操作信号を受信しないときは、第1操作スイッチ42が押下状態にないと判定する。制御部32は、第2操作スイッチ44から操作信号(押下状態を示す信号)を受信するときは、第2操作スイッチ44が押下状態にあると判定し、第2操作スイッチ44から操作信号を受信しないときは、第2操作スイッチ44が押下状態にないと判定する。
【0051】
ステップS12では、制御部32は、第1操作スイッチ42が押下状態にあるか否かを判定する。第1操作スイッチ42が押下状態にあると判定するときは(YES判定)、ステップS13に移行し、第1操作スイッチ42が押下状態にないと判定するときは(NO判定)、ステップS21に移行して第2操作スイッチ44についての処理を実行する。
【0052】
ステップS13では、制御部32は、第1操作スイッチ42について前回処理時のスイッチ状態をメモリから読み込み、前回処理時のスイッチ状態が押下状態であったか否かを判定する。前回処理時のスイッチ状態が押下状態でなかった場合には(NO判定)、ステップS14に移行する。一方、前回処理時のスイッチ状態が押下状態であった場合には(YES判定)、ステップS21に移行して第2操作スイッチ44についての処理を実行する。
【0053】
すなわち、ステップS11〜ステップS13の処理では、第1操作スイッチ42が操作されていない状態から操作されたか否かを検出している。そして、第1操作スイッチ42が操作されていない状態から操作された場合に、以降の処理で、動作モードの切替を実行することができる(ステップS14〜ステップS17)。
【0054】
ステップS14では、制御部32は、動作モードが乗車モードであるか否かを判定する。動作モードが乗車モードであるときは(YES判定)、ステップS15に移行する。乗車モードでないとき、すなわちウォークモードであるときは(NO判定)、ステップS18に移行する。
【0055】
ステップS15では、制御部32は、動作モードがオフモード(OFFモード)であるか否かを判定する。動作モードがオフモード以外のモードであるときは(NO判定)、ステップS16に移行する。ステップS15の判定で、動作モードがオフモードであるときは(YES判定)、ステップS17に移行する。
【0056】
ステップS16では、制御部32は、アシスト力が弱くなる方向に動作モードを切り替える。例えば、制御部32は、ハイモードであれば動作モードをノーマルモードに切り替え、ノーマルモードであれば動作モードをエコモードに切り替え、エコモードであれば動作モードをオフモードに切り替える。
【0057】
ステップS17では、制御部32は、動作モードをオフモードから待機状態のウォークモードに切り替える。「待機状態のウォークモード」とは、モータ30をウォークモードで駆動させる指令を待つ状態を示す。すなわち、ステップS17では、モータ30は停止状態にある。
【0058】
ステップS18では、制御部32は、モータ30をウォークモードで駆動しているか否かを判定する。ウォークモードは、ウォークモードでモータ30を駆動する状態と、モータ30をウォークモードで駆動させる指令を待つ待機状態とのいずれかの状態にある。このステップ(ステップS18)では、制御部32がこれらのいずれの状態にあるかを判定する。
【0059】
そして、制御部32がウォークモードでモータ30を駆動していないときは(NO判定)、ステップS19に移行して、制御部32は、ウォークモードでモータ30を駆動する。ウォークモードでモータ30を駆動しているときは(YES判定)、ステップS21に移行して第2操作スイッチ44についての処理を実行する。
【0060】
ステップS14〜ステップS19の処理は、次のことを意味する。制御部32は、動作モードがオフモード以外の乗車モードであるとき、第1操作スイッチ42が押下されると、アシスト力が弱くなる方向に動作モードを切り替える。制御部32は、動作モードがオフモードであるとき、第1操作スイッチ42が押下されると、動作モードをオフモードからウォークモードに切り替える。この時点では、制御部32は、モータ30を駆動させず次の指令を待つ待機状態になる。制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が停止中であるとき、第1操作スイッチ42が押下されると、ウォークモードでモータ30を駆動する。制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が駆動中であるとき、第1操作スイッチ42が押下されると、モータ30の動作モードを変更しない。制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が駆動中であるとき、第1操作スイッチ42及び第2操作スイッチ44がともに押下されないとき、モータ30の動作モードを変更しないで、モータ30を駆動し続ける。
【0061】
次に、
図5を参照して、第2操作スイッチ44のスイッチ状態に基づく処理(ステップS21〜ステップS29の処理)について説明する。ステップS21では、制御部32は、第2操作スイッチ44が押下状態にあるか否かを判定する。第2操作スイッチ44が押下状態にあると判定するときは(YES判定)、ステップS22に移行し、第2操作スイッチ44が押下状態にないと判定するときは(NO判定)、ステップS29に移行する。ステップS29では、第2操作スイッチ44のスイッチ状態をメモリに記憶する。なお、ステップS29で記憶される各スイッチのスイッチ状態は、次回のモード切替処理において前回処理時のスイッチ状態として読み込まれる。
【0062】
ステップS22では、制御部32は、第2操作スイッチ44について前回処理時のスイッチ状態をメモリから読み込み、前回処理時のスイッチ状態が押下状態であったか否かを判定する。前回処理時のスイッチ状態が押下状態でなかった場合には(NO判定)、ステップS23に移行する。一方、前回処理時のスイッチ状態が押下状態であった場合には(YES判定)、ステップS29に移行する。
【0063】
すなわち、ステップS21及びステップS22の処理では、第2操作スイッチ44が操作されていない状態から操作されたか否かを検出している。そして、第2操作スイッチ44が操作されていない状態から操作された場合に、以降の処理で、動作モードの切替を実行することができる(ステップS23〜ステップS26,ステップS28)。
【0064】
ステップS23では、制御部32は、動作モードが乗車モードであるか否かを判定する。動作モードが乗車モードであるときは(YES判定)、ステップS24に移行する。乗車モードでないとき、すなわちウォークモードであるときは(NO判定)、ステップS26に移行する。
【0065】
ステップS24では、制御部32は、動作モードがハイモード(HIGHモード)であるか否かを判定する。動作モードがハイモード以外のモードであるときは(NO判定)、ステップS25に移行する。ステップS24の判定で、動作モードがハイモードであるときは(YES判定)、ステップS29に移行する。
【0066】
ステップS25では、制御部32は、アシスト力が強くなる方向に動作モードを切り替える。例えば、制御部32は、オフモードであれば動作モードをエコモードに切り替え、エコモードであれば動作モードをノーマルモードに切り替え、ノーマルモードであれば動作モードをハイモードに切り替える。
【0067】
ステップS26では、制御部32は、モータ30をウォークモードで駆動しているか否かを判定する。ウォークモードは、ウォークモードでモータ30を駆動する状態と、モータ30をウォークモードで駆動させる指令を待つ待機状態とのいずれかの状態にある。このステップ(ステップS26)では、制御部32がこれらのいずれの状態にあるかを判定する。そして、制御部32がウォークモードでモータ30を駆動しているときは(YES判定)、ステップS27に移行して、制御部32はモータ30の駆動を停止する。一方、制御部32がウォークモードでモータ30を駆動していないときは(NO判定)、ステップS28に移行して、動作モードをオフモードに切り替える。
【0068】
すなわち、ステップS23〜ステップS28の処理は、次のことを意味する。制御部32は、動作モードがハイモードであるとき、第2操作スイッチ44が押下されると、モータ30の動作モードを変更しない。制御部32は、動作モードがハイモード以外の乗車モードであるとき、第2操作スイッチ44が押下されると、アシスト力が強くなる方向に動作モードを切り替える。制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が駆動中であるとき、第2操作スイッチ44が押下されると、モータ30の駆動を停止する。制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が停止中であるとき、第2操作スイッチ44が押下されると、動作モードをウォークモードからオフモードに切り替える。
【0069】
以下、本実施形態に係る自転車用制御装置及び電動アシスト自転車の効果を説明する。
制御部32は、ウォークモードに切り替えた後、入力部34の操作に応じてモータ30を駆動したり停止したりするため、ユーザの意図により忠実に、押し歩き時の車輪駆動のアシストが実行される。
【0070】
また、第1操作スイッチ42の操作が2回実行されなければ、ウォークモードでモータ30が駆動されないため、操作の間違いにより、乗車モードからウォークモードに切り替えられたとしても、直ぐにはモータ30が駆動開始されない。そして、一旦、ウォークモードでモータ30が駆動を開始すると、その後、第1操作スイッチ42を押し続けることなく、モータ30の駆動を継続させることができる。
【0071】
また、一つのスイッチが2つの操作機能を備える。すなわち、第1操作スイッチ42が、乗車モードを切り替える機能と、ウォークモードでモータ30を駆動させる機能を有する。このため、各機能毎にスイッチが設けられる場合に比べて、操作部16の部品点数を少なくすることができる。
【0072】
制御部32は、ウォークモードのとき、電動アシスト自転車の車速が予め定める値以上(上限値以上)になると、モータ30の駆動を停止するため、ユーザの歩行速度以上に電動アシスト自転車の車速が大きくなり過ぎることを抑制することができる。
【0073】
(第2実施形態)
図6を参照して、他の実施形態に係る制御部32について説明する。本実施形態に係る制御部32は、第1実施形態に示した制御部32と同じ構成を有する。以降の説明では、各構成には、第1実施形態に示した制御部32における対応構成と同じ符号を付す。
【0074】
本実施形態に係る制御部32と第1実施形態に係る制御部32とは、実行に係るモード切替処理が異なる。特に、第1操作スイッチ42についての処理が異なる。第2操作スイッチ44についての処理は、第1実施形態におけるモード切替処理と同じであるのでその説明を省略する。
図6に示す「A」以降は、
図5の「A」に続く。以下に、第1操作スイッチ42についての処理について説明する。
【0075】
本実施形態に係る制御部32では、前回処理時における第1操作スイッチ42のスイッチ状態が押下状態でなく、かつ今回処理時における第1操作スイッチ42のスイッチ状態が押下状態であるときは、第1実施形態と同様の処理を実行する。すなわち、本実施形態の
図6のステップS31〜ステップS39は第1実施形態のステップS11〜ステップS19とそれぞれ同じであるのでその説明を省略する。今回処理時における第1操作スイッチ42のスイッチ状態が押下状態でないときは、第1実施形態における処理と異なり、前回処理時における第1操作スイッチ42のスイッチ状態に基づいて所定の処理を実行する。
【0076】
ステップS32において、制御部32が、第1操作スイッチ42が押下状態にないと判定するとき、ステップS41に移行する。
ステップS41では、制御部32は、第1操作スイッチ42について前回処理時のスイッチ状態を読み込み、前回処理時のスイッチ状態が押下状態であったか否かを判定する。前回処理時のスイッチ状態が押下状態でなかった場合には(NO判定)、ステップS21(
図5参照)に移行する。一方、前回処理時のスイッチ状態が押下状態であった場合には(YES判定)、ステップS42に移行して、制御部32は、モータ30をウォークモードで駆動しているか否かを判定する。
【0077】
制御部32がウォークモードでモータ30を駆動していないときは(NO判定)、ステップS21(
図5参照)に移行して第2操作スイッチ44についての処理を実行する。制御部32がウォークモードでモータ30を駆動しているときは(YES判定)、ステップS43に移行してモータ30の駆動を停止する。
【0078】
すなわち、ステップS41〜ステップS43の処理は、次のことを意味する。
制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が駆動中であるとき、第1操作スイッチ42が押下状態から非押下状態になると、すなわち第1操作スイッチ42が操作されている状態から操作されていない状態になると、ウォークモードでのモータ30の駆動を停止する。制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が駆動中であるとき、第1操作スイッチ42の押下状態が維持されていると(ステップS33におけるYES判定)、動作モードを変更しない。すなわち、ウォークモードでのモータ30の駆動状態は、第1操作スイッチ42の連続した押下(押し続けること)により維持される。
【0079】
このように、本実施形態では、第1操作スイッチ42の押下状態の持続でウォークモードでのモータ駆動が維持され、第1操作スイッチ42の押下状態が解除されると(非押下状態になるとき)、ウォークモードでのモータ30の駆動が停止する。
【0080】
以下、本実施形態に係る自転車用制御装置の効果を説明する。
第1操作スイッチ42の操作を止めるだけで、モータ30によるアシストを解除することができる。
【0081】
(第3実施形態)
図7を参照して、操作部16及び表示部18の別の形態を説明する。以下、第1実施形態に示した操作部16及び表示部18と同じ構成については同一符号を付して、その説明を省略する。なお、第1実施形態では、入力部34は、他の装置と独立に設けられているが、本実施形態では、入力部34としての操作部16の一部の機能が変速操作ユニット62に設けられる。
【0082】
操作部16は、入力部34として、第2操作スイッチ44と、第1操作スイッチ42とを有する。第2操作スイッチ44及び第1操作スイッチ42は、第1実施形態に示す第2操作スイッチ44と第1操作スイッチ42と同様の機能を有し、動作モードを変更することができるが、これらによってウォークモードにおいてモータ30の駆動および停止させることはできない。
【0083】
変速操作ユニット62には、変速スイッチ66と第3操作スイッチ68とが設けられている。変速スイッチ66は、自転車に設けられる変速装置のギア比を変更するためのスイッチである。変速操作ユニット62の変速段数(変速装置のギア比に対応する数字)を示す表示部64を有する。第3操作スイッチ68は、変速操作ユニット62の近傍に設けられる。第3操作スイッチ68は、ハンドル10のグリップを握った状態で、親指が届く範囲内に配置されることが好ましい。これにより、グリップを握った状態で第3操作スイッチ68を操作することが可能になる。本実施形態では、ハンドル10の右側グリップ10bの近傍に変速操作ユニット62が取り付けられる。
【0084】
第3操作スイッチ68は、ウォークモードにおいてモータ30を駆動および停止させるためのスイッチである。制御部32は、オフモード及びウォークモードのいずれかのモードのときのみ第3操作スイッチ68からの操作信号を受信する。そして、制御部32は、第3操作スイッチ68の操作を第1操作スイッチ42の操作と同じとみなして、第1操作スイッチ42の操作に対応するモード切替処理を実行する。例えば、制御部32は、第3操作スイッチ68の操作に基づいて第1または2実施形態と同様のモード切替処理を実行する。
【0085】
制御部32は、動作モードがオフモードであるとき、第3操作スイッチ68が押下されると、動作モードをオフモードからウォークモードに切り替える。この時点では、制御部32は、モータ30を駆動させず次の指令を待つ待機状態になる。制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が停止中であるとき、第3操作スイッチ68が押下されると、ウォークモードでモータ30を駆動する。制御部32は、動作モードがウォークモードであって、かつモータ30が駆動中であるとき、第3操作スイッチ68が押下状態から非押下状態になると、ウォークモードでのモータ30の駆動を停止する。
【0086】
制御部32は、動作モードがウォークモードであってかつモータ30が駆動中であるとき、第3操作スイッチ68の押下状態が維持されていると、動作モードを変更しない。すなわち、ウォークモードでのモータ30の駆動状態は、第3操作スイッチ68を押し続けることにより維持される。
【0087】
また、制御部32は、変速スイッチ66に基づく変速を動作モードによって許可または禁止する。例えば、制御部32は、乗車モードのとき、変速スイッチ66に基づく変速を許容し、ウォークモードのとき、変速スイッチ66に基づく変速を禁止する。これによって押し歩きしているときに、変速段数が変更されることで車速が急に変化することを抑制することができる。
【0088】
本実施形態では、動作モードを変更するためのスイッチからウォークモードにおいてモータ30を駆動するためのスイッチを独立して設けることができるため、ウォークモードにおいてモータ30を駆動するためのスイッチを押し歩くときに操作しやすい場所に配置し易くすることができる。
【0089】
(その他の実施形態)
・上記第1及び第2実施形態では、制御部32は、動作モードがオフモードにあるときに、第1操作スイッチ42が押されると、動作モードをオフモードからウォークモードに切り替えるが(ステップS15,ステップS35)、ウォークモードへの切替条件を次のように構成してもよい。例えば、制御部32は、動作モードがオフモードにあるときに、第1操作スイッチ42の押下状態が所定時間以上にわたって持続されるときに、動作モードをオフモードからウォークモードに切り替える。この構成では、ユーザの意思に反して動作モードがオフモードからウォークモードに切り替わることを抑制することができる。
【0090】
・上記第1実施形態及び第2実施形態に係る自転車用制御装置において、次の構成を備えることが好ましい。制御部32は、ウォークモードのときに電源を切った後、再度電源を投入すると、乗車モード(例えば、ノーマルモードまたはOFFモード)でモータ30を制御する。また、制御部32は、動作モードがいずれの場合であっても、電源を切った後、再度電源を投入すると乗車モード(例えば、ノーマルモードまたはOFFモード)でモータ30を制御してもよい。この場合、電動アシスト自転車を使用する際に電源を入れると、常に、乗車モードで立ち上がるため、ユーザは、使用開始時には常に乗車モードで電動アシスト自転車を使用することができる。
【0091】
・上記の各実施形態において、制御部32は、第1操作スイッチ42または第3操作スイッチ68に基づいて、モータ30の駆動を開始する時、モータ30を駆動するためのトルク指令値を徐々に上昇させることが好ましい(
図8参照)。トルク指令値は、例えば、モータ30に供給する電流値である。これによってウォークモードでモータ30を駆動するときに自転車を円滑に発進させることができる。制御部32が出力するトルク指令値が最大になるまでの時間T1は、1秒〜5秒に選ばれ、例えば3秒に選ばれる。
【0092】
・上記の各実施形態において、制御部32は、ウォークモードのとき、モータ30の出力トルクが予め定めるトルク値Tm以下となるようにモータ30を制御することが好ましい(
図8参照)。この予め定めるトルク値Tmは、例えば上り坂において自転車を押し歩くときに、自転車の速度が上昇することを抑制するように選ばれる。速度が予め定める速度に達していない場合であっても、モータ30の出力トルクが制限されるため、結果としてモータ30によって駆動される自転車の車速を抑制することができる。
【0093】
・上記の各実施形態において、制御部32は、第1操作スイッチ42または第3操作スイッチ68に基づいて、モータ30の駆動を停止する時、モータ30を駆動するためのトルク指令値を徐々に減少させることが好ましい(
図8参照)。トルク指令値は、例えば電流値である。制御部32が出力するトルク指令値が最小(=0)になるまでの時間T2は、50ミリ秒以上、1秒以下に選ばれる。これによってウォークモードでモータ30の駆動を停止するときに、クランクシャフト26が逆回転してしまうことを抑制することができる。
【0094】
・上記の各実施形態において、制御部32は、ウォークモードでモータ30の駆動しているときに、車輪の回転速度が予め定める値以下になると、モータ30の駆動を停止させることが好ましい。予め定める値は、例えばゼロである。例えば自転車のブレーキをかけた場合には、モータ30が駆動されていても、車輪の回転速度が低くなる。したがって、押し歩き時にモータ30のアシストを使用していても、自転車のブレーキをかければモータ30の駆動を容易に停止させることができる。なお、予め定める値が所定値(ゼロより大きい値)であるときは、制御部32は、モータ30の駆動を停止するときに、モータ30の出力が徐々に小さくなるようにモータ30が制御される。
【0095】
・上記の各実施形態において、制御部32は、ウォークモードでモータ30を駆動しているときに、モータ30に所定以上の負荷が与えられると、モータ30の駆動を強制的に停止させることが好ましい。モータ30に所定以上の負荷が与えられて、モータ30の駆動を停止させるとき、制御部32は、モータ30を駆動するためのトルク指令値を徐々に減少させることが好ましい(
図9参照)。制御部32が出力するトルク指令値が最小(=0)になるまでの時間T3は、1秒以上、20秒以下に選ばれ、例えば5秒に選ばれる。これによってモータ30に高い負荷がかかる路面(例えば急な坂道)を押し歩いているときに、モータ30が停止してしまう場合であっても、ユーザはアシスト力の低下を感じて、これに対応することができる。
【0096】
・上記の第3実施形態において、第3操作スイッチ68は、ハンドル10の右側グリップ10bの近傍に設けられているが、左側グリップ10aの近傍に設けられてもよい。
・上記の各実施形態において、表示部18,64は、操作部16とは別体で設けられてもよい。この場合、表示部18,64は、例えばハンドル10の左右方向の中央部に設けられてもよい。
【0097】
・上記の各実施形態において、ウォークモードでモータ30を停止しているときと、モータ30を駆動しているときとで、表示部18,64の表示状態を変更するように構成してもよい。例えばウォークモードでモータ30を停止しているときには、第5表示灯60が点灯し、モータ30を駆動しているときには、第5表示灯60が点滅させる。また第5表示灯60の色を変更してもよい。表示部18,64を液晶表示装置によって構成される場合には、ウォークモードでモータ30を停止しているときと、モータ30を駆動しているときとで、表示される文字を変更してもよい。