(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材であって、粒状芯部10、及び被覆層部20を備えている。粒状芯部10は、石膏ボードから石膏を分離して得られた紙粉を材料として含有している。この分離は、後述する分離装置により行われる。
【0013】
石膏ボードから石膏を完全に分離することは困難であるため、当該紙粉には、多少の石膏が付着している。ただし、吸水処理材1において、上記紙粉に付着している石膏の当該紙粉に対する重量割合は、5%以下である。当該重量割合は、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。石膏ボードとしては、廃石膏ボードを用いることが好ましい。
【0014】
本実施形態において上記紙粉は、主材料として吸水処理材1に含有されている。ここで、主材料とは、吸水処理材1を構成する材料全体の中で占める重量割合が最も高い材料をいう。また、上記紙粉は、後述するように、石膏を半水石膏の状態にした上で石膏ボードから分離して得られたものである。上記紙粉の粒度は、3mm以下であることが好ましい。
【0015】
被覆層部20は、粒状芯部10を被覆している。被覆層部20は、粒状芯部10の表面全体を覆っていてもよいし、粒状芯部10の表面の一部のみを覆っていてもよい。被覆層部20は、紙おむつから分離された、フラッフパルプ及び吸水性ポリマー(高吸水性ポリマーを含む。以下同様。)を材料として含有している。
【0016】
図2は、本実施形態において用いられる分離装置を示す構成図である。分離装置90は、第1の材料と当該第1の材料に付着した第2の材料とを含む処理対象物を処理することにより、第1の材料から第2の材料を解離させ、処理対象物から第2の材料を分離するものである。本実施形態においては、処理対象物が石膏ボード、第1の材料が紙、第2の材料が石膏である。
【0017】
分離装置90は、細断部30(第1の細断部)、分離部40(第1の分離部)、細断部50(第2の細断部)、及び分離部60(第2の分離部)を備えている。
【0018】
細断部30は、石膏ボードを細断する。ここで細断される石膏ボードは、既にある程度細断されたものであってもよい。細断部30としては、例えば、破砕機又は粉砕機を用いることができる。細断部30には、スクリーンが設けられている。スクリーンの穴径は、例えば、10mm以上30mm以下である。
【0019】
図3及び
図4を参照しつつ、分離部40の構造を説明する。
図3は、分離部40を示す側面図である。
図4は、
図3のIV−IV線に沿った断面図である。分離部40は、ドラム42(第1の筒状部)を有している。ドラム42は、略円筒状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。ドラム42の中心軸は、水平である。ドラム42の内径は、例えば、30cm以上50cm以下である。
【0020】
ドラム42には、多数の孔42a(第1の孔)が形成されている。孔42aは、ドラム42の略全体にわたって形成されている。孔42aは、細断部30によって細断された石膏ボードに含まれる紙片は通過させないが、石膏は通過させる。孔42aの径は、例えば、5mm以上20mm以下である。分離部40は、細断部30によって細断された石膏ボードが収容された状態でドラム42を回転させることにより、石膏ボードから、孔42aを通過した石膏を分離する。
【0021】
ドラム42の内周面上には、突条44(第1の突条)が設けられている。突条44は、ドラム42の中心軸方向に延在している。突条44は、ドラム42の入口側(
図3の左側)から出口側(
図3の右側)までの経路の略全体にわたって延在している。また、突条44は、断面が略三角形である。突条44の高さ(ドラム42の径方向の長さ)は、例えば、5mm以上2cm以下である。突条44は、p本(p:3以上5以下の整数)設けられることが好ましい。p本の突条44は、ドラム42の内周面上に等間隔で配設されている。すなわち、ドラム42の中心軸に垂直な断面(
図4に示す断面)において、1つの突条44と中心軸とを結んだ線分と、その隣の突条44と中心軸とを結んだ線分とのなす角度αは、360°/pに略等しい。本実施形態においては、p=4、α=90°である。
【0022】
ドラム42の内部には、回転ロッド46及びスクリュー部材48が設けられている。回転ロッド46は、略円柱状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。回転ロッド46の中心軸は、ドラム42の中心軸に一致する。ただし、回転ロッド46は、ドラム42とは独立して回転する。回転ロッド46の外径は、例えば、15cm以上25cm以下である。
【0023】
回転ロッド46の周囲には、螺旋を描くようにスクリュー部材48が設けられている。スクリュー部材48は、回転ロッド46に固定されており、回転ロッド46と一緒に回転する。スクリュー部材48には、複数の歯49が形成されている。歯49の端部は、正面視(
図4参照)で、辺49a及び辺49bによって構成されている。
【0024】
辺49aは、ドラム42及び回転ロッド46の径方向に延びている。辺49aの内端(回転ロッド46に近い方の端)は、回転ロッド46から離間した位置に存在する。同様に、辺49aの外端(ドラム42に近い方の端)は、ドラム42から離間した位置に存在する。辺49aの外端とドラム42の内周面との距離は、突条44の高さよりも大きく、例えば1cm以上3cm以下である。辺49bは、辺49aの外端と、隣の歯49の辺49aの内端とを結んでいる。辺49bは、辺49aよりも長い。辺49bの長さの辺49aの長さに対する比は、例えば、2以上2.5以下である。
【0025】
回転ロッド46及びスクリュー部材48は、
図4において左回り(反時計回り)に回転する。つまり、歯49においては、辺49bが回転方向の前方に位置し、辺49aが回転方向の後方に位置している。上述のドラム42の回転方向は、回転ロッド46及びスクリュー部材48の回転方向と同じであってもよいし、反対であってもよい。これらの回転方向が同じである場合、回転ロッド46及びスクリュー部材48の回転速度は、ドラム42の回転速度よりも大きいことが好ましい。
【0026】
細断部50は、分離部40によって孔42aを通過した石膏が分離された石膏ボードを細断する。細断部50としては、例えば、破砕機又は粉砕機を用いることができる。細断部50には、スクリーンが設けられている。スクリーンの穴径は、例えば、5mm以上20mm以下である。
【0027】
図5及び
図6を参照しつつ、分離部60の構造を説明する。
図5は、分離部60を示す側面図である。
図6は、
図5のVI−VI線に沿った断面図である。分離部60は、ドラム62(第2の筒状部)を有している。ドラム62は、略円筒状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。ドラム62の中心軸は、水平である。ドラム62の内径は、例えば、30cm以上50cm以下である。
【0028】
ドラム62には、多数の孔62a(第2の孔)が形成されている。孔62aは、ドラム62の略全体にわたって形成されている。孔62aは、細断部50によって細断された石膏ボードに含まれる紙片は通過させないが、石膏は通過させる。孔62aの平面視での面積は、孔42aの平面視での面積よりも小さい。孔62aの径は、例えば、3mm以上10mm以下である。分離部60は、細断部50によって細断された石膏ボードが収容された状態でドラム62を回転させることにより、石膏ボードから、孔62aを通過した石膏を分離する。
【0029】
ドラム62の内周面上には、突条64(第2の突条)が設けられている。突条64は、ドラム62の中心軸方向に延在している。突条64は、ドラム62の入口側(
図5の左側)から出口側(
図5の右側)までの経路の略全体にわたって延在している。また、突条64は、断面が略三角形である。突条64の高さ(ドラム62の径方向の長さ)は、例えば、5mm以上2cm以下である。突条64は、q本(q:3以上5以下の整数)設けられることが好ましい。q本の突条64は、ドラム62の内周面上に等間隔で配設されている。すなわち、ドラム62の中心軸に垂直な断面(
図6に示す断面)において、1つの突条64と中心軸とを結んだ線分と、その隣の突条64と中心軸とを結んだ線分とのなす角度βは、360°/qに略等しい。本実施形態においては、q=4、β=90°である。
【0030】
ドラム62の内部には、回転ロッド66及びスクリュー部材68が設けられている。回転ロッド66は、略円柱状をしており、その中心軸周りに回転可能に設けられている。回転ロッド66の中心軸は、ドラム62の中心軸に一致する。ただし、回転ロッド66は、ドラム62とは独立して回転する。回転ロッド66の外径は、例えば、15cm以上25cm以下である。
【0031】
回転ロッド66の周囲には、螺旋を描くようにスクリュー部材68が設けられている。スクリュー部材68は、回転ロッド66に固定されており、回転ロッド66と一緒に回転する。スクリュー部材68には、複数の歯69が形成されている。歯69の端部は、正面視(
図6参照)で、辺69a及び辺69bによって構成されている。
【0032】
辺69aは、ドラム62及び回転ロッド66の径方向に延びている。辺69aの内端(回転ロッド66に近い方の端)は、回転ロッド66から離間した位置に存在する。同様に、辺69aの外端(ドラム62に近い方の端)は、ドラム62から離間した位置に存在する。辺69aの外端とドラム62の内周面との距離は、突条64の高さよりも大きく、例えば1cm以上3cm以下である。辺69bは、辺69aの外端と、隣の歯69の辺69aの内端とを結んでいる。辺69bは、辺69aよりも長い。辺69bの長さの辺69aの長さに対する比は、例えば、2以上2.5以下である。
【0033】
回転ロッド66及びスクリュー部材68は、
図6において左回り(反時計回り)に回転する。つまり、歯69においては、辺69bが回転方向の前方に位置し、辺69aが回転方向の後方に位置している。上述のドラム62の回転方向は、回転ロッド66及びスクリュー部材68の回転方向と同じであってもよいし、反対であってもよい。これらの回転方向が同じである場合、回転ロッド66及びスクリュー部材68の回転速度は、ドラム62の回転速度よりも大きいことが好ましい。
【0034】
分離装置90には、移送路76、移送路78、及び移送路80が更に設けられている(
図2参照)。移送路76は、ダクト(第1の通風管)であり、細断部30による細断が行われた後の石膏ボードを風圧によって分離部40に向けて移送する。移送路78は、ダクト(第2の通風管)であり、分離部40による分離が行われた後の石膏ボードを風圧によって細断部50に向けて移送する。移送路80は、ダクト(第3の通風管)であり、細断部50による細断が行われた後の石膏ボードを分離部60に向けて移送する。
【0035】
図7を参照しつつ、移送路76の構造を説明する。
図7は、移送路76を示す断面図である。移送路76は、第1の方向に延びる部分76a(第1の部分)、第2の方向に延びる部分76b(第2の部分)、及び第3の方向に延びる部分76c(第3の部分)を有する。本実施形態において、第1の方向は水平方向、第2の方向は鉛直方向、第3の方向は水平方向である。部分76bは、部分76aの下流において部分76aに連結されている。部分76cは、部分76bの下流において部分76bに連結されている。これにより、部分76a、部分76b及び部分76cは、1本のクランク状のダクトを構成している。移送路76の内径は、例えば、10cm以上20cm以下である。
【0036】
部分76aと部分76bとの連結部分には、凹凸面77a(第1の凹凸面)が存在する。凹凸面77aは、部分76aを通って移送されてきた石膏ボードが衝突する位置に設けられている。凹凸面77aは、鉛直面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面77aとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面77aの材質は、例えばアルミニウムである。
【0037】
部分76bと部分76cとの連結部分には、凹凸面77b(第2の凹凸面)が存在する。凹凸面77bは、部分76bを通って移送されてきた石膏ボードが衝突する位置に設けられている。凹凸面77bは、水平面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面77bとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面77bの材質は、例えばアルミニウムである。
【0038】
図8を参照しつつ、移送路78の構造を説明する。
図8は、移送路78を示す断面図である。移送路78は、第1の方向に延びる部分78a(第1の部分)、第2の方向に延びる部分78b(第2の部分)、及び第3の方向に延びる部分78c(第3の部分)を有する。本実施形態において、第1の方向は水平方向、第2の方向は鉛直方向、第3の方向は水平方向である。部分78bは、部分78aの下流において部分78aに連結されている。部分78cは、部分78bの下流において部分78bに連結されている。これにより、部分78a、部分78b及び部分78cは、1本のクランク状のダクトを構成している。移送路78の内径は、例えば、10cm以上20cm以下である。
【0039】
部分78aと部分78bとの連結部分には、凹凸面79a(第3の凹凸面)が存在する。凹凸面79aは、部分78aを通って移送されてきた石膏ボードが衝突する位置に設けられている。凹凸面79aは、鉛直面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面79aとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面79aの材質は、例えばアルミニウムである。
【0040】
部分78bと部分78cとの連結部分には、凹凸面79b(第4の凹凸面)が存在する。凹凸面79bは、部分78bを通って移送されてきた石膏ボードが衝突する位置に設けられている。凹凸面79bは、水平面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面79bとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面79bの材質は、例えばアルミニウムである。
【0041】
図9を参照しつつ、移送路80の構造を説明する。
図9は、移送路80を示す断面図である。移送路80は、第1の方向に延びる部分80a(第1の部分)、第2の方向に延びる部分80b(第2の部分)、及び第3の方向に延びる部分80c(第3の部分)を有する。本実施形態において、第1の方向は水平方向、第2の方向は鉛直方向、第3の方向は水平方向である。部分80bは、部分80aの下流において部分80aに連結されている。部分80cは、部分80bの下流において部分80bに連結されている。これにより、部分80a、部分80b及び部分80cは、1本のクランク状のダクトを構成している。移送路80の内径は、例えば、10cm以上20cm以下である。
【0042】
部分80aと部分80bとの連結部分には、凹凸面81a(第5の凹凸面)が存在する。凹凸面81aは、部分80aを通って移送されてきた石膏ボードが衝突する位置に設けられている。凹凸面81aは、鉛直面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面81aとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面81aの材質は、例えばアルミニウムである。
【0043】
部分80bと部分80cとの連結部分には、凹凸面81b(第6の凹凸面)が存在する。凹凸面81bは、部分80bを通って移送されてきた石膏ボードが衝突する位置に設けられている。凹凸面81bは、水平面に対して略45°の角度をなしている。凹凸面81bとしては、例えば、波型加工又はエンボス加工された板状部材を用いることができる。凹凸面81bの材質は、例えばアルミニウムである。
【0044】
分離装置90の動作を説明する。処理対象物である石膏ボードは、まず、細断部30によって細断される。細断部30によって細断された石膏ボードは、移送路76を通じて、分離部40に移送される。分離部40に移送された石膏ボードは、回転するスクリュー部材48によって、ドラム42の入口側(
図3の左側)から出口側(
図3の右側)へと押し出される。その間、ドラム42の回転による遠心力等により、紙片から解離した石膏が孔42aを通じてドラム42の外に排出される。これにより、石膏ボードから石膏の一部が分離される。
【0045】
分離部40による分離が行われた後の石膏ボードは、移送路78を通じて、細断部50に移送され、更に細断される。細断部50によって細断された石膏ボードは、移送路80を通じて、分離部60に移送される。分離部60に移送された石膏ボードは、回転するスクリュー部材68によって、ドラム62の入口側(
図5の左側)から出口側(
図5の右側)へと押し出される。その間、ドラム62の回転による遠心力等により、紙片から解離した石膏が孔62aを通じてドラム62の外に排出される。これにより、石膏ボードから残りの石膏が分離される。
【0046】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、取得工程、造粒工程、被覆工程、分粒工程、及び乾燥工程を含んでいる。
【0047】
取得工程は、石膏ボードから石膏を分離して紙粉を取得する工程である。この工程において取得される紙粉に付着している石膏の当該紙粉に対する重量割合は、5%以下となるようにする。
【0048】
取得工程においては、上述の分離装置90が用いられる。すなわち、取得工程においては、まず、細断部30により石膏ボードを細断する(第1の細断工程)。次に、分離部40において、細断部30により細断された石膏ボードを収容した状態でドラム42を回転させることにより、当該石膏ボードから孔42aを通過した石膏を分離する(第1の分離工程)。
【0049】
その後、第1の分離工程において石膏が分離された石膏ボードを細断部50により更に細断する(第2の細断工程)。次に、分離部60において、細断部50により細断された石膏ボードを収容した状態でドラム62を回転させることにより、当該石膏ボードから孔62aを通過した石膏を分離する(第2の分離工程)。このようにして得られた紙片を粉砕機等により更に細断することにより、粒状芯部10の材料となる紙粉が取得される。
【0050】
取得工程には、石膏を加熱して半水石膏の状態にする加熱工程が含まれる。加熱工程においては、例えば100℃〜200℃程度に石膏を加熱する。加熱時間は、例えば5分〜30分程度である。
【0051】
加熱工程は、第1の細断工程と第1の分離工程との間、もしくは第2の細断工程と第2の分離工程との間の一方又は双方において、実行することができる。第1の細断工程と第1の分離工程との間において加熱工程を実行するときは、細断部30と分離部40との間に、乾燥機等の加熱部が設けられる(
図2参照)。同様に、第2の細断工程と第2の分離工程との間において加熱工程を実行するときは、細断部50と分離部60との間に、乾燥機等の加熱部が設けられる。
【0052】
あるいは、加熱工程は、第1の分離工程もしくは第2の分離工程の一方又は双方において、実行してもよい。第1の分離工程において加熱工程を実行するときは、分離部40に加熱機能が追加される。同様に、第2の分離工程において加熱工程を実行するときは、分離部60に加熱機能が追加される。また、加熱工程は、第1の細断工程の前、又は第2の細断工程の前(第1の分離工程と第2の細断工程との間)において、実行してもよい。第1の細断工程の前において加熱工程を実行するときは、細断部30の前に、乾燥機等の加熱部が設けられる。同様に、第2の細断工程の前において加熱工程を実行するときは、細断部50の前(分離部40と細断部50との間)に、乾燥機等の加熱部が設けられる。
【0053】
造粒工程は、取得工程において取得された紙粉を含む材料を造粒する工程である。この工程においては、紙粉を含む芯部材料(粒状芯部10を構成する材料)に加水した後、当該芯部材料を造粒機によって押出造粒する。これにより、粒状芯部10が得られる。なお、芯部材料は、上記紙粉のみによって構成されてもよいし、上記紙粉と他の材料との混合物によって構成されてもよい。
【0054】
被覆工程は、造粒工程において造粒された造粒物(粒状芯部10)を覆うように被覆層部20を形成する工程である。この工程においては、コーティング装置等を用いて、被覆材料(被覆層部20を構成する材料)を粒状芯部10の表面に付着させる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。これにより、被覆層部20が得られる。
【0055】
被覆材料は、紙おむつから分離された、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを含有する。この分離にも、上述の分離装置90を用いることができる。この場合、処理対象物が紙おむつ、第1の材料がプラスチック、第2の材料がフラッフパルプ及び吸水性ポリマーにあたる。ただし、細断部30にはスクリーンを設けないことが好ましい。また、孔42aの径は10mm以上30mm以下、細断部50のスクリーンの穴径は30mm以上70mm以下、孔62aの径は5mm以上20mm以下とすることが好ましい。
【0056】
被覆工程には、取得工程において石膏ボードから分離された石膏を被覆材料に添加する添加工程が含まれていてもよい。被覆材料に添加される石膏の被覆材料全体に対する重量割合は、1%以上5%以下であることが好ましい。また、被覆材料に香料を添加してもよい。
【0057】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させることにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみを抽出する。
【0058】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。粒状芯部10の含水率を適宜調整することにより、粒状芯部10の水分が被覆層部20に遷移して吸水性能が低下してしまうのを防ぐとともに、吸水処理材1の保存時にカビ等が発生するのを防ぐことができる。以上により、吸水処理材1が得られる。
【0059】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、石膏ボードから石膏を分離して得られた紙粉が材料として用いられている。これにより、廃石膏ボードから紙粉を取得することができるため、材料の調達コストを削減し、ひいては吸水処理材1の製造コストを削減することができる。さらに、紙粉に残留した石膏の重量割合は5%以下にすぎないため、吸水処理材1の品質低下を防ぐことができる。このため、品質低下を招くことなく低コストで製造することが可能な吸水処理材1及びその製造方法が実現されている。
【0060】
これに対して、紙粉に大量の石膏が残留している場合、吸水性能の低下の問題に加えて、製造時に当該紙粉を含む材料を造粒しにくくなるという問題もある。また、製造後の吸水処理材の比重が大きくなるため、運送コストが増大するとともに、ユーザの取扱いの利便性を損なうという問題もある。本実施形態によれば、紙粉に残留する石膏の量が充分に少ないため、これらの問題を回避することができる。また、少量ながらも石膏が含まれているため、吸水処理材1に香料を添加した場合に香料が蒸発しにくくなり、それにより香りの持続時間が長くなる。
【0061】
特に本実施形態においては、上記紙粉が吸水処理材1に主材料として含有されている。これにより、材料の調達コストの削減効果が顕著となる。
【0062】
また、上記紙粉は、石膏を半水石膏の状態にした上で石膏ボードから分離して得られたものである。この点、石膏ボードを構成する石膏は、二水石膏の状態にある。二水石膏は針状結晶構造を有するため、石膏ボードにおいては、石膏の針状結晶が紙に突き刺さることにより、石膏と紙とが強固に付着し合っている。これに対し、半水石膏は針状結晶構造を有しないため、石膏と紙との間の付着力は比較的弱い。そのため、半水石膏の状態で分離する場合の方が、二水石膏の状態のままで分離する場合に比して、分離し易いという利点がある。
【0063】
吸水処理材1は、粒状芯部10及び被覆層部20からなる複層構造を有しているところ、被覆層部20は、紙おむつから分離された、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーを材料として含有している。これにより、被覆層部20の材料も、不良品の紙おむつ等の廃材料から取得することができるため、材料の調達コストの削減に資する。
【0064】
被覆工程に、取得工程において石膏ボードから分離された石膏を被覆材料に添加する添加工程が含まれる場合、当該石膏を有効に再利用することができる。また、当該石膏は被覆材料の硬化剤として機能するので、被覆層部20の形成が容易になる。
【0065】
本実施形態においては、細断部30による細断及び分離部40による分離の後に、細断部50による細断及び分離部60による分離が行われる。このため、細断及び分離を1回ずつしか行わない場合に比して、分離効率が向上する。ここで、分離効率とは、処理対象物から分離された第2の材料の重量の、処理直前の処理対象物に含まれていた第2の材料の重量に対する割合をいう。
【0066】
ドラム42には、突条44が設けられている。突条44が設けられていない場合、重力の影響により、石膏ボードはドラム42の下部に集まりがちになる。これに対し、本実施形態においては、ドラム42内の石膏ボードは、突条44により掬い上げられることにより、ドラム42の上部に達し易くなる。これにより、石膏ボードは、ドラム42の内周面の広範囲に行き渡るようになるため、分離部40による分離が促進される。また、石膏ボードがドラム42の上部から落下する際の衝撃により、紙片からの石膏の解離が促される。さらに、突条44は石膏ボードがスクリュー部材48により前方に押し出される際の障害になるため、石膏ボードがドラム42内に滞留する時間が長くなる。これにより、石膏ボードから、より多くの石膏を分離することができる。
【0067】
ドラム42の内部には、スクリュー部材48が設けられている。ドラム42内の石膏ボードは、スクリュー部材48によって、叩かれたり、ドラム42の内周面に擦りつけられたりする。その衝撃や摩擦力により、紙片からの石膏の解離が促される。また、突条44が設けられているため、石膏ボードは、突条44に引っ掛かった状態で、スクリュー部材48によって、叩かれたり、ドラム42の内周面に擦りつけられたりする場合がある。その場合、力が逃げにくくなるため、石膏ボードが受ける衝撃や摩擦力が増大し、それにより紙片からの石膏の解離が一層促される。
【0068】
スクリュー部材48は、回転方向(回転ロッド46の接線方向)とのなす角度が略直角である辺49aではなく、その角度が鈍角である辺49bを前方として回転する(
図4参照)。これにより、スクリュー部材48の歯49に石膏ボードが過度に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0069】
ドラム62には、突条64が設けられている。突条64が設けられていない場合、重力の影響により、石膏ボードはドラム62の下部に集まりがちになる。これに対し、本実施形態においては、ドラム62内の石膏ボードは、突条64により掬い上げられることにより、ドラム62の上部に達し易くなる。これにより、石膏ボードは、ドラム62の内周面の広範囲に行き渡るようになるため、分離部60による分離が促進される。また、石膏ボードがドラム62の上部から落下する際の衝撃により、紙片からの石膏の解離が促される。さらに、突条64は石膏ボードがスクリュー部材68により前方に押し出される際の障害になるため、石膏ボードがドラム62内に滞留する時間が長くなる。これにより、石膏ボードから、より多くの石膏を分離することができる。
【0070】
ドラム62の内部には、スクリュー部材68が設けられている。ドラム62内の石膏ボードは、スクリュー部材68によって、叩かれたり、ドラム62の内周面に擦りつけられたりする。その衝撃や摩擦力により、紙片からの石膏の解離が促される。また、突条64が設けられているため、石膏ボードは、突条64に引っ掛かった状態で、スクリュー部材68によって、叩かれたり、ドラム62の内周面に擦りつけられたりする場合がある。その場合、力が逃げにくくなるため、石膏ボードが受ける衝撃や摩擦力が増大し、それにより紙片からの石膏の解離が一層促される。
【0071】
スクリュー部材68は、回転方向(回転ロッド66の接線方向)とのなす角度が略直角である辺69aではなく、その角度が鈍角である辺69bを前方として回転する(
図6参照)。これにより、スクリュー部材68の歯69に石膏ボードが過度に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0072】
移送路76は、互いに直交する部分76a及び部分76bを有する(
図7参照)。これにより、風圧によって移送される石膏ボードは、部分76aと部分76bとの連結部分において、移送路76の内面に衝突する。その衝撃により、紙片からの石膏の解離が促される。さらに、移送路76は、部分76bと直交する部分76cを有する。これにより、風圧によって移送される石膏ボードは、部分76bと部分76cとの連結部分においても、移送路76の内面に衝突する。その衝撃により、紙片からの石膏の解離が促される。
【0073】
部分76aと部分76bとの連結部分には、凹凸面77aが存在する。凹凸面77aに衝突した石膏ボードは、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、紙片からの石膏の解離が一層促される。さらに、部分76bと部分76cとの連結部分には、凹凸面77bが存在する。凹凸面77bに衝突した石膏ボードは、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、紙片からの石膏の解離が一層促される。
【0074】
移送路78は、互いに直交する部分78a及び部分78bを有する(
図8参照)。これにより、風圧によって移送される石膏ボードは、部分78aと部分78bとの連結部分において、移送路78の内面に衝突する。その衝撃により、紙片からの石膏の解離が促される。さらに、移送路78は、部分78bと直交する部分78cを有する。これにより、風圧によって移送される石膏ボードは、部分78bと部分78cとの連結部分においても、移送路78の内面に衝突する。その衝撃により、紙片からの石膏の解離が促される。
【0075】
部分78aと部分78bとの連結部分には、凹凸面79aが存在する。凹凸面79aに衝突した石膏ボードは、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、紙片からの石膏の解離が一層促される。さらに、部分78bと部分78cとの連結部分には、凹凸面79bが存在する。凹凸面79bに衝突した石膏ボードは、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、紙片からの石膏の解離が一層促される。
【0076】
移送路80は、互いに直交する部分80a及び部分80bを有する(
図9参照)。これにより、風圧によって移送される石膏ボードは、部分80aと部分80bとの連結部分において、移送路80の内面に衝突する。その衝撃により、紙片からの石膏の解離が促される。さらに、移送路80は、部分80bと直交する部分80cを有する。これにより、風圧によって移送される石膏ボードは、部分80bと部分80cとの連結部分においても、移送路80の内面に衝突する。その衝撃により、紙片からの石膏の解離が促される。
【0077】
部分80aと部分80bとの連結部分には、凹凸面81aが存在する。凹凸面81aに衝突した石膏ボードは、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、紙片からの石膏の解離が一層促される。さらに、部分80bと部分80cとの連結部分には、凹凸面81bが存在する。凹凸面81bに衝突した石膏ボードは、平坦面に衝突した場合よりも強い衝撃を受ける。このため、紙片からの石膏の解離が一層促される。
【0078】
本発明による吸水処理材及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、石膏ボードに由来する紙粉が吸水処理材1に主材料として含まれた例を示した。しかし、当該紙粉は、吸水処理材1に含まれている限り、主材料として含まれていることは必須ではない。
【0079】
上記実施形態においては、石膏を半水石膏の状態にした上で石膏ボードから分離する例を示した。しかし、石膏は、二水石膏の状態のままで石膏ボードから分離されてもよい。
【0080】
上記実施形態においては、吸水処理材1が粒状芯部10及び被覆層部20からなる複層構造である例を示した。しかし、吸水処理材1は、粒状芯部10からなる単層構造であってもよい。
【0081】
上記実施形態においては、細断及び分離を2回ずつ行う例を示した。しかし、細断及び分離は、1回ずつ行ってもよいし、3回以上ずつ行ってもよい。
【0082】
上記実施形態においては、ドラム42が円筒状である例を示した。しかし、ドラム42は、テーパー状であってもよい。ドラム62についても同様である。
【0083】
上記実施形態においては、ドラム42の中心軸が水平である例を示した。しかし、ドラム42の中心軸は、入口側から出口側に向かって下方に傾いていてもよい。ドラム62についても同様である。
【0084】
上記実施形態においては、孔42aがドラム42の略全体にわたって形成された例を示した。しかし、孔42aは、ドラム42の一部にのみ形成されていてもよい。また、ドラム42の略全体又は一部を網状にすることにより、孔42aを形成してもよい。すなわち、この場合、ドラム42の網目が孔42aに相当する。孔62aについても同様である。
【0085】
上記実施形態においては、突条44がドラム42の入口側から出口側までの経路の略全体にわたって延在している例を示した。しかし、突条44は、ドラム42の入口側から出口側までの経路の一部においてのみ延在していてもよい。突条64についても同様である。
【0086】
上記実施形態においては、略三角形の断面を有する突条44を例示した。しかし、突条44は、
図10に示すように、平板状であってもよい。突条64についても同様である。
【0087】
上記実施形態においては、ドラム42の内周面上に突条44が4本設けられた例を示した。しかし、突条44の本数は、1以上の任意の数にすることができる。突条64についても同様である。
【0088】
上記実施形態においては、ドラム42の内周面上に突条44が設けられた例を示した。しかし、突条44を設けることは必須ではない。突条64についても同様である。
【0089】
上記実施形態においては、ドラム42内に回転ロッド46及びスクリュー部材48が設けられた例を示した。しかし、回転ロッド46及びスクリュー部材48を設けることは必須ではない。回転ロッド66及びスクリュー部材68についても同様である。
【0090】
上記実施形態においては、凹凸面77aが鉛直面に対して一定の角度をなしている例を示した。しかし、凹凸面77aは、
図11に示すように、鉛直面に沿っていてもよい。また、凹凸面77aは、
図12に示すように、移送路76の内面(部分76aを通って移送されてきた石膏ボードが衝突する位置)に突起P1を設けたものであってもよい。突起P1の数は1つでもよいし、2つ以上でもよい。凹凸面79a及び凹凸面81aについても同様である。
【0091】
上記実施形態においては、凹凸面77bが水平面に対して一定の角度をなしている例を示した。しかし、凹凸面77bは、
図11に示すように、水平面に沿っていてもよい。また、凹凸面77bは、
図12に示すように、移送路76の内面(部分76bを通って移送されてきた石膏ボードが衝突する位置)に突起P2を設けたものであってもよい。突起P2の数は1つでもよいし、2つ以上でもよい。凹凸面79b及び凹凸面81bについても同様である。
【0092】
上記実施形態においては、凹凸面77aが設けられた例を示した。しかし、凹凸面77aを設けることは必須ではない。凹凸面79a及び凹凸面81aについても同様である。
【0093】
上記実施形態においては、凹凸面77bが設けられた例を示した。しかし、凹凸面77bを設けることは必須ではない。凹凸面79b及び凹凸面81bについても同様である。
【0094】
上記実施形態においては、移送路76が互いに直交する複数の部分によって構成された例を示した(
図7参照)。しかし、移送路76は、一直線状のダクトであってもよい。移送路78及び移送路80についても同様である。
【0095】
上記実施形態においては、分離装置90を用いて石膏ボードから石膏を分離する例を示した。しかし、石膏ボードからの石膏の分離は、他の装置・方法により行ってもよい。