(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193989
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】サンドイッチ板金およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
B32B15/08 105Z
【請求項の数】14
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-520875(P2015-520875)
(86)(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公表番号】特表2015-527226(P2015-527226A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2013062635
(87)【国際公開番号】WO2014009114
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】102012106206.4
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514309479
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】THYSSENKRUPP STEEL EUROPE AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ベーゲル,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】クラウケ,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】レーベ,トビアス
【審査官】
福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−515613(JP,A)
【文献】
特表2011−513088(JP,A)
【文献】
特開平09−158356(JP,A)
【文献】
特開2008−036891(JP,A)
【文献】
特開平07−136585(JP,A)
【文献】
米国特許第04601941(US,A)
【文献】
特表2014−509971(JP,A)
【文献】
特開2007−313893(JP,A)
【文献】
特表2007−530320(JP,A)
【文献】
特開2007−196545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29B 11/16
B29B 15/08−15/14
C08J 5/04−5/10
C08J 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンドイッチ板金において、金属製のカバーシート(1.1、1.2)と、前記カバーシートの間に配置されたポリマーからなる少なくとも1のコア層(1.3)であって、前記カバーシート(1.1、1.2)と一体に接合したコア層とを具え、前記コア層(1.3)が繊維含有担体を含み、前記担体の繊維がポリウレタン基質に包囲されており、当該ポリウレタン基質は水性の無溶剤型ポリウレタン分散液から形成され、前記繊維は前記ポリウレタン基質内で、最大で50mmの全長である比較的短い繊維片の形態を有しており、前記担体の繊維は不燃性のセラミック繊維から構成されていることを特徴とするサンドイッチ板金。
【請求項2】
請求項1に記載のサンドイッチ板金において、前記ポリウレタン分散液がブロックイソシアネートを含むことを特徴とするサンドイッチ板金。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサンドイッチ板金において、前記繊維含有担体が、レイドスクリム(laid scrim)、織物、または不織物の形態を有することを特徴とするサンドイッチ板金。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のサンドイッチ板金において、前記コア層(1.3)の厚みが、0.4mmから2.0mmの範囲であることを特徴とするサンドイッチ板金。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のサンドイッチ板金において、前記カバーシート(1.1、1.2)が、アルミニウム材料、マグネシウム材料、鋼鉄材料、またはこれらのいずれかの組み合わせから構成されることを特徴とするサンドイッチ板金。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のサンドイッチ板金において、前記カバーシート(1.1,1.2)のそれぞれの厚みが、0.1mmから1.0mmの範囲であることを特徴とするサンドイッチ板金。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のサンドイッチ板金において、前記カバーシート(1.1、1.2)の少なくとも一方が、腐食保護層を有することを特徴とするサンドイッチ板金。
【請求項8】
サンドイッチ板金の製造方法において、圧力および加熱を用いて、金属製カバーシート(1.1、1.2)を、その間に配置されてポリマーからなるコア層(1.3)に一体に接合するステップを具え、既製のコア層(1.3)が前記コア層に用いられて、繊維含有担体を含み、前記担体の繊維がポリウレタン基質に包囲されており、当該ポリウレタン基質は水性の無溶剤型ポリウレタン分散液から形成され、前記繊維は前記ポリウレタン基質内で、最大で50mmの全長である比較的短い繊維区分の形態を有しており、担体が不燃性セラミック繊維から製造されて前記繊維含有担体に使用されることを特徴とするサンドイッチ板金。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記ポリウレタン分散液にブロックイソシアネートが添加されていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法において、芳香族および/または脂肪族のイソシアネートが前記ブロックイソシアネートとして添加されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法において、前記コア層(1.3)が前記カバーシート(1.1、1.2)に接合される前に、前記コア層が浸透され、および/または機械的に脱水されるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法において、前記カバーシート(1.1、1.2)が、アルミニウム材料、マグネシウム材料、鋼鉄材料、またはこれらのいずれかの組み合わせから構成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか1項に記載の方法において、前記カバーシート(1.1、1.2)が、鋼鉄材料から構成され、腐食保護層を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれか1項に記載の方法において、前記カバーシート(1.1、1.2)および前記コア層(1.3)から製造される前記サンドイッチ板金(1)が、前記コア層とカバーシートを一体に接合した直後に冷却されるステップと、この冷却中に同時にプレスされ、またはローラーにかけられるステップとを具えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンドイッチ板金に関し、特に建材や車体部品の製造用の板金であって、両側の金属製カバーシートと、これらのカバーシートの間に配置されたポリマーからなる少なくとも1のコア層であって、これらのカバーシートと一体に接合されたコア層とを具える。特に、本発明はサンドイッチ板金の製造プロセスに関し、圧力および加熱処理を用いて金属製カバーシートをその間に配置されたポリマーからなるコア層に一体接合することで、特に建設業または乗用車の車体製造で使用される。
【背景技術】
【0002】
この種類のサンドイッチ状の材料は公知である。
【0003】
出願人により開発され、「LITECOR」として知られているサンドイッチ板金は、鋼鉄からなる2つのカバーシートと、プラスチックからなるコア層とから構成される。このサンドイッチ板金は、とくに乗用車の車体製造への適用のため、高い曲げ剛性を有しつつ比較的軽量である。この材料のコア層は熱可塑性共重合体で構成されている。
【0004】
本発明は、上述の種類のサンドイッチ板金を、高いレベルの剛性を具えた安価なコア層を有して、特に冷間成形できるようにさらに発展させる目的に基づいており、可能な使用範囲に制限はない。逆にこの意図は、この種類のサンドイッチ板金の可能な使用範囲を拡大することである。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を具えたサンドイッチ板金と、請求項9の特徴を具えた製造方法とを提供することで達成される。
【0006】
本発明のサンドイッチ板金のコア層は、繊維含有担体を具え、前記担体の繊維はポリウレタン基質に包囲されており、前記ポリウレタン基質は水性の無溶剤型ポリウレタン分散液により形成され、前記繊維はポリウレタン基質内で、最大で50mmの全長の比較的短い繊維片の形態を有することを特徴とする。
【0007】
繊維含有担体によって、前記繊維を包囲するポリウレタン基質と組み合わせた基材が提供され、サンドイッチ板金用の安価で軽量なコア層となる。ポリウレタン基質に包囲された、または予め含浸された短い繊維片によって、サンドイッチ板金は冷間形成に適しており、特によい結果が得られる。
【0008】
様々な安価な種類の繊維が、本発明のサンドイッチ板金のコア層用の繊維として用いることができる。繊維はサンドイッチ板金の特性に影響するのに使用できるため、可能な用途の範囲が拡大される。
【0009】
本発明のサンドイッチ板金の有利な一実施例によると、コア層の繊維は鉱物繊維から、好適にはセラミック繊維から構成される。このようにして、非常に高い曲げ剛性を具えた、軽量で耐熱性のあるサンドイッチ板金の実現が可能となる。
【0010】
本発明の他の有利な実施例では、前記コア層の製造において、前記ポリウレタン分散液がブロックイソシアネートを含み、またはブロックイソシアネートが水性の無溶剤型ポリウレタン分散液に添加されていることを特徴とする。セラミック繊維やガラス繊維のような耐熱性のある繊維はもろく、わずかな程度の成形しかできない。本発明のサンドイッチ板金のコア層として用いられる、水性の無溶剤型PU(ポリウレタン)分散液に含浸させた繊維含有担体の、特に弾性と結合強度を増すために、ブロックNCO(イソシアネート)がPU分散液に添加される。「ブロック」という用語は、PU分散液中のNCO含有物が室温(約20℃)では絶縁され(insulated)、一定温度に達したときにのみ活性化されることを意味する。これにより、特にポリウレタン分散液のより大きな交差結合が可能となる。好適には、芳香族イソシアネート(例えばモノマー状ジフェニルメタンジイソシアネート)、および/または脂肪族イソシアネート(例えばイソホロンジイソシアネート)がブロックNCOとして加えられる。
【0011】
本発明の他の実施例では、前記サンドイッチ板金のコア層に用いる繊維含有担体が、レイドスクリム(laid scrim)、織物、編物、または不織布の形態を有する。繊維含有担体の構造を介して、本発明のサンドイッチ板金の曲げ剛性および形成能に影響を与えることが可能である。特に高い曲げ剛性を得るためには、前記繊維含有担体は織物の形態を有することが好ましい。対照的に、良好ないし非常に良好な形成能が、不織物繊維の形態を有する繊維層によってより大きく達成される。
【0012】
好ましくは本発明のサンドイッチ板金のコア層の厚みは、0.4mmから2.0mmの範囲であって、特に1.5mm以下である。
【0013】
本発明のサンドイッチ板金に適したカバーシートは、アルミニウム材料、マグネシウム材料、または鋼鉄材料、およびこれらの組み合わせから製造される。厚みが0.1mmから1.0mmの範囲、好適には0.2mmから0.8mmの範囲である鋼鉄材料製のカバーシートを用いることが、特に好ましい。鋼鉄材料は比較的安価な材料であり、温度変化に対する高い耐性と、高い破折強度と、高い成形性と、特に有利な深絞り加工の特性および/またはエンボス加工の特性とを具える。ここで使用される鋼鉄の外板の降伏点は、典型例では、250から350MPaの範囲である。より高い降伏強度を有する他の剛性レベルを使用することも可能である。
【0014】
本発明の他の実施例では、前記カバーシートが、低い材料コストと同時に、本発明の構成要素の高寿命化を実現するために、腐食保護層を有する。腐食保護層は、例えば、金属製カバーシートの溶融めっき、および/または電解コーティングを介して実現される。典型例の溶融めっきは:Zで、亜鉛99%;ZAで、亜鉛95%+アルミニウム5%;AZで、アルミニウム5%+亜鉛43.4%+ケイ素1.6%;ASで、アルミニウム88−92%+ケイ素8−12%である。
【0015】
本発明のサンドイッチ板金の他の有利な実施例では、前記両側のカバーシートが、異なる厚みを有し、および/または異なる腐食防止層を有することを特徴とする。このようにして、高い曲げ剛性と、軽量の構成要素と、高い腐食耐性に関して最適化されたサンドイッチ板金が実現される。
【0016】
本発明のサンドイッチ板金の他の実施例では、前記両側のカバーシートの少なくとも一方が、亜鉛からなる腐食保護層を有する。代替的または付加的に、前記両側のカバーシートの少なくとも一方が、アルミニウムからなる腐食保護層を有してもよい。
【0017】
同様に他の可能性として、CVDコーティング、PVDコーティング、および/またはゾルゲルコーティングを、従来の溶融めっきや電解コーティングと共に使用することができる。前記カバーシートは、例えば陽極処理によって、さらに仕上げがなされてもよいし、仕上げられていてもよい。このようにして所望の着色を実現することができる。
【0018】
本発明のサンドイッチ板金の他の実施例によると、前記両側のカバーシートの少なくとも一方が、例えばラッカー、ラッカー箔、またはラッカー膜の形態の有機層を有する。本発明のサンドイッチ板金の所望の着色は、このようにして達成可能である。好適には、前記有機層が発光性(発光特性)を有する。
【0019】
本発明の方法の有利な一実施例では、コア層がカバーシートに接合される前に、浸透(penetrate)、および/または機械的に脱水される。繊維含有担体の含水量はこのようにして、水性の無溶剤型ポリウレタン分散液に含浸された後に効率的に低減される。こうして金属製カバーシートの内部の腐食を確実に防止することが可能となる。含水量の低減は例えば、コア層が複数の繊維含有担体(繊維層)から構築されるときに、層ごとに水性の無溶剤型ポリウレタン分散液を塗布する際に達成され、好適にはPU分散液にブロックNCOを添加して、ここでPU分散液は例えば、スパイクロール、ゴムロール等のうちの少なくとも1つによりそれぞれの繊維層に浸透させられ、および/または余剰の水分を圧縮により除去することができる。対照的に、単一の繊維層のみを用いるときは、含水量の低減は例えば繊維層の気孔率を増加させることにより達成することができる。
【0020】
本発明の方法の他の好適な実施例では、カバーシートとコア層から製造されるサンドイッチ板金が、コア層とカバーシートを一体に接合した直後に冷却されるステップと、この冷却中に同時にプレスされ、またはローラーにかけられるステップを具える。このようにして、水分の除去とともに、コア層の容積の収縮または圧縮を促進することが可能となる。特に、このようにして、複合材(サンドイッチ板金)の応力を制御して減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、多くの実施例の図を提供する図面を参照して以下に説明される。
【0022】
【
図1】
図1は、本発明のサンドイッチ板金の一部の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明のサンドイッチ板金を製造するシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図に示すサンドイッチ板金1は、2つの金属製カバー層1.1および1.2と、繊維を含有して耐熱性のあるコア層1.3とから構成される。
【0024】
カバー層1.1と1.2は、好適には腐食保護層を有する鋼板から構成される。ここでは、亜鉛またはアルミニウムベースの腐食保護層を用いることが好ましい。各カバー層(カバーシート)1.1と1.2の厚みは例えば、約0.1から0.8mmであり、好適には0.5mm以下で、とくに好適には0.4mm以下である。
図1に示す実施例では、2つのカバーシート1.1と1.2の厚みは、例えば約0.3mmでほぼ同じであり、これらは同じ種類の材料から構成される。しかしながら、カバーシート1.1と1.2を異なる厚み、および/または異なる種類の材料で構成しても複合材1を製造することができる。特に、カバーシート1.1と1.2は異なる腐食保護層を有してもよく:例えば、カバーシート1.1または1.2は高い耐熱性を有するアルミニウムベースのコーティングを有し、もう一方のカバーシート1.2または1.1は亜鉛ベースのコーティングを有することができる。
【0025】
コア層1.3は、少なくとも1の繊維層または1の繊維含有担体から構成され、担体の繊維は、ポリウレタン基質に包囲されている。基質は、繊維含有担体を水性の無溶剤型ポリウレタン分散液に浸透/含浸させることで生成される。本文中の「プリプレグ」という用語は、予め含浸された繊維を意味し、ここでポリウレタン基質内の繊維は、連続フィラメント繊維、または例えば繊維の全長が最大で50mmである比較的短い繊維片の形態を有する。PU分散液またはPU基質は固着材(接着剤)として機能する。
【0026】
好適には、ポリウレタン分散液は、室温では不活性であり、例えば50℃の一定の温度に加熱することのみで活性化するブロックNCO(イソシアネート)も含む。芳香族および脂肪族のイソシアネートがこの種類の遮断剤に適しており、その例はモノマー状ジフェニルメタンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートである。適切な遮断剤を用いることにより、ポリウレタン分散液のより大きな交差結合を実現することができる。PU分散液とブロックNCOとの混合比は、活性温度や、また繊維含有担体内の交差結合の所望の度合いによる。
【0027】
担体の繊維は、高い耐熱性のある鉱物繊維からなり、好適には不燃性のセラミック繊維からなる。本書の繊維含有担体は、レイドスクリム(laid scrim)、織物、または不織物の形態を有する。コア層1.3の製造に用いられる繊維含有担体は、開放孔がある多孔性であり、すなわち液体に浸透できる。
【0028】
本発明のサンドイッチ板金1の製造では、例えばプリプレグとして知られている、既製の半製品の形態のコア層1.3を用いる。本文中の「プリプレグ」という用語は、予め含浸された繊維を意味し、ここでポリウレタン基質内の繊維は、連続フィラメント繊維、または例えば繊維の全長が最大で50mmである比較的短い繊維片の形態を有する。
【0029】
本発明のサンドイッチ板金1のコア層1.3の厚みは、0.4mmから2.0mmの範囲であり、好適には1.5mm以下である。この層は少なくとも300℃、好適には少なくとも700℃の温度に耐性がある。コア層1.3はさらに、煙の発生を低減するのに非常に効果的であるハロゲンフリー鉱物系難燃剤を含むことができる。
【0030】
本発明のサンドイッチ板金1の繊維を含有するコア層1.3は、従来の熱可塑材からなるコア層と比べて、温度変化に対する高い耐性と断熱性だけでなく、著しく高いレベルの剛性も提供する。高いレベルの剛性により、比較的薄い金属カバー層1.1と1.2を使用することが可能となり、これにより、サンドイッチ板金1の重量を減らすことができる。
【0031】
図1から、複合材1のカバーシート1.1と1.2はそれぞれ、コア層1.3よりも著しく薄いことがわかる。軽量のサンドイッチ板金を実現するために、コア層1.3の厚みは、2枚のカバーシート1.1と1.2の最も薄い厚みの、少なくとも1.5倍、好適には少なくとも2倍、特に好適には少なくとも2.5倍である。
【0032】
図2は本発明のサンドイッチ板金1の製造方法の図である。好適には、カバーシート1.1、1.2、および既製のコア層1.3は、巻いた状態で提供され、この巻いた状態から繰り出される。代替的に、構成要素1.1、1.2、および1.3は定寸法の生地板(パネル)で提供され、互いに接合させることも可能である。
【0033】
カバーシート1.1、1.2、および既製のコア層1.3は、好適にはツインベルト式プレス機である加熱プレス機2の中に差し込まれる。複合材はプレス機2において、約120℃から180℃で、好適には最大160℃で加熱される。プレス機、特にこのツインベルト式プレス機2によって生成される圧力は、ほぼ一定にすることができる。適用される圧力は、例えば最大で30バールにすることができる。しかしながら、プレス機2はまた、異なる圧力で有利に作動することができ:例えばツインベルト式プレス機2は、加熱ゾーン2.1と、保温ゾーン2.2と、冷却ゾーン2.3とに分割され、保温ゾーン2.2内の圧力は、後に続く冷却ゾーン(冷却ステージ)に比べて著しく高くすることができる。
【0034】
既に上述したように、特にブロックNCO(イソシアネート)が水性の無溶剤型ポリウレタン分散液に添加されて、ここに繊維の層が含浸されたときに、PU基質は固着剤(接着剤)として作用する。カバーシート1.1と1.2、および既製のコア層1.3からなる複合材の加熱は、PU基質の接着機能を活性化および/または再活性化させる。本発明にかかる既製のコア層1.3は、カバーシート1.1と1.2に一体に接合するための追加の接着促進層を必要とせず、特に有機の接着促進層を必要としない。
【0035】
複合材が好適に室温まで冷却される冷却ゾーン2.3内の圧力は、有利に緩和され、したがって、PU基質から水分を除去してコア層の圧縮(容積の収縮)を促進し、または促進可能となる。この手順により、複合材に通常存在する応力を制御して低減することができる。
【0036】
ツインベルト式プレス機2の下流で、製造されたサンドイッチ板金1はコイル3に巻かれ、または切断装置4によってそれぞれのパネル5の長さに切断される。
【0037】
本発明のサンドイッチ板金1は、塑性加工の過程、特に深絞り加工および/またはエンボス加工においてよい結果が得られる。このため、例えば、生地板は適切な複合材1から細長い形状で切り出され、成形プレス機(図示せず)で冷間成形されて、例えば車体の部品などの3次元の部品が得られる。ポリウレタン基質中の繊維の長さは短いため、ここにおける部品は、特に乗用車の車体部品は、様々な大きさで、ほぼすべての所望の形状または輪郭に製造することができる。
【0038】
本発明のサンドイッチ板金1はまた、例えば造船、航空機の製造、鉄道車両の製造、プラントエンジニアリング、および家具の構築にも有利に使用することができる。
【0039】
本発明は図示された実施例に制限されない。本発明のサンドイッチ板金には数多くの考えられる変更例があり、その製造方法においてそれぞれ、示した実施例と異なるが添付された特許請求の範囲に記載された本発明を利用することができる。例えば、カバーシート1.1と1.2はまた、アルミニウム材料、および/またはマグネシウム材料から構成されうる。