特許第6194004号(P6194004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6194004-増幅回路 図000002
  • 特許6194004-増幅回路 図000003
  • 特許6194004-増幅回路 図000004
  • 特許6194004-増幅回路 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194004
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   H03F3/45 B
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-536559(P2015-536559)
(86)(22)【出願日】2014年9月5日
(86)【国際出願番号】JP2014073497
(87)【国際公開番号】WO2015037532
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2016年3月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-190917(P2013-190917)
(32)【優先日】2013年9月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】篠井 潔
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 陽
【審査官】 ▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−091774(JP,A)
【文献】 特開2008−295060(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/053133(WO,A1)
【文献】 特開2008−067050(JP,A)
【文献】 特開2009−290704(JP,A)
【文献】 特開平07−046046(JP,A)
【文献】 特開2011−019156(JP,A)
【文献】 特開2013−026910(JP,A)
【文献】 特開2013−038603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタを含む差動対であって、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの各々が、制御端子と第1端子との間の電圧に応じて前記第1端子と第2端子との間に流れる電流を制御する所定のタイプのトランジスタであり、前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記制御端子において差動信号を入力する差動対と、
前記差動対における前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記第2端子に流れる電流に応じた差動信号を生じる負荷回路と、
前記負荷回路において生じた差動信号を増幅して出力する出力増幅段と、
前記出力増幅段から出力される差動信号を、前記差動対における前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記第1端子に帰還する帰還回路と
前記差動対における前記一対の制御端子へ入力される差動信号の極性を繰り返し反転させることにより、当該差動信号の周波数成分を高周波側の周波数帯域へシフトさせる第1チョッピング回路と、
前記出力増幅段に入力される差動信号の極性を、前記第1チョッピング回路の前記極性反転動作と同期して繰り返し反転させることにより、当該差動信号の周波数成分を前記高周波側の周波数帯域から元の周波数帯域へ戻す第2チョッピング回路と、
前記帰還回路によって前記差動対の前記一対の第1端子に帰還される差動信号の極性を、前記第1チョッピング回路の前記極性反転動作と同期して繰り返し反転させることにより、当該差動信号の周波数成分を前記高周波側の周波数帯域へシフトさせる第3チョッピング回路と
を有し、
前記出力増幅段は、前記第1チョッピング回路における前記極性反転動作による周波数成分を減衰させる低域通過フィルタ特性を有する
ことを特徴とする増幅回路。
【請求項2】
前記負荷回路から前記第2チョッピング回路へ入力される差動信号を増幅する差動増幅段を有する
ことを特徴とする請求項に記載の増幅回路。
【請求項3】
共通ノードから前記差動対における前記一対の第1端子へ分流する電流の経路に設けられた抵抗回路と、
第1の電源ラインから前記共通ノードへ流れる電流の経路に設けられた可変抵抗素子と、
前記差動対の前記一対の第2端子におけるコモンモード電圧が、入力される基準電圧に応じた所定の電圧に近づくように前記可変抵抗素子の抵抗を制御するコモンモード帰還回路と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記第1の電源ラインから流れる電流を前記第1端子より入力して前記第2端子から出力し、前記制御端子が前記第2端子と接続され、前記差動対を構成する前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタと同一の導電型を有する第3トランジスタと、前記第3トランジスタの前記第2端子から第2の電源ラインへ一定の電流を流す第1定電流回路とを含み、前記第3トランジスタの前記第1端子と前記第2端子との間に生じる電圧に応じた前記基準電圧を発生する基準電圧発生回路を有する
ことを特徴とする請求項に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記コモンモード帰還回路は、
一対の前記第1端子と一対の前記第2端子において並列に接続された一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタと、
前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ前記一対の第1端子と共通に接続された前記第1端子を有する第6トランジスタと、
前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ前記一対の第2端子から前記第2の電源ラインに流れる電流に応じた電流を、前記第6トランジスタの前記第2端子から前記第2の電源ラインへ流すカレントミラー回路と、
前記第1の電源ラインから前記第4トランジスタ、前記第5トランジスタ及び前記第6トランジスタの共通接続された前記第1端子へ一定の電流を流す第2定電流回路と
を含み、
前記負荷回路に生じる差動信号を、前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ一対の前記制御端子に入力し、
前記基準電圧を前記第6トランジスタの前記制御端子に入力し、
前記第6トランジスタの前記第2端子に生じる電圧に応じて前記可変抵抗素子の抵抗を制御する
ことを特徴とする請求項に記載の増幅回路。
【請求項6】
一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタを含む差動対であって、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの各々が、制御端子と第1端子との間の電圧に応じて前記第1端子と第2端子との間に流れる電流を制御する所定のタイプのトランジスタであり、前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記制御端子において差動信号を入力する差動対と、
前記差動対における前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記第2端子に流れる電流に応じた差動信号を生じる負荷回路と、
前記負荷回路において生じた差動信号を増幅して出力する出力増幅段と、
前記出力増幅段から出力される差動信号を、前記差動対における前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記第1端子に帰還する帰還回路と、
共通ノードから前記差動対における前記一対の第1端子へ分流する電流の経路に設けられた抵抗回路と、
第1の電源ラインから前記共通ノードへ流れる電流の経路に設けられた可変抵抗素子と、
前記差動対の前記一対の第2端子におけるコモンモード電圧が、入力される基準電圧に応じた所定の電圧に近づくように前記可変抵抗素子の抵抗を制御するコモンモード帰還回路と
を有することを特徴とする増幅回路。
【請求項7】
前記第1の電源ラインから流れる電流を前記第1端子より入力して前記第2端子から出力し、前記制御端子が前記第2端子と接続され、前記差動対を構成する前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタと同一の導電型を有する第3トランジスタと、前記第3トランジスタの前記第2端子から第2の電源ラインへ一定の電流を流す第1定電流回路とを含み、前記第3トランジスタの前記第1端子と前記第2端子との間に生じる電圧に応じた前記基準電圧を発生する基準電圧発生回路を有する
ことを特徴とする請求項に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記コモンモード帰還回路は、
一対の前記第1端子と一対の前記第2端子において並列に接続された一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタと、
前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ前記一対の第1端子と共通に接続された前記第1端子を有する第6トランジスタと、
前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ前記一対の第2端子から前記第2の電源ラインに流れる電流に応じた電流を、前記第6トランジスタの前記第2端子から前記第2の電源ラインへ流すカレントミラー回路と、
前記第1の電源ラインから前記第4トランジスタ、前記第5トランジスタ及び前記第6トランジスタの共通接続された前記第1端子へ一定の電流を流す第2定電流回路と
を含み、
前記負荷回路に生じる差動信号を、前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ一対の前記制御端子に入力し、
前記基準電圧を前記第6トランジスタの前記制御端子に入力し、
前記第6トランジスタの前記第2端子に生じる電圧に応じて前記可変抵抗素子の抵抗を制御する
ことを特徴とする請求項に記載の増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサなどから微弱な信号を高いインピーダンスで入力して増幅する増幅回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサなどで発生する微弱な信号を高いインピーダンスで入力して増幅する回路として、従来よりインスツルメンテーション・アンプ(計装アンプ)が一般的に知られている。下記の特許文献1には、磁気ヘッドからの出力信号をインスツルメンテーション・アンプによって増幅する技術が記載されている。
【0003】
図4は、インスツルメンテーション・アンプの基本構成を示す図である。図4(A)において示すように、インスツルメンテーション・アンプは、2つのオペアンプ(演算増幅器)U1,U2を用いて構成される。オペアンプU1,U2は、出力端子と反転入力端子の間にそれぞれ帰還抵抗R11,R12が接続され、互いの反転入力端子が抵抗R13を介して接続される。オペアンプU1,U2の非反転入力端子に信号を入力すると、増幅された信号がオペアンプU1,U2の出力から差動信号として出力される。
【0004】
インスツルメンテーション・アンプは、オペアンプU1,U2の非反転入力端子が信号入力端子となっているため、非常に高い入力インピーダンスを有する。帰還抵抗R11,R12の抵抗値を一致させることにより、高い同相信号除去比(CMRR)が得られる。
【0005】
また、インスツルメンテーション・アンプのゲインは抵抗R13の抵抗値によって調節可能であり、高い入力インピーダンスや同相信号除去比は抵抗R13の抵抗値によって影響を受けない。抵抗素子でオペアンプに負帰還を施した一般的な差動増幅回路の場合、抵抗素子の抵抗値に応じてゲインと入力インピーダンスが共に変化するが、インスツルメンテーション・アンプの場合は、負帰還によるゲインの設定と無関係に高い入力インピーダンスが保たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−46046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図4(B)は、インスツルメンテーション・アンプに用いられる一般的なオペアンプの構成を示す図である。図4(B)に示すオペアンプは、入力増幅段(Q21〜24,101)と出力増幅段(Q25,R14,C11,102)を備える。入力増幅段は、2つのトランジスタによって構成される差動対(Q21,Q22)と、差動対のドレイン側に負荷として接続されるカレントミラー回路(Q23,Q24)と、差動対のソース側に一定の電流を流す定電流回路101を有する。出力増幅段は、ソース接地型の増幅回路を構成するトランジスタQ25と、そのドレインに負荷として接続される定電流回路102と、フィードバック系の安定性のために出力増幅段の帯域を制限する位相補償回路(R14,C11)を有する。
【0008】
直流若しくは低周波の微小信号を高いゲインで増幅する場合、周波数が低くなるほど増大するフリッカノイズ(1/fノイズ)を低減することが課題となる。フリッカノイズは、主にトランジスタにおいて発生するため、入力段に多くのトランジスタが用いられていると、フリッカノイズによる影響が大きくなる。図4(B)に示すオペアンプの場合、入力段に差動対として2個のトランジスタが用いられていることから、これを図4(A)に示すインスツルメンテーション・アンプに使用すると、全体として4個のトランジスタが入力段に用いられていることになる。従って、インスツルメンテーション・アンプは、オペアンプを単体で使用する場合に比べて入力段のトランジスタの数が多くなっており、フリッカノイズが大きいという問題がある。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負帰還によるゲインの設定に影響を受けることなく高い入力インピーダンスを保てるとともに、入力段のトランジスタに起因するノイズを低減できる増幅回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る増幅回路は、一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタを含む差動対であって、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの各々が、制御端子と第1端子との間の電圧に応じて前記第1端子と第2端子との間に流れる電流を制御する所定のタイプのトランジスタであり、前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記制御端子において差動信号を入力する差動対と、前記差動対における前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記第2端子に流れる電流に応じた差動信号を生じる負荷回路と、前記負荷回路において生じた差動信号を増幅して出力する出力増幅段と、前記出力増幅段から出力される差動信号を、前記差動対における前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタが持つ一対の前記第1端子に帰還する帰還回路とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る増幅回路によれば、前記差動対の前記一対の制御端子に差動信号が入力され、前記差動対の前記一対の第2端子に流れる電流に応じて前記負荷回路に差動信号が生じ、この前記負荷回路に生じた差動信号が前記出力増幅段において増幅され、前記出力増幅段から出力される差動信号が前記差動対の前記一対の第1端子に帰還される。これにより、前記差動対の前記一対の制御端子における入力インピーダンスが、上記増幅回路の負帰還のゲインに影響され難くなる。また、前記差動対の前記一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタにおいて入力段の増幅が行われるため、入力段のトランジスタに起因するフリッカノイズ等の低周波ノイズが低減される。
【0012】
好適に、上記増幅回路は、前記差動対における前記一対の制御端子へ入力される差動信号の極性を繰り返し反転させることにより、当該差動信号の周波数成分を高周波側の周波数帯域へシフトさせる第1チョッピング回路と、前記出力増幅段に入力される差動信号の極性を、前記第1チョッピング回路の前記極性反転動作と同期して繰り返し反転させることにより、当該差動信号の周波数成分を前記高周波側の周波数帯域から元の周波数帯域へ戻す第2チョッピング回路と、前記帰還回路によって前記差動対の前記一対の第1端子に帰還される差動信号の極性を、前記第1チョッピング回路の前記極性反転動作と同期して繰り返し反転させることにより、当該差動信号の周波数成分を前記高周波側の周波数帯域へシフトさせる第3チョッピング回路とを有してよい。前記出力増幅段は、前記第1チョッピング回路における前記極性反転動作による周波数成分を減衰させる低域通過フィルタ特性を有してよい。
【0013】
上記の構成によれば、前記差動対における前記一対の制御端子へ入力される差動信号の極性が、前記第1チョッピング回路において繰り返し反転されることにより、当該差動信号の周波数成分が高周波側の周波数帯域へシフトされる。また、前記出力増幅段に入力される差動信号の極性が、前記第1チョッピング回路の前記極性反転動作と同期して前記第2チョッピング回路により繰り返し反転されることにより、当該差動信号の周波数成分が前記高周波側の周波数帯域から元の周波数帯域へ戻される。そして、前記帰還回路によって前記差動対の前記一対の第1端子に帰還される差動信号の極性が、前記第1チョッピング回路の前記極性反転動作と同期して前記第3チョッピング回路により繰り返し反転されることにより、当該差動信号の周波数成分が前記高周波側の周波数帯域へシフトされる。前記第1チョッピング回路における前記極性反転動作による周波数成分は、前記出力増幅段が有する低域通過フィルタ特性によって減衰する。
これにより、前記差動対を含む初段の差動増幅段では、フリッカノイズ等の低周波ノイズの影響が小さい高周波数帯域にシフトされた状態で差動信号の増幅が行われるため、増幅結果の差動信号に含まれる低周波ノイズの成分が大幅に低減する。また、前記出力増幅段が有する低域通過フィルタ特性によって前記極性反転動作による高い周波数の成分が減衰するため、前記出力増幅段の出力信号は、低周波ノイズと高周波ノイズの両方が低減された信号となる。
【0014】
好適に、上記増幅回路は、前記負荷回路から前記第2チョッピング回路へ入力される差動信号を増幅する差動増幅段を有してよい。
これにより、フリッカノイズ等の低周波ノイズの影響が小さい高周波数帯域にシフトされた状態の差動信号に対する増幅ゲインが高められるため、出力信号に含まれる低周波ノイズ成分が低減する。
【0015】
また、上記増幅回路は、共通ノードから前記差動対における前記一対の第1端子へ分流する電流の経路に設けられた抵抗回路と、第1の電源ラインから前記共通ノードへ流れる電流の経路に設けられた可変抵抗素子と、前記差動対の前記一対の第2端子におけるコモンモード電圧が、入力される基準電圧に応じた所定の電圧に近づくように前記可変抵抗素子の抵抗を制御するコモンモード帰還回路とを有してもよい。
上記の構成によれば、前記第1の電源ラインから前記可変抵抗素子及び前記抵抗回路を介して前記差動対の前記一対の第1端子へそれぞれ電流が流れるように構成されており、前記差動対の前記一対の第2端子におけるコモンモード電圧が前記基準電圧に応じた所定の電圧に近づくように、前記可変抵抗素子の抵抗が前記コモンモード帰還回路によって制御される。これにより、差動対の各トランジスタに流れるバイアス電流が電源電圧の影響で変化し難くなり、電源電圧の影響によるバイアス電流の変動が抑制され、前記増幅回路のゲインが安定化され、電源電圧の変動による出力信号の変動が低減される。
【0016】
好適に、上記増幅回路は、前記第1の電源ラインから流れる電流を前記第1端子より入力して前記第2端子から出力し、前記制御端子が前記第2端子と接続され、前記差動対を構成する前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタと同一の導電型を有する第3トランジスタと、前記第3トランジスタの前記第2端子から第2の電源ラインへ一定の電流を流す第1定電流回路とを含み、前記第3トランジスタの前記第1端子と前記第2端子との間に生じる電圧に応じた前記基準電圧を発生する基準電圧発生回路を有してよい。
【0017】
好適に、前記コモンモード帰還回路は、一対の前記第1端子と一対の前記第2端子において並列に接続された一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタと、前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ前記一対の第1端子と共通に接続された前記第1端子を有する第6トランジスタと、前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ前記一対の第2端子から前記第2の電源ラインに流れる電流に応じた電流を、前記第6トランジスタの前記第2端子から前記第2の電源ラインへ流すカレントミラー回路と、前記第1の電源ラインから前記第4トランジスタ、前記第5トランジスタ及び前記第6トランジスタの共通接続された前記第1端子へ一定の電流を流す第2定電流回路とを含んでよい。この場合、前記負荷回路に生じる差動信号は、前記一対の第4トランジスタ及び第5トランジスタが持つ一対の前記制御端子に入力してよい。前記基準電圧は、前記第6トランジスタの前記制御端子に入力してよい。前記可変抵抗素子の抵抗を、前記第6トランジスタの前記第2端子に生じる電圧に応じて制御してよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、負帰還によるゲインの設定に影響を受けることなく高い入力インピーダンスを保てるとともに、入力段のトランジスタに起因するノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る増幅回路の構成の一例を示す図である。
図2】チョッピング回路の構成の一例を示す図である。
図3】コモンモード帰還回路と基準電圧発生回路の構成の一例を示す図である。
図4】インスツルメンテーション・アンプの基本構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る増幅回路の構成の一例を示す図である。
図1に示す増幅回路は、差動対10と、負荷回路20と、出力増幅段30と、帰還回路40と、第1チョッピング回路51,第2チョッピング回路52,第3チョッピング回路53と、差動増幅段60と、抵抗回路70と、p型MOSのトランジスタQ9と、コモンモード帰還回路80と、基準電圧発生回路90とを有する。
差動対10は、本発明における差動対の一実施形態である。
負荷回路20は、本発明における負荷回路の一実施形態である。
出力増幅段30は、本発明における出力増幅段の一実施形態である。
帰還回路40は、本発明における帰還回路の一実施形態である。
第1チョッピング回路51は、本発明における第1チョッピング回路の一実施形態である。
第2チョッピング回路52は、本発明における第2チョッピング回路の一実施形態である。
第3チョッピング回路53は、本発明における第3チョッピング回路の一実施形態である。
差動増幅段60は、本発明における差動増幅段の一実施形態である。
抵抗回路70は、本発明における抵抗回路の一実施形態である。
p型MOSのトランジスタQ9は、本発明における可変抵抗素子の一実施形態である。
コモンモード帰還回路80は、本発明におけるコモンモード帰還回路の一実施形態である。
基準電圧発生回路90は、本発明における基準電圧発生回路の一実施形態である。
【0021】
差動対10は、差動信号を入力する一対のp型MOSの第1トランジスタQ1,第2トランジスタQ2を含んで構成される。p型MOSの第1トランジスタQ1,第2トランジスタQ2は、ゲート(本発明における制御端子に相当する)とソース(本発明における第1端子に相当する)とドレイン(本発明における第2端子に相当する)を備えており、ゲートとソースとの間に入力される電圧(Vgs)に応じて、ソースとドレインの間に流れる電流(Id)を制御する。差動対10は、p型MOSの第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2の一対のゲートにおいて差動信号を入力する。
【0022】
第1チョッピング回路51は、入力端子対(I1,I2)から差動対10の一対のゲートへ入力される差動信号の極性を繰り返し反転させることにより、差動信号の周波数成分を高周波側の周波数帯域へシフトさせる。すなわち、第1チョッピング回路51は、差動信号の極性反転を繰り返すことによって、差動信号を高周波信号となるように変調する。
【0023】
図2は、第1チョッピング回路51の構成の一例を示す図である。
第1チョッピング回路51は、例えば図2に示すように、差動信号が入出力される2組の端子対(T11とT12,T21とT22)と、この端子対同士の接続を切り換えるスイッチ回路SW1〜SW4を有する。
スイッチ回路SW1は、端子T11と端子T21との接続経路をオン・オフする。スイッチ回路SW2は、端子T12と端子T22との接続経路をオン・オフする。スイッチ回路SW3は、端子T11と端子T22との接続経路をオン・オフする。スイッチ回路SW4は、端子T12と端子T21との接続経路をオン・オフする。
【0024】
スイッチ回路SW1とSW2が共にオンするとき、スイッチ回路SW3とSW4が共にオフする。スイッチ回路SW1とSW2が共にオフするとき、スイッチ回路SW3とSW4が共にオンする。各スイッチ回路がこのようなスイッチングを繰り返すことにより、2組の端子対(T11とT12,T21とT22)において入出力される差動信号の極性は繰り返し反転される。第1チョッピング回路51における差動信号の極性反転は、例えば一定の周波数で行ってもよいし、所定の範囲内で周波数をランダムに変化させながら行ってもよい。
【0025】
負荷回路20は、差動対10の一対のドレインに流れる電流に応じた差動信号を生じる回路であり、例えば図1に示すように、一対のドレインからの電流が流れる抵抗R1,R2を含む。抵抗R1は、p型MOSの第1トランジスタQ1のドレインと第2の電源ラインVSS(グランドレベル)との間の電流経路に設けられ、抵抗R2はp型MOSの第2トランジスタQ2のドレインと第2の電源ラインVSSとの間の電流経路に設けられている。抵抗R1,R2は、ノイズ発生源となるトランジスタ等の能動素子を含まない受動素子であることが望ましい。
【0026】
差動増幅段60は、負荷回路20において発生した差動信号を増幅する回路である。差動増幅段60は、例えば図4(A)に示すオペアンプの入力増幅段(Q21〜24,101)のように、差動対と定電流回路と負荷回路(カレントミラー回路などの能動素子の負荷、若しくは抵抗素子による負荷)を含んで構成される。
【0027】
第2チョッピング回路52は、差動増幅段60から出力される差動信号の極性を第1チョッピング回路51の極性反転と同期して繰り返し反転させることにより、差動信号の周波数成分を、第1チョッピング回路51によってシフトされた高周波側の周波数帯域から元の周波数帯域へ戻す。すなわち第2チョッピング回路52は、第1チョッピング回路51によって高周波信号に変調された差動信号を、第1チョッピング回路51による極性反転を打ち消すように再度極性反転することにより復調し、元の周波数帯域の信号へ戻す。
第2チョッピング回路52は、例えば図2に示す構成を有しており、上述した第1チョッピング回路51と同様な接続経路のスイッチングを行う。
【0028】
出力増幅段30は、第2チョッピング回路52において元の周波数帯域に戻された差動信号を増幅し、出力端子対(O1,O2)から出力する。出力増幅段30は、フィードバックループの安定性を確保するための位相補償回路を備えており、この位相補償の作用によって一定以上の高周波数成分が減衰するローパスフィル特性を有している。出力増幅段30は、位相補償によるローパスフィルタ特性を利用して、第1乃至第3チョッピング回路51〜53の極性反転動作に伴い発生した高周波数成分を減衰する。
【0029】
図1の例において、出力増幅段30は、n型MOSトランジスタQ7,Q8と、定電流回路31,32と、キャパシタC1,C2を有する。n型MOSトランジスタQ7,Q8は、それぞれソース接地型の増幅回路を構成する。n型MOSトランジスタQ7,Q8のソースは第2の電源ラインVSSに接続され、ドレインは負荷となる定電流回路31,32を介して第1の電源ラインVDDに接続され、ゲートには第2チョッピング回路52からの差動信号が入力される。出力増幅段30は、このn型MOSトランジスタQ7,Q8のドレインから出力端子対(O1,O2)へ差動信号を出力する。キャパシタC1,C2は、高域のゲインを抑える位相補償回路であり、n型MOSトランジスタQ7,Q8のドレインとゲートの間にそれぞれ接続される。
【0030】
帰還回路40は、出力増幅段30から出力される差動信号を、差動対10の一対のソースに帰還する。図1の例において、帰還回路40は、出力増幅段30の出力(n型MOSトランジスタQ7,Q8のドレイン)と差動対10の一対のソースとをそれぞれ接続する抵抗R6,R7を有する。
【0031】
第3チョッピング回路53は、帰還回路40によって差動対10の一対のソースに帰還される差動信号の極性を、第1チョッピング回路51の極性反転と同期して繰り返し反転させることにより、差動信号の周波数成分を再び高周波側の周波数帯域へシフトさせる。すなわち第3チョッピング回路53は、第2チョッピング回路52によって差動対10の変調された差動信号から復調された差動信号を、帰還回路40によって差動対10へ帰還する前に、差動対10の変調された差動信号と同期した信号になるように再び変調する。
第3チョッピング回路53は、例えば図2に示す構成を有しており、上述した第1チョッピング回路51及び第2チョッピング回路52と同様な接続経路のスイッチングを行う。
【0032】
抵抗回路70は、共通ノードNから差動対10の一対のソースへ分流する電流の経路に設けられており、差動対10のバイアス電圧や、帰還回路40の負帰還による増幅回路のゲインなどを設定する。図1の例において、抵抗回路70は、抵抗R3,R4,R5を有する。抵抗R3は、共通ノードNからp型MOSの第1トランジスタQ1のソースへ流れる電流の経路に設けられている。抵抗R4は、共通ノードNからp型MOSの第2トランジスタQ2のソースへ流れる電流の経路に設けられている。抵抗R5は、p型MOSの第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2のソース間に接続されている。
【0033】
p型MOSトランジスタQ9は、第1の電源ラインVDDから共通ノードNへ流れる電流の経路に設けられており、コモンモード帰還回路80から出力されるバイアス電圧Vcに応じて抵抗値が変化する可変抵抗素子として機能する。p型MOSトランジスタQ9のソースは第1の電源ラインVDDに接続され、ドレインは共通ノードNに接続され、ゲートにはバイアス電圧Vcが入力される。
【0034】
コモンモード帰還回路80は、差動対10の一対のドレインにおけるコモンモード電圧が、基準電圧発生回路90において発生する基準電圧Vrに応じた所定の電圧に近づくように、p型MOSトランジスタQ9の抵抗値を制御する。
【0035】
図3は、コモンモード帰還回路80と基準電圧発生回路90の構成の一例を示す図である。
図3の例において、コモンモード帰還回路80は、p型MOSの第4トランジスタQ4,第5トランジスタQ5,第6トランジスタQ6と、カレントミラー回路81と、第2定電流回路82を有する。基準電圧発生回路90は、p型MOSの第3トランジスタQ3と第1定電流回路91を有する。
【0036】
p型MOSの第3トランジスタQ3は、第1の電源ラインVDDから流れる電流をソースより入力してドレインから出力する。図3の例において、p型MOSの第3トランジスタQ3のソースは第1の電源ラインVDDに接続され、そのゲートはドレインに接続され、ゲートとドレインの接続点は第1定電流回路91を介してグランドレベルの第2の電源ラインVSSに接続される。第1定電流回路91は、p型MOSの第3トランジスタQ3のドレインから第2の電源ラインVSSへ一定の電流を流す。基準電圧発生回路90は、p型MOSの第3トランジスタQ3のゲートとドレインの接続点に生じる電圧を、基準電圧Vrとしてコモンモード帰還回路80に供給する
【0037】
p型MOSの第4トランジスタQ4と第5トランジスタQ5は、ドレインとソースにおいて並列に接続される(互いのドレイン同士とソース同士が接続される)。p型MOSの第6トランジスタQ6のソースは、p型MOSの第4トランジスタQ4及び第5トランジスタQ5のソースと共通に接続される。
【0038】
カレントミラー回路81は、p型MOSの第4トランジスタQ4及び第5トランジスタQ5のドレインから第2の電源ラインVSSへ流れる電流に応じた電流を、p型MOSの第6トランジスタQ6のドレインから第2の電源ラインVSSへ流す。
【0039】
図3の例において、カレントミラー回路81は、n型MOSトランジスタQ10,Q11を有する。n型MOSトランジスタQ10は、そのドレインとゲートがp型MOSの第4トランジスタQ4のドレイン及び第5トランジスタQ5のドレインに接続され、そのソースが第2の電源ラインVSSに接続される。n型MOSトランジスタQ11は、そのドレインがp型MOSの第6トランジスタQ6のドレインに接続され、そのゲートがn型MOSトランジスタQ10のゲートに接続され、そのソースが第2の電源ラインVSSに接続される。
【0040】
第2定電流回路82は、第1の電源ラインVDDからp型MOSの第4トランジスタ48,第5トランジスタQ5及び第6トランジスタQ6の共通接続されたソースへ一定の電流を流す。
【0041】
p型MOSの第4トランジスタQ4のゲートと、第5トランジスタQ5のゲートは、差動対10のドレイン電流によって負荷回路20に生じる差動電圧(Vd1,Vd2)を入力する。具体的には、差動対10におけるp型MOSの第1トランジスタQ1のドレインが、p型MOSの第4トランジスタQ4のゲートに接続され、差動対10におけるp型MOSの第2トランジスタQ2のドレインが、p型MOSの第5トランジスタQ5のゲートに接続される。
【0042】
また、p型MOSの第6トランジスタQ6のゲートは、基準電圧発生回路90において発生する基準電圧Vrを入力する。具体的には、p型MOSの第3トランジスタQ3のゲートとドレインがp型MOSの第6トランジスタQ6のゲートに接続される。
【0043】
更に、p型MOSトランジスタQ9のゲートは、p型MOSの第6トランジスタQ6のドレインにおいて発生する電圧を、バイアス電圧Vcとして入力する。
【0044】
ここで、上述した構成を有する本実施形態に係る増幅回路の動作について説明する。理解を容易にするため、まず、第1乃至第3チョッピング回路51〜53における極性反転動作を停止させた直流状態での動作を説明する。
【0045】
図1に示す増幅回路では、差動対10,負荷回路20,抵抗回路70及びp型MOSトランジスタQ5によって初段の差動増幅段が構成される。初段の差動増幅段で増幅された差動信号は、差動増幅段60及び出力増幅段30において更に増幅される。出力増幅段30において出力される差動信号は、帰還回路40を介して初段の差動増幅段(差動対10のソース)に負帰還される。
【0046】
初段の差動増幅段では、入力端子対(I1,I2)に入力される差動電圧がゼロの場合に、差動対10のp型MOSの第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2に流れる電流がほぼ等しくなるように、負荷回路20,抵抗回路70,帰還回路40等における各素子の値が設定されている。
入力端子I1の電圧が入力端子I2の電圧に比べて低くなると、p型MOSの第1トランジスタQ1に流れるドレイン電流がp型MOSの第2トランジスタQ2のドレイン電流に比べて大きくなる。この場合、抵抗R1の電圧が抵抗R2の電圧より高くなり、n型MOSのトランジスタQ7のゲート電圧がn型MOSトランジスタQ8のゲート電圧より高くなるため、出力端子O1の電圧が出力端子O2に比べて低くなる。出力端子O1の電圧が出力端子O2に比べて低くなると、帰還回路40の抵抗R6に流れる電流が抵抗R7に流れる電流に比べて大きくなるため、p型MOSの第1トランジスタQ1のソースに流れ込む電流をp型MOSの第2トランジスタQ2のソースに流れ込む電流に比べて小さくする方向に負帰還が働く。
他方、入力端子I1の電圧が入力端子I2の電圧に比べて高くなると、上記と逆の動作により、出力端子O1の電圧が出力端子O2に比べて低くなるとともに、そのゲインを抑える方向に負帰還が働く。
【0047】
初段の差動増幅段(10,20,70,Q9)、次段の差動増幅段60及び出力増幅段30による3段のゲインが十分に大きいものとすると、負帰還をかけた状態の増幅回路のゲインは、主に帰還回路40のインピーダンスと、帰還回路40との接続点から見た初段の差動増幅段のインピーダンスによって設定される。他方、図1に示す増幅回路では、入力端子対(I1,I2)がp型MOSの第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のゲートに直接接続されていることから、増幅回路の入力インピーダンスは、p型MOSの第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のドレイン,ソース側に接続される回路からはほとんど影響を受けない。すなわち、図1に示す増幅回路では、負帰還によるゲインの設定に影響を受けることなく、高い入力インピーダンスが保たれる。
【0048】
このように、図1に示す増幅回路では、ゲインの設定に影響を受けずに高い入力インピーダンスを保つことができるという利点がある一方で、出力信号が差動対10のソース側へ帰還されることから、電源ラインの電圧変動に出力信号が影響を受けやすくなり、電源電圧変動除去比(PSRR)が低下するという問題がある。
【0049】
すなわち、図1に示す増幅回路では、差動対10を構成する第1及び第2トランジスタ(Q1,Q2)の相互コンダクタンスgmが変化すると、これに応じて、帰還回路40との接続点から見た初段の差動増幅段のインピーダンスが変化し、その結果、負帰還をかけた状態での増幅回路のゲインが変化する。MOSトランジスタの相互コンダクタンスgmは、ドレインに流れるバイアス電流に応じて変化することから、電源電圧の変動に応じてバイアス電流が変化すると、負帰還をかけた状態での増幅回路のゲインが変化し、そのゲインの変化に応じて出力信号に変動が生じる。
図4に示すインスツルメンテーション・アンプのように、MOSトランジスタの高インピーダンスのゲートに出力信号を帰還する方式の場合、MOSトランジスタの相互コンダクタンスgmが多少変動しても、負帰還をかけた状態の増幅回路のゲインがこれに応じて大きく変化することはない。これに対し、図1に示す増幅回路では、MOSトランジスタの相互コンダクタンスgmが負帰還をかけた状態の増幅回路のゲインを決める要素の1つになっているため、相互コンダクタンスgmの変動は直接的にゲインの変動をもたらす。
【0050】
そこで、図1に示す増幅回路では、このような電源電圧の変動による出力信号の変動を抑制するため、負荷回路20に発生する差動電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧が一定の電圧に保たれるように、p型MOSトランジスタQ9の抵抗値が制御される。
【0051】
図3に示すコモンモード帰還回路80では、差動電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧が上昇すると、p型MOSの第4トランジスタQ4,第5トランジスタQ5に流れる電流の和が減少し、カレントミラー回路81のn型MOSトランジスタQ10に流れる電流が減少し、これに応じて、n型MOSトランジスタQ11のインピーダンスが増大する。他方、p型MOSの第4トランジスタQ4,第5トランジスタQ5に流れる電流の和が減少すると、その減少分に相当する電流がp型MOSの第6トランジスタQ6へ流れるように、p型MOSの第6トランジスタQ6のソース電位が定電流回路82によって調節され、p型MOSの第6トランジスタQ6のインピーダンスが減少する。n型MOSのトランジスタQ11のインピーダンスが増大し、p型MOSの第6トランジスタQ6のインピーダンスが減少するため、p型MOSの第6トランジスタQ6のドレインから出力されるバイアス電圧Vcは、上昇方向に変化する。バイアス電圧Vcが上昇方向に変化すると、p型MOSトランジスタQ9の抵抗値が大きくなるため、第1の電源ラインVDDからp型MOSトランジスタQ9を介して流れる差動対10のバイアス電流が減少し、差動電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧の上昇を抑制する方向に帰還が働く。
他方、差動電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧が低下すると、上記と逆の動作によって、p型MOSの第6トランジスタQ6のドレインから出力されるバイアス電圧Vcは低下方向に変化し、差動電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧の低下を抑える方向に帰還が働く。
このような負帰還動作によって、差動電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧は、基準電圧Vrに応じた所定の電圧へ近づくように制御される。
【0052】
差動電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧が一定となるように制御されると、負荷回路20に流れる差動対10のバイアス電流が一定となり、電源電圧の変動に応じたバイアス電流の変動が抑制され、バイアス電流の変動に応じた増幅回路のゲインの変動が抑制されるため、結果として、電源電圧の変動に応じた出力信号の変動が抑制される。
【0053】
なお、図3に示す基準電圧発生回路90では、ゲートとドレインが接続されたp型MOSの第3トランジスタQ3のゲート−ソース間の電圧に基づいて基準電圧Vrが発生するため、温度の影響によりp型MOSの第3トランジスタQ3のしきい値電圧Vthが変化すると、これに応じて基準電圧Vrが変化し、電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧が変化する。他方、p型MOSの第3トランジスタQ3と同一の導電型を有する差動対10のp型MOSの第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2も、p型MOSの第3トランジスタQ3と同様に温度の影響でしきい値電圧Vthが変化する。そのため、p型MOSの第3トランジスタQ3のしきい値電圧Vthの変化に伴う電圧(Vd1,Vd2)の同相電圧の変化と、p型MOSの第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のしきい値電圧Vthとの変化とが互いに打ち消しあうことになり、温度の影響による増幅回路のゲインの変動が抑制される。
以上が、図1図3に示す増幅回路の直流状態における動作である。
【0054】
次に、第1乃至第3チョッピング回路51〜53において極性反転動作を行った場合について説明する。
この場合も、基本的には直流状態の場合と同様に差動信号の増幅が行われるのであるが、直流状態の場合と異なる点は、初段の差動増幅段(10,20,70,Q9)と次段の差動増幅段60において増幅される差動信号の周波数成分が、直流状態の場合に比べて高い周波数帯域にシフトしていることにある。直流若しくは低周波の微小信号を増幅する上で障害となるフリッカノイズ(1/fノイズ)は、周波数が低くなるほど増大するが、高い周波数帯域ではほとんどなくなる。従って、初段の差動増幅段(10,20,70,Q9)と次段の差動増幅段60では、フリッカノイズのほとんどない高周波帯域において差動信号が増幅されることになるため、増幅された出力信号に含まれるフリッカノイズ成分が大幅に小さくなる。また、出力増幅段30においては、位相補償によるローパスフィルタ特性を利用して、第1乃至第3チョッピング回路51〜53の極性反転動作に伴い発生した高周波数成分が減衰される。その結果、出力増幅段30から出力される差動信号は、フリッカノイズと第1乃至第3チョッピング回路51〜53のノイズが共に除去された、非常に低ノイズの信号となる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る増幅回路によれば、差動対10の一対のゲートに差動信号が入力され、差動対10のドレインに接続される負荷回路20に発生した差動信号が出力増幅段30において増幅され、その増幅された差動信号が帰還回路40を介して差動対10の一対のソースに帰還される。これにより、差動対10の一対のゲートにおいて増幅回路の負帰還のゲインに影響を受けることなく高い入力インピーダンスを保つことができるとともに、差動対10の一対のp型MOSの第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2によって入力段の増幅を行うことができるため、従来に比べて入力段のトランジスタの数を減らし、フリッカ等のノイズを低減することができる。
従って、例えばホイートストンブリッジ形式の抵抗センサなどから入力される直流若しくは低周波の微小信号を、非常に低いノイズで増幅することが可能になり、高精度なセンサを実現することが可能となる。
入力段のトランジスタの数が少なくなることにより、消費電流を減らすことができるとともに、回路規模を小さくすることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る増幅回路によれば、第1の電源ラインVDDからp型MOSトランジスタQ9及び抵抗回路70を介して差動対10の一対のソースにそれぞれ電流が流れるように構成されており、差動対10の一対のドレインにおけるコモンモード電圧が基準電圧Vrに応じた所定の電圧に近づくようにp型MOSトランジスタQ5の抵抗が制御される。これにより、差動対10の各トランジスタ(Q1,Q2)に流れるバイアス電流が電源電圧の影響で変化し難くなるため、電源電圧の影響によるバイアス電流の変動を抑制し、増幅回路のゲインを安定化し、電源電圧の変動による出力信号の変動を低減することができる。
【0057】
更に、本実施形態に係る増幅回路によれば、差動対10に入力される差動信号の極性が、第1チョッピング回路51によって繰り返し反転されることにより、差動信号の周波数成分は、高周波側の周波数帯域へシフトされる。また、出力増幅段30へ入力される差動信号の極性が、第1チョッピング回路51の極性反転動作と同期して第2チョッピング回路52により繰り返し反転されることにより、差動信号の周波数成分は、高周波側の周波数帯域から元の周波数帯域へ戻される。そして、差動増幅段60から帰還回路40によって差動対10に帰還される差動信号の極性が、第1チョッピング回路51の極性反転動作と同期して第3チョッピング回路53により繰り返し反転されることにより、差動信号の周波数成分は、高周波側の周波数帯域へシフトされる。
従って、差動対10を含む初段の差動増幅段においては、フリッカノイズの影響が小さい高周波数帯域にシフトされた状態で差動信号の増幅が行われることになるため、増幅結果の差動信号に含まれるフリッカノイズの成分を大幅に低減することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る増幅回路によれば、第2チョッピング回路52によって元の周波数帯域に戻された差動信号に含まれる極性反転動作による周波数成分が、差動増幅段60のローパスフィルタ特性によって減衰されるため、フリッカノイズと極性反転動作によるノイズの両方が低減された非常にノイズの小さい出力信号を得ることができる。
【0059】
しかも、差動増幅段60のローパスフィルタ特性は、負帰還系の安定性を確保するための位相補償による帯域制限を兼ねているため、極性反転動作によるノイズを除去するためのフィルタ回路を別途に設ける必要がなく、回路規模の増大を抑えることができる。
【0060】
図4に示す従来のインスツルメンテーション・アンプは、オペアンプU1,U2の内部で位相補償(C11,R14)が行われているため、チョッピング回路を用いた低周波ノイズの削減を図ることが難しいという課題を有しているが、本実施形態に係る増幅回路では、位相補償を行う低速動作の出力増幅段30を高い周波数の成分が通過しないようにしているため、位相補償を行いつつ、チョッピング(極性反転動作)による低周波ノイズの削減を図ることができる。
【0061】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。すなわち、上述した実施形態において挙げられている回路構成は一例であり、同様な機能を実現する他の回路に置き換えることができる。
【0062】
例えば、上述した実施形態においては、差動対にp型MOSトランジスタが用いられているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、n型MOSトランジスタを用いて差動対を構成してもよい。またMOSトランジスタ以外の半導体素子(例えばバイポーラトランジスタ)を用いて、差動対や他の回路を構成することも可能である。
上述した実施形態では、第1の電源ラインの電圧が第2の電源ラインの電圧より高くなっているが、トランジスタの種類によっては、第1の電源ラインをグランドレベルとして、第2の電源ラインを電源電圧とすることになる。
【0063】
上述した実施形態では、帰還回路40と差動対10の間に第3チョッピング回路53が設けられているが、本発明の他の実施形態では、チョッピング回路53と差動対10の間に帰還回路を設けてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…差動対、20…負荷回路、30…出力増幅段、40…帰還回路、51…第1チョッピング回路、52…第2チョッピング回路、53…第3チョッピング回路、60…差動増幅段、70…抵抗回路、80…コモンモード帰還回路、81…カレントミラー回路、82…第2定電流回路、90…基準電圧発生回路、91…第1定電流回路、Q1…第1トランジスタ、Q2…第2トランジスタ、Q3…第3トランジスタ、Q4…第4トランジスタ、Q5…第5トランジスタ、Q6…第6トランジスタ、R1〜R5…抵抗、C1,C2…キャパシタ。
図1
図2
図3
図4