(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194008
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】電気絶縁紙
(51)【国際特許分類】
D21H 27/12 20060101AFI20170828BHJP
D21H 13/26 20060101ALI20170828BHJP
H01B 3/52 20060101ALI20170828BHJP
H01B 17/60 20060101ALI20170828BHJP
H02K 3/30 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
D21H27/12
D21H13/26
H01B3/52 C
H01B17/60 K
H02K3/30
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-543394(P2015-543394)
(86)(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公表番号】特表2016-505723(P2016-505723A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2013073782
(87)【国際公開番号】WO2014079761
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2015年10月7日
(31)【優先権主張番号】12193957.3
(32)【優先日】2012年11月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501469803
【氏名又は名称】テイジン・アラミド・ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ローリンク,ベン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッセル,リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】ディーデリング,フランク
【審査官】
長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−228059(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/093048(WO,A1)
【文献】
特開2007−308836(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/093047(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00−18/04
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
H01B3/16−3/56
17/56−19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
40−80重量%のアラミドフィブリッド、
10−50重量%のアラミドパルプ、
および10−50重量%のアラミド短繊維から成る電気絶縁紙であって、
該アラミドパルプは0.5〜6mmの長さと15〜85のショッパーリグラー(SR)値のパラアラミドパルプであり、
少なくとも0.7g/cm3より大きい嵩密度を持つことを特徴とする電気絶縁紙。
【請求項2】
フィブリッドがパラアラミドフィブリッドであり、および/または短繊維がパラアラミド短繊維である請求項1に記載の電気絶縁紙。
【請求項3】
アラミドフィブリッドはショッパーリグラー(SR)値が50−90を有し、そして/または比表面積(SSA)が10m2/g未満である請求項1または2に記載の電気絶縁紙。
【請求項4】
多くとも70重量%のフィブリッドを含んでなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気絶縁紙。
【請求項5】
前記電気絶縁紙が少なくとも15重量%のアラミド短繊維を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気絶縁紙。
【請求項6】
前記電気絶縁紙が少なくとも15重量%のパルプを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気絶縁紙。
【請求項7】
ASTM D−257の体積抵抗率の方法に準拠して少なくとも1013Ωcmの電気抵抗を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気絶縁紙。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気絶縁紙を製造する方法であって、
アラミドフィブリッドと、アラミドパルプと、アラミド短繊維とを含む懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液を多孔性スクリーン上に配し、ランダムに織り合わされた材料からなるマットを前記スクリーン上に配置する工程と、
加圧および/または真空の付与により前記マットから水分を除去する工程と、水分を除去した前記マットに乾燥工程を施す工程とを含む紙の製造方法。
【請求項9】
前記乾燥された紙にカレンダー加工工程を施す、請求項8に記載の紙の製造方法。
【請求項10】
カレンダー処理が100℃以上で行われる請求項9に記載の紙の製造方法。
【請求項11】
絶縁導体において請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気絶縁紙の使用。
【請求項12】
絶縁導体において請求項8〜10のいずれか1項に従って製造した電気絶縁紙の使用。
【請求項13】
変圧器、発電機または電動機における請求項11に記載の絶縁導体の使用。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気絶縁紙を含む絶縁導体。
【請求項15】
請求項14に記載の絶縁導体を含む、変圧器、発電機、または電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁紙に関するものであり、前記絶縁紙を含む絶縁導体、前記絶縁導体を含む変圧器、発電機、または電動機、および前記電気絶縁紙を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2012/093048は、パラアラミドフィブリッドを40〜100重量%と、アラミドパルプ、アラミドフロック、アラミド短繊維、アラミドフィブリル、メタアラミドフィブリッド、メタ/パラアラミドフィブリッド、熱伝導性フィラー、ならびにカオリンなどの充填剤、バインダー類、繊維類、粘着付与剤、および接着剤などの通常の紙添加物のうち、これらの少なくとも1つを、60重量%未満を含む電気絶縁紙が記載されている。一般的な絶縁紙は、絶縁導体、ならびにこれからなる変圧器、発電機、および電動機に用いることができる。本願の実施例に記載される絶縁紙は、高絶縁耐力を示す。しかしながら、絶縁耐力は、高品質の絶縁紙が満たすべきパラメータの一つに過ぎない。より具体的には、電気絶縁紙は、高絶縁耐力と高引張指数とを組み合わせるべきであり、絶縁耐力と引張指数との積として表すことができる。また、絶縁紙の製造の容易性も重要な特徴であり、特に、フィブリッドの含有量が多い紙は製造が困難な場合がある。
したがって、特性が改良され、製造の容易性が向上した電気絶縁紙が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、そのような特性が改良され、製造の容易性が向上した電気絶縁紙を提供する。
本発明のさらなる利点は以下の明細書から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
40−80重量%のアラミドフィブリッド、
10−50重量%のアラミドパルプ、
および10−50重量%のアラミド短繊維から成る電気絶縁紙であり、
前記アラミドパルプは、長さが0.5〜6mmであり、ショッパーリグラー(SR)値が15〜85であるパラアラミドパルプであ
り、
少なくとも0.7g/cm3より大きい嵩密度を持つ電気絶縁紙である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
上記要件を満たす電気絶縁紙は、上記成分のうち二つのみを含む系、またはアラミドフィブリッドが40重量%未満の系と比べて、絶縁耐力(kV/mmで表す)と引張指数(Nm/gで表す)との積である値が増加することがわかった。100%のアラミドフィブリッドを含む紙は、本発明の電気絶縁紙と比べて、絶縁耐力(kV/mmで表す)と引張指数(Nm/gで表す)との積である値がより高いが、この紙は製造が困難であるためあまり魅力的でない。さらに、フィブリッドのみで構成される紙は、ある種の用途では引裂強度が不十分な場合がある。
【0006】
なお、US5,026,456は、10〜40重量%のアラミドフィブリッドと、5〜30重量%の耐高温フロックと、30〜85重量%のアラミド紙パルプとを含む高多孔性紙が記載されている。このアラミド紙パルプは、フロックおよびフィブリッドを含む乾燥アラミド紙から、例えば湿式精製により得られるパルプである。これらのアラミドフィブリッド、フロックおよびパルプはすべて、メタアラミドから得られる。高多孔性は低い電気抵抗値を伴うため、高多孔性紙が電気絶縁紙としての使用には適さないことは当業者には自明である。
【0007】
本明細書の文脈において、アラミドとは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合ポリマーである芳香族ポリアミドのことを言う。アラミド類はメタ型およびパラ型で存在しており、いずれも本発明において使用できる。芳香族部分間の結合のうち少なくとも85%がパラアラミド結合であるアラミドを使用することが好ましいと考えられる。このグループの典型的なメンバーとして、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)およびポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)またはコポリ(パラ−フェニレン/3,4’−ジオキシジフェニレンテレフタルアミド)が挙げられる。芳香族部分間結合のうち少なくとも90%、より特定的には少なくとも95%がパラアラミド結合であるアラミドを使用することが好ましい。PPTAとも称されるポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の使用が特に好ましい。このことは、本発明の電気絶縁紙に適用されるアラミド成分すべてに当てはまる。
【0008】
本発明の電気絶縁紙は、アラミドフィブリッドを含む。アラミドフィブリッド類は当該技術分野において公知である。本明細書の文脈において、アラミドフィブリッドという言葉は、小さくて非顆粒状の、堅くないフィルム状の粒子のことを言う。フィルム状フィブリッド粒子は、3次元のうち2次元がマイクロメートルのオーダーであり、1次元が1マイクロメートル未満である。ある実施形態では、本発明で使用されるフィブリッドは、0.2〜2mmの範囲の平均長と、10〜500マイクロメートルの範囲の平均幅と、0.001〜1マイクロメートルの範囲の平均厚さとを有する。
【0009】
ある実施形態では、アラミドフィブリッドは、40%未満、好ましくは30%未満の微粉を含み、この微粉は250マイクロメートル未満の長さ加重平均繊維長(LL)を有する粒子と定義される。
【0010】
メタアラミドフィブリッドは、米国特許第2,999,788から既知のように、ポリマー溶液を凝集液にせん断析出させることにより調製してもよい。全芳香族ポリアミド(アラミド)のフィブリッドは米国特許第3,756,908からも公知であり、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(MPD−I)フィブリッドを調製する方法が開示されている。パラアラミドフィブリッドは、例えばWO2005/059247に記載されるような、ごく最近開発された高せん断工程により製造され、このフィブリッドはジェットスパンフィブリッドとも呼ばれる。
【0011】
アラミドフィブリッドはパラアラミドフィブリッドであるのが好ましい。最も好適な電気絶縁紙は、ショッパーリグラー(SR)値が50〜90、好ましくは75〜85のパラアラミドフィブリッドから構成されている。これらのフィブリッドの比表面積(SSA)は好ましくは10m
2/g未満、より好ましくは0.5〜10m
2/g、最も好ましくは1〜4m
2/gである。
【0012】
ある実施形態において、LL0.25が少なくとも0.3mm、特には少なくとも0.5mm、より特定的には少なくとも0.7mmであるフィブリッドが使用される。ある実施形態では、LL
0.25は多くても2mm、より特には多くても1.5mm、さらにより特には多くても1.2mmである。LL
0.25は、フィブリッド粒子の長さ加重平均繊維長を表し、ここで0.25mm未満の長さの粒子は考慮に入れない。
【0013】
本発明の電気絶縁紙は、アラミドパルプを含む。アラミドパルプは当該技術分野において周知である。このパルプはパラアラミドパルプである。
アラミドパルプは、例えば0.5〜6mmの長さに切断されたアラミド繊維から得ることができ、フィブリル化工程において、該繊維は引き裂かれフィブリルを形成するが、より太い幹(stem)に付着させてもさせなくてもよい。この種のパルプは、例えば0.5〜6mmの長さと、15〜85のショッパーリグラー値とを特徴とする。ある種の実施形態では、該パルプは4〜20m
2/gの表面積を有する。
【0014】
本明細書の文脈において、パルプという言葉は、フィブリル、すなわち、フィブリル化された部分を主に含み繊維の幹をわずかに含むか全く含まない「パルプ」をも包含する。このパルプは、アラミドフィブリルと称されることもあり、例えばWO2004/099476に記載されるように、例えば溶液からの直接紡績によって得ることができる。ある実施形態では、該パルプは、未乾燥パルプと乾燥パルプとのCSF(カナダ標準濾水度(Canadian Standard Freeness))の差が少なくとも100、好ましくは少なくとも150として表される構造不規則性を有する。ある実施形態では、湿った段階ではカナダ標準濾水度(CSF)の値が300ml未満、乾燥後の比表面積(SSA)が7m
2/g未満、好ましくは250マイクロメートル(WL0.25)を超える長さの粒子についての質量加重平均繊維長が1.2mm未満、より好ましくは1.0mm未満のフィブリルが使用される。好適なフィブリルおよびその製造方法は、例えばWO2005/059211に記載されている。
【0015】
本発明の電気絶縁紙は、アラミド短繊維を含む。ある実施形態では、本発明では例えば0.5〜15mm、特には2〜10mm、より特には3〜8mmの長さに切断されたアラミド繊維であるアラミド短繊維が使用される。このアラミド短繊維は好ましくは、パラアラミド短繊維である。
本発明の電気絶縁紙は、40〜80重量%のアラミドフィブリッドと、10〜50重量%のアラミドパルプと、10〜50重量%のアラミド短繊維とを含む。
絶縁耐力(kV/mmで表される)と引張指数(Nm/gで表される)との積である値が増加することからも分かるように、3つの成分のすべてが存在することにより良好な特性を有する電気絶縁紙が得られることが分かった。
【0016】
ある実施形態では、この電気絶縁紙は、一方では他の成分の量を増加させ、他方では紙の製造容易性を向上させるために多くても70重量%のフィブリッドを含み、さらには多くても60重量%のフィブリッドを含む。製造中にフィブリッド含有紙から水を除去することは困難であるため、フィブリッドの量が多ければ製造速度が低下する。さらに、フィブリッドの含有量が極めて多い紙は、引裂強度が不十分である場合がある。
【0017】
ある実施形態では、この紙は、少なくとも15重量%、より特には少なくとも20重量%のアラミド短繊維を含有する。これにより強度が増加した紙になるからである。
この電気絶縁紙は多くて40重量%の短繊維を含有することが好ましい。短繊維の量が多すぎると、絶縁性に悪影響を及ぼし得る。短繊維の量が少なすぎると、この発明の特性が得られない。
【0018】
ある実施形態では、この紙は、少なくとも15重量%のパルプを含有する。この電気絶縁紙は多くて40重量%のパルプ、より限定的には多くて30重量%のパルプを含有することが好ましい。
パルプの量が多すぎると、絶縁性に悪影響を及ぼし得る。パルプの量が少なすぎると、この発明の特性が得られない。
【0019】
ある実施形態では、この電気絶縁紙は、40〜60重量%の上記アラミドフィブリッドと、20〜40重量%の上記パラアラミド短繊維と、15〜30重量%の上記パラアラミドパルプとを含む。
所望に応じて、この電気絶縁紙は、雲母を含むフィラー、カオリンおよびベントナイトなどの粘土、熱伝導性電気絶縁性フィラー、鉱物類、バインダー類、繊維類、粘着付与剤、接着剤などの、通常の抄紙成分を1つ以上含んでもよい。
【0020】
この電気絶縁紙は添加剤としてカオリンを含むことが好ましい。例えばWO2008/122374に記載されるように、紡績工程の際にカオリンをフィブリッドに混合することにより製造されるカオリン含有フィブリッドを使用することにより、フィブリッドを介してカオリンを当該紙に導入することがさらに好ましい。
熱伝導性電気絶縁性フィラーは当該技術分野において公知である。これらは通常、発電機、スイッチングモード電源、および信号増幅器に適用されている。このような材料の例は、US4,869,954に見出され、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛を含む。
【0021】
ある実施形態では、本発明の電気絶縁紙は、少なくとも0.7g/cm
3、好ましくは0.9g/cm
3以上の嵩密度を有する。嵩密度が0.7g/cm
3未満の電気絶縁紙は絶縁耐力が低下することが分かった。最大値として、1.4g/cm
3を挙げることができる。
ある実施形態では、本発明に従う電気絶縁紙は、ASTM D−257の体積抵抗率の方法に準拠して少なくとも10
13Ωcmの電気抵抗を有する。好ましくは、抵抗は少なくとも10
15Ωcmである。
ある実施形態では、本発明に従う電気絶縁紙は、20〜1000g/m
2の範囲、より限定的には30〜300g/m
2の範囲の坪量を有する。
ある実施形態では、本発明に従う電気絶縁紙は、20マイクロメートルから1mmの範囲、より限定的には30〜300マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0022】
本発明はまた、上記電気絶縁紙の製造方法に関する。本発明に従う製造方法において、懸濁液は、一般的には水性懸濁液であり、上記のとおりアラミドフィブリッド、パルプおよび短繊維を含む懸濁液を調製する。この懸濁液を多孔性スクリーンの上に配し、ランダムに織り合わせた材料からなるマットをこのスクリーンの上に配置する。
例えば、加圧および/または真空を付与することによりこのマットから水分を除去し、その後乾燥させて抄紙する。
【0023】
乾燥させた紙にカレンダー加工工程を施すと、特性が改良された紙を得られることがわかった。カレンダー加工工程は当該技術分野において公知である。この工程は一組のロールに紙を通すことを含む。特に100℃以上、好ましくは150℃〜300℃、より好ましくは180℃〜220℃、最も好ましくは180℃〜200℃に温度を上昇させてカレンダー処理を行った場合、さらなる絶縁性の改良が得られることも分かった。
フィブリッドは、抄紙工程において用いる前にワーリングブレンダーなどのせん断力にかけると紙の電気的特性にとって有益となり得る。
【0024】
電動機または電力変圧器に使用されるものなどの絶縁電気巻線の製造において、巻線のターン間に絶縁シート材を配置することにより巻線のターンどうしを絶縁することが一般的に行われている。
そのようなシート材絶縁は、巻線の隣接する巻き間に、比較的高圧が本質的に生じる、高圧巻線または比較的巻数の多い巻線においてのみ通常必要とされる。
【0025】
本発明の絶縁紙は、導体の絶縁や、変圧器、発電機および電動機の製造に好適である。
したがって、本発明はまた、絶縁導体における本発明の電気絶縁紙の使用と、変圧器、発電機および電動機におけるそのような絶縁導体の使用とに関する。本発明はまた、ここに記載する、またはここに記載する製造方法により得られる紙を含む絶縁導体と、前記絶縁導体を含む変圧器、発電機または電動機とに関する。
【0026】
ある実施形態において、本発明に従う電気絶縁紙は、例えばリード線、コイル、スロット、フェーズ、ウェッジおよび端部絶縁のために巻線電機装置に使用される。別の実施形態において、本発明に従う電気絶縁紙は、ターン、層、バリアおよび絶縁タップのために変圧器に使用される。
なお、ここに記載される電気絶縁紙の実施形態は、当業者には明らかなように互いに組み合わせることが可能である。この電気絶縁紙に関して記載されたすべての実施形態および特性は、個別にまたは組み合わせて、この電気絶縁紙の製造方法にも適用可能である。この紙に関するすべての実施形態および特性は、個別にまたは組み合わせて、いかなる用途での使用にも適用可能である。
【実施例】
【0027】
抄紙プロセス(一般的手順)
すべての紙の配合は、ISO5269−2の方法に準拠して、Rapid Koethe(RK)手すき機で抄紙した。
95℃の真空下でRK乾燥機を用いて乾燥を行った。乾燥した紙のカレンダー処理は、200℃で10μmのギャップ制御下で行った。カレンダー処理には二個のスチールローラーを使用した。
絶縁耐力の測定は、ASTM D149 97A 920040に準拠し行った。紙の厚さは、絶縁破壊した位置でTAPPI411om−05に準拠して測定した。この厚さは絶縁耐力の算出において使用した。各紙の種類ごとに少なくとも5か所の絶縁破壊を測定して平均絶縁耐力(表に示す)を得た。
引張指数(TI)および破断時伸び(EAB)は、ISO1924−2に従って測定した。ガーレーは、ISO5636−5に従って測定した。
【0028】
出発材料は以下の通りであった。
PPTAフィブリッド:トワロン(登録商標)D8016、テイジンアラミド社、オランダ
PPTA短繊維:トワロン(登録商標)T1000、6mm、テイジンアラミド社、オランダ
PPTAパルプ:トワロン(登録商標)1094、テイジンアラミド社、オランダ
【0029】
[実施例1、比較例A〜E]
ISO5269−2の方法に準拠して抄紙し、その後、特に記載されない限り一般的な手順に従ってカレンダー処理を行った。抄紙される材料は、材料で1.6g(乾燥重量に基づく)となり、50g/m
2のシートが得られた。これらの種々の電気絶縁紙の組成、坪量、および厚さは以下の表1に示す。実施例1は、本発明に従う電気絶縁紙である。紙A〜Eは、比較例である。
【0030】
【表1】
【0031】
これらの紙の種々の特性を測定した。その結果を以下の表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
表2の結果より、本発明に従う実施例1の電気絶縁紙は、引張指数と絶縁耐力との積である値が高く、様々な用途での使用に適していることがわかる。フィブリッドのみを含有する紙は、このパラメータの値が非常に高いが、製造中の水分除去が困難であり、引裂強度が低かった。