(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一プーリと第二プーリの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを、前記第一プーリと前記第二プーリの軸間距離を固定したまま掛巻するに際し、前記第一プーリの外周に設置して使用する、ベルト取付治具であって、
前記第一プーリの外周上に配置され、上記ベルトが掛けられて、このベルトの張力によって前記第一プーリの外周側に押圧される、プーリ押圧部と、
当該ベルト取付治具を前記第一プーリの外周に設置した際に前記第一プーリの外周に接するように、前記プーリ押圧部の前記第一プーリ外周側に設けられた、弾性を有する保護層と、
このプーリ押圧部に掛けられた上記ベルトのうち前記第一プーリの外周上から外れている部分を引っ掛けて保持する、ベルト保持部と、
前記第一プーリの外周に対して対向するように配置され、上記プーリ押圧部に掛けられた上記ベルトのうち前記第一プーリの外周上に沿わせている部分を前記第一プーリの外周に対して押圧する、ベルト押さえ部と、
を備えたベルト取付治具。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明の第一実施形態を説明する。本実施形態に係るベルト取付治具は、クランクプーリとオルタネータのオルタネータプーリとの間にVリブドベルトを掛巻するのに用いている。先ず、
図1を参照しつつ、クランクプーリとオルタネータプーリに対するVリブドベルトの掛巻を説明し、
図2を参照しつつ、クランクプーリの構造を説明する。
【0021】
図1に示されるように、エンジン本体1には、エンジンのクランク軸に連結されるクランクプーリ2(第一プーリ)と、オルタネータの入力軸に連結されるオルタネータプーリ3(第二プーリ)と、が所定の軸間距離を隔てて回転自在に支持される。このクランクプーリ2とオルタネータプーリ3との間には、実線と破線で示すVリブドベルト4が掛巻され、もって、クランク軸の動力が、クランクプーリ2、Vリブドベルト4、オルタネータプーリ3を順に介してオルタネータの入力軸に伝動されるようになっている。本実施形態では、クランクプーリ2とオルタネータプーリ3との間の軸間距離は変更不能とされ、また、図示するように、Vリブドベルト4に対して張力を付与する所謂オートテンショナ(張力付与手段)は搭載しない。
【0022】
図2に示すように、クランクプーリ2は、Vリブドベルト4の内周に形成されるリブと嵌合可能なプーリ溝2aを有し、このプーリ溝2aをプーリ軸方向で挟む一対のプーリフランジ2bを備えている。このプーリフランジ2bは、
図2の断面視で、上記プーリ溝2aよりプーリ径方向外側へ若干、突出して形成されている。また、クランクプーリ2のボス部5には、エンジンの図示しないクランク軸が挿入される。符号2cは、クランクプーリ2の側面を示す。なお、上記のVリブドベルト4は、その周長方向において若干伸縮可能な所謂低モジュラスベルトである。
【0023】
なお、
図1の太線矢印PはVリブドベルト4の走行方向を示し、この走行方向にVリブドベルト4が走行するときのクランクプーリ2の回転方向を第一回転方向Aと、この第一回転方向Aと反対の方向を第二回転方向Bと、定義する。
【0024】
次に、
図3〜
図6を参照しつつ、本実施形態に係るベルト取付治具6の構成を説明する。
図3(a)〜(d)は、夫々、ベルト取付治具6を異なる方向から見た斜視図である。
図4(a)はベルト取付治具6の正面図である。
図4(b)はベルト取付治具6の平面図である。
図4(c)はベルト取付治具6の底面図である。
図4(d)はベルト取付治具6の左側面図である。
図4(e)はベルト取付治具6の右側面図である。
図4(f)はベルト取付治具6の背面図である。このように
図3〜
図4には、コンパクトであってまとまりよく形成されたベルト取付治具6が様々な方向から描かれている。
【0025】
図5〜
図6に示されるように、本実施形態に係るベルト取付治具6は、プーリ押圧部7と、ベルト保持部8と、ベルト押さえ部9と、保護層71と、を主たる構成として備える。このベルト取付治具6は、更に、第一当接部10(当接部)と、第二当接部11(当接部)と、を備える。このベルト取付治具6は、クランクプーリ2の外周に設置して使用するものであって、
図5に示すように、ベルト保持部8がプーリ押圧部7よりも第一回転方向A側となりベルト押さえ部9がプーリ押圧部7よりも第二回転方向B側となるように向きを定めて用いる。以下、説明の便宜上、
図1で定義した第一回転方向Aと第二回転方向Bを適宜に用いて説明を行う。即ち、
図5〜
図6における符号A、Bは、
図1に示されるクランクプーリ2の第一回転方向A、第二回転方向Bに夫々、対応している。
【0026】
上記のプーリ押圧部7やベルト保持部8、ベルト押さえ部9は、
図5に示すように、プーリ周方向に延びる連結部12によって相互に連結されている。この連結部12は、プーリ径方向においてクランクプーリ2とは重複せず、プーリ軸方向においてクランクプーリ2と隣接する位置で円弧状に板金形成されて成る。なお、
図5の状態にベルトを追加したものを
図7(a)に示すので、以降にVリブドベルト4に関する記述が出てきたときは、適宜、
図7(a)も併せて参照されたい。
【0027】
上記のプーリ押圧部7は、クランクプーリ2の外周(プーリ溝2aに相当する。以下同様。)上に配置され、上記Vリブドベルト4が掛けられて、このVリブドベルト4の張力によってクランクプーリ2の外周に対して押圧されるものである。このプーリ押圧部7は、
図6(b)に示すように、上記の連結部12と一体的に形成された板部7aと、この板部7aのクランクプーリ2側に設けられ、プーリ押圧部7とクランクプーリ2の外周との間の摩擦力を向上するための摩擦部材7bと、を備えて構成される。摩擦部材7bは、板部7aに対して溶接固定されており、クランクプーリ2の外周に対する接触面積を十分に確保すべく円弧状に形成され、その内周面は平坦とされ、プーリ溝2aの幅に相当する幅を有する(
図7(b)も併せて参照。)。この摩擦部材7bは、例えば、適宜の表面処理が施された金属材料や、ゴム、ポリウレタン等のエラストマー、ポリエチレンやポリアミド等の合成樹脂で形成されるのが好ましい。
【0028】
また、
図3〜
図4に示すように、プーリ押圧部7の摩擦部材7bの内周面側、即ち、摩擦部材7bのクランクプーリ2側には、摩擦部材7bの内周面全体を覆うように保護層71が設けられている。保護層71はシート形状をしており、粘着テープ等により、摩擦部材7bの内周面に貼り付けられている。この保護層71は、
図7(b)に示すように、ベルト取付治具6をクランクプーリ2の外周に設置した際にクランクプーリ2の外周に当接するように配置されている。
【0029】
本実施形態では保護層71は、弾性を有する軟質塩化ビニルにより成形されている。なお、保護層71に使用する材料としては、弾性を有するものであればよく、例えば、軟質塩化ビニルなどの樹脂、エンジニアリングプラスチック、各種繊維、紙、木などが挙げられる(弾性がない金属などは適切ではない)。また、保護層71の厚みは1〜3mmの範囲で全体に均一であることが望ましく、特に2mm以下であることが好ましい。これは、保護層71の厚みが1mm未満であると、ベルト取付治具6の繰り返しの使用により保護層71に亀裂が発生する場合があり、一方で、保護層71の厚みが3mmを超えると、保護層71の厚みが増し、プーリ押圧部7に保護層71を取り付ける際の作業性が低下してしまうからである。
【0030】
また、保護層71のプーリ押圧部7への取付け方法としては、本実施形態では、粘着テープにより貼り付けているが、これに限らず、ディップコーティング、チューブ状の保護層71をプーリ押圧部7に嵌め込む、予め成型した保護層71をプーリ押圧部7に係合することにより取り付ける、固形ではない(液状、ジェル状)材料(樹脂等)をプーリ押圧部7に塗布し乾燥することにより形成するなどの方法が挙げられる。
【0031】
上記のベルト保持部8は、上記のプーリ押圧部7に掛けられたVリブドベルト4のうちクランクプーリ2の外周上から外れている部分4a(
図7(a)参照)を引っ掛けて保持するものである。このベルト保持部8は、
図5に示すように連結部12の第一回転方向A側端部に配置され、連結部12と一体的に形成されている。このベルト保持部8の更に第一回転方向A側端部には、上述した第一当接部10がベルト保持部8と一体的に形成されている。そして、ベルト保持部8と第一当接部10は、プーリ軸方向からみたとき、クランクプーリ2の外周から内周へ向かって半円の円弧を描くように湾曲しており、この湾曲は第一回転方向A方向に向かって凸となっている。
【0032】
上記のベルト押さえ部9は、クランクプーリ2の外周に対して対向するように配置され、上記プーリ押圧部7に掛けられた上記Vリブドベルト4のうちクランクプーリ2の外周上に沿わせている部分4b(
図7(a)参照)をクランクプーリ2の外周に対して押圧するものである。このベルト押さえ部9は、
図5に示すように連結部12の第二回転方向B側端部に配置されており、
図6(a)に示すように、連結部12と一体的に形成された板部9aと、この板部9aのクランクプーリ2側に設けられる肉盛り部9bと、を備えて構成される。肉盛り部9bは、板部9aに溶接固定されており、プーリ幅に相当する幅を有する。また、
図6(a)に示すように、ベルト押さえ部9(肉盛り部9b)とクランクプーリ2の外周との間にはVリブドベルト4の厚みに相当する間隙Sが確保されており、この間隙SにVリブドベルト4が挿入されるようになっている。本実施形態において間隙Sは、
図6(b)に示すようにプーリ押圧部7の摩擦部材7bに設けられた保護層71をクランクプーリ2の外周に密着させた状態でVリブドベルト4のベルト厚みよりも若干薄くなるように調整されており、もって、ベルト取付治具6の使用時、ベルト押さえ部9はVリブドベルト4をクランクプーリ2の外周に対して強力に押圧するようになっている。また、
図5に示すように、プーリ押圧部7とベルト押さえ部9の間には間隙Uが確保されており、もって、
図7に示すように、プーリ押圧部7のプーリ径方向外側に掛けられたVリブドベルト4はベルト押さえ部9のプーリ径方向内側に潜り込むことができるようになっている。また、このベルト押さえ部9の連結部12と反対側の端部には、
図6(b)に示すように、上記の第二当接部11が形成されている。この第二当接部11は、ベルト押さえ部9の板部9aと一体的に形成されており、クランクプーリ2の側面2cと面接触できるようにベルト押さえ部9の板部9aに対して略直角の関係となっている。
【0033】
以上に説明したように、本実施形態では、第一当接部10とベルト保持部8、連結部12、プーリ押圧部7の板部7a、ベルト押さえ部9の板部9a、第二当接部11は、鉄鋼板材を板金加工によって一体的に形成しており、そこに、プーリ押圧部7の摩擦部材7bやベルト押さえ部9の肉盛り部9bが溶接され、更に、摩擦部材7bの内周面側に保護層71が取り付けられることでベルト取付治具6が構成されている。
【0034】
また、上記の説明では、ベルト保持部8と第一当接部10を別部材として取り扱ったが、両者の明確な境界線は特に存在しないことに留意されたい。
【0035】
また、
図6(a)及び(b)に示すように、第一当接部10と第二当接部11は、クランクプーリ2をプーリ軸方向において挟み、これら第一当接部10と第二当接部11がクランクプーリ2の各側面2cに当接することで、クランクプーリ2の外周に対するベルト取付治具6のプーリ軸方向における高度な位置決めが実現されている。
【0036】
また、
図6(b)に示すように、ベルト取付治具6をプーリ径方向でみたとき、プーリ押圧部7と連結部12、ベルト押さえ部9によってプーリ軸方向に開口するU字形状が認められる。以降の説明において、このU字形状の底に該当する連結部12の縁は、符号12aを付して称することとする。
図7に示すように、この縁12aは、クランクプーリ2の外周からプーリ軸方向にズレた位置にあるVリブドベルト4をクランクプーリ2の外周へと導くようになっており、従って、Vリブドベルト4は連結部12の縁12aに対して高い圧力で当接することとなる。
【0037】
<使用方法>
次に、
図7〜
図14を参照しつつ、上記のベルト取付治具6の使用方法を説明する。先ず、
図8及び
図9に示されるように、クランクプーリ2のボス部5にレンチ13の円筒形状である連結部13aを連結し、クランクプーリ2を手動で自由に回転できるようにして
おく。
【0038】
<手順(a)>
次に、
図8及び
図9に示すように、上記Vリブドベルト4をオルタネータプーリ3に掛巻すると共に、上記Vリブドベルト4が、
図7(a)に示すように、プーリ押圧部7のプーリ径方向外側からベルト押さえ部9のプーリ径方向内側を通過し、更に、ベルト保持部8に引っ掛けられた状態となるように、ベルト取付治具6をクランクプーリ2の外周に設置する。このとき、
図7(b)に示すように、プーリ押圧部7の摩擦部材7bに設けられた保護層71は、プーリ径方向においてはプーリ溝2aと当接し、プーリ軸方向においては一対のプーリフランジ2bに挟まれる関係とする。プーリ押圧部7の摩擦部材7bに設けられた保護層71がプーリ軸方向において一対のプーリフランジ2bに挟まれるという上記関係は、ベルト取付治具6のプーリ軸方向における位置決めと位置ズレ防止に寄与する。なお、このとき、レンチ13の柄がベルト取付治具6とクランクプーリ2の中心を挟んで反対側に位置するようにすると上記の作業がやり易い。
【0039】
上記の状態で、Vリブドベルト4は、
図7に示すように、ベルト保持部8からプーリ押圧部7を介してベルト押さえ部9に至るに際し、プーリ径方向で見てクランクプーリ2の外周とは平行でない斜めの経路を採る。また、
図9に示すように、Vリブドベルト4は、クランクプーリ2の側面2cに対して符号pで示す二箇所で当接する。
【0040】
<手順(b)>
次に、
図10に示すように、クランクプーリ2の外周に上記Vリブドベルト4が直接的に掛巻される掛巻角度θが大きくなるように、レンチ13を用いてクランクプーリ2を第一回転方向Aに回転させる。
【0041】
すると、Vリブドベルト4には、
図7(a)に示すように、伸張されることにより高い張力Tが発生する。この張力Tは、上記Vリブドベルト4が図示の通りプーリ押圧部7のプーリ径方向外側を通過しているので、
図7(b)において白抜き矢印で示すように、プーリ押圧部7をクランクプーリ2の外周に対して強力に押圧する押圧作用として働く。この際、弾性を有する保護層71がクランクプーリ2の外周に直接接触するため、クランクプーリ2の外周に対する損傷、及び、プーリ押圧部7に対する損傷を防止することができる。また、保護層71は、ベルト取付治具6がクランクプーリ2に対して滑る(位置ズレ)のを抑制する機能も果たす。
【0042】
継続してクランクプーリ2を同一方向に回転させると、Vリブドベルト4とクランクプーリ2の側面2cとの上述した当接関係がベルト保持部8によって強制的に解除され、
図11において破線と実線で示すように、ベルト保持部8に引っ掛けられて保持されていた上記Vリブドベルト4は、自己の張力によってベルト保持部8を離れ、クランクプーリ2の外周上へと自発的に移動する。
【0043】
更にクランクプーリ2を同一方向に回転させると、
図12及び
図13に示すように、プーリ押圧部7がVリブドベルト4とクランクプーリ2の外周によって挟持される関係が消失し、例えば
図13に示すように、ベルト取付治具6はクランクプーリ2の外周から離脱可能となる。更にクランクプーリ2を同一方向に回転させると、ベルト取付治具6は、
図14に示すように、Vリブドベルト4にぶら下がった状態でクランクプーリ2からオルタネータプーリ3へ向かって吐き出される。ベルト取付治具6は、このとき回収すればよい。
【0044】
(効果)
上記構成によれば、プーリ押圧部7は、Vリブドベルト4の高い張力を利用してベルト取付治具6をクランクプーリ2の外周に対して強力に固定する機能を発揮する。また、ベルト保持部8とベルト押さえ部9の存在によりVリブドベルト4は問題なくプーリ押圧部7のプーリ径方向外側に位置することとなるので、ベルト保持部8とベルト押さえ部9は、ベルト取付治具6をクランクプーリ2の外周に対して強力に固定する機能を安定して発揮させる役割を担っている。
また、弾性を有する保護層71が、ベルト取付治具6をクランクプーリ2の外周に設置した際にクランクプーリ2の外周に接するように、プーリ押圧部7のクランクプーリ2外周側に設けられている。これにより、プーリ押圧部7にVリブドベルト4が掛けられ、プーリ押圧部7がクランクプーリ2の外周側に押圧された場合、弾性を有する保護層71がクランクプーリ2の外周に直接接触するため、クランクプーリ2の外周に対する損傷、及び、プーリ押圧部7に対する損傷を防止することができる。また、保護層71は、ベルト取付治具6がクランクプーリ2に対して滑る(位置ズレ)のを抑制する機能も果たす。
【0045】
また、上記構成によれば、保護層71を樹脂により成形しているため汎用性の点で優れている。更に、保護層71を軟質塩化ビニルにより成形しているため、製造コスト・加工性で優れている。
【0046】
また、上記構成では、保護層71の厚みを1mm以上、3mm以下にすることにより、プーリ押圧部7に保護層71を取り付ける際の作業性を低下させずに、保護層71の強度を高めることができる。
【0047】
(第二実施形態)
次に、
図15を参照しつつ、本願発明の第二実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第一実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は適宜、割愛する。
【0048】
上記第一実施形態では、板部7aのクランクプーリ2側に、内周面が平坦な摩擦部材7b、及び、保護層71を設けることとした。しかし、この摩擦部材7b及び保護層71に代えて、クランクプーリ2のプーリ溝2aに対して嵌合可能な嵌合突起7c(保護層)を設けてもよい。ここで、嵌合突起7cは、上述した保護層71と同様の役割を果たし、本実施形態において嵌合突起7cは、弾性を有する軟質塩化ビニルにより成形されている。なお、嵌合突起7cに使用する材料としては、弾性を有するものであればよく、例えば、軟質塩化ビニルなどの樹脂、エンジニアリングプラスチック、各種繊維、紙、木などを使用してもよい。
【0049】
上記のように、プーリ押圧部7は、クランクプーリ2側に、クランクプーリ2が外周に有するプーリ溝2aに対して嵌合する嵌合突起7c(保護層)を有する。これによれば、クランクプーリ2に対するベルト取付治具6の位置ズレを高いレベルで抑制することができる。特に、クランクプーリ2に対するベルト取付治具6のプーリ軸方向における位置ズレを極めて高いレベルで抑制することができる。
【0050】
(第三実施形態)
次に、
図16を参照しつつ、本願発明の第三実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第一実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は適宜、割愛する。
【0051】
即ち、上記第一実施形態では、板部7aのクランクプーリ2側に、摩擦部材7b、及び、保護層71を設けることとしたが、これに代えて、
図16(a)や(b)に示すように、プーリ軸方向においてプーリフランジ2bと当接可能な平板状のフランジ当接部7d(保護層71に相当)を設けることとしてもよい。そして、このフランジ当接部7dは、板部7aに対して溶接固定されている。本実施形態においてフランジ当接部7dは、木製であるが、使用する材料としては、弾性を有するものであればよく、例えば、軟質塩化ビニルなどの樹脂、エンジニアリングプラスチックなどを使用してもよい。このフランジ当接部7dの厚みは、プーリフランジ2bのプーリ溝2aからの突出高さhと等しくなっており、従って、フランジ当接部7dは、プーリ溝2aと一対のプーリフランジ2bによって区画される空間にちょうど収容され、プーリ溝2aとプーリフランジ2bに対して接触する。この構成によれば、クランクプーリ2に対するベルト取付治具6のプーリ軸方向における位置ズレを高いレベルで抑制することができる。
【0052】
(第四実施形態)
次に、
図17〜
図20を参照しつつ、本願発明の第四実施形態に係るベルト取付治具206の構成を説明する。なお、第一実施形態と同様の箇所は説明を省略する。
図17(a)〜(d)は、夫々、ベルト取付治具206を異なる方向から見た斜視図である。
図18は、クランクプーリ2の外周にベルト取付治具206が設置された状態を示す図である。
図19は、クランクプーリ2の外周にベルト取付治具206が設置され、Vリブドベルト4がセットされた状態を示す図である。
図20は、ベルト取付治具206の使用方法の説明図である。
【0053】
図17〜
図18に示されるように、本実施形態に係るベルト取付治具206は、プーリ押圧部207と、ベルト保持部208と、ベルト押さえ部209と、保護層271と、を主たる構成として備える。このベルト取付治具206は、更に、第三当接部210(当接部)と、第四当接部211(当接部)と、を備える。
【0054】
本実施形態の保護層271は、樹脂製(軟質塩化ビニル)で、内部が中空のチューブ形状をしており、プーリ押圧部207に嵌め込まれていることによりプーリ押圧部207全体を覆っている。なお、保護層271の内部形状は、プーリ押圧部207よりも若干小さ目に成形されていることが好ましい。この場合、弾性により伸縮性がある保護層271をプーリ押圧部207に嵌め込んだ際に、保護層271のプーリ押圧部207に対する密着性が高まり、ベルト取付治具206を使用する際に、保護層271がプーリ押圧部207から外れてしまうことを防止することができる。
【0055】
このベルト取付治具206は、クランクプーリ2の外周に設置して使用するものであって、
図18に示すように、ベルト保持部208がプーリ押圧部207よりも第一回転方向A側となりベルト押さえ部209がプーリ押圧部207よりも第二回転方向B側となるように向きを定めて用いる。以下、第一実施形態と同様に
図1で定義した第一回転方向Aと第二回転方向Bを適宜に用いて説明を行う。
【0056】
上記のプーリ押圧部207やベルト保持部208、ベルト押さえ部209は、
図17〜
図18に示すように、プーリ周方向に延びる連結部212によって相互に連結されている。この連結部212は、プーリ径方向においてクランクプーリ2とは重複せず、プーリ軸方向においてクランクプーリ2と隣接する位置で円弧状に板金形成されて成る。なお、
図18の状態にベルトを追加したものを
図19に示すので、以降にVリブドベルト4に関する記述が出てきたときは、適宜、
図19も併せて参照されたい。
【0057】
上記の保護層271が嵌め込まれたプーリ押圧部207は、クランクプーリ2の外周(プーリ溝2aに相当する。以下同様。)上に配置され、Vリブドベルト4が掛けられて、このVリブドベルト4の張力によってクランクプーリ2の外周に対して押圧されるものである。このプーリ押圧部207は、連結部212と一体的に形成されている。なお、以下では、プーリ押圧部207は、チューブ状の保護層271が嵌め込まれたものとして説明する。
【0058】
上記のベルト保持部208は、プーリ押圧部207に掛けられたVリブドベルト4のうちクランクプーリ2の外周上から外れている部分4a(
図19参照)を引っ掛けて保持するものである。このベルト保持部208は、連結部212の第一回転方向A側端部に配置され、連結部212と一体的に形成されている。このベルト保持部208の更に第一回転方向A側端部には、上述した第三当接部210がベルト保持部208と一体的に形成されている。そして、ベルト保持部208と第三当接部210は、プーリ軸方向からみたとき、連結部212に対してクランクプーリ2の内側方向に折り曲がった形状をしている。また、第三当接部210の側面210aは、クランクプーリ2の側面2cと面接触している。
【0059】
上記のベルト押さえ部209は、クランクプーリ2の外周に対して対向するように配置され、上記プーリ押圧部207に掛けられた上記Vリブドベルト4のうちクランクプーリ2の外周上に沿わせている部分4b(
図19参照)をクランクプーリ2の外周に対して押圧するものである。このベルト押さえ部209は、
図18に示すように連結部212の第二回転方向B側に配置されており、連結部212と一体的に形成されている。また、ベルト押さえ部209とクランクプーリ2の外周との間にはVリブドベルト4の厚みに相当する間隙Sが確保されており、この間隙SにVリブドベルト4が挿入されるようになっている。また、
図18に示すように、プーリ押圧部207とベルト押さえ部209の間には間隙Uが確保されている。これにより、
図19に示すように、プーリ押圧部207のプーリ径方向外側に掛けられたVリブドベルト4はベルト押さえ部209のプーリ径方向内側に潜り込むことができるようになっている。
【0060】
また、上記の第四当接部211は、連結部212の第二回転方向B側端部に配置され、連結部212と一体的に形成されている。そして、第四当接部211は、プーリ軸方向からみたとき、連結部212に対してクランクプーリ2の内側方向に折り曲がった形状をしている。また、この第四当接部211の側面211aは、クランクプーリ2の側面2cと面接触している。なお、第四当接部211の中央付近には穴230が開けられている。この穴230には紐231を通すことが可能である。そして、この穴230に通された紐231をレンチ13に結びつけることにより、ベルト取付治具6がレンチ13から落下するのを防止することができる。
【0061】
<使用方法>
次に、
図19〜
図20を参照しつつ、上記のベルト取付治具206の使用方法を説明する。先ず、
図20に示されるように、クランクプーリ2のボス部5にレンチ13の円筒形状である連結部13aを連結し、クランクプーリ2を手動で自由に回転できるようにしておく。
【0062】
次に、
図19及び
図20に示すように、上記Vリブドベルト4をオルタネータプーリ3に掛巻すると共に、上記Vリブドベルト4が、
図19に示すように、プーリ押圧部207のプーリ径方向外側からベルト押さえ部209のプーリ径方向内側を通過し、更に、ベルト保持部208に引っ掛けられた状態となるように、ベルト取付治具206をクランクプーリ2の外周に設置する。
【0063】
上記の状態で、Vリブドベルト4は、
図19に示すように、ベルト保持部208からプーリ押圧部207を介してベルト押さえ部209に至るに際し、プーリ径方向で見てクランクプーリ2の外周とは平行でない斜めの経路を採る。ここで、プーリ押圧部207はクランクプーリ2の外周に対して強力に押圧する。この際、弾性を有する保護層271がクランクプーリ2の外周に直接接触するため、クランクプーリ2の外周に対する損傷、及び、プーリ押圧部207に対する損傷を防止することができる。また、保護層271は、ベルト取付治具206がクランクプーリ2に対して滑る(位置ズレ)のを抑制する機能も果たす。この後の手順は第一実施形態と同様であるため説明を割愛する。
【0064】
以上に説明したように、第四実施形態では、第三当接部210とベルト保持部208、連結部212、プーリ押圧部207、ベルト押さえ部209、第四当接部211は、鉄鋼板材を板金加工によって一体的に形成することでベルト取付治具206が構成されている。
【0065】
また、上記の説明では、ベルト保持部208と第三当接部210を別部材として取り扱ったが、両者の明確な境界線は特に存在しないことに留意されたい。
【0066】
(効果)
上記構成によれば、プーリ押圧部207全体を、チューブ形状をした保護層271によって覆うことができる。これにより、プーリ押圧部207全体を保護することができる。また、プーリ押圧部207に保護層271を取り付ける際の作業性も向上する。
【0067】
(第五実施形態)
次に、
図21〜
図22を参照しつつ、第五実施形態に係るベルト取付治具306の構成を説明する。なお、第四実施形態と同様の箇所は説明を省略し、相違する構成を中心に説明する。
図21(a)〜(d)は、夫々、ベルト取付治具306を異なる方向から見た斜視図である。
図22は、クランクプーリ2の外周にベルト取付治具306が設置された状態を示す図である。
【0068】
図21〜
図22に示されるように、このベルト取付治具306は、第四実施形態と同様に、プーリ押圧部307と、ベルト保持部308と、ベルト押さえ部309と、保護層371と、を主たる構成として備える。プーリ押圧部307やベルト保持部308、ベルト押さえ部309は、
図22に示すように、プーリ周方向に延びる連結部312によって相互に連結されている。このベルト取付治具306は、更に、第三当接部310(当接部)と、第四当接部311(当接部)と、を備える。なお、第四当接部311の中央付近には穴330が開けられている。
【0069】
そして、第四実施形態とは異なり、ベルト押さえ部309の連結部312と反対側の端部には、
図21〜
図22に示すように、第六当接部316が形成されている。この第六当接部316は、ベルト押さえ部309と一体的に形成されており、クランクプーリ2の側面2cと面接触できるようにベルト押さえ部309に対して略直角の関係となっている。
【0070】
以上に説明したように、第五実施形態では、
図21及び
図22に示すように、ベルト押さえ部309に第六当接部316が形成されているところに特徴がある。この第六当接部316と第三当接部310及び第四当接部311とが、クランクプーリ2をプーリ軸方向において挟み、この第六当接部316と第三当接部310及び第四当接部311とがクランクプーリ2の各側面2cに当接することで、クランクプーリ2の外周に対するベルト取付治具306のプーリ軸方向における高度な位置決めが実現されている。
【0071】
(第六実施形態)
次に、
図23〜
図24を参照しつつ、第六実施形態に係るベルト取付治具406の構成を説明する。なお、第四実施形態と同様の箇所は説明を省略し、相違する構成を中心に説明する。
図23(a)〜(d)は、夫々、ベルト取付治具406を異なる方向から見た斜視図である。
図24は、クランクプーリ2の外周にベルト取付治具406が設置された状態を示す図である。
【0072】
図23〜
図24に示されるように、このベルト取付治具406は、第四実施形態と同様に、プーリ押圧部407と、ベルト保持部408と、ベルト押さえ部409と、保護層471と、を主たる構成として備える。プーリ押圧部407やベルト保持部408、ベルト押さえ部409は、
図24に示すように、プーリ周方向に延びる連結部412によって相互に連結されている。このベルト取付治具406は、更に、第三当接部410(当接部)と、第四当接部411(当接部)と、を備える。なお、第四当接部411の中央付近には穴430が開けられている。
【0073】
そして、第四実施形態とは異なり、プーリ押圧部407は、
図23に示すように、クランクプーリ2の外周と接するようにクランクプーリ2側に2箇所の折り目407a・407bに沿って折り曲げられた形状をしている。即ち、プーリ押圧部407の内周面407cが、プーリフランジ2bのプーリ溝2aからの突出高さ分だけクランクプーリ2の外周に接近した状態になる。なお、チューブ形状をした保護層471は、プーリ押圧部407の内周面407cを覆うように嵌め込まれている。そして、保護層471で覆われたプーリ押圧部407の内周面側407cとクランクプーリ2の外周との間の摩擦力を向上させるために、プーリ押圧部407はクランクプーリ2の外周に対する接触面積を十分に確保すべく円弧状に形成され、その内周面407cは平坦とされ、プーリ溝2aの幅に相当する幅を有する。
【0074】
また、ベルト押さえ部409も、
図23に示すように、クランクプーリ2側に2箇所の折り目409a・409bに沿って折り曲げられた形状をしている。また、ベルト押さえ部409の内周面409cとクランクプーリ2の外周との間にはVリブドベルト4の厚みに相当する間隙Sが確保されており、この間隙SにVリブドベルト4が挿入されるようになっている。なお、ベルト押さえ部409の内周面409cは、プーリフランジ2bのプーリ溝2aからの突出高さ分から間隙S分を引いた距離だけクランクプーリ2の外周に接近した状態になっている。
【0075】
以上に説明したように、第六実施形態では、
図23及び
図24に示すように、プーリ押圧部407及びベルト押さえ部409が、クランクプーリ2側に2箇所の折り目407a・407b(折り目409a・409b)に沿って折り曲げられた形状をしているところに特徴がある。以上の構成によれば、
図2に示すように、クランクプーリ2のプーリ溝2aとプーリフランジ2bとの間に段差がある場合でも、プーリ押圧部407の2箇所の折り目407a・407bをプーリフランジ2bのプーリ溝2aからの突出高さ分だけ折り曲げることで、保護層471で覆われたプーリ押圧部407の内周面側407cをクランクプーリ2の外周に当接させることができる。即ち、保護層471で覆われたプーリ押圧部407とクランクプーリ2の外周とが当接するので、クランクプーリ2にベルト取付治具406を安定的に設置することができる。また、同様に、ベルト押さえ部409の2箇所の折り目409a・409bを折り曲げることで、ベルト押さえ部409の内周面409cをVリブドベルト4bに当接させることができる。即ち、ベルト押さえ部409とクランクプーリ2の外周に沿わせたVリブドベルト4bとが当接するので、クランクプーリ2にベルト取付治具406を安定的に設置することができる。
【0076】
(第七実施形態)
次に、
図25〜
図26を参照しつつ、第七実施形態に係るベルト取付治具506の構成を説明する。なお、第六実施形態と同様の箇所は説明を省略し、相違する構成を中心に説明する。
図25(a)〜(d)は、夫々、ベルト取付治具506を異なる方向から見た斜視図である。
図26は、クランクプーリ2の外周にベルト取付治具506が設置された状態を示す図である。
【0077】
図25〜
図26に示されるように、このベルト取付治具506は、第六実施形態と同様に、プーリ押圧部507と、ベルト保持部508と、ベルト押さえ部509と、保護層571と、を主たる構成として備える。プーリ押圧部507やベルト保持部508、ベルト押さえ部509は、
図25に示すように、プーリ周方向に延びる連結部512によって相互に連結されている。このベルト取付治具506は、更に、第三当接部510(当接部)と、第四当接部511(当接部)と、を備える。なお、第四当接部511の中央付近には穴530が開けられている。また、プーリ押圧部507は、
図25に示すように、クランクプーリ2の外周と接するようにクランクプーリ2側に2箇所の折り目507a・507bに沿って折り曲げられた形状をしている。また、ベルト押さえ部509も、
図25に示すように、クランクプーリ2側に2箇所の折り目509a・509bに沿って折り曲げられた形状をしている。
【0078】
そして、第六実施形態とは異なり、プーリ押圧部507の連結部512と反対側の端部には、
図25〜
図26に示すように、第五当接部515が形成されている。この第五当接部515は、プーリ押圧部507と一体的に形成されており、クランクプーリ2の側面2cと面接触できるようにプーリ押圧部507に対して略直角の関係となっている。本実施形態においてチューブ形状をした保護層571は、プーリ押圧部507だけを覆うように嵌め込まれている(なお、チューブ形状をした保護層571は、プーリ押圧部507及び第五当接部515を一体的に覆うように嵌め込まれていても良い)。また、ベルト押さえ部509の連結部512と反対側の端部には、
図25〜
図26に示すように、第六当接部516が形成されている。この第六当接部516は、ベルト押さえ部509と一体的に形成されており、クランクプーリ2の側面2cと面接触できるようにベルト押さえ部509に対して略直角の関係となっている。
【0079】
以上に説明したように、第七実施形態では、
図25及び
図26に示すように、プーリ押圧部507及びベルト押さえ部509にそれぞれ第五当接部515及び第六当接部516が形成されているところに特徴がある。この第五当接部515及び第六当接部516と第三当接部510及び第四当接部511とが、クランクプーリ2をプーリ軸方向において挟み、これら第五当接部515及び第六当接部516と第三当接部510及び第四当接部511とがクランクプーリ2の各側面2cに当接することで、クランクプーリ2の外周に対するベルト取付治具506のプーリ軸方向における高度な位置決めが実現されている。
【0080】
(第八実施形態)
次に、
図27〜
図28を参照しつつ、第八実施形態に係るベルト取付治具606の構成を説明する。なお、第四実施形態と同様の箇所は説明を省略し、相違する構成を中心に説明する。
図27(a)〜(d)は、夫々、ベルト取付治具606を異なる方向から見た斜視図である。
図28は、クランクプーリ2の外周にベルト取付治具606が設置された状態を示す図である。
【0081】
図27〜
図28に示されるように、このベルト取付治具606は、第四実施形態と同様に、プーリ押圧部607と、ベルト保持部608と、ベルト押さえ部609と、保護層671と、を主たる構成として備える。プーリ押圧部607やベルト保持部608、ベルト押さえ部609は、
図27に示すように、プーリ周方向に延びる連結部612によって相互に連結されている。
【0082】
そして、このベルト取付治具606は、第四実施形態と異なり、第三当接部610(当接部)だけを備える(すなわち、第四当接部を備えない)。また、第四実施形態とは異なり、ベルト押さえ部609の連結部612と反対側の端部には、
図27〜
図28に示すように、第六当接部616が形成されている。この第六当接部616は、ベルト押さえ部609と一体的に形成されており、クランクプーリ2の側面2cと面接触できるようにベルト押さえ部609に対して略直角の関係となっている。
【0083】
以上に説明したように、第八実施形態では、
図27及び
図28に示すように、クランクプーリ2の各側面2cに対して当接する一対の当接部としての第三当接部610と第六当接部616とを備えたところに特徴がある。この第三当接部610と第六当接部616とが、クランクプーリ2をプーリ軸方向において挟み、これら第三当接部610と第六当接部616とがクランクプーリ2の各側面2cに当接することで、クランクプーリ2の外周に対するベルト取付治具606のプーリ軸方向における高度な位置決めが実現されている。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0085】
例えば、上記第四〜第八実施形態では、チューブ形状の保護層271、371、471、571、671を、プーリ押圧部に嵌め込む構成に関して説明したが、これに限らず、第一実施形態同様に、保護層のプーリ押圧部への取付け方法として、シート状の保護層を粘着テープによりプーリ押圧部の内周面(クランクプーリ2の外周側)に貼り付けてもよいし、プーリ押圧部に対してディップコーティングにより保護層を形成してもよいし、予め成型した保護層をプーリ押圧部に係合することにより取り付けてもよいし、固形ではない(液状、ジェル状)材料(樹脂等)をプーリ押圧部に塗布し乾燥することにより保護層を形成してもよい。