(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ロープのストランドが挿入される口元を有するとともに、前記口元に挿入された前記ストランドが充填材で固定される筒状のソケット部と、前記ソケット部から前記口元と反対側に向けて延びたロッド部と、前記ソケット部の反対側で前記ロッド部にねじ込まれた複数の締結具と、を含むシャックルロッドが取り付けられ、前記ロープが引き出された前記ソケット部の前記口元が下方を指向するように前記シャックルロッドを作業現場で垂直に起立させる固定治具であって、
前記作業現場の据付面の上に置かれるベースと、互いに間隔を存して前記ベースから起立された一対の支柱と、を有するフレームと、
前記フレームの前記支柱の間に架け渡された梁と、前記梁に固定され、前記シャックルロッドの前記ロッド部が取り外し可能に挿入されるとともに、前記ロッド部にねじ込まれた前記締結具の間で前記ロッド部の軸方向に挟み込まれた少なくとも一つのロッド受けと、を含み、前記ソケット部の前記口元が下方を指向するように前記ロッド部を垂直に起立した姿勢に支持するロッド支持部と、
前記フレームの前記支柱の間に跨って設けられ、前記ロッド支持部の下方に位置されるとともに、前記ソケット部の前記口元から引き出された前記ロープを下方に向けて真っ直ぐに引き出した状態で固定するロープ固定部と、
を備えた固定治具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、
図1ないし
図7を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る固定治具1に二本のシャックルロッド2を取り付けた状態を示す斜視図、
図2は、固定治具1を分解して示す斜視図である。
【0015】
図1に示すシャックルロッド2は、例えばエレベータのメインロープ3を乗りかごの上梁あるいは釣合錘の上端に連結するための要素である。
図7に示すように、メインロープ3は、ロープの一例であって、心綱3aの周りに所定のピッチで撚り合わされた複数本のストランド3bを有している。
【0016】
シャックルロッド2は、ソケット部4およびロッド部5を備えている。ソケット部4は、シャックルロッド2の長手方向に沿う一端に位置されている。ソケット部4は、円筒状の口元6および開口部7を有している。口元6は、メインロープ3の一端部が挿入されるロープ挿入口8を有している。口元6は、ロープ挿入口8から遠ざかるに従い口径が逐次増加する円錐状に形成されている。
【0017】
開口部7は、ロープ挿入口8の反対側に位置されている。開口部7は、シャックルロッド2の軸方向に延びた細長い開口形状を有し、当該開口部7を通じて口元6の内側がソケット部4の外に露出されている。
【0018】
ロッド部5は、真っ直ぐな丸棒で構成されている。ロッド部5は、ソケット部4からロープ挿入口8の反対側に向けて一体に突出されており、ロッド部5の中心を通る真っ直ぐな軸線O1の上にロープ挿入口8が同軸状に位置されている。そのため、本実施形態のシャックルロッド2は、ソケット部4およびロッド部5が連続した一体構造物となっており、ソケット部4の開口部7が口元6とロッド部5との間に位置されている。
【0019】
さらに、ロッド部5の外周面に形成された雄ねじ部9に第1のナット10aおよび第2のナット10bがねじ込まれている。第1のナット10aおよび第2のナット10bは、締結具の一例であり、ソケット部4の反対側に位置されている。
【0020】
図7に示すように、メインロープ3の一端部には、ストランド3bの撚りが戻るのを防ぐ針金11がコイル状に巻き付けられている。針金11を通り越したメインロープ3の先端部は、ロープ挿入口8を通じてソケット部4の口元6の内側に挿入されている。
【0021】
口元6の内側に挿入されたメインロープ3の先端部では、ストランド3bの撚りが解除されている。撚りが解除された複数本のストランド3bは、口元6の内側で放射状に拡開されているとともに、各ストランド3bがループを描くように折り返されている。これにより、メインロープ3の一端部がソケット部4の口元6に接続されている。
【0022】
メインロープ3の一端部が接続されたシャックルロッド2は、
図1および
図2に示す固定治具1を用いて垂直に起立した姿勢に保持される。固定治具1は、例えばエレベータを設置する作業現場で使用する要素であって、大きく分けてベース15、一対の支柱16a,16b、一対の転倒防止脚17a,17b、ロッド支持部18およびロープ固定部19の五つのパーツに分割されている。
【0023】
図2に示すように、ベース15は、フラットな基板21と、一対のガイド22a,22bと、を備えている。基板21は、作業現場の据付面Gの上に置かれる要素であって、例えば四角い形状を有している。ガイド22a,22bは、例えば溝形鋼で構成されている。ガイド22a,22bは、基板21の後部から垂直に起立されているとともに、基板21の幅方向に互いに間隔を存して平行に配置されている。
【0024】
支柱16a,16bは、例えば四角い断面形状を有する構造用炭素鋼管で構成されている。支柱16a,16bの下端部は、夫々ベース15のガイド22a,22bを外側から覆うようにガイド22a,22bに取り外し可能に嵌合されている。これにより、支柱16a,16bが基板20から垂直に起立されているとともに、基板21の幅方向に間隔を存して並んでいる。
【0025】
したがって、ベース15および支柱16a,16bは、互いに協働して固定治具1のフレーム23を構成している。フレーム23は、据付面Gから垂直に起立されている。
【0026】
図1および
図2に示すように、転倒防止脚17a,17bは、支柱16a,16bの下部の背面に取り外し可能に連結されている。転倒防止脚17a,17bは、例えば山形鋼で構成されている。転倒防止脚17a,17bは、夫々連結板24および接地板25を有している。
【0027】
連結板24は、支柱16a,16bの背面に突き合わされる要素であって、転倒防止脚17a,17bの一端に固定されている。連結板24は、支柱16a,16bに向けて突出する一対のボルト26を備えている。ボルト26は、支柱16a,16bを背面の側から貫通して支柱16a,16bの前面に突出されている。さらに、支柱16a,16bの前面に突出されたボルト26の先端にナット27がねじ込まれている。このねじ込みにより、転倒防止脚17a,17bが支柱16a,16bの下部に固定されている。
【0028】
転倒防止脚17a,17bを支柱16a,16bに固定した状態では、転倒防止脚17a,17bが支柱16a,16bの背面の下部から斜め下向きに延びている。それとともに、転倒防止脚17a,17bの他端の接地板25が据付面Gに突き当たり、起立された支柱16a,16bを背後から支えている。
【0029】
図1および
図2に示すように、ロッド支持部18は、フレーム23の上端部に設けられている。ロッド支持部18は、一本の梁30、一対のクランプ31a,31bおよび一対のロッド受け32a,32bを主要な要素として備えている。
【0030】
梁30は、例えば四角い断面形状を有する構造用炭素鋼管で構成され、支柱16a,16bの上端部の間に跨る長さ寸法を有している。本実施形態によると、梁30の下面に一対のガイド33a,33bが溶接等の手段により固定されている。ガイド33a,33bは、例えば溝形鋼で構成されている。ガイド33a,33bは、梁30の両端部の下面から垂直に突出されているとともに、梁30の長手方向に互いに間隔を存して平行に配置されている。
【0031】
ガイド33a,33bは、支柱16a,16bの上端部の内側に入り込むように支柱16a,16bに取り外し可能に嵌合されている。ガイド33a,33bが支柱16a,16bに嵌合された状態では、梁30の下面が支柱16a,16bの上端に突き当たっている。これにより、梁30が支柱16a,16bの上端部の間に水平に架け渡されている。
【0032】
クランプ31a,31bは、梁30の前面に溶接等の手段で固定されている。クランプ31a,31bは、梁30の長手方向に間隔を存して並んでいる。
【0033】
ロッド受け32a,32bは、シャックルロッド2のロッド部5が取り外し可能に挿入される要素であって、例えば単管パイプで構成されている。ロッド受け32a,32bは、クランプ31a,31bに内側に挿入されるとともに、当該クランプ31a,31bにより垂直に起立した姿勢に保持されている。本実施形態によると、ロッド受け32a,32bの大部分は、梁30の上方に向けて突出されているとともに、梁30の長手方向に間隔を存して平行に配置されている。
【0034】
図1および
図2に示すように、ロープ固定部19は、ロッド支持部18の真下に位置するようにフレーム23の高さ方向に沿う中間部に設けられている。本実施形態では、支柱16a,16bの高さ方向に沿う中間部の外周面にブラケット35a,35bが溶接等の手段で固定されている。
【0035】
図6に一方の支柱16aに対応するブラケット35aを代表して示すように、ブラケット35aは、夫々支柱16aの前方に水平に張り出す突出部36を有し、当該突出部36と支柱16aの前面との間に四角い受け口37が形成されている。
【0036】
図4、
図5A、
図5Bおよび
図5Cは、ロープ固定部19の詳細を示している。ロープ固定部19は、一本の梁40および一対の挟持具41a,41bを主要な要素として備えている。
【0037】
梁40は、例えば四角い断面形状を有する構造用炭素鋼管で構成され、支柱16a,16bの中間部の間に跨る長さ寸法を有している。本実施形態によると、梁40の下面に一対のガイド42a,42bが溶接等の手段により固定されている。ガイド42a,42bは、係合部の一例であって、例えば溝形鋼で構成されている。ガイド42a,42bは、梁40の両端部の下面から垂直に突出されているとともに、梁40の長手方向に互いに間隔を存して平行に配置されている。
【0038】
ガイド42a,42bは、支柱16a,16bの前面とブラケット35a,35bの突出部36との間に規定された受け口37に取り外し可能に嵌合されている。ガイド42a,42bが受け口37に嵌合された状態では、ガイド42a,42bがブラケット35a,35bの突出部36に引っ掛かっている。これにより、梁40の下面がブラケット35a,35bの突出部36に突き当たり、梁40が支柱16a,16bの中間部の間に水平に架け渡されている。
【0039】
一対の挟持具41a,41bは、互いに共通の構成を有するので、一方の挟持具41aを代表して説明し、他方の挟持具41bについては同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
挟持具41aは、支持板44、第1のブロック45および第2のブロック46を主要な要素として備えている。
図4および
図5Aに示すように、支持板44は、例えばフラットな四角い形状を有し、当該支持板44の後端部が梁40の上面に重ねられている。
【0041】
さらに、一対のボルト貫通孔47a,47bが支持板44の後端部に形成されている。ボルト貫通孔47a,47bは、梁40の長手方向に延びた細長い開口形状を有する長孔であって、梁40の長手方向に互いに間隔を存して一列に並んでいる。
【0042】
一対の第1の固定ボルト48a,48bが支持板44の上からボルト貫通孔47a,47bに挿入されている。第1の固定ボルト48a,48bは、梁40を貫通するとともに、梁40の下のナット49a,49bにねじ込まれている。このねじ込みにより、支持板44が梁40の上面に固定されている。
【0043】
したがって、ナット49a,49bを緩めて支持板44の締め付けを解除することで、梁40の上の支持板44の位置を梁40の長手方向に沿って調整し得るようになっている。
【0044】
図1および
図4に示すように、支持板44は、梁40の前方に向けて水平に張り出すブロック保持部51を有している。ブロック保持部51は、一対のボルト挿通孔52a,52bおよびロープガイド53を有している。
【0045】
ボルト挿通孔52a,52bは、梁40と直交する方向に延びた細長い開口形状を有する長孔であって、梁40の長手方向に間隔を存して平行に配置されている。さらに、ボルト挿通孔52a,52bは、ブロック保持部51の前縁51aに開口されている。
【0046】
ロープガイド53は、ソケット部4の口元6から引き出されたメインロープ3の通過を許容する要素であって、ボルト挿通孔52a,52bの間に位置されている。ロープガイド53は、梁40と直交する方向に延びた細長い開口形状を有するとともに、ブロック保持部51の前縁51aに開口されている。
【0047】
第1のブロック45および第2のブロック46は、夫々所定の厚さを有する四角い板状の要素であって、例えばアルミニウム合金で構成されている。
図5A、
図5Bおよび
図5Cに示すように、第1のブロック45は、縦置きの姿勢で支持板44のブロック保持部51の下面に突き当てられているとともに、一対の第2の固定ボルト55a,55bおよび一対のナット56a,56bを介してブロック保持部51に固定されている。
【0048】
第2の固定ボルト55a,55bは、支持板44の上からボルト挿通孔52a,52bに挿入されているとともに、第1のブロック45の両端部を貫通している。ナット56a,56bは、第1のブロック45の下面から突出した第2の固定ボルト55a,55bの先端部にねじ込まれている。このねじ込みにより、第1のブロック45が支持板44のブロック保持部51の下面に固定されている。
【0049】
そのため、ナット56a,56bを緩めて第1のブロック45の締め付けを解除することで、支持板44に対する第1のブロック45の位置を梁40の長手方向と直交する方向に沿って調整し得るようになっている。
【0050】
第2のブロック46は、第1のブロック45の背後に縦置きの姿勢で配置されている。第2のブロック46は、一対の第3の固定ボルト57a,57bを介して第1のブロック45に支持されている。第3の固定ボルト57a,57bは、第1のブロック45の両端部を第1のブロック45の前方から貫通するとともに、第2のブロック46に形成したねじ孔58a,58bにねじ込まれている。
【0051】
このため、ねじ孔58a,58bに対する第3の固定ボルト57a,57bのねじ込み量を調整することで、第2のブロック46が第1のブロック45に近づいたり、第1のブロック45から遠ざかる方向に直線的に移動するようになっている。
【0052】
図5Bおよび
図5Cに示すように、第1のブロック45は、第2のブロック46に面した第1の面60を有している。同様に、第2のブロック46は、第1のブロック45に面した第2の面61を有している。第1の面60および第2の面61は、垂直に起立されているとともに、互いに間隔を存して向かい合っている。
【0053】
第1のガイド溝62が第1の面60の中央部に形成されている。さらに、第2のガイド溝63が第2の面61の中央部に形成されている。第1のガイド溝62および第2のガイド溝63は、メインロープ3の外周面の曲率に沿うように円弧状に湾曲されているとともに、垂直に起立されている。加えて、第1のガイド溝62および第2のガイド溝63は、メインロープ3を挟み込むように、支持板44のロープガイド53に対応した位置で互いに間隔を存して向かい合っている。
【0054】
本実施形態の固定治具1によると、一対の挟持具41a,41bが個々に有するロープガイド53、第1のガイド溝62および第2のガイド溝63は、ロッド支持部18のロッド受け32a,32bの直下に位置されている。
【0055】
次に、固定治具1にシャックルロッド2を取り付けるとともに、当該シャックルロッド2のソケット部4にメインロープ3の一端部を固定するまでの一連の作業手順について説明する。
【0056】
図2に示すように、固定治具1は、ベース15、一対の支柱16a,16b、一対の転倒防止脚17a,17b、ロッド支持部18およびロープ固定部19の五つのパーツに分かれているので、まず最初に五つのパーツを作業現場で互いに組み合わせる。
【0057】
具体的には、作業現場の据付面Gの上にベース15の基板21を載置する。この後、基板21から起立されたガイド22a,22bを外側から覆うように支柱16a,16bの下端部をガイド22a,22bに嵌合する。この嵌合により、ベース15から互いに間隔を存して垂直に起立された一対の支柱16a,16bを有するフレーム23が形成される。
【0058】
この際、転倒防止脚17a,17bは、支柱16a,16bに対しボルト26およびナット27で予め固定しておくことが望ましい。
【0059】
引き続いて、支柱16a,16bの上端にロッド支持部18のガイド33a,33bを嵌め込む。この結果、ロッド支持部18の梁30が支柱16a,16bの上端の間に水平に架け渡され、当該梁30によって支柱16a,16bの上端が互いに連結される。
【0060】
さらに、梁30の前面に固定されたクランプ31a,31bに単管パイプを用いたロッド受け32a,32bを取り付ける。ロッド受け32a,32bは、梁30に対し垂直に起立した姿勢に保持される。ロッド受け32a,32bは、ガイド33a,33bを支柱16a,16bの上端に嵌め込む以前に、予めクランプ31a,31bを介して梁30に固定しておいてもよい。
【0061】
この後、支柱16a,16bの中間部に設けられた受け口37にブラケット35a,35bの上からロープ固定部19のガイド42a,42bを嵌め込み、ロープ固定部19の梁40をブラケット35a,35bの突出部36の間に水平に架け渡す。これにより、一対の挟持具41a,41bがロッド受け32a,32bの直下に位置され、一連の固定治具1の組み立て作業が完了する。
【0062】
次に、シャックルロッド2を一本ずつ固定治具1に取り付ける作業に移行する。シャックルロッド2を固定治具1に取り付ける時点では、シャックルロッド2のソケット部4にメインロープ3の一端部が接続された状態にあり、ソケット部4の口元6からメインロープ3が引き出されている。
【0063】
本実施形態では、一本のシャックルロッド2を固定治具1に取り付ける手順について説明する。最初に、シャックルロッド2のロッド部5をロッド支持部18の下方からロッド受け32aの内側に挿入する。
【0064】
この際、ロッド部5の外周面にねじ込まれた第1のナット10aおよび第2のナット10bのうち、ロッド部5の上端の側に位置する第1のナット10aを予めロッド部5から取り外しておく。この結果、ロッド部5は、第2のナット10bがロッド受け32aの下端に突き当たるまでロッド受け32aに挿入される。
【0065】
第1のナット10aは、ロッド部5をロッド受け32aに挿入した後、ロッド受け32aの上端から突出されたロッド部5の上端部にねじ込まれる。第1のナット10aは、シャックルロッド2のソケット部4がロープ固定部19の上方に位置するようにロッド部5に対するねじ込み位置を調整する。
【0066】
これにより、ロッド受け32aが第1のナット10aと第2のナット10bとの間で軸方向に挟み込まれ、シャックルロッド2が固定治具1に仮止めされる。シャックルロッド2が固定治具1に仮止めされた状態では、シャックルロッド2が垂直に起立した姿勢に保持されるとともに、メインロープ3がソケット部4の口元6から下向きに引き出されている。
【0067】
この後、口元6から引き出されたメインロープ3をロープ固定部19に固定する。この際、ロープ固定部19の第1のブロック45および第2のブロック46は、予め支持板44から取り外されており、支持板44のみが梁40の上に残っている。そのため、まずメインロープ3を支持板44のブロック保持部51の前縁51aからロープガイド53に導いておく。
【0068】
引き続き、第1のブロック45の第1のガイド溝62と第2のブロック46の第2のガイド溝63との間にロープガイド53を貫通したメインロープ3を介在させる。この状態で、第1のブロック45を支持板44のブロック保持部51の下面に第2の固定ボルト55a,55bおよびナット56a,56bを用いて固定する。さらに、第3の固定ボルト57a,57bを締め付けることで、第1のガイド溝62の内面と第2のガイド溝63の内面との間でメインロープ3を挟み込む。
【0069】
メインロープ3を第1のガイド溝62の内面と第2のガイド溝63の内面との間で挟んだ時に、ソケット部4から下向きに引き出されたメインロープ3が弛んでいる場合は、第1のナット10aを緩めた状態でおよび第2のナット10bを回転させ、ロッド部5を引き上げる。これにより、ソケット部4から引き出されたメインロープ3が一直線状に伸びたならば、第1のナット10aと第2のナット10bとの間でロッド受け32aを挟み込み、固定治具1に対するロッド部5の位置を規定する。
【0070】
さらに、ソケット部4から下向きに引き出されたメインロープ3がロッド部5の軸線O1に対し斜めに傾いている場合は、ナット49a,49bを緩めて支持板44を梁40の長手方向に移動させる。さらに、必要に応じてナット56a,56bを緩めて第1のブロック45を第2のブロック46と一緒に梁40と直交する方向に移動させることで、挟持具41aの位置を調整する。
【0071】
この結果、メインロープ3のうち第1のブロック45と第2のブロック46との間で挟み込まれた箇所がロッド部5の軸線O1に対し同軸状に位置される。この後、ナット49a,49bおよびナット56a,56bを締め付けることで、挟持具41aが梁40に固定され、メインロープ3がソケット部4の口元6からロッド部5の軸線O1に沿って垂直に真っ直ぐに引き出された姿勢に保持される。以上により、固定治具1に対するシャックルロッド2の取り付け作業が完了する。
【0072】
シャックルロッド2を固定治具1に取り付ける作業が完了したら、ソケット部4の口元6の内側に溶融された充填材65を注入する。充填材65としては、例えばホワイトメタルのような低融点金属を主体とする合金を用いることが望ましい。充填材65は、作業者の手作業によりソケット部4の開口部7を通じて口元6の内側に充填される。
【0073】
図7に示すように、口元6の内側に充填された充填材65は、口元6の内面とストランド3bとの間、および口元6の内側で隣り合うストランド3bの間に流入するとともに、時間の経過に伴って硬化する。充填材65が硬化することで、ストランド3bとソケット部4とが一体的に結合され、メインロープ3の一端部がシャックルロッド2に固定される。
【0074】
第1の実施形態によれば、固定治具1にシャックルロッド2を取り付けることにより、ソケット部4の口元6が下方を指向するようにシャックルロッド2を垂直に起立した姿勢に保持することができる。加えて、ソケット部4に接続されたメインロープ3にしても、ロッド部5の軸線O1と同軸度を維持したまま、ソケット部4の口元6から下方に向けて垂直に一直線状に引き出された状態に固定することができる。
【0075】
このため、ソケット部4の口元6と、口元6の内側で拡開されたメインロープ3のストランド3bとの位置関係が適正に保たれ、口元6の内側で隣り合うストランド3bの間、および口元6の内面とストランド3bとの間に充填材65を万遍なく均等に充填することができる。
【0076】
したがって、ソケット部4とメインロープ3との固定部の健全性が向上し、メインロープ3が結合されたシャックルロッド2の品質を高めることができる。
【0077】
さらに、専用の固定治具1を用いることで、例えば乗りかごの上の手狭な暗い場所あるいはシャックルロッド2を固定する適当な梁が見当たらない作業現場においても、ソケット部4の口元6にメインロープ3の一端部を確実に固定することができ、作業性の改善に寄与する。
【0078】
それとともに、本実施形態の固定治具1は、ベース15、一対の支柱16a,16b、一対の転倒防止脚17a,17b、ロッド支持部18およびロープ固定部19の五つのパーツに分割されている。このため、例えば作業者が固定治具1を作業現場に運搬する際に、固定治具1が嵩張ることはなく、固定治具1の持ち運びが容易となる。
【0079】
しかも、固定治具1の五つのパーツは、単なる嵌め込みで一つの構造物として組み立てられるので、面倒なボルト締め等の作業を必要としない。このため、固定治具1を作業現場で短時間のうちに容易に組み立てることができ、作業性の向上に寄与するといった利点がある。
【0080】
[第2の実施形態]
図8および
図9は、第2の実施形態を開示している。第2の実施形態は、固定治具1に取り付けられるシャックルロッド100の構成が第1の実施形態と相違しており、それ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0081】
図8に示すように、第2の実施形態のシャックルロッド100は、分割形であり、ソケット部101とロッド部102との間がピン103で連結されている。ソケット部101は、口元104および円筒部105を有している。口元104は、メインロープ3の一端部が挿入されるロープ挿入口106を有している。口元104は、ロープ挿入口106から遠ざかるに従い口径が逐次増加する円錐状に形成されている。
【0082】
円筒部105は、口元104のロープ挿入口106とは反対側の端部に同軸状に連なっている。円筒部105は、直管状の周壁107と、ロープ挿入口106の反対側に向けて開口されたロッド挿入口108と、を有している。
【0083】
一対のスリット110a,110bが円筒部105の周壁107に形成されている。スリット110a,110bは、円筒部105の軸方向に一直線状に延びているとともに、円筒部105の径方向に互いに向かい合っている。さらに、スリット110a,110bの一端は、ロッド挿入口108に開口されている。
【0084】
一対の連結孔111a,111bが円筒部105の周壁107に形成されている。連結孔111a,111bは、スリット110a,110bの間で円筒部105の径方向に互いに向かい合っている。
【0085】
ロッド部102は、真っ直ぐな丸棒で構成されている。ロッド部102の一端部にフラットな頭部113が形成されている。頭部113は、ロッド挿入口108からスリット110a,110bに挿入され、円筒部105の内側で連結孔111a,111bの間に位置されている。そのため、頭部113は、円筒部105を径方向に二つに分断している。
【0086】
ピン103は、円筒部105の連結孔111a,111bの間に跨って挿入されている。ピン103は、ロッド部102の頭部113を貫通するとともに、割ピン114でソケット部101に保持されている。
【0087】
図9に示すように、ソケット部101のロープ挿入口106から口元104の内側に挿入されたメインロープ3のストランド3bは、充填材65によって口元104に結合されている。
【0088】
分割形のシャックルロッド100では、ロッド部102の頭部113がソケット部101のロッド挿入口108に挿入され、当該頭部113によって円筒部105が径方向に分断されている。このため、ソケット部101とロッド部102とがピン103で連結された状態では、ロッド挿入口108の開口領域が狭められており、充填材65をロッド挿入口108から口元104の内側に充填することが困難となる。
【0089】
そのため、分割形のシャックルロッド100を第1の実施形態に開示された固定治具1に取り付けるには、ロッド部102の代わりに
図9に示された仮止めロッド115をソケット部101に仮止めする。
【0090】
仮止めロッド115は、挟持部116と、挟持部116に連結された軸部117と、を備えている。挟持部116は、ソケット部101の円筒部105を径方向から挟み込む一対の腕部118a,118bと、腕部118a,118bの一端部の間に跨る連結部119と、を有している。
【0091】
腕部118a,118bは、互いに間隔を存して平行に配置されており、当該腕部118a,118bの先端部が夫々仮止めピン120a,120bを介して円筒部105に取り外し可能に支持されている。仮止めピン120a,120bは、円筒部105の連結孔111a,111bに取り外し可能に嵌合されている。この嵌合により、仮止めロッド115の挟持部116がソケット部101に連結されている。
【0092】
軸部117は、挟持部116の連結部119の中間部に結合されている。軸部117は、腕部118a,118bの反対側に向けて一直線状に延びており、当該軸部117の先端部が固定治具1のロッド支持部18に保持されるようになっている。
【0093】
仮止めロッド115の軸部117をロッド支持部18のロッド受け32aに固定した状態では、シャックルロッド100が垂直に起立した姿勢で固定治具1に保持される。さらに、仮止めロッド115が連結されたソケット部101は、ロープ挿入口106を下向きにした姿勢に保持される。
【0094】
そのため、ロープ挿入口106から下向きに引き出されたメインロープ3を前記第1の実施形態と同様の手順で固定治具1のロープ固定部19に固定すれば、メインロープ3は、ソケット部101の口元104から下方に向けて垂直に一直線状に引き出された状態に保持される。
【0095】
第2の実施形態によると、仮止めロッド115の挟持部116は、一対の腕部118a,118bの間でソケット部101の円筒部105を径方向から挟み込んでいる。このため、円筒部105のロッド挿入口108が仮止めロッド115によって塞がれることはなく、ロッド挿入口108が挟持部116の腕部118a,118bの間を通じてシャックルロッド100の外に露出されている。
【0096】
この結果、固定治具1に取り付けられたシャックルロッド100の口元104の内側に
ロッド挿入口108を通じて充填材65を充填することができる。したがって、固定治具1は、仮止めロッド115を使用することで分割形のシャックルロッド100に対しても同様に適用できる。
【0097】
第2の実施形態では、メインロープ3をソケット部101に結合する充填材65が硬化した後、仮止めロッド115をソケット部101から取り外し、正規のロッド部102をピン103でソケット部101に連結する。これにより、ソケット部101にメインロープ3が結合された分割形のシャックルロッド100が得られる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0099】
例えば、前記第1の実施形態では、単管パイプで構成されたロッド受けをクランパで梁に固定したが、クランパの代わりに例えばUボルトを用いてもよい。この構成によれば、ロッド支持部の構成を簡素化することができ、固定治具のコストを低減できる。
【0100】
さらに、ロッド受けにしても単管パイプで構成することに限らず、ロッド受けを梁の前方に向けて開口するような半円筒状の要素で構成し、当該要素を梁の前面に溶接等の手段で固定してもよい。
【0101】
この構成によれば、シャックルロッドのロッド部を梁の前方からロッド受けに嵌め込むことができ、ロッド部をロッド受けの下方からロッド受けに挿入するといった手間のかかる作業を省略できる。したがって、シャックルロッドのロッド部を固定治具に取り付ける作業を速やかに行うことができ、作業性が向上する。
【0102】
加えて、固定治具に取り付けられるシャックルロッドの数は、二本に限らず、一本あるいは三本以上としてもよく、シャックルロッドの本数に特に制約はない。
【解決手段】固定治具は、ロープのストランドが挿入される口元を有するとともに、口元に挿入されたストランドが充填材で固定される筒状のソケット部と、ソケット部から口元と反対側に向けて延びたロッド部と、を有したシャックルロッドを作業現場に固定する際に用いる。固定治具は、フレーム、ロッド支持部およびロープ固定部を主要な要素として備えている。フレームは、作業現場の据付面から起立されている。ロッド支持部は、フレームの上部に設けられ、ソケット部の口元が下方を指向するようにロッド部を垂直に起立した姿勢に支持する。ロープ固定部は、フレームに設けられ、ロッド支持部の下方に位置されるとともに、ロープをソケット部の口元から下方に向けて真っ直ぐに引き出した状態で固定する。