(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態として、5階建ての建物内に設置されたエレベータに搭載したエレベータシステムについて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータシステムの構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Aは、エレベータが設置された建物内の昇降路2上部に設置された巻上げ機3と、巻上げ機3に吊り下げられ、昇降路2内を昇降する乗りかご4と、昇降路2上部に設置されたエレベータ制御装置5と、エレベータの利用者が携帯する携帯端末6と、各階床のエレベータ乗場天井に設置され、Bluetooth(登録商標)等の汎用技術を用いて携帯端末6と無線通信可能な信号送受信装置7−1〜7−5と、昇降路2上部に設置されて信号送受信装置7−1〜7−5およびエレベータ制御装置5に接続された呼び登録指示装置8とを備える。乗りかご4の床下には、乗りかご4にかかる荷重量を検知する荷重検知装置41が設置されている。本実施形態において呼び登録指示装置8はエレベータ制御装置5と別に設置される場合について説明するが、呼び登録指示装置8の機能をエレベータ制御装置5内に搭載するようにしてもよい。
【0011】
エレベータシステム1A内の携帯端末6、信号送受信装置7−1〜7−5、呼び登録指示装置8、およびエレベータ制御装置5の詳細な構成について、
図2のブロック図を参照して説明する。
【0012】
携帯端末6は、例えばスマートデバイスで構成され、入出力部61と無線通信部62とを有する。入出力部61はタッチパネル等で構成され、利用者による操作情報を入力するとともに、信号送受信装置7−1〜7−5のいずれかから送信された情報を表示または音声により出力することで利用者に提示する。無線通信部62は、信号送受信装置7−1〜7−5と無線通信する機能を有し、信号送受信装置7−1〜7−5との無線通信が確立されると、予め記憶した利用者の情報に基づいて所定方向(上方向または下方向)の乗場呼び登録指示を送信する。
【0013】
信号送受信装置7−1〜7−5はそれぞれ、無線通信制御部71−1〜71−5と、第1情報処理部72−1〜72−5とを有する。無線通信制御部71−1〜71−5は、設置された階床の乗場に向けて自装置の存在を示す信号を所定時間間隔で発信し、携帯端末6が所定距離内に接近したことにより発信した信号が携帯端末6で受信されたことを検知すると、当該携帯端末6と無線接続を確立する。第1情報処理部72−1〜72−5は、無線通信制御部71−1〜71−5により自装置が携帯端末6に無線接続された後、携帯端末6から所定方向の乗場呼び登録指示を受信すると、自装置の識別情報とともに呼び登録指示装置8に送信する。また第1情報処理部72−1〜72−5は、呼び登録指示装置8から携帯端末6宛てに送信された情報を受信すると、これを無線通信制御部71−1〜71−5から携帯端末6に送信させる。
【0014】
呼び登録指示装置8は、第2情報処理部81と、情報保持部82とを有する。第2情報処理部81は、信号送受信装置7−1〜7−5のいずれかから所定方向の乗場呼び登録指示を受信すると、当該指示をエレベータ制御装置5に登録させるために送信するとともに、乗りかご4の現在の混雑度を算出して該当する信号送受信装置7−1〜7−5を介して携帯端末6に送信する。また第2情報処理部81は、混雑度の送信から所定時間内に携帯端末6から当該乗場呼びの取り消し指示が送信され、且つ当該乗場呼びの登録以前に登録された当該階床の該当する方向に関する呼びがないときには、当該乗り場呼び登録指示により登録された乗場呼びの取り消し指示をエレベータ制御装置5に送信する。また第2情報処理部81は、乗場呼びの取り消し指示をエレベータ制御装置5に送信すると、乗場呼びを取り消したことを示す情報を、該当する信号送受信装置7−1〜7−5を介して携帯端末6に送信する。情報保持部82は、第2情報処理部81において、エレベータ制御装置5から取得した情報を保持する。
【0015】
エレベータ制御装置5は、荷重情報取得部51と、呼び登録部52と、運転制御部53と、第3情報処理部54とを有する。荷重情報取得部51は、荷重検知装置41で検知された乗りかご4にかかる荷重量の情報を取得する。呼び登録部52は、当該エレベータに対して発生した乗場呼びおよびかご呼びを登録する。運転制御部53は、呼び登録部52に登録された乗場呼びおよびかご呼びに応答するように、巻上げ機3等の機器の運転を制御する。第3情報処理部54は、呼び登録指示装置8から送信される指示に基づいて、呼び登録部52への呼びの登録や取り消しを行う。また第3情報処理部54は、呼び登録指示装置8からの要求に基づいて、荷重情報取得部51で取得した荷重量の情報や呼び登録部52に登録されている呼び情報を取得して呼び登録指示装置8に提供する。
【0016】
〈第1実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1Aの動作の一例について、
図3のシーケンス図を参照して説明する。まず、携帯端末6を所持する利用者がエレベータを利用するために3階のエレベータ乗場に近づくと、信号送受信装置7−3の無線通信制御部71−3により発信されている信号が携帯端末6で受信される。携帯端末6で信号が受信されると、信号送受信装置7−3の無線通信制御部71−3でこれが検知され、携帯端末6との無線接続が確立される(S1)。
【0017】
信号送受信装置7−3と携帯端末6との無線接続が確立されると、携帯端末6から信号送受信装置7−3に、乗場呼び登録指示が無線送信される。この乗場呼び登録指示は、携帯端末6に予め保持された利用者の行先階情報および信号送受信装置7−3の設置階に基づいて生成されるものであり、本実施形態においては、3階下り方向の乗場呼びを登録するための指示情報が生成される。信号送受信装置7−3では、携帯端末6から送信された乗場呼び登録指示が受信されると、当該指示が第1情報処理部72−3により呼び登録指示装置8に送信される(S2)。
【0018】
呼び登録指示装置8では、信号送受信装置7−3から送信された乗場呼び登録指示が受信されると、第2情報処理部81により、当該3階下り方向について既に登録された呼びの有無、および乗りかご4の荷重情報を問い合わせるための問い合わせ情報がエレベータ制御装置5に送信される(S3)。エレベータ制御装置5では、当該問い合わせ情報が受信されると、第3情報処理部54により、荷重情報取得部51から乗りかご4の荷重情報が取得されるとともに呼び登録部52の登録状況に基づいて3階下り方向についての呼び登録の有無を示す情報が生成され、これらの情報が呼び登録指示装置8に送信される(S4)。呼び登録指示装置8では、エレベータ制御装置5から送信された情報が、第2情報処理部81の処理により情報保持部82に一時保存される(S5)。
【0019】
ここで取得された情報において、呼び登録部52に3階下り方向についての呼びが登録されていないときには、呼び登録指示装置8の第2情報処理部81により、3階下り方向の乗場呼び登録指示がエレベータ制御装置5に送信される(S6)。エレベータ制御装置5では、呼び登録指示装置8から送信された3階下り方向の乗場呼び登録指示が受信されると、第3情報処理部54の処理により呼び登録部52に登録される(S7)。
【0020】
そして、呼び登録指示装置8の第2情報処理部81により乗りかご4の現在の混雑度が算出される。ここで、第2情報処理部81には、予め設定された乗りかご4の最大積載荷重量の情報が保持されており、当該最大積載荷重量と、ステップS5で一時保存した乗りかご4の荷重情報とに基づいて、下記式(1)により乗りかご4の混雑度が算出される。
[数1]
混雑度=((現在の乗りかごの荷重量/当該乗りかごの最大積載荷重量)×100)%
(1)
【0021】
算出された混雑度の情報は、乗場呼び登録指示が受け付けられたことを示す乗場呼び登録受付情報とともに、第2情報処理部81から信号送受信装置7−3に送信される。信号送受信装置7−3で受信された乗りかご4の混雑度の情報は、第1情報処理部72−3の処理により無線通信制御部71−3から携帯端末6に無線送信される(S8)。
【0022】
乗場呼び登録受付情報および乗りかご4の混雑度情報が携帯端末6の無線通信部62で受信されると(S9)、これらの受信された情報と、登録された乗場呼びを取り消す操作を行うための呼び取り消しボタンとが、入出力部61に表示される(S10)。これらの情報が入出力部61に表示されたときの画面構成図の一例を、
図4に示す。
図4の画面構成図には、入出力部61の画面上に、乗場呼び登録受付情報「呼びを受け付けました。」の表示情報61aと、混雑度情報「混雑度は30%です。」の表示情報61bと、呼び取り消しボタンの表示情報61cとが表示されている。このように表示されることにより、利用者は乗場呼びが登録されたことを認識することができるとともに、到着を待たずに乗りかご4の混雑度を知ることができる。また利用者は、混雑度を見て乗り合わせを避けるために乗場呼びの取り消し操作を行うことができる。
【0023】
図4のように情報が表示された後に、一定期間(例えば5秒)以内に呼び取り消しボタンが操作されたときにエレベータシステム1A内で実行される処理について、
図5のシーケンス図を参照して説明する。情報の表示後、一定期間内に呼び取り消しボタンが操作されると(S11の「YES」)、携帯端末6から信号送受信装置7−3に、呼び取り消し指示が送信される。信号送受信装置7−3では、携帯端末6から送信された呼び取り消し指示が受信されると、当該指示が第1情報処理部72−3により呼び登録指示装置8に送信される(S12)。携帯端末6では、呼び取り消し指示が送信されると、入出力部61から
図5に示す表示が消去される(S13)。また、ステップS11において一定期間内に呼び取り消しボタンが操作されなかったとき(S11の「NO」)にも、入出力部61の表示は消去される。
【0024】
呼び登録指示装置8では、ステップS8において乗場呼び登録受付情報および混雑度情報を携帯端末6宛てに送信した後、一定期間(例えば5秒)以内に呼び取り消し指示が受信されたか否かが監視されている(S14)。そして、一定期間以内に当該指示が受信されると(S14の「YES」)、ステップS5で情報保持部82に一時保存された情報に基づいて、今回の乗場呼び登録の受付以前に3階下り方向についての呼びが登録されていたか否かが判定される(S15)。
【0025】
判定の結果、3階下り方向についての呼びが登録されていないとき(S15の「NO」)には、乗場呼び登録の取り消しが可能であると判断され、第2情報処理部81によりエレベータ制御装置5に対し、呼び登録取り消し指示が送信される(S16)。エレベータ制御装置5では、呼び登録指示装置8から送信された呼び登録取り消し指示が受信されると、第3情報処理部54の処理により呼び登録部52に登録されている3階下り方向の乗場呼び登録が取り消される(S17)。
【0026】
呼び登録指示装置8では、取り消し指示に基づいて乗場呼び取り消し処理が行われたことを示す取り消し実行情報が第2情報処理部81で生成され、信号送受信装置7−3を介して携帯端末6に送信される。ここで、ステップS15において、3階下り方向についての呼びが登録されていると判定されたとき(S15の「YES」)には、乗場呼び登録の取り消しが不可能であると判断され、第2情報処理部81により取り消し不可情報が生成され、信号送受信装置7−3を介して携帯端末6に送信される(S18)。これらの取り消し操作の可否を示す情報が送信されると、呼び登録指示装置8の情報保持部82に一時保存された情報が消去される(S19)。また、ステップS11において一定期間以内に呼び取り消し指示が受信されなかったとき(S14の「NO」)にも、情報保持部82に一時保存された情報は消去される。
【0027】
携帯端末6では、信号送受信装置7−3から送信された取り消し実行情報または取り消し不可情報が無線通信部62から受信され、入出力部61に表示される(S20)。入出力部61に表示された情報の一例を、
図6および7に示す。
図6は、入出力部61に取り消し実行情報「呼びを取り消しました。」の表示情報61dが表示されたときの画面構成図であり、
図7は、取り消し不可情報「呼びを取り消せません。(他の方がお待ちです)」の表示情報61eが表示されたときの画面構成図である。これらの情報が表示されることにより、利用者は、自身が行った操作により呼びが取り消されたか否かを認識することができる。表示された情報は、一定時間(例えば5秒)経過後に、画面から消去される(S21)。
【0028】
以上の第1実施形態によれば、所定の機能を有する携帯端末を所持したエレベータの利用者は、乗場に近づくのみで自動で乗り場呼びが登録されるとともに乗りかごの混雑状況を利用者が認識することができ、さらに混雑状況から乗場呼びをキャンセルしたい場合に簡易な操作で指示をすることができ、利用者の利便性を向上させることができる。また、当該エレベータの利用者を、所定の機能を有する携帯端末を所持する人に限定することができ、建物内のセキュリティレベルを確保することができる。
【0029】
上述した第1実施形態によれば、携帯端末6において乗場呼び登録受付情報および乗りかご4の混雑度情報が受信されたときに、これらの情報とともに呼び取り消しボタンが表示されるが、この時点で、今回の乗場呼び登録の受付以前に3階下り方向についての呼びが登録されていると判断されている場合には、呼び取り消しボタンを表示させないかまたは操作無効として表示させるようにしてもよい。
【0030】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータシステムの構成について、
図8を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Bは、2台のエレベータを管理対象にしており、建物内の昇降路2上部に設置された巻上げ機3−1、3−2と、巻上げ機3−1に吊り下げられて昇降路2内を昇降する乗りかご4−1と、巻上げ機3−2に吊り下げられて昇降路2内を昇降する乗りかご4−2と、昇降路2上部に設置されて巻上げ機3−1および乗りかご4−1内の機器の動作を制御する第1エレベータ制御装置5−1と、巻上げ機3−2および乗りかご4−2内の機器の動作を制御する第2エレベータ制御装置5−2と、エレベータ利用者が携帯する携帯端末6と、各階床のエレベータ乗場天井に設置され、Bluetooth(登録商標)等の汎用技術を用いて携帯端末6と無線通信可能な信号送受信装置7−1〜7−5と、昇降路2上部に設置されて信号送受信装置7−1〜7−5およびエレベータ制御装置5−1、5−2に接続された連動呼び登録指示装置9と、昇降路2上部に設置されて連動呼び登録指示装置9、およびエレベータ制御装置5−1、5−2に接続された連動制御装置10とを備える。乗りかご4−1、4−2の床下にはそれぞれ、乗りかご4−1、4−2にかかる荷重量を検知する荷重検知装置41−1、41−2が設置されている。本実施形態において連動呼び登録指示装置9は連動制御装置10と別に設置される場合について説明するが、連動呼び登録指示装置9の機能を連動制御装置10内に搭載するようにしてもよい。
【0031】
エレベータシステム1B内の携帯端末6、信号送受信装置7−1〜7−5、連動呼び登録指示装置9、連動制御装置10、およびエレベータ制御装置5−1、5−2の詳細な構成について、
図9のブロック図を参照して説明する。
図9において、携帯端末6および信号送受信装置7−1〜7−5の構成および機能は第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0032】
連動呼び登録指示装置9は、第4情報処理部91と、情報保持部92とを有する。第4情報処理部91は、信号送受信装置7−1〜7−5のいずれかから所定方向の乗場呼び登録指示を受信すると、連動制御装置10に送信して当該指示に応答させる乗りかごを割当てさせるとともに、乗りかご4−1および4−2の現在の混雑度を算出して、応答させることが決定した乗りかごの情報と算出した混雑度とを該当する信号送受信装置7−1〜7−5を介して携帯端末6に送信する。また第4情報処理部91は、混雑度等の送信から所定時間内に携帯端末6から、当該乗場呼びに応答させる乗りかごを別号機に変更させるための応答かご変更指示が送信され、且つ当該乗場呼びの登録以前に登録された当該階床の該当する方向に関する呼びがないときには、当該乗場呼び登録指示に応答する乗りかごの応答かご変更指示を連動制御装置10に送信する。また第4情報処理部91は、混雑度の送信から所定時間内に携帯端末6から当該乗場呼びの取り消し指示が送信され、且つ当該乗場呼びの登録以前に登録された当該階床の該当する方向に関する呼びがないときには、当該乗り場呼び登録指示により登録された乗場呼びの取り消し指示を連動制御装置10に送信する。また第4情報処理部91は、応答かご変更指示を連動制御装置10に送信したことにより新たに割当てられた乗りかごの情報を取得すると、当該新たに割り当てられた乗りかごの情報を、該当する信号送受信装置7−1〜7−5を介して携帯端末6に送信する。また第4情報処理部91は、乗場呼びの取り消し指示を連動制御装置10に送信すると、乗場呼びが取り消されたことを示す情報を、該当する信号送受信装置7−1〜7−5を介して携帯端末6に送信する。情報保持部92は、第4情報処理部91において、エレベータ制御装置5−1、5−2から取得した情報を保持する。
【0033】
連動制御装置10は、第5情報処理部101と、運転情報記憶部102とを有する。第5情報処理部101は、第1エレベータ制御装置5−1および第2エレベータ制御装置5−2から、それぞれのエレベータの運行状況や呼び登録情報を所定時間間隔で取得する。また第5情報処理部101は、連動呼び登録指示装置9からの要求に基づいて、後述するように運転情報記憶部102に記憶されている情報から呼び登録情報を取得し、連動呼び登録指示装置9に提供する。また第5情報処理部101は、乗場呼びが発生したとき、および応答かご変更指示を取得したときに、乗りかご4−1または4−2のいずれか一方を、当該乗場呼びに応答させる乗りかごとして割当てる。運転情報記憶部102は、第5情報処理部101により取得される、第1エレベータ制御装置5−1に登録された呼び登録情報および第2エレベータ制御装置5−2の運行状況や呼び登録情報を記憶する。
【0034】
第1エレベータ制御装置5−1は、荷重情報取得部51−1と、呼び登録部52−1と、運転制御部53−1と、第6情報処理部54−1とを有する。荷重情報取得部51−1は、荷重検知装置41−1で検知された乗りかご4−1にかかる荷重量の情報を取得する。呼び登録部52−1は、当該エレベータに対して発生した乗場呼びおよびかご呼びを登録する。運転制御部53−1は、呼び登録部52−1に登録された乗場呼びおよびかご呼びに応答するように、巻上げ機3−1等の機器の運転を制御する。第6情報処理部54−1は、連動制御装置10から送信される指示に基づいて、呼び登録部52−1への呼びの登録や取り消しを行う。また第6情報処理部54−1は、連動呼び登録指示装置9からの要求に基づいて、荷重情報取得部51−1で取得した荷重量の情報を取得して連動呼び登録指示装置9に提供する。
【0035】
第2エレベータ制御装置5−2は、荷重情報取得部51−2と、呼び登録部52−2と、運転制御部53−2と、第7情報処理部54−2とを有する。荷重情報取得部51−2は、荷重検知装置41−2で検知された乗りかご4−2にかかる荷重量の情報を取得する。呼び登録部52−2は、当該エレベータに対して発生した乗場呼びおよびかご呼びを登録する。運転制御部53−2は、呼び登録部52−2に登録された乗場呼びおよびかご呼びに応答するように、巻上げ機3−2等の機器の運転を制御する。第7情報処理部54−2は、連動制御装置10から送信される指示に基づいて、呼び登録部52−2への呼びの登録や取り消しを行う。また第7情報処理部54−2は、連動呼び登録指示装置9からの要求に基づいて、荷重情報取得部51−2で取得した荷重量の情報を取得して連動呼び登録指示装置9に提供する。
【0036】
〈第2実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1Bの動作の一例について、
図10のシーケンス図を参照して説明する。まず、携帯端末6を所持する利用者がエレベータを利用するために3階のエレベータ乗場に近づくと、第1実施形態で説明した場合と同様に信号送受信装置7−3と携帯端末6とが無線接続される。そして、携帯端末6から信号送受信装置7−3に対して3階下り方向の乗りかご呼び登録指示が送信され、さらに連動呼び登録指示装置9に送信される(S31、S32)。
【0037】
連動呼び登録指示装置9では、信号送受信装置7−3から送信された乗場呼び登録指示が受信されると、第4情報処理部91により、当該3階下り方向について既に登録された呼びの有無を問い合わせるための問い合わせ情報が連動制御装置10に送信される(S33)。連動制御装置10では、当該問い合わせ情報が受信されると、第5情報処理部101により、運転情報記憶部102に記憶されている情報に基づいて第1エレベータ制御装置5−1または第2エレベータ制御装置5−2のいずれかに3階下り方向についての呼びが登録されている否かを示す情報が生成され、連動呼び登録指示装置9に送信される(S34)。連動呼び登録指示装置9では、連動制御装置10から送信された情報が、第4情報処理部91の処理により情報保持部92に一時保存される(S35)。
【0038】
ここで取得された情報において、第1エレベータ制御装置5−1または第2エレベータ制御装置5−2のいずれかに3階下り方向についての呼びが登録されていないときには、連動呼び登録指示装置9の第4情報処理部91により、3階下り方向の乗場呼び登録指示が連動制御装置10に送信される(S36)。連動制御装置10では、連動呼び登録指示装置9から送信された3階下り方向の乗場呼び登録指示が受信されると、第5情報処理部101により、運転情報記憶部102に記憶されている2台のエレベータの運行状況や呼び登録情報に基づいて、当該乗場呼びに応答させる乗りかごとして乗りかご4−1または4−2のいずれか一方が割当てられる(S37)。ここでは、乗りかご4−1が割当てられたものとする。
【0039】
割当てられた乗りかご4−1の情報は、第5情報処理部101から該当するエレベータ制御装置5−1に送信され、第6情報処理部54−1を介して呼び登録部52−1に登録される(S38)。また、乗りかご4−1が割当てられたことを示す情報が、第5情報処理部101から連動呼び登録指示装置9に送信される。連動呼び登録指示装置9では、乗りかご4−1が割当てられたことを示す情報が取得されると、第4情報処理部91により、第1エレベータ制御装置5−1および第2エレベータ制御装置5−2に、乗りかご4−1および4−2の荷重情報に関する問い合わせ情報が送信される(S39)。第1エレベータ制御装置5−1では、当該問い合わせ情報が受信されると、第6情報処理部54−1により荷重情報取得部51−1から乗りかご4−1の荷重情報が取得され、連動呼び登録指示装置9に送信される。また、第2エレベータ制御装置5−2では、当該問い合わせ情報が受信されると、第7情報処理部54−2により荷重情報取得部51−2から乗りかご4−2の荷重情報が取得され、連動呼び登録指示装置9に送信される(S40)。
【0040】
連動呼び登録指示装置9では、乗りかご4−1および4−2の荷重情報が取得されると、第4情報処理部91により、取得された乗りかご4−1および4−2の荷重情報と、予め保持された乗りかご4−1および4−2の最大積載荷重量とに基づいて、乗りかご4−1および4−2それぞれの現在の混雑度が算出される。混雑度は、第1実施形態の場合と同様に、式(1)により算出される。
【0041】
算出された乗りかご4−1および4−2それぞれの混雑度の情報は、乗りかご4−1が割当てられたことを示す情報を含む乗場呼び登録受付情報とともに、第4情報処理部91から信号送受信装置7−3に送信される。信号送受信装置7−3で受信された情報は、第1情報処理部72−3の処理により無線通信制御部71−3から携帯端末6に無線送信される(S41)。
【0042】
乗場呼び登録受付情報および乗りかご4−1および4−2の混雑度情報が携帯端末6の無線通信部62で受信されると(S42)、これらの受信された情報と、当該乗場呼びに応答させる乗りかごを別号機に変更させるための別号機指定ボタンと、登録された乗場呼びを取り消す操作を行うための呼び取り消しボタンとが、入出力部61に表示される(S43)。
【0043】
これらの情報が入出力部61に表示されたときの画面構成図の一例を、
図11に示す。
図11の画面構成図には、入出力部61の画面上に、割当てられた乗りかご4−1に関する情報を含む乗場呼び登録受付情報「1号機が呼びを受け付けました。」の表示情報61fと、混雑度情報「1号機の混雑度は60%です。2号機の混雑度は10%です。」の表示情報61gと、別の号機指定ボタンの表示情報61hと、呼び取り消しボタンの表示情報61iとが表示されている。このように表示されることにより、利用者はどの号機に対して乗場呼びが登録されたかを認識することができるとともに、到着を待たずに乗りかご4−1および4−2の混雑度を知ることができる。また利用者は、混雑度を見て割当てかごを別の号機に変更する操作や乗場呼びの取り消し操作を行うことができる。
【0044】
図11のように携帯端末6に情報が表示された後、一定期間(例えば5秒)以内に別号機指定ボタン61hが操作されたときにエレベータシステム1B内で実行される処理について、
図12のシーケンス図を参照して説明する。情報の表示後、一定期間内に利用者により別号機指定ボタン61hが操作されると(S51の「YES」)、携帯端末6から信号送受信装置7−3に、応答させる乗りかごを別号機に変更させるための応答かご変更指示が送信される。信号送受信装置7−3では、携帯端末6から送信された応答かご変更指示が受信されると、当該指示が第1情報処理部72−3により連動呼び登録指示装置9に送信される(S52)。携帯端末6では、応答かご変更指示が送信されると、入出力部61から
図11に示す表示が消去される(S53)。また、ステップS51において一定期間内に別号機指定ボタンが操作されなかったとき(S51の「NO」)にも、入出力部61の表示は消去される。
【0045】
連動呼び登録指示装置9では、ステップS41において乗場呼び登録受付情報および混雑度情報を携帯端末6宛てに送信した後、一定期間(例えば5秒)以内に応答かご変更指示または呼び取り消し指示が受信されたかが監視されている。そして、一定期間以内に応答かご変更指示が受信されると(S54の「YES」)、ステップS35で情報保持部92に一時保存された情報に基づいて、今回の乗場呼び登録の受付以前に3階下り方向についての呼びが登録されているか否かが判定される(S55)。
【0046】
判定の結果、3階下り方向についての呼びが登録されていないとき(S55の「NO」)には、応答かごの変更が可能であると判断され、第4情報処理部91により連動制御装置10に対し、応答かご変更指示が送信される(S56)。連動制御装置10では、連動呼び登録指示装置9から送信された応答かご変更指示が受信されると、第5情報処理部101の処理により、当該乗場呼びに応答させる乗りかごの割当てが、乗りかご4−1から4−2に変更される。応答させる乗りかごの割当ての変更情報は、運転情報記憶部102に記憶されるとともに、連動呼び登録指示装置9、第1エレベータ制御装置5−1、および第2エレベータ制御装置5−2に送信される(S57)。
【0047】
第1エレベータ制御装置5−1および第2エレベータ制御装置5−2では、送信された応答かごの割当ての変更情報に基づいて呼び登録情報が変更される。具体的には、第1エレベータ制御装置5−1では、第6情報処理部54−1により登録されている乗場呼びが取り消され、第2エレベータ制御装置5−2では、第7情報処理部54−2により新たに3階下り方向の乗場呼びが登録される(S58)。
【0048】
連動呼び登録指示装置9では、応答かご変更指示に基づいて応答かごの割当てが変更されたことを示す応答かご変更情報が第4情報処理部91で生成され、信号送受信装置7−3を介して携帯端末6に送信される。ここで、ステップS55において、3階下り方向についての呼びが登録されていると判定されたとき(S55の「YES」)には、応答かごの変更が不可能であると判断され、第4情報処理部91により応答かご変更不可情報が生成され、信号送受信装置7−3を介して携帯端末6に送信される(S59)。これらの応答かご変更操作の可否を示す情報が送信されると、連動呼び登録指示装置9の情報保持部92に一時保存されていた情報が消去される(S60)。また、ステップS54において一定期間以内に応答かご変更指示が受信されず(S54の「NO」)、呼び取り消し指示も受信されなかったときにも、情報保持部92に一時保存された情報は消去される。
【0049】
携帯端末6では、信号送受信装置7−3から送信された応答かごの割当ての変更情報または応答かご変更不可情報が無線通信部62から受信され、入出力部61に表示される(S61)。入出力部61に表示された情報の一例を、
図13および14に示す。
図13は、入出力部61に応答かごの割当ての変更情報「2号機が呼びを受け付けました。」の表示情報61jが表示されたときの画面構成図であり、
図14は、応答かご変更不可情報「号機の変更はできません。(他の方がお待ちです)」の表示情報61kが表示されたときの画面構成図である。これらの情報が表示されることにより、利用者は、自身の操作により割当てかごが変更されたか否かを認識することができる。表示された情報は、一定時間(例えば5秒)経過後に、画面から消去される(S62)。
【0050】
次に、
図11のように携帯端末6に情報が表示された後、一定期間以内に呼び取り消しボタン61iが操作されたときにエレベータシステム1B内で実行される処理について、
図15のシーケンス図を参照して説明する。情報の表示後、一定期間内に利用者により取り消しボタン61iが操作されると(S71の「YES」)、携帯端末6から信号送受信装置7−3に、呼び取り消し指示が送信される。信号送受信装置7−3では、携帯端末6から送信された呼び取り消し指示が受信されると、当該指示が第1情報処理部72−3により連動呼び登録指示装置9に送信される(S72)。携帯端末6では、呼び取り消し指示が送信されると、入出力部61から
図11に示す表示が消去される(S73)。また、ステップS71において一定期間内に呼び取り消しボタンが操作されなかったとき(S71の「NO」)にも、入出力部61の表示は消去される。
【0051】
連動呼び登録指示装置9では、ステップS41において乗場呼び登録受付情報および混雑度情報を携帯端末6宛てに送信した後、一定期間以内に応答かご変更指示または呼び取り消し指示が受信されたかが監視されている。そして、呼び取り消し指示が受信されると(S74の「YES」)、ステップS35で情報保持部92に一時保存された情報に基づいて、今回の乗場呼び登録の受付以前に3階下り方向についての呼びが登録されているか否かが判定される(S75)。
【0052】
判定の結果、3階下り方向についての呼びが登録されていないとき(S75の「NO」)には、乗場呼びの取り消しが可能であると判断され、第4情報処理部91により連動制御装置10に対し、呼び取り消し指示が送信される。連動制御装置10では、連動呼び登録指示装置9から送信された呼び取り消し指示が受信されると、運転情報記憶部102に記憶された当該乗場呼びの情報が消去されるとともに、ステップS38において乗場呼びが登録されたエレベータ制御装置に対して呼び取り消し指示が送信される(S76)。
【0053】
呼び取り消し指示が取得されたエレベータ制御装置5−1または5−2では、呼び登録部52−1または52−2の乗場呼び登録が取り消される(S77)。
【0054】
連動呼び登録指示装置9では、呼び取り消し指示に基づいて乗場呼び登録が取り消されたことを示す取り消し実行情報が第4情報処理部91で生成され、信号送受信装置7−3を介して携帯端末6に送信される。ここで、ステップS55において、3階下り方向についての呼びが登録されていると判定されたとき(S75の「YES」)には、乗場呼びの取り消しが不可能であると判断され、第4情報処理部91により取り消し不可情報が生成され、信号送受信装置7−3を介して携帯端末6に送信される(S78)。これらの取り消し操作の可否を示す情報が送信されると、連動呼び登録指示装置9の情報保持部92に一時保存されていた情報が消去される(S79)。また、ステップS74において一定期間以内に呼び取り消し指示が受信されず(S74の「NO」)、応答かご変更指示も受信されなかったときにも、情報保持部92に一時保存された情報は消去される。
【0055】
携帯端末6では、信号送受信装置7−3から送信された取り消し実行情報または取り消し不可情報が無線通信部62から受信され、
図6また7のように、入出力部61に表示される(S80)。表示された情報は、一定時間経過後に、画面から消去される(S81)。
【0056】
以上の第2実施形態によれば、建物内に設置された2台のエレベータが群管理されている場合にも、所定の機能を有する携帯端末を所持したエレベータの利用者が乗場に近づくのみで自動で乗り場呼びが登録されるとともに各乗りかごの混雑状況を利用者が認識することができる。また、利用者が各乗りかごの混雑状況を認識したことにより、割当てられた乗りかごを変更したい場合や乗場呼びをキャンセルしたい場合に簡易な操作で指示をすることができ、利用者の利便性を向上させることができる。また、当該エレベータの利用者を、所定の機能を有する携帯端末を所持する人に限定することができ、建物内のセキュリティを確保することができる。
【0057】
上述した第2実施形態によれば、携帯端末6において乗場呼び登録受付情報および乗りかご4−1、4−2の混雑度情報が受信されたときに、これらの情報とともに別号機指定ボタンおよび呼び取り消しボタンが表示されるが、この時点で、今回の乗場呼び登録の受付以前に3階下り方向についての呼びが登録されていると判断されている場合には、別号機指定ボタンおよび呼び取り消しボタンを表示させないかまたは操作無効として表示させるようにしてもよい。
【0058】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態によるエレベータシステムの構成について、
図16を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Cは、車椅子利用者が乗車可能なエレベータが用いられ、乗りかご4内にスピーカ42を備える他は、第1実施形態によるエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0059】
本実施形態において携帯端末6は、携帯する利用者が車椅子利用者であることを示す情報を記憶し、信号送受信装置7−1〜7−5により無線通信が確立されたときに、車椅子利用者のための乗場呼びを登録させる身障者乗場呼び登録指示を生成し、接続された信号送受信装置7−1〜7−5に送信する。信号送受信装置7−1〜7−5は、取得した身障者乗場呼び登録指示を、呼び登録指示装置8を介してエレベータ制御装置5に送信する。エレベータ制御装置5の運転制御部53は、呼び登録指示装置8から身障者乗場呼び登録指示が取得され、当該指示に基づいて身障者乗場呼びが呼び登録部52に登録されたときに、スピーカ42から車椅子利用者が乗車することを乗りかご4内の利用者に報知するためのアナウンスを出力させる。
【0060】
このように構成することにより、エレベータシステム1Cのエレベータを車椅子利用者が利用しようとするときに、乗りかご4内の利用者に、車椅子椅子利用者の乗り込みに対する配慮を促すことができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【課題】 建物内のセキュリティレベルを確保しつつ利用者が乗りかごの到着前に混雑状況を把握して乗車の要否を判断し、この判断に基づいて乗場呼びの自動登録を行うことが可能なエレベータシステム、およびエレベータ制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によればエレベータシステムは、エレベータ利用者の携帯端末とエレベータ制御装置と乗場に設置された信号送受信装置と呼び登録指示装置とを備える。信号処理装置は対応する乗場内で検知した携帯端末との通信を確立する。呼び登録指示装置は信号送受信装置が携帯端末との通信を確立すると該当する乗場呼び登録指示をエレベータ制御装置に送信するとともに乗りかごの現在の混雑度を携帯端末に送信し、所定時間内に携帯端末から乗場呼びの取り消し指示が送信され、且つ当該乗場呼びの登録以前に登録された当該階床に関する呼びがないときには乗場呼び登録取り消し指示をエレベータ制御装置に送信する。