(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記エレベータが前記運転機能仕様に基づく運転状態になると、前記時間間隔に関わらず、前記仕様説明情報を前記表示器に表示させることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの表示システム。
前記表示制御部は、前記記憶部が記憶する前記仕様説明情報と関連付けて前記運転機能仕様の重要度を格納する管理テーブルに基づいて、前記運転機能仕様の重要度が高いほど短くなる前記時間間隔を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータの表示システム。
前記管理テーブルが格納する前記運転機能仕様の重要度が、前記エレベータの外部からの操作に応じて変更可能であることを特徴とする請求項3に記載のエレベータの表示システム。
前記表示器は、前記エレベータのかご内に設けられた第1のかご内表示器と、前記エレベータのかご内の前記第1のかご内表示器とは異なる位置に設けられた第2のかご内表示器とを含み、
前記表示制御部は、前記記憶部が記憶する同一の前記仕様説明情報を前記第1のかご内表示器と前記第2のかご内表示器とにスクロール表示させる際に、前記第2のかご内表示器による表示開始を、前記第1のかご内表示器による表示開始から遅延させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエレベータの表示システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態のエレベータの表示システムおよび仕様説明表示方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、エレベータが対応している運転機能仕様を説明する仕様説明情報を記憶しておき、エレベータの所定の表示器にその仕様説明情報を所定の時間間隔で繰り返し表示させることで、エレベータがどのような運転機能仕様に対応したものであるか、その運転機能仕様によってエレベータがどのような動作をするかを利用者に認識させるようにしたものである。
【0011】
運転機能仕様とは、上述したように、顧客のニーズや設置環境などに応じてエレベータに付加される運転機能の特有の動作や動作手順などを定めたものである。仕様説明情報は、運転機能仕様によって定められた特有の動作や動作手順などを、テキスト、静止画、動画のいずれかまたは組み合わせによって説明する情報である。例えば、車椅子運転に対応する仕様説明情報は、車椅子運転時には乗場およびかごのドアが通常運転時よりも長い時間開放されること、かごの着床時にかごの移動が完全に停止してからドアが開放されることなどを説明する。また、地震時管制運転に対応する仕様説明情報は、地震が検知されると移動中のかごが一旦停止した後、最寄階に移動してドアが開放されることなどを説明する。また、火災時管制運転に対応する仕様説明情報は、火災が検知されるとかごが避難階に移動してドアが開放されることなどを説明する。また、停電時管制運転に対応する仕様説明情報は、停電時には移動中のかごが一旦停止するが、その後、蓄電池からの給電により最寄階に移動してドアが開放されることなどを説明する。また、ホームランディングに対応する仕様説明情報は、利用者のいなくなったかごが建物のエントランス階に自動的に移動してエントランス階で待機することなどを説明する。
【0012】
エレベータが対応する運転機能仕様は1つとは限らず、複数の運転機能仕様に対応していることが多い。そして、エレベータが対応している運転機能仕様は、その性質によって重要度が異なる。例えば、上述の地震時管制運転とホームランディングとを比較すると、地震時管制運転の方がホームランディングよりも重要度が高い。重要度が高い運転機能仕様ほど、エレベータがその運転機能仕様に対応していることを利用者に認識させる必要性が高い。そこで、本実施形態では、運転機能仕様の重要度に応じて、その運転機能仕様を説明する仕様説明情報を繰り返し表示する時間間隔(以下、表示インターバルという)を設定する。
【0013】
以下では、エレベータが運転機能仕様A、運転機能仕様B、運転機能仕様Cの3つの運転機能仕様に対応しており、運転機能仕様Aは運転機能仕様Bよりも重要度が高く、運転機能仕様Bは運転機能仕様Cよりも重要度が高いものとして、より詳細な実施形態を説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の表示システムの構成例を示す機能ブロック図である。この表示システムは、
図1に示すように、制御プログラム記憶部1と、仕様説明情報記憶部2と、運転制御部3と、表示制御部4と、表示器5とを備える。制御プログラム記憶部1と仕様説明情報記憶部2は、例えば、エレベータの制御盤などに設けられた記憶装置を用いて実現することができる。これら制御プログラム記憶部1と仕様説明情報記憶部2は、1つの記憶装置により実現してもよいし、別個の記憶装置により実現してもよい。また、運転制御部3と表示制御部4は、例えば、エレベータの制御盤に設けられたマイクロコンピュータにより実現することができる。
【0015】
制御プログラム記憶部1は、エレベータの運転を制御するための制御プログラムを記憶する。制御プログラム記憶部1が記憶する制御プログラムには、エレベータの基本的な機能を実現する基本制御プログラムのほか、運転機能仕様Aに対応する制御プログラムと、運転機能仕様Bに対応する制御プログラムと、運転機能仕様Cに対応する制御プログラムとが含まれる。
【0016】
仕様説明情報記憶部2は、エレベータが対応している運転機能仕様を説明する仕様説明情報を記憶する。仕様説明情報記憶部2が記憶する仕様説明情報には、運転機能仕様Aを説明する仕様説明情報と、運転機能仕様Bを説明する仕様説明情報と、運転機能仕様Cを説明する仕様説明情報とが含まれる。
【0017】
運転制御部3は、制御プログラム記憶部1が記憶する制御プログラムに従って、エレベータの運転を制御する。運転制御部3は、通常は基本制御プログラムに従ってエレベータの運転を制御するが、エレベータが対応している運転機能仕様A〜Cのいずれかに対応する運転機能を開始させるトリガ(例えば、車椅子運転であれば車椅子専用ボタンの操作、地震時管制運転であれば地震検知信号の入力など)を検知すると、その運転機能仕様に対応する制御プログラムを制御プログラム記憶部1から読み出して実行し、エレベータの運転状態をその運転機能仕様に対応する運転状態にする。このとき、運転制御部3は、エレベータがその運転機能仕様に対応する運転状態となったことを表示制御部4に通知する。
【0018】
表示制御部4は、仕様説明情報記憶部2が記憶する仕様説明情報を、その仕様説明情報に対応する運転機能仕様の重要度に応じて定められた表示インターバルで、エレベータの所定の表示器5に繰り返し表示させる。
【0019】
表示制御部4は、例えば、仕様説明情報記憶部2が記憶する仕様説明情報と関連付けてその仕様説明情報に対応する運転機能仕様の重要度を格納する管理テーブル11と、時間を計測するタイマ12とを用いて、仕様説明情報の表示タイミングを制御する。すなわち、表示制御部4は、管理テーブル11に基づいて、運転機能仕様の重要度が高いほどその運転機能仕様を説明する仕様説明情報の表示インターバルが短くなるように、仕様説明情報記憶部2が記憶する各仕様説明情報の表示インターバルを設定する。そして、表示制御部4は、仕様説明情報記憶部2が記憶するそれぞれの仕様説明情報について、表示器5に表示させてからの経過時間をタイマ12により計測し、計測した経過時間がその仕様説明情報に対して設定された表示インターバルに対応する時間になると、その仕様説明情報を表示器5に再度表示させる処理を繰り返す。
【0020】
図2は、管理テーブル11の一例を示す図である。この
図2に例示する管理テーブル11は、エレベータが対応している各運転機能仕様の識別情報とその重要度を、各運転機能仕様の仕様説明情報の格納先アドレス(仕様説明情報記憶部2における記憶位置を示すアドレス)と関連付けて格納している。各運転機能仕様の重要度は、例えばエレベータの設置時に予め決定され、管理テーブル11に格納される。表示制御部4は、この管理テーブル11を参照することで、エレベータが対応している各運転機能仕様の重要度を認識して仕様説明情報の表示インターバルを設定することができる。また、表示制御部4は、この管理テーブル11を参照して、表示器5に表示させる仕様説明情報を仕様説明情報記憶部2から読み出すことができる。
【0021】
本実施形態では、エレベータが対応している運転機能仕様の重要度は、運転機能仕様Aが最も高く(重要度:高)、運転機能仕様Bが2番目(重要度:中)、運転機能仕様Cが3番目(重要度:低)である。したがって、運転機能仕様Aを説明する仕様説明情報の表示インターバルをTa、運転機能仕様Bを説明する仕様説明情報の表示インターバルをTb、運転機能仕様Cを説明する仕様説明情報の表示インターバルをTcとすると、Ta<Tb<Tcに設定される。
【0022】
図3は、仕様説明情報の表示タイミングの一例を示すタイミングチャートである。図中のAが運転機能仕様Aを説明する仕様説明情報の表示タイミング、図中のBが運転機能仕様Bを説明する仕様説明情報の表示タイミング、図中のCが運転機能仕様Cを説明する仕様説明情報の表示タイミングをそれぞれ示し、表示器5に仕様説明情報が表示されている時間をハッチングで表している。
図3に示すように、重要度が「高」の運転機能仕様Aを説明する仕様説明情報の表示インターバルTaは、重要度が「中」の運転機能仕様Bを説明する仕様説明情報の表示インターバルTbよりも短く、重要度が「中」の運転機能仕様Bを説明する仕様説明情報の表示インターバルTbは、重要度が「低」の運転機能仕様Cを説明する仕様説明情報の表示インターバルTcよりも短い。つまり、運転機能仕様の重要度が高いほど、その運転機能仕様を説明する仕様説明情報が高い頻度で表示器5に表示される。
【0023】
なお、各仕様説明情報が表示器5に表示されている時間(
図3のハッチング部分)の長さはその仕様説明情報の情報量によって決まり、情報量が多いほど表示時間は長くなる。また、表示インターバルの設定によっては、ある仕様説明情報を表示させるタイミングで、他の仕様説明情報が表示器5に表示されている場合もある。このような場合は、先に表示されている仕様説明情報の表示が終了した後に、次の仕様説明情報を表示させればよい。
【0024】
表示制御部4は、エレベータが基本制御プログラムに従った通常の運転状態である間は、上述のように、運転機能仕様A〜Cの仕様説明情報を、それぞれの運転機能仕様の重要度に応じて設定した表示インターバルTa〜Tcで繰り返し表示器5に表示させる。一方、エレベータが運転機能仕様A〜Cのいずれかに対応する運転状態となったことが運転制御部3から通知されると、表示制御部4は、表示インターバルTa〜Tcに関わらず、その運転機能仕様を説明する仕様説明情報を表示器5に表示させる。例えば、運転制御部3が運転機能仕様Aに対応する制御プログラムを実行し、エレベータが運転機能仕様Aに基づく運転状態となったことが運転制御部3から通知されると、表示制御部4は、タイマ12による時間の計測を停止して、運転機能仕様Aを説明する仕様説明情報を表示器5に表示させる。
【0025】
このときに表示器5に表示させる仕様説明情報は、通常の運転状態のときに表示させる仕様説明情報と同一であってもよいし、例えば現在の運転状態が運転機能仕様に基づくものであることを示すメッセージを付加するなど、一部が異なっていてもよい。また、このときの仕様説明情報の表示は、エレベータの運転状態が通常の運転状態に復帰するまでの間、継続して行うことが望ましい。そして、エレベータの運転状態が通常の運転状態に復帰すると、表示制御部4は、タイマ12による時間の計測を再開し、運転機能仕様A〜Cそれぞれの仕様説明情報を表示インターバルTa〜Tcで繰り返し表示器5に表示させる制御に戻る。
【0026】
図4は、表示制御部4による仕様説明情報の表示制御の概要を説明するフローチャートであり、表示制御部4により繰り返し実行される処理手順の一例を示している。表示制御部4は、この
図4のフローチャートで示す手順に従って、仕様説明情報記憶部2が記憶する仕様説明情報のうち、表示器5に表示させる仕様説明情報を判断することができる。
【0027】
表示制御部4は、まず、エレベータの現在の運転状態が、運転機能仕様A〜Cのいずれかに対応する運転状態となっているか否かを判定する(ステップS101)。そして、運転機能仕様A〜Cのいずれかに対応する運転状態となっている場合は(ステップS101:Yes)、その運転状態に対応する運転機能仕様の仕様説明情報を仕様説明情報記憶部2から読み出して、表示器5に表示させる(ステップS102)。
【0028】
一方、エレベータの運転状態が通常の運転状態であれば(ステップS101:No)、表示制御部4は、運転機能仕様Aの仕様説明情報を表示するタイミングとなったか否か(つまり、上述の表示インターバルTaが経過したか否か)を判定する(ステップS103)。そして、運転機能仕様Aの仕様説明情報を表示するタイミングとなった場合は(ステップS103:Yes)、運転機能仕様Aの仕様説明情報を仕様説明情報記憶部2から読み出して、表示器5に表示させる(ステップS104)。
【0029】
一方、運転機能仕様Aの仕様説明情報を表示するタイミングでなければ(ステップS103:No)、表示制御部4は、運転機能仕様Bの仕様説明情報を表示するタイミングとなったか否か(つまり、上述の表示インターバルTbが経過したか否か)を判定する(ステップS105)。そして、運転機能仕様Bの仕様説明情報を表示するタイミングとなった場合は(ステップS105:Yes)、運転機能仕様Bの仕様説明情報を仕様説明情報記憶部2から読み出して、表示器5に表示させる(ステップS106)。
【0030】
一方、運転機能仕様Bの仕様説明情報を表示するタイミングでなければ(ステップS105:No)、表示制御部4は、運転機能仕様Cの仕様説明情報を表示するタイミングとなったか否か(つまり、上述の表示インターバルTcが経過したか否か)を判定する(ステップS107)。そして、運転機能仕様Cの仕様説明情報を表示するタイミングとなった場合は(ステップS107:Yes)、運転機能仕様Cの仕様説明情報を仕様説明情報記憶部2から読み出して、表示器5に表示させる(ステップS108)。また、運転機能仕様Cの仕様説明情報を表示するタイミングでなければ(ステップS107:No)、そのまま処理を終了する。
【0031】
表示器5は、上述した表示制御部4の制御に従って仕様説明情報を表示する。本実施形態では、この表示器5として、エレベータのかご内に設けられたかご内表示器を用いるものとする。かご内表示器は、仕様説明情報を表示するための専用の表示器でもよいが、かご操作盤に設けられている液晶インジケータを利用して仕様説明情報を表示する構成とすることで、コスト低減を図ることができる。
【0032】
図5は、エレベータのかご操作盤20の一例を示す図である。この
図5に示すかご操作盤20には、かご内の利用者が操作する各種操作ボタン21のほかに、かご内の利用者に対してかごの現在位置(階床)やかごの移動方向などを知らせるための液晶インジケータ22が設けられている。上述した表示制御部4の制御に従って仕様説明情報を表示する表示器5(かご内表示器)として、このかご操作盤20に設けられた液晶インジケータ22を利用することができる。
図5では、液晶インジケータ22を利用して、車椅子運転の運転機能仕様を説明する仕様説明情報を表示した例を示している。なお、車椅子専用ボタンを有する操作盤は、
図5に示すかご操作盤20とは別に、かご内に設けられている。
【0033】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のエレベータの表示システムによれば、エレベータが対応している運転機能仕様を説明する仕様説明情報が、その運転機能仕様の重要度に応じて設定された表示インターバルで表示器5に繰り返し表示される。したがって、エレベータの利用者は、そのエレベータがどのような運転機能仕様に対応したものであるか、その運転機能仕様によってエレベータがどのような動作をするかを的確に認識することができる。特に、運転機能仕様の重要度が高いほど仕様説明情報の表示インターバルが短く設定され、重要度が高い運転機能仕様の仕様説明情報が高い頻度で表示されるので、エレベータの利用者は、重要度が高い運転機能仕様に関する情報をより的確に認識することができる。
【0034】
また、本実施形態のエレベータの表示システムによれば、エレベータの運転状態が、エレベータが対応しているいずれかの運転機能仕様に基づく運転状態となった場合は、その運転機能仕様の仕様説明情報が強制的に(つまり、表示インターバルによらずに)表示器5に表示される。したがって、エレベータの利用者は、エレベータの現在の運転状態が特定の運転機能仕様に基づくものであることや、その運転機能仕様によるエレベータの動作を的確に認識することができる。
【0035】
なお、以上の説明では、仕様説明情報を表示する表示器5としてエレベータのかご内に設けられたかご内表示器を用いるものとしたが、かご内表示器に代えて、あるいはかご内表示器と併せて、エレベータの乗場に設けられた乗場表示器を、仕様説明情報を表示する表示器5として用いるようにしてもよい。乗場表示器は、仕様説明情報を表示するための専用の表示器でもよいが、上述のかご操作盤20に設けられている液晶インジケータ22と同様に、乗場操作盤に設けられている液晶インジケータを利用して仕様説明情報を表示する構成とすることで、コスト低減を図ることができる。
【0036】
図6は、エレベータの乗場操作盤30の一例を示す図である。この
図6に示す乗場操作盤30には、乗場の利用者が操作する各種操作ボタン31のほかに、かご内の利用者に対してかごの現在位置(階床)やかごの移動方向などを知らせるための液晶インジケータ32が設けられている。上述した表示制御部4の制御に従って仕様説明情報を表示する表示器5(乗場表示器)として、この乗場操作盤30に設けられた液晶インジケータ32を利用することができる。
図6では、液晶インジケータ32を利用して、車椅子運転の運転機能仕様を説明する仕様説明情報を表示した例を示している。
【0037】
また、例えばショッピングセンターに設置されるエレベータなどにおいては、乗場操作盤30とは別に乗場に液晶パネルを設置して、この液晶パネルでテナント案内などを行うことが多い。上述した表示制御部4の制御に従って仕様説明情報を表示する表示器5(乗場表示器)としては、このような乗場に設置された液晶パネルなどを利用することもできる。このような液晶パネルは、一般に乗場操作盤30の液晶インジケータ32と比較して表示面積が大きく、一度に表示可能な情報量が多いため、仕様説明情報の表示を効率よく行うことができる。
【0038】
なお、仕様説明情報を表示する表示器5としてかご内表示器と乗場表示器とを併用する場合は、これらかご内表示器による仕様説明情報の表示と、乗場表示器による仕様説明情報の表示とを連動させてもよいし、個別に制御してもよい。
【0039】
エレベータの利用者は、乗場での待ち時間が長いと不満を感じる場合が多いが、乗場表示器を利用して仕様説明情報を表示する構成とすることで、そのエレベータがどのような運転機能仕様に対応したものであるか、その運転機能仕様によってエレベータがどのような動作をするかを利用者に的確に認識させることができることに加え、利用者に乗場での待ち時間を長いと感じさせない効果がある。
【0040】
<第2の実施形態>
本実施形態は、仕様説明情報を表示する表示器5として、エレベータのかご内の別々の位置に設けられた2つのかご内表示器(第1のかご内表示器と第2のかご内表示器)を用いる例である。本実施形態では、仕様説明情報がテキストデータであり、2つのかご内表示器は、テキストデータからなる同一の仕様説明情報をそれぞれスクロール表示するものとする。そして、表示制御部4は、2つのかご内表示器のうちの一方(第2のかご内表示器)による仕様説明情報の表示開始のタイミングを、他方(第1のかご内表示器)による仕様説明情報の表示開始のタイミングから遅延させることで、2つのかご内表示器における仕様説明情報のスクロール表示に時間的なずれを生じさせる。
【0041】
2つのかご内表示器としては、第1の実施形態と同様に、かご操作盤20に設けられている液晶インジケータ22を利用することができる。
図7は、本実施形態で想定するエレベータのかご内の様子を示す図である。
図7に示す例では、かご内のドア40の左右にそれぞれかご操作盤20A,20Bが設けられている。なお、エレベータが車椅子運転の運転機能仕様に対応している場合、これらのかご操作盤20A,20Bとは別に、車椅子専用ボタンを有する操作盤45がかご内の側板などに設けられる。
【0042】
本実施形態では、ドア40の左右に設けられた2つのかご操作盤20A,20Bの液晶インジケータ22A,22Bを、上述した表示制御部4の制御に従って仕様説明情報をスクロール表示する2つのかご内表示器として用いることができる。
図8は、本実施形態における仕様説明情報の表示例を示す図であり、(a)が液晶インジケータ22A(第1のかご内表示器)にスクロール表示されている仕様説明情報の例を示し、(b)が(a)と同時刻に液晶インジケータ22B(第2のかご内表示器)にスクロール表示されている仕様説明情報の例を示している。
【0043】
本実施形態では、液晶インジケータ22Bによる仕様説明情報の表示開始のタイミングが、液晶インジケータ22Aによる仕様説明情報の表示開始のタイミングから遅延するため、液晶インジケータ22Bが仕様説明情報のスクロール表示を開始するときに、液晶インジケータ22Aによる仕様説明情報のスクロール表示は先に進んでいる。
図8の例では、液晶インジケータ22Aと液晶インジケータ22Bがそれぞれ車椅子運転の運転機能仕様を説明する仕様説明情報をスクロール表示しているが、液晶インジケータ22Aによるスクロール表示は、テキストの3行分だけ、液晶インジケータ22Bによるスクロール表示よりも先行している。
【0044】
以上のように、本実施形態では、同一の仕様説明情報を2つのかご内表示器にスクロール表示させる際に、2つのかご内表示器におけるスクロール表示に時間的なずれを生じさせるようにしている。したがって、かご内の利用者は、例えば一方のかご内表示器で見逃した情報を他方のかご内表示器の表示を参照することで確認するなど、2つのかご内表示器の表示から、仕様説明情報をより的確に把握することができる。
【0045】
<第3の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態で説明した管理テーブル11が格納する運転機能仕様の重要度を、エレベータの外部からの操作に応じて変更できるようにしたものである。本実施形態の表示システムの機能的な構成例を
図9に示す。本実施形態の表示システムでは、
図1に示した第1の実施形態の構成に対し、変更操作受付部6が追加されている。その他の構成は第1の実施形態と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0046】
変更操作受付部6は、例えば、エレベータを監視する遠隔監視センタの監視端末などと通信し、遠隔監視センタの監視員などが監視端末を用いて運転機能仕様の重要度を変更する変更操作を行うと、監視端末から操作情報を受信して監視員による変更操作を受け付ける。また、変更操作受付部6は、例えば、エレベータのメンテナンス作業員が、エレベータの制御盤に接続したメンテナンス用の専用端末を用いて運転機能仕様の重要度を変更する変更操作を行った場合に、専用端末から操作情報を入力してメンテナンス作業員による変更操作を受け付けるようにしてもよい。変更操作受付部6は、このようなエレベータの外部からの変更操作を受け付けると、表示制御部4に対して、重要度を変更する対象となる運転機能仕様を指定して、重要度の変更を指示する。
【0047】
変更操作受付部6からの指示を受けた表示制御部4は、その指示に応じて管理テーブル11に格納されている運転機能仕様の重要度を変更する。そして、表示制御部4は、変更後の重要度に応じてその運転機能仕様を説明する仕様説明情報の表示インターバルを再設定し、仕様説明情報を表示器5に表示させるタイミングを制御する。
【0048】
以上のように、本実施形態では、管理テーブル11が格納する運転機能仕様の重要度をエレベータの外部からの操作に応じて変更できるので、エレベータの設置環境における様々な状況変化に柔軟に対応することができる。具体的な例を挙げると、例えば、エレベータの設置時にはそのエレベータの設置場所の地盤が安定していたために、地震時管制運転の運転機能仕様の重要度を低めに設定していたが、その後、エレベータの設置場所で地震が頻発するようになったとする。このような場合、地震時管制運転の運転機能仕様の重要度が高くなるように変更すれば、地震時管制運転の運転機能仕様を説明する仕様説明情報の表示インターバルを短くする、つまり、この仕様説明情報を表示器5に高い頻度で表示させることができる。その結果、エレベータの利用者に対し、エレベータが地震時管制運転に対応していることや地震時管制運転でのエレベータの動作をより的確に認識させることができる。
【0049】
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、エレベータがどのような運転機能仕様に対応したものであるか、その運転機能仕様によってエレベータがどのような動作をするかを利用者に的確に認識させることができる。
【0050】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【課題】エレベータがどのような運転機能仕様に対応したものであるか、その運転機能仕様によってエレベータがどのような動作をするかを利用者に的確に認識させることができるエレベータの表示システムおよび仕様説明表示方法を提供する。
【解決手段】実施形態のエレベータの表示システムは、エレベータが対応している運転機能仕様を説明する仕様説明情報を記憶する仕様説明情報記憶部2と、エレベータの所定の表示器5に、仕様説明情報記憶部2が記憶する仕様説明情報を運転機能仕様の重要度に応じて定められた時間間隔で繰り返し表示させる表示制御部4と、を備える。