特許第6194066号(P6194066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6194066-水害避難用救命艇 図000002
  • 特許6194066-水害避難用救命艇 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6194066
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】水害避難用救命艇
(51)【国際特許分類】
   B63C 9/03 20060101AFI20170828BHJP
   A62B 99/00 20090101ALI20170828BHJP
【FI】
   B63C9/03 100
   A62B99/00 C
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-123031(P2016-123031)
(22)【出願日】2016年6月3日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】515121254
【氏名又は名称】馬場 計二
(72)【発明者】
【氏名】馬場 計二
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭46−031782(JP,Y1)
【文献】 実開昭51−151399(JP,U)
【文献】 特開2014−073825(JP,A)
【文献】 特開昭49−036094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 9/03
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水害避難用救命艇に膨縮自在な筒状密閉膜材の筒体に注入装置から圧縮空気もしくはヘリウムガスを注入することで筒体が膨張し、上方に伸長して型深さを深くすることで高い波浪に対応できるとともに、緩衝材を装備して浮遊物等の衝突から船体を防護できることを特徴とする水害避難用救命艇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、大津波や洪水(河川の氾濫)などの大規模水害発生時において家族や住民等が迅速かつ安全に避難できる水害避難用救命艇に関するものである。尚、本願の説明において水害避難用救命艇と救命艇は同義語であって、以下の説明では、本願の水害避難用救命艇を単に救命艇と表現することがある。
【背景技術】
【0002】
大津波や洪水(河川の氾濫)などの大規模水害が発生したときに、従来の救命ボート等では、船体の型深さが浅いため高い波浪により浸水して沈没することが起こったり、浮遊物等の衝突で船体が損傷することで浸水して沈没することが起こり得る。
【0003】
又、大規模水害が発生したときに、従来の救命ボート等では、船体の型巾が狭いため高い波浪により乗船者が船外に投げ出されたり、転覆したりすることが起こり得る。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−24528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、大津波や洪水(河川の氾濫)などの大規模水害が発生したときに、船体の型深さが浅いために高い波浪により浸水して沈没したり、浮遊物等の衝突で船体が損傷することで浸水して沈没したり、船体の型巾が狭いため高い波浪により乗船者が船外に投げ出されたり、転覆したりするという問題に対応するため緩衝材を装備した上方伸長式の水害避難用救命艇を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、大津波や洪水(河川の氾濫)などの大規模水害が発生時に適用される水害避難用救命艇を対象としている。
【0007】
「本願請求項1の発明」
本願請求項1の発明の水害避難用救命艇は、救命艇の型巾の広い船体(FRP製船体もしくは金属製船体)に格納された膨縮自在な筒状密閉膜材からなる筒体と圧縮空気もしくはヘリウムガスを注入する注入装置を備えている一方、筒体は、注入装置により圧縮空気もしくはヘリウムガスを注入することで上方に伸長することにより高い波浪に対応できる型深さの深い船体になることができることを特徴としている。
【0008】
本願請求項1の発明の水害避難用救命艇は、船体の外壁に緩衝材を装備することで浮遊物等の衝突による船体への衝撃を緩和するとともに、損傷を防止することを特徴としている。
【0009】
上記の船体に格納された膨縮自在な筒状密閉膜材からなる筒体は、比較的強靭な非通気性シート材(例えばテント材)が使用されている。通常は、筒状密閉膜材からなる筒体が偏平状に縮んでいて上下厚さが薄くなっているが、該筒状密閉膜材に圧縮空気もしくはヘリウムガスが注入されると筒体が膨張し、上方に伸長するとともに、内部に注入された圧縮空気もしくはヘリウムガスにより強力な浮力が発生するものである。
【00010】
上記の圧縮空気もしくはヘリウムガスの注入装置は、空気もしくはヘリウムガスを圧縮状態で封入したバルブ付きのガスボンベを使用したものである。
【発明の効果】
【0011】
本願請求項1の水害避難用救命艇は、膨縮自在な筒状密閉膜材からなる筒体に注入装置から圧縮空気もしくはヘリウムガスを注入することで、膨張した筒体が上方に伸長して所望高さ(高い波浪にも対応できる高さ)にすることで、高い波浪により乗船者が船外に投げ出されたり、転覆したりすることを防止できる効果がある。
【0012】
又、本願請求項1の水害避難用救命艇は、船体(FRP製船体もしくは金属製船体)の外壁に厚みのある緩衝材を取り付けることにより、浮遊物等の衝突により船体への衝撃を緩和するとともに、損傷により浸水して沈没することを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】 本願実施例の水害避難用救命艇のI−I断面図と平面図
図2図1からの状態変化図で、水害時の救命艇形態図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図2を参照して本願の実施例を説明すると、この実施例の水害避難用救命艇は、緩衝材を装備した上方伸長式の救命艇として製作されたものである。尚、以下の実施例においても本願の水害避難用救命艇を船体1と表現することがある。
【0015】
図1にある水害避難用救命艇の船体1は、平常時は船体1の周囲に設置された格納箇所2に、膨縮自在な筒状密閉膜材からなる筒体3を偏平状に縮んで上下厚さが薄くなった状態で格納されている。又、格納箇所2の内側の所定間隔をもってシートベルトを配置することができる。
【0016】
図1にある水害避難用救命艇の船体1が、緊急時(大規模な水害発生時)には格納された状態の筒体3に、注入装置4のバルブを開放して供給管5を通して圧縮空気もしくはヘリウムガスが注入されることにより、筒体3が図2に示すように膨張し、上方に伸長して所望高さ(高い波浪にも対応できる高さ)になることができる。又、注入装置4のバルブで注入量を調整することで筒体3の所望高さを調整することができる。筒体3の上部に結合式の雨除けや日除け用テント8を装備することができる。
【0017】
図2にある船体1の収納箇所2の外壁と船底6の外壁に厚みのある緩衝材7を取り付けて船体1を浮遊物等の衝突による衝撃や損傷から防護することができる。
【0018】
図1図2にある船体1は、小型救命艇(2人以上)と大型救命艇(50人以上)によってFRP製船体と金属製船体に設定することができる。
【符号の説明】
【0019】
1は船体、2は格納箇所、3は筒状密閉膜材の筒体、4は注入装置(バルブ付ガスボンベ)、5は供給管、6は船底、7は緩衝材、8は雨や日除け用テント。
【要約】      (修正有)
【課題】大津波や洪水(河川の氾濫)などの大規模水害の発生時に、高い波浪により乗船者が船外に投げ出されたり、浸水して転覆するという問題がある。又、浮遊物等の衝突により船体が破損することで浸水して沈没するという問題がある。
【解決手段】水害避難用救命艇は、型巾の広い船体1に格納された膨縮自在な筒状密閉膜材の筒体3に圧縮空気もしくはヘリウムガスを注入して膨張し、上方に伸長することで型深さの深い船体1として高い波浪に対応することができる。又、船体1の周囲の外壁に緩衝材7を装備して浮遊物等の衝突から防護することができる。
【選択図】図2
図1
図2