特許第6194069号(P6194069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6194069
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ケーブルグランド
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20170828BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20170828BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20170828BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H02G3/22
   F16B7/18 C
   F16B35/00 A
   F16B35/00 Y
   F16B35/00 X
   F16B43/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-127749(P2016-127749)
(22)【出願日】2016年6月28日
【審査請求日】2016年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 康夫
(72)【発明者】
【氏名】谷上 拓也
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−017364(JP,A)
【文献】 実開昭55−129483(JP,U)
【文献】 実開昭56−072962(JP,U)
【文献】 実開昭58−090013(JP,U)
【文献】 特開2007−037364(JP,A)
【文献】 特開2015−052369(JP,A)
【文献】 特表2012−511671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
F16B 7/18
F16B 35/00
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体に取り付けられるケーブルグランドにおいて、
ケーブルを通す挿通孔を有する筒状の部材であって円形外周を有する鍔部と円筒部とを備え、前記円筒部の一端に前記鍔部が一体形成されているとともに、前記円筒部の外周面に雄ねじが形成され、前記挿通孔の内周面に前記円筒部の他端から前記鍔部側に進む雌ねじが形成されたグランド本体と、
前記ケーブルを通す挿通孔を有し、前記グランド本体の挿通孔に前記円筒部の他端側から嵌め込まれるスリーブと、
ケーブルの挿通が可能な筒状の部材であって前記グランド本体の挿通孔の雌ねじに噛み合う雄ねじが形成されたプラグと、
前記円筒部の雄ねじに噛み合う雌ねじが形成されたロックナットと、を備え、
前記グランド本体の円筒部を前記壁体に形成された取付孔に壁体の表側から差し込み、前記鍔部を当該壁体の表側に配置した状態で、その壁体の裏側に突出する円筒部に前記ロックナットをねじ込むことにより前記グランド本体を前記壁体に取り付け、
前記グランド本体の挿通孔に前記スリーブを前記円筒部の他端側から嵌め込んだ状態で、前記挿通孔の雌ねじに前記プラグを前記壁体の裏側からねじ込む構成とされており、
前記グランド本体の円筒部に回止め溝が形成されているとともに、
前記グランド本体の円筒部に嵌め込まれ、前記ロックナットと前記壁体との間に配置されるワッシャを備え、
前記ワッシャには、前記グランド本体を前記壁体に取り付けた状態で、前記円筒部の回止め溝に嵌り込む第1舌片と、前記壁体の取付孔の周縁に形成された切欠きに嵌り込む第2舌片とが形成されていることを特徴とするケーブルグランド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを保持するケーブルグランドに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器にケーブルを接続する際、電気機器の筐体等に取り付けたケーブルグランドを介してケーブルを保持する技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ケーブルグランドとしては、例えば、ケーブルの挿通が可能な筒状の部材であって鍔部及びその鍔部を挟んだ両側に雄ねじが形成された筒状のグランド本体、このグランド本体に嵌め込まれるゴム製のスリーブ、グランド本体の一方側(スリーブが嵌め込まれる側)の雄ねじにねじ込まれるキャップ(袋ナット)、及びグランド本体を壁体に固定するロックナットなどを備えたものがある。
【0004】
このようなケーブルグランドでは、グランド本体の他方側の雄ねじを、電気機器の筐体等の壁体に形成された取付孔に壁体の表側から差し込んだ状態で、その他方側の雄ねじにロックナットを壁体の裏側からねじ込むことによってグランド本体を壁体に取り付ける。その後に、スリーブ及びキャップにケーブルを挿通した状態で当該スリーブをグランド本体に嵌め込み、グランド本体の一方側の雄ねじ(壁体の表側に突出している雄ねじ)にキャップを壁体の表側からねじ込んでスリーブを締め付ける。このようにしてキャップにてスリーブを締め付けることにより、スリーブが縮径方向に変形し、スリーブの挿通孔の内周面とケーブルの外周面とが密着する。これによって、電気機器の筐体内に水、油、塵、埃などが侵入するのを防止することができるとともに、ケーブル自体をしっかりと保持・固定することができる。
【0005】
なお、上記ケーブルグランドにおいて、グランド本体の鍔部は例えば略六角形状に形成されており、スパナ等の工具を掛けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−37364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記ケーブルグランドでは、スリーブをグランド本体に締め付けるキャップが壁体の表側(外側)に露出する構造となっている。このため、いたずらによりキャップが緩められるおそれがある。また、グランド本体の一部及びキャップが壁体から表側に突出しているので、その突出部分に足を掛けて体重を掛けられた場合、ケーブルグランドが破損するおそれがある。
【0008】
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、壁体に取り付けられるケーブルグランドにおいて、ねじ要素が壁体の表側に露出しない構造で、かつ壁体の表側への突出量を少なくすることが可能な構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、壁体に取り付けられるケーブルグランドにおいて、ケーブルを通す挿通孔を有する筒状の部材であって円形外周を有する鍔部と円筒部とを備え、前記円筒部の一端に前記鍔部が一体形成されているとともに、前記円筒部の外周面に雄ねじが形成され、前記挿通孔の内周面に前記円筒部の他端から前記鍔部側に進む雌ねじが形成されたグランド本体と、前記ケーブルを通す挿通孔を有し、前記グランド本体の挿通孔に前記円筒部の他端側から嵌め込まれるスリーブと、ケーブルの挿通が可能な筒状の部材であって前記グランド本体の挿通孔の雌ねじに噛み合う雄ねじが形成されたプラグと、前記円筒部の雄ねじに噛み合う雌ねじが形成されたロックナットとを備えている。
【0010】
そして、前記グランド本体の円筒部を前記壁体に形成された取付孔に壁体の表側から差し込み、前記鍔部を当該壁体の表側に配置した状態で、その壁体の裏側に突出する円筒部に前記ロックナットをねじ込むことにより前記グランド本体を前記壁体に取り付け、前記グランド本体の挿通孔に前記スリーブを前記円筒部の他端側から嵌め込んだ状態で、前記挿通孔の雌ねじに前記プラグを前記壁体の裏側からねじ込む構成とされている。さらに、前記グランド本体の円筒部に回止め溝が形成されているとともに、前記グランド本体の円筒部に嵌め込まれ、前記ロックナットと前記壁体との間に配置されるワッシャを備え、前記ワッシャには、前記グランド本体を前記壁体に取り付けた状態で、前記円筒部の回止め溝に嵌り込む第1舌片と、前記壁体の取付孔の周縁に形成された切欠きに嵌り込む第2舌片とが形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明のケーブルグランドによれば、壁体の取付孔にグランド本体の円筒部を壁体の表側から差し込んだ状態で、その壁体の裏側に突出する円筒部にロックナットをねじ込むことによりグランド本体を壁体に取り付けた後、グランド本体の挿通孔にスリーブを嵌め込んだ状態で、挿通孔の雌ねじにプラグを壁体の裏側からねじ込む構造としている。
【0012】
このような構造により、ケーブルグランドのねじ要素であるロックナット及びプラグを壁体の裏側に配置することができ、壁体の表側に露出する部材は、回転操作を行い難い円形外周を有する鍔部(パッキンも含む)のみとすることができる。これにより、スリーブを締め付けるプラグやグランド本体を緩めるという、いたずらを防止することができる。さらに、壁体の表側に露出する円形外周の鍔部は、壁体外側への突出量を少なくすることが可能であるので、鍔部に足を掛け難い構造とすることができる。
【0013】
ここで、本発明のケーブルグランドにあっては、グランド本体が円形外周を有する鍔部と円筒部とによって構成されているので、スパナ等の工具によってグランド本体の回転を固定しにくい。このため、グランド本体をロックナットにて壁体に取り付けた後、プラグのねじ込みによってスリーブを締め付ける際にグランド本体が回転する可能性がある。
【0014】
このような点を解消するため、本発明のケーブルグランドでは、グランド本体の円筒部に嵌め込まれ、壁体とロックナットとの間に配置されるワッシャを設け、そのワッシャに第1舌片と第2舌片とを設けている。そして、グランド本体を壁体に取り付けた状態で、ワッシャの第1舌片がグランド本体の回止め溝に嵌り込むとともに、ワッシャの第2舌片が壁体の切欠きに嵌り込む構造を採用している。このような構造により、グランド本体が回転しようとしても、第1舌片がグランド本体の回止め溝に係止し、第2舌片が壁体の切欠きに係止することにより、グランド本体の回転が規制される。これにより、グランド本体を壁体に取り付けた後、グランド本体の円筒部にプラグをねじ込む際(スリーブを締め付ける際)に、グランド本体が回転することはない。
【発明の効果】
【0015】
本発明のケーブルグランドによれば、ねじ要素が壁体の表側に露出しない構造であるので、グランド本体やスリーブを締め付ける部材を緩めるという、いたずらを防止することができる。さらに、壁体の表側には、円形外周の鍔部(パッキンも含む)が突出するだけであるので、足を掛け難い構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のケーブルグランドの一例を示す縦断面図である。
図2】本発明のケーブルグランドの一例を示す水平断面図である。
図3図1及び図2のケーブルグランドの分解斜視図である。
図4図4(A)は図1図3のケーブルグランドに用いるワッシャの正面図、図4(B)はそのワッシャの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1及び図2はそれぞれ本発明のケーブルグランド1の一例を示す縦断面図及び水平断面図であり、図3はそのケーブルグランド1の分解斜視図である。図4(A)はケーブルグランドに用いるワッシャ7の正面図、図4(B)はそのワッシャ7の縦断面図である。
【0019】
本実施形態のケーブルグランド1は、壁体100(例えば、電気機器の筐体の壁体や建物の壁体など)のケーブルCを貫通する部分に取り付けられる。ケーブルグランド1は、グランド本体2、スリーブ3、プラグ4、パッキン5、ロックナット6、及びワッシャ7などを備えている。
【0020】
グランド本体2は、筒状の部材(例えば樹脂製)であって、円形外周を有する薄肉円板形状(円環状)の鍔部21と円筒部22とからなり、その円筒部22の一端(図1及び図2のX1方向の端部)に鍔部21が一体形成されている。グランド本体2にはケーブルCを通す挿通孔(貫通孔)23が軸方向に沿って形成されている。挿通孔23には、後述するスリーブ3が円筒部22の他端側(図1及び図2のX2方向の端部側)から嵌め込まれる。
【0021】
グランド本体2の円筒部22の外周面には、当該円筒部22の他端(図1及び図2のX2方向の端部)から一端側(鍔部21側:図1及び図2のX1方向)に向けて進む雄ねじ22aが形成されている。グランド本体2の挿通孔23には、円筒部22の他端から一端側に向けて進む雌ねじ23aが形成されている。また、挿通孔23には、スリーブ3の端部(小径側の端部)の位置を規制するための円すいテーパ面23bが形成されている。
【0022】
さらに、グランド本体2の円筒部22の外周面には、軸方向に沿って延びる1条の回止め溝22bが形成されている。この回止め溝22bの深さは、雄ねじ22aのねじ山の高さよりも大きい。また、回止め溝22bの幅は、後述するワッシャ7の第1舌片71が嵌り込むことが可能な大きさとなっている。
【0023】
スリーブ3は、外周面に円すいテーパ面3aが形成された筒体(例えばゴム製)であって、ケーブルCを通す挿通孔(貫通孔)31が軸方向に沿って形成されている。スリーブ3の軸方向の長さは、スリーブ3がグランド本体2の挿通孔23に嵌まり込んだ状態(スリーブ3の小径側の端部が円すいテーパ面23bに当たった状態)で、スリーブ3の大径側端部がグランド本体2の他端(円筒部22の他端)よりも内側に位置する長さとなっている。
【0024】
プラグ4は、ケーブルCを通す挿通孔(貫通孔)41を有する筒状の部材(例えば樹脂製)であって、外周面が略六角形状に形成されており、スパナ等の工具を掛けることができる。プラグ4の一端部の外周面には、グランド本体2の挿通孔23の雌ねじ23aに噛み合うことが可能な雄ねじ4aが形成されている。
【0025】
パッキン5は、円形孔5aを有する円環状の部材(例えばゴム製)であって、グランド本体2の鍔部21と壁体100との間に挟み込まれる(図1及び図2参照)。パッキン5の内径(円形孔5aの直径)は、グランド本体2の円筒部22の雄ねじ22aの外径と略等しい。
【0026】
ロックナット6は、グランド本体2を壁体100に固定するためのナット(例えば樹脂製)であって、外周面が略六角形状に形成されており、スパナ等の工具を掛けることができる。グランド本体2の円筒部22の雄ねじ22aに噛み合う雌ねじ6aが形成されている。
【0027】
ワッシャ7は、円形孔7aを有する円環状の部材(例えば板金製)であって、グランド本体2の回止めに用いられる。ワッシャ7の内径(円形孔7aの直径)はグランド本体2の円筒部22の雄ねじ22aの外径よりも所定量だけ大きい。ワッシャ7の円形孔7aの周縁には、第1舌片71と、2つの第2舌片72,72とが設けられている。
【0028】
これら2つの第2舌片72,72は、円形孔7aの中心に対して180°回転対称となる位置(円形孔7aの中心を通る直線上となる位置)に配置されている。また、2つの第2舌片72,72は、第1舌片71に対し、それぞれ、90°回転した位置に配置されている。つまり、2つの第2舌片72,72は、第1舌片71の中心を通る直線(円形孔7aの中心を通る直線)と直交する直線(円形孔7aの中心を通る直線)上に配置されている。
【0029】
第1舌片71及び2つの第2舌片72,72はワッシャ7から一方向に突出している。第1舌片71は、円形孔7aの周縁に沿う円周よりも径方向の内側に位置しており(図4参照)、図1に示す取付状態で、グランド本体2の円筒部23の回止め溝22bに嵌り込むことが可能である。2つの第2舌片72,72は、円形孔7aの周縁に沿う円周上に相当する位置に配置されており(図4参照)、図2に示す取付状態で、後述する壁体100に形成された切欠き102,102にそれぞれ嵌り込むことが可能である。
【0030】
そして、ケーブルグランド1を取り付ける壁体100には、図1図3に示すように、円形の取付孔101が形成されている。取付孔101の直径は、グランド本体2の円筒部22の雄ねじ22aの外径よりも所定量だけ大きい(例えば、取付孔101の直径とワッシャ7の円形孔7aの直径とは略等しい)。
【0031】
取付孔101の周縁には2つの切欠き102,102が形成されている。これら2つの切欠き102,102は、取付孔101の中心を通る水平線上に位置しており、取付孔101の中心に対して180°回転対称となる位置(ワッシャ7の2つの第2舌片72,72に対応する位置)に配置されている。
【0032】
次に、以上の構造のケーブルグランド1の取付手順について説明する。
【0033】
(S1)まず、スリーブ3及びプラグ4をグランド本体2から分解しておく。
【0034】
(S2)グランド本体2の円筒部22にパッキン5を嵌め込み、その円筒部22を壁体100の取付孔101に壁体100の外部側から差し込む。この差し込み時において円筒部22の回止め溝22bを真上に向けた状態としておく。また、グランド本体2の鍔部21と壁体100との間にパッキン5を挟んだ状態としておく。
【0035】
(S3)壁体100の取付孔101に差し込んだグランド本体2の円筒部22(壁体100の裏側に突出している部分)に、ワッシャ7を、その第1舌片71及び第2舌片72,72を壁体100側(図1及び図2のX2方向)に向けた状態で壁体100の裏側(内側)から嵌め込む。このとき、ワッシャ7の第1舌片71を円筒部22の回止め溝22bに嵌め込むとともに、2つの第2舌片72,72をそれぞれ取付孔101の切欠き102,102に嵌め込む。
【0036】
この状態で、グランド本体2の円筒部22の雄ねじ22a(壁体100の裏側に突出している部分の雄ねじ22a)に、ロックナット6を壁体100の裏側からねじ込むことによって、グランド本体2を壁体100に取り付ける(固定する)。この取付状態では、壁体100とロックナット6との間にワッシャ7が挟み込まれ、そのワッシャ7の第1舌片71がグランド本体2の回止め溝22bに嵌り込むとともに、2つの第2舌片72,72がそれぞれ壁体100の切欠き102,102に嵌り込んだ状態となる。これにより、グランド本体2の壁体100に対する回転が規制される。
【0037】
(S4)以上のグランド本体2の壁体100への取付が完了した後、スリーブ3及びプラグ4にケーブルCを通した状態で、グランド本体2の挿通孔23にスリーブ3を壁体100の裏側(円筒部22の他端側)から嵌め込み、次いで、壁体100の裏側からの作業により、プラグ4の雄ねじ4aをグランド本体2の挿通孔23の雌ねじ23aに合わせてプラグ4をグランド本体2にねじ込んでゆく。このプラグ4のねじ込み過程において、スリーブ3の端部(大径側の端部)が、プラグ4の端部によって押圧されてスリーブ3が縮径方向に変形する。そして、プラグ4のねじ込み(締め付け)が完了した状態で、スリーブ3の挿通孔31の内周面とケーブルCの外周面とが密着する。これによって、壁体100の内側(筐体内や室内側等)に水、油、塵、埃などが侵入する塵や埃などが侵入するのを防止することができるとともに、ケーブル自体をしっかりと保持・固定することができる。
【0038】
<効果>
本実施形態のケーブルグランド1によれば、図1及び図2に示すように、ケーブルグランド1のねじ要素であるロックナット6及びプラグ4を壁体100の裏側(筐体内や室内側等)に配置することができ、壁体100の表側に露出する部材は、回転操作を行い難い円形外周を有する鍔部21及びパッキン5のみとすることができる。これにより、スリーブ3を締め付けるプラグ4やグランド本体2を緩めるという、いたずらを防止することができる。このように、いたずらによりグランド本体2等が緩むことがなくなることにより、パッキン5の面圧(グランド本体2の鍔部21がパッキン5を押圧する面圧)が減少することにより生じる漏水等のおそれがなくなり、ケーブルグランド1の気密・液密性を確保することが可能になる。
【0039】
しかも、壁体100の表側に露出する円形外周の鍔部21は壁体100の表側への突出量を少なくすることが可能である。これにより、鍔部21に足を掛け難くなるので、体重が掛けられることによるケーブルグランド1の破損を防止することができる。
【0040】
また、本実施形態のケーブルグランド1にあっては、グランド本体2の円筒部22に嵌め込まれ、壁体100とロックナット6との間に配置されるワッシャ7を備え、そのワッシャ7に第1舌片71と第2舌片72,72とを設けている。そして、グランド本体2を壁体100に取り付けた状態で、ワッシャ7の第1舌片71がグランド本体2の回止め溝22bに嵌り込むとともに、ワッシャ7の第2舌片72,72がそれぞれ壁体100の切欠き102,102に嵌り込む構造としているので、グランド本体2が回転しようとしても、第1舌片71が回止め溝22bに係止し、第2舌片72,72が切欠き102,102に係止することにより、グランド本体2の回転が規制される。
【0041】
これにより、グランド本体2を壁体100に取り付けた後、グランド本体2の円筒部22にプラグ4をねじ込む際(スリーブ3を締め付ける際)に、グランド本体2が回転することはない。
【0042】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
例えば、以上の実施形態では、ワッシャ7の第1舌片71の数を1つとし、第2舌片72の数を2つとしている。これに合わせて、グランド本体2の回止め溝22bの数を1つとし、壁体100の取付孔101の切欠き102の数を2つとしているが、本発明がこれに限られることなく、ワッシャ7の第1舌片の数を複数としてもよいし、第2舌片の数を1つまたは3つ以上としてもよい。この場合、それら第1舌片及び第2舌片の各数に合わせてグランド本体2に形成する回止め溝の数及び取付孔101に形成する切欠きの数及び位置を決定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、電気機器や建物などの壁体にケーブルを保持する際に使用されるケーブルグランドに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ケーブルグランド
2 グランド本体
21 鍔部
22 円筒部
22a 雄ねじ
22b 回止め溝
23 挿通孔
23a 雌ねじ
23b 円すいテーパ面
3 スリーブ
3a 円すいテーパ面
31 挿通孔
4 プラグ
4a 雄ねじ
41 挿通孔
5 パッキン
5a 円形孔
6 ロックナット
6a 雌ねじ
7 ワッシャ
7a 円形孔
71 第1舌片
72 第2舌片
100 壁体
101 取付孔
102 切欠き
【要約】
【課題】壁体に取り付けるケーブルグランドにおいて、ねじ要素が壁体の表側に露出しない構造で、かつ壁体の表側への突出量を少なくすることが可能な構造を提供する。
【解決手段】壁体100の取付孔101にグランド本体2の円筒部22を壁体表側から差し込んだ状態で、その壁体裏側に突出する円筒部22にロックナット6をねじ込むことによりグランド本体2を壁体100に取り付けた後、グランド本体2の挿通孔23にスリーブ3を嵌め込んだ状態で、挿通孔23の雌ねじ23aにプラグ4を壁体裏側からねじ込む構造としているので、ケーブルグランド1のねじ要素であるプラグ4を壁体の裏側に配置することができる。これによりプラグ4を緩めるという、いたずらを防止することができる。さらに、壁体100の表側への突出量を少なくすることができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4