(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194098
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】電子タバコの煙霧量試験用テスターおよびテスト方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/59 20060101AFI20170828BHJP
A24F 47/00 20060101ALN20170828BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
!A24F47/00
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-505673(P2016-505673)
(86)(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公表番号】特表2016-521356(P2016-521356A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】CN2013073742
(87)【国際公開番号】WO2014161190
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】515200353
【氏名又は名称】フイジョウ キムリー テクノロジー シーオー.、エルティーディー.シェンジェン ブランチ
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】シャン ジヨン
【審査官】
伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−314507(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/146264(WO,A2)
【文献】
特表2006−507499(JP,A)
【文献】
特開平03−120444(JP,A)
【文献】
特開平07−309125(JP,A)
【文献】
特開2006−034057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/17−21/41
A24F 47/00
A24C 5/34
G08B 17/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タバコの煙霧量テスターであって、
煙霧を収集する集煙装置と、前記煙霧の透明度をテストする試験装置と、制御装置と、入出力装置とを備え、
前記集煙装置はエアチューブを介して電子タバコのテスト用吸入口に接続され、前記試験装置は発光器と受光器とを備え、前記発光器および前記受光器は前記集煙装置の外壁における対向する二つの部位、すなわち上部と下部にそれぞれ配置され、前記制御装置は前記集煙装置、前記試験装置、および前記入出力装置に電気的に接続され、前記制御装置は入力された制御パラメータを取得し、入力された前記制御パラメータが含む吸入時間及び吸入量に基づいて、前記集煙装置に前記電子タバコから前記煙霧を収集させる制御を行い、前記試験装置から試験結果を受け取り、前記試験結果を解析して実際の煙霧量を算出し、さらに、前記実際の煙霧量と、前記制御パラメータが含む前記吸入時間及び前記吸入量に基づいて煙霧を収集した場合に前記電子タバコが正常に作動しているとして許容される煙霧の最低量として予め設定されている最低煙量とを比較し、最後に前記比較結果に基づいて表示および/またはアラームを制御し、
前記集煙装置は、ステップモーターと、ピストン機構と、透明試験室とをさらに備え、前記ピストン機構は前記ステップモーターによって駆動され、前記ピストン機構は、前記透明試験室内を前記透明試験室の軸方向に移動して、前記電子タバコから前記透明試験室内に前記煙霧を圧送する煙霧量テスター。
【請求項2】
前記発光器から前記受光器へ送られる光は赤外線、可視光、またはレーザー光のいずれかである、請求項1に記載の煙霧量テスター。
【請求項3】
前記入出力装置は、タッチ画面と、表示部と、警報システムとをさらに備え、前記タッチ画面は前記制御パラメータおよび前記最低煙量を設定するのに用いられ、前記比較結果が合格であるか否かを示す構成とされ、前記表示部は前記実際の煙霧量を表示し、前記警報システムは表示および/または音声によりアラームを発動する、請求項1に記載の煙霧量テスター。
【請求項4】
前記入出力装置は、タッチ画面と警報システムとをさらに備え、前記タッチ画面は前記制御パラメータおよび前記最低煙量を設定するのに用いられ、前記実際の煙霧量を表示し、前記比較結果が合格であるか否かを示す構成とされ、前記警報システムは表示および/または音声によりアラームを発動する、請求項1に記載の煙霧量テスター。
【請求項5】
前記制御装置は制御部と、解析部と、処理部とをさらに備え、
前記制御部は、前記タッチ画面を介して入力された前記制御パラメータを受け取り、前記集煙装置に前記煙霧を収集させる制御を行い、前記試験装置の前記発光器の発光および前記受光器の受光を同時に制御するのに用いられ、
前記解析部は、前記受光器から前記試験結果および光強度信号を受け取り、前記試験結果を解析して前記実際の煙霧量を算出し、前記実際の煙霧量と前記最低煙量を比較して前記比較結果を生成するのに用いられ、
前記処理部は前記比較結果を前記入出力装置に出力するのに用いられ、前記入出力装置は前記比較結果が合格であるか否かを示し、該比較結果が不合格の場合は、前記警報システムがアラームを発動する、請求項3または請求項4に記載の煙霧量テスター。
【請求項6】
前記制御装置は、プログラマブルロジックコントローラまたはマイクロコントローラである、請求項1に記載の煙霧量テスター。
【請求項7】
中空の空洞体として構成された前記煙霧量テスターであって、前記集煙装置、前記試験装置、および前記制御装置がすべて前記空洞内に固定され、前記入出力装置、電源スイッチ、および前記テスト用吸入口が空洞の壁部に固定され、前記テスト用吸入口の開口部の大きさおよび形状は、前記電子タバコの吸入ノズルの外周縁に合致する、請求項6に記載の煙霧量テスター。
【請求項8】
電子タバコの煙霧量をテストする方法であって、
入出力装置のタッチ画面を介して制御パラメータおよび最低煙量を予め設定するステップS1と、
前記制御装置の制御部が前記制御パラメータを受け取り、前記集煙装置のステップモーターを駆動制御するステップS21と、
前記集煙装置内のピストン機構が、前記ステップモーターにより駆動され、前記ピストン機構が透明試験室の軸方向に移動して、前記電子タバコの前記煙霧を前記集煙装置内へ圧送するステップS22と、
前記制御装置の前記制御部が前記試験装置の前記発光器の発光および前記試験装置の前記受光器の受光を制御し、試験結果を前記制御装置の解析部へ送信するステップS31と、
前記制御装置の前記解析部が前記試験結果を解析して実際の煙霧量を算出し、該実際の煙霧量と、前記制御パラメータが含む前記吸入時間及び前記吸入量に基づいて前記制御部が前記集煙装置に煙霧を収集させた場合に前記電子タバコが正常に作動しているとして許容される煙霧の最低量として予め設定されている最低煙量とを比較して比較結果を生成するステップS32と、
前記実際の煙霧量と、前記実際の煙霧量が前記最低煙量より大きいか否かを示す前記比較結果とを表示し、前記実際の煙霧量が前記最低煙量に達していない場合にアラームを鳴らすステップS4と、を含むテスト方法。
【請求項9】
前記ステップS4は、
前記制御装置の処理部が前記実際の煙霧量および前記比較結果を前記入出力装置に出力し、前記タッチ画面または表示部が前記実際の煙霧量を直接表示し、かつ前記タッチ画面が、前記実際の煙霧量が前記最低煙量より大きい場合に比較結果として「OK」を表示し、そうでない場合は「NG」を表示し、前記比較結果が数値化されない場合は前記処理部が前記入出力装置の警報システムを起動するステップをさらに含む、請求項8に記載のテスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子タバコの品質分析用テスターに関し、より具体的には電子タバコの製造工程中に用いられるテスターおよびテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
模擬タバコとしての電子タバコは、一種の電子機器と言える。喫煙者は霧化された喫煙液を吸入して、タバコと似通ったフレーバーを味わう。この模擬的な効果を得るためには、一回の吸入の時間的長さと吸入量とが限定されているという条件下で、
煙霧量がその定められた値に達する必要がある。そうでないと、電子タバコを吸う感覚と従来のタバコを吸う感覚との類似度が低減してしまい、電子タバコは「渇望を満たす」という感覚をもたらすことができなくなる。製造工程で用いられる部品の違いや組み立て工程の違いにより、製品によっては上記の要求を満たせないものがある。電子タバコの品質を確保するためには完成した電子タバコの
煙霧量をテストすることが不可欠である。
【0003】
現在、
煙霧量のテスト方法は依然として目視による観察に依存している。人間の口で、またはポンプによって
煙霧をガラス筒に吸入した後、見本との比較を行い、
煙霧量が水準に達しているかどうかを概略的に評価するのみである。このような目視によるテスト方法には信頼性はなく、試験結果が数値化できず、それゆえ現代の大量生産において求められる要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【0004】
したがって本発明は、高い効率で試験結果を数値化できる、電子タバコの
煙霧量のテスターおよびテスト方法を提供することを主たる目的とする。これにより上記の問題は克服される。
【0005】
本発明の上記の課題は、電子タバコの
煙霧量テスターを提供することにより達成される。
【0006】
テスターは、
煙霧を収集する集煙装置と、前記
煙霧の透明度をテストする試験装置と、制御装置と、入出力装置とを備える。前記集煙装置はエアチューブを介して電子タバコのテスト用吸入口に接続され、前記試験装置は発光器と受光器とを備え、前記発光器および前記受光器は前記集煙装置の対向する二つの部位、すなわち上部と下部にそれぞれ配置され、前記制御装置は前記集煙装置、前記試験装置、および前記入出力装置に電気的に接続され、前記制御装置は入力された制御パラメータを取得し、入力された前記制御パラメータに基づいて、前記集煙装置に前記電子タバコから前記
煙霧を収集させる制御を行い、前記試験装置から試験結果を受け取り、前記試験結果を解析して実際の
煙霧量を算出し、さらに、前記実際の
煙霧量と最低煙量を比較し、最後に前記比較結果に基づいて表示および/またはアラームを制御するよう構成されている。
【0007】
本発明によるテスターにおいて、前記集煙装置は、ステップモーターと、ピストン機構と、透明試験室とをさらに備えてもよく、前記ピストン機構は前記ステップモーターによって駆動され、前記ピストンは前記透明試験室内を、該透明試験室の軸方向に移動する構成とされていてもよい。
【0008】
本発明によるテスターにおいて、前記発光器から前記受光器へ送られる光は赤外線、可視光、またはレーザー光のいずれかであってよい。
【0009】
本発明によるテスターにおいて、前記入出力装置は、タッチ画面と、表示部と、警報システムとをさらに備えてもよく、前記タッチ画面は前記制御パラメータおよび前記最低煙量を設定するのに用いられ、かつ前記比較結果が合格であるか否かを示す構成とされ、前記表示部は前記実際の
煙霧量を表示し、前記警報システムは表示および/または音声によりアラームを発動するよう構成されていてもよい。
【0010】
本発明によるテスターにおいて、前記入出力装置は、タッチ画面と警報システムとをさらに備えてもよく、前記タッチ画面は、前記制御パラメータおよび前記最低煙量を設定するのに用いられ、前記実際の
煙霧量を表示し、前記比較結果が合格であるか否かを示す構成とされ、前記警報システムは表示および/または音声によりアラームを発動する構成とされていてもよい。
【0011】
本発明によるテスターにおいて、前記制御装置は制御部と、解析部と、処理部とをさらに備えてもよい。
【0012】
前記制御部は、前記タッチ画面を介して入力された前記制御パラメータを受け取り、前記
煙霧を収集するよう前記集煙装置を制御し、前記試験装置の前記発光器の発光および前記受光器の受光を同時に制御するのに用いられ、
前記解析部は、前記受光器から前記試験結果および光強度信号を受け取り、前記試験結果を解析して前記実際の
煙霧量を算出し、前記実際の
煙霧量と前記最低煙量を比較して前記比較結果を生成するのに用いられ、
前記処理部は前記比較結果を前記入出力装置に出力するのに用いられ、前記入出力装置は前記比較結果が合格であるか否かを示し、該比較結果が不合格の場合は、前記警報システムがアラームを発動する制御とされる構成であってもよい。
【0013】
本発明によるテスターにおいて、前記制御装置は、プログラマブルロジックコントローラまたはマイクロコントローラであってもよい。
【0014】
本発明によるテスターは、中空の空洞体として構成され、前記集煙装置、前記試験装置、および前記制御装置がすべて前記空洞内に固定され、前記入出力装置、電源スイッチ、および前記テスト用吸入口が空洞の壁部に固定され、前記テスト用吸入口の開口部の大きさおよび形状は、前記電子タバコの吸入ノズルの外周縁に合致する構成であってもよい。
【0015】
本発明はさらに、電子タバコの
煙霧量のテスト方法を提供する。当該方法は配下のステップを含む。
【0016】
S1:入出力装置のタッチ画面を介して制御パラメータおよび最低煙量を予め設定する。
【0017】
S2:制御装置が前記制御パラメータを受け取り、該制御パラメータに基づいて、電子タバコから
煙霧を収集するよう集煙装置を制御する。
【0018】
S3:前記制御装置が試験装置を制御して前記集煙装置に集められた実際の
煙霧量をテストし、前記試験装置から試験結果を受け取り、前記試験結果を解析して前記実際の
煙霧量を算出し、前記実際の
煙霧量と予め設定された前記最低煙量を比較して比較結果を生成する。
【0019】
S4:前記制御装置が前記比較結果に基づいて表示および/またはアラームを制御する。
【0020】
本発明によるテスト方法において、前記制御パラメータは吸入時間と吸入量とを含んでもよく、前記最低煙量は、前記吸入時間および吸入量に対する許容条件を満たす最低煙量として定義されてもよい。
【0021】
本発明によるテスト方法において、前記ステップS2は次のステップをさらに含んでもよい。
【0022】
S21:前記制御装置の制御部が前記制御パラメータを受け取り、前記集煙装置のステップモーターを駆動制御する。
【0023】
S22:前記集煙装置内のピストン機構が、前記ステップモーターにより駆動され、前記ピストン機構は透明試験室の軸方向に移動して、前記電子タバコの前記
煙霧を前記集煙装置内へ圧送する。
【0024】
本発明によるテスト方法において、前記ステップS3は次のステップをさらに含んでもよい。
【0025】
S31:前記制御装置の前記制御部が前記試験装置の前記発光器の発光および前記試験装置前記受光器の受光を制御し、前記試験結果を前記制御装置の解析部へ送信する。
【0026】
S32:前記制御装置の前記解析部が前記試験結果を解析して実際の
煙霧量を算出し、該実際の
煙霧量と前記最低煙量を比較して比較結果を生成する。
【0027】
本発明によるテスト方法において、前記ステップS4は次のステップをさらに含んでもよい。
【0028】
前記制御装置の処理部が前記実際の
煙霧量および前記比較結果を前記入出力装置に出力し、前記タッチ画面または表示部が前記実際の
煙霧量を直接表示し、かつ前記タッチ画面が、前記実際の
煙霧量が前記最低煙量より大きい場合に比較結果として「OK」を表示し、そうでない場合は「NG」を表示し、前記比較結果が数値化されない場合は前記処理部が前記入出力装置の警報システムを起動する。
【0029】
本発明によれば、ステップモーターが集煙装置に設置されているので吸入時間および吸入量が調節可能であり、それゆえ
煙霧を収集する際に吸入量を一定に保つことができ、吸入時間もまた一定とすることができる。タッチ画面が制御パラメータを直接設定しまた比較結果を表示するのに用いられるので、操作が簡便となる。発光器および受光器がテストに採用されているので、
煙霧量を数値化することが可能となる。実際の
煙霧量が予め定めた最低煙量を下回った場合、自動警報システムが表示および音声によってアラームを発動する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明による技術的解決をより明確に説明するため、実施形態を示す図面を以下説明する。当然ながら、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施形態を示すものに過ぎない。当業者であれば以下の図面から、創作力を駆使することなく異なった図面を作成することが可能であろう。
【
図1】電子タバコの
煙霧量テスターの構成を示すブロック図である。
【
図3】電子タバコの
煙霧量テスターの第1の構造例を示す斜視図である。
【
図4】電子タバコの
煙霧量テスターの第2の構造例を示す斜視図である。
【
図5】電子タバコの
煙霧量のテスト方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態による技術的解決を、添付の図面を参照しながら明確かつ完全に説明する。当然ながら、以下に説明する実施形態はあり得べき実施形態の一部に過ぎず、すべてではない。当業者であれば本発明の実施形態に基づき、創作力を駆使することなく異なった実施形態に想到することが可能であり、そのような実施形態もすべて本発明の範疇に含まれる。
【0032】
実施形態1
図1を参照すると、電子タバコの
煙霧量テスターは
煙霧を収集する集煙装置100と、
煙霧の透明度をテストする試験装置と、制御装置300と、入出力装置500とを備える。集煙装置100はエアチューブ600を介してテスト用吸入口700に接続されている。試験装置は発光器201と受光器202とを備え、発光器201と受光器202とは集煙装置100の対向する二つの部位、すなわち上部と下部にそれぞれ配置されている。制御装置300は集煙装置100、試験装置、入出力装置500、および警報システム503に電気的に接続されている。制御装置300は、必要な制御パラメータを取得し、当該制御パラメータに基づいて集煙装置100に集められる
煙霧を制御し、試験装置から試験結果を受け取り、当該試験結果と最低煙量を比較し、入出力装置500の動作を制御するものである。最低煙量は、吸入時間と吸入量とが限定されているという条件下で、一回の吸入で到達すべき最低量と定義される。最低煙量に到達していれば、ユーザは従来のタバコの喫煙時に類似した本物らしい感覚を味わうことができ、「渇望を満たす」感覚を得ることができる。最低煙量に達している場合、電子タバコのアトマイザー、空気通路、および吸気口が正常に作動しているものと判断できる。
【0033】
試験装置が発光及び受光する光は、赤外線、可視光、またはレーザー光のいずれであってもよい。いずれの場合も作動の原則は同じである。制御装置は、試験装置の発光器201の発光動作および試験装置の受光器202の受光動作を制御する。透明試験室103に
煙霧が存在していると、入射する光の強度が低減する。透明試験室103に
煙霧が存在しない時の光の強度を1とする。また透明試験室103が
煙霧で飽和状態となった時の光の強度を0.1とする。実際の光の強度は0.1から1の範囲となる。制御装置300は、受光器202に入射する実際の光の強度に基づいて実際の
煙霧量を判定するよう構成されている。入射する光の強度は
煙霧量に反比例するからである。
【0034】
図2を参照すると、集煙装置はステップモーター101と、ピストン機構102と、透明試験室103とを備える。ステップモーターはピストン機構を、透明試験室103内を該透明試験室103の軸方向に移動させるよう駆動する。ステップモーターのステータコイルには制御装置の制御部からの制御信号が供給され、それによってステップモーターのステップが高精度で制御される。したがって、吸入時間および吸入量の正確な制御が可能となる。
【0035】
制御装置300はプログラマブルロジックコントローラで構成されており、制御部と、解析部と、処理部とを備える。制御部は、入出力装置500のタッチ画面を介して入力された制御パラメータを受け取り、集煙装置100を制御して
煙霧を収集し、また試験装置の発光器201の発光動作および受光器202の受光動作を制御する。解析部は受光器202から光強度の試験結果を受け取り、試験結果を解析して収集された実際の
煙霧量を算出し、さらに実際の
煙霧量と予め設定した最低煙量を比較して、比較結果を生成する。処理部は比較結果を入出力装置500に出力し、実際の
煙霧量を表示させるとともに比較結果が合格か否かを示し、不合格の場合は警報システムを制御してアラームを発動させる。
【0036】
入出力装置500はタッチ画面501と、表示部502と、警報システム503とを備える。タッチ画面501には比較結果が合格か否かが示される。表示部502には実際の
煙霧量が示される。警報システム503
は、表示および/または音声によって、アラームを発動する。警報システムは赤、黄色、または視認しやすい他の色の警告灯であってもよく、および/またはスピーカーでもよい。
【0037】
図3を参照すると、電子タバコの
煙霧量テスターは中空の空洞体として構成されている。集煙装置100、試験装置、および制御装置300はすべて空洞内に固定されている。試験装置は発光器201と受光器202(図示せず)とを備える。タッチ画面501と表示部502と警報システム503とを備える入出力装置500、電源スイッチ800、およびテスト用吸入口700が空洞の壁部に固定されている。電源スイッチ800は外部電源をオンオフするのに用いられる。テスト用吸入口700の開口部のサイズおよび形状は、電子タバコの吸入ノズルの外周縁と合致している。
【0038】
図5を参照すると、電子タバコの
煙霧量のテスト方法の実施形態がさらに示されている。作動工程は以下のステップを含む。
【0039】
S1:操作者が、入出力装置500を介して制御パラメータおよび最低煙量を予め設定する。制御パラメータは吸入時間および吸入量を含み、最低煙量は当該吸入時間および吸入量に対する許容条件を満たす最低量と定義される。
【0040】
S2:制御装置300の制御部が制御パラメータを受け取り、当該制御パラメータに基づいて、電子タバコから
煙霧を収集するよう集煙装置100のステップモーターのステップを高精度で制御する。ステップモーターのステータコイルには制御装置からの制御信号が供給され、当該制御信号はステップモーターのステップを高精度で制御するためのステップ制御パラメータである。制御部は制御パラメータに基づいて集煙装置100を制御し、電子タバコから
煙霧を収集する。ステップモーターはピストン機構を、集煙装置内を透明試験室103の軸方向に移動させ、電子タバコからの
煙霧を集煙装置内に収集するよう駆動する。このようにして、吸入時間および吸入量の正確な制御が可能となる。
【0041】
S3:制御装置300が試験装置を制御して集煙装置に集められた実際の
煙霧量をテストする。制御装置の制御部は、試験装置の発光器201の発光動作および受光器202の受光動作を制御する。入射した光の強度は受光器から制御装置の解析部に送られる。透明試験室103に
煙霧が存在しない時、光の強度は1であり、透明試験室103が
煙霧で飽和状態となった時の光の強度は0.1である。実際の光の強度は0.1から1の範囲である。入射する光の強度は
煙霧量に反比例するので、解析部は実際に入射した光の強度に基づいて実際の
煙霧量を判定するよう構成されている。制御装置の解析部は、試験装置から試験結果を
受け取り、当該試験結果を解析して実際の
煙霧量を算出し、さらに実際の
煙霧量と予め設定された最低煙量を比較して比較結果を生成する。制御装置は比較結果に基づき実際の
煙霧量が最低煙量を下回っているか否かを判定する。下回っていれば次のステップに進み、そうでなければステップS5に跳ぶ。
【0042】
S4:制御装置300が入出力装置500の警報システム503を制御してアラームを発動させる。
【0043】
S4:制御装置の処理部が実際の
煙霧量および比較結果を入出力装置500に出力し、表示させる。実際の
煙霧量の数値が直接表示される。実際の
煙霧量が最低煙量を下回っていれば「NG」という比較結果が表示され、そうでない場合は「OK」という比較結果が表示される。
【0044】
本発明によるテスターは、具体的な光、制御パラメータおよび最低煙量を用いて以下のように例示できる。試験装置はレーザー発光器201とレーザー受光器202とを有する。吸入時間が1秒、吸入量が60ml、そして最低煙量が2mgに設定されている場合に対応する、レーザー受光器202に入射する光の強度を0.8とする。電子タバコのテストに本発明によるテスターを使用した場合、上記の制御パラメータのもとで集煙装置に集められた実際の
煙霧量が1.5mgであったとすると、レーザー発光器から照射されたレーザー光の強度は当然低減することはない。この場合のレーザー受光器202に入射した光の強度は、例えば0.85となる。入射するレーザー光の強度は
煙霧量に反比例するので、制御装置の解析部は、実際の
煙霧量は1.5mgであり、これは最低煙量の2.0mgより明らかに少ないと解析し判定する。そして、制御装置300は警報システム503を制御してアラームを発動させ、同時に表示部502に実際の
煙霧量の1.5を直接表示させ、タッチ画面に「NG」を表示させる。他の種類の光、また異なる制御パラメータと最低煙量を採用した場合、光の強度と
煙霧量との具体的な比例関係は変化する可能性がある。しかし、光強度が
煙霧量に反比例するという作動原則は不変である。個々の例は省略する。
【0045】
実施形態2
制御装置および入出力装置に改良を加えた電子タバコの
煙霧量テスターを
図4に示す。テスターの基本構造は実施形態1で述べたものと同じである。制御装置300は汎用のマイクロコントローラである。入出力装置500は表示部を省略し、タッチ画面501と警報システム503のみを有する。実際の
煙霧量はタッチ画面501に表示される。すなわち、タッチ画面501は制御パラメータおよび最低煙量の設定と、実際の
煙霧量および比較結果が合格か否かの表示とに用いられる。電子タバコの
煙霧量テスターの制御装置としてマイクロプロセッサが用いられ、それゆえテスター全体の反応速度が速くなっている。同時に、当該テスターのスケーラビリティも強化される。例えば記憶装置を追加することによって、得られた試験結果を記憶装置に格納しまた読み出すことが可能となる。データ解析および処理システムを追加すれば、合格製品の割合が直接算定できる。表示部を省略することで、テスター全体をよりコンパクトにでき、操作も簡易化できる。