【実施例】
【0022】
[
図1]は本発明の第1実施例の冷却ループ(16)の概念図を示し、第1熱交換器(13)と、温度調整膨張弁(14)と、第2熱交換器(15)と、圧縮器(11)と、四方弁(12)とを備えている。第1熱交換器および第2熱交換器は空気/冷却剤型である。第1熱交換器(13)には冷却ループ(16)の冷却剤とファンから送られる空気流が通る。この空気流の一部または全部はさらに機関冷却回路の熱交換器(図示せず)を通る。同様に、ファンから送られる空気流は第2熱交換器(15)を通る。この空気流の一部または全部はさらに機関冷却回路の別の熱交換器(図示せず)を通る。空気流の方向は冷却ループ(16)の動作モードと、内燃機関の必要条件との関数である。すなわち、内燃機関が待機モードで且つ冷却ループ(16)がヒートポンプモードの場合には、空気は機関冷却回路の熱交換器で加熱された後に、熱交換器(13)に送られ、冷却ループ(16)の流体の蒸発を加速し、それによって、この冷却ループの性能を向上させることができる。
【0023】
冷却回路の熱交換器は内燃機関の必要条件(内燃機関に流入する空気の加熱または内燃機関が生じるエネルギーの有効利用)に応じて弁を用いて作動できる。
冷却モード時には、圧縮器(11)によって圧縮された冷却剤が弁(12)を通って流れ、さらに凝縮器の役目(熱を外に放出)をする熱交換器(13)を流れ、さらに温度調整膨張弁(14)を通り、次いで蒸発器の役目をする熱交換器(15)を通る。従って、自動車の客室に吹き込まれる空気流が冷却される。
【0024】
ヒートポンプモード時には、冷却剤の流れ方向を弁(12)で逆にする。従って、熱交換器(15)が凝縮器の役目をし、熱交換器(13)が蒸発器の役目をする。熱交換器(15)は自動車の客室の空気流を加熱するのに用いることができる。
【0025】
[
図2]の概念図で示す本発明の第2実施例の冷却ループ(26)では、第1熱交換器(23)と、温度調整膨張弁(24)と、第2熱交換器(25)と、圧縮器(21)と、四方弁(22)と、冷却モードでの流体の流れに対して一端が熱交換器(23)の出口に連結され且つ他端が熱交換器(25)の出口に連結された分路(d3)とを備える。この分路は熱交換器(d1)(この熱交換器中を内燃機関に入る空気流または放出ガス流が通る)と、温度調整膨張弁(d2)とを備える。第1熱交換器および第2熱交換器(23、25)は空気/冷却剤型である。冷却ループ(26)の冷却剤およびファンから供給される空気流は第1熱交換器(23)を通る。この空気流の一部または全部はさらに機関冷却回路の熱交換器(図示せず)を通る。同様に、ファンから送られる空気流は第2熱交換器(25)を通る。この空気流の一部または全部はさらに機関冷却回路の別の熱交換器(図示せず)を通る。
【0026】
空気流の方向はループ(26)の動作モードおよび内燃機関の必要条件の関数である。例えば、内燃機関が待機モードで且つ冷却ループ(26)がヒートポンプモードの場合には、空気は機関冷却回路の熱交換器で加熱された後、熱交換器(23)に送られ、冷却ループ(26)の流体の蒸発を加速する。従って、この冷却ループの性能を向上できる。
冷却回路の熱交換器は内燃機関の必要条件(内燃機関に流入する空気の加熱またはこの内燃機関が生じるエネルギーの有効利用)に応じて弁によって作動できる。
【0027】
熱交換器(d1)は冷却モードまたはヒートポンプモードのいずれかのエネルギー必要条件に従って作動できる。この分路(d3)に逆止弁を取り付けて、分路(d3)を作動または停止させることができる。
【0028】
ファンによって送られた空気流は熱交換器(d1)を通る。同じ空気流が内燃機関冷却回路の別の熱交換器を通ることができ、さらに、放出ガス回路、内燃機関の空気取り入れ口またはハイブリッド自動車のバッテリーに設けた他の熱交換器を通ることもできる。
【0029】
[
図3]の概念図で示す本発明の第3実施例の冷却ループ(36)は第1熱交換器(33)と、温度調整膨張弁(34)と、第2熱交換器(35)と、圧縮器(31)と、四方弁(32)とを備える。第1熱交換器および第2熱交換器(33、35)は空気/冷却剤型である。これらの熱交換器(33、35)の動作は[
図1]に示す第1実施例の動作と同じである。冷却ループ回路(36)と内燃機関冷却回路または第2グリコール−水回路の両方に2つの流体/液体熱交換器(38、37)を付ける。中間気体流体(空気)の無いこの流体/液体熱交換器を取り付けることによって空気/流体熱交換器と比較して熱交換が向上する。
【0030】
[
図4]の概念図で示す本発明の第4実施例の冷却ループ(46)は、第1熱交換器セット(43、48)と、温度調整膨張弁(44)と、第2熱交換器セット(45、47)と、圧縮器(41)と、四方弁(42)とを備える。分路(d1)は冷却モードでの流体の流れに対して一端が熱交換器(43)の出口に連結され且つ他端が熱交換器(47)の出口に連結される。この分路は熱交換器(d1)(内燃機関に入る空気流または放出ガス流れが通る)と、温度調整膨張弁(d2)とを備える。この分路の動作は[
図2]に示す第2実施例の動作と同じである。
熱交換器(43、45)は空気/冷却剤型であり、熱交換器(48、47)は液体/冷却剤型である。これらの交換器の動作は[
図3]に示す第3実施例のものと同じである。
【0031】
本発明方法は、バッテリーで運転するように設計された電気自動車にも同様に適している。本発明方法は、客室とバッテリーの両方に対して気候条件(高温または低温)に応じてエネルギー入力を最良に管理し、特に、熱伝導流体回路を介してバッテリーに温熱または冷熱を供給できる。
本発明方法は、さらに、水素で運転する車両にも適している。
【0032】
実験部分
加熱モード時の可逆ヒートポンプ:
車両でのヒートポンプ運転条件での冷却剤の性能のシミュレーションを凝縮器温度を40℃に固定して行った。
凝縮温度:+40℃(T cond)
圧縮器入口温度:−10℃(Te comp)
蒸発器出口温度:−20℃(Evap outlet temp)
温度調整膨張弁入口温度:−10℃
Evap P:蒸発器の圧力
Cond P:凝縮器の圧力
圧縮率:圧縮率は低圧に対する高圧の比。
スライド:これは蒸発器に沿った温度の変化
COP:これは性能係数(coefficient de performance)で、ヒートポンプの場合、系が受け取ったまたは消費した動力に対する、系によって供給される有効熱能力で定義される。
CAP:これは容積能力(capacite volumetrique)すなわち容積単位当たりの比熱容量(kJ/m
3)である。
%CAPまたはCOPは本発明組成物のR−407Cのそれに対するCAPまたはCOPの値の比である。
圧縮器の等エントロピー効率:これは流体に伝達される実際のエネルギーと等エントロピーエネルギーとの比である。
圧縮器の等エントロピー効率は0.7に等しいとみなされる。
【0033】
【表1】
【0034】
A:HFO−1234yf(重量%)
B:HFC−134a(重量%)
C:プロパン(重量%)
【0035】
冷却モード時の可逆ヒートポンプ:
車両での空気冷却の運転条件での冷却剤の性能のシミュレーションを蒸発器温度を5℃に固定して行った。
凝縮温度:+40℃(T cond)
圧縮器入口温度:+15℃(Te comp)
蒸発器出口温度:5℃(Evap outlet temp)
温度調整膨張弁入口温度:35℃
Evap P:蒸発器の圧力
Cond P:凝縮器の圧力
スライド:蒸発器に沿った温度の変化
圧縮率:圧縮率は低圧に対する高圧の比。
COP:これは性能係数(coefficient de performance)で、ヒートポンプの場合、系が受け取ったまたは消費した動力に対する、系によって供給される有効熱能力で定義される。
CAP:これは容積能力(capacite volumetrique)すなわち容積単位当たりの比熱容量(kJ/m
3)である。
%CAPまたはCOPは本発明組成物のR−407Cのそれに対するCAPまたはCOPの値の比である。
圧縮器の等エントロピー効率:これは流体に伝達される実際のエネルギーと等エントロピーエネルギーとの比である。
圧縮器の等エントロピー効率は0.7に等しいとみなされる。
【0036】
【表2】
【0037】
A:HFO−1234yf(重量%)
B:HFC−134a(重量%)
C:プロパン(重量%)