特許第6194172号(P6194172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194172
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20170828BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20170828BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20170828BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20170828BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170828BHJP
   C11D 17/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   A61K8/44
   A61K8/46
   A61Q5/00
   A61Q11/00
   A61Q19/10
   C11D17/00
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-520099(P2012-520099)
(86)(22)【出願日】2010年7月14日
(65)【公表番号】特表2012-533532(P2012-533532A)
(43)【公表日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】GB2010051156
(87)【国際公開番号】WO2011007174
(87)【国際公開日】20110120
【審査請求日】2013年6月19日
【審判番号】不服2015-15560(P2015-15560/J1)
【審判請求日】2015年8月21日
(31)【優先権主張番号】0912468.6
(32)【優先日】2009年7月17日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508020258
【氏名又は名称】インノスペック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNOSPEC LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【復代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】コトレル フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】セイド サマド
【合議体】
【審判長】 須藤 康洋
【審判官】 関 美祝
【審判官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−522112(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/130390(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
C11D1/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
65重量%未満の水と、少なくとも2種類の構成界面活性剤を含む安定な流動性水性組成物であって、各構成界面活性剤が、飽和溶液を形成する水への最大溶解度を有し、前記組成物中に存在する全界面活性剤の総濃度が、前記構成界面活性剤の飽和溶液の等量を組み合わせることにより得られると見込まれる総濃度よりも高く、少なくとも1種の構成界面活性剤が、式(I)で表される化合物
【化1】



(式中、Rが、C4−36アルキル基を表し、
がアルキルであり、R、R、及びRの各々が水素であり
が陽イオンを表す)を含み、
第2の構成界面活性剤が、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アルキルアンホ酢酸塩、アルキルアンホジ酢酸塩、アルキルアンホプロピオン酸塩、アルキルアンホジプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、アルキルイミノジ酢酸塩、C12−C18カルボン酸の塩、エトキシル化カルボン酸の塩、エステルカルボン酸の塩及びエトキシル化エステルカルボン酸の塩、並びにサルコシン塩;アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドアミンオキシド、アルコールエトキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー誘導界面活性剤、糖エステル、ソルビタンエステルアルコキシレート、グリセリルエステルアルコキシレート、アルキルポリグルコシド、脂肪酸エトキシレート、ポリエチレングリコールエステル及び部分エステル、脂肪族アルカノールアミド、第四級アンモニウム化合物、第三級アミン塩;脂肪酸の塩;モノ又はジアルキル硫酸のアルカリ金属塩;モノ又はジアルキルエーテル硫酸塩;ラウリルエーテル硫酸塩;アルキルスルホン酸塩;アルキルアリールスルホン酸塩;第一級アルカンジスルホン酸塩;アルケンスルホン酸塩;ヒドロキシアルカンスルホン酸塩;アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;アルキルリン酸塩;アルキルフェノールポリグリコールエーテルのスルホン酸塩;アルキルスルホポリカルボン酸エステルの塩;アルキルスルホコハク酸及びその塩、アルキルエーテルスルホコハク酸及びその塩、非アシル化アルキルイセチオン酸塩;脂肪酸タウリン塩;アシルタウリン塩;脂肪酸とオキシ及びアミノアルカンスルホン酸との縮合生成物;脂肪酸及びポリグリコールの硫酸化誘導体;アルキル及びアシルサルコシン塩;スルホ酢酸塩;アルキルリン酸塩;アルキルリン酸エステル塩;アシル乳酸塩;硫酸化脂肪酸のアルカノールアミド;リポアミノ酸の塩;並びに、上記のナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、及び、トリエタノールアミン塩から選択され、水が、存在するすべての溶媒のうちの少なくとも90重量%を構成し、かつ均質で、単一相として存在する、
安定な流動性水性組成物。ただし、SCMI(ココイルメチルイセチオン酸ナトリウム)を24.0重量%、EMPIGEN(登録商標)BS/FA由来のCAPB(ココアミドプロピルベタイン)を17.0重量%、55%DMDMヒダントインを0.4重量%、および水を100.0重量%の残り含む組成物を除く。
【請求項2】
がC10−C16アルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
粘度が100000cps(mPa.s)未満である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
複数のn個の界面活性剤を含む体積Vを有する組成物であって、第1の界面活性剤が、質量mを有する量で存在し、最大溶解度Sを有し、第2の界面活性剤が、質量mを有する量で存在し、最大溶解度Sを有し、第nの界面活性剤が(存在する場合)、質量mを有する量で存在し、最大溶解度Sを有し、且つ
【数1】


である、
請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
60重量%未満の水を含む、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
水が、存在するすべての溶媒のうちの少なくとも95重量%を構成する、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
水が、実質的に存在する唯一の溶媒である、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
パーソナルケア組成物の調製における、請求項1〜のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項9】
パーソナルケア組成物が、ヘアケア組成物、スキンケア組成物、及び口腔ケア組成物から選択される、請求項に記載の使用。
【請求項10】
請求項1〜のいずれかに記載の組成物を希釈して、構成界面活性剤の所望の最終濃度を得ることを含む、パーソナルケア組成物を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な界面活性剤組成物、並びにそれに関する方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のパーソナルケア組成物、例えばシャンプー、コンディショナー、洗浄剤、ボディソープ、シャワージェル、保湿剤などは、界面活性剤とコンディショニング剤とのブレンドを含む水性組成物である。パーソナルケア製剤は、通常、別個の界面活性剤とコンディショニング剤とを混合することによって調製される。こうした成分は、配合者が適切な割合で希釈及び/又は組み合わせた濃縮液として供給され得る。好ましい濃縮成分は、扱い易く、流動し易く、よって容易にポンプ移送(pump)することができるものである。しかし、流動し易い組成物を提供できるようにするために、粘性のゲル又は蝋様の固形物が形成されないように特定の成分の濃度が限定されることがある。その結果、比較的多量の水を含む界面活性剤濃縮液が、パーソナルケア組成物中の構成成分として使われることが多い。そうした濃縮組成物は、製剤工場で使用するために、その後世界中の様々な場所に輸送することが必要である。そうすると、相当な体積の水が長距離輸送されることになり、これは経費及び環境の面で不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
よって、より濃縮された流動性界面活性剤組成物を提供することができれば、有利であろう。また、界面活性剤の混合物を含む濃縮物を供給することができれば、複数の個別の成分を輸送する必要性を低減することになるので、有益であろう。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも2種類の構成界面活性剤(component surfactant)を含む安定な流動性水性組成物であって、各構成界面活性剤が、飽和溶液を形成する水への最大溶解度を有し、前記組成物中に存在する全界面活性剤の総濃度が、前記構成界面活性剤の飽和溶液の同等量を組み合わせて得られると見込まれる総濃度よりも高く、少なくとも1種の構成界面活性剤が、式(I)の化合物
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、Rは、C4−36の置換又は非置換ヒドロカルビル基を表し、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子又はC1−4アルキル基を表し、
且つR、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが水素ではなく、
が陽イオンを表す)を含む、安定な流動性水性組成物が提供される。
【0007】
構成界面活性剤の飽和溶液の等量に言及したときの誤解を回避するために、一例を挙げると、本発明の組成物が10gの界面活性剤Aと10gの界面活性剤Bとを含むときに、10gの界面活性剤Aを含有する飽和溶液と10gの界面活性剤Bとを含む飽和溶液を組み合わせると、本発明の組成物より低い濃度を有する組成物が生じると見込まれることを意味する。つまり、界面活性剤混合物の一定の質量の体積は、飽和溶液を混合して得られる体積と比較すると、本発明の組成物の方が小さいということが、当業者には認識されるであろう。
【0008】
よって、本発明の組成物が、体積Vを有し、複数のn個の界面活性剤を含み、第1の界面活性剤が、質量mを有する量で存在し、且つ水への最大溶解度Sを有し、第2の界面活性剤が、質量mを有する量で存在し、且つ水への最大溶解度Sを有し、第nの界面活性剤が(存在する場合)質量mを有する量で存在し、且つ水への最大溶解度Sを有する場合、以下のようになる。
【0009】
【数1】
【0010】
水中での最大溶解度の値は、他の界面活性剤又は他の成分が存在しないときの、その構成界面活性剤の飽和溶解度を指す。市販の界面活性剤は不純物を含有していることが多いので、いくらか不純物が存在する可能性があるが、S、S及びSの値は、存在する活性な界面活性剤の最大溶解度を指す。
【0011】
好ましくはnは10未満であり、好ましくは6未満である。適切には、nは2、3、4、又は5でよい。好ましい実施形態では、nは2である。
【0012】
本発明の組成物は、構成界面活性剤の飽和溶液を組み合わせることによって得られると見込まれる濃度より高い界面活性剤総濃度Cを含む。
【0013】
総濃度
【0014】
【数2】
【0015】
したがって
【0016】
【数3】
【0017】
本発明の組成物は安定である。これは、該組成物が化学的及び物理的に安定な形態で適切に提供されることを意味する。よって、該組成物は適切なことに保存時に分解せず、調製、使用、及び保存の際の、光、熱、及び圧力の条件下で化学的に安定である。
【0018】
該組成物は、物理的に安定な形態で適切に提供される。例えば、静置させたときに相が変化することも異なる相に分離することもなく、調製、保存、及び使用の際の、光、熱、及び圧力の条件下で物理的に安定である。例えば、沈殿物が該組成物から形成することも、乳剤が分離することもない。
【0019】
本発明の組成物は、流動性の組成物である。流動性とは、該組成物をポンプ移送する又は流動させることができることを意味する。本発明の組成物は、容易に注ぐことができる流動性(free-flowing)組成物、及び、応力が加わるときのみ流動するチキソトロピー組成物を含む、流れることのできる任意の種類の組成物でもよい。
【0020】
本発明の組成物は、任意の適切な形態で提供することができる。好ましくは、それは実質的に均一に粘稠である。該組成物は、乳剤の形態でもよい。しかし、好ましい実施形態では、該組成物は実質的に均質であり、単一相組成物として存在する。
【0021】
本発明の組成物はゲル又はペーストとして提供することができる。しかし、好ましくは、該組成物は液体として提供される。それは、チキソトロピー性であってもなくてもよい、粘稠液として提供することができる。それは、易流動性の液体として提供することができる。
【0022】
好ましくは、本発明の組成物は120000cps未満の粘度を有し、好ましくは110000cps(mPa.s)未満、より好ましくは100000cps(mPa.s)未満、例えば95000cps(mPa.s)未満、適切には90000cps(mPa.s)未満、好ましくは85000cps(mPa.s)未満、例えば80000cps(mPa.s)未満の粘度を有する。
【0023】
本発明の組成物がペースト又はゲルで提供される場合、粘度は、適切なずり速度、例えば10〜1000s−1で測定される。粘度は周囲温度及び周囲圧力で適切に測定される。
【0024】
本発明の少なくとも1種の構成界面活性剤は、式(I)の化合物を含む。
【0025】
【化2】
【0026】
好ましくは、Rは、置換又は非置換の、アルキル、アルケニル、アリール、又はアルキルアリール基から選択される。より好ましくは、Rは、置換又は非置換のアルキル基から選択される。最も好ましくは、Rは、非置換アルキル基である。
【0027】
好ましくは、Rは、C5−30アルキル基を表し、好ましくはC7−24アルキル基、より好ましくはC7−21アルキル基、最も好ましくはC7−17アルキル基、例えばC7−15アルキル基を表す。
【0028】
好ましくは、Rは、C1−4アルキル基を表し、適切には、プロピル基又はブチル基が存在する場合は直鎖である、C1−4アルキル基を表す。好ましくは、Rは、n−プロピル基、エチル基を表し、又は最も好ましくはメチル基を表す。
【0029】
好ましくは、Rは水素原子を表す。
【0030】
好ましくは、RとRのうちの1つが水素原子を表し、他方が水素原子又はC1−4アルキル基を表す。好ましくは、RとRのうちの1つが、水素原子、又は、プロピル基若しくはブチル基が直鎖であるC1−4アルキル基を表す。好ましくは、RとRのうちの1つが、n−プロピル基、エチル基若しくはメチル基を表し、又は、最も好ましくは水素原子を表す。最も好ましくは、RとRの両方が水素原子を表す。
【0031】
幾つかの実施形態では、本発明は、2つ以上の式(I)の化合物の混合物を含むことができる。例えば、式(I)の化合物の異性体混合物が存在してもよい。そうした混合物として、例えば、Rがアルキル(適切にはメチル)であり、R、R及びRがすべて水素である化合物、並びに、Rがアルキル(適切にはメチル)であり、R、R及びRがすべて水素である化合物を挙げることができる。
【0032】
好ましくは、Mは、置換されていてもよいアンモニウム陽イオンを表し、又は、最も好ましくは金属陽イオンを表す。適切なアンモニウム陽イオンとしては、NH、及びトリエタノールアミンのアンモニウム陽イオンが挙げられる。適切な金属陽イオンとしては、例えば、ナトリウム、リチウム、及びカリウム陽イオンなどのアルカリ金属陽イオン、並びに、例えば、カルシウム、及びマグネシウム陽イオンなどのアルカリ土類金属陽イオンが挙げられる。好ましくは、Mはカリウム陽イオンを表し、又は、特にナトリウム陽イオンを表す。
【0033】
は、アルキル基でもアルケニル基でもよい。好ましくは、Rはアルキル基である。幾つかの実施形態では、本発明の構成界面活性剤は、脂肪酸の混合物を含むことにより、Rが異なってもよい、式(I)の化合物の混合物を形成することができる。
【0034】
は脂肪酸の残基である。天然油から得られる脂肪酸は、脂肪酸の混合物を含んでいることが多い。例えば、ヤシ油から得られる脂肪酸は、C12ラウリン酸、C14ミリスチン酸、C16パルミチン酸、及びCカプリル酸を含めた、脂肪酸の混合物を含有する。
【0035】
は、1若しくは2以上の天然に存在する脂肪酸、及び/又は、1若しくは2以上の合成脂肪酸の残基を含んでもよい。幾つかの好ましい実施形態では、Rは本質的に単一の脂肪酸の残基からなる。
【0036】
が由来し得るカルボン酸の例としては、ココ酸(coco acid)、酪酸、ヘキサン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタノン酸、ベへン酸(behinic acid)、エルカ酸(eruic acid)、ドコサヘキサンリグノセリン酸(docosahexanoic lignoceric acid);ヤシ油、牛脂、パーム核油、バター脂肪、パーム油、オリーブ油、トウモロコシ油、亜麻仁油、落花生油、魚油、及び菜種油から得られるものなどの天然脂肪酸; 単一鎖長又は選択された鎖長分布として作製される合成脂肪酸;並びに、これらの混合物が挙げられる。最も好ましくは、Rは、12個の炭素原子を有する飽和脂肪酸であるラウリン酸の残基、又は、ヤシ油に由来する混合脂肪酸の残基を含む。
【0037】
式(I)の化合物は、先行技術に開示される方法のうちのいずれかによって調製することができる。例えば、国際公開第94/09763号パンフレット、及び国際公開第2005/075623号パンフレットに記載される方法を参照されたい。
【0038】
特に好ましい実施形態では、R、R、及びRはすべて水素であり、且つ、Rはエチル、又は最も好ましくはメチルである。
【0039】
そうした好ましい実施形態では、本発明の組成物は、メチルイセチオン酸ナトリウムと脂肪酸との反応生成物、すなわち、式(II)の化合物を含むことが好ましい。
【0040】
【化3】
【0041】
式中、RとRのうちの1つはメチルであり、他方は水素である。これらの異性体の混合物が存在してもよい。
【0042】
最も好ましくは、本発明の組成物は、ラウリルメチルイセチオン酸ナトリウム、及び/又はココイルメチルイセチオン酸ナトリウムを含む。
【0043】
式(I)の化合物を含む構成界面活性剤に加えて、本発明の組成物は、1又は2以上のさらなる構成界面活性剤を含む。式(I)の化合物は皮膚に優しいことが知られており、よってパーソナルケア製剤における使用に特に適している。本発明の組成物に含まれる、1又は2以上のさらなる構成界面活性剤も、適切なことに皮膚に優しい。
【0044】
本発明での使用に好ましい界面活性剤は、パーソナルケア製剤に一般に使用されるものである。異なる目的に異なる界面活性剤が認可されており、所与の用途に使用できると思われる界面活性剤の種類は、当業者であれば理解するであろう。当然のことながら、化粧品として認可される界面活性剤の一覧は絶えず変化しており、よって本発明の組成物はそうした界面活性剤には限定されないことも認識されよう。
【0045】
本発明で使用するための1又は2以上のさらなる構成界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、及びこれらの混合物から選択することができる。好ましくは、1又は2以上のさらなる構成界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される。
【0046】
本発明の組成物での使用に適切な陰イオン界面活性剤として、C12−C18カルボン酸の塩、エトキシル化カルボン酸の塩、エステルカルボン酸の塩及びエトキシル化エステルカルボン酸の塩、並びにサルコシン塩が挙げられる。他の適切な陰イオン界面活性剤には、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルコール硫酸塩、アルコールエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルスルホン酸塩といった、硫酸塩及びスルホン酸塩、並びにエステルリン酸塩が挙げられる。
【0047】
適切な陰イオン界面活性剤は、脂肪酸の塩;モノ又はジアルキル硫酸のアルカリ金属塩;モノ又はジアルキルエーテル硫酸塩;ラウリルエーテル硫酸塩;アルキルスルホン酸塩;アルキルアリールスルホン酸塩;第一級アルカンジスルホン酸塩;アルケンスルホン酸塩;ヒドロキシアルカンスルホン酸塩;アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩;アルファオレフィンスルホン酸塩;アルキルリン酸塩;アルキルフェノールポリグリコールエーテルのスルホン酸塩;アルキルスルホポリカルボン酸エステルの塩;アルキルスルホコハク酸及びその塩、アルキルエーテルスルホコハク酸及びその塩、非アシル化アルキルイセチオン酸塩;脂肪酸タウリン塩;アシルタウリン塩;脂肪酸とオキシ−及びアミノアルカンスルホン酸との縮合生成物;脂肪酸及びポリグリコールの硫酸化誘導体;アルキル及びアシルサルコシン塩;スルホ酢酸塩;アルキルリン酸塩;アルキルリン酸エステル塩;アシル乳酸塩;硫酸化脂肪酸のアルカノールアミド、並びにリポアミノ酸の塩から選択することができる。上記のうち特に例示的な塩は、適用可能な場合、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、及びトリエタノールアミン塩である。
【0048】
本発明での使用に特に好ましい陰イオン界面活性剤として、メチルココイルタウリンナトリウム、ラウリルサルコシンナトリウム、アルコール硫酸塩、及びアルコールエーテル硫酸塩が挙げられる。
【0049】
本発明での使用に適切な非イオン界面活性剤として、アルコールエトキシレート及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー由来の界面活性剤、糖エステル、特にソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸エトキシレート又はポリエチレングリコールエステル及び部分エステル、アルカノールアミド、並びにアミンオキシドが挙げられる。
【0050】
本発明での使用に特に好ましい非イオン界面活性剤として、脂肪酸アルカノールアミド、ステアリン酸エチレングリコール、及び、ジステアリン酸エチレングリコールが挙げられる。
【0051】
適切な非イオン表面活性剤は、以下から選択することができる:疎水基及び反応性水素原子を有する化合物(例えば、脂肪族のアルコール、酸、アミド、又はアルキルフェノール)と、アルキレンオキシド(特に、エチレンオキシド単独又はプロピレンオキシドと共に)との反応生成物(例えば、アルキル(C−C22)フェノール−エチレンオキシド縮合体、脂肪族(C−C18)第一級又は第二級の直鎖状又は分岐状アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、及び、エチレンオキシドがプロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物と縮合することで作製される生成物);長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、及びジアルキルスルホキシド;アルキルアミンオキシド、アルキルアミドアミンオキシド;アルキル第三級ホスフィンオキシド;アルコキシルアルキルアミン;ソルビタン;ソルビタンエステル;ソルビタンエステルアルコキシレート;グリセロールエステルアルコキシレート;ショ糖エステル;多糖アミドなどの糖アミド;ラクトビオナミド;並びに、例えばアルキルポリグリコシドなどのアルキル多糖非イオン界面活性剤。好ましい非イオン界面活性剤は、スクログリセリド、及びエトキシル化(ethyoxylated)脂肪族アルコール、特に、ラウリル、セチルステアリル、ステアリル、セチル、及びオレオセチルアルコールに由来するものである。
【0052】
本発明での使用に適切な陽イオン界面活性剤は、典型的には、脂肪族アミン誘導体又は第四級ホスホニウムイオン、及び第四級アンモニウム化合物に基づいている。
【0053】
本発明での使用に適切な陽イオン界面活性剤として、第三級アミン塩、塩化モノアルキルトリメチルアンモニウム、モノアルキルトリメチルアンモニウムメチル硫酸塩、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウムメチル硫酸塩、塩化トリアルキルトリメチルアンモニウム及びトリアルキルメチルアンモニウムメチル硫酸塩が挙げられる。
【0054】
適切な両性界面活性剤には、脂肪族窒素誘導体に基づくもの、及びベタインに基づくものが含まれる。
【0055】
適切な両性又は双性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アルキルアンホ酢酸塩、アルキルアンホジ酢酸塩、アルキルアンホプロピオン酸塩、アルキルアンホジプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、及びアルキルイミノジ酢酸塩などの、ベタインから選択することができる。
【0056】
本発明の組成物に使用するための両性又は双性界面活性剤には、炭素原子7〜22個のアルキル基又はアルケニル基を有し、且つ以下の全体的な構造式に従うものを含めることができる。
【0057】
【化4】
【0058】
式中、Rは炭素原子7〜22個のアルキル基又はアルケニル基であり;R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子1〜6個のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基であり;mは2〜4であり;nは0又は1であり;Xは、ヒドロキシル基で置換されていてもよい、炭素原子1〜6個のアルキレンであり;且つ、Yは−CO又は−SOである。
【0059】
両性又は双性界面活性剤には、以下の式の単純なベタイン
【0060】
【化5】
【0061】
及び以下の式のアミドベタインを含めることができる。
【0062】
【化6】
【0063】
式中、mは2又は3である。
【0064】
両方の式において、R、R及びRは前記に定義した通りである。特にRは、R基のうち少なくとも半数、好ましくは少なくとも4分の3が10〜14個の炭素原子を有するように、ココナツ由来のC12及びC14アルキル基の混合物でもよい。好ましくは、R及びRはメチルである。
【0065】
両性又は双性界面活性剤には、以下の式のスルホベタインを含めることができる。
【0066】
【化7】
【0067】
式中、mは2若しくは3であり、又は、前記式中の−(CHSOが以下の式で置き換えられた、これらのバリアントである。
【0068】
【化8】
【0069】
これらの式中で、R、R及びRは、前記に定義した通りである。
【0070】
両性又は双性界面活性剤には、アンホ酢酸塩及びジアンホ酢酸塩を含めることができる。アンホ酢酸塩は、一般的に以下の式に合致する。
【0071】
【化9】
【0072】
ジアンホ酢酸塩は、一般的に以下の式に合致する。
【0073】
【化10】
【0074】
式中、Rは、炭素原子8〜22個の脂肪族基であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は置換アンモニウムなどの陽イオンである。
【0075】
適切な酢酸塩系の界面活性剤として、ラウロアンホ酢酸塩;アルキルアンホ酢酸塩;ココアンホ(ジ)酢酸塩;ココアンホ酢酸塩;ココアンホジ酢酸二ナトリウム;ココアンホ酢酸ナトリウム;ココアンホジ酢酸二ナトリウム;カプリロアンホジ酢酸二ナトリウム;ラウロアンホ酢酸二ナトリウム;ラウロアンホ酢酸ナトリウム、及びコムギ胚芽アンホジ酢酸二ナトリウム(disodium wheatgermamphodiacetate)が挙げられる。
【0076】
適切なベタイン界面活性剤として、アルキルアミドベタイン;アルキルベタイン、C12/14アルキルジメチルベタイン;ココアミドプロピルベタイン;牛脂ビス(ヒドロキシエチル)ベタイン;ヘキサデシルジメチルベタイン; ココジメチルベタイン;アルキルアミドプロピルスルホベタイン;アルキルジメチルアミンベタイン;ココアミドプロピルジメチルベタイン;アルキルアミドプロピルジメチルアミンベタイン;コカミドプロピルベタイン;ラウリルベタイン;ラウリルアミドプロピルベタイン(laurylamidopropl betaine)、ココアミドベタイン、ラウリルアミドベタイン、アルキルアミノベタイン;アルキルアミドベタイン;ココベタイン;ラウリルベタイン;ジメチコンプロピルPGベタイン(diemethicone propyl PG-betaine);オレイルベタイン;N−アルキルジメチルベタイン;ココビグアミド誘導体(coco biguamide derivative)、Cアミドベタイン;C12アミドベタイン;ラウリルジメチルベタイン;アルキルアミドプロピルベタイン;アミドベタイン;アルキルベタイン;セチルベタイン;オレアミドプロピルベタイン;イソステアラミドプロピルベタイン;ラウラミドプロピルベタイン;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン;2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン;2−アルキル−N−ナトリウムカルボキシメチル−N−カルボキシメチルオキシエチルイミダゾリニウムベタイン;N−アルキル酸アミドプロピル−N,N−ジメチル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン;N−アルキル−N,N−ジメチル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン;ココジメチルベタイン;アプリコットアミドプロピルベタイン;イソステアラミドプロピルベタイン;ミリスタミドプロピルベタイン;パルミタミドプロピルベタイン;コカミドプロピルヒドロキシルスルタイン(cocamidopropyl hydroxyl sultaine);ウンデシルエナミドプロピルベタイン;ココアミドスルホベタイン;アルキルアミドベタイン;C12/18アルキルアミドプロピルジメチルアミンベタイン;ラウリルジメチルベタイン;リシノールアミドベタイン;牛脂アミノベタインが挙げられる。
【0077】
適切なグリシネート界面活性剤として、ココアンホカルボキシグリシネート;牛脂アンホカルボキシグリシネート;カプリロアンホカルボキシグリシネート、オレオアンホカルボキシグリシネート、ビス−2−ヒドロキシエチル牛脂グリシネート;ラウリルアンホグリシネート;牛脂ポリアンホグリシネート;ココアンホグリシネート;オレインポリアンホグリシネート;N−C10/12脂肪酸アミドエチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−グリシネート;N−C12/18脂肪酸アミドエチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−グリシネート;ジヒドロキシエチル牛脂グリシネートが挙げられる。
【0078】
本明細書で使用するためのさらなる構成界面活性剤の選択は、本発明の組成物の意図された最終用途に応じて決まるであろう。該組成物は、例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、皮膚洗浄組成物、シャワージェル、浴用製品、手用洗浄剤、口腔ケア製品、スキンケア用乳剤、又は他のパーソナルケア用途のために使用することができる。
【0079】
ラウリル硫酸ナトリウムは、適用時のクリーム状の感触及びしっかりした泡が得られるので、長い間シャンプーに使用されてきた。透明なシャンプーには、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2EO)が含まれることが多い。シャンプーに含まれる他の界面活性剤としては、例えば、ココジエタノールアミド(cocodiaethanolamide)などのアルカノールアミド(alkanoamide);ラウリル硫酸トリエタノールアミン;ラウレス−2−硫酸ナトリウム;イミダゾリン由来の界面活性剤;ラウリンソルビタンエステル20EO(lauric sorbitan ester 20EO);四級タンパク質加水分解物(quaternary hydrolysed protein)、ジメチコンコポリオール(diamethicone copolyol);ラノリン誘導体;及び陽イオン性グアーガム誘導体が挙げられる。シャンプーに汎用される界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム及び他のアルキル硫酸塩、並びにエーテル硫酸塩、さらに、スルホコハク酸塩(sulfocsuccinate)、アミンオキシド、ラウレスカルボン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム及び、両性ココアミドプロピルベタイン、アンホカルボキシグリシンナトリウム、並びに、アルキルポリアミノカルボン酸塩が挙げられる。
【0080】
ヘアコンディショナーは、シャンプーによって生じる静電気を打ち消すので、陽イオン界面活性剤、特に第四級アンモニウム化合物を含有することが多い。適切なヘアコンディショナーは、臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムを含むことができる。
【0081】
皮膚洗浄石鹸には、ココイルイセチオン酸ナトリウム、アシルN−メチルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、脂肪族アルコール硫酸塩、スルホコハク酸モノエステル、アルキルスルホ酢酸塩、グリセリルエステル硫酸塩(gylcerylestersulfate)、及びアシルグルタミン酸塩が含まれることが多い。
【0082】
シャワージェルには、特に汎用される、ラウリル硫酸ナトリウムを有するシャンプーに使用されるものと同様の界面活性剤が含まれることが多い。
【0083】
バスフォームには、泡立ちのためにラウレス−3硫酸ナトリウム(3EO)が含まれることが多く、ココイルメチルタウリン塩及びアルカノールアミド又はポリエトキシル化ラノリンが含まれることも多い。
【0084】
ハンドクリーナーは、α−オレフィンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、又はココアミドプロピルベタインを含むことができる。
【0085】
歯磨き粉には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、又はアルキルポリグリコシドが含まれることが多い。
【0086】
マウスウォッシュは、ラウリル硫酸ナトリウム、メチルココイルタウリンナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、及び、例えば塩化セチルピリジニウムといった殺菌性の陽イオン界面活性剤を含むことができる。
【0087】
乳剤タイプのスキンタイプ製品(skin type product)は、モノステアリン酸グリセリル(glyceryl monstearate);及びその誘導体;セトステアリルアルコール;エトキシレート及びセチル硫酸ナトリウムを含む様々な構成界面活性剤を含むことができる。
【0088】
本発明の組成物は、1又は2以上のさらなる構成界面活性剤と組み合わせた式(I)の化合物を含む。好ましくは、式(I)の化合物と1又は2以上のさらなる構成界面活性剤との重量比が、少なくとも0.05対1であり、好ましくは少なくとも0.1対1、適切には少なくとも0.2対1、例えば少なくとも0.3対1又は0.4対1である。式(I)の成分と残りの構成界面活性剤の総重量との重量比は、最大50対1、例えば最大25対1、適切には最大15対1、例えば、最大10対1、最大8対1、最大5対1でもよい。
【0089】
適切には、本発明の組成物中に式(I)の化合物は、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、適切には少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも5重量%、例えば、少なくとも7.5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも12.5重量%、又は少なくとも15重量%の量で存在する。
【0090】
適切には、本発明の組成物中に式(I)の化合物は、最大70重量%、好ましくは最大60重量%、適切には最大50重量%の量で存在する。
【0091】
本発明の組成物中に存在する、式(I)のこうした化合物以外のさらなる構成界面活性剤の総量は、好ましくは少なくとも0.1重量%、適切には少なくとも1重量%、例えば少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも5重量%、例えば、少なくとも7.5重量%、少なくとも10重量%、若しくは少なくとも12.5重量%、又は少なくとも15重量%である。本発明の組成物中に存在する、式(I)のこうした化合物以外のさらなる構成界面活性剤の総量は、好ましくは最大70重量%、好ましくは最大60重量%、適切には最大50重量%である。
【0092】
幾つかの実施形態では、本発明の組成物は2種の主要な構成界面活性剤を含む(comprise)。幾つかの実施形態では、本発明の組成物は2種の主要な構成界面活性剤を包含する(include)。主要な構成界面活性剤とは、該組成物中に存在するすべての構成界面活性剤のうち、これらが少なくとも90重量%、好ましくは95重量%を占めることを意味する。
【0093】
誤解を回避するために、界面活性剤の上記の量の規定は、該組成物中に存在する活性な界面活性剤化合物の実際の量を指す。しかし、市販の界面活性剤組成物は、通常不純な化合物として供給されることを、当業者であれば認識されよう。市販の界面活性剤に存在する不純物のレベルは、典型的には重量で10〜25%であり、こうした不純物は、通常は未反応の出発材料及び/又は副生成物を含有している。
【0094】
したがって、およそ40重量%の活性な界面活性剤を含む組成物は、実際は界面活性剤由来の不揮発性物質を約50%の総質量で含んでいる可能性がある。本発明の組成物は、構成界面活性剤を合計で、好ましくは30〜50重量%、好ましくは35〜48重量%、例えば38〜45重量%含む(活性分の質量のみ)。
【0095】
該組成物は、界面活性剤に基づく全不揮発性物質を、好ましくは30〜70重量%、好ましくは35〜65重量%、より好ましくは40〜60、例えば45〜55重量%含む。用語「界面活性剤に基づく不揮発性物質」には、本発明に使用される活性な構成界面活性剤、及び、市販の界面活性剤混合物中に不純物として存在する可能性がある他の任意の残留物が含まれる。容易に分離することができない不揮発性不純物は、合成で調製した構成界面活性剤の組成物にも存在し得る。
【0096】
特に好ましい実施形態では、本発明は、ラウリルメチルイセチオン酸ナトリウムと、ココアミドプロピルベタイン、メチルココイルタウリンナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、及びラウロイルサルコシンナトリウムから選択される、1又は2以上のさらなる構成界面活性剤とを含む組成物を提供する。
【0097】
本発明は、水性組成物を提供する。幾つかの実施形態では、該組成物は、水に加えて1又は2以上のさらなる溶媒を含むことができる。そうした適切な共溶媒としては、例えば、アルコール、グリコールなどの極性化合物を挙げることができる。
【0098】
しかし、好ましい実施形態では、水は本発明の組成物中に存在する主要な溶媒であり、適切には、存在するすべての溶媒のうちの少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは99重量%を構成する。特に好ましい実施形態では、水は存在する実質的に唯一の溶媒である。しかし、本発明の組成物は濃縮組成物であり、この種の界面活性剤の混合物を使用して以前に実現されていた濃度よりかなり低い濃度の水が存在する。
【0099】
好ましくは、本発明の組成物は80重量%未満の水を含み、好ましくは75重量%未満、より好ましくは70重量%未満、適切には65重量%未満、より好ましくは60重量%未満、好ましくは58重量%未満、最も好ましくは55重量%未満の水を含む。幾つかの好ましい実施形態では、本発明の組成物は52重量%未満の水を含むことができる。
【0100】
好ましくは、該組成物は、本質的に2又は3以上の構成界面活性剤、水、及び、界面活性剤原料に存在する任意の不揮発性不純物からなる。任意のさらなる成分は、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満の量で存在する。
【0101】
本発明の組成物は、さらにpH制御剤を含むことができる。任意の適切な酸又は塩基をpH調整剤として使用することができる。好ましいpH調整剤は化粧品用に許容されるものであり、妥当な酸又は塩基は当業者の技量内で選択されるであろう。特に好ましい酸は、クエン酸(critic acid)である。特に好ましい塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0102】
適切には、本発明の組成物は、pHが少なくとも4であり、好ましくは少なくとも4.5であり、適切には少なくとも5であり、例えば、少なくとも5.5、又は少なくとも5.8である。好ましくは、本発明の組成物は、pHが10未満であり、好ましくは9未満であり、例えば、8.5未満、又は8.3未満である。
【0103】
幾つかの実施形態では、本発明の組成物は、さらにキレート化剤を含む。適切なキレート化剤として、アミノカルボン酸及びアミノリン酸キレート化剤が挙げられる。特に好ましいキレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸、及びエチレンジアミンジコハク酸である。キレート化剤は、通常は、5重量%未満、例えば2.5重量%未満の量で存在する。
【0104】
本発明の組成物は、任意の適切な手段で調製することができる。典型的には、該組成物は、第1の構成界面活性剤の固形原料を、第2の構成界面活性剤の市販の飽和溶液に加えることによって調製することができる。さらなる水を必要に応じて加えてもよく、該混合物を穏やかに加熱してもよい。或いは、第1の構成界面活性剤を、1又は2以上の構成界面活性剤の水溶液に、溶融液として加えることができる。
【0105】
本発明は、濃縮された複数の界面活性剤を含有する組成物を提供する。これは、任意の適切な目的に使用することができる。好ましくは、該組成物はパーソナルケア組成物の調製に使用される。したがって、本発明は、パーソナルケア組成物の調製における、第1の態様の組成物の使用をさらに提供する。適切には、該パーソナルケア組成物は、ヘアケア組成物、スキンケア組成物、又は口腔ケア組成物から選択することができる。
【0106】
よって、本発明は、パーソナルケア組成物を調製する方法であって、第1の態様の組成物を希釈して所望の最終濃度の構成界面活性剤を得ることを含む方法をさらに提供する。該方法は、典型的には希釈組成物をさらなる組成物とブレンドすることを含むこととなり、当業者の技量の範囲内にある。
【0107】
以下の非限定的な実施例に関して、本発明をこれからさらに規定する。
【0108】
これらの実施例では、以下の市販の界面活性剤を使用した:
【0109】
界面活性剤A−ラウリルメチルイセチオン酸ナトリウム
この界面活性剤は、85重量%の活性な界面活性剤化合物を含む、100%不揮発性固形物質として使用した。
【0110】
界面活性剤B−コカミドプロピルベタイン
この界面活性剤は、35重量%の不揮発性化合物及び30重量%の活性な界面活性剤化合物を含有する水溶液として供給された。
【0111】
界面活性剤C−メチルココイルタウリンナトリウム
この界面活性剤は、38重量%の不揮発性化合物及び30重量%の活性な界面活性剤化合物を含有する、濁りのある粘性ペーストとして供給された。
【0112】
界面活性剤D−ラウロアンホ酢酸ナトリウム
この界面活性剤は、38重量%の不揮発性化合物及び31重量%の活性な界面活性剤化合物を含有する水溶液として供給された。
【0113】
界面活性剤E−ラウロイルサルコシンナトリウム
この界面活性剤は、30重量%の不揮発性化合物及び28重量%の活性な界面活性剤化合物を含有する水溶液として供給された。
【0114】
実施例1〜5で使用する前に、界面活性剤A、B、C、D及びEを、真空中で濃縮し、50重量%の界面活性剤に基づく不揮発性物質を含む組成物を得た。
【実施例1】
【0115】
特定量の界面活性剤Aを、50重量%の不揮発性物質を含む界面活性剤B溶液に加えることによって、表1に列挙する組成物を調製した。この混合物を加熱し、必要に応じてさらに水を加えた。
【0116】
【表1】
【実施例2】
【0117】
特定量の界面活性剤Aを、50重量%の不揮発性物質を含む界面活性剤C溶液に加えることによって、表2に列挙する組成物を調製した。この混合物を加熱し、必要に応じてさらに水を加えた。
【0118】
【表2】
【実施例3】
【0119】
特定量の界面活性剤Aを、50重量%の不揮発性物質を含む界面活性剤D溶液に加えることによって、表3に列挙する組成物を調製した。この混合物を加熱し、必要に応じてさらに水を加えた。
【0120】
【表3】
【実施例4】
【0121】
特定量の界面活性剤Aを、50重量%の不揮発性物質を含む界面活性剤E溶液に加えることによって、表4に列挙する組成物を調製した。この混合物を加熱し、必要に応じてさらに水を加えた。
【0122】
【表4】
【実施例5】
【0123】
さらに、特定量の界面活性剤Aを、特定量の界面活性剤B、C、D及びEの混合水溶液に加えることによって、表5に列挙する通りの組成物を調製した。表5における構成界面活性剤A〜Eの割合(%)は、これらの各成分の不揮発性物質の総量を指す。この混合物を加熱し、必要に応じてさらに水を加えた。
【0124】
【表5】
【実施例6】
【0125】
表6に示す成分を有する、本発明の組成物を調製した。この表も示す通りに、式(I)の化合物を含まない従来技術の組成物が固形物又は半固形物であるのに対し、本発明の組成物は高濃度の液状組成物を提供する。
【0126】
界面活性剤Fは、ラウリルイセチオン酸ナトリウムであり、78重量%の活性な界面活性剤を含む、100%不揮発性固形物質として供給された。
【0127】
【表6】