特許第6194214号(P6194214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194214
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】車両用計器装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 7/00 20060101AFI20170828BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20170828BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G01D7/00 303Z
   G01D11/24 D
   G01D7/00 K
   B60K35/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-197125(P2013-197125)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-64230(P2015-64230A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】巻田 明彦
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−041409(JP,A)
【文献】 特開2013−147196(JP,A)
【文献】 実開昭60−118916(JP,U)
【文献】 特開2010−216855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00 − 12
B60K 35/00
G01D 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態を示す種々の情報を情報表示面に画像表示する液晶表示ユニットと、
前記情報表示面に表示する各種の情報の表示位置を制御し、特定情報の表示位置を、前記情報表示面上の異なった位置に切り替える表示画像制御ユニットと、
前記液晶表示ユニットの前記情報表示面が前面に露呈するように前記液晶表示ユニットを支持する装置ケースと、
前記情報表示面上を横断する方向に沿って前記情報表示面の上を移動可能に前記情報表示面の上に配置されて、前記情報表示面に表示される前記特定情報の周囲を縁取りする枠部材と、
前記枠部材の移動方向と直交する方向に位置する前記枠部材上の端部から前記枠部材の外側に延出する連結金具部を介して前記枠部材に結合されて、前記枠部材を移動させる枠移動機構と、
当該装置の前面側に向いた前記連結金具部及び前記枠移動機構の少なくとも一方の上に迫り出すように前記装置ケースに取り付けられて、前記連結金具部及び前記枠移動機構が当該装置前面に露呈しないように、前記連結金具部及び前記枠移動機構の少なくとも一方を隠す見切り板と、
を備える車両用計器装置であって、
前記見切り板は、
板状部材と、
前記装置ケースに固定するための固定手段が設けられ且つ前記板状部材よりも前記枠部材の移動方向と直交する方向で外側に位置するフレームと、
を有することを特徴とする車両用計器装置。
【請求項2】
前記見切り板は、前記固定手段として、
前記装置ケースの外側から前記情報表示面の面方向に沿って前記装置ケースに挿入するときの挿入方向に沿って突出した第1位置規制突部と、
前記挿入方向と直交する方向に突出した第2位置規制突部と、を備え、
前記装置ケースは、
前記情報表示面の面方向に沿って窪んだ形態に外側面部に形成され、前記第1位置規制突部が嵌合する挿入案内部と、
前記第2位置規制突部と係合する見切り板係止部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用計器装置。
【請求項3】
前記フレームは、
前記枠部材の移動方向に沿って細長く形成され、
長手方向の両端から前記挿入方向に向かって突出した弾性片が設けられ、前記第2位置規制突部は前記弾性片の先端に設けられることを特徴とする請求項2に記載の車両用計器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示ユニット(以下、LCDユニットとも言う。)の情報表示面上を移動する枠部材と、該枠部材の両外側に位置する連結金具部及び枠移動機構を隠す一対の見切り板と、を備える車両用計器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7及び図8は、下記特許文献1に開示された車両用計器装置を示している。
この車両用計器装置100は、速度計や回転計などの複数の計器や警報器類を同一パッケージ内に配列したコンビネーションメータとして、車両のダッシュボードに配置される。
【0003】
この車両用計器装置100は、車両の状態を示す種々の情報を情報表示面111に画像表示するLCDユニット110と、情報表示面111に表示する情報を制御する表示画像制御ユニット120と、情報表示面111が前面に露呈するようにLCDユニット110を支持する筐体である装置ケース130と、情報表示面111の上に配置される枠部材140と、情報表示面111の情報を表示しない外周部の領域を隠す見返し板150と、情報表示面111上の枠部材140を図7の矢印Y1方向に移動操作する枠移動機構160と、枠部材140の両側に配置される一対の見切り板171,172と、を備えている。
【0004】
LCDユニット110は、その前面が、情報表示面111となっている。情報表示面111には、図10に示すように、エンジン回転数を表示する回転計画像111a、走行速度を表示する速度計画像111b、走行距離を表示する距離計画像111c、油圧を表示する油圧計画像111d、燃料の残量を表示する燃料計画像111e、ターンランプや各種の警報ランプなどの動作状態を表示するウォーニング画像111f,111g、など、車両の状態を示す各種の情報が画像表示される。
【0005】
図示例の場合、回転計画像111aと速度計画像111bと距離計画像111cとは、円形に一塊になった表示画像である特定情報TDを構成している。
【0006】
表示画像制御ユニット120は、LCDユニット110の背部に配置された回路基板121に搭載された制御回路である。この表示画像制御ユニット120は、情報表示面111に表示する情報の表示位置を図7の矢印Y1方向に変位させる制御を行い、情報表示面111における各種情報の表示形態を、複数の表示パターンに切り替えることができる。
【0007】
装置ケース130は、LCDユニット110や表示画像制御ユニット120を収容すると共に、見返し板150や一対の見切り板171,172を支持する。
【0008】
枠部材140は、情報表示面111に表示される円形の特定情報TDの周囲を縁取るリング状である。この枠部材140は、特定情報TDを表示している円形領域の外周輪郭を明確化すると共に、特定情報TDを表示している一計器としての意匠の一部を構成して、特定情報TDの見栄えを向上させる。
【0009】
また、特許文献1における枠部材140は、情報表示面111上を横断する一直線L1に沿って情報表示面111の上を移動可能に、情報表示面111の上に配置される。前記一直線L1は、特定情報TDが形成する円形領域の中心を通り、且つ、矢印Y1方向に沿って延在する直線である。即ち、枠部材140は、表示パターンの切り替え時の特定情報TDの移動方向に沿って、移動可能に配置される。
【0010】
見返し板150は、情報表示面111の情報を表示しない外周部の領域を隠す。
【0011】
枠移動機構160は、表示画像制御ユニット120による表示パターンの切り替えによって特定情報TDの表示領域が図7の矢印Y1方向に移動するとき、移動した特定情報TDの周囲が枠部材140で囲われるように、枠部材140を特定情報TDの移動方向(図7の矢印Y1方向)に沿って移動させる。この枠移動機構160は、枠部材140の移動方向と直交する方向に対峙する枠部材140上の一対の端部140a,140bから枠部材140の外側(図7では矢印Z1,Z2方向)に延出する不図示の連結金具部を介して枠部材140に結合された直線移動機構である。
【0012】
図示はされていないが、不図示の連結金具部及び枠移動機構160は、枠部材140の一対の端部140a,140bの外側となる位置に配置されていて、見返し板150の切欠151の内側に露呈する。
【0013】
一対の見切り板171,172は、図7の矢印Y1方向に細長い板材で、見返し板150の裏側において装置ケース130に取り付けられて、前記連結金具部及び枠移動機構160が装置前面に露呈しないように、連結金具部及び枠移動機構を隠す。
【0014】
車両用計器装置100を構成する表示画像制御ユニット120、LCDユニット110、一対の見切り板171,172、見返し板150、枠部材140などは、それぞれの部品の積層方向(図8の矢印Y2方向)に沿って、積層順に装置ケース130に組み付けられる。
【0015】
但し、特許文献1の車両用計器装置100の場合、一対の見切り板171,172は、図9に示すように、枠部材140の背面の収容溝131に収容されて装置ケース130に装着される。
【0016】
収容溝131は、それぞれの部品の積層方向(図8の矢印Y2方向)と直交する方向(図9(a)の矢印Y3方向)に窪んで形成された溝である。
【0017】
そのため、各見切り板171,172の収容溝131への組付けは、まず図9(a)に矢印B1で示すように、見切り板171,172を収容溝131の窪み方向に対して傾斜させた状態で、見切り板171,172の先端部を収容溝131の入り口に進入させる。次いで、図9(b)に矢印B2で示すように、見切り板171,172を回転させて、見切り板171,172の先端部を収容溝131の奥まで挿入する。そして、見切り板171,172を情報表示面111に平行な状態にし、装置ケース130に嵌めることで、見切り板171,172の組付けが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−241626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、特許文献1の車両用計器装置100の場合、見切り板171,172の組付けの際に、回転操作が必要になるため、見切り板171,172の組付けに手間がかかるという問題があった。
【0020】
更に、見切り板171,172の回転操作を不用意に行うと、見切り板自体や周囲部品を傷つけるおそれがあった。
【0021】
そのため、見切り板171,172の組付けに慎重な操作が要求されて、生産性の向上が難しいという問題があった。
【0022】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、枠部材の両外側に位置する連結金具部及び枠移動機構を隠す見切り板の組付け作業が容易で、かつ、見切り板の組付け作業で見切り板自体や周囲部品を傷つけるおそれが無く、生産性を向上させることのできる車両用計器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 車両の状態を示す種々の情報を情報表示面に画像表示する液晶表示ユニットと、
前記情報表示面に表示する各種の情報の表示位置を制御し、特定情報の表示位置を、前記情報表示面上の異なった位置に切り替える表示画像制御ユニットと、
前記液晶表示ユニットの前記情報表示面が前面に露呈するように前記液晶表示ユニットを支持する装置ケースと、
前記情報表示面上を横断する方向に沿って前記情報表示面の上を移動可能に前記情報表示面の上に配置されて、前記情報表示面に表示される前記特定情報の周囲を縁取りする枠部材と、
前記枠部材の移動方向と直交する方向に位置する前記枠部材上の端部から前記枠部材の外側に延出する連結金具部を介して前記枠部材に結合されて、前記枠部材を移動させる枠移動機構と、
当該装置の前面側に向いた前記連結金具部及び前記枠移動機構の少なくとも一方の上に迫り出すように前記装置ケースに取り付けられて、前記連結金具部及び前記枠移動機構の少なくとも一方が当該装置前面に露呈しないように、前記連結金具部及び前記枠移動機構の少なくとも一方を隠す見切り板と、
を備える車両用計器装置であって、
前記見切り板は、
板状部材と、
前記装置ケースに固定するための固定手段が設けられ且つ前記板状部材よりも前記枠部材の移動方向と直交する方向で外側に位置するフレームと、
を有することを特徴とする車両用計器装置。
【0024】
(2) 前記見切り板は、前記固定手段として、
前記装置ケースの外側から前記情報表示面の面方向に沿って前記装置ケースに挿入するときの挿入方向に沿って突出した第1位置規制突部と、
前記挿入方向と直交する方向に突出した第2位置規制突部と、を備え、
前記装置ケースは、
前記情報表示面の面方向に沿って窪んだ形態に外側面部に形成され、前記第1位置規制突部が嵌合する挿入案内部と、
前記第2位置規制突部と係合する見切り板係止部と、
を備えることを特徴とする上記(1)に記載の車両用計器装置。
【0025】
(3) 前記フレームは、
前記枠部材の移動方向に沿って細長く形成され、
長手方向の両端から前記挿入方向に向かって突出した弾性片が設けられ、前記第2位置規制突部は前記弾性片の先端に設けられることを特徴とする上記(2)に記載の車両用計器装置。
【0026】
上記(1)の構成によれば、連結金具部及び枠移動機構の少なくとも一方を隠す見切り板は、装置ケースの外側から、情報表示面の面方向に沿って挿入するという単純な操作で装置ケース上の規定位置に固定することができ、回転操作は不要である。
【0027】
そのため、見切り板の組付け作業が容易で、かつ、見切り板の組付け操作で見切り板自体や周囲部品を傷つけるおそれが無く、生産性を向上させることができる。
【0028】
上記(2)の構成によれば、枠部材の両外側に位置する連結金具部及び枠移動機構の少なくとも一方を隠す見切り板は、装置ケースの外側から情報表示面の面方向に沿う挿入操作を行うと、見切り板に装備されている第1位置規制突部が装置ケースの外側面部に形成された挿入案内部に嵌合することで、挿入方向と直交する方向への移動が規制されて、情報表示面と直交する方向における各見切り板の取り付け位置が、簡単に、枠部材と連結金具部との間に設定されている規定の取り付け位置に位置決めされる。
【0029】
そして、更に、見切り板を情報表示面の面方向に沿って挿入することで、見切り板が連結金具部及び枠移動機構の上に迫り出した規定の取り付け位置に到達すると、見切り板に装備されている第2位置規制突部が装置ケースに備えられている見切り板係止部に係合して、見切り板の挿入方向に沿う方向の移動が規制されて、見切り板が装置ケースに固定される。
【0030】
上記(3)の構成によれば、簡単な構成で見切り板を固定することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明による車両用計器装置によれば、枠部材の両外側に位置する連結金具部及び枠移動機構の少なくとも一方を隠す見切り板の組付け作業が容易で、かつ、見切り板の組付け操作で見切り板自体や周囲部品を傷つけるおそれが無く、生産性を向上させることができる。
【0032】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は本発明に係る車両用計器装置の一実施形態の分解斜視図である。
図2図2図1に示した装置ケースを下方から視た要部斜視図である。
図3図3図1のA部の拡大図である。
図4図4図4に示した底部側の見切り板の裏面側の構造を示す斜視図である。
図5図5図1に示した装置ケースに一対の見切り板が取り付けられた状態の斜視図である。
図6図6図5のB部の拡大図である。
図7図7は従来の車両用計器装置の正面図である。
図8図8図7のD−D線に沿う断面図である。
図9図9は従来の車両用計器装置における見切り板の取り付け構造の説明図であり、図9(a)は見切り板取り付け前の状態、図9(b)は見切り板取り付け後の状態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る車両用計器装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1図6は本発明に係る車両用計器装置の一実施形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態の車両用計器装置の分解斜視図、図2図1に示した装置ケースを下方から視た要部斜視図、図3図1のA部の拡大図、図4図3に示した底部側の見切り板の裏面側の構造を示す斜視図、図5図1に示した装置ケースに一対の見切り板が取り付けられた状態の斜視図、図6図5のB部の拡大図である。
【0036】
この一実施形態の車両用計器装置1は、図1に示すように、車両の状態を示す種々の情報を情報表示面11に画像表示するLCDユニット10と、情報表示面11に表示する情報を制御する不図示の表示画像制御ユニットと、情報表示面11が前面に露呈するようにLCDユニット10を支持する筐体である装置ケース30と、情報表示面11の上に配置される枠部材40と、情報表示面11の情報を表示しない外周部の領域を隠す不図示の見返し板と、情報表示面11上の枠部材40を図1の矢印Y4方向に移動操作する枠移動機構60と、枠部材40の両側に配置される一対の見切り板71,72と、を備えている。
【0037】
LCDユニット10は、その前面が、情報表示面11となっている。LCDユニット10は、図7に示したLCDユニット110と同様な機能を備えたものである。従って、図示はしていないが、このLCDユニット10の情報表示面11には、エンジン回転数を表示する回転計画像、走行速度を表示する速度計画像、走行距離を表示する距離計画像、油圧を表示する油圧計画像、燃料の残量を表示する燃料計画像、ターンランプや各種の警報ランプなどの動作状態を表示するウォーニング画像、など、車両の状態を示す各種の特定情報TDが画像表示される。なお、図1では、特定情報TDは、単に画像の領域だけを示しており、具体的な画像は表示していない。
【0038】
不図示の表示画像制御ユニットは、図8に示した表示画像制御ユニット120と同様な制御回路である。この表示画像制御ユニットは、情報表示面11に表示する情報の表示位置を制御し、情報表示面11における各種情報の表示形態を、複数の表示パターンに切り替えることができる。
【0039】
ここに、各表示パターンは、特定情報TDの表示領域の位置を図1の矢印Y4方向に相異させると共に、種々の表示画像の配列を変更したものである。
【0040】
言い換えると、不図示の表示画像制御ユニットは、表示パターンの切り替えによって、特定情報TDの表示位置を図1の矢印Y4方向に変位させて、表示内容や見栄えの異なるメータ配列を実現する。
【0041】
装置ケース30は、LCDユニット10や表示画像制御ユニットを収容すると共に、見返し板や一対の見切り板71,72を収容する。
【0042】
枠部材40は、図1に示すように、情報表示面11に表示される円形の特定情報TDの周囲を縁取るリング状である。この枠部材40は、特定情報TDの周囲を縁取るリング状の枠本体41と、この枠本体41の表面に配備される装飾部42と、を備える。本実施形態の場合、装飾部42は、枠本体41の表面に刻設した装飾用の溝であるが、例えば、溝の代わりに、LEDランプを配置することもできる。
【0043】
枠部材40は、特定情報TDの周囲を縁取りして、特定情報TDを表示している円形領域の外周輪郭を明確化する。また、枠部材40は、特定情報TDを表示している一計器としての意匠の一部を構成して、特定情報TDの見栄えを向上させる。
【0044】
更に、本実施形態の枠部材40は、情報表示面11上を横断する一直線L2に沿って情報表示面11の上を移動可能に、情報表示面11の上に配置される。前記一直線L2は、特定情報TDが形成する円形領域の中心を通り、且つ、図1の矢印Y4方向に沿って延在する直線である。即ち、枠部材40は、表示パターンの切り替え時の特定情報TDの移動方向に沿って、移動可能に配置される。
【0045】
図1の車両用計器装置1の正面には、図7に示した見返し板150に相当する、情報表示面11の情報を表示しない外周部の領域を隠すと共に、情報表示面11の情報を表示する領域は、切欠により、装置前面に露呈させる見返し板(不図示)が装着される。この不図示の見返し板は、主に、コンビネーションメータとしての外周部の意匠を構成し、車両用計器装置1としての見栄えを向上させる。
【0046】
枠移動機構60は、表示画像制御ユニットによる表示パターンの切り替えによって特定情報TDの表示領域が図1の矢印Y4方向に移動するとき、移動した特定情報TDの周囲が枠部材40で囲われるように、枠部材40を特定情報TDの移動方向(図1の矢印Y4方向)に沿って移動させる。この枠移動機構60は、枠部材40の移動方向と直交する方向(図1の矢印Y5方向)に対峙する枠部材40上の一対の端部40a,40bから枠部材40の外側(図1では矢印Z3,Z4方向)に延出する連結金具部43,44を介して枠部材40に結合された直線移動機構である。この枠移動機構60には、例えば、ラック&ピニオン等の直線移動機構が利用される。
【0047】
連結金具部43,44及び枠移動機構60は、枠部材40の一対の端部40a,40bの外側となる位置に配置されていて、見切り板71,72の取り付け前では、図1に示すように、装置前面に露呈する。
【0048】
一対の見切り板71,72は、板状部材71a,72aと、フレーム71b、72bとからなる。一対の見切り板71,72は、図1の矢印Y4方向に細長い部材で、当該車両用計器装置1の前面側に向いた前記連結金具部43,44及び枠移動機構60の上に迫り出すように、不図示の見返し板の裏側において装置ケース30に取り付けられる。該取り付けによって、前記連結金具部43,44及び枠移動機構60が装置前面に露呈しないように、連結金具部43,44及び枠移動機構60を隠す。なお、見切り板71,72は連結金具部43,44及び枠移動機構60の少なくとも一方が前面に露呈するときは、どちらか一方を隠せばよい。
【0049】
車両用計器装置1を構成する不図示の表示画像制御ユニット、LCDユニット10、不図示の見返し板、枠部材40などは、それぞれの部品の積層方向(装置ケース30の厚み方向で、図1の矢印Y6方向である)に沿って、積層順に装置ケース30に組み付けられる。
【0050】
但し、本実施形態の場合、一対の見切り板71,72は、装置ケース30の外側から情報表示面11の面方向に沿う単純な挿入操作によって、装置ケース30に固定される。
【0051】
本実施形態の一対の見切り板71,72は、単純な挿入操作によって装置ケース30に固定可能にするために、図4に示すように、第1位置規制突部81と、第2位置規制突部82とを備える。
【0052】
第1位置規制突部81は、装置ケース30の外側から情報表示面11の面方向に沿って装置ケース30に挿入するときの挿入方向(図4では、矢印Y7方向)に向かって突出した突片である。第1位置規制突部81は、各見切り板71,72の裏側で、各見切り板71,72の長手方向の両端付近に装備されている。
【0053】
第2位置規制突部82は、図4に示すように、挿入方向と直交する方向(図4では、矢印Y8方向)に突出した突起である。本実施形態の第2位置規制突部82は、見切り板71,72の長手方向の両端から前記挿入方向に向かって突出した弾性片83の先端に設けられている。
【0054】
図4では、一方の見切り板72における第1位置規制突部81及び第2位置規制突部82の装備形態を示しているが、これらの第1位置規制突部81及び第2位置規制突部82は、他方の見切り板71においても同様に設けられている。
【0055】
また、本実施形態の場合、一対の見切り板71,72を単純な挿入操作で固定可能にするために、装置ケース30には、図2及び図3に示すように、挿入案内部85と、見切り板係止部86とが装備される。
【0056】
挿入案内部85は、見切り板71,72の第1位置規制突部81が嵌合する孔で、見切り板71,72の挿入方向(図2では、矢印Y10方向)沿って窪んだ形態に装置ケース30の外側面部に形成されている。挿入案内部85は、見切り板71,72上の二つの第1位置規制突部81の位置に対応して、2箇所に装備されている。各挿入案内部85は、見切り板71,72を装置ケース30の外側から情報表示面11の面方向に沿って装置ケース30に挿入し、第1位置規制突部81が嵌合することで、見切り板71,72の挿入方向と直交する方向への移動を規制する。情報表示面11と直交する方向における見切り板71,72の取り付け位置は、第1位置規制突部81と挿入案内部85との嵌合によって、枠部材40と連結金具部43,44との間に位置決めされる。
【0057】
見切り板係止部86は、見切り板71,72の第2位置規制突部82が係合する突起で情報表示面11と直交する方向(Y2方向)に沿って突出して設けられている。見切り板係止部86は、装置ケース30の外側から情報表示面11の面方向に沿って見切り板71,72を挿入し、図5に示すように見切り板71,72が連結金具部43,44及び枠移動機構60の上に迫り出した規定の取り付け位置に到達したときに、図6に示すように、第2位置規制突部82と係合して、見切り板71,72の挿入方向に沿う方向の移動を規制する。
【0058】
図6に示すように、各見切り板71,72の第1位置規制突部81と挿入案内部85との嵌合と、第2位置規制突部82が見切り板係止部86に係合することで、各見切り板71,72が装置ケース30に固定された状態になる。
【0059】
以上に説明した一実施形態の車両用計器装置1の場合、枠部材40の両外側に位置する連結金具部43,44及び枠移動機構60を隠す一対の見切り板71,72は、装置ケース30の外側から情報表示面11の面方向に沿う挿入操作を行うと、それぞれの見切り板71,72に装備されている第1位置規制突部81が装置ケース30の外側面部に形成された挿入案内部85に嵌合することで、挿入方向と直交する方向への移動が規制される。また、第1位置規制突部81と挿入案内部85との嵌合によって、情報表示面11と直交する方向における各見切り板71,72の取り付け位置が、簡単に、枠部材40と連結金具部43,44との間に設定されている規定の取り付け位置に位置決めされる。
【0060】
そして、更に、各見切り板71,72を情報表示面11の面方向に沿って挿入することで、各見切り板71,72が連結金具部43,44及び枠移動機構60の上に迫り出した規定の取り付け位置に到達すると、図6に示したように、それぞれの見切り板71,72に装備されている第2位置規制突部82が装置ケース30に備えられている見切り板係止部86に係合して、各見切り板71,72の挿入方向に沿う方向の移動が規制されて、各見切り板71,72が装置ケース30に固定される。
【0061】
即ち、本実施形態の構成によれば、連結金具部43,44及び枠移動機構60を隠す一対の見切り板71,72は、装置ケース30の外側から、情報表示面11の面方向に沿って挿入するという単純な操作で装置ケース30上の規定位置に固定することができ、回転操作は不要である。
【0062】
そのため、一対の見切り板71,72の組付け作業が容易で、かつ、見切り板71,72の組付け操作で見切り板71,72自体や周囲部品を傷つけるおそれが無く、生産性を向上させることができる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0064】
例えば、見切り板に装備する第1位置規制突部や第2位置規制突部の具体的が構造や、装置ケースに装備する挿入案内部や見切り板係止部の具体的な構造は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に設計変更することができる。
【0065】
ここで、上述した本発明に係る車両用計器装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
【0066】
[1] 車両の状態を示す種々の情報を情報表示面(11)に画像表示する液晶表示ユニット(10)と、
前記情報表示面(11)に表示する各種の情報の表示位置を制御し、特定情報(TD)の表示位置を、前記情報表示面(11)上の異なった位置に切り替える表示画像制御ユニットと、
前記液晶表示ユニット(10)の前記情報表示面(11)が前面に露呈するように前記液晶表示ユニット(10)を支持する装置ケース(30)と、
前記情報表示面(11)上を横断する方向に沿って前記情報表示面(11)の上を移動可能に前記情報表示面(11)の上に配置されて、前記情報表示面(11)に表示される前記特定情報(TD)の周囲を縁取りする枠部材(40)と、
前記枠部材(40)の移動方向と直交する方向に位置する前記枠部材(40)上の端部(40a,40b)から前記枠部材(40)の外側に延出する連結金具部(43,44)を介して前記枠部材(40)に結合されて、前記枠部材(40)を移動させる枠移動機構(60)と、
当該装置の前面側に向いた前記連結金具部(43,44)及び前記枠移動機構(60)の少なくとも一方の上に迫り出すように前記装置ケース(30)に取り付けられて、前記連結金具部(43,44)及び前記枠移動機構(60)の少なくとも一方が当該装置前面に露呈しないように、前記連結金具部(43,44)及び前記枠移動機構(60)の少なくとも一方を隠す見切り板(71,72)と、
を備える車両用計器装置(1)であって、
前記見切り板は(71,72)、
板状部材(71a,72a)と、
前記装置ケース(30)に固定するための固定手段(81,82)が設けられ且つ前記板状部材(71a,72a)よりも前記枠部材(40)の移動方向と直交する方向で外側に位置するフレーム(71b、72b)と、
を有することを特徴とする車両用計器装置(1)。
【0067】
[2] 前記見切り板(71,72)は、前記固定手段として、
前記装置ケース(30)の外側から前記情報表示面(11)の面方向に沿って前記装置ケース(30)に挿入するときの挿入方向に沿って突出した第1位置規制突部(81)と、
前記挿入方向と直交する方向に突出した第2位置規制突部(82)と、を備え、
前記装置ケース(30)は、
前記情報表示面(11)の面方向に沿って窪んだ形態に外側面部に形成され、前記第1位置規制突部(81)が嵌合する挿入案内部(85)と、
前記第2位置規制突部(82)と係合する見切り板係止部(86)と、
を備えることを特徴とする上記[1]に記載の車両用計器装置(1)。
【0068】
[3] 前記フレーム(71b、72b)は、
前記枠部材(40)の移動方向に沿って細長く形成され、
長手方向の両端から前記挿入方向に向かって突出した弾性片(83)が設けられ、前記第2位置規制突部(82)は前記弾性片(83)の先端に設けられることを特徴とする上記[2]に記載の車両用計器装置(1)。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用計器装置
10 LCDユニット(液晶表示ユニット)
11 情報表示面
30 装置ケース
40 枠部材
40a,40b 端部
43,44 連結金具部
60 枠移動機構
71,72 見切り板
71a,72a 板状部材
71b、72b フレーム
81 第1位置規制突部(固定手段)
82 第2位置規制突部(固定手段)
85 挿入案内部
86 見切り板係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9