(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、自動車などの車両においては、方向指示器の各ランプの実際の点滅状態を、運転席の位置から運転者が直接視認することが困難である。しかし、方向指示器のオンオフを制御するスイッチが故障したり、方向指示器の各ランプが断線するような故障が発生する場合も考えられるため、ランプの点滅状態を運転者が確認することは非常に重要である。したがって、自動車などの一般的な車両においては、方向指示器のインジケータが運転席の近傍に配置されている。
【0009】
方向指示器のインジケータは、方向指示器の各ランプが点滅する時に、同じように点滅を繰り返す。したがって、運転者はインジケータの点滅表示により、方向指示器の各ランプの実際の点滅状態を把握することが可能である。
【0010】
一方、トラクターにトレーラーを連結した状態で運転する場合には、トレーラー側の方向指示器の各ランプが正しく動作しているか否かも、運転者が運転席の位置からインジケータで確認できることが望ましい。
【0011】
しかしながら、トラクターにトレーラーが常に連結されているわけではなく、トラクターのみが単独で走行する場合もある。したがって、トレーラー側の方向指示器のためにインジケータを装備する場合には、独立したインジケータを新たに追加しなければならず、更にトレーラー側だけの独立した点滅制御を行う必要がある。すなわち、トラクターにトレーラーが連結されている場合には、トレーラー側のインジケータを点滅し、連結されていない場合はトレーラー側のインジケータが点滅しないように制御する必要がある。
【0012】
また、トラクター側の方向指示器のインジケータと、トレーラー側の方向指示器のインジケータとをそれぞれ独立に制御した場合には、次のような課題が生じる。すなわち、トラクター側のインジケータと、トレーラー側のインジケータとがばらばらのタイミングで点滅するので、方向指示器が正しく動作している状況であったとしても、運転者は違和感を感じることになる。そのため、例えば正しく動作しているにもかかわらず、運転者が何らかの故障の可能性を疑うことになりかねない。
【0013】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、トレーラー側の方向指示器のランプが正しく動作しているかどうかの運転者の確認をインジケータで可能にすると共に、インジケータの表示が運転者に違和感を与えるのを防止することが可能な牽引車両用インジケータ表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するために、本発明に係る牽引車両用インジケータ表示装置は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 車両を牽引可能な牽引車両における方向指示
器のランプの点滅状態に対応付けられた第1のインジケータ表示部と、
前記牽引車両に連結される被牽引車両における方向指示
器のランプの点滅状態に対応付けられた第2のインジケータ表示部と、
前記第1のインジケータ表示部及び前記第2のインジケータ表示部の表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部が、前記牽引車両の方向指示器を点滅するための所定のターン信号が入力された場合に、前記第1のインジケータ表示部を点滅表示制御すると共に、前記牽引車両と前記被牽引車両との連結状態に応じて前記第2のインジケータ表示部の有効/無効を識別し、前記第2のインジケータ表示部が有効の場合には、前記第1のインジケータ表示部の点滅と同期したタイミングで、前記第2のインジケータ表示部を点滅表示制御する、
ことを特徴とする牽引車両用インジケータ表示装置。
(2) 上記(1)に記載の牽引車両用インジケータ表示装置であって、
前記牽引車両の左側の方向指示器を点滅する第1の信号と、前記牽引車両の右側の方向指示器を点滅する第2の信号と、の論理和を表す第3の信号を生成する論理和回路を更に備え、
前記表示制御部が、前記第3の信号に同期したタイミングで、前記第2のインジケータ表示部を点滅表示制御する、
ことを特徴とする牽引車両用インジケータ表示装置。
(3) 上記(1)に記載の牽引車両用インジケータ表示装置であって、
前記第1のインジケータ表示部、前記第2のインジケータ表示部及び前記表示制御部が、前記牽引車両の状態を表す1つ以上の計器を含むメータユニットに組み込まれている、
ことを特徴とする牽引車両用インジケータ表示装置。
【0015】
上記(1)の構成の牽引車両用インジケータ表示装置によれば、牽引車両の方向指示器および被牽引車両の方向指示器が正しく点滅している時には、第1のインジケータ表示部と第2のインジケータ表示部とが同じタイミングで点滅する。同じタイミングの点滅なので、運転者は、第2のインジケータ表示部の点滅が、第1のインジケータ表示部の点滅と関連付けられていることを把握することができ、故障等を連想するような違和感を感じることがなくなる。
上記(2)の構成の牽引車両用インジケータ表示装置によれば、車両の右側の方向指示器及び左側の方向指示器のいずれか一方が点滅している時に、第3の信号を出力することができる。したがって、第2のインジケータ表示部の単一のインジケータの点滅により、運転者は被牽引車両側の右側の方向指示器及び左側の方向指示器の両方の点滅状態を確認することができる。
上記(3)の構成の牽引車両用インジケータ表示装置によれば、第1のインジケータ表示部及び第2のインジケータ表示部が、計器を含むメータユニットの中に組み込まれているので、運転者が計器の表示内容を確認する時に、方向指示器の動作状態も同時に確認可能であり、良好な視認性が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の牽引車両用インジケータ表示装置によれば、トレーラー側の方向指示器のランプが正しく動作しているかどうかを、運転者は第2のインジケータ表示部の表示により確認可能である。また、第1のインジケータ表示部の表示と、第2のインジケータ表示部とが同期するので、運転者は、故障等を連想するような違和感を感じることがなくなる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の牽引車両用インジケータ表示装置に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0020】
<装置の概要>
本実施形態では、農機であるトラクター、すなわち車両を牽引可能な車両(以下、牽引車両と称する。)の運転席近傍に配置されるメータユニット100に、本発明の牽引車両用インジケータ表示装置を搭載する場合を想定している。メータユニット100は、インジケータの他に運転に必要な計器類を搭載している。本実施形態では牽引車両用インジケータ表示装置をメータユニット100の内部に組み込んであるが、別々の装置として構成することもできる。
【0021】
メータユニット100を搭載する牽引車両の車体後部には、トレーラー、すなわち被牽引車両を連結するための連結部が設けられている。また、被牽引車両の車体後部に更に他の被牽引車両を連結することもできる。牽引車両と被牽引車両との連結の有無を表す信号や、被牽引車両と別の被牽引車両との連結の有無を表す信号を、牽引車両上に搭載されているメータユニット100に送ることができる。
【0022】
自動車などの一般的な車両の場合と同様に、牽引車両の車体には、車体前部の左右、及び車体後部の左右に、それぞれ方向指示器のランプが設置されている。また、各牽引車両の車体にも、車体後部の左右に、それぞれ方向指示器のランプが設置されている。また、例えば運転席近傍のステアリングコラムに設置されている操作レバーを運転者が操作することにより、右折(右ターン)又は左折(左ターン)の方向指示信号を出力することができる。
【0023】
右折の方向指示信号が出力されると、車体右側に設置されている方向指示器の各ランプが点滅し、他の車両の運転者等に対して方向指示の合図を出すことができる。同様に、左折の方向指示信号が出力されると、車体左側に設置されている方向指示器の各ランプが点滅する。牽引車両に被牽引車両が連結されている場合には、牽引車両の方向指示器の各ランプが点滅する場合に、被牽引車両に設置されている方向指示器のランプも点滅する。
【0024】
本実施形態では、牽引車両の方向指示器のランプの点滅状態に相当する方向指示動作を表す第1のインジケータがメータユニット100に含まれている。更に、被牽引車両に設置されている方向指示器のランプの点滅状態に相当する方向指示動作を表す第2のインジケータもメータユニット100に含まれている。本発明の牽引車両用インジケータ表示装置は、メータユニット100の第1のインジケータ及び第2のインジケータを制御対象とする。
【0025】
<外観の具体例の説明>
牽引車両の運転席近傍に設置されるメータユニット100の外観の具体例を
図1に示す。また、このメータユニット100の一部分を拡大した状態を
図2に示す。
【0026】
図1に示すにように、このメータユニット100においては、左側、右側、及び中央の3つの表示領域が設けられている。
【0027】
左側表示領域A1には、回転計G1及びターンLインジケータ11Lが配置されている。回転計G1は、エンジンの回転速度の数値(×1000rpm)を表示する計器であり、回転可能な指針と、目盛り及び数値が表示された文字板とを有している。ターンLインジケータ11Lは、この牽引車両における方向指示器の左側のランプの点滅状態に対応付けられており、左側に向いた矢印形状の意匠を所定の照明で点滅させることにより、インジケータとして機能させることができる。
【0028】
右側表示領域A2には、水温計G2、燃料計G3、及びターンRインジケータ11Rが配置されている。水温計G2は、エンジンの冷却水温度(TEMP)を表示する計器であり、回転可能な指針と、目盛り及び数値が表示された文字板とを有している。燃料計G3は、燃料残量を表示する計器であり、回転可能な指針と、目盛り及び数値が表示された文字板とを有している。ターンRインジケータ11Rは、この牽引車両における方向指示器の右側のランプの点滅状態に対応付けられており、右側に向いた矢印形状の意匠を所定の照明で点滅させることにより、インジケータとして機能させることができる。
【0029】
中央表示領域A3には、それぞれ様々な事象に対応付けられたウォーニング表示部12、13、14、15、16、18、21、22、23、24と、マルチ表示部20と、トレーラインジケータ17a及び17bが配置されている。
【0030】
トレーラインジケータ17a及び17bは、この牽引車両に連結される被牽引車両の方向指示器のランプの点滅状態に対応付けられている。トレーラインジケータ17aは、牽引車両の後部に連結される1台目の被牽引車両に対応付けられており、トレーラインジケータ17bは1台目の被牽引車両の後部に連結される2台目の被牽引車両に対応付けられている。
【0031】
つまり、運転者が牽引車両の操作レバーを操作して方向指示器を作動させる時には、被牽引車両の方向指示器のランプも点滅し、それと同時に運転席の近傍でトレーラインジケータ17a及び17bが点滅して方向指示器の動作状態を運転者に知らせる。
【0032】
但し、牽引車両に被牽引車両が常に連結されているわけではなく、牽引車両が単独で走行する場合もある。また、牽引車両に2台の被牽引車両が連結される場合もある。そのため、被牽引車両の方向指示器のランプについては、牽引車両の方向指示器とは独立して制御しなければならず、トレーラインジケータ17a及び17bについても牽引車両の方向指示器とは別の独立した制御を行う必要がある。
【0033】
<装置の構成例>
メータユニット100の電気回路の構成例を
図3に示す。
図3に示すように、メータユニット100には制御の主体としてマイクロコンピュータ(CPU)111が備わっている。また、このマイクロコンピュータ111はCAN通信制御部112、読み出し専用メモリ(ROM)113、一時記憶用メモリ(RAM)114、I/O部115などの構成要素を内蔵している。
【0034】
また、マイクロコンピュータ111の周辺には、電源回路121、インタフェース(I/F)122、123、信号処理部124、インジケータ用発光ダイオード(LED)131、132、ORゲート133、モータドライバ141、LCDドライバ142、液晶表示器(LCD)143、不揮発性メモリ(EEPROM)144、照明部145、インジケータ用発光ダイオード(LED)146、147、及びウォーニング用発光ダイオード(LED)群148が設けられる。
【0035】
電源回路121は、車両側から供給される電源電圧(+B)に基づいて、マイクロコンピュータ111等の各回路の動作に必要な安定した電圧(Vcc:例えば+5V)を生成する。また、電源回路121はリセット信号を生成してマイクロコンピュータ111に与える。
【0036】
インタフェース122は、車両側から出力されるイグニッションのオンオフを表す信号(IGN+)を入力し、マイクロコンピュータ111の処理に適した信号に変換してからこの信号をマイクロコンピュータ111に与える。
【0037】
インタフェース123は、車両側の通信ネットワークであるCAN(Controller Area Network)とマイクロコンピュータ111の通信用入出力ポートとを相互に接続するための信号処理を行う。
【0038】
車両側においては、CANの通信ネットワークに、様々な電子制御装置(ECU)200やその他の電子デバイスが接続されている。また、自車両が牽引車両の場合には、牽引車両と被牽引車両との連結の有無を表す情報も、CANの通信ネットワーク上に送出される。したがって、マイクロコンピュータ111は牽引車両と被牽引車両との連結の有無を表す情報をインタフェース123を介してCANの通信ネットワークから取得することができる。
【0039】
信号処理部124は、複数の抵抗器で構成されており、FUELセンダ151が出力する信号をマイクロコンピュータ111のアナログポートに入力するための信号処理を行う。FUELセンダ151は、車両の燃料タンクにおける液面レベルを表す信号を出力することができる。
【0040】
図3に示すインジケータ用発光ダイオード131及び132は、それぞれ、
図1に示したターンLインジケータ11L、及び11Rの意匠を照明することができる。すなわち、インジケータ用発光ダイオード131の通電のオンオフを繰り返すことにより、ターンLインジケータ11Lを点滅させることができ、インジケータ用発光ダイオード132の通電のオンオフを繰り返すことにより、ターンRインジケータ11Rを点滅させることができる。
【0041】
インジケータ用発光ダイオード131は、カソード側の端子が接地されており、アノード側の端子にはフラッシャーユニット152からの信号SG1が印加される。また、インジケータ用発光ダイオード132もカソード側の端子が接地されており、アノード側の端子にはフラッシャーユニット152からの信号SG2が印加される。
【0042】
図3に示すフラッシャーユニット152は、車両の方向指示器を制御する回路の一部分だけを表している。実際のフラッシャーユニット152は、方向指示用の操作レバーの操作状態に応じて、ターンL信号又はターンR信号をオンにする。また、通常は操作レバーが中立位置に復帰するとターンL信号及びターンR信号がオフになる。
【0043】
ターンL信号がオンになると、方向指示器の左側のランプの通電を制御するリレーが一定の周期でオンオフ動作を繰り返す。このリレーの電気接点の開閉により、方向指示器の左側のランプが間欠的に通電され、左側ランプが点滅する。
【0044】
また、ターンR信号がオンになると、方向指示器の右側のランプの通電を制御するリレーが一定の周期でオンオフ動作を繰り返す。このリレーの電気接点の開閉により、方向指示器の右側のランプが間欠的に通電され、右側ランプが点滅する。
【0045】
方向指示器の左側のランプの通電を制御するリレーの電気接点の一部分、及び方向指示器の右側のランプの通電を制御するリレーの電気接点の一部分が、
図3中にフラッシャーユニット152として示されている。したがって、方向指示器の左側のランプが点滅する時には、この点滅と同じタイミングで、信号SG1がフラッシャーユニット152からインジケータ用発光ダイオード131に入力される。また、方向指示器の右側のランプが点滅する時には、この点滅と同じタイミングで、信号SG2がフラッシャーユニット152からインジケータ用発光ダイオード132に入力される。
【0046】
つまり、方向指示器の左側のランプが点滅する時には、信号SG1に従ってインジケータ用発光ダイオード131の通電のオンオフが繰り返され、インジケータ用発光ダイオード131の発光による照明により、ターンLインジケータ11Lが点滅する。また、方向指示器の右側のランプが点滅する時には、信号SG2に従ってインジケータ用発光ダイオード132の通電のオンオフが繰り返され、インジケータ用発光ダイオード132の発光による照明により、ターンRインジケータ11Rが点滅する。したがって、運転者は方向指示器のランプの点滅動作を、運転席の位置からターンLインジケータ11L、11Rの点滅として認識することができる。
【0047】
尚、
図3では記載を省略してあるが、実際には電流を制限するための所定の抵抗器をインジケータ用発光ダイオード131、132と直列に接続する必要がある。
【0048】
一方、
図3に示したORゲート133の2つの入力端子には、それぞれ信号SG1及び信号SG2が印加される。したがって、2つの信号SG1、SG2の論理和を表す信号SG3がORゲート133から出力される。この信号SG3はマイクロコンピュータ111の入力ポート(TURNIN)に印加される。
【0049】
マイクロコンピュータ111は、モータドライバ141を介して回転計G1、水温計G2、及び燃料計G3とそれぞれ接続されている。すなわち、マイクロコンピュータ111は、回転計G1の指針を駆動する電気モータと、水温計G2の指針を駆動する電気モータと、燃料計G3の指針を駆動する電気モータとをそれぞれ制御し、各指針が指示する数値を計測値と一致させることができる。回転計G1はエンジンの回転速度(REV)の数値を指示し、水温計G2は冷却水の温度(TEMP)の計測値を指示し、燃料計G3は燃料(FUEL)の計測値を指示する。
【0050】
また、マイクロコンピュータ111はLCDドライバ142を介して液晶表示器143と接続されている。液晶表示器143は、図形、画像、文字などの可視パターンを必要に応じて画面上に表示することができる。マイクロコンピュータ111は、LCDドライバ142を介して液晶表示器143の表示内容を制御することができる。
【0051】
不揮発性メモリ144は、事前に決定した様々な定数などのデータを保持している。マイクロコンピュータ111は、不揮発性メモリ144にアクセスして必要な定数等のデータを必要に応じて取得することができる。
【0052】
照明部145は、多数の発光ダイオード(LED)により構成されている。マイクロコンピュータ111は、照明部145の全ての発光ダイオードをオンオフし、照明光のオンオフを制御することができる。また、オンオフデューティを調整することにより、照明光の明るさを変更することもできる。照明部145の照明光は、例えばメータユニット100の表示面全体を照明するために利用することができる。
【0053】
インジケータ用発光ダイオード146は、
図1に示したトレーラインジケータ17aの意匠を照明するために利用される。すなわち、マイクロコンピュータ111がインジケータ用発光ダイオード146の通電のオンオフを繰り返すことにより、トレーラインジケータ17aの表示を点滅させることができる。
【0054】
また、インジケータ用発光ダイオード147は、トレーラインジケータ17bの意匠を照明するために利用される。すなわち、マイクロコンピュータ111がインジケータ用発光ダイオード147の通電のオンオフを繰り返すことにより、トレーラインジケータ17bの表示を点滅させることができる。
【0055】
ウォーニング用発光ダイオード群148は、マイクロコンピュータ111がそれぞれ独立してオンオフ制御可能な多数の発光ダイオードで構成されている。これらの発光ダイオードの各々は、
図1に示したウォーニング表示部12、13、14、15、16、18、21、22、23、及び24の意匠をそれぞれ照明するために利用される。すなわち、マイクロコンピュータ111は、ウォーニング用発光ダイオード群148を制御することにより、ウォーニング表示部12、13、14、15、16、18、21、22、23、及び24の点灯/消灯等を個別に制御することができる。
【0056】
<装置の主要な動作の説明>
図3に示したメータユニット100における主要部の信号の具体的なタイミングを
図4に示す。また、メータユニット100における主要な制御の内容を
図5に示す。
【0057】
前述のように、牽引車両において方向指示器の左側のランプが点滅する時に信号SG1がフラッシャーユニット152から出力される。この信号SG1は、
図4に示すようにランプの点滅に同期して一定の周期で変化する二値信号である。また、牽引車両において方向指示器の右側のランプが点滅する時に信号SG2がフラッシャーユニット152から出力される。信号SG2も、
図4に示すようにランプの点滅に同期して一定の周期で変化する二値信号である。
【0058】
ORゲート133が出力する信号SG3は、2つの信号SG1、SG2の論理和に相当する。すなわち、
図4に示すように、2つの信号SG1、SG2のいずれか一方が変化する時に、同様に周期的に変化する。つまり、牽引車両において方向指示器の左側又は右側のランプが点滅する時に、信号SG3が周期的に変化する。マイクロコンピュータ111は、入力ポート(TURNIN)により、信号SG3の状態を必要に応じて監視することができる。
【0059】
マイクロコンピュータ111は、それ自身に内蔵された読み出し専用メモリ113に保持されているプログラムを実行することにより、事前に定めた制御を実施することができる。
図5に示した制御の内容も、マイクロコンピュータ111のプログラムに組み込まれている。
【0060】
図5のステップS11では、マイクロコンピュータ111は、CAN通信制御部112に接続されたポートから必要なCAN信号を取得する。このCAN信号には、トレーラインジケータ17a、17bの有効/無効を表す情報も含まれている。すなわち、自車両(牽引車両)に1台目の被牽引車両が連結されているか否かを表す情報と、1台目の被牽引車両の後部に2台目の被牽引車両が連結されているか否かを表す情報とをCAN信号として取得する。
【0061】
マイクロコンピュータ111は、自車両(牽引車両)に1台目の被牽引車両が連結されている場合はトレーラインジケータ17aが有効であるとみなし、1台目の被牽引車両が連結されていなければトレーラインジケータ17aが無効とみなす。また、1台目の被牽引車両の後部に2台目の被牽引車両が連結されている場合はトレーラインジケータ17bが有効とみなし、そうでない場合はトレーラインジケータ17bが無効とみなす。
【0062】
トレーラインジケータ17aが有効の場合は、ステップS11からステップS12に進む。ステップS12では、マイクロコンピュータ111は、「TURNIN」の入力ポートの状態を監視して、信号SG3を入力する。そして、マイクロコンピュータ111は信号SG3と同期してインジケータ用発光ダイオード146の通電のオンオフを制御する。
【0063】
つまり、インジケータ用発光ダイオード131又は132が点灯する期間ではインジケータ用発光ダイオード146も点灯し、インジケータ用発光ダイオード131及び132の両方が消灯する期間ではインジケータ用発光ダイオード146も消灯する。これらの動作の繰り返しにより、信号SG3の変化と同様のタイミングで、インジケータ用発光ダイオード146が点滅し、トレーラインジケータ17aが点滅する。
【0064】
また、トレーラインジケータ17a、17bの両方が有効の場合には、マイクロコンピュータ111は、インジケータ用発光ダイオード146と同じタイミングで、インジケータ用発光ダイオード147も点滅する。したがって、この場合は2つのトレーラインジケータ17a、17bが同時に点滅する。
【0065】
ターンLインジケータ11Lが点滅するタイミングは、インジケータ用発光ダイオード131を制御する信号SG1と同じであり、ターンRインジケータ11Rが点滅するタイミングは、インジケータ用発光ダイオード132を制御する信号SG2と同じである。また、トレーラインジケータ17a、17bが点滅するタイミングは、ターンLインジケータ11L、及びターンRインジケータ11Rと同様である。
【0066】
つまり、自車両(牽引車両)の方向指示器の左側のランプが点滅する時には、ターンLインジケータ11Lが点滅し、11Lと同じタイミングでトレーラインジケータ17a、17bが点滅する。また、自車両(牽引車両)の方向指示器の右側のランプが点滅する時には、ターンRインジケータ11Rが点滅し、ターンRインジケータ11Rと同じタイミングでトレーラインジケータ17a、17bが点滅する。
【0067】
勿論、2台目の被牽引車両が連結されていない場合は、トレーラインジケータ17bは消灯状態を維持する。また、1台目の被牽引車両が連結されていない場合は、トレーラインジケータ17a、17bの両方が消灯状態を維持する。
【0068】
図示しないが、被牽引車両における方向指示器のランプについては、牽引車両の方向指示器のランプが点滅する時に、同時に点滅する。このような制御については、公知技術を用いて実現できる。
【0069】
いずれにしても、
図3に示したメータユニット100においては、ターンLインジケータ11L又はターンRインジケータ11Rが点滅する時に、同じタイミングでトレーラインジケータ17a、17bを点滅させることができる。したがって、運転者は、トレーラインジケータ17a、17bの点滅がターンLインジケータ11L又はターンRインジケータ11Rの点滅と同期しているため、これらが関連付けられていることを視覚的に瞬時に認識することができる。つまり、トレーラインジケータ17a、17bの点滅に対して違和感を感じたり、故障の発生を疑うような誤認識が生じることがなくなる。
【0070】
尚、本実施形態では、牽引車両及び被牽引車両の両方の方向指示器のためのインジケータをメータユニット100の中に組み込んであるが、インジケータ部分だけをメータユニット100とは別の装置として構成することもできる。
【0071】
また、本実施形態では、牽引車両及び被牽引車両が農機である場合を想定しているが、農機以外の車両にも本発明を適用できる。例えば、農機以外の被牽引車両として、トレーラーハウス、キャンピングトレーラー、ライトトレーラー、オートバイ用トレーラーなどがある。
【0072】
ここで、上述した本発明に係る牽引車両用インジケータ表示装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両を牽引可能な牽引車両における方向指示に関連付けられた第1のインジケータ表示部(ターンLインジケータ11L、ターンRインジケータ11R)
と、
前記牽引車両に連結される被牽引車両における方向指示に関連付けられた第2のインジケータ表示部(トレーラインジケータ17a,17b)と、
前記第1のインジケータ表示部及び前記第2のインジケータ表示部の表示を制御する表示制御部(マイクロコンピュータ111)と、
を備え、
前記表示制御部が、前記牽引車両の方向指示器を点滅するための所定のターン信号が入力された場合に、前記第1のインジケータ表示部を点滅表示制御すると共に、前記牽引車両と前記被牽引車両との連結状態に応じて前記第2のインジケータ表示部の有効/無効を識別し(ステップS11)、前記第2のインジケータ表示部が有効の場合には、前記第1のインジケータ表示部の点滅と同期したタイミングで、前記第2のインジケータ表示部を点滅表示制御する(ステップS12)、
ことを特徴とする牽引車両用インジケータ表示装置。
[2] [1]に記載の牽引車両用インジケータ表示装置であって、
前記牽引車両の左側の方向指示器を点滅する第1の信号(SG1)と、前記牽引車両の右側の方向指示器を点滅する第2の信号(SG2)と、の論理和を表す第3の信号(SG3)を生成する論理和回路を更に備え、
前記表示制御部が、前記第3の信号に同期したタイミングで、前記第2のインジケータ表示部を点滅表示制御する、
ことを特徴とする牽引車両用インジケータ表示装置。
[3] [2]に記載の牽引車両用インジケータ表示装置であって、
前記第1のインジケータ表示部、前記第2のインジケータ表示部及び前記表示制御部が、前記牽引車両の状態を表す1つ以上の計器(回転計G1、水温計G2、燃料計G3)を含むメータユニット(100)に組み込まれている、
ことを特徴とする牽引車両用インジケータ表示装置。