(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流体圧ポンプは、パイロット圧によって制御される単一のレギュレータによって傾転角が調整される斜板を備え、前記レギュレータに作用するパイロット圧が高いほど吐出流量が多くなるように調整されることを特徴とする請求項1に記載の作業機の制御システム。
前記吐出流量調整装置は、前記第一高圧選択回路から連通するパイロット圧と前記第二高圧選択回路から連通するパイロット圧とによって切り換えられ前記第一高圧選択回路から連通するパイロット圧と前記第二高圧選択回路から連通するパイロット圧とのうち高圧側を遮断し低圧側を前記差圧減圧弁に作用させる切換弁を更に備え、
前記差圧減圧弁は、前記レギュレータに作用するパイロット圧と前記切換弁から作用するパイロット圧との差圧が大きいほど前記レギュレータに作用するパイロット圧を低くすることを特徴とする請求項4に記載の作業機の制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
(第一の実施の形態)
以下、
図1から
図4を参照して、本発明の第一の実施の形態に係る作業機の制御システム(以下、単に「制御システム」と称する。)100について説明する。
【0012】
まず、
図1を参照して、制御システム100が適用される作業機としての油圧ショベル1について説明する。ここでは、作業機が油圧ショベル1である場合について説明するが、制御システム100は、ホイールローダ等の他の作業機にも適用可能である。また、ここでは、作動流体として作動油が用いられるが、作動水等の他の流体を作動流体として用いてもよい。
【0013】
油圧ショベル1は、クローラ式の走行部2と、走行部2の上部に旋回可能に設けられる旋回部3と、旋回部3の前方中央部に設けられる掘削部5と、を備える。
【0014】
走行部2は、走行モータ(図示省略)によって左右一対のクローラ2aを駆動することで油圧ショベル1を走行させる。旋回部3は、旋回モータ(図示省略)によって駆動され、走行部2に対して左右方向に旋回する。
【0015】
掘削部5は、旋回部3の左右方向に延びる水平軸まわりに回動可能に支持されるブーム6と、ブーム6の先端に回動可能に支持されるアーム7と、アーム7の先端に回動可能に支持されて土砂等を掘削するバケット8と、を備える。また、掘削部5は、ブーム6を上下に回動させるブームシリンダ6aと、アーム7を上下に回動させるアームシリンダ7aと、バケット8を回動させるバケットシリンダ8aと、を備える。
【0016】
次に、
図2及び
図3を参照して、制御システム100の構成について説明する。
【0017】
制御システム100は、作動油を吐出する流体圧ポンプとしての油圧ポンプ10と、第一吐出ポート12から吐出された作動油が供給される第一回路系統20と、第二吐出ポート13から吐出された作動油が供給される第二回路系統30と、操作弁21〜23と操作弁31〜34とのいずれか一方が切り換えられたときのパイロット圧によって切り換えられて、第一吐出ポート12を第二中立通路35に連通させるか、又は第二吐出ポート13を第一中立通路25に連通させる連通切換弁40と、操作弁21〜23と操作弁31〜34とのいずれか一方からパイロット圧が入力された場合に油圧ポンプ10の吐出流量を減少させるように調整する吐出流量調整装置としての吐出流量調整機構50と、を備える。ここでは、操作弁21〜23又は操作弁31〜34を切り換えるパイロット圧が切換信号に該当する。
【0018】
制御システム100は、油圧ショベル1の複数のアクチュエータの動作を制御するものである。制御システム100は、油圧ポンプ10の他に、旋回モータ等の他のアクチュエータを有する第三回路系統(図示省略)に作動油を供給する他のポンプ(図示省略)を備える。
【0019】
油圧ポンプ10は、エンジン(図示省略)によって駆動される。油圧ポンプ10は、単一のシリンダブロック(図示省略)に第一吐出ポート12と第二吐出ポート13とが二段に分けて配設されて同時に二系統の作動油の吐出が可能なスプリットフロー型のポンプである。油圧ポンプ10は、第一吐出ポート12と第二吐出ポート13とから作動油を按分して吐出する。
【0020】
油圧ポンプ10は、パイロット圧で制御されるレギュレータ11によって傾転角が調整される斜板(図示省略)を備え、斜板の傾転角によって吐出流量が調整される可変容量型ポンプである。油圧ポンプ10は、吐出流量調整機構50によって調整された作動油の圧力をパイロット圧として、当該パイロット圧が高いほど吐出流量が多くなるように斜板の傾転角が調整される。油圧ポンプ10では、単一のレギュレータ11によって、第一吐出ポート12と第二吐出ポート13とから吐出される作動油の吐出流量が調整される。
【0021】
油圧ポンプ10から吐出された作動油は、第一吐出ポート12に接続される第一吐出通路15と、第二吐出ポート13に接続される第二吐出通路16と、を通じて、第一回路系統20と第二回路系統30とにそれぞれ供給される。
【0022】
第一吐出通路15と第二吐出通路16との下流には、所定のメインリリーフ圧を超えると開弁して作動油圧をメインリリーフ圧以下に保つメインリリーフ弁18が設けられる。第一吐出通路15と第二吐出通路16とには、メインリリーフ弁18への作動油の流れのみを許容するチェック弁15a,16aがそれぞれ設けられる。所定のメインリリーフ圧は、後述する各操作弁21〜23,31〜34の最低作動圧を充分に確保できる程度に高く設定される。
【0023】
第一回路系統20は、上流側から順に、左側のクローラ2aの走行モータを制御する操作弁21と、ブームシリンダ6aを制御する操作弁22と、バケットシリンダ8aを制御する操作弁23と、を備える。これらの操作弁21〜23が第一操作弁に該当し、走行用モータとブームシリンダ6aとバケットシリンダ8aとが第一アクチュエータに該当する。第一回路系統20は、操作弁21〜23が全てノーマル位置にある状態で第一吐出通路15をタンク19に連通させる第一中立通路25と、第一中立通路25と並列に設けられるパラレル通路26と、を備える。
【0024】
各操作弁21〜23は、油圧ポンプ10から各アクチュエータへ導かれる作動油の流量を制御して、各アクチュエータの動作を制御する。各操作弁21〜23は、油圧ショベル1のオペレータが操作レバーを手動操作することに伴って供給されるパイロット圧によって操作される。
【0025】
操作弁21は、通常は一対のセンタリングスプリングの付勢力によってノーマル位置にあり、パイロット通路21a,21bから供給されるパイロット圧によって第一切換位置,第二切換位置に切り換えられる。操作弁22は、通常は一対のセンタリングスプリングの付勢力によってノーマル位置にあり、パイロット通路22a,22bから供給されるパイロット圧によって第一切換位置,第二切換位置に切り換えられる。操作弁23は、通常は一対のセンタリングスプリングの付勢力によってノーマル位置にあり、パイロット通路23a,23bから供給されるパイロット圧によって第一切換位置,第二切換位置に切り換えられる。
【0026】
第二回路系統30は、上流側から順に、右側のクローラ2aの走行モータを制御する操作弁31と、予備のアクチュエータを制御する操作弁32と、同じく予備のアクチュエータを制御する操作弁33と、アームシリンダ7aを制御する操作弁34と、を備える。これらの操作弁31〜34が第二操作弁に該当し、走行用モータと予備のアクチュエータとアームシリンダ7aとが第二アクチュエータに該当する。第二回路系統30は、操作弁31〜34が全てノーマル位置にある状態で第二吐出通路16をタンク19に連通させる第二中立通路35と、第二中立通路35と並列に設けられるパラレル通路36と、を備える。
【0027】
各操作弁31〜34は、油圧ポンプ10から各アクチュエータへ導かれる作動油の流量を制御して、各アクチュエータの動作を制御する。各操作弁31〜34は、油圧ショベル1のオペレータが操作レバーを手動操作することに伴って供給されるパイロット圧によって操作される。
【0028】
操作弁31は、通常は一対のセンタリングスプリングの付勢力によってノーマル位置にあり、パイロット通路31a,31bから供給されるパイロット圧によって第一切換位置,第二切換位置に切り換えられる。操作弁32は、通常は一対のリターンスプリングの付勢力によってノーマル位置にあり、パイロット通路32a,32bから供給されるパイロット圧によって第一切換位置,第二切換位置に切り換えられる。操作弁33は、通常は一対のリターンスプリングの付勢力によってノーマル位置にあり、パイロット通路33a,33bから供給されるパイロット圧によって第一切換位置,第二切換位置に切り換えられる。操作弁34は、通常は一対のリターンスプリングの付勢力によってノーマル位置にあり、パイロット通路34a,34bから供給されるパイロット圧によって第一切換位置,第二切換位置に切り換えられる。
【0029】
連通切換弁40は、第一回路系統20と第二回路系統30とのうち操作弁21〜23,31〜34が切り換えられていない側に作動油を供給する第一吐出ポート12又は第二吐出ポート13を、操作弁21〜23,31〜34が切り換えられた側の第一中立通路25又は第二中立通路35に連通させる。連通切換弁40は、第二吐出ポート13を第一中立通路25に連通させることが可能な第一連通切換弁41と、第一吐出ポート12を第二中立通路35に連通させることが可能な第二連通切換弁42と、を備える。第一連通切換弁41と第二連通切換弁42とを別体に設けるのに代えて、連通切換弁40を一体に設けてもよい。
【0030】
第一連通切換弁41は、第二吐出ポート13と第二中立通路35とを連通させるノーマル位置41aと、第二吐出ポート13から第一中立通路25への作動油の流れを許容する合流位置41bと、を有する。第一連通切換弁41は、通常はリターンスプリングの付勢力によってノーマル位置41aにある。第一連通切換弁41は、パイロット室41cに供給されるパイロット圧によって合流位置41bに切り換えられる。
【0031】
第一連通切換弁41は、合流位置41bに切り換えられると、第二吐出ポート13と第二中立通路35とを遮断するとともに、第二吐出通路16と第一吐出通路15とを第一合流通路45を介して連通させる。第一合流通路45には、第二吐出通路16から第一吐出通路15への作動油の流れのみを許容するチェック弁45aが設けられる。よって、第一連通切換弁41が合流位置41bに切り換えられると、油圧ポンプ10から吐出された作動油の全量が第一吐出通路15を通じて第一回路系統20に供給される。
【0032】
パイロット室41cの上流には、後述する第一パイロット通路65のパイロット圧が第二パイロット通路75のパイロット圧と比較して予め設定された所定の差圧よりも高くなった場合に開弁する開閉弁43が設けられる。この予め設定された所定の差圧は、操作弁21〜23のみが切り換えられている場合の第一パイロット通路65と第二パイロット通路75との差圧である。
【0033】
第二連通切換弁42は、第一吐出ポート12と第一中立通路25とを連通させるノーマル位置42aと、第一吐出ポート12から第二中立通路35への作動油の流れを許容する合流位置42bと、を有する。第二連通切換弁42は、通常はリターンスプリングの付勢力によってノーマル位置42aにある。第二連通切換弁42は、パイロット室42cに供給されるパイロット圧によって合流位置42bに切り換えられる。
【0034】
第二連通切換弁42は、合流位置42bに切り換えられると、第一吐出ポート12と第一中立通路25とを遮断するとともに、第一吐出通路15と第二吐出通路16とを第二合流通路46を介して連通させる。第二合流通路46には、第一吐出通路15から第二吐出通路16への作動油の流れのみを許容するチェック弁46aが設けられる。よって、第二連通切換弁42が合流位置42bに切り換えられると、油圧ポンプ10から吐出された作動油の全量が第二吐出通路16を通じて第二回路系統30に供給される。
【0035】
パイロット室42cの上流には、後述する第二パイロット通路75のパイロット圧が第一パイロット通路65のパイロット圧と比較して予め設定された所定の差圧よりも高くなった場合に開弁する開閉弁44が設けられる。この予め設定された所定の差圧は、操作弁31〜34のみが切り換えられている場合の第一パイロット通路65と第二パイロット通路75との差圧である。
【0036】
吐出流量調整機構50は、操作弁21〜23を切り換えるパイロット圧のうち最も高圧のパイロット圧を選択して連通させる第一高圧選択回路60と、操作弁31〜34を切り換えるパイロット圧のうち最も高圧のパイロット圧を選択して連通させる第二高圧選択回路70と、第一高圧選択回路60と第二高圧選択回路70とから連通するパイロット圧のうち高圧側のパイロット圧を選択してレギュレータ11に作用させる高圧選択弁としてのシャトル弁80と、第一高圧選択回路60から連通するパイロット圧と第二高圧選択回路70から連通するパイロット圧とによって切り換えられる切換弁81と、第一高圧選択回路60と第二高圧選択回路70とから連通するパイロット圧の差圧が大きいほどレギュレータ11に作用するパイロット圧を低くする差圧減圧弁82と、を備える。
【0037】
第一高圧選択回路60は、パイロット通路21aとパイロット通路21bとのうち高圧側のパイロット圧を選択して連通させるシャトル弁61と、パイロット通路22aとパイロット通路22bとのうち高圧側のパイロット圧を選択して連通させるシャトル弁62と、パイロット通路23aとパイロット通路23bとのうち高圧側のパイロット圧を選択して連通させるシャトル弁63と、を備える。シャトル弁61〜63から導かれるパイロット圧は、作動油の逆流を防止するチェック弁61a〜63aを介して第一パイロット通路65に合流する。第一高圧選択回路60は、パイロット通路21a,21b,22a,22b,23a,23bのうち最も高圧のパイロット圧を選択して、第一連通切換弁41のパイロット室41cに導く。
【0038】
第二高圧選択回路70は、パイロット通路31aとパイロット通路31bとのうち高圧側のパイロット圧を選択して連通させるシャトル弁71と、パイロット通路32aとパイロット通路32bとのうち高圧側のパイロット圧を選択して連通させるシャトル弁72と、パイロット通路33aとパイロット通路33bとのうち高圧側のパイロット圧を選択して連通させるシャトル弁73と、パイロット通路34aとパイロット通路34bとのうち高圧側のパイロット圧を選択して連通させるシャトル弁74と、を備える。シャトル弁71〜74から導かれるパイロット圧は、作動油の逆流を防止するチェック弁71a〜74aを介して第二パイロット通路75に合流する。第二高圧選択回路70は、パイロット通路31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bのうち最も高圧のパイロット圧を選択して、第二連通切換弁42のパイロット室42cに導く。
【0039】
図3に示すように、シャトル弁80は、第一パイロット通路65と第二パイロット通路75とのうち高圧側のいずれか一方の作動油を選択してパイロット通路80aを通じてレギュレータ11のパイロット通路11aに導く。
【0040】
切換弁81は、第一パイロット通路65から連通するパイロット圧と、第二パイロット通路75から連通するパイロット圧とのうち、高圧側を遮断して低圧側を差圧減圧弁82に作用させる。
【0041】
切換弁81は、第一パイロット通路65及び第二パイロット通路75からの作動油を遮断してパイロット通路80aからの作動油のみを連通させるノーマル位置81aと、第二パイロット通路75からの作動油とパイロット通路80aからの作動油とを連通させる第一切換位置81bと、第一パイロット通路65からの作動油とパイロット通路80aからの作動油とを連通させる第二切換位置81cと、を備える。切換弁81は、一方にセンタリングスプリング81dの付勢力とパイロット通路81fのパイロット圧とが作用し、他方にセンタリングスプリング81eの付勢力とパイロット通路81gのパイロット圧とが作用するスプール(図示省略)を備える。パイロット通路81fには、第一パイロット通路65の作動油圧が導かれ、パイロット通路81gには、第二パイロット通路75の作動油圧が導かれる。
【0042】
切換弁81は、第一パイロット通路65と第二パイロット通路75とにパイロット圧が供給されていない場合には、センタリングスプリング81d,81eの付勢力によってノーマル位置81aに切り換えられる。
【0043】
切換弁81は、第一パイロット通路65のパイロット圧が第二パイロット通路75のパイロット圧と比較して高い場合には、パイロット通路81fのパイロット圧によって第一切換位置81bに切り換えられる。これにより、第二パイロット通路75と比較して圧力が高い第一パイロット通路65のパイロット圧が、シャトル弁80を通過してパイロット通路80aからパイロット通路11aに導かれるとともに、第一パイロット通路65と比較して圧力が低い第二パイロット通路75のパイロット圧が、パイロット通路82cを通じて差圧減圧弁82に導かれる。
【0044】
一方、切換弁81は、第二パイロット通路75のパイロット圧が第一パイロット通路65のパイロット圧と比較して高い場合には、パイロット通路81gのパイロット圧によって第二切換位置81cに切り換えられる。これにより、第一パイロット通路65と比較して圧力が高い第二パイロット通路75のパイロット圧が、シャトル弁80を通過してパイロット通路80aからパイロット通路11aに導かれるとともに、第二パイロット通路75と比較して圧力が低い第一パイロット通路65のパイロット圧が、パイロット通路82cを通じて差圧減圧弁82に導かれる。
【0045】
差圧減圧弁82は、パイロット通路80aとパイロット通路11aとを連通させる連通位置82aと、パイロット通路11aの作動油の一部をタンク19に還流してパイロット通路11aのパイロット圧を下げる減圧位置82bと、を備える。差圧減圧弁82は、通常はリターンスプリングの付勢力によって連通位置82aにある。差圧減圧弁82は、リターンスプリングの付勢力とパイロット通路82cのパイロット圧とによって連通位置82aに切り換えられ、パイロット通路11aから導かれるパイロット通路82dのパイロット圧によって減圧位置82bに切り換えられる。よって、差圧減圧弁82は、パイロット通路82dのパイロット圧がパイロット通路82cのパイロット圧と比較して大きくなるほどタンク19に還流する作動油を増加させる。
【0046】
差圧減圧弁82が連通位置82aにある場合、パイロット通路11aには、第一パイロット通路65と第二パイロット通路75とのうち高圧側のパイロット圧が導かれている。一方、パイロット通路82cには、第一パイロット通路65と第二パイロット通路75とのうち低圧側のパイロット圧が導かれている。よって、差圧減圧弁82は、第一パイロット通路65と第二パイロット通路75とから連通するパイロット圧の差圧が大きいほどレギュレータ11に作用するパイロット圧を低くする。
【0047】
以下、制御システム100の作用について説明する。
【0048】
まず、油圧ショベル1の全てのアクチュエータが動作しておらず、第一回路系統20の操作弁21〜23と第二回路系統30の操作弁31〜34とが全てノーマル位置にある場合について説明する。
【0049】
油圧ポンプ10から吐出された作動油は、第一吐出通路15と第二吐出通路16とに按分されて、第一中立通路25と第二中立通路35とに導かれる。
【0050】
このとき、吐出流量調整機構50では、操作弁21〜23と操作弁31〜34が全てノーマル位置であるため、第一高圧選択回路60と第二高圧選択回路70とに入力される全てのパイロット圧は零である。第一パイロット通路65と第二パイロット通路75との差圧がないため、開閉弁43,44はともに閉弁されている。よって、第一連通切換弁41と第二連通切換弁42とはともにノーマル位置41a,42aにあり、第一吐出ポート12から吐出された作動油は第一中立通路25に供給され、第二吐出ポート13から吐出された作動油は第二中立通路35に供給される。
【0051】
また、第一パイロット通路65と第二パイロット通路75とのパイロット圧はともに零であるため、パイロット通路11aにパイロット圧は供給されない。よって、油圧ポンプ10は、操作弁21〜23,31〜34が全て操作されていない場合には、パイロット通路11aからレギュレータ11に作用するパイロット圧が零であるため、最低限の吐出流量に調整される。
【0052】
次に、油圧ショベル1のブーム6とアーム7とがともに回動するように操作レバーがフルストロークまで操作された場合を例として、操作弁21〜23と操作弁31〜34とがともに切り換えられた場合について説明する。
【0053】
吐出流量調整機構50では、ブーム6を動作させる操作弁22が第一切換位置又は第二切換位置に切り換えられ、アーム7を操作させる操作弁34が第一切換位置又は第二切換位置に切り換えられている。第一高圧選択回路60には、パイロット通路22a又はパイロット通路22bからパイロット圧が入力される。第一高圧選択回路60では、パイロット通路22a又はパイロット通路22bのパイロット圧が第一パイロット通路65に導かれる。一方、第二高圧選択回路70には、パイロット通路34a又はパイロット通路34bからパイロット圧が入力される。第二高圧選択回路70では、パイロット通路34a又はパイロット通路34bのパイロット圧が第二パイロット通路75に導かれる。
【0054】
第一パイロット通路65のパイロット圧と第二パイロット通路75のパイロット圧とは、配管抵抗等によって大きさが異なる。ここでは、第一パイロット通路65のパイロット圧が第二パイロット通路75のパイロット圧よりも高い場合について説明する。
【0055】
第一パイロット通路65のパイロット圧と第二パイロット通路75のパイロット圧との差圧は、配管抵抗等による差であるため、予め設定された所定の差圧よりも高くなることはない。そのため、開閉弁43,44はともに閉弁されている。よって、第一連通切換弁41と第二連通切換弁42とはともにノーマル位置41a,42aにあり、第一吐出ポート12から吐出された作動油は第一中立通路25に供給され、第二吐出ポート13から吐出された作動油は第二中立通路35に供給される。
【0056】
また、第一パイロット通路65のパイロット圧の方が第二パイロット通路75のパイロット圧と比較して高いため、シャトル弁80は、第一パイロット通路65のパイロット圧を選択してパイロット通路80aに連通させる。切換弁81は、第一パイロット通路65からパイロット通路81fに導かれるパイロット圧が第二パイロット通路75からパイロット通路81gに導かれるパイロット圧に打ち勝って、第一切換位置81bに切り換えられる。
【0057】
これにより、シャトル弁80によって選択された第一パイロット通路65のパイロット圧が、パイロット通路80aとパイロット通路11aとを通じて、油圧ポンプ10のレギュレータ11に導かれる。
【0058】
また、差圧減圧弁82では、パイロット通路82dに第一パイロット通路65のパイロット圧が導かれ、パイロット通路82cに第二パイロット通路75のパイロット圧が導かれる。ここでは、パイロット通路82cとパイロット通路82dとの差圧が小さいため、リターンスプリングの付勢力とパイロット通路82cのパイロット圧とが、パイロット通路82dのパイロット圧に打ち勝つ。よって、差圧減圧弁82は連通位置82aに切り換えられ、パイロット通路11aからレギュレータ11に第一パイロット通路65のパイロット圧が導かれる。よって、油圧ポンプ10は、操作弁22と操作弁34とがともに操作されている場合には、最大の吐出流量となるように調整される。
【0059】
次に、油圧ショベル1のブーム6のみが回動するように操作された場合と、アーム7のみが回動するように操作された場合とを例として、操作弁21〜23と操作弁31〜34との一方のみが切り換えられた場合について説明する。
【0060】
ブーム6が回動する際には、オペレータが操作レバーを操作することによって、パイロット通路22a又はパイロット通路22bからパイロット圧が供給されて、操作弁22が第一切換位置又は第二切換位置に切り換えられる。これにより、油圧ポンプ10の第一吐出ポート12から第一回路系統20に導かれる作動油の一部が、操作弁22からブームシリンダ6aに導かれる。
【0061】
このとき、吐出流量調整機構50では、操作弁22が第一切換位置又は第二切換位置に切り換えられているため、パイロット通路22a又はパイロット通路22bのパイロット圧が、シャトル弁62とチェック弁62aとを通過して第一パイロット通路65に導かれる。一方、操作弁31〜34は全てノーマル位置にあるため、第二高圧選択回路70に入力される全てのパイロット圧は零である。よって、第二パイロット通路75のパイロット圧は零である。
【0062】
第一パイロット通路65のパイロット圧が第二パイロット通路75のパイロット圧と比較して予め設定された所定の差圧よりも高いため、開閉弁43が開弁される。よって、第一連通切換弁41は、パイロット室41cにパイロット圧が導かれて、合流位置41bに切り換えられる。これにより、油圧ポンプ10の第二吐出ポート13から吐出された作動油は、第一合流通路45を通じて第一中立通路25に合流する。
【0063】
また、第一パイロット通路65のパイロット圧が高く、第二パイロット通路75のパイロット圧が零であるため、シャトル弁80は、第一パイロット通路65のパイロット圧を選択してパイロット通路80aに連通させる。切換弁81は、第一パイロット通路65からパイロット通路81fに導かれるパイロット圧が第二パイロット通路75からパイロット通路81gに導かれるパイロット圧に打ち勝って、第一切換位置81bに切り換えられる。
【0064】
これにより、シャトル弁80によって選択された第一パイロット通路65のパイロット圧が、パイロット通路80aとパイロット通路11aとを通じて、油圧ポンプ10のレギュレータ11に導かれる。
【0065】
また、差圧減圧弁82では、パイロット通路82dに第一パイロット通路65のパイロット圧が導かれ、パイロット通路82cに第二パイロット通路75のパイロット圧が導かれる。ここでは、パイロット通路82cとパイロット通路82dとの差圧が大きいため、差圧減圧弁82は減圧位置82bに切り換えられ、パイロット通路11aからタンク19に還流される作動油が増加する。よって、油圧ポンプ10は、操作弁22のみが操作されている場合には、レギュレータ11に作用するパイロット圧が低下して吐出流量が減少するように調整される。
【0066】
以上のように、操作弁31〜34が操作されていない側の第二中立通路35へは作動油は供給されず、その分だけ操作弁22が操作されている側の第一中立通路25へ作動油が合流する。また、このとき吐出流量調整機構50が油圧ポンプ10の吐出流量を減少させる。したがって、従来は第二中立通路35からタンク19に還流されていた作動油を使用することで、油圧ポンプ10の吐出流量を減少させてもアクチュエータの動作に必要な作動油の流量を確保することができるため、エネルギ効率を向上させることができる。
【0067】
一方、アーム7が回動する際には、オペレータが操作レバーを操作することによって、パイロット通路34a又はパイロット通路34bからパイロット圧が供給されて、操作弁34が第一切換位置又は第二切換位置に切り換えられる。これにより、油圧ポンプ10の第一吐出ポート12から第二回路系統30に導かれる作動油の一部が、操作弁34からアームシリンダ7aに導かれる。
【0068】
このとき、吐出流量調整機構50では、操作弁34が第一切換位置又は第二切換位置に切り換えられているため、パイロット通路34a又はパイロット通路34bのパイロット圧が、シャトル弁74とチェック弁74aとを通過して第二パイロット通路75に導かれる。一方、操作弁21〜23は全てノーマル位置にあるため、第一高圧選択回路60に入力される全てのパイロット圧は零である。よって、第一パイロット通路65のパイロット圧は零である。
【0069】
第二パイロット通路75のパイロット圧が第一パイロット通路65のパイロット圧と比較して予め設定された所定の差圧よりも高いため、開閉弁44が開弁される。よって、第二連通切換弁42は、パイロット室42cにパイロット圧が導かれて、合流位置42bに切り換えられる。これにより、油圧ポンプ10の第一吐出ポート12から吐出された作動油は、第二合流通路46を通じて第二中立通路35に合流する。
【0070】
また、第二パイロット通路75のパイロット圧が高く、第一パイロット通路65のパイロット圧が零であるため、シャトル弁80は、第二パイロット通路75のパイロット圧を選択してパイロット通路80aに連通させる。切換弁81は、第二パイロット通路75からパイロット通路81gに導かれるパイロット圧が第一パイロット通路65からパイロット通路81fに導かれるパイロット圧に打ち勝って、第二切換位置81cに切り換えられる。
【0071】
これにより、シャトル弁80によって選択された第二パイロット通路75のパイロット圧が、パイロット通路80aとパイロット通路11aとを通じて、油圧ポンプ10のレギュレータ11に導かれる。
【0072】
また、差圧減圧弁82では、パイロット通路82dに第二パイロット通路75のパイロット圧が導かれ、パイロット通路82cに第一パイロット通路65のパイロット圧が導かれる。ここでは、パイロット通路82cとパイロット通路82dとの差圧が大きいため、差圧減圧弁82は減圧位置82bに切り換えられ、パイロット通路11aからタンク19に還流される作動油が増加する。よって、油圧ポンプ10は、操作弁34のみが操作されている場合には、レギュレータ11に作用するパイロット圧が低下して吐出流量が減少するように調整される。
【0073】
以上のように、操作弁21〜23が操作されていない側の第一中立通路25へは作動油は供給されず、その分だけ操作弁34が操作されている側の第二中立通路35へ作動油が合流する。また、このとき吐出流量調整機構50が油圧ポンプ10の吐出流量を減少させる。したがって、従来は第一中立通路25からタンク19に還流されていた作動油を使用することで、油圧ポンプ10の吐出流量を減少させてもアクチュエータの動作に必要な作動油の流量を確保することができるため、エネルギ効率を向上させることができる。
【0074】
以上の第一の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0075】
第一回路系統20の操作弁21〜23と第二回路系統30の操作弁31〜34とのうち一方が操作されてアクチュエータが動作した場合には、操作弁21〜23,31〜34を切り換えるパイロット圧によって第一連通切換弁41又は第二連通切換弁42が切り換えられる。第一連通切換弁41又は第二連通切換弁42は、第一回路系統20と第二回路系統30とのうち操作弁21〜23,31〜34が操作されていない側に作動油を供給する第一吐出ポート12又は第二吐出ポート13を、操作弁21〜23,31〜34が切り換えられた側の第一中立通路25又は第二中立通路35に連通させる。
【0076】
これにより、第一回路系統20と第二回路系統30とのうち操作弁21〜23,31〜34が操作されていない側へは作動油は供給されず、その分だけ操作弁21〜23,31〜34が操作されている側へ作動油が合流する。また、このとき吐出流量調整機構50が油圧ポンプ10の吐出流量を減少させる。したがって、従来はタンク19に還流されていた作動油を使用することで、油圧ポンプ10の吐出流量を減少させてもアクチュエータの動作に必要な作動油の流量を確保することができるため、エネルギ効率を向上させることができる。
【0077】
次に、主に
図4を参照して、吐出流量調整装置の変形例に係る吐出流量調整機構150について説明する。吐出流量調整機構150は、単一の切換弁81に代えて第一切換弁181と第二切換弁182とが設けられる点で、吐出流量調整機構50とは相違する。
【0078】
吐出流量調整機構150は、操作弁21〜23を切り換えるパイロット圧のうち最も高圧のパイロット圧を選択して連通させる第一高圧選択回路60と、操作弁31〜34を切り換えるパイロット圧のうち最も高圧のパイロット圧を選択して連通させる第二高圧選択回路70と、第一高圧選択回路60と第二高圧選択回路70とから連通するパイロット圧のうち高圧側のパイロット圧を選択してレギュレータ11に作用させる高圧選択弁としてのシャトル弁80と、シャトル弁80で選択された作動油の圧力と第一高圧選択回路60から連通するパイロット圧とによって切り換えられる切換弁としての第一切換弁181と、シャトル弁80で選択された作動油の圧力と第二高圧選択回路70から連通するパイロット圧とによって切り換えられる切換弁としての第二切換弁182と、第一高圧選択回路60と第二高圧選択回路70とから連通するパイロット圧の差圧が大きいほどレギュレータ11に作用するパイロット圧を低くする差圧減圧弁82と、を備える。
【0079】
第一切換弁181は、第一パイロット通路65からの作動油を遮断する遮断位置181aと、第一パイロット通路65からの作動油を連通させる連通位置181bと、を備える。第一切換弁181は、一方にパイロット通路80aのパイロット圧が作用し、他方にリターンスプリング181cの付勢力とパイロット通路181dのパイロット圧とが作用するスプール(図示省略)を備える。パイロット通路181dには、第一パイロット通路65の作動油圧が導かれる。
【0080】
同様に、第二切換弁182は、第二パイロット通路75からの作動油を遮断する遮断位置182aと、第二パイロット通路75からの作動油を連通させる連通位置182bと、を備える。第二切換弁182は、一方にパイロット通路80aのパイロット圧が作用し、他方にリターンスプリング182cの付勢力とパイロット通路182dのパイロット圧とが作用するスプール(図示省略)を備える。パイロット通路182dには、第二パイロット通路75の作動油圧が導かれる。
【0081】
第一切換弁181と第二切換弁182との一方は、シャトル弁80で選択された作動油の圧力によって連通位置181b又は連通位置182bに切り換えられ、通過した作動油がパイロット圧としてパイロット通路82cに導かれる。
【0082】
このように、吐出流量調整機構150を用いた場合にも、吐出流量調整機構50と同様に、差圧減圧弁82では、第一パイロット通路65のパイロット圧と第二パイロット通路75とのパイロット圧との高圧側がパイロット通路82dに導かれ、第一パイロット通路65のパイロット圧と第二パイロット通路75とのパイロット圧との低圧側がパイロット通路82cに導かれる。したがって、吐出流量調整機構150を用いた場合にも、吐出流量調整機構50と同様に油圧ポンプ10の吐出流量を調整することが可能である。
【0083】
(第二の実施の形態)
以下、
図5を参照して、本発明の第二の実施の形態に係る作業機の制御システム(以下、単に「制御システム」と称する。)200について説明する。以下に示す第二の実施の形態では、上述した第一の実施の形態と異なる点を中心に説明し、第一の実施の形態と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
制御システム200は、吐出流量調整機構50,150に代えて、コントローラ255によって制御される吐出流量調整装置としての吐出流量調整機構250を備える点で第一の実施の形態とは相違する。制御システム200では、操作弁21〜23又は操作弁31〜34の切り換え操作によって出力される電気信号が切換信号に該当する。この電気信号は、例えば、操作弁21〜23,31〜34に作用するパイロット圧を検出する圧力センサ(図示省略)からの信号や、オペレータによる操作レバーの操作を検出する変位センサ(図示省略)からの信号等である。
【0085】
吐出流量調整機構250は、パイロット圧を生成するパイロットポンプ251と、操作弁21〜23のみから電気信号が入力された場合に制御される第一減圧弁260と、操作弁31〜34のみから電気信号が入力された場合に制御される第二減圧弁270と、操作弁21〜23と操作弁31〜34との一方から電気信号が入力された場合に制御される第三減圧弁280と、第一パイロット通路65のパイロット圧,第二パイロット通路75のパイロット圧,又はレギュレータ11に作用するパイロット圧を下げる場合に作動油が排出されるドレン252と、を備える。
【0086】
第一減圧弁260は、パイロットポンプ251からのパイロット圧を第一パイロット通路65に導く連通位置261と、第一パイロット通路65の作動油の一部をドレン252に排出して第一パイロット通路65のパイロット圧を下げる減圧位置262と、を備える。第一減圧弁260は、通常はリターンスプリングの付勢力と第一パイロット通路65からのパイロット圧とによって減圧位置262にある。第一減圧弁260は、操作弁21〜23のみから電気信号が入力された場合に、コントローラ255によって連通位置261に切り換えられ、パイロットポンプ251からのパイロット圧を第一連通切換弁41のパイロット室41cに導く。
【0087】
第二減圧弁270は、パイロットポンプ251からのパイロット圧を第二パイロット通路75に導く連通位置271と、第二パイロット通路75の作動油の一部をドレン252に排出して第二パイロット通路75のパイロット圧を下げる減圧位置272と、を備える。第二減圧弁270は、通常はリターンスプリングの付勢力と第二パイロット通路75からのパイロット圧とによって減圧位置272にある。第二減圧弁270は、操作弁31〜34のみから電気信号が入力された場合に、コントローラ255によって連通位置271に切り換えられ、パイロットポンプ251からのパイロット圧を第二連通切換弁42のパイロット室42cに導く。
【0088】
第三減圧弁280は、パイロットポンプ251からのパイロット圧をパイロット通路11aに導く連通位置281と、パイロット通路11aの作動油の一部をドレン252に排出してパイロット通路11aのパイロット圧を下げる減圧位置282と、を備える。第三減圧弁280は、通常はリターンスプリングの付勢力とパイロット通路11aからのパイロット圧とによって減圧位置282にある。第三減圧弁280は、操作弁21〜23と操作弁31〜34との一方から電気信号が入力された場合に、コントローラ255によって減圧位置282に切り換えられ、パイロットポンプ251からレギュレータ11に導かれるパイロット圧を低くする。
【0089】
制御システム200では、コントローラ255が第一減圧弁260,第二減圧弁270,及び第三減圧弁280を制御することによって、第一パイロット通路65と第二パイロット通路75とパイロット通路11aとのパイロット圧を個別に調整することが可能である。よって、制御システム200では、第一の実施の形態にかかる制御システム100に設けられていた開閉弁43,44を設ける必要がない。
【0090】
以下、制御システム200の作用について説明する。
【0091】
まず、油圧ショベル1の全てのアクチュエータが動作しておらず、第一回路系統20の操作弁21〜23と第二回路系統30の操作弁31〜34とが全てノーマル位置にある場合について説明する。
【0092】
油圧ポンプ10から吐出された作動油は、第一吐出通路15と第二吐出通路16とに按分されて、第一中立通路25と第二中立通路35とに導かれる。
【0093】
このとき、吐出流量調整機構250では、操作弁21〜23と操作弁31〜34が全てノーマル位置であるため、コントローラ255は、第一減圧弁260と第二減圧弁270とをともに減圧位置262と減圧位置272とにして、第一パイロット通路65と第二パイロット通路75とのパイロット圧をドレン252に排出させる。また、コントローラ255は、第三減圧弁280を減圧位置282にして、パイロット通路11aからパイロット圧をドレン252に排出させる。
【0094】
このとき、第一連通切換弁41はノーマル位置41aにある。よって、第一吐出ポート12から吐出された作動油は、第一中立通路25に供給される。第二連通切換弁42はノーマル位置42aにある。よって、第二吐出ポート13から吐出された作動油は、第二中立通路35に供給される。油圧ポンプ10は、操作弁21〜23,31〜34が全て操作されていない場合には、パイロット通路11aからレギュレータ11に作用するパイロット圧が零であるため、最低限の吐出流量に調整される。
【0095】
次に、油圧ショベル1のブーム6とアーム7とがともに回動するように操作された場合を例として、操作弁21〜23と操作弁31〜34とがともに切り換えられた場合について説明する。
【0096】
吐出流量調整機構50では、ブーム6を動作させる操作弁22を切り換える電気信号と、アーム7を動作させる操作弁34を切り換える電気信号とがコントローラ255に入力される。コントローラ255は、操作弁21〜23のみから電気信号が入力されている状態ではないため、第一減圧弁260を減圧位置262にし、同様に、操作弁31〜34のみから電気信号が入力されている状態ではないため、第二減圧弁270を減圧位置272にする。また、コントローラ255は、第三減圧弁280を連通位置281に切り換えて、パイロット通路11aからレギュレータ11にパイロット圧を供給する。
【0097】
このとき、第一連通切換弁41はノーマル位置41aにある。よって、第一吐出ポート12から吐出された作動油は、第一中立通路25に供給される。第二連通切換弁42はノーマル位置42aにある。よって、第二吐出ポート13から吐出された作動油は、第二中立通路35に供給される。油圧ポンプ10は、操作弁22と操作弁34とが操作されている場合には、パイロット通路11aからレギュレータ11に作用するパイロット圧が最大であるため、最大の吐出流量に調整される。
【0098】
なお、ここではレギュレータ11に作用するパイロット圧が最大になるように制御される場合を例として説明したが、これに限らず、コントローラ255は、アクチュエータの負荷の大きさに応じた電気信号を第三減圧弁280に出力して、パイロットポンプ251からレギュレータ11に導かれるパイロット圧を制御する。
【0099】
次に、油圧ショベル1のブーム6のみが回動するように操作された場合と、アーム7のみが回動するように操作された場合とを例として、操作弁21〜23と操作弁31〜34との一方のみが切り換えられた場合について説明する。
【0100】
ブーム6のみが回動するように操作された場合には、吐出流量調整機構250では、ブーム6を動作させる操作弁22を切り換える電気信号のみがコントローラ255に入力される。コントローラ255は、操作弁21〜23のみから電気信号が入力されている状態であるため、第一減圧弁260を連通位置261に切り換え、操作弁31〜34のみから電気信号が入力されている状態ではないため、第二減圧弁270を減圧位置272とする。
【0101】
これにより、パイロットポンプ251からのパイロット圧が、第一減圧弁260を通過して第一パイロット通路65に導かれる。よって、第一連通切換弁41は、パイロット室41cにパイロット圧が導かれて、合流位置41bに切り換えられる。これにより、油圧ポンプ10の第二吐出ポート13から吐出された作動油は、第一合流通路45を通じて第一中立通路25に合流する。
【0102】
また、コントローラ255は、操作弁22の操作量に応じて第三減圧弁280を減圧位置282に切り換えてレギュレータ11のパイロット圧の一部をドレン252に導き、レギュレータ11に作用するパイロット圧を下げる。よって、油圧ポンプ10は、操作弁22のみが操作されている場合には、吐出流量が減少するように調整される。
【0103】
以上のように、操作弁31〜34が操作されていない側の第二中立通路35へは作動油は供給されず、その分だけ操作弁22が操作されている側の第一中立通路25へ作動油が合流する。また、このとき吐出流量調整機構250が油圧ポンプ10の吐出流量を減少させる。したがって、従来は第二中立通路35からタンク19に還流されていた作動油を使用することで、油圧ポンプ10の吐出流量を減少させてもアクチュエータの動作に必要な作動油の流量を確保することができるため、エネルギ効率を向上させることができる。
【0104】
一方、アーム7のみが回動するように操作された場合には、吐出流量調整機構250では、アーム7を動作させる操作弁34を切り換える電気信号のみがコントローラ255に入力される。コントローラ255は、操作弁31〜34のみから電気信号が入力されている状態ではないため、第一減圧弁260を減圧位置262にし、操作弁31〜34のみから電気信号が入力されている状態であるため、第二減圧弁270を連通位置271に切り換える。
【0105】
これにより、パイロットポンプ251からのパイロット圧が、第二減圧弁270を通過して第二パイロット通路75に導かれる。よって、第二連通切換弁42は、パイロット室42cにパイロット圧が導かれて、合流位置42bに切り換えられる。これにより、油圧ポンプ10の第一吐出ポート12から吐出された作動油は、第二合流通路46を通じて第二中立通路35に合流する。
【0106】
また、コントローラ255は、操作弁34の操作量に応じて第三減圧弁280を減圧位置282に切り換えてレギュレータ11のパイロット圧の一部をドレン252に導き、レギュレータ11に作用するパイロット圧を下げる。よって、油圧ポンプ10は、操作弁34のみが操作されている場合には、吐出流量が減少するように調整される。
【0107】
以上のように、操作弁21〜23が操作されていない側の第一中立通路25へは作動油は供給されず、その分だけ操作弁34が操作されている側の第二中立通路35へ作動油が合流する。また、このとき吐出流量調整機構250が油圧ポンプ10の吐出流量を減少させる。したがって、従来は第一中立通路25からタンク19に還流されていた作動油を使用することで、油圧ポンプ10の吐出流量を減少させてもアクチュエータの動作に必要な作動油の流量を確保することができるため、エネルギ効率を向上させることができる。
【0108】
以上の第二の実施の形態によれば、第一の実施の形態と同様の効果を奏する。また、第二の実施の形態に係る制御システム200では、コントローラ255によって制御を行うため、第一の実施の形態に係る制御システム100と比較して簡素な構成で同様の制御を実行することができる。
【0109】
なお、上述した第二の実施の形態では、コントローラ255が第三減圧弁280を制御することによって、レギュレータ11に作用するパイロット圧を調整し、油圧ポンプ10の吐出流量を調整している。これに代えて、油圧ポンプ10を駆動するエンジンの回転数を調整する装置を吐出流量調整装置として適用し、エンジンの回転数に応じて油圧ポンプ10の吐出流量を調整可能にしてもよい。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。