(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の取引装置の構成を示したブロック図である。
【0014】
取引装置1は、読取台2と、読取部3と、取引制御部4と、読取制御部5と、を有し、利用者によって帳票を用いた取引が指示されたときは、帳票から読み取った取引情報に基づいて取引処理を実行する。読取対象の帳票は、例えば、税金等の公金や、各種請求を決済する取引に用いるものであり、所定の規格に基づいて、収納機関番号、利用者の識別番号等の取引情報が所定の位置に所定の形式で印刷されている。
【0015】
読取台2は、装置外面に設けられ、帳票を載置する載置面を備える。
読取部3は、読取台2の載置面の上方の装置外面に設けられ、読取台2の載置面にセットされた帳票の読み取りを行う。読取部3は、読取対象の帳票の画像を取得するスキャナあるいは電子カメラ等を備える。
【0016】
取引制御部4は、利用者の指示に応じて各種取引処理を制御する。利用者が帳票を用いた取引を指示したときは、帳票に記載される取引情報に基づいて取引を行う。この際、読取制御部5に帳票の読取要求を出力し、読取制御部5から取引情報を取得する。
【0017】
読取制御部5は、取引制御部4から入力した読取要求に応じて読取部3を制御する。読取部3に対し、読取台2にセットされた帳票の読み取りを指示し、読取部3が帳票を読み取った読取情報を取得する。この読取情報に基づいて取引情報を検出し、この取引情報を取引制御部4に出力する。
【0018】
このような取引装置1によって、帳票を用いた取引を行う場合について説明する。
利用者は、取引装置1に対して帳票を用いた取引を指示し、読取対象の帳票を読取台2の載置面にセットする。なお、帳票のセットは、取引装置1から指示があった後に行うとしてもよい。
【0019】
取引装置1では、取引制御部4が、利用者の指示に応じて帳票を用いた取引処理を開始する。取引制御部4は、必要に応じて利用者に帳票を読取台2にセットするように指示し、帳票がセットされた後、読取制御部5に対して帳票の読取要求を出力する。読取要求を入力した読取制御部5は、読取部3に対し、読取台2の載置面にセットされた帳票の読み取りを指示する。読取部3は、帳票の対象領域の画像を読み取って得られた読取情報を読取制御部5に出力する。読取情報は、例えば、帳票の対象領域を文字認識して得られた文字情報である。なお、読取情報として画像情報を取得し、読取制御部5で文字認識を行うとしてもよい。読取制御部5は、読取部3から取得した読取情報に基づき、文字認識された文字列から取引情報を検出し、この取引情報を取引制御部4に出力する。取引制御部4は、入力した取引情報に基づいて取引処理を行う。
【0020】
このように、利用者が取引装置1に対して帳票を用いた取引を指示し、対象の帳票を読取台2にセットすれば、取引装置1によって帳票に記載された取引情報が自動的に読み取られ、取引処理が行われる。このため、利用者は煩わしい操作入力をすることなく、帳票を用いた取引が可能となる。
【0021】
また、帳票の読み取りは、帳票の読取対象領域が読取台2の載置面にセットされていれば良く、拡張エリアが存在するサイズの大きな帳票であっても読み取りが可能である。
さらに、読取台2及び読取部3は、取引装置1の外面に設けられるので、帳票の取り込みと排出を行う複雑な機構は必要なく、装置内部に帳票取扱機構を収容するスペースを確保する必要もない。これにより、取引装置1を大型化することなく帳票の読み取りが可能となる。
【0022】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態として、取引装置1をATMに適用した場合について説明する。税金等の公金や各種決済は、口座引き落としのように電子決済できる場合もあるが、帳票を用いて現金にて決済されることも多い。しかしながら、金融機関の窓口は利用時間に制限があり、窓口のある場所が限られている等、利用しにくい。一方、ATMは利用時間が長く、駅や店舗等、金融機関以外の場所にも設置されており、気軽に利用することができる。金融機関においても、合理化等により業務をATMに誘導する動きがある。このため、ATMにおいて帳票を用いた取引が容易に実施できることが求められている。
【0023】
まず、第2の実施形態のATMの構成例について説明する。
図2は、第2の実施形態のATMの概略構成を示した図である。なお、
図2に示した構成は一例であり、各部の配置及び構成は、任意である。
【0024】
図2に示したATM10は、読取台12と、スキャナ13と、顧客操作部14と、カード/レシート部15と、紙幣処理部16と、テンキー入力部17と、を有する。
読取台12は、装置外面に設けられ、読取対象の帳票を載置する載置面を有する。載置面の大きさは、規格によって決められた帳票の最小サイズを超えない大きさに形成される。したがって、載置面は帳票の最小サイズと同じかそれより小さい。スキャナ13は、読取台12の載置面の上方の装置外面に設けられ、帳票の読取対象領域を読み取る。スキャナ13は、第1の実施形態の読取部3の一実施形態である。
【0025】
顧客操作部14は、ディスプレイとタッチパネルを有し、取引操作の案内と、指示の受付けとを行う。カード/レシート部15は、キャッシュカードやクレジットカード等のカードを用いる取引において、カードの挿入と排出とを行う。また、取引終了時に発行するレシートを排出する。紙幣処理部16では、入金及び出金取引の際に、紙幣の受け渡しを処理する。テンキー入力部17は、数字等を入力するキーを備え、顧客操作部14のタッチパネルと協働して利用者の指示を受け付ける。
【0026】
利用者が帳票を用いて支払いを行う際の動作について説明する。利用者は、顧客操作部14またはテンキー入力部17を操作して帳票を用いた取引を指示する。次に、顧客操作部14に表示される案内に従って帳票を読取台12にセットする。ATM10では、帳票をスキャナ13が読み取り、読取情報から検出した取引情報に基づく取引内容の確認画面を顧客操作部14に表示する。利用者は、顧客操作部14にて取引内容を確認し、取引を行う場合には、紙幣処理部16に現金を投入、またはカード/レシート部15にキャッシュカード等を投入し、支払処理を行う。支払い完了後、カード/レシート部15からレシートが出力される。取引にカードを用いていた場合には、レシートとともにカードが返却される。利用者は、これらを受取り、取引を完了する。
【0027】
このように、ATM10は、自動的に帳票を読み取って取引情報を検出するので、利用者はキーを操作して取引情報を入力するなどの煩わしい操作をする必要がなくなり、入力ミスも防止できる。この結果、利用者の操作性が向上し、ATM10の稼働率も上げることができる。
【0028】
次に、ATM10のハードウェア構成及び動作について説明する。
図3は、ATMのハードウェア構成を示すブロック図である。
ATM10は、制御部110と、ディスプレイ14aと、タッチパネル14bと、スキャナ13と、カード/レシート処理ユニット150と、紙幣処理ユニット160と、テンキー170と、対人センサ制御180と、を有する。
【0029】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111、RAM(Random Access Memory)112、第1HDD(Hard Disk Drive)113a、第2HDD113b、外部通信インタフェース114、表示処理ユニット115、キー処理ユニット116及びI/O(Input/Output)制御部117を有し、各々がバス118を介して接続されている。なお、制御部110は、コンピュータの一例でもある。
【0030】
CPU111は、ATM10の全体動作を制御する。RAM112には、CPU111に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM112には、CPU111による処理に必要な各種データが格納される。
【0031】
第1HDD113a及び第2HDD113bには、OSやアプリケーションプログラムを格納する。第1HDD113aと、第2HDD113bとは、システム保護のために二重化されているが、いずれか一方のみで構成することもできる。
【0032】
外部通信インタフェース114は、外部のネットワーク120に接続され、ホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
表示処理ユニット115には、ディスプレイ14aが接続される。ディスプレイ14aは、タッチパネル14bとともに顧客操作部14を構成する。表示処理ユニット115は、CPU111の制御の下に、操作案内等の各種情報をディスプレイ14aの画面に表示させる。
【0033】
キー処理ユニット116には、タッチパネル14bが接続される。タッチパネル14bは、ディスプレイ14aの上層に形成される。キー処理ユニット116は、利用者の指がタッチパネル14bに接触あるいは接近した画面上の位置を検出し、CPU111に通知する。
【0034】
I/O制御部117には、スキャナ13、カード/レシート処理ユニット150、紙幣処理ユニット160、テンキー170及び対人センサ制御180が接続される。I/O制御部117は、CPU111の制御の下に、接続する各部にCPU111からの指示を通知するとともに、各部から取得した情報をバス118経由でCPU111に送る。
【0035】
スキャナ13は、装置外面に設けられ、CPU111の制御の下、装置外面の読取台12にセットされた帳票の画像を取得して文字認識を行い、文字認識した結果を読取情報として出力する。このように、スキャナ13による読み取りは装置外部で行われる。
【0036】
カード/レシート処理ユニット150は、カード/レシート部15に設けられ、カードの取り込みと排出、及びレシートの排出を制御する。紙幣処理ユニット160は、紙幣処理部16に設けられ、CPU111の指示に従って紙幣の入出金と、扉の開閉とを制御する。テンキー170は、テンキー入力部17に設けられ、利用者が押下したテンキーの情報を出力する。対人センサ制御180は、人の接近を検知する対人センサを制御し、ATM10に利用者が近付いたことを検出する。
【0037】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、上記の構成は一例であり、ATM10の構成部の組み合わせは適宜決定される。上記構成のうち必要のないものを削除するとしてもよいし、例えば、手のひら静脈や指静脈を用いた生体認証部や非接触ICに対応する非接触IC部、硬貨処理ユニット等を加えることもできる。
【0038】
次に、取引処理を実現する処理機能について説明する。
図4は、ATMの機能ブロック図である。
ATM
10は、取引処理部200が、スキャナ13、外部通信インタフェース114、表示処理ユニット115、キー処理ユニット116、紙幣処理ユニット160及びカード/レシート処理ユニット150の各部を制御することによって、各種取引を実行する。
【0039】
スキャナ13は、撮像部131、撮像制御部132、文字認識部133及び通信部134を有し、読取制御部210の指示に従って帳票の読み取りを行う。撮像部131は、帳票の画像を取得する。撮像制御部132は、通信部134を介して入力する読取制御部210の読取指示に従って撮像部131を制御し、撮像部131に撮像処理を行わせる。文字認識部133は、撮像部131が取得した画像に文字認識を施し、文字認識した文字列からなる読取情報を生成する。通信部134は、読取制御部210との間の通信を制御し、読取制御部210からの読取指示を受信して撮像制御部132に通知し、文字認識部133が生成した読取情報を読取制御部210に送信する。スキャナ13は、読取制御部210と通信部134を介して接続されており、スキャナ13と読取制御部210との間は通信ケーブルによって接続することができる。
【0040】
取引処理部200は、読取制御部210と、取引制御部220と、ホスト間通信制御部221と、表示制御部222と、キー入力処理部223と、入出金制御部224と、レシート発行制御部225と、を有する。各部の処理機能は、CPU111がプログラムを実行することにより実現する。
【0041】
読取制御部210は、スキャナ制御部211と、読取情報処理部212と、通信部213と、を有し、取引制御部220からの要求に従ってスキャナ13による帳票の読み取りを制御する。スキャナ制御部211は、通信部213を経由してスキャナ13に対し、帳票の読取指示を出力する。読取情報処理部212は、通信部213を経由して取得した読取情報を検査し、正しいと判定した読取情報から取引情報を検出する。例えば、帳票に印刷される文字列にチェックデジットが含まれていたときは、チェックデジットによって読取情報が正しく読み取れているか否かを判定する。また、文字列の所定の位置に予めセットされている文字が正しく読み取れたか否かでチェックするとしてもよい。読取情報が正しいと判定したときは、読取情報に含まれる取引情報を検出し、検出した取引情報を取引制御部220に出力する。読取情報が正しくないと判定したときは、スキャナ制御部211に対し、帳票の再読み取りを指示する。通信部213は、スキャナ13との間の通信を制御して、スキャナ13に対し帳票の読取指示を送信し、スキャナ13から読取情報を受信する。
【0042】
取引制御部220は、ATM10が行う各種取引を実行する複数のアプリケーションを有し、ホスト間通信制御部221、表示制御部222、キー入力処理部223、入出金制御部224及びレシート発行制御部225を制御して、利用者が指定した取引処理を行う。ホスト間通信制御部221は、取引制御部220に従って外部通信インタフェース114を介して外部のホストとの間の通信を制御する。表示制御部222は、表示処理ユニット115を制御し、取引制御部220に従ってディスプレイ14aに画面を表示する。キー入力処理部223は、キー処理ユニット116を介して入力するタッチパネル14bの操作情報を取引制御部220に通知する。入出金制御部224は、取引制御部220に従って紙幣処理ユニット160を制御し、取引に伴う紙幣の入出金を行う。レシート発行制御部225は、取引制御部220に従って、取引終了時にレシートを発行し、カード/レシート処理ユニット150を介して発行したレシートを排出する。
【0043】
なお、上記の構成では、スキャナ13において文字認識を行うとしたが、スキャナ13は画像の取得のみを行い、読取制御部210で文字認識を行う構成としてもよい。
次に、読取対象の帳票について説明する。
【0044】
ATM
10では、予め標準フォーマットが決められている帳票を読取対象として処理を行う。標準フォーマットとして、例えば、帳票の少なくとも一方向のサイズ、読取対象の取引情報が記載されている位置、その取引情報の記載形式等が決められている。以下、一例として、ペイジー(登録商標)の標準フォーマットに準拠した帳票を読取対象とした場合について説明する。
【0045】
図5は、帳票の一例を示した図である。
図5に示した帳票300は、ペイジー(登録商標)の標準帳票仕様に準拠した払込取扱票イメージの一例である。
帳票300は、電気料金の支払いに用いる払込取扱票であり、払込取扱票300aと、受領書兼金融機関控300bとからなる。帳票300の
図5の縦方向のサイズと、払込取扱票300a、受領書兼金融機関控300bまでの横方向のサイズとは、規定帳票サイズとして予め大きさが決められている。受領書兼金融機関控300bの右隣、すなわち、受領書兼金融機関控300bの払込取扱票300aとは反対側に、収納機関が独自の形式で拡張エリアを追加することができる。この拡張エリアの有無によって帳票300の全体のサイズが変わる。
【0046】
払込取扱票300aの予め決められた位置には、取引情報を記載した取引番号情報310と、取引情報を含む読み取り用の文字列からなるOCR(Optical Character Reader)情報320と、が印刷されている。なお、
図5に示したように、取引情報がバーコード形式で記載されていてもよい。
【0047】
取引番号情報310には、取引情報が、「収納機関番号」、「お客様番号」、「確認番号」からなる取引番号として印刷されている。利用者がペイジー(登録商標)での支払い操作を手入力によって行う場合には、この取引番号情報310を参照し、その取引番号を手入力する。収納機関によっては取引番号が20桁を超え、手入力では入力間違いが生じやすい。
【0048】
OCR情報320には、取引番号情報310の取引番号が予め決められた形式の文字列として記載される。また、OCR文字列には、取引番号に加え、読み取った文字列を検査するためのチェックデジットが含まれる。
【0049】
ATM10では、このような帳票300のOCR情報320を読み取り、取引に必要な取引情報を取得する。
次に、帳票300と、読取台12及びスキャナ13との位置関係について説明する。
図6は、帳票、読取台及びスキャナの位置関係を示した図である。
図6は、ATM10を側面から見た側面図と、読取台12をスキャナ13方向から見た読取台上面図である。点線内の読取台上面図は、帳票300を実線、読取台12の載置面を一点鎖線で示している。また、読取台上面図の上側が装置に接する側である。
【0050】
ATM10は、利用者が操作に用いる各部が配置される面に、スキャナ13と、読取台12とを備える。スキャナ13は、読取台12の上方に、読取台12の載置面上の帳票300が読み取れるように設置されている。
【0051】
点線内に示したように、読取台12の載置面は、規格によって規定される帳票300の最小サイズを超えない大きさに形成されている。帳票300の場合、最小サイズは、払込取扱票300a及び受領書兼金融機関控300bのみから構成される規定帳票サイズである。
図6に示した読取台12の載置面は、帳票300より一回り小さく形成されている。読取台12をこのような構成とすることで、帳票300に拡張エリアがある場合であっても、読取台12に払込取扱票300a部分をセットすれば、スキャナ13で読み取り可能となる。また、読取台12にセットした帳票300は、利用者が手を添えなければ読取台12上で安定しない。読み取り時に利用者が帳票300に手を添えるようにしたことにより、帳票300の取り忘れを防止することができる。
【0052】
ATM10は、帳票300の読み取りの際には、利用者に対し、OCR情報320が記載される払込取扱票300aが読取台12の載置面上に位置するように帳票300をセットするよう指示を出す。
【0053】
ところで、
図6に示したように、読取台12とスキャナ13とは装置外に配置され、装置内に組み込む必要はない。また、
図4を用いて説明したように、スキャナ13と装置内部の読取制御部210とは通信ケーブルによって接続されるのみである。よって、新規の装置において読取台12とスキャナ13の配置が容易であるばかりでなく、既存の装置に読取台12及びスキャナ13を追加配置することも容易である。すなわち、既存の装置に規定帳票サイズ程度の空きスペースがあれば、読取台12とスキャナ13とをビス等の取り付け部材で装置外面に取り付けることができる。例えば、顧客操作部14やテンキー入力部17の周囲を覆うパネルと交換可能なパネルに読取台12とスキャナ13の取り付け部を用意しておけば、パネルの交換作業で読取台12とスキャナ13を追加することができる。ATM10では、追加機能用やメンテナンス用に、装置内の制御部110に接続するI/Oポートとして汎用のUSB(Universal Serial Bus)ポート等が予め余分に用意されていることが多い。通信ケーブルをこれに対応するものとすれば、制御部110とスキャナ13とを接続することができる。一方、読取制御部210及び取引制御部220等の関連するアプリケーションは、アプリケーションプログラムを更新することによって追加することができる。このように、帳票読取機能を実現する読取台12及びスキャナ13と、読取制御部210及び取引制御部220等の関連アプリケーションは、簡単な作業で既存のATMに組み込むことができる。既存のATMは、広く普及しており、様々な場所に配置されている。本願発明によれば、既存のATMに容易に帳票読取機能を追加することができるので、帳票読取機能を有するATMの普及に貢献することができる。
【0054】
次に、ATM10における帳票300を用いた取引手順について、
図7〜9に示した顧客操作部14の表示画面を用いて説明する。
取引制御部220は、対人センサ制御180によって利用者が接近したことを検出すると、顧客操作部14に取引選択画面を表示し、利用者に、実行する取引を選択させる。
【0055】
図7は、顧客操作部の取引選択画面の一例である。
図7に示した取引選択画面410は、選択可能な取引に対応するボタン411〜416を表示する。
図7の例では、預け入れ411、残高照会412、暗証番号変更413、引き出し414、通帳記入415及び帳票取扱い416の各ボタンが表示され、取引制御部220は押下されたボタンに対応する取引を行う。
【0056】
取引制御部220は、キー入力処理部223を介して帳票取扱い416が押下されたことを検出し、帳票取引処理を開始する。帳票取引処理では、帳票のセットを利用者に促す帳票セット指示画面を顧客操作部14に表示する。
【0057】
図8は、顧客操作部の帳票セット指示画面の一例である。
図8に示した帳票セット指示画面420は、帳票のセットを指示するメッセージとともに、案内画面421と、確認ボタン423が表示される。
【0058】
案内画面421では、読取対象の帳票300を読取台12にセットしたときの帳票位置422を点線で示している。確認ボタン423は、帳票300をセットする利用者が帳票300の位置を確認した後に押下するボタンである。
【0059】
利用者は、確認ボタン423を押下して、案内画面421のように帳票300を読取台12にセットする。なお、帳票セット後に確認ボタン423を押下するようにしてもよい。
【0060】
取引制御部220は、キー入力処理部223を介して確認ボタン423が押下されたことを検出し、帳票読取処理を開始する。取引制御部220は、読取制御部210に帳票300の読取要求を出力し、読取制御部210はスキャナ13に対し帳票300の読み取りを指示する。スキャナ13は、帳票300のOCR情報320の画像を撮像し、文字認識処理を行って文字認識した結果を読取情報として読取制御部210に出力する。読取制御部210は、取得した読取情報に基づいて取引情報を検出し、読取制御部210に出力する。帳票300のOCR情報320には、「収納機関番号」、「お客様番号」及び「確認番号」の取引番号が印刷されており、読取制御部210は取引情報としてこの取引番号を検出する。読取制御部210は、取引情報に基づいて顧客操作部14に取引内容表示画面を表示する。例えば、最初に読み取った取引番号を顧客操作部14に表示し、利用者が取引番号を確認した後、ホスト間通信制御部221を介して関連情報を取得するとしてもよい。「収納機関番号」に対応する収納機関名や「お客様番号」に対応するお客様名を顧客操作部14に表示する場合には、ホストに問い合わせ、これらの情報を取得する。
【0061】
図9は、顧客操作部の取引内容表示画面の一例である。
図9に示した取引内容表示画面430は、帳票300から読み取った取引情報と、ホストから取得した情報とに基づく取引内容と、取消ボタン431と、確認ボタン432と、が表示される。取引内容表示画面430は、利用者が取引番号の確認を行った後に表示するとしてもよいし、取引番号の確認をせずに表示するとしてもよい。
【0062】
取消ボタン431は、取引内容が異なる等の理由で取引を中断する場合に利用者が押下する。取消ボタン431が押下されたとき、取引制御部220は、取引処理を中断する。
確認ボタン432は、取引内容の取引を承認する場合に利用者が押下する。確認ボタン432が押下されたとき、取引制御部220は、表示した取引内容で取引を実行する。
【0063】
このように、利用者は、取引選択として帳票取扱い416を選択し、顧客操作部14に表示される案内に従って帳票を読取台12にセットするだけで、煩わしいキー入力をすることなく、帳票を用いた取引をATM10で行うことができる。
【0064】
次に、帳票を用いた取引に関し、ATM10が行う処理について、フローチャートを用いて説明する。
図10は、ATMの帳票取引処理の手順を示したフローチャートである。
【0065】
ここでは、
図7に示した取引選択画面410において利用者が帳票取扱い416を選択した後の処理について説明する。帳票取扱い416が押下されたことにより、取引制御部220は、帳票取引処理を開始する。
【0066】
[ステップS01]取引制御部220は、
図8に示した帳票セット指示画面420を顧客操作部14に表示し、利用者に帳票セットを指示する。
利用者は、帳票セット指示画面420の案内画面421を参照して確認ボタン423を押下し、帳票300を読取台12にセットする。
【0067】
[ステップS02]取引制御部220は、利用者が確認ボタン423を押下したか否かをチェックする。取引制御部220は、確認ボタン423の押下が検出されたときは処理をステップS03に進め、押下が検出されないときは待ち状態を継続する。
【0068】
[ステップS03]取引制御部220は、確認ボタン423が押下されたので、読取台12にセットされた帳票について帳票読取処理を開始する。帳票読取処理の詳細は後述する。帳票読取処理によって、取引制御部220は、帳票300から読み取った読取情報に基づく取引情報を得る。取引情報には、「収納機関番号」、「お客様番号」及び「確認番号」の取引番号が含まれる。
【0069】
[ステップS04]取引制御部220は、ステップS03で取得した取引番号を顧客操作部14に表示する。また、取引制御部220は、同じ画面に確認ボタンと取消ボタンとを表示し、利用者に確認を促す。また、読み取りのため読取台12にセットした帳票300を読取台12から撤去し、受け取るように促してもよい。
【0070】
[ステップS05]取引制御部220は、ホスト間通信制御部221を動作させて取引番号をホストへ送信し、取引が開始されたことを通知する。このとき、ホストから取引番号に対応する情報を取得するとしてもよい。
【0071】
[ステップS06]取引制御部220は、利用者が確認ボタンを押下して取引番号を承認したのか、取消ボタンを押下して取引番号を承認しなかったのかを確認する。取引制御部220は、利用者が取引番号を承認したときは、処理をステップS08に進め、利用者が取引番号を承認しなかったときは、処理をステップS07に進める。
【0072】
[ステップS07]取引制御部220は、利用者が取引番号を承認しなかったときは、帳票再セット指示を顧客操作部14に表示し、処理をステップS02に戻す。
[ステップS08]取引制御部220は、利用者が取引番号を承認したときは、ホスト間通信制御部221を介してホストから取引に関する情報を取得し、
図9に示した取引内容表示画面430を顧客操作部14に表示する。
【0073】
[ステップS09]取引制御部220は、利用者が取引内容表示画面430の確認ボタン432を押下したか否かを確認する。取引制御部220は、利用者が確認ボタン432を押下したことを検出したときは、処理をステップS10に進め、押下したことを検出できなかったときは処理をステップS11に進める。
【0074】
[ステップS10]取引制御部220は、利用者が取引内容表示画面430の確認ボタン432を押下し、取引内容を承認したときは、この取引内容に沿って請求金額を収納する収納処理を実行し、処理をステップS12に進める。収納処理の詳細は後述する。
【0075】
[ステップS11]取引制御部220は、利用者が取引内容表示画面430の取消ボタン431を押下したか否かを確認する。取引制御部220は、利用者が取消ボタン431を押下して取引を中断するときは、ステップS10の収納処理を行わず、処理をステップS12に進める。取引制御部220は、利用者が取消ボタン431を押下していないときは、処理をステップS09に戻し、ボタン操作の有無を確認する。
【0076】
[ステップS12]取引制御部220は、収納処理が終了、または、中断されたので、帳票取引処理を終了するため、顧客操作部14に媒体受取画面を表示する。媒体受取画面は、利用者に対し、レシート媒体を受け取るように促す画面である。
【0077】
[ステップS13]取引制御部220は、ホスト間通信制御部221を介してホストに対し取引終了を送信する。
[ステップS14]取引制御部220は、取引が終了したことを通知する取引終了画面を顧客操作部14に表示する。
【0078】
なお、
図10及び
図11、12に示すフローチャートは現金のみによる決済を説明したものである。決済手段はキャッシュカード等による預金引き落としとしてもよいが図中では省略する。
【0079】
次に、ステップS03の帳票読取処理について説明する。帳票読取処理は、取引制御部22が読取制御部210に読取要求を出力して処理が開始される。
図11は、帳票読取処理の手順を示したフローチャートである。
【0080】
[ステップS31]読取制御部210では、スキャナ制御部211が、通信部213経由でスキャナ13に対して読取台12上の帳票300の読み取りを指示する。
[ステップS32]スキャナ13は、通信部134を介して読取指示を取得する。撮像制御部132が、撮像部131を動作させて帳票300の画像を取得する。取得した画像データは、文字認識部133に送られ、文字認識部133は、読取対象であるOCR情報320の画像データを切り出す。
【0081】
[ステップS33]文字認識部133は、切り出したOCR情報320の画像データに文字認識処理を施し、認識した文字列からなる読取情報を生成する。文字認識部133は、読取情報を通信部134経由で読取制御部210に送信する。
【0082】
[ステップS34]読取制御部210では、通信部213経由で読取情報を取得する。読取情報処理部212は、読取情報に含まれるチェックデジットを用いて読取情報を検査する。
【0083】
[ステップS35]読取情報処理部212は、チェックデジット検査の結果がOKであるか否かを判定する。読取情報処理部212は、検査結果がOKであれば、処理をステップS36に進め、検査結果がOKでなければ、ステップS31に戻って再読み取りを指示する。
【0084】
[ステップS36]読取情報処理部212は、検査結果がOKであるので、読取情報は正常であると判定し、読取情報から取引番号を検出する。読取情報処理部212は、検出した取引番号を取引制御部220に出力し、処理を終了する。
【0085】
次に、ステップS10の収納処理について説明する。
図12は、収納処理の手順を示したフローチャートである。
取引制御部220は、取引内容が利用者によって承認されたので、取引内容に基づいて収納処理を行う。
【0086】
[ステップS101]取引制御部220は、入出金制御部224に指示し、請求金額の入金を受け付ける。入出金制御部224は、紙幣処理ユニット160を動作させ、利用者による請求金額の入金を待つ。入出金制御部224は、紙幣処理ユニット160が計数した入金額が請求金額に達したことを検出し、処理をステップS102に進める。
【0087】
[ステップS102]入出金制御部224は、紙幣処理ユニット160が計数した入金額を入金内容として取引制御部220に通知する。取引制御部220は、入出金制御部224経由で取得した入金内容を顧客操作部14に表示し、利用者に確認を求める。
【0088】
[ステップS103]取引制御部220は、利用者が入金内容を確認し、表示された入金内容を承認したか否かをチェックする。例えば、入金内容を表示する画面に確認ボタンを用意し、確認ボタンが押下されたか否かで承認されたか否かを判定する。入金内容が承認されたときは、処理をステップS104に進め、承認されなかったときは処理をステップS106に進める。
【0089】
[ステップS104]取引制御部220は、利用者によって入金内容が承認されたときは、紙幣処理ユニット160内の紙幣から請求金額に相当する現金を装置内に収納する。
[ステップS105]取引制御部220は、レシート発行制御部225に指示し、取引内容を表したレシートを発行させ、カード/レシート処理ユニット150からレシートを排出する。また、取引制御部220は、このとき釣銭があれば、釣銭を利用者に返却し、処理を終了する。
【0090】
[ステップS106]取引制御部220は、利用者によって入金内容が承認されなかったときは、請求金額の返金を行う。取引制御部220は、入出金制御部224に指示し、紙幣処理ユニット160内の紙幣を利用者に返却する。
【0091】
[ステップS107]入出金制御部224は、利用者による紙幣処理ユニット160内の現金抜き取りが完了したという通知を紙幣処理ユニット160から受け取るまで待つ。入出金制御部224を介して紙幣処理ユニット160による現金抜き取り完了の通知を受け取った取引制御部220は、取引を終了する。
【0092】
ATM10の各部において上記の処理手順が実行されることにより、帳票を用いた取引において利用者が取引情報を手入力する操作が必要なくなる。これにより、操作性が向上し、利用者の負担も軽減される。
【0093】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、取引装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0094】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0095】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0096】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【0097】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。