特許第6194299号(P6194299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194299
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   F24F11/02 F
   F24F11/02 102A
   F24F11/02 P
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-191184(P2014-191184)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-61518(P2016-61518A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】岡田 覚
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−052341(JP,A)
【文献】 特開平06−074519(JP,A)
【文献】 特開2002−013776(JP,A)
【文献】 特開2004−036993(JP,A)
【文献】 特開2006−029694(JP,A)
【文献】 特開2011−247436(JP,A)
【文献】 実開昭55−054835(JP,U)
【文献】 米国特許第4706882(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室内機と、
前記複数の室内機の各々において雰囲気温度を検出する温度センサと、
前記複数の室内機が各々の雰囲気温度の変化特性に応じて分類される複数の特性値演算グループの各々において前記温度センサの検出値から温度特性値を算出し、前記複数の室内機が分類される複数の起動制御グループの各々において相互に異なる暖房起動時刻を設定する起動制御の実行要否を判定するための温度判定値を、前記複数の特性値演算グループの温度特性値を用いて算出する制御装置と、
を備える、
空調システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記複数の特性値演算グループの温度特性値から前記複数の起動制御グループの各々の温度特性値を設定し、前記複数の起動制御グループにおいて前記温度特性値が小さくなることに伴い前記暖房起動時刻を早める傾向に変化させることによって前記複数の起動制御グループの起動順序を設定する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
所定の暖房対象期間内における1つ以上の特性値演算タイミングの各々において前記複数の特性値演算グループの温度特性値における最小の温度特性値を抽出し、前記最小の温度特性値の抽出履歴による前記最小の温度特性値の時系列データにおける最小値を用いて前記温度判定値を設定する、
請求項1または請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
複数の異なる前記温度判定値を用いて複数の異なる前記起動制御の実行要否を相互に異なる判定時刻に判定する、
請求項1から請求項3の何れか1つに記載の空調システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
所定の暖房対象期間内に設けられる判定値演算期間において前記温度判定値を算出し、前記所定の暖房対象期間内の前記判定値演算期間以外の期間において前記温度判定値を用いて前記起動制御の実行要否を判定する、
請求項1から請求項4の何れか1つに記載の空調システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記温度判定値が小さくなることに伴い前記判定時刻を早める傾向に変化させる、
請求項4に記載の空調システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記複数の特性値演算グループの温度特性値と、少なくとも1つの温度パラメータとを用いて、前記複数の異なる前記温度判定値を設定する、
請求項4に記載の空調システム。
【請求項8】
前記判定値演算期間は、前記所定の暖房対象期間内において相対的に気温の低下が小さい期間である、
請求項5に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の室内機の全体における消費電力のピーク値が増大することを抑制するために、停止状態の複数の室内機を相互に異なる時刻に起動する空調システムがある。しかしながら、各室内機の起動時刻を早める傾向に変化させると、運転時間が長くなることに伴って、総消費電力が増大する可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−29694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、複数の室内機の運転状態に応じて消費電力のピーク値および総消費電力の増大を適正に抑制することができる空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の空調システムは、複数の室内機と、複数の温度センサと、制御装置とを持つ。複数の温度センサの各々は、複数の室内機の各々において雰囲気温度を検出する。制御装置は、複数の特性値演算グループの各々において温度センサの検出値から温度特性値を算出する。複数の特性値演算グループは、複数の室内機が各々の雰囲気温度の変化特性に応じて分類される。制御装置は、複数の起動制御グループの起動制御の実行要否を判定するための温度判定値を、複数の特性値演算グループの温度特性値を用いて算出する。複数の起動制御グループは複数の室内機が分類される。複数の起動制御グループの起動制御は、複数の起動制御グループの各々において相互に異なる暖房起動時刻を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の空調システムの構成を示す図。
図2】実施形態の空調システムの構成を示す図。
図3】実施形態の空調システムの各階の特性値演算グループの温度特性値の変化と、第1判定時刻での第1温度判定値と、第2判定時刻での第2温度判定値との一例を示す図。
図4】実施形態の空調システムの各階の暖房起動時の消費電力の変化と、暖房起動時刻との一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の空調システムを、図面を参照して説明する。
【0008】
実施形態の空調システム10は、図1および図2に示すように、複数の冷媒配管系統に接続される複数の室内機11を備えている。空調システム10は、複数の冷媒配管系統の各々において少なくとも1つ以上の室内機11を備えている。複数の室内機11の各々は、雰囲気の温度(例えば、各室内機11が内部に吸い込む雰囲気の温度など)を検出する温度センサ12を備えている。空調システム10は、空調システム10を統括的に制御する制御装置13を備えている。
実施形態の空調システム10は、図1に示すように、適宜の建物、例えば7階建ての建物1に設置されている。空調システム10は、建物1の各階(F1〜F7)に複数の室内機11を備えている。
【0009】
複数の冷媒配管系統の各々は、少なくとも1つの室外機(図示略)と、少なくとも1つの室内機11と、冷媒の流路を形成する冷媒流通配管(図示略)と、を備えている。室外機は、例えば、圧縮機(図示略)、室外熱交換器(図示略)、アキュムレータ(図示略)、および室外送風装置(図示略)などの機器を備えている。室内機11は、例えば、減圧装置(図示略)、室内熱交換器(蒸発器)、および室内送風装置(図示略)などの機器を備えている。冷媒流通配管は、主にガス冷媒が流通するガス側配管(図示略)と、主に液冷媒が流通する液側配管と、を備えている。室内機11および室外機の複数の機器は、冷媒流通配管によって接続されることによって冷媒を循環させる冷凍サイクルを形成する。
複数の室内機11の各々の温度センサ12は、制御装置13に接続されている。各温度センサ12は、空間X内における各室内機11の周辺領域の温度を検出し、検出した温度の信号を制御装置13に出力する。
【0010】
複数の室内機11は、複数の冷媒配管系統の各々に応じて分類されるとともに、制御装置13との間の信号伝送における複数の信号伝送系統の各々に応じて分類される。例えば建物1の各階には、図2に示すように、第1冷媒配管系統GA、第2冷媒配管系統GB、および第3冷媒配管系統GCの3つの冷媒配管系統が設けられている。第1冷媒配管系統GAは、第1信号伝送系統R1および第2信号伝送系統R2の2つの信号伝送系統を備えている。第2冷媒配管系統GBは、第3信号伝送系統R3および第4信号伝送系統R4の2つの信号伝送系統を備えている。第3冷媒配管系統GCは、第5信号伝送系統R5、第6信号伝送系統R6、および第7信号伝送系統R7の3つの信号伝送系統を備えている。
【0011】
第1信号伝送系統R1は、例えば、エレベータホールEVに配置される1つの室内機11を備えている。第2信号伝送系統R2は、例えば、居室WRの第1領域において同一の制御信号により制御される4つの室内機11を備えている。第3信号伝送系統R3は、例えば、居室WRの第2領域において同一の制御信号により制御される3つの室内機11を備えている。第4信号伝送系統R4は、例えば、居室WRの会議室MRに配置される1つの室内機11を備えている。第5信号伝送系統R5は、例えば、居室WRの個室PRに配置される1つの室内機11を備えている。第6信号伝送系統R6は、例えば、居室WRの第3領域において同一の制御信号により制御される3つの室内機11を備えている。第7信号伝送系統R7は、例えば、居室WRの第4領域において同一の制御信号により制御される4つの室内機11を備えている。
【0012】
複数の室内機11は、複数の冷媒配管系統および複数の信号伝送系統に加えて、所定の暖房対象期間内における各々の雰囲気温度の変化特性に応じて複数の特性値演算グループに分類されている。例えば図1に示す建物1においては、建物1の各階(F1〜F7)に異なる特性値演算グループが設定されている。例えば図2に示す建物1の各階においては、雰囲気温度の変化特性がほぼ等しいと認定される居室WRの第1領域、第2領域、第3領域、および第4領域に配置される複数の室内機11によって1つの特性値演算グループが構成されている。つまり、居室WRの第1領域、第2領域、第3領域、および第4領域から形成される特性値演算グループに対して、エレベータホールEV、会議室MR、および個室PRは除外されている。エレベータホールEVは、居室WRの第1〜第4領域に比べて、例えば、階段スペースまたは休憩室の換気などによる外気の影響が大きい。会議室MRおよび個室PRは、居室WRの第1〜第4領域に比べて、例えば、使用される時間が不規則であり、雰囲気温度の変化が大きい。これにより建物1の各階(F1〜F7)に設けられる特性値演算グループは、第2信号伝送系統R2、第3信号伝送系統R3、第6信号伝送系統R6、および第7信号伝送系統R7の複数の室内機11を備えている。
【0013】
制御装置13は、必要に応じて、複数の室内機11の暖房起動時における消費電力のピーク値を抑制するための予熱起動制御を実行する。制御装置13は、複数の室内機11の温度センサ12の検出値に基づき、予熱起動制御の実行要否を判定するための温度判定値を設定する。制御装置13は、複数の室内機11の温度センサ12の検出値に基づき、予熱起動制御の実行時における複数の室内機11の起動順序を設定する。
以下に、制御装置13の動作の詳細について説明する。
【0014】
制御装置13は、各特性値演算グループにおいて複数の室内機11の温度センサ12の検出値から温度特性値を算出する。制御装置13は、例えば、建物1の各階(F1〜F7)に設けられる特性値演算グループにおいて、各特性値演算グループに含まれる複数の温度センサ12の検出値を用いて平均値を算出する。制御装置13は、所定の暖房対象期間内における1つ以上の特性値演算タイミングの各々において、適宜の時間間隔における各温度センサ12の検出値を用いて平均値を算出する。制御装置13は、算出した平均値を特性値演算グループの雰囲気温度の変化特性を示す温度特性値とする。
【0015】
制御装置13は、所定の暖房対象期間内における複数の特性値演算タイミングの各々において、複数の特性値演算グループの温度特性値における最小の温度特性値を抽出する。制御装置13は、各特性値演算タイミングにおける最小の温度特性値の抽出履歴から、最小の温度特性値の時系列データにおける最小値を取得する。制御装置13は、取得した最小値を基準温度として、所定の起動制御の実行要否を判定するための温度判定値を基準温度から算出する。
【0016】
制御装置13は、例えば、所定の暖房対象期間(12月〜3月など)が始まると連日の終日に亘って所定時間(10分〜30分における所定時間など)周期で特性値演算タイミングを設定する。制御装置13は、各特性値演算タイミングにおいて、建物1の各階(F1〜F7)の特性値演算グループの温度特性値を算出し、算出した温度特性値から最小の温度特性値を抽出する。例えば建物1において、最も温度が低下しやすい7階(7F)の特性値演算グループの温度特性値などが最小の温度特性値として抽出される。制御装置13は、各特性値演算タイミングにおいて、所定の暖房対象期間の開始時から現時点までにおける最小の温度特性値の抽出履歴に基づき、最小の温度特性値の時系列データにおける最小値を取得する。制御装置13は、所定の暖房対象期間の開始時から現時点までの間に抽出した最小の温度特性値のうちで最も小さな温度特性値を基準温度とする。つまり、制御装置13は、所定の暖房対象期間において随時に基準温度を温度特性値の最小値によって更新する。
【0017】
所定の起動制御は、複数の室内機11が分類される複数の起動制御グループの各々において、温度特性値に応じて相互に異なる暖房起動時刻を設定する予熱起動制御である。制御装置13は、予熱起動制御の暖房起動時刻を、通常の起動制御(例えば、全ての室内機11を同時に起動する制御など)の暖房起動時刻よりも早めるとともに、各起動制御グループの暖房起動時刻を相互に異なる時刻とする。複数の起動制御グループの各々は、同一の制御が実行される複数の室内機11を備えている。複数の起動制御グループは、例えば、複数の特性値演算グループと同一である。つまり制御装置13は、各特性値演算グループの複数の室内機11に対して、各特性値演算グループの温度特性値に応じた同一の暖房起動時刻を設定する。
【0018】
制御装置13は、基準温度を用いて、複数の異なる予熱起動制御に対応する複数の異なる温度判定値を算出する。制御装置13は、例えば、2つの異なる第1予熱起動制御および第2予熱起動制御に対応する2つの異なる第1温度判定値C1および第2温度判定値C2を設定する。制御装置13は、例えば、基準温度(例えば15℃)から所定の第1温度パラメータ(例えば2℃)を減算することによって第1温度判定値C1(例えば13℃)を設定する。制御装置13は、例えば、基準温度(例えば15℃)から所定の第1温度パラメータよりも小さい所定の第2温度パラメータ(例えば0℃)を減算することによって第2温度判定値C2(例えば15℃)を設定する。これにより制御装置13は、第1温度判定値C1を第2温度判定値C2よりも小さくする。
また、制御装置13は、複数の温度判定値において各温度判定値が小さくなることに伴い、各予熱起動制御の実行要否を判定する判定時刻を早める傾向に変化させる。制御装置13は、例えば、第2温度判定値C2よりも小さい第1温度判定値C1に対応する第1予熱起動制御に対しては、第2温度判定値C2に対応する第2予熱起動制御の判定時刻(第2判定時刻T2)よりも早めの判定時刻(第1判定時刻T1)を設定する。
【0019】
制御装置13は、例えば、第1予熱起動制御および第2予熱起動制御において、相対的に小さな第1温度判定値C1に対応する第1予熱起動制御を、冬期の長期休暇明けの起動時のように消費電力のピーク値が相対的に最も大きく増大する場合に実行する。また、制御装置13は、例えば、相対的に大きな第2温度判定値C2に対応する第2予熱起動制御を、週明けの起動時などのように消費電力のピーク値が相対的に小さいながらも増大する場合に実行する。
【0020】
制御装置13は、各温度判定値を用いて各予熱起動制御の実行要否を判定する際には、各判定時刻において、複数の起動制御グループ(例えば、複数の特性値演算グループに相当)の温度特性値における最小の温度特性値が各温度判定値よりも小さいか否かを判定する。制御装置13は、最小の温度特性値が各温度判定値以上の場合には、各予熱起動制御の実行を禁止する。制御装置13は、最小の温度特性値が各温度判定値よりも小さい場合には、各予熱起動制御の実行を許可する。
制御装置13は、例えば、2つの異なる第1温度判定値C1および第2温度判定値C2を設定している場合、先ず、第2温度判定値C2よりも小さい第1温度判定値C1に対応する第1判定時刻T1において、複数の起動制御グループの温度特性値を算出する。これにより制御装置13は、図3に示すように、例えば建物1の各階(F1〜F7)の特性値演算グループ(起動制御グループに相当)の温度特性値を算出する。そして、制御装置13は、複数の起動制御グループの温度特性値における最小の温度特性値が第1温度判定値C1よりも小さいか否かを判定する。制御装置13は、最小の温度特性値が第1温度判定値C1よりも小さい場合には、第1予熱起動制御を実行する。この場合に制御装置13は、第2予熱起動制御の実行要否は判定しない。
【0021】
一方、制御装置13は、最小の温度特性値が第1温度判定値C1以上の場合には、第1予熱起動制御の実行を禁止する。次に、制御装置13は、第1温度判定値C1よりも大きい第2温度判定値C2に対応する第2判定時刻T2(つまり第1判定時刻T1よりも遅い第2判定時刻T2)において、複数の起動制御グループの温度特性値を算出する。これにより制御装置13は、例えば建物1において、建物1の各階(F1〜F7)の特性値演算グループ(起動制御グループに相当)の温度特性値を算出する。そして、制御装置13は、複数の起動制御グループの温度特性値における最小の温度特性値が第2温度判定値C2よりも小さいか否かを判定する。制御装置13は、最小の温度特性値が第2温度判定値C2よりも小さい場合には、第2予熱起動制御を実行する。
一方、制御装置13は、最小の温度特性値が第2温度判定値C2以上の場合には、第2予熱起動制御の実行を禁止する。この場合に制御装置13は、第1予熱起動制御および第2予熱起動制御は実行せず、通常の起動制御(例えば、全ての室内機11を同時に起動する制御など)を実行する。
【0022】
制御装置13は、各予熱起動制御の実行時には、複数の起動制御グループにおいて温度特性値が小さくなることに伴い暖房起動時刻を早める傾向に変化させることによって複数の起動制御グループの起動順序を設定する。制御装置13は、各判定時刻において、複数の起動制御グループにおいて温度特性値が小さい起動制御グループから先に(雰囲気温度が低い順に)暖房を起動する。制御装置13は、例えば、建物1の各階(F1〜F7)の特性値演算グループの温度特性値が小さい順に、7階(F7)、2階(F2)、6階(F6)、5階(F5)、4階(F4)、3階(F3)、1階(F1)となる場合、この順序に暖房を起動する。制御装置13は、図4に示すように、各階(F1〜F7)の暖房起動時刻を、順次、4:30(F7)、5:00(F2)、5:30(F6)、6:00(F5)、6:30(F4)、7:00(F3)に設定する。
【0023】
制御装置13は、複数の異なる予熱起動制御の各々において、各予熱起動制御の開始時刻(つまり、最初に起動する起動制御グループの暖房起動時刻)と、複数の起動制御グループの暖房起動時刻の時間間隔との、少なくとも何れかを相互に異なるように設定する。制御装置13は、暖房運転の対象空間に予め設定されている所定時刻(例えば、居室WRにおける執務開始時刻など)以前までに各予熱起動制御を完了するように、各予熱起動制御の開始時刻および判定時刻を設定する。
【0024】
以上説明した実施形態によれば、予熱起動制御の実行要否を判定するための温度判定値を、複数の特性値演算グループの温度特性値を用いて算出する制御装置13を持つことにより、各温度センサ12の検出値から温度判定値を容易に設定することができる。複数の室内機11が各々の雰囲気温度の変化特性に応じて分類される複数の特性値演算グループの温度特性値を用いる制御装置13を持つので、温度判定値を設定する際の誤差要因を排除して温度判定値を適正に設定することができる。温度判定値を適正に設定する制御装置13を持つので、予熱起動制御の実行要否を適正に判定することができ、複数の室内機11の運転状態に応じて、消費電力のピーク値の増大および総消費電力の増大を、適正に抑制することができる。
【0025】
さらに、複数の起動制御グループにおいて温度特性値が小さくなることに伴い暖房起動時刻を早める傾向に変化させることによって複数の起動制御グループの起動順序を設定する制御装置13を持つので、消費電力のピーク値の増大を抑制することができる。制御装置13を持つので、各起動制御グループの複数の室内機11の実運転状況および雰囲気温度の変化特性に応じて適切な起動順序を設定することができる。
【0026】
複数の特性値演算グループにおける最小の温度特性値の抽出履歴から最小値を用いて温度判定値を設定する制御装置13を持つので、既に発生した消費電力のピーク値に対応する温度特性値の最小値を有効に用いて、温度判定値を適正に設定することができる。
さらに、複数の異なる温度判定値に応じて判定時刻を設定する制御装置13を持つので、温度判定値の大小、つまり各室内機11の消費電力の大小に応じて適正な予熱起動制御を行なうことができる。
【0027】
さらに、温度判定値が小さくなることに伴い判定時刻を早める傾向に変化させる制御装置13を持つので、温度判定値の大小に応じた適正な予熱起動制御を適正なタイミングで実行することができる。
少なくとも1つの温度パラメータを用いて、複数の異なる温度判定値を設定する制御装置13を持つので、複数の特性値演算グループの温度特性値から算出する1つの基準温度によって、複数の異なる温度判定値を容易に設定することができる。
【0028】
以下、実施形態の変形例について説明する。
上述した実施形態では、建物1の各階(F1〜F7)に1つの特性値演算グループを設けるとしたが、これに限定されない。各階(F1〜F7)に複数の特性値演算グループが設けられてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、複数の起動制御グループは、複数の特性値演算グループと同一であるとしたが、これに限定されない。
例えば、1つの特性値演算グループが複数の起動制御グループを備えてもよい。例えば図2に示す第2信号伝送系統R2、第3信号伝送系統R3、第6信号伝送系統R6、および第7信号伝送系統R7の複数の室内機11を備える1つの特性値演算グループに、2つの第1起動制御グループおよび第2第1起動制御グループが設定されてもよい。第1起動制御グループは、例えば、第2信号伝送系統R2および第7信号伝送系統R7の複数の室内機11を備えてもよい。第2起動制御グループは、例えば、第3信号伝送系統R3および第6信号伝送系統R6の複数の室内機11を備えてもよい。制御装置13は、第1起動制御グループおよび第2第1起動制御グループの各々で相互に異なる暖房起動時刻を、例えば特性値演算グループの温度特性値に応じて設定される単一の暖房起動時刻から適宜の演算によって設定してもよい。
【0030】
上述した実施形態では、制御装置13は、複数の温度センサ12の検出値の平均値を温度特性値としたが、これに限定されない。複数の検出値の平均値の代わりに、複数の検出値の中央値または最頻値などを温度特性値としてもよい。
【0031】
上述した実施形態では、制御装置13は、所定の暖房対象期間が始まると連日の終日に亘って所定時間周期で特性値演算タイミングを設定するとしたが、これに限定されない。制御装置13は、例えば、空調システム10の熱的な運転が停止される期間(平日の夜間から早朝までの期間、休日の終日など)において特性値演算タイミングを設定してもよい。
【0032】
上述した実施形態では、制御装置13は、所定の暖房対象期間内に設けられる判定値演算期間において温度判定値を算出し、所定の暖房対象期間内の判定値演算期間以外の期間において温度判定値を用いて各予熱起動制御の実行要否を判定してもよい。制御装置13は、例えば、暖房対象期間の開始時から冬期休暇前までの判定値演算期間において温度判定値を算出し、冬期休暇後の期間において温度判定値を用いて各予熱起動制御の実行要否を判定してもよい。制御装置13は、所定の暖房対象期間内において相対的に気温の低下が小さい期間に温度判定値を算出することにより、相対的に気温の低下が大きい期間における消費電力のピーク値を、判定値演算期間における消費電力のピーク値並みに抑制することができる。
【0033】
上述した実施形態では、制御装置13は、各室内機11における消費電力と温度センサ12の検出値との対応関係に応じて温度判定値を補正してもよい。各特性値演算グループの温度特性値と、各特性値演算グループにおける複数の室内機11の消費電力との間には
相関があるので、より一層、適正な温度判定値を設定することができる。
【0034】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、予熱起動制御の実行要否を判定するための温度判定値を、複数の特性値演算グループの温度特性値を用いて算出する制御装置13を持つことにより、各温度センサ12の検出値から温度判定値を容易に設定することができる。複数の室内機11が各々の雰囲気温度の変化特性に応じて分類される複数の特性値演算グループの温度特性値を用いる制御装置13を持つので、温度判定値を設定する際の誤差要因を排除して温度判定値を適正に設定することができる。温度判定値を適正に設定する制御装置13を持つので、予熱起動制御の実行要否を適正に判定することができ、複数の室内機11の運転状態に応じて、消費電力のピーク値の増大および総消費電力の増大を、適正に抑制することができる。
さらに、複数の起動制御グループにおいて温度特性値が小さくなることに伴い暖房起動時刻を早める傾向に変化させることによって複数の起動制御グループの起動順序を設定する制御装置13を持つので、消費電力のピーク値の増大を抑制することができる。制御装置13を持つので、各起動制御グループの雰囲気温度の変化特性に応じて適切な起動順序を設定することができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
10…空調システム、11…室内機、12…温度センサ、13…制御装置
図1
図2
図3
図4