【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、蠕動ポンプは、長手方向の軸に沿って配置された、物質を輸送するための管を備える。蠕動ポンプは、管の締め付けを生じさせるために、回転可能なポンプ・ヘッドをさらに備える。ポンプ・ヘッドは、回転軸のまわりで回転可能とすることができる。
【0006】
蠕動ポンプは、医療用途に適用されるように構成することができる。好ましくは、蠕動ポンプは、薬剤、たとえば流体薬剤を輸送するように構成される。特にポンプは、ミクロ流体工学の分野で使用することができる。一例として、蠕動ポンプは、少量の流体を投薬するように構成することができる。ポンプは、きわめて敏感な物質を輸送するために使用することができる。輸送される物質は、たとえばインスリンなどの薬剤とすることができる。したがって、蠕動ポンプは薬物送達デバイスとして使用することができる。
【0007】
蠕動ポンプは、レセプタクルを備えることができる。レセプタクルは、輸送される物質を収容するカートリッジまたは容器を受けるように構成することができる。
【0008】
長手方向の軸に沿って管を配置することによって、管の取り扱いおよび位置決めを容易にすることができるため、管の交換が簡単かつ再現可能になり得る。これにより、たとえばポンプ・ヘッドに対する管の位置合わせ不良の危険性を低減することができる。このため、管の交換後の投薬精度を高めることができる。
【0009】
好ましくは、管は、少なくとも物質を輸送するために締め付けられるように構成された管のある区間において、長手方向の軸に沿って配置される。好ましくは、管はその全長を通して長手方向の軸に沿って配置される。好ましくは、管には湾曲した区間がない。特に管は、U字形の区間がないようにすることができる。
【0010】
好ましくは、ポンプは、物質が輸送方向に輸送されるように構成される。好ましくは、輸送方向は長手方向の軸に平行である。
【0011】
好ましくは、ポンプ・ヘッドは、管の長手方向の軸に沿って、特に輸送方向に沿って管の締め付けを生じさせる。それによって、輸送方向における物質の輸送を生じさせることができる。特にポンプ・ヘッドは、管の締め付けられた部分が長手方向の軸に沿って移動するように構成することができる。これにより、締め付けられた部分の前方で管に過圧をもたらすことが可能になり、それによって、輸送方向における物質の移動を生じさせることができる。
【0012】
好ましくは、ポンプ・ヘッドの回転軸は、長手方向の軸に垂直である。
【0013】
この場合、ポンプ・ヘッドの長手方向の軸の方向の寸法を小さくすることができるため、小型サイズの蠕動ポンプを実現することが可能である。
【0014】
ポンプ・ヘッドは、管を締め付けるために少なくとも1つの締め付け部材を備えることができる。
【0015】
特に、締め付け部材は、管を締め付けるために管と機械的に接触するように構成することができる。好ましくは、締め付け部材は、少なくとも管を締め付ける特定の時間に管を閉じるように構成することができる。好ましい実施形態では、締め付け部材は、管の長手方向の軸に沿って延びる区間で管を締め付ける。その区間は、管の第1の位置から管の第2の位置にわたることができる。好ましくは、締め付け部材は、管を第1の位置から第2の位置まで連続的に締め付け、それによって、締め付けられた部分を第1の位置から第2の位置まで移動させる。
【0016】
好ましい実施形態において、蠕動ポンプは、管を締め付けるとき、締め付け部材が管の上を転がりながら離れることができるように構成される。
【0017】
こうして、摩擦力を小さく保つことができる。それによって、管の軸変形または管の軸方向における変位を防止することができる。さらに、ポンプ・ヘッドを駆動するのに低い駆動力で十分とすることができ、したがって、駆動モータを小さく保つことができる。特に、締め付け部材と管の間の摩擦力は、滑り摩擦力より小さい転がり摩擦力とすることができる。一例として、締め付け部材は球形または円筒形の部材、たとえば球体またはローラを含むことができる。
【0018】
好ましくは、ポンプ・ヘッドは、ある一定の駆動速度で動作させるように構成される。それによって、ポンプ圧の変動が小さい状態で、ほとんど衝撃のない安定したポンピングを実現することができる。さらに、投薬精度を高めることができる。
【0019】
ポンプ・ヘッドは、締め付け部材を支持するための支持部材を備えることができる。好ましくは、ポンプ・ヘッドの回転によって支持部材も回転し、特にポンプ・ヘッドの回転軸のまわりで回転する。
【0020】
好ましい実施形態において、締め付け部材は支持部材によって、締め付け部材の支持部材に対する回転が可能であるように支持される。
【0021】
特に、締め付け部材は、ポンプ・ヘッドの回転軸から隔てて配置された他の回転軸のまわりで、支持部材に対して回転可能にすることができる。この他の回転軸は、締め付け部材の中心を通って延びることができる。この他の回転軸は、ポンプ・ヘッドの回転軸と平行にすることができる。好ましくは、締め付け部材は、ポンプ・ヘッドの回転軸のまわりと他の回転軸のまわりの両方で回転することができる。
【0022】
支持部材は、ディスクのような形を備えることができる。締め付け部材は、支持部材の外側周辺部の近くに位置付けることができる。締め付け部材は、軸によって支持部材の上に支持することができる。その軸は、締め付け部材を通って延びることができる。その軸は、支持部材と直接接触することができる。一実施形態において、支持部材は2つの部材を含む。部材のそれぞれが、軸の端部を支持することができる。締め付け部材は、支持部材の2つの部材の間に位置付けることができる。
【0023】
好ましい実施形態において、ポンプは、締め付け部材が回転軸に対して半径方向に移動できるように構成される。
【0024】
それによって、締め付け部材の回転軸に対する半径方向の位置の調節を可能にすることができる。特に、締め付け部材のポンプ・ヘッドの回転軸までの距離を調節可能にすることができる。
【0025】
締め付け部材は支持部材によって、半径方向における運動が可能になるように支持することができる。一例として、支持部材は、締め付け部材を支持するためのスロットを備えることができる。締め付け部材は、スロットの中で移動可能にすることができる。特に、締め付け部材は、軸をスロット内で案内することによって支持することができる。好ましくは、スロットは、締め付け部材の半径方向の運動が可能になるように半径方向に延びる。
【0026】
好ましい実施形態において、ポンプは、締め付け部材の管の長手方向の軸に沿った運動が可能になるように構成される。好ましくは、長手方向の軸に沿った運動は、少なくとも管のある区間に沿って可能にすることができる。特に、締め付け部材は、管に沿った直線運動を行うことができる。
【0027】
それによって、締め付け部材は管を締め付け、管の締め付けられた部分を長手方向の軸に沿って移動させることができる。好ましくは、締め付け部材が締め付けられる部分において管を締め付け、長手方向の軸に沿って延びる区間内のその締め付けられた部分では、管が閉じられるようにする。それによって、物質の逆流を防止することができる。
【0028】
好ましい実施形態において、蠕動ポンプは、締め付け部材の運動を案内するためのガイド部材を備える。
【0029】
特に、ガイド部材は、締め付け部材のポンプ・ヘッドの回転軸に対する半径方向の運動を制限することができる。特に、ガイド部材は、回転軸へ向かう半径方向の運動を制限することができる。
【0030】
好ましくは、ガイド部材は、ガイド部材とハウジングの間の相対運動を防止するようにポンプのハウジングに固定される。特に、ガイド部材は回転不能にすることができる。
【0031】
締め付け部材は軸によって支持することが可能であり、軸の半径方向の運動は、ガイド部材の機械的な止め具によって制限され得る。特に、軸がガイド部材に当接すると、軸の半径方向における運動、特にポンプ・ヘッドの回転軸へ向かう運動を妨げることができる。
【0032】
ガイド部材は、締め付け部材の長手方向の軸に沿った運動を案内するように構成することができる。
【0033】
特に、ガイド部材は、好ましくは締め付け部材によって締め付けられるように構成された管のある区間内において、締め付け部材を締め付け部材の軸方向に案内することができる。特に、締め付け部材の軸方向の運動の間、締め付け部材は管を締め付け、それによって管の締め付けられた部分を軸方向に変位させることができる。
【0034】
蠕動ポンプは、管を案内するための管ガイドをさらに備えることができる。
【0035】
特に、管は管ガイドの上に位置付けることができる。管ガイドは、管をポンプ内で位置決めする働きをすることができる。管は、管ガイドに取り付けることができる。一例として、管ガイドは、管がその中を進む長手方向の経路(grove)を備えることができる。管は、管ガイドとポンプ・ヘッドの間に位置することができる。
【0036】
ガイド部材は、管ガイドと協働して、締め付け部材の長手方向の軸に沿った運動を生じさせることができる。特に、ガイド部材は管ガイドに対して、締め付け部材の半径方向の位置が、ガイド部材によってある半径方向において、また管ガイドによって反対側の半径方向において制限されるように配置することができる。好ましくは、締め付け部材の半径方向の位置は、管のある区間に沿って、ガイド部材および管ガイドによって決定される。
【0037】
好ましくは、締め付け部材の軸方向の運動は、前述のように締め付け部材が移動できることによって可能になる。それにより、ポンプ・ヘッドの回転の間、締め付け部材の半径方向の位置を、締め付け部材の軸方向の運動が生じるように調節することができる。
【0038】
好ましい実施形態において、ガイド部材の周辺部は、管の長手方向の軸に平行に延びる直線区間を備える。
【0039】
特に、軸方向に移動して管を締め付けるとき、締め付け部材をその直線区間に沿って案内することができる。一例として、締め付け部材を支持するための軸が、ガイド部材の周辺部に沿って進むようにすることができる。軸が直線区間に沿って進み、特に直線区間に当接しているとき、締め付け部材は軸方向の運動について案内を受けることが可能である。
【0040】
さらに、ガイド部材の周辺部は、湾曲した区間を備えることができる。
【0041】
締め付け部材は、管を締め付けていないとき、その湾曲した区間に沿って進むことができる。特に、締め付け部材は、湾曲した区間に沿って進むとき、管の第2の位置から管の第1の位置へ戻るように輸送することができる。好ましくは、湾曲した区間は、締め付け部材の回転軸へ向かう半径方向の運動の範囲を定める。しかしながら、締め付け部材の反対側の半径方向における半径方向の運動は、許容することができる。
【0042】
蠕動ポンプは、複数の締め付け部材を備えることができる。
【0043】
好ましくは、締め付け部材は、ポンプ・ヘッドの支持部材の上に配置される。特に、締め付け部材は、支持部材の外側周辺部の近くに配置することができる。特に、締め付け部材は、相互に一定の距離のところに配置することができる。
【0044】
好ましくは、ポンプの動作中は常に、締め付け部材の少なくとも1つが、特にポンプを閉じるようにポンプを締め付ける。それにより、物質が輸送方向と反対の方向に逆流するのを防止することができる。したがって、締め付け部材は弁として働くことができる。
【0045】
好ましい実施形態において、蠕動ポンプは、主部分および交換部分を備える。交換部分は、主部分から着脱可能であるように構成することができる。
【0046】
交換部分は、定期的に交換しなければならない蠕動ポンプの要素を保持するように構成することができる。一例として、交換部分は管または針を保持することができる。好ましくは、交換部分によって保持される要素は、交換部分にあらかじめ組み付けられる。これによって、ポンプの部材の交換を簡単かつ迅速に行うことを可能にすることができる。交換部分は、交換部分を新しい交換部分に取り替えることができるように、処分可能に構成することができる。他の実施形態において、交換部分は、針または管などの個々の要素を別個に交換することが可能になり得るように構成することができる。
【0047】
好ましくは、交換部分は、管を案内するための管ガイドを備える。交換部分は、管を備えることができる。
【0048】
主本体は、ポンプ・ヘッドを備えることができる。さらに、主本体は、輸送される物質を収容するカートリッジまたは容器を受けるためのレセプタクルを備えることができる。
【0049】
蠕動ポンプは、少なくとも1つの針を備えることができる。一例として、交換部分は、少なくとも1つの針を保持するように構成することができる。
【0050】
特に、物質をポンプの投薬用の端部から投薬するために、針を設けることができる。針は、管と流体接続することができる。追加としてまたは別法として、ポンプは、管がそれによって新しい物質を提供される、少なくとも1つの針を備えることができる。特に、針はカートリッジまたは容器に挿入され、物質がカートリッジまたは容器から管の中に流入できるように構成することが可能である。
【0051】
本明細書で使用する用語「医薬」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0052】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0053】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0054】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0055】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0056】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0057】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0058】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0059】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は、免疫グロブリン(Ig)単量体(ただ1つのIg単位を含む)であり;分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのような5つのIg単位を有する五量体もあり得る。
【0060】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された、2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖から構成される「Y」字形の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり;それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖(heavy chain)および軽鎖(light chain)はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは、約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン・フォールドを有する。
【0061】
α、δ、ε、γおよびμで表される5つのタイプの哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖のタイプにより抗体のアイソタイプが定義され;これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体の中に見出される。
【0062】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり;αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるヒンジ領域とから構成される定常領域を有し;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体ではすべて同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0063】
哺乳類では、λおよびκで表される2つのタイプの免疫グロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は2つの連続するドメイン:1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は常に同一である2つの軽鎖を有し;哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλのうちの1つのタイプのみが存在する。
【0064】
すべての抗体の一般的な構造はきわめて類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決まる。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(Complementarity Determining Region:CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するため、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0065】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズは同等であるが、鎖間のジスルフィド結合を有する両方の重鎖のカルボキシル末端側の半分を含む第3のフラグメントは、結晶化可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、両方のFab片およびH−H鎖間のジスルフィド結合を含むヒンジ領域を包含する、単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して1本鎖の可変フラグメント(scFv)を形成することができる。
【0066】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0067】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0068】
以下の図面に関連する例示的な実施形態の説明から、他の特徴、改善点および方法が明らかになる。