特許第6194319号(P6194319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194319
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】電気機械式フライホイール格納システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/22 20060101AFI20170828BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20170828BHJP
   F16H 33/02 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H02K21/22 B
   H02K5/20
   F16H33/02 A
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-550418(P2014-550418)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-503897(P2015-503897A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】US2012071507
(87)【国際公開番号】WO2013101781
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】61/582,332
(32)【優先日】2011年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514318127
【氏名又は名称】ロトニックス ホンコン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】カレヴ,クロード,ミシェル
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−032900(JP,A)
【文献】 特開昭63−222804(JP,A)
【文献】 特開2004−194440(JP,A)
【文献】 特開2004−072980(JP,A)
【文献】 実開昭59−110391(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0134705(US,A1)
【文献】 米国特許第06624542(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/22
F16H 33/02
H02K 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側壁を画定する内側エンクロージャおよび外側壁を画定する外側エンクロージャと、
前記内側エンクロージャによって画定される前記内側壁と、前記外側エンクロージャによって画定される前記外側壁との間のシールドと、
前記シールドの周りにあって、前記外側エンクロージャの前記外側壁によって、包囲される隔壁と、
エネルギー変換ブロックと
備え、
前記エネルギー変換ブロックは、
電動発電機ステーターおよびステーターサポートを含むコアアセンブリと、
電動発電機ローター、フライホイールマスおよびハブを含むスピニングアセンブリと、
を有し、
前記ステーターサポートは、冷媒を格納システム内に導入するための冷媒吸入コンジットを内包し、
前記電動発電機ローターは前記電動発電機ステーターを包囲し、
前記内側エンクロージャは前記エネルギー変換ブロックを内包し、
前記外側エンクロージャは前記隔壁および前記内側エンクロージャを内包し、
前記ステーターサポートと、前記冷媒吸入コンジットとの間に、ステーターサポート流路が形成され、
前記外側エンクロージャの壁と前記隔壁との間に第1の環状流路が形成され、
前記隔壁と前記シールドとの間に第2の環状流路が形成され、
前記第1の環状流路の外径は前記外側エンクロージャの前記壁により仕切られ、
前記ステーターサポート流路、前記第1の環状流路、および、前記第2の環状流路は、格納システムの流体回路を構成し、
前記冷媒は、前記流体回路内をこの順で流れる、ことを特徴とする電気機械式フライホイール格納システム。
【請求項2】
前記内側エンクロージャの前記内側壁および前記外側エンクロージャの前記外側壁は同軸に配置され、
前記シールドは前記内側エンクロージャの周りに位置する、請求項1に記載の電気機械式フライホイール格納システム。
【請求項3】
前記シールドと前記内側エンクロージャとの間のギャップに設けられた熱伝達化合物をさらに備える、請求項2に記載の電気機械式フライホイール格納システム。
【請求項4】
前記隔壁は円筒形の壁面を有し、前記円筒形の壁面の一端は内側に向いたシールリングを有する、請求項に記載の電気機械式フライホイール格納システム。
【請求項5】
ひとつ以上の冷媒コンジットが前記シールリングを貫通し、冷媒用の流路を与える、請求項に記載の電気機械式フライホイール格納システム。
【請求項6】
前記電動発電機ステーターは内側エンクロージャからぶら下がっている、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械式フライホイール格納システム。
【請求項7】
前記スピニングアセンブリは、電動発電機ローターを含み、回転軸を画定し、
前記ステーターのフィールド巻き線は前記回転軸の周りに位置し、前記ステーターのアーマチュア巻き線は前記回転軸線と垂直な軸線を包囲するように配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械式フライホイール格納システム。
【請求項8】
前記内側エンクロージャは真空バリアを与える、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械式フライホイール格納システム。
【請求項9】
前記内側エンクロージャは少なくともひとつの真空ポンプを有する、請求項に記載の電気機械式フライホイール格納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、“電気機械式フライホイール容器システム”と題する、2011年12月31日出願の米国仮特許出願第61/582,332号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本願発明は、電気機械式技術分野に関する。特に、電気機械式フライホイールの排気、安全装置、熱伝達、およびサポート機能を可能とする、複数壁の格納システムに関する。
【背景技術】
【0003】
周知のフライホイールは、運動エネルギーを蓄積する。このエネルギーを解放するよう要求されると、フライホイールは運動エネルギーが減少するに従い遅くなる。フライホイール駆動および電気機械式により駆動されるフライホイールも周知である。数十年の間、この電気機械的装置が作られ、さまざまな動作を達成してきた。しかし、最も進化した商業的装置でさえ、性能がよりよい代替品よりコストが高く、かつ、有意な動作制限にさらされるので、多くの業者はフライホイールの製造を避けてきた。小さいフライホイール製造業者による賢明な努力にも拘わらず、近代の電気機械式フライホイールは、わずかな隙間市場での狭い応用分野で見受けられ、現在の発達した世界的エネルギー供給に対して有意な寄与をしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気機械的フライホイールは、大気圧条件下で動作する装置および真空条件下で動作する装置を含む。真空環境で装置の動作は高速運転において有効であるが、磁気部品の温度、安全な格納容器を管理するための有用な技術によって制限されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、固定ステーターの周りに位置するローター、および、ステーターの回転軸の周りに位置するフィールド巻き線を含むステーター巻き線を有する電気機械式フライホイールを与える。
【0006】
ひとつの態様において、電気機械式フライホイールは、電動発電機のステーターを有するコアアセンブリと、ステーターを包囲する電動発電機のローターと、ローターの外周に位置し、ローターに結合され、ローターとともに回転するフライホイールマスと、ローターおよびフライホイールマスを包含する排気可能なハウジングとを備え、ステーターは、回転軸を画定し、回転軸の周りに位置するフィールドコイルおよび回転軸の周りに位置しないアーマチュアコイルを有する。ローターは、互いに離隔された第1のサスペンションアセンブリおよび第2のサスペンションアセンブリを有し、第1のサスペンションアセンブリは、ローターをセンタリングし、かつ、上昇させる力を印加する第1の電磁石ベアリングを有し、第2のサスペンションアセンブリは、ローターをセンタリングする力を印加する第2の電磁石ベアリングを有する。
【0007】
ひとつの態様において、電気機械式フライホイール格納システムは、内側および外側壁をそれぞれ画定する内側および外側エンクロージャと、内側および外側エンクロージャの壁の間のシールドと、エネルギー変換ブロックと、冷媒を輸送するための第1の環状流路とを有し、エネルギー変換ブロックは、電動発電機ステーターおよびステーターサポートを含むコアアセンブリと、電動発電機ローター、フライホイールマスおよびハブを含むスピニングアセンブリとを有し、電動発電機ローターは電動発電機ステーターを包囲し、内側エンクロージャはエネルギー変換ブロックを内包し、外側エンクロージャは内側エンクロージャを内包し、第1の環状流路の外径は外側エンクロージャの壁により仕切られ、冷媒を輸送するための格納システムの流体回路は、第1の環状流路およびステーターサポート流路を含む。
【0008】
ひとつの態様において、電気機械式フライホイール格納システムは、シールドの周りに位置する隔壁と、隔壁およびシールドによって仕切られた第2の環状流路とをさらに備え、内側および外側エンクロージャの内側および外側壁は同軸に配置され、シールドは内側壁の周りに位置し、隔壁は、外側のエンクロージャの外側壁によって包囲され、第1の環状流路の内径は、隔壁により仕切られており、冷媒を輸送するための格納システムの流体回路は、第2の環状流路を含む。
【0009】
ひとつの態様において、電気機械式フライホイール格納システムは、内側および外側壁をそれぞれ画定する内側および外側エンクロージャと、内側および外側エンクロージャの壁の間のシールドと、冷媒を輸送するための環状流路と、内側エンクロージャからぶら下がる電動発電機ステーターと、スピニングアセンブリと、ローターを包囲しかつ結合されたフライホイールマスとを備え、環状流路の内径はシールドによって仕切られ、スピニングアセンブリは、電動発電機ローターを含み、回転軸線を画定する電動発電機ステーターの周りに位置し、ステーターのフィールド巻き線は回転軸の周りに位置し、ステーターのアーマチュア巻き線は回転軸線の周りに位置しない。
【0010】
本願発明は、図面を参照して説明される。しかし、ここで示す図面は例示に過ぎず、当業者であれば、これらの記載から、本願発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本願発明に従う電気機械式フライホイール装置のブロック図を示す。
図2図2は、図1の電気機械式フライホイール装置の選択した機能およびイクイップメントを示す。
図3図3は、図1の電気機械式フライホイール装置の第1実施形態を示す。
図4図4は、図1の電気機械式フライホイール装置の第2実施形態を示す。
図5A図5Aは、図1の電気機械式フライホイール装置のローター極を示す。
図5B図5Bは、図1の電気機械式フライホイール装置のローター極およびステーターを示す。
図6図6は、図1の電気機械式フライホイール装置の下方ベアリングアセンブリおよびいくつかの関連部品を示す。
図7図7は、図1の電気機械式フライホイール装置の上部ベアリングアセンブリおよびいくつかの関連部品を示す。
図8図8は、図1の電気機械式フライホイール装置の第3実施形態を示す。
図9A図9Aは、図1の電気機械式フライホイール装置の格納システムを示す。
図9B図9Bは、図1の電気機械式フライホイール装置の格納システムを示す。
図9C図9Cは、図1の電気機械式フライホイール装置の格納システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願発明のいくつかの実施形態を説明する。デザイン、図面および説明は本願発明の実施形態の一例に過ぎず、これに限定するものではない。例えば、ここに開示されたもの以外の実施形態は、これらの特徴を含んでも含まなくてもよい。また、開示された利点および利益は、本願発明の特定の実施形態にのみ適用され、開示される発明はそれに限定されない。
【0013】
図1は、電気機械式フライホイール100を示す。電気的相互接続104は、エネルギー交換ブロック102、パワーエレクトロニクスおよびコントロール106、および、電力ネットワーク108を電気的に接続する。
【0014】
特に断らない限り、ここで使用する用語“接続”は、Bに直接接続されるA、Dを介してEに間接的に接続されるCを指す。
【0015】
エネルギー交換ブロック102は、スピニングアセンブリ110およびコアアセンブリ112を有する。格納システム101は、以下で説明するひとつ以上の格納容器を与える。スピニングアセンブリ110は、電動発電機ローター114、フライホイールマス116、および、ハブ118を有する。コアアセンブリ112は、電動発電機ステーター120および電動発電機ステーターサポート122を有する。さまざまな例において、スピニングアセンブリ110はシャフトレスである。
【0016】
電気的相互接続104は、任意の電気的導体接続、電気的インターフェース装置、電気的トランスデューサ等を有する。パワーエレクトロニクスおよびコントロール106は、任意のシリコンおよび/または半導体装置、および/またはデジタルプロセッサ、およびヒューマンインターフェースを含む関連インターフェースを有する。電力ネットワーク108は、1)ある例において、エネルギー交換ブロック102への電力源であり、2)ある例において、エネルギー交換ブロック102からの電力ユーザであり、3)ある例において、エネルギー交換ブロック102への電力源であり、かつ、エネルギー交換ブロック102からの電力のユーザである。
【0017】
図2は、選択された電気機械式フライホイール装置の機能およびイクイップメント200を示す。エネルギーストレージ202はフライホイール動作の中心である。電気機械式フライホイールにおいて、エネルギーストレージ202およびエネルギー変換204は運動エネルギーを電力に変換する手段、および/または、電力を運動エネルギーに変換するための手段を与える。エネルギー伝達206は、エネルギー変換のイクイップメント220、216と電力ネットワーク108との間で電力の伝達をもたらす。さまざまな例において、回路ブレーカー230のような電気スイッチは、電力伝達を可能にする導体の接続および切断をもたらす。さまざまな例において、他の電気機械式フライホイール装置の機能は、以下に説明するいくつかの補助サポート機能を有する。
【0018】
エネルギーストレージ202はスピニングアセンブリ110を使用する。さまざまな例において、サスペンションシステム210はスピニングアセンブリ110を支持する。サスペンションイクイップメントは、ベアリングまたはそれと同様の部材212を有する。ある例において、受動シャットダウンシステム215は、シャットダウンなどの選択された動作再開においてスピニングアセンブリ110を支持する。
【0019】
エネルギー変換204は、ジェネレータまたは電動発電機のような運動エネルギーを電力に変換する手段を利用する。電動発電機220が示されている。電動発電機220は、ローター114およびステーター120を有し、スピニングアセンブリ110を回転駆動するための手段、および、スピニングアセンブリ110によって回転駆動される手段を与える。さまざまな例において、パワーエレクトロニクス216は、電動発電機220および/または電力ネットワーク108から放出される電気波形の調整を可能にする。例えば、さまざまな例において、パワーエレクトロニクス216は、中間DCバス有するAC−ACコンバータにおいて周波数変換を与える。また、パワーエレクトロニクス216はフライホイールのローター114を加速するような可変速度駆動機能を提供する。
【0020】
さまざまな例において、補助サポート機能208は以下に詳細に説明する補助サポートイクイップメントにより実行される。補助サポート機能208は、ハウジング240、安全装置242、真空装置244、冷却装置248、および、マン-マシンインターフェース246を有する。
【0021】
制御機能205は、監視、評価、命令および他の電気機械式フライホイール機能の制御の一つ以上を与える。特に、制御機能205は、エネルギーストレージ202、エネルギー変換204、エネルギー伝達206、および補助サポート208機能のひとつ以上の監視および/または制御を通じて電気機械式フライホイールの動作を可能にする。
【0022】
図3は、電気機械式フライホイールの第1部分300を示す。エネルギー交換ブロック302は付加的な外側ハウジング338により包囲された内側ハウジング328に包囲されている。
【0023】
エネルギー交換ブロック302は、スピニングアセンブリ310およびコアアセンブリ321を有する。スピニングアセンブリ310内に含まれるのは、電動発電機ローター314、電動発電機ローター314に接続され外周を取り囲むフライホイールマス316、フライホイールマス316に結合されたハブ318、および、可動サスペンションエレメント344である。いくつかの例において、非磁性スリーブが、とりわけローター314を支持するために、ローター314とフライホイールマス316との間に挿入されている。ローター314、フライホイールマス316、ハブ318および可動サスペンションエレメント344は、軸線x−xに関して回転対称である。さまざまな例において、ハブ318はローター314に対して位置350に、および、フライホイールマス316に対して位置352に、それぞれまたは一方に取り付けられている。可動サスペンションエレメント344に対向して、内側ハウジング332の第1の壁を介して支持された固定サスペンションエレメント346がもうけられている。コアアセンブリ312には、ステーター320およびステーターサポート322が含まれる。ある例において、ステーターサポート322は内側ハウジング334の第2の壁に結合されている。
【0024】
電動発電機ステーター320の外周を包囲するのは、電動発電機ローター314である。さまざまな例において、ローター314は、磁石部354および非磁石部356を有する。ある例において、非磁石部356は、磁石部354をブロックまたは支持するマトリクス材料をする。ある例において、磁気ローター部は、積層構造である。
【0025】
さまざまな例において、ステーター320は、可変電流を流すことができる導電体巻き線を有する一つ以上のコイルを有する磁石構造を含む。それによって、磁気構造体の磁束を変化させることができる。ある例において、第1ステーターコイル364は、軸線x−xに対してほぼ垂直に交差する軸線y−yの周りに形成されている。ある例において、第2ステーターコイル368は軸線x−xの周りに形成されている。ある例において、複数の第1ステーターコイル364が軸線y−yの周りに形成され、一つ以上の第2ステーターコイル368が軸線x−xの周りに形成されている。第1ステーターコイル364はアーマチュアコイルであり、第2ステーターコイル368はフィールドコイルである。
【0026】
またある例において、電動発電機360は、内部構成(ローターがステーターを包囲する)で示されるような単極装置である。当該単極装置は、a)ローター314と類似の回転可能ローターが、コイルレスの積層磁石構造を有し、b)ステーター320に類似の固定中心ステーターは磁気構造体内部の磁束を形成するためのコイルを有する積層磁気構造体を有し、c)ローターはステーターを包囲している。
【0027】
図4は、第2の実施形態にかかる電気機械式フライホイール400を示す。エネルギー変換ブロック402は、外側ハウジング(図示せず)によって、全体または一部を包囲された内側ハウジング428によって包囲されている。
【0028】
エネルギー変換ブロック402は、スピニングアセンブリ410およびコアアセンブリ412を有する。スピニングアセンブリ410は、電動発電機ローター414、ローターを包囲し、かつ、結合されたフライホイールマス416、フライホイールマス416に接続されたハブ418、ハブ418を支持するためのサポートピン496、および、ハブ418を支持するための可動サスペンションアセンブリ492を含む。
【0029】
さまざまな例において、フライホイールマス416は、一つ以上の種類またはグレードのガラス繊維および、一つ以上の種類またはグレードの炭素繊維のような異なる材料の層を有する。ここに参考文献として組み込む、“HUB CYLINDER DESIGN FOR FLYWHEEL SYSTEM FOR MOBILE ENERGY STORAGE”と題する米国特許第6,175,172号にはフライホイールマス構造技術および材料が記載されている。
【0030】
図に示すように、フライホイールマス416は、ローターに隣接する内側層417のような第1層、中間層419、および、外側層421を有する。ある例において、中間層419および外側層421は炭素繊維材料を含み、内側層417はガラス繊維を含む。他の例において、三層すべてが実質的に炭素繊維から形成されている。さまざまな例において、一つ以上の層が、テンションがかかった巻き繊維により予め応力がかけられており、固有の圧縮応力によって実質的に円筒形状のシェルを形成する。
【0031】
サポートピン496、可動サスペンションアセンブリ492、および、ハブ418は同軸上に配置されており、軸線x−xに関して回転対称である。サポートピン496は上部ベアリングキャリア490と下部ベアリングキャリア494との間のギャップ491の中に配置されている。ステーターサポート422から延在するのは、上部ベアリングキャリア490である。ハウジング432の第1の壁に支持されるのは、下部ベアリングキャリア494である。ある例において、上部ベアリングキャリア490の軸線x−xに沿った長さ493は、上部ベアリングキャリア490と下部ベアリングキャリア494との間でサポートピン496を回転可能に保持するように機能する。この意味で、上部および下部ベアリングキャリアはサポートピン496を介してスピニングアセンブリ410を捕捉する手段を与え、受動シャットダウンを含む機能に対して有用である。さまざまな例において、下部ベアリングキャリア494および可動サスペンションアセンブリ492は第1の電磁気ベアリングを導入する。
【0032】
第2の電磁気ベアリング451は、上部ベアリングキャリア490と下部ベアリングキャリア494から離隔されている。第2の電磁気ベアリング451は、ステーターサポート422によって支持された固定ベアリングステーター454、ステーターを磁化するための電気巻き線452、ローターに結合された対向位置ローター456を有する。図に示すように、電磁石の係合面498、499は、電磁石ベアリング力が軸線x−xに対して垂直となるように、軸線x−xに対して平行である。他の例において、上記傾斜した電磁石ベアリング面は、軸線x−xに平行な線に沿った成分と、軸線x−xに対して垂直な線に沿った成分とを有する電磁気ベアリング力を与える。
【0033】
コアアセンブリ412には、ステーター420および、内側ハウジング428の第2の壁434に結合されたステーターサポート422が含まれる。電動発電機ローター414は電動発電機ステーターを包囲する。さまざまな例において、ローターは磁石および非磁石部分(例えば、図3の354、356参照)を有する。ある例において、非磁石部分は磁石部分を支持またはブロックするマトリクス材料を含む。ある例において、磁石ローター部分は積層体構造を有する。
【0034】
さまざまな例において、ステーター420は、可変電流を運ぶことができる導電体巻き線を有する一つ以上の一体型コイルを含む磁石構造を有する。それによって、磁石構造は、磁束を変化させる。
【0035】
典型的な単極ステーターは、少なくとも2つの周辺リムおよび一つのより小さい中間リムを有する。これらのリムは、鉄のような磁性材料を含む。さまざまな例において、リムはそれぞれが実質的に環状の積層構造体である。
【0036】
図に示すように、ステーター420は、3つの大きい直径のリム464、466、470および2つの小さい直径のリム484、488を有する。実質的に環状またはドーナツ形状のポケット481が大きい直径のリムと小さい直径のリムとの間に形成されている。これらの3つのポケットの中で、軸線x−xを回転軸として、それを包囲するようにコイルが配置され、フィールド巻き線482、486を形成する。フィールドコイルに加え、ステーター420はアーマチュアコイル450も含む。
【0037】
アーマチュアコイル450は、各アーマチュアコイルが回転軸x−xと実質的に垂直の軸線y−yを包囲するように、大きいリム464、466、470の周辺においてスロット483と嵌合する(図3参照)。
【0038】
ステーター420の各リムに対して、複数のローター磁極が存在する。外側のステーターリム464、470は軸線方向に離隔したローター磁極462、468(図中の実線で示す)を有し、中央のステーターリム466は軸方向に隣接するローター磁極463、469(図中の破線で示す)を有する。隣接するリム用のローター磁極(例えば、462、463)は軸線方向(x−x)に離隔されているだけでなく、ひとつのリム用のローター磁極が隣接するリムと関連する最も近いローター磁極から90電気角度だけ半径方向に離隔されるように、半径方向においても離隔されている。
【0039】
さまざまな例において、ターボ分子ポンプのような内部真空ポンプがフライホイールマス416から分子を除去するために与えられる。特に、速度が最大となるフライホイールマス周縁から分子を除去する。ここに参考文献として組み込む、米国特許第5,462,402号の“FLYWHEEL WITH MOLECULAR PUMP”には、ターボ分子ポンプおよびそれを組み込んだフライホイールシステムが記載されている。
【0040】
ある例において、第1の真空ポンプは、フライホイールマスの面459に関して近接して離隔された、ハウジング壁434から支持された固定ラビリンス形状リング458により形成されている。さまざまな例において、ラビリンスリングの溝は、動くフライホイール面459に対して排気作用を与える。ある例において、その溝は流れの方向に沿って概して減少する断面積を有するスパイラル形状である。またある例において、第2の真空ポンプは上記したものに類似のラビリンスリングによって形成される。それは、ステーター周辺部品(大きい直径のステーターリング454、464、466、470など)に固定されるか、または、対向位置ローター極(456、462、463、469、468)に固定される。
【0041】
ある例において、吸気領域および排気領域は真空可能な内側ハウジング428の内部に含まれる。吸気領域の少なくとも一部は、内側ハウジング428、ハブ418の外側面417、および、フライホイールマス416の外周面413の部分によって画定された境界を有する。排気領域の少なくとも一部は、真空バリアハウジングおよびコアアセンブリ412の部分によって画定された境界を有する。第1ドラグポンプは、フライホイールマス416の面459と真空バリアのハウジング壁434との間に設けられる。第2ドラグポンプは少なくともひとつのステーターリング466とローター414との間に設けられる。
【0042】
図5Aは、2+2極のシングルステージ単極装置500A用の隣接極平面におけるローター極の半径方向の千鳥配列を示す。ローター断面図502およびローター514を参照して、第1極462は第1極平面Y1に配置され、反対位置の極463は同じ平面内に配置されている。同様の時計回りに隣接する極面Y2において、隣接する面の極465はY1面の極の間にある。この断面図では、Y2面464内の第2極は存在しない。
【0043】
極面Y1、Y2の平面図504、506は各極面における極462、463、464および465を示す。それらは90°の角度だけ分離されている。この4極実施形態において、極は同様に90電気角度だけ分離されている。
【0044】
さまざまな例において、磁路は、隣接する千鳥格子極の間で伸長する。例えば、極アセンブリ508、510に示すように、磁路466、468は、極対462、463と463、464との間で伸長する。ここに示すように、磁路462−466−465および463−468−464によって、2つの連続磁路が4極装置ローター内に形成される。ある例において、それぞれの磁路アセンブリ462−466−465および463−468−464は、中央部466および468が他の関連部材462、465および465、464とそれぞれ実質的に直角に接続された、“Z”字形状を有する。とりわけ、この構造は磁路の容量を保存する。
【0045】
図5Bは、3ステージ装置用のローターおよびステーターを示す。各ステージは4つの極500Bを有する。ここで、ローター磁路アセンブリ560が、通常は円筒形のローター構造がロールしていない、つまり、平坦面として図示されている。磁路アセンブリ520、522、523、521は部材519の間にスペースを有する格子569を作るように配列されている。さまざまな例において、当該スペースは、非磁性体によって充填されてよい。
【0046】
格子569は、複数のステージA、B、Cが、それぞれ4つの極を有するように構成されている。例えば、ステージAは、第1の完全極557および、2つの半分極553、555からなる第2の極を有するN極面を有する。ステージAは、2つの完全極559、560を有するS極面を有する。したがって、ステージAのN極面およびS極面は全部で4つの完全な極を有する。
【0047】
各ステージは4つの磁路アセンブリまたはローター格子部を有する。例えば、ステージAは磁路アセンブリ520、522、520および522を有する。ステージBは磁路アセンブリ523、521、523、521を有する。ステージCはステージAと同様に、磁路アセンブリ520、522、520および522を有する。さまざまな例において、磁路アセンブリの位置は、その向きによってのみ異なる。例えば、アセンブリ520は、アセンブリ522と軸線x−xと平行な軸線の周りに180°回転だけ異なる。アセンブリ522は、アセンブリ521と軸線x−xと垂直な軸線の周りに180°回転だけ異なる。
【0048】
ステーター562の断面図が示されている。ステーターは大きな直径のリム534、536、538、540、および、小さい直径のリム544、546、548を軸線x−xを中心軸として有する。第1および第2の大きい直径の中間リム536、538は、大きい直径のリム534、540の外周に間に挿入される。ひとつの小さい直径のリムは、リムが、534、544、536、546、538、548および540の順番で積まれるように、大きい直径のリムの各一対の間に挿入される。リムは、壁530を介して支持される結合されたステーターサポート532によって支持される。
【0049】
複数のアーマチュア巻き線、例えば、571、572は、スロットまたはより小さい構造を介して複数の大きい直径のリム外周部574と嵌合する。フィールド巻き線535、537、539は、ステーターの回転軸x−xを、各フィールド巻き線が一対の大きい直径リムの間にあるように、小さい直径のリムのそれぞれを包囲する一本のフィールド巻き線で包囲する。
【0050】
ローター569の格子構造は、ステーター534の第1リムがステージAのN極に対応し、ステーター536の第3リムがステージAのS極およびステージBのS極に対応し、ステーターの第4リムがステージBのN極およびステージCのN極に対応し、ステーターの第7リムがステージCのS極に対応するように、配置される。
【0051】
さまざまな例において、ベアリングがスピニングアセンブリおよびフライホイールマス116、316、416を支持するのに使用される。ここで示すスピニングアセンブリを支持するのに十分なベアリングの任意の組み合わせが、使用可能である。
【0052】
図6は、下部ベアリングキャリアおよびいくつかの関連部品600を示す。図面の上半分に示すように、フライホイールマスに結合するためのハブ618、ハブ618を支持するためのサポートピン696、ハブ618を支持するための可動サスペンションアセンブリ692、および、下部ベアリングキャリア694がもうけられている。ハブ618、サポートピン696、および可動サスペンションアセンブリ692は一緒に固定して結合されている(図6では分解図で示す)。
【0053】
さまざまな例において、可動サスペンションアセンブリ692は、可動サスペンションアセンブリ電磁気ベアリングローター602を有する。ある例において、ベアリングは可動サスペンションアセンブリ電磁気ベアリング面603を有する。当該面は軸線x−xに平行なx1−x1軸線と当該面とによりなす角度θ1=0°で方向付けられている。ある例において、ベアリングは、0<θ1<90°(傾斜面)の角度を向いた面603を有する。それにより、軸線x−xに垂直な軸線に平行な電磁気ベアリング力成分、および、軸線x−xに平行な電磁気ベアリング力成分が与えられる。
【0054】
さまざまな例において、可動サスペンションアセンブリ692は、可動サスペンションアセンブリ永久磁石604を有する。また、ある例において、永久磁石は電磁気ベアリングローター602に付加される。ある例において、可動サスペンションアセンブリ磁石ホルダ606は可動サスペンションアセンブリ電磁気ベアリングローターおよび可動サスペンションアセンブリ永久磁石の一方又は両方を保持するためのホルダを与える。
【0055】
可動サスペンションアセンブリ692が電磁気ベアリングローター602を有する場合、下部ベアリングローターキャリア694は、対応する下部ベアリングキャリア電磁気ベアリングステーター614およびステーターを磁化するための下部ベアリングキャリアステーター電磁気コイル616を有する。ステーターは、ハウジングの壁632によって支持される下部ベアリングキャリアフレーム612によって支持される。
【0056】
ある例において、ベアリングステーターは積層構造である。ある例において、ベアリングは下部ベアリングキャリア電磁石ベアリング面615を有する。当該面は、軸線x−xに平行なx2−x2軸および当該面とのなす角度θ2=0°で方向付けられる。ある例において、ベアリングは、0<θ2<90°(傾斜面)の角度を向いた面615を有する。それによって、軸線x−xに垂直な軸線に平行な電磁気ベアリング力成分、および、軸線x−xに平行な電磁気ベアリング力成分が与えられる。当業者が理解するように、ベアリング面603、615は直線のローター面が直線のステーター面と一致し、かつ、傾斜ローター面と傾斜ステーター面とが一致するように、連係する。
【0057】
可動サスペンションアセンブリ永久磁石604が使用される場合、下部ベアリングキャリア694は、対向位置の永久磁石620を有する。ある例において、下部ベアリングキャリア永久磁石ホルダ619は、下部ベアリングキャリアフレーム612から支持され、永久磁石620を支持する。
【0058】
さまざまな例において、下部ベアリングキャリア694は、減摩ベアリング622のような下部ベアリングキャリアランディングベアリングを有する。ランディングベアリングは下部ベアリングキャリアフレーム612から支持される。ある例において、ダンピング材料624はランディングベアリングに対する着座材を与える。
【0059】
図7は、上部ベアリングキャリアおよびいくつかの関連部品700を示す。上部ベアリングキャリア790は、固定プレート702および可動プレート704を有する。
【0060】
固定プレート702は溝形式のコイルスペース706を有する。当該溝は可動プレート730に面する固定プレート702の側にある。コイル707により包囲される磁気材料を磁化するための電気コイル722が含まれる。
【0061】
可動プレート704はスプリングスペース708および機械的ベアリングスペース710を有する。スプリングスペース708は、可動プレート704の減少する直径部が固定プレート732に面するプレートの側に延在し、かつ、コイルスプリング720のようなスプリングがこのスペースを占めるように形成される。ベアリングスペース710は、固定プレート732に面する可動プレート面と対向する可動プレート面734の中心のキャビティである。この電磁石の動作はスプリングを圧縮しプレートを一緒に引く。
【0062】
さまざまな例において、上部ベアリングキャリア790は、減摩ベアリング716のような上部ベアリングキャリアランディングベアリングを有する。ランディングベアリングは可動プレートキャビティ710内に配置される。ある例において、ダンピング材料718はランディングベアリングに対する着座材を提供する。
【0063】
図6および図7に示すように、サポートピン696は上部ベアリングキャリア790および下部ベアリングキャリア694との間で伸長する。また、上部ベアリングキャリアランディングベアリング716、サポートピン696、可動サスペンションアセンブリ692、下部電磁石ベアリングステーター614、下部ベアリングキャリア永久磁石620、および下部ベアリングキャリアランディングベアリング622は、可動プレート704が下部ベアリングキャリア793の方向に移動するとき、サポートピンの上方端728および下方端628が上部ランディングベアリング716および下部ランディングベアリング622とそれぞれ係合し、かつ、それぞれのランディングベアリング726、626の中央アパーチャと係合するように、軸線x−xを中心として配置される。
【0064】
図8は、電気機械式フライホイール800の他の実施形態を示す。フライホイールマス831は、金属ライナー830を有する単極電動発電機ローターを包囲しかつ結合されている。ローターは、N極ローター824、832を有する。S極ローターは図示していない。図5BのステージAおよびステージBを参照して、S極ローターが同様に配置される。
【0065】
ステーターサポート811は電動発電機ステーター828に結合される。フィールド巻き線826およびアーマチュア巻き線820は上述したのと同様の方法で一体化される。
【0066】
ローター830およびフライホールマス831を支持するのは、ハブ846である。当該ハブは上部および下部ベアリングキャリア860、862との間に係合および/または配置されたサポートピン864によって支持される。図6および図7に、同様のベアリングキャリアが詳細に示されている。第1電磁気ベアリング866は下部ベアリングキャリア内に配置される。第2電磁式ベアリング870は第1および第2ベアリングキャリアから離隔されており、ベアリングステーター818、ベアリングローターおよびステーターを磁化するためのステーターコイル814を有する。
【0067】
電磁気フライホイールハウジングは内部真空バリア812を有する。ある例において、外側ハウジング807は真空バリアを支持する。適当な真空バリアの材料として、ステンレススチールおよび当業者に周知の他の材料が含まれる。
【0068】
さまざまな例において、ステーターサポート811は中空構造を有し、同軸チューブ801が内部に配置されている。同軸チューブ801はステーターサポート802に進入する液体冷媒を閉じこめる。サポート構造の内径と同軸チューブ801の外径との間の環状部分はステーターサポート803を流れる冷媒用の流路を与える。環状部分を通じて流れる冷媒はステーター828から熱を吸収し、さまざまな例において、流入口802内にポンプによって戻る前にクーラーによって冷却される。
【0069】
ある例において、熱パイプ808はステーターを冷却する。複数の熱パイプの各々は、ステーターに近接した位置にステーターアマーチュア巻き線スロット872のような熱吸収第1端を有する。熱パイプの熱放出端は真空バリア874に接触するほど真空バリアに近接した位置にあり、または、上述の冷媒流によって冷却される。
【0070】
上述したように、電気機械式フライホイール100に対して、冷却システム248およびステーターサポート122のようなシステムおよび構造は相互に関連して設計される。
【0071】
格納システム101は相関設計の付加的な例を与える。さまざまな格納システムの例において、複数の相関構造は、サポート構造、真空バリア、シールド、冷媒流路、および熱伝達路のひとつ以上を与える。
【0072】
図9Aは、多目的格納システム900Aの断面分解図を示す。多目的格納システムは、真空バリアを与えるための内側エンクロージャ906、シールドを与えるための中間エンクロージャ904、および、冷媒流路を与えるための外側エンクロージャ902を有する。複数のエンクロージャのこれらおよび他の特徴は以下で詳細に説明する。
【0073】
内側エンクロージャ906は内側シリンダ壁936を有する。内蓋916はシリンダフランジ946を介してシリンダの一端を閉じるように動作する。内底926はシリンダの反対端を閉じる。この例において、ステーターサポート987は内蓋の中央部からぶら下がっている。内側エンクロージャは、例えば、アルミニウムおよび/またはステンレススチールのような金属の適当な真空シーリング材から形成されている。アルミニウムおよびステンレススチールは、酸化および汚染物質の形成を防止するため、クリーンな真空環境を促進する。さまざまな例において、クリーンな真空環境はドラグポンプを含む真空ポンプの動作を促進し、かつ、適当な真空圧力を維持する。
【0074】
中間エンクロージャ904は内側エンクロージャ906を内包する。中間エンクロージャは内側シリンダ壁934を有する。内側エンクロージャ916の蓋が中間シリンダ944の端面と中間蓋との間でシールされるように、中間蓋914はシリンダの一端を閉じるように動作する。中間底924はシリンダの反対端を閉じる。中間エンクロージャは、例えば、鋼鉄および/または鋼鉄合金のような適当な真空シーリング材から形成されている。適当な材料の厚さは、使用される材料および、選択された設計の破損のシナリオ中に吸収されなければならないエネルギーを考慮して選択される。
【0075】
内側および中間エンクロージャ906、904との間のギャップが示されているが、そのギャップにフィットするインターフェースおよび/または伝達化合物を有する。それにより一つの壁から他の壁へ熱伝導が可能になる。例えば、ステーターから放射される熱(例えば、図8の828)は内側エンクロージャ936の壁に伝達し、ギャップがなければ、中間エンクロージャ934の壁に熱伝導する。
【0076】
外側エンクロージャ902は中間エンクロージャ904を内包する。外側エンクロージャは外側シリンダ壁932を有する。外蓋912はシリンダフランジ942を介してシリンダの一端を閉じるように動作し、外底922は反対端を閉じる。外側エンクロージャは、鋼鉄または鋼鉄合金のような適当な真空シーリング材から形成されている。
【0077】
分流隔壁908は中間壁934と外側壁932との間の環状路を、内側および外側環状路に分割するための円筒形隔壁938を有する。円筒形隔壁の端部は、円筒形隔壁と中間シリンダ壁934、内蓋916、および/または中間蓋914のような隣接構造との間にシーリングを与えるための内側に向いたシールリング948を有する。ひとつ以上の冷媒排出コンジット958がシールリングを貫通し、内側環状空間951と流体的に係合するための手段を与える。隔壁は金属およびプラスチックのような適当な冷媒流路材料から形成される。実施形態において、隔壁は高密度のポリエチレンプラスチックまたは塩化ポリビニルプラスチックのようなプラスチックから形成される。
【0078】
図9Bは、図9Aの格納システムの断面の略示図である。内側壁936は中間壁934によって周りを覆われ、中間壁は外側壁932によって周りを覆われている。外側壁は隔壁938の周りに位置し、隔壁は中間壁934の周りに位置する。その結果、中間壁と外側壁との間の環状体が内側環状体951および外側環状体953に分割される。
【0079】
図9Cは、組み立て後の図9Aの格納システム900Cを示す。ステーター120、ローター114、および、フライホイールマスを有するフライホイールの内部は省略してある。フライホール内部については図8を参照せよ。
【0080】
フライホイールの動作中、熱は内側エンクロージャのフライホイール空間981内に解放される。さまざまな例において、この熱は冷媒(矢印で示す)および包囲体983の一方または両方に伝達される。冷媒が流路および冷却システムのどこかを通じて移動するに従い、熱は冷媒によって交互に吸収・放出される。
【0081】
冷媒は、ステーターサポート環状流空間992を画定するステーターサポート中央キャビティ991内に挿入される冷媒吸入コンジット988を通じて格納システム960に流入する。流入コンジット962からの冷媒流は、環状流空間964を流れ、ステーターサポート壁993に伝達される熱を吸収する。ステーターサポート環状体966からの冷媒流は、外蓋912と中間蓋914との間の流体プレナム968に移送される。プレナム970を離れた流れは、外側環状体953に移送される。さまざまな例において、冷媒は外側エンクロージャ壁932をまたぐ熱伝達を介して包囲体983へ熱を放出する。外側環状体953からの流れ972は内側環状体974に移送される。さまざまな例において、冷媒は中間および内側エンクロージャ壁934、936をまたぐ熱伝達により熱を吸収する。内側環状体951からの冷媒の流れ976は冷媒排出コンジット978に伝達される。
【0082】
動作中、電気機械式フライホイールのフライホイールマスは充電中に電動発電機により加速される。充電中、エネルギーは電動発電機に伝達される。放電中、フライホイールマスが減速されるに従い、電動発電機は、フライホイールの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。パワーエレクトロニクスは、電動発電機および機械的に結合されたフライホイールマスを回転させるために、ネットワーク電力の変換を与える。パワーエレクトロニクスはまた、電動発電機が生成した電力を、電力が伝送される電力ネットワークで使用するのに適した波形に変換する。
【0083】
動作中、格納システムはシールドを与える。例えば、図9Cに示すように、格納システム900Cは、フライホイールが故障した場合のシールド906を与える。さまざまな例において、真空バリアが内側エンクロージャ902によって与えられ、フライホイール空間981内の真空が維持される。冷媒流空間は外側エンクロージャ902により与えられる。冷媒流空間は、流路分割隔壁908により、内側および外側環状流路951、953に分割される。ステーターサポート987を流れる冷媒によって吸収される熱、および、内側環状流路内を流れる冷媒によって吸収される熱は、外側エンクロージャ壁932を通じて外部環境983へおよび流体からファンクーラー(図示せず)などを通じて格納システムの外部へ伝達される熱のいずれかまたは両方を通じて放出される。
【0084】
本願発明のさまざまな実施形態を説明してきたが、これらは例示に過ぎず、発明を限定するものではない。発明の思想および態様から離れることなく、さまざまな修正および変更が可能であることは当業者の知るところである。本願発明の範囲および態様は、以下の特許請求の範囲の記載およびその均等の範囲において解釈されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】米国特許第6,175,172号
【特許文献2】米国特許第5,462,402号
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C