特許第6194326号(P6194326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194326
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】中継装置、発光装置および発光制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20170828BHJP
   G09F 13/20 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H05B37/02 C
   G09F13/20 A
   H05B37/02 H
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-31033(P2015-31033)
(22)【出願日】2015年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-152218(P2016-152218A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 宏靖
(72)【発明者】
【氏名】小林 一太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正和
(72)【発明者】
【氏名】平林 康彦
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−004323(JP,A)
【文献】 特開2015−012431(JP,A)
【文献】 特開2001−093674(JP,A)
【文献】 特開2001−093675(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0009975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
G09F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置に対して電文を中継送信する中継装置において、
時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値と、時刻カウント値に基づきカウントされた時刻に従う発光イベントを規定するイベント情報とを含む動作指令電文であって、制御装置から送信された動作指令電文を受信する受信部と、
前記動作指令電文を無線送信する送信部と、
前記動作指令電文が含む時刻カウント値に基づいて時刻をカウントする中継カウント部と、
前記動作指令電文が受信されたことに伴って、前記発光装置に対して同期処理を実行させるための同期用電文を生成する同期用電文生成部と、を備え、
前記同期用電文は、
前記中継カウント部によるカウント値を含み、
前記送信部は、
前記動作指令電文の他に前記同期用電文を無線送信することを特徴とする中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載の中継装置において、
前記同期用電文は、前記動作指令電文に含まれていた前記イベント情報を含むことを特徴とする中継装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の中継装置において、
前記動作指令電文が含む時刻カウント値に調整値を加算して時刻カウント値を更新する更新部を備え、
前記調整値は、
前記制御装置と前記発光装置との間の中継送信に要される時間に基づいて決定され、
前記送信部は、
時刻カウント値が更新された前記動作指令電文を無線送信することを特徴とする中継装置。
【請求項4】
発光装置に対して電文を中継送信する中継装置において、
制御装置から送信され、時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値を含み、前記発光装置に対して発光イベントの開始を指示する開始指令電文を受信する受信部と、
前記開始指令電文を無線送信する送信部と、
前記開始指令電文が含む時刻カウント値に基づいて時刻をカウントする中継カウント部と、
前記開始指令電文が受信されたことに伴って、前記発光装置に対して同期処理を実行させるための同期用電文を生成する同期用電文生成部と、を備え、
前記同期用電文は、
前記中継カウント部によるカウント値を含み、
前記送信部は、
前記開始指令電文の他に前記同期用電文を無線送信することを特徴とする中継装置。
【請求項5】
請求項4に記載の中継装置において、
前記開始指令電文が含む時刻カウント値に調整値を加算して時刻カウント値を更新する更新部を備え、
前記調整値は、
前記制御装置と前記発光装置との間の中継送信に要される時間に基づいて決定され、
前記送信部は、
時刻カウント値が更新された前記開始指令電文を無線送信することを特徴とする中継装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の中継装置において、
前記受信部は、
前記制御装置から送信され、動作状態を表す動作情報の送信を前記発光装置に対して要求する、ポーリング要求電文を受信し、
前記送信部は、
前記ポーリング要求電文が受信されたときは、前記発光装置に対して前記動作情報の送信を要求する電文を無線送信することを特徴とする中継装置。
【請求項7】
時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値と、時刻カウント値に基づきカウントされたカウント値に従う発光イベントを規定するイベント情報とを含む動作指令電文を受信する受信部と、
前記動作指令電文が含む時刻カウント値に基づいて時刻をカウントする発光カウント部と、
前記発光カウント部によるカウント値と、前記イベント情報とに基づいて、前記発光イベントを実行する発光イベント実行部と、を備え、
前記受信部は、
同期用カウント値を含む同期用電文を受信し、
前記発光カウント部は、
前記動作指令電文が含む時刻カウント値の他、前記同期用電文が含む同期用カウント値に基づいて時刻をカウントすることを特徴とする発光装置。
【請求項8】
発光イベントを規定するイベント情報を含むスケジュール電文を受信し、前記スケジュール電文を受信した後に、前記発光イベントの開始を指示する開始指令電文を受信する受信部と、
前記開始指令電文に含まれる時刻カウント値であって、時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値に基づいて時刻をカウントする発光カウント部と、
前記発光カウント部によるカウント値と、前記イベント情報とに基づいて、前記発光イベントを実行する発光イベント実行部と、を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項9】
請求項8に記載の発光装置において、
前記受信部は、
同期用カウント値を含む同期用電文を受信し、
前記発光カウント部は、
前記開始指令電文が含む時刻カウント値の他、前記同期用電文が含む同期用カウント値に基づいて時刻をカウントすることを特徴とする発光装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記受信部は、
動作状態を表す動作情報の送信を要求する電文を受信し、
前記発光装置は、
前記動作情報の送信を要求する電文が受信されたときに、前記動作情報を含む応答電文を生成する応答電文生成部と、
前記応答電文を無線送信する送信部と、を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の発光装置において、
光を発する発光ユニットを備え、
前記発光イベント実行部は、
前記イベント情報に基づいて、前記発光ユニットの点灯および消灯についての制御を行うことを特徴とする発光装置。
【請求項12】
発光装置に対して電文を送信する発光制御装置において、
発光イベントを規定するイベント情報を含むスケジュール電文を送信し、前記スケジュール電文を送信した後に、前記発光装置に対して前記発光イベントの開始を指示する開始指令電文を送信する送信部を備え、
前記開始指令電文は、
時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値を含み、時刻カウント値に基づいて前記発光装置に前記発光イベントを実行させることを特徴とする発光制御装置。
【請求項13】
発光装置に対して電文を送信する発光制御装置において、
時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値と、時刻カウント値に基づきカウントされた時刻に従う発光イベントを規定するイベント情報とを含む動作指令電文を送信する送信部と、
前記発光装置に対して同期処理を実行させるための同期用電文を生成する同期用電文生成部と、を備え、
前記送信部は、
前記動作指令電文の他に前記同期用電文を無線送信することを特徴とする発光制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置および発光装置に関し、特に、発光装置が発光イベントを実行するタイミングの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光装置の発光色や点灯タイミングを制御するシステムが広く用いられている。このような発光制御システムには、各発光装置が制御装置に有線接続または無線接続され、制御装置によって各発光装置を制御するものがある。例えば、各発光装置が複数の発光体を備える場合には、複数の発光体のそれぞれを発光させる色やタイミングが制御される。
【0003】
以下の特許文献1には、発光によって美観を奏することを目的とした発光制御システムが記載されている。このシステムでは、複数の発光ユニットが複数段に亘って接続され、前段の発光ユニットから次段の発光ユニットに、点滅動作開始タイミングを規定する同期信号が送信される。各発光ユニットは、多色発光可能な発光体と、予め記憶された点滅制御パターンデータに基づき発光体の点滅を制御するコントローラとを備えている。これによって、ライン状に配列された複数の発光体を一斉に点滅させたり、ライン方向に沿って発光色を徐々に変化させたりする等のイルミネーション発光が行われる。
【0004】
以下の特許文献2および3には、イベント演出用の発光制御システムが記載されている。このシステムでは、制御装置に中継器が接続され、制御装置から中継器を介して、複数のペンライトに端末演出制御データが送信される。各ペンライトは、端末演出制御データに従った色およびタイミングで発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−171366号公報
【特許文献2】特開2013−4322号公報
【特許文献3】特開2013−4323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1に記載の発光制御システムでは、各発光ユニットに点滅制御パターンデータを予め記憶させておく必要がある。そのため、各発光体の色や発光タイミングを変更する際には、各発光ユニットに記憶されている点滅制御パターンデータを更新する必要があり、ユーザの操作負担が重い。特許文献2および3に記載のシステムでは、制御装置から各ペンライトに端末演出制御データが送信されるため、そのような問題は解消され得る。しかし、制御装置からペンライトに端末演出制御データを送信する時間間隔が長い場合には、動作タイミングの誤差が大きくなること等により、複数のペンライトの点灯動作を同期させることが困難になる場合がある。
【0007】
本発明は、簡単な構成または処理によって発光装置の点灯タイミングを制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発光装置に対して電文を中継送信する中継装置において、時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値と、時刻カウント値に基づきカウントされた時刻に従う発光イベントを規定するイベント情報とを含む動作指令電文であって、制御装置から送信された動作指令電文を受信する受信部と、前記動作指令電文を無線送信する送信部と、前記動作指令電文が含む時刻カウント値に基づいて時刻をカウントする中継カウント部と、前記動作指令電文が受信されたことに伴って、前記発光装置に対して同期処理を実行させるための同期用電文を生成する同期用電文生成部と、を備え、前記同期用電文は、前記中継カウント部によるカウント値を含み、前記送信部は、前記動作指令電文の他に前記同期用電文を無線送信することを特徴とする。
【0009】
望ましくは、前記同期用電文は、前記動作指令電文に含まれていた前記イベント情報を含む。
【0010】
望ましくは、前記動作指令電文が含む時刻カウント値に調整値を加算して時刻カウント値を更新する更新部を備え、前記調整値は、前記制御装置と前記発光装置との間の中継送信に要される時間に基づいて決定され、前記送信部は、時刻カウント値が更新された前記動作指令電文を無線送信する。
【0011】
本発明は、発光装置に対して電文を中継送信する中継装置において、制御装置から送信され、時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値を含み、前記発光装置に対して発光イベントの開始を指示する開始指令電文を受信する受信部と、前記開始指令電文を無線送信する送信部と、前記開始指令電文が含む時刻カウント値に基づいて時刻をカウントする中継カウント部と、前記開始指令電文が受信されたことに伴って、前記発光装置に対して同期処理を実行させるための同期用電文を生成する同期用電文生成部と、を備え、前記同期用電文は、前記中継カウント部によるカウント値を含み、前記送信部は、前記開始指令電文の他に前記同期用電文を無線送信することを特徴とする。
【0012】
望ましくは、前記開始指令電文が含む時刻カウント値に調整値を加算して時刻カウント値を更新する更新部を備え、前記調整値は、前記制御装置と前記発光装置との間の中継送信に要される時間に基づいて決定され、前記送信部は、時刻カウント値が更新された前記開始指令電文を無線送信する。
【0013】
望ましくは、前記受信部は、前記制御装置から送信され、動作状態を表す動作情報の送信を前記発光装置に対して要求する、ポーリング要求電文を受信し、前記送信部は、 前記ポーリング要求電文が受信されたときは、前記発光装置に対して前記動作情報の送信を要求する電文を無線送信する。
【0014】
本発明は、時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値と、時刻カウント値に基づきカウントされたカウント値に従う発光イベントを規定するイベント情報とを含む動作指令電文であって、無線装置から送信された動作指令電文を受信する受信部と、 前記動作指令電文が含む時刻カウント値に基づいて時刻をカウントする発光カウント部と、前記発光カウント部によるカウント値と、前記イベント情報とに基づいて、前記発光イベントを実行する発光イベント実行部と、を備え、前記受信部は、前記無線装置から送信され、同期用カウント値を含む同期用電文を受信し、前記発光カウント部は、前記動作指令電文が含む時刻カウント値の他、前記同期用電文が含む同期用カウント値に基づいて時刻をカウントすることを特徴とする。
【0015】
本発明は、発光イベントを規定するイベント情報を含むスケジュール電文を受信し、前記スケジュール電文を受信した後に、前記発光イベントの開始を指示する開始指令電文を受信する受信部と、前記開始指令電文に含まれる時刻カウント値であって、時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値に基づいて時刻をカウントする発光カウント部と、前記発光カウント部によるカウント値と、前記イベント情報とに基づいて、前記発光イベントを実行する発光イベント実行部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
望ましくは、前記受信部は、同期用カウント値を含む同期用電文を受信し、前記発光カウント部は、前記開始指令電文が含む時刻カウント値の他、前記同期用電文が含む同期用カウント値に基づいて時刻をカウントする。
【0017】
望ましくは、前記受信部は、前記無線装置から送信され、動作状態を表す動作情報の送信を要求する電文を受信し、前記発光装置は、前記動作情報の送信を要求する電文が受信されたときに、前記動作情報を含む応答電文を生成する応答電文生成部と、前記応答電文を無線送信する送信部と、を備える。
【0018】
望ましくは、光を発する発光ユニットを備え、前記発光イベント実行部は、前記イベント情報に基づいて、前記発光ユニットの点灯および消灯についての制御を行う。
【0019】
本発明は、発光装置に対して電文を送信する発光制御装置において、発光イベントを規定するイベント情報を含むスケジュール電文を送信し、前記スケジュール電文を送信した後に、前記発光装置に対して前記発光イベントの開始を指示する開始指令電文を送信する送信部を備え、前記開始指令電文は、時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値を含み、時刻カウント値に基づいて前記発光装置に前記発光イベントを実行させることを特徴とする。
【0020】
本発明は、発光装置に対して電文を送信する発光制御装置において、時刻をカウントする際の基準となる時刻カウント値と、時刻カウント値に基づきカウントされた時刻に従う発光イベントを規定するイベント情報とを含む動作指令電文を送信する送信部と、 前記発光装置に対して同期処理を実行させるための同期用電文を生成する同期用電文生成部と、を備え、前記送信部は、前記動作指令電文の他に前記同期用電文を無線送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単な構成または処理によって発光装置の点灯タイミングを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】発光制御システムの構成を示す図である。
図2】発光制御システムで用いられる電文の構成の例を示す図である。
図3】制御装置、中継装置および発光装置が実行する各処理のタイミングを示す図である。
図4】イベント情報の例を示す図である。
図5】インデックス情報の例を示す図である。
図6】イベント情報に基づく点灯状態を示す図である。
図7】イベント情報に基づく点灯状態を示す図である。
図8】イベント情報に基づく点灯状態を示す図である。
図9】イベント情報に基づく点灯状態を示す図である。
図10】イベント情報先行送信処理において各装置が実行する各処理のタイミングを示す図である。
図11】ポーリング処理において各装置が実行する各処理のタイミングを示す図である。
図12】制御装置を構成するハードウエアの例を示す図である。
図13】中継装置を構成するハードウエアの例を示す図である。
図14】発光装置を構成するハードウエアの例を示す図である。
図15】小型携帯端末イルミネーションシステムの構成を示す図である。
図16】パーソナルコンピュータおよび小型携帯端末が実行する各処理のタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(1)発光制御システムの構成および動作
図1には本発明の実施形態に係る発光制御システムの構成が示されている。発光制御システムは、制御装置10、複数の中継装置12−i(iは1〜Nの整数)、および複数の発光装置14を備える。制御装置10と中継装置12−1〜12−Nは、有線LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)等の有線通信網18によって接続されている。複数の発光装置14は、N個の発光装置グループ16−1〜16−Nに分けられている。発光装置グループ16−iに属する発光装置14は、1つの中継装置12−iとの間で無線通信を行う。発光装置グループ16−1〜16−Nには異なる周波数帯域が割り当てられており、異なる発光装置グループに属する発光装置14は、異なる周波数帯域で中継装置との間で無線通信を行う。
【0024】
発光装置14は、複数種の色で点灯する発光ユニットを備える。発光ユニットは、例えば、色が異なる複数の発光ダイオード、電球等の発光体を備える。また、発光ユニットは、複数種の色で発光するディスプレイによって構成されてもよい。制御装置10は、有線通信網18および中継装置12(中継装置12−1〜12−Nのうち不特定の1つの符号を「12」とする。)を介した通信により、発光装置14の点灯制御を行う。発光装置14は、制御装置10による制御に応じた色、明るさ、点灯タイミングまたは消灯タイミング等で発光ユニットを発光させ、発光イベントを実行する。
【0025】
各発光装置14に対する制御は、制御装置10から送信される動作指令電文によって行われる。制御装置10は、有線通信網18を介して、制御対象の発光装置グループに対応する中継装置12に動作指令電文を送信する。中継装置12は、その動作指令電文を無線送信し、制御対象の発光装置14は動作指令電文を受信する。
【0026】
動作指令電文には、発光イベントを規定するイベント情報が含まれており、発光装置14は、イベント情報に従った発光イベントを実行する。すなわち、発光装置14は、イベント情報に従った色、明るさ、点灯または消灯タイミング等で発光ユニットを発光させる。制御装置10が、各発光装置14に対して異なる発光イベントを規定するイベント情報を送信し、各発光装置14がイベント情報に従って発光イベントを実行することで、複数の発光装置14は異なる態様で点灯または消灯する。これによって、複数の発光装置14を異なるタイミングで、あるいは、同時に点灯させる制御や、複数の発光装置14を異なる色で、あるいは同一の色で点灯させる制御が行われる。
【0027】
制御装置10は、発光制御システムの動作タイミングを管理する制御タイマ20を備える。制御タイマ20は、例えば、1msecごとに1だけ増加する時刻カウント値を生成する。制御タイマ20は、時刻カウント値が最大カウント値に達したときは、次の時刻カウント値を0としてカウント値をリセットし、繰り返しカウントを行う。制御装置10から各発光装置14に送信される動作指令電文には、時刻カウント値が記述される。中継装置12は、動作指令電文を中継送信する際に、中継送信による遅延時間に相当する中継遅延カウント値を時刻カウント値に加算して、時刻カウント値を更新する。この中継遅延時間は、制御装置10が動作指令電文を送信してから、中継装置12が動作指令電文を受信し送信するまでの時間であり、予め中継装置12に記憶されている。
【0028】
発光装置14は、動作指令電文を受信すると、中継装置12から動作指令電文が送信され、動作指令電文を受信するまでの下流遅延時間に相当する下流遅延カウント値を、動作指令電文に記述されていた時刻カウント値に加算して、時刻カウント値を更新する。
【0029】
発光装置14は、自らの動作タイミングを管理する発光タイマ24を備える。発光タイマ24は、制御タイマ20と同じ時間間隔で1ずつ増加する発光カウント値を生成する。また、発光タイマ24は、発光カウント値が最大カウント値に達したときは、次の発光カウント値を0としてカウント値をリセットし、繰り返しカウントを行う。発光カウント値の最大カウント値は、時刻カウント値の最大カウント値と同一の値である。
【0030】
発光タイマ24は、動作指令電文を受信した時の発光カウント値を、下流遅延カウント値の加算によって更新された時刻カウント値と同一値に設定してカウントを行う。これによって、制御タイマ20による時刻カウント値と、発光タイマ24による発光カウント値とが同期する。
【0031】
動作指令電文に含まれるイベント情報は、発光カウント値を時間変数とした発光イベントを規定する。すなわち、イベント情報は、発光カウント値と点灯状態とを対応付けた情報である。イベント情報は、例えば、発光カウント値がある値L1になったときに、ある色で発光ユニットを点灯させ、発光カウント値がある値L2になったときに発光ユニットの色を変更し、発光カウント値がある値L3になったときに、発光ユニットが発する光の輝度を小さくし、発光カウント値がある値L4になったときに、発光ユニットを消灯させる等の発光イベントを規定する。
【0032】
複数の発光装置14のそれぞれが備える発光タイマ24と、制御装置10が備える制御タイマ20は同期しているため、複数の発光装置14で実行される発光イベントは、制御タイマ20によるタイミングの管理下で実行される。
【0033】
(2)電文の構成
図2には、発光制御システムで用いられる電文の構成の例が示されている。電文は、有線通信ヘッダ26、無線通信ヘッダ28、およびぺイロード部30を含む。有線通信ヘッダ26には、有線通信網における通信に必要な情報が記述される。例えば、有線通信網における宛先アドレス、送信元アドレス等が記述される。後述する応用例のように、制御装置10が発光装置14に電文を無線送信する場合には、有線通信ヘッダ26は設けられていなくてもよい。無線通信ヘッダ28には、中継装置と発光装置との間の無線通信に必要な情報が記述される。例えば、無線通信における宛先アドレス、送信元アドレス等が記述される。
【0034】
ペイロード部30は、電文種別記述部32、カウント値記述部34、および制御情報記述部36を含む。電文種別記述部32には、電文の種別を表す情報が記述される。電文が動作指令電文である場合には、その旨を示す動作指令識別子が記述される。電文が、後述するその他の種類の電文である場合には、その電文を識別する識別子が記述される。 カウント値記述部34には時刻カウント値が記述され、制御情報記述部36には電文を受信した装置の動作に必要な情報が記述される。電文が動作指令電文である場合には、制御情報記述部36には、イベント情報等が記述される。電文に記述される具体的な情報については後述する。
【0035】
(3)各装置で実行される処理のタイミング
図3には、制御装置10、中継装置12および発光装置14が実行する各処理のタイミングが示されている。制御装置10、中継装置12および発光装置14のそれぞれから下方向に伸びる矢印は時間軸を表す。
【0036】
制御装置10は、電文種別記述部に電文指令識別子が記述された動作指令電文を生成する(S1)。制御装置10は、動作指令電文の有線通信ヘッダに、制御対象の発光装置グループに対応する中継装置12のアドレスを宛先アドレスとして記述する。この宛先アドレスは、複数の中継装置12に対して共通に割り当てられた同報中継装置アドレスであってもよい。また、制御装置10は、動作指令電文の無線通信ヘッダに、制御対象の発光装置14のアドレスを宛先アドレスとして記述する。この宛先アドレスは、複数の発光装置14に対して共通に割り当てられた同報発光装置アドレスであってもよい。制御装置10は、カウント値記述部に制御タイマが生成した時刻カウント値を記述し、制御情報記述部にイベント情報を記述する。制御装置10は、このようにして各記述部に情報が記述された動作指令電文を有線通信網に送信する(S2)。
【0037】
複数の中継装置のうち、自らを宛先とする動作指令電文を受信した中継装置12は、カウント値記述部に記述されている時刻カウント値を抽出し、この時刻カウント値に中継遅延カウント値を加算して、時刻カウント値を更新する(S3)。そして、更新された時刻カウント値をカウント値記述部に上書きで記述し、動作指令電文を無線送信する(S4)。中継遅延カウント値は、制御装置10から動作指令電文が送信されてから、中継装置12が電文を送信するまでの中継遅延時間t1に対応するカウント値であり、各中継装置12が設置されたときに各中継装置12に予め記憶される。
【0038】
発光装置14は、自らを宛先とする動作指令電文を受信すると、そのカウント値記述部から時刻カウント値を抽出し、次のような同期処理を実行する(S5)。すなわち、発光装置14は、動作指令電文から抽出された時刻カウント値に下流遅延カウント値を加算して、時刻カウント値を更新する。発光装置14が備える発光タイマは、その時点における発光カウント値を、更新後の時刻カウント値と同一値に設定し、その値から引き続き所定の時間間隔で発光カウント値を1ずつ増加させる。これによって、発光タイマが生成する発光カウント値が、制御タイマが生成する時刻カウント値と同期する。下流遅延カウント値は、中継装置12から動作指令電文が送信されてから、発光装置14が電文を受信するまでの下流遅延時間t2に対応するカウント値であり、各発光装置14が設置されたときに各発光装置14に予め記憶される。
【0039】
発光装置14は、動作指令電文からイベント情報を抽出し記憶する。発光装置14は、イベント情報に基づいて、同期処理が施された発光カウント値に従う発光イベントを実行する(S6)。
【0040】
制御装置10は、動作指令電文を生成し送信する処理を周期Tpで繰り返す。中継装置12は、制御装置10から周期Tpで繰り返し送信された動作指令電文を中継送信する。発光装置14は、中継装置12から順次送信された動作指令電文を受信し、各動作指令電文に含まれるイベント情報に応じた発光イベントを実行する。
【0041】
上記では、ステップS3の処理として、動作指令電文から抽出された時刻カウント値に、調整値として中継遅延カウント値を加算して、時刻カウント値を更新する処理について説明した。このような処理の他、動作指令電文から抽出された時刻カウント値に、調整値として中継遅延カウント値および下流遅延カウント値を加算して、時刻カウント値を更新する処理を実行してもよい。この場合、発光装置14は、ステップS5の同期処理において、動作指令電文から抽出された時刻カウント値を更新しなくてもよい。すなわち、発光装置14が備える発光タイマは、その時点における発光カウント値を、動作指令電文から抽出された時刻カウント値と同一値に設定し、その値から引き続き所定の時間間隔で発光カウント値を1ずつ増加させる。このように、中継装置12で用いられる調整値は、制御装置10と発光装置14との間の中継送信に要される時間に基づいて決定される。
【0042】
1つの動作指令電文を送信してから、次の動作指令電文を受信するまでの間、中継装置12は、同期用電文を周期Tsで繰り返し生成し送信する。同期用電文は、発光装置14に同期処理を実行させるための電文である。
【0043】
図1に示されているように、中継装置12は中継タイマ22を備えている。中継タイマ22は、制御タイマ20および発光タイマ24と同じ時間間隔で1ずつ増加する同期用カウント値を生成する。また、中継タイマ22は、同期用カウント値が最大カウント値に達したときは、次の同期用カウント値を0としてカウント値をリセットし、繰り返しカウントを行う。同期用カウント値の最大カウント値は、時刻カウント値および発光カウント値の最大カウント値と同一の値である。
【0044】
中継装置12は、制御装置10から動作指令電文が送信され、動作指令電文を受信するまでの上流遅延時間t3に相当する上流遅延カウント値を、動作指令電文に記述されていた時刻カウント値に加算した更新カウント値を求める。
【0045】
中継タイマ22は、動作指令電文を受信した時の同期用カウント値を、更新カウント値と同一値に設定してカウントを行う。これによって、制御タイマ20による時刻カウント値と、中継タイマ22による同期用カウント値とが同期する。
【0046】
中継装置12は、このようにして中継タイマを制御タイマに同期させた上で、同期用電文を生成する(S7)。同期用電文は、宛先アドレスとしての発光装置14のアドレス、同期用電文であることを識別するための同期用電文識別子、同期用カウント値、およびイベント情報を含む。すなわち、同期用電文では、無線通信ヘッダに発光装置14のアドレスが宛先アドレスとして記述され、電文種別記述部に同期用電文識別子が記述される。また、カウント値記述部に同期用カウント値が記述され、先に動作指令電文によって送信されたイベント情報と同一のイベント情報が制御情報記述部に記述される。中継装置12は、このようにして生成された同期用電文を送信する(S8)。
【0047】
動作指令電文を送信してから、次の動作指令電文を受信するまでの間、中継装置12は、周期Tsに相当する値だけ同期用カウント値が増加するごとに同期用電文を生成し送信する(S7およびS8)。
【0048】
発光装置14は、自らを宛先とする同期用電文を受信すると、その同期用電文から、同期用カウント値を抽出し、次のような同期処理を実行する(S9)。すなわち、発光装置14は、同期用電文から抽出された同期用カウント値に下流遅延カウント値を加算した更新カウント値を求める。
【0049】
発光装置14が備える発光タイマは、その時点における発光カウント値を、更新カウント値と同一値に設定し、その値から引き続き所定の時間間隔で発光カウント値を1ずつ増加させる。これによって、発光タイマが生成する発光カウント値が、中継タイマが生成する同期用カウント値と同期する。同期用カウント値は、制御カウンタが生成する時刻カウント値に同期するため、発光カウント値もまた、時刻カウント値に同期する。
【0050】
また、発光装置14は、同期用電文からイベント情報を抽出し記憶する。先のステップS4に応じてイベント情報は既に記憶されているため、このイベント情報は上書きで記憶されてもよい。
【0051】
このような処理によれば、発光装置14は、動作指令電文の他、同期用電文によってもイベント情報を取得する。これによって、例えば、通信状況が一時的に良好でなくなったことにより、動作指令電文の送信が正常に行われなかった場合においても、同期用電文によって発光装置14はイベント情報を取得することができる。また、このような処理によれば、中継装置12から発光装置14に複数回に亘って同期用電文が送信される。これによって、例えば、発光タイマが生成する発光カウント値と、中継タイマが生成する同期用カウント値との間の誤差が補正され得る。また、通信状況が一時的に良好でなくなったことにより、同期用電文の送信が正常に行われなかった場合においても、他の同期用電文によって同期処理が行われる。なお、通信状況が良好である等により、発光装置14がイベント情報を繰り返し取得する必要がない場合には、同期用電文の制御情報記述部には、イベント情報が記述されなくてもよい。
【0052】
制御装置10から動作指令電文を送信する時間間隔Tpは、例えば、10secとする。そして、中継装置12から同期用電文を送信する周期Tsは、例えば、100msecとする。この場合、中継装置12から送信される動作指令電文および同期用指令電文の長さを10msec未満とすることで、送信時間の占有率が1/10未満となる。これによって、発光制御システムとは別のシステムに対し、無線通信を行うための十分な時間帯が与えられる。そして、中継装置12の送信信号の周波数を920MHz帯とした場合には、ARIB STD−108の規格が満たされる。
【0053】
なお、ここでは、1つの動作指令電文を送信してから、次の動作指令電文を受信するまでの間、中継装置12が、同期用電文を周期Tsで繰り返し生成し送信する処理について説明した。このような処理の他、中継装置12は、予め定められた回数だけ同期用電文を生成し送信する処理を実行してもよい。また、同期用電文の送信時間間隔は不定期であってもよい。
【0054】
(4)発光イベントの例
発光イベントの例について説明する。1つの処理例として、制御装置10は、1つの発光装置グループ16−iに属する総ての発光装置14を宛先とする動作指令電文を送信する。すなわち、制御装置10は、発光装置グループ16−iに対応する中継装置12−iのアドレスを宛先アドレスとして有線通信ヘッダに記述し、発光装置グループ16−iに属する総ての発光装置14に共通に割り当てられた同報発光装置アドレスを宛先アドレスとして無線通信ヘッダに記述する。制御装置10は、複数の発光装置14のそれぞれに対して個別に点灯態様を指定するイベント情報を制御情報記述部に記述する。中継装置12−iによる中継送信を介して動作指令電文を受信した各発光装置14は、制御情報記述部に記述されたイベント情報に従って発光イベントを実行する。
【0055】
図4(a)〜(c)には、3つの発光装置14−1〜14−3に対して個別に点灯態様を設定するイベント情報の例が示されている。図4(d)には、4つの発光装置14−1〜14−4に対して個別に点灯態様を設定するイベント情報の例が示されている。イベント情報では、各発光装置のID(Identification)に対し、開始カウント値、繰り返し回数、繰り返し時間間隔、点灯時間および色が対応付けられている。開始カウント値は、発光イベントを開始すべき発光カウント値を設定する。繰り返し回数は、点灯および消灯を繰り返すべき回数を設定する。繰り返し時間間隔は、点灯および消灯を繰り返す場合において、先の点灯から次の点灯までの時間間隔をカウント値によって設定する。点灯および消灯が1回のみ行われる場合には、繰り返し間隔は設定されず、図4では、「――」と記載されている。点灯時間は、1回の点灯および消灯における点灯から消灯までの時間をカウント値によって設定する。
【0056】
図4(a)に示される例では、発光装置14−1〜14−3に対して同一の点灯態様が設定されている。開始カウント値がNsに設定され、繰り返し回数が1に設定されている。繰り返し回数が1であるため、繰り返し時間間隔は設定されず、点灯時間がNaに設定され、さらに、色が赤に設定されている。
【0057】
図6には、図4(a)に示されるイベント情報に基づく点灯状態が示されている。各発光装置の発光カウント値NCは時刻カウント値Nに同期しているものとする。発光装置14−1〜14−3のそれぞれは、自らの発光カウント値NCが開始カウント値Nsとなったときに、発光ユニットを赤色で1回だけ発光させる。点灯から消灯までの点灯時間は、カウント値に換算してNaである。各発光装置の発光カウント値NCは、時刻カウント値Nに同期しているため、発光装置14−1〜14−3は同時に赤色で点灯し、各発光装置が備える発光タイマによってNa回カウントされた後に消灯する。この発光イベントでは、例えば、時刻カウント値の1回のカウントを1msecとし、開始カウント値Nsを2000とし、点灯時間Naを200とする。
【0058】
図4(b)に示される例では、発光装置14−1、14−2および14−3について、それぞれ、開始カウント値がNs1、Ns2およびNs3に設定され、繰り返し回数が1に設定されている。開始カウント値Ns2は、開始カウント値Ns1より後の開始カウント値であり、開始カウント値Ns3は、開始カウント値Ns2より後の開始カウント値である。各開始カウント値の間にカウント値のリセットがされない場合には、Ns1<Ns2<Ns3の関係がある。繰り返し回数は1であるため、繰り返し時間間隔は設定されない。点灯時間はNaに設定され、色は赤に設定されている。
【0059】
図7には、図4(b)に示されるイベント情報に基づく点灯状態が示されている。発光装置14−1は、自らの発光カウント値NCが開始カウント値Ns1となったときに赤色で発光ユニットを1回だけ発光させる。発光装置14−2は、自らの発光カウント値NCが開始カウント値Ns2となったときに赤色で発光ユニットを1回だけ発光させ、発光装置14−3は自らの発光カウント値NCが開始カウント値Ns3となったときに、赤色で発光ユニットを1回だけ発光させる。各発光装置での点灯から消灯までの点灯時間は、カウント値に換算してNaである。発光装置14−2は、発光装置14−1が点灯してから(Ns2−Ns1)回だけ発光タイマがカウントした後に点灯する。発光装置14−3は、発光装置14−2が点灯してから(Ns3−Ns2)回だけ発光タイマがカウントした後に点灯する。このように、各発光装置は、発光装置14−1、発光装置14−2および発光装置14−3の順に、カウント値Naに相当する時間だけ赤色に点灯する。この発光イベントでは、例えば、1回のカウントを1msとし、開始カウント値Ns1、Ns2およびNs3を、それぞれ、2000、2500、および3000とし、点灯時間Naを200とする。
【0060】
図4(c)に示される例では、発光装置14−1、14−2および14−3について、それぞれ、開始カウント値がNs1、Ns2およびNs3に設定され、繰り返し回数が3に設定されている。発光装置14−1、14−2および14−3に対し、同一の繰り返し時間間隔N1/N2が設定されている。すなわち、最初の点灯からN1回のカウント後に2番目の点灯が開始し、2番目の点灯からN2回のカウント後に3番目の点灯が開始するよう繰り返し時間間隔が設定されている。発光装置14−1、14−2および14−3に対しては、点灯時間がNaに設定され、さらに、色が赤色、緑色、青色の順に変化するように設定されている。図4(c)では、これら3つの色の変化が「赤/緑/青」と記載されている。
【0061】
図8には、図4(c)に示されるイベント情報に基づく点灯状態が示されている。発光装置14−1は、自らの発光カウント値NCが開始カウント値Ns1となったときに赤色の点灯を開始する。さらに、赤色の点灯からN1回のカウント後に緑色の点灯を開始し、緑色の点灯からN2回のカウント後に青色の点灯を開始する。発光装置14−2は、自らの発光カウント値NCが開始カウント値Ns2となったときに赤色の点灯を開始する。さらに、赤色の点灯からN1回のカウント後に緑色の点灯を開始し、緑色の点灯からN2回のカウント後に青色の点灯を開始する。発光装置14−3は、自らの発光カウント値NCが開始カウント値Ns3となったときに赤色の点灯を開始する。さらに、赤色の点灯からN1回のカウント後に緑色の点灯を開始し、緑色の点灯からN2回のカウント後に青色の点灯を開始する。各発光装置および各色についての点灯から消灯までの点灯時間は、カウント値に換算してNaである。このように、各発光装置は、発光装置14−1、発光装置14−2および発光装置14−3の順に発光イベントを開始し、赤色、緑色、青色の順に、それぞれの色につきNa回のカウントに相当する時間だけ点灯する。この発光イベントでは、例えば、1回のカウントを1msとし、開始カウント値Ns1、Ns2およびNs3を、それぞれ、2000、2500、および3000とし、点灯時間Naを200とする。また、N1およびN2を500とする。
【0062】
図4(d)に示される例では、発光装置14−1〜14−4について、開始カウント値がNsに設定され、繰り返し回数が5000に設定されている。また、発光装置14−1〜14−4について、同一の繰り返し時間間隔が設定されている。すなわち、最初の点灯からN1回のカウント後に2番目の点灯が開始し、2番目の点灯からN2回のカウント後に3番目の点灯が開始し、3番目の点灯からN3回のカウント後に4番目の点灯が開始し、以降、この点灯タイミングが繰り返されるよう、繰り返し時間間隔が設定されている。図4(d)では、この繰り返し時間間隔が「N1/N2/N3・・・」と記載されている。また、発光装置14−1〜14−4に対し、点灯時間がNaに設定されている。さらに、発光装置14−1および14−3に対しては、色が赤色、緑色、青色の順に変化するように設定され、発光装置14−2および14−4に対しては、色が青色、赤色、緑色の順に変化するように設定されている。図4(d)では、発光装置14−1および14−3に対しては、色の変化が「赤/緑/青・・・」と記載され、発光装置14−2および14−4に対しては、「青/赤/緑・・・」と記載されている。
【0063】
図9には、図4(d)に示されるイベント情報に基づく発光イベントが示されている。発光装置14−1〜14−4は、各自の発光カウント値NCが開始カウント値Nsとなったときに発光イベントを開始する。発光装置14−1および14−3は、発光イベント開始時に赤色で点灯する。さらに、赤色の点灯からN1回のカウント後に緑色の点灯を開始し、緑色の点灯からN2回のカウント後に青色の点灯を開始する。そして、青色の点灯からN3回のカウント後に再び赤色の点灯を開始し、以降、点灯消灯回数の積算値が5000となるまで、同様の時間間隔で、赤色、緑色、青色の順に点灯を繰り返す。発光装置14−2および14−4は、発光イベント開始時に青色で点灯する。さらに、青色の点灯からN1回のカウント後に赤色の点灯を開始し、赤色の点灯からN2回のカウント後に緑色の点灯を開始する。そして、緑色の点灯からN3回のカウント後に再び青色の点灯を開始し、以降、点灯消灯回数の積算値が5000となるまで、同様の時間間隔で、青色、赤色、緑色の順に点灯を繰り返す。各発光装置および各色についての点灯から消灯までの点灯時間は、カウント値に換算してNaである。このように、発光装置14−1〜14−4は、同時に発光イベントを開始し、発光装置14−1および14−3は、赤色、緑色、青色の順に点灯するという動作を繰り返す。発光装置14−2および14−4は、青色、赤色、緑色の順に点灯するという動作を繰り返す。この発光イベントでは、例えば、1回のカウントを1msとし、開始カウント値Nsを2000とし、点灯時間Naを200とする。また、N1、N2およびN3を500とする。
【0064】
イベント情報は、例えば、各発光装置14のIDを「14−j」(jは1以上の整数)としたときに、jが偶数である発光装置に対して同一の発光イベントを実行させ、jが奇数である発光装置に対して同一の発光イベントを実行させる情報であってもよい。また、イベント情報は、jを3以上の整数Mで割ったときの余りが同一のものに同一の発光イベントを実行させる情報であってもよい。この場合、jがMに満たない場合には、M−jを余りとして扱うものする。
【0065】
1つの動作指令電文には、複数のイベント情報が含まれていてもよい。この場合、例えば、1つの動作指令電文の制御情報記述部には、図4(a)〜(d)に示されるイベント情報に加えて、図5に示されるようなインデックス情報を含ませてもよい。
【0066】
インデックス情報は、動作指令の対象となる各発光装置14のIDに、イベント情報の数とイベント情報符号を対応付けたものである。図5に示される例では、発光装置14−1〜14−3のそれぞれに対し、イベント情報の数を表すイベント数として「4」が対応付けられ、さらに、イベント情報符号として(a)、(b)、(c)および(d)が対応付けられている。また、発光装置14−4に対し、イベント数として「1」が対応付けられ、さらに、イベント情報符号として(d)が対応付けられている。ここで、イベント情報符号「(a)」〜「(b)」は、図4(a)〜(d)によって示されるイベント情報に対応する。各発光装置14は、インデックス情報を参照し、自らに宛てられているイベント情報の数と、イベント情報符号を認識する。各発光装置14は、イベント情報符号に基づいてイベント情報を参照し、自らに宛てられた1つまたは複数のイベント情報を認識し、各イベント情報に従った発光イベントを実行する。
【0067】
なお、ここでは、動作指令電文の制御情報記述部に記述される情報を図4および図5に示されるような表によって示した。実際には、制御情報記述部に記述される情報は、例えば、これらに表を一連のデジタル符号によって表したものとされる。
【0068】
発光装置14は、道路に配置される走行速度誘導灯として用いられてもよい。この場合、複数の発光装置14が道路に沿って配置される。例えば、自動車の進行方向に沿って順番に発光装置14を点灯および消灯させることで、進行方向に沿った光の流れが形成され、適切な走行方向および走行速度が運転者に視覚的に伝えられる。また、複数の発光装置14を遊園地、公園、イベント会場等に設置し、各発光装置14に発光イベントを実行させて、イルミネーション(光による美観の演出)を実行してもよい。
【0069】
発光制御システムによれば、制御装置10から発光装置14に送信される動作指令電文のみならず、中継装置12から発光装置14に送信される同期用電文によって、制御装置10における時刻カウント値と、発光装置14における発光カウント値が同期する。同期用電文の伝送には特別なハードウエアを設けなくてもよい。したがって、簡単な構成および処理によって、制御装置10および中継装置12の処理を同期させることができる。また、発光装置14は、動作指令電文の他、同期用電文によってもイベント情報を取得する。これによって、例えば、通信状況が良好でない場合に、発光装置14がイベント情報の取得に失敗する頻度が低減される。
【0070】
(5)イベント情報先行送信処理
上記では、中継装置12による中継送信によって、動作指令電文を制御装置10から発光装置14に定期的に送信する処理、および、中継装置12から同期用電文を定期的に送信する処理について説明した。発光制御システムでは、発光イベントが複雑である程、イベント情報の情報量が大きくなり、イベント情報が記述されるこれらの電文が有する情報量もまた大きくなる。したがって、発光イベントが複雑になる程、制御装置10および中継装置12における処理の負担が重くなる。そこで、発光制御システムは、以下に説明するように、制御装置10からイベント情報を発光装置14に予め送信しておき、制御装置10から発光装置14に開始指令電文が送信されることで、発光装置14が発光イベントを実行する処理を実行してもよい。
【0071】
図10には、このようなイベント情報先行送信処理において、制御装置10、中継装置12および発光装置14が実行する各処理のタイミングが示されている。図3に示されている処理と同一の処理については同一の符号を付してその説明を省略する。制御装置10は、スケジュール電文を中継装置12に送信する(S10)。スケジュール電文は、発光イベントの実行に先立ってイベント情報を発光装置14に記憶させておくための電文である。スケジュール電文は、宛先アドレスとしての発光装置14のアドレス、スケジュール電文であることを識別するためのスケジュール電文識別子およびイベント情報を含む。スケジュール電文は、時刻カウント値を含んでいなくてもよい。すなわち、スケジュール電文では、無線通信ヘッダに発光装置14のアドレスが宛先アドレスとして記述され、電文種別記述部にスケジュール電文識別子が記述される。また、カウント値記述部にはヌル情報が記述され、発光装置14に予め記憶させておくべきイベント情報が制御情報記述部に記述される。制御情報記述部には、複数のイベント情報およびインデックス情報が記述されてもよい。
【0072】
イベント情報は、開始カウント値と点灯パターンとの組で表されるものであってもよい。点灯パターンは、例えば、点灯時間、色等によって表されるものであり、{開始カウント値=0000、表示パターン=(色=赤、点灯時間=10カウント)}、{開始カウント値=1000、表示パターン=(色=青、点灯時間=50カウント)}、{開始カウント値=5000、表示パターン=(色=緑、点灯時間=50カウント)}・・・・・・{開始カウント値=102000、表示パターン=(色=青、点灯時間=50カウント)}のように開始カウント値と点灯パターンとの組を、複数組に亘って連ねたものであってもよい。
【0073】
複数の中継装置のうち、自らを宛先とするスケジュール電文を受信した中継装置12は、そのスケジュール電文を発光装置14に送信する(S11)。発光装置14は、自らを宛先とするスケジュール電文を受信すると、そのスケジュール電文からイベント情報を抽出して記憶する。
【0074】
発光装置14に送信するイベント情報が複数ある場合には、複数のイベント情報が、複数のスケジュール電文によって制御装置10から発光装置14に送信されてもよい。中継装置12は、制御装置10から複数回に亘って送信されたスケジュール電文をそれぞれ中継送信する。発光装置14は、各スケジュール電文を受信し、各スケジュール電文からイベント情報を抽出して記憶する。
【0075】
このような処理によって、発光装置14は、発光イベントの実行に先立って、イベント情報を記憶する。
【0076】
制御装置10は、発光装置14に発光イベントを実行させる際には、開始指令電文を生成し(S12)、送信する(S13)。開始指令電文は、発光装置14に対して発光イベントの実行を指令するための電文である。開始指令電文は、宛先アドレスとしての発光装置14のアドレス、開始指令電文であることを識別するための開始指令電文識別子、および時刻カウント値を含む。開始指令電文はイベント情報を含まない。すなわち、開始指令電文では、無線通信ヘッダに発光装置14のアドレスが宛先アドレスとして記述され、電文種別記述部に開始指令電文識別子が記述される。また、カウント値記述部に時刻カウント値が記述され、制御情報記述部にヌル情報が記述される。
【0077】
複数の中継装置のうち、自らを宛先とする開始指令電文を受信した中継装置12は、上述の動作指令電文に対する処理と同様の処理によって、開始指令電文に含まれる時刻カウント値を更新し(S3)、その開始指令電文を発光装置14に送信する(S14)。開始指令電文は、複数回に亘って制御装置10から送信されてもよい。この場合、中継装置12は、制御装置10から複数回に亘って送信された開始指令電文をそれぞれ中継送信する。図10には、制御装置10が3回に亘って開始指令電文を送信し、中継装置12が、各開始指令電文を発光装置14に中継送信する例が示されている。
【0078】
発光装置14は、自らを宛先とする開始指令電文を受信すると、その開始指令電文に含まれる時刻カウント値に基づき同期処理を実行する(S5)。この同期処理は、動作指令電文に含まれる時刻カウント値を用いて行う上記の処理と同様である。これによって、発光タイマが生成する発光カウント値が、制御タイマが生成する時刻カウント値と同期する。発光装置14は、スケジュール電文の受信によって予め記憶されたイベント情報と、発光カウント値に従う発光イベントを実行する(S6)。
【0079】
中継装置12は、開始指令電文に含まれていた時刻カウント値を用いて、中継タイマによる同期用カウント値を、制御タイマによる時刻カウント値に同期させる。この処理は、動作指令電文に含まれる時刻カウント値を用いて行う上記の処理と同様である。開始指令電文を送信した後、中継装置12は同期用電文を生成する(S7)。
【0080】
同期用電文は、宛先アドレスとしての発光装置14のアドレス、同期用電文であることを識別するための同期用電文識別子、および同期用カウント値を含む。ただし、イベント情報先行送信処理で用いられる同期用電文には、イベント情報が含まれない。すなわち、無線通信ヘッダに発光装置14のアドレスが宛先アドレスとして記述され、電文種別記述部に同期用電文識別子が記述される。また、カウント値記述部に同期用カウント値が記述され、制御情報記述部にヌル情報が記述される。中継装置12は、このような同期用電文を生成し(S7)、送信する(S8)。
【0081】
開始指令電文を最後に送信してから予め定められた時間が経過するまでの間、中継装置12は、周期Tsに相当する値だけ同期用カウント値が増加するごとに同期用電文を生成し(S7)、送信する(S8)。
【0082】
発光装置14は、自らを宛先とする同期用電文を受信すると、その同期用電文に含まれていた同期用カウント値を用いて、発光タイマが生成する発光カウント値を、中継タイマが生成する同期用カウント値に同期させる(S9)。
【0083】
このような処理によれば、発光イベントの実行に先立って、制御装置から発光装置にイベント情報が予め送信され、イベント情報が発光装置に記憶される。そして、制御装置から発光装置に開始指令電文が送信されることで、発光装置がイベント情報に従った発光イベントを実行する。開始指令電文および同期用電文にはイベント情報が含まれない。これによって、開始指令電文および同期用電文を送信する際の処理量が低減され、発光装置における発光カウント値、中継装置における同期用カウント値、および制御装置における制御カウント値を迅速に同期させることができる。
【0084】
イベント情報先行送信処理は、制御装置10またはその周辺機器が音楽や動画を再生する一方で、発光装置14が音楽や動画のリズムに合わせて発光イベントを実行する等、複雑な発光イベントを実行するために実行されてもよい。
【0085】
(6)ポーリング処理
制御装置10が、発光装置14から動作情報を取得するポーリング処理について説明する。ここでは、発光装置14が、自らの発光ユニットに印加される電圧を測定する電圧計、発光ユニットに流れる電流を測定する電流計、および発光ユニットの点灯時間の積算値を測定する点灯時間測定計を有しているものとする。動作情報は、発光装置14が備える発光ユニットに印加された電圧、発光ユニットに流れた電流、点灯時間の積算値等の動作状態を表す情報である。ポーリング処理は、1つの動作指令電文を送信してから、次の動作指令電文の生成を開始するまでの時間に行われる。
【0086】
図11には、制御装置10、中継装置12および発光装置14が実行する各処理のタイミングが示されている。図3に示されている処理と同一の処理については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
制御装置10は、発光装置14に対して動作情報の送信を要求するポーリング要求電文を生成する(S20)。ポーリング要求電文は図2に示される構成を有する。制御装置10は、電文種別記述部にポーリング要求識別子を記述する。ポーリング要求識別子が記述された電文はポーリング要求電文として処理される。制御装置10は、ポーリング要求電文の有線通信ヘッダに、宛先の発光装置14が無線接続される中継装置12のアドレスを宛先アドレスとして記述する。また、制御装置10は、ポーリング要求電文の無線通信ヘッダに、宛先の発光装置14のアドレスを宛先アドレスとして記述する。制御装置10は、さらに、動作情報の送信を要求する旨の要求情報を制御情報記述部に記述する。要求情報には、動作情報の具体的な内容を指定する情報が含まれている。制御装置10は、その他の記述部には、技術的に意味を有さないヌル情報等、任意の情報を記述する。
【0088】
制御装置10は、有線通信網にポーリング要求電文を送信する(S21)。複数の中継装置のうち、自らを宛先とするポーリング要求電文を受信した中継装置12は、そのポーリング要求電文を無線送信する(S22)。ポーリング要求電文の送信は、同期用電文の送信に代えて行われる。すなわち、中継装置12はポーリング要求電文を受信したときは、その受信より後に送信される同期用電文、例えば、その受信の直後に送信される同期用電文に代えて、そのポーリング要求電文を送信する。発光装置14は、自らを宛先とするポーリング要求電文を受信すると、次のような応答処理を実行する(S23)。すなわち、発光装置14は、制御情報記述部に記述されている要求情報に従い動作情報を生成する。例えば、要求情報によって指定される動作情報が、発光ユニットに印加された電圧および発光ユニットに流れた電流の測定値を表す情報である場合には、発光装置14は、各測定値を含む動作情報を生成する。また、例えば、要求情報によって指定される動作情報が、所定時間帯において発光ユニットが点灯状態にあった時間の積算値を表す情報である場合には、発光装置14は、その積算値を含む動作情報を生成する。
【0089】
発光装置14は、動作情報を含む応答電文を生成する。応答電文は、図2に示される構成を有する。発光装置14は、電文種別記述部に応答識別子を記述する。応答識別子が記述された電文は応答電文として処理される。発光装置14は、応答電文の無線通信ヘッダに、宛先の中継装置12のアドレスを宛先アドレスとして記述する。また、発光装置14は、応答電文の有線通信ヘッダに、制御装置10のアドレスを宛先アドレスとして記述する。発光装置14は、さらに、動作情報を制御情報記述部に記述する。発光装置14は、その他の記述部には、技術的に意味を有さないヌル情報等、任意の情報を記述する。
【0090】
発光装置14は、このような応答処理(S23)によって生成した応答電文を送信する(S24)。自らを宛先とする応答電文を受信した中継装置12は、その応答電文を制御装置10に送信する(S25)。制御装置10は、応答電文を受信すると、その制御情報記述部から動作情報を抽出する(S26)。
【0091】
ポーリング処理によれば、制御装置10は、1つの動作指令電文を送信してから、次の動作指令電文の生成を開始するまでの時間に、発光装置14から動作情報を取得する。発光装置14において異常が生じた場合には、ユーザは、制御装置10によって取得された動作情報を参照し、発光装置14についての解析を行ってもよい。また、ユーザは、制御装置10によって取得された動作情報を参照し、発光装置14の点検を行ってもよい。
【0092】
なお、上記では、中継装置12が、同期用電文に代えてポーリング要求電文を発光装置14に送信する例について説明した。このような処理に代えて、中継装置12は、動作指令電文または同期用電文の制御情報記述部に、ポーリング要求電文に含まれる情報と同一の情報を含ませる処理を実行してもよい。この場合、中継装置12は、制御装置10からポーリング要求電文を受信すると、そのポーリング要求電文の制御情報記述部から要求情報を抽出する。そして、要求情報を抽出した時より後に送信する動作指令電文または同期用電文の制御情報記述部に要求情報を追加して記述し、その動作指令電文または同期用電文を送信する。
【0093】
また、上記では、発光ユニットに印加された電圧、発光ユニットに流れた電流、または点灯時間の積算値が動作情報に含まれる例について説明した。動作情報には、発光装置14が設置されている環境下の温度、湿度、雨量等の測定値を含ませてもよい。この場合、発光装置14は、温度計、湿度計または雨量計を含み、要求情報に従い温度、湿度または雨量の測定値を動作情報に含ませて、その動作情報を応答電文によって制御装置10に送信する。
【0094】
制御装置10から中継装置12に送信されるポーリング要求電文の有線通信ヘッダに記述される宛先アドレスは、複数の中継装置12に対して共通に割り当てられた同報中継装置アドレスであってもよい。そして、ポーリング要求電文の無線通信ヘッダに記述される宛先アドレスは、複数の発光装置14に対して共通に割り当てられた同報発光装置アドレスであってもよい。この場合、中継装置12は、1つの発光装置グループに属する複数の発光装置14を宛先としたポーリング要求電文を中継送信することとなる。中継装置12は、複数の発光装置14のそれぞれから個別に応答電文を受信し、複数の応答電文のそれぞれから抽出した動作情報を1つにまとめた応答電文を生成し、その応答電文を制御装置10に送信してもよい。制御装置10は、複数の発光装置14から送信された各動作情報を1つの応答電文から抽出する。
【0095】
(7)制御装置を構成するハードウエア
図12には、制御装置10を構成するハードウエアの例が示されている。制御装置10は、情報処理部38、有線通信インターフェース40、操作部42、記憶部44および表示部46を備える。制御装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成される。操作部42は、キーボード、マウス、表示部46に組み込まれるタッチパネル等によって構成され、ユーザの操作に従って情報処理部38に動作の指示を与える。情報処理部38はプロセッサ等によって構成され、記憶部44に記憶されたプログラムを実行する。情報処理部38には制御タイマ20が構成されている。有線通信インターフェース40は、情報処理部38を有線通信網に接続し、有線通信網38に対する送信部および受信部として機能する。情報処理部38は、有線通信インターフェース40を介して有線通信網に電文を送信し、有線通信網から電文を受信する。記憶部44には、プログラムの他、発光装置から取得された動作情報等が記憶されてもよい。表示部46には、制御装置10の動作状況、記憶部44に記憶された情報等が表示される。
【0096】
図3および図11に示される処理において、情報処理部38は動作指令電文を生成し、有線通信インターフェース40を介して有線通信網に送信する。また、情報処理部38はポーリング要求電文を生成し、有線通信インターフェース40を介して有線通信網に送信する。情報処理部38は、さらに、発光装置から無線送信され、中継装置を介して有線通信網に伝送された応答電文を、有線通信インターフェース40を介して受信する。また、図10に示される処理において、情報処理部38はスケジュール電文および開始指令電文を生成し、有線通信インターフェース40を介して有線通信網に送信する。
【0097】
(8)中継装置を構成するハードウエア
図13には、中継装置12を構成するハードウエアの例が示されている。中継装置12は、情報処理部48、有線通信インターフェース50、記憶部52、および無線部54を備える。情報処理部48はプロセッサ等によって構成され、記憶部52に記憶されたプログラムを実行する。情報処理部48には中継タイマ22が構成されている。有線通信インターフェース50は、情報処理部48を有線通信網に接続する。情報処理部48は、有線通信インターフェース50を介して有線通信網から電文を受信し、有線通信網に電文を送信する。無線部54は、送信部および受信部として機能し、情報処理部48から出力された電文を無線送信し、無線信号によって受信された電文を情報処理部48に出力する。記憶部52には、中継遅延カウント値および上流遅延カウント値が記憶されており、情報処理部48に読み込まれる。
【0098】
図3および図11に示される処理において、情報処理部48は、有線通信インターフェース50を介して動作指令電文を受信し、動作指令電文に記述されていた時刻カウント値に調整値としての中継遅延カウント値を加算して、時刻カウント値を更新する。また、図10に示される処理においても同様に、情報処理部48は、有線通信インターフェース50を介して開始指令電文を受信し、開始指令電文に含まれる時刻カウント値を更新する。情報処理部48は、時刻カウント値が更新された動作指令電文または開始指令電文を、無線部54によって無線送信する。中継タイマ22(中継カウント部)は、受信された動作指令電文または開始指令電文に記述されていた時刻カウント値に同期調整値としての上流遅延カウント値を加算し、その値を基準として同期用カウント値をカウントする。さらに、情報処理部48は、同期用カウント値が記述された同期用電文を生成し、無線部54によって無線送信する。また、情報処理部48は、有線通信インターフェース50を介して有線通信網からポーリング要求電文を受信し、そのポーリング要求電文を無線部54によって無線送信する。情報処理部48は、無線部54によって受信された応答電文を、有線通信インターフェース50を介して有線通信網に送信する。
【0099】
(9)発光装置を構成するハードウエア
図14には、発光装置14を構成するハードウエアの例が示されている。発光装置14は、情報処理部56、無線部58、記憶部60、発光ユニット62および測定部64を備える。情報処理部56はプロセッサ等によって構成され、記憶部60に記憶されたプログラムを実行する。情報処理部56には発光タイマ24が構成されている。無線部58は、受信部および送信部として機能し、無線信号によって受信された電文を情報処理部56に出力し、情報処理部56から出力された電文を無線送信する。発光ユニット62は、情報処理部56の制御に従って点灯する。測定部64は、発光ユニット62に印加される電圧、発光ユニット62に流れる電流、発光ユニット62が点灯した時間の積算値、発光装置14が設置されている環境下の温度、湿度、雨量等を測定し、各測定値を情報処理部56に出力する。情報処理部56は、各測定値に基づいて動作情報を生成する。各測定値または動作情報は、記憶部60に記憶されてもよい。記憶部60には、下流遅延カウント値が記憶されており、情報処理部56によって読み込まれる。
【0100】
図3および図11に示される処理において、情報処理部56は、無線部58によって受信された動作指令電文を取得する。また、図10に示される処理において、情報処理部56は、無線部58によって受信された開始指令電文を取得する。発光タイマ24(発光カウント部)は、動作指令電文または開始指令電文に記述されていた時刻カウント値を基準として発光カウント値をカウントする。すなわち、動作指令電文または開始指令電文に記述されていた時刻カウント値に受信調整値としての下流遅延カウント値を加算し、その値を基準として発光カウント値のカウントを行う。情報処理部56は、動作指令電文または開始指令電文から取得したイベント情報を記憶部60に記憶する。また、情報処理部56は、発光カウント値とイベント情報に基づいて発光イベントを実行する。また、情報処理部56は、無線部58によって受信された同期用電文を取得する。発光タイマ24は、同期用電文に記述されていた同期用カウント値に受信調整値としての下流遅延カウント値を加算し、その値を基準として発光カウント値のカウントを行う。また、情報処理部56は、動作情報の送信を要求する電文が無線部58で受信され、その電文を取得すると、動作情報を含む応答電文を生成し、無線部58によって応答電文を無線送信する。
【0101】
(10)発光制御システムの応用例
図15には、本発明に係る発光制御システムの応用例として、小型携帯端末イルミネーションシステム66が示されている。小型携帯端末イルミネーションシステム66は、
パーソナルコンピュータ68、無線LANアクセスポイント70、および小型携帯端末72を備える。パーソナルコンピュータ68および無線LANアクセスポイント70は、図1における制御装置10に対応し、無線LANアクセスポイント70は、制御装置10に備えられた送信部および受信部に対応する。また、小型携帯端末72は発光装置14に対応する。本システムでは、中継装置12に対応する装置は設けられていない。
【0102】
小型携帯端末72は、例えば、スマートホンによって構成される。小型携帯端末72には、専用のアプリケーションが予めインストールされる。複数の小型携帯端末72のそれぞれが発光イベントを実行し、それぞれのディスプレイ74は、パーソナルコンピュータ68による制御に応じた色、明るさ、点灯タイミング、消灯タイミング等で発光する。これによって、複数の小型携帯端末72によるイルミネーションが実行される。イルミネーションの実行に際しては、時間変化と共に、点灯および消灯のリズム、色、明るさ等を変化させてもよい。また、パーソナルコンピュータ68で演奏される音楽のリズムに応じた色およびタイミングで、各小型携帯端末72のディスプレイ74の発光状態を制御してもよい。
【0103】
図16には、パーソナルコンピュータ68および小型携帯端末72が実行する各処理のタイミングが示されている。図3に示されている処理と同一の処理については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0104】
パーソナルコンピュータ68は、電文種別記述部に電文指令識別子が記述された動作指令電文を生成する(S1)。本システムでは、中継装置12に対応する装置が設けられていないため、この動作指令電文には、有線通信ヘッダが設けられていなくてもよい。また、無線通信ヘッダの構成は、無線通信LANの規格に従うものとなる。パーソナルコンピュータ68は、動作指令電文の無線通信ヘッダに、制御対象の小型携帯端末72のアドレスを宛先アドレスとして記述する。この宛先アドレスは、複数の小型携帯端末72に対して共通に割り当てられた同報発光装置アドレスであってもよい。パーソナルコンピュータ68は制御タイマを備える。パーソナルコンピュータ68は、カウント値記述部に制御タイマが生成した時刻カウント値を記述し、制御情報記述部にイベント情報を記述する。パーソナルコンピュータ68は、このようにして各記述部に情報が記述された動作指令電文を無線LANアクセスポイント70を介して送信する(S2)。
【0105】
小型携帯端末72は、自らを宛先とする動作指令電文を受信すると、そのカウント値記述部から時刻カウント値を抽出し、同期処理を実行する(S5)。すなわち、小型端末装置86は、動作指令電文から抽出された時刻カウント値に送信遅延カウント値を加算して、時刻カウント値を更新する。この送信遅延カウント値は、パーソナルコンピュータ68から動作指令電文が送信されてから、その動作指令電文が小型携帯端末72で受信されるまでの送信遅延時間t4に相当する。発光装置としての小型携帯端末72が備える発光タイマは、その時点における発光カウント値を、更新後の時刻カウント値と同一値に設定し、その値から引き続き所定の時間間隔で発光カウント値を1ずつ増加させる。これによって、発光タイマが生成する発光カウント値が、制御タイマが生成する時刻カウント値と同期する。
【0106】
小型携帯端末72は、動作指令電文からイベント情報を抽出し記憶する。小型携帯端末72は、イベント情報に基づいて、同期処理が施された発光カウント値に従う発光イベントを実行する(S6)。
【0107】
パーソナルコンピュータ68は、動作指令電文を生成し送信する処理を周期Tpで繰り返す。小型携帯端末72は、パーソナルコンピュータ68から無線LANアクセスポイント70を介して順次送信された動作指令電文を受信し、各動作指令電文に含まれるイベント情報に応じた発光イベントを実行する。
【0108】
1つの動作指令電文を送信してから、次の動作指令電文を受信するまでの間、パーソナルコンピュータ68は、同期用電文を周期Tsで繰り返し生成し送信する。
【0109】
パーソナルコンピュータ68は同期用電文を生成する(S7)。同期用電文は、宛先アドレスとしての小型携帯端末72のアドレス、同期用電文であることを識別するための同期用電文識別子、同期用カウント値、およびイベント情報を含む。ここで、同期カウント値は、パーソナルコンピュータ68が備える制御タイマによる時刻カウント値と同一の値とする。パーソナルコンピュータ68は、このようにして生成された同期用電文を無線LANアクセスポイント70を介して送信する(S8)。
【0110】
動作指令電文を送信してから、次の動作指令電文を受信するまでの間、パーソナルコンピュータ68は、周期Tsに相当する値だけ時刻カウント値が増加するごとに同期用電文を生成し送信する(S7およびS8)。
【0111】
小型携帯端末72が同期用電文に対して実行する処理は、発光装置14が実行する図3に示された処理と同様である。ただし、小型携帯端末72は、下流遅延カウント値の代わりに、送信遅延カウント値を用いる。
【0112】
小型携帯端末イルミネーションシステム66によれば、簡単な構成および処理によって、パーソナルコンピュータ68および小型携帯端末72の処理を同期させることができる。また、小型携帯端末72は、動作指令電文の他、同期用電文によってもイベント情報を取得する。これによって、例えば、通信状況が良好でない場合に、小型携帯端末72がイベント情報の取得に失敗する頻度が低減される。
【0113】
なお、小型携帯端末イルミネーションシステム66においても、イベント情報先行送信処理が実行されてもよい。この場合、スケジュール電文がパーソナルコンピュータ68から小型携帯端末72に送信され、イベント情報が小型携帯端末72に予め記憶される。パーソナルコンピュータ68から小型携帯端末72に開始指令電文が送信されることで、小型携帯端末72は、イベント情報に従う発光イベントを実行する。
【符号の説明】
【0114】
10 制御装置、12,12−1〜12−N 中継装置、14 発光装置、16−1〜16−N 発光装置グループ、18 有線通信網、20 制御タイマ、22 中継タイマ、24 発光タイマ、26 有線通信ヘッダ、28 無線通信ヘッダ、30 ペイロード部、32 電文種別記述部、34 カウント値記述部、36 制御情報記述部、38,48,56 情報処理部、40,50 有線通信インターフェース、42 操作部、44,52,60 記憶部、46 表示部、54,58 無線部、62 発光ユニット、64 測定部、66 小型携帯端末イルミネーションシステム、68 パーソナルコンピュータ、70 無線LANアクセスポイント、72 小型携帯端末、74 ディスプレイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16