(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
差動型で検出するセンサ素子が1組以上内蔵された差動型のセンサチップと、前記センサチップからの差動検出信号を処理する処理回路チップと、を内蔵するセンサモジュールにおいて、
前記センサチップは、その外周に臨んで配列されたセンサパッドを備え、前記センサパッドが電源パッドとグランドパッドと少なくとも一対の差動検出信号用パッドを有し、前記一対の差動検出信号用パッドは前記電源パッド又は前記グランドパッドのいずれか一方の両側に配置されるとともに、前記電源パッド又は前記グランドパッドのいずれか他方は前記センサパッドの両端のうちの少なくとも一端に配置され、
前記処理回路チップは、前記センサチップの前記電源パッド、前記グランドパッド、及び前記一対の差動検出信号用パッドに対応して、電源接続パッド、グランド接続パッド、及び少なくとも一対の差動検出信号用接続パッドからなるセンサ接続用パッドを備え、
前記センサチップの前記電源パッド又は前記グランドパッドのいずれか他方が前記センサパッドの両端に複数配置されているか、又は、前記センサチップの前記電源パッド又は前記グランドパッドの前記他方に接続可能な前記電源接続パッド又は前記グランド接続パッドが前記センサ接続用パッドの両端に複数配置されているか、のいずれか又は両方であることを特徴とするセンサモジュール。
前記センサ素子が、前記センサチップの表面に平行な方向に検出軸を有し、前記検出軸の方向の物理量を検出する物理量センサであって、互いに直交する前記検出軸を有することを特徴とする請求項2に記載のセンサモジュール。
前記処理回路チップは、前記一対の差動検出信号用接続パッドから入力されたから入力された信号の極性を切り替える極性切り替え手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年のセンサモジュールの小型化に伴い、厚みを犠牲にして面積を小さくする必要がある場合、処理回路チップの上にセンサチップを載せるチップスタック構造が使用される。そのとき、センサチップを平行移動して処理回路チップの上に載せる方法もあるが、これではボンディングワイヤがセンサの検出部の上部を通ることになり、センサとしての検出精度に問題をもたらす。上記問題を避けるために、センサチップを回転させて処理回路チップの上に載せる場合には、センサチップと処理回路チップの配置と、それぞれのパッド配置と、の順番が合わなくなってしまう。したがって、センサチップまたは処理回路チップのパッド配置・順番を変更して、チップから製作し直さなければならず、開発コストが増大する課題があった。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、特に、サイドバイサイド構造又はチップスタック構造であるとともにセンサチップ及び処理回路チップの少なくとも一方がサイドバイサイド構造及びチップスタック構造の両方に対応可能なセンサモジュール、並びに、これに用いるセンサチップ及び処理回路チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のセンサモジュールは、差動型で検出するセンサ素子が1組以上内蔵された差動型のセンサチップと、前記センサチップからの差動検出信号を処理する処理回路チップと、を内蔵し、前記センサチップは、その外周に臨んで配列されたセンサパッドを備え、前記センサパッドが電源パッドとグランドパッドと少なくとも一対の差動検出信号用パッドを有し、前記一対の差動検出信号用パッドは前記電源パッド又は前記グランドパッドのいずれか一方の両側に配置されるとともに、前記電源パッド又は前記グランドパッドのいずれか他方は前記センサパッドの両端のうちの少なくとも一端に配置され、前記処理回路チップは、前記センサチップの前記電源パッド、前記グランドパッド、及び前記一対の差動検出信号用パッドに対応して、電源接続パッド、グランド接続パッド、及び少なくとも一対の差動検出信号用接続パッドからなるセンサ接続用パッドを備え、前記センサチップの前記電源パッド又は前記グランドパッドのいずれか他方が前記センサパッドの両端に複数配置されているか、又は、前記センサチップの前記電源パッド又は前記グランドパッドの前記他方に接続可能な前記電源接続パッド又は前記グランド接続パッドが前記センサ接続用パッドの両端に複数配置されているか、のいずれか又は両方であることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、センサチップが処理回路チップの横に配置されたサイドバイサイド構造とする場合にも、センサチップが処理回路チップの上に搭載されたチップスタック構造とする場合にも、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしに実現可能である。すなわち、サイドバイサイド構造及びチップスタック構造の両方に対応可能となる。また、センサチップや処理回路チップの変更に係るコストを削減できる。
【0012】
また、上記のセンサモジュールにおいて、前記センサチップには、n組(nは2以上)の前記センサ素子が内蔵されるとともに、n組の前記一対の差動検出信号用パッド及び対応する前記一対の差動検出信号用接続パッドであるパッド対は、それぞれ、前記電源パッド又は前記グランドパッドの前記一方を中心として1組目のパッド対である第1パッド対を両側に配置し、以降第n−1パッド対の両側に第nパッド対が順次配置されることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュールが実現可能となる。
【0014】
また、上記のセンサモジュールにおいて、前記センサ素子が、前記センサチップの表面に平行な方向に検出軸を有し、前記検出軸の方向の物理量を検出する物理量センサであって、互いに直交する前記検出軸を有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、センサチップの表面に平行な検出軸方向の物理量センサであれば、処理回路チップの出力は、サイドバイサイド構造とする場合とチップスタック構造とする場合とで極性が変わらないので、処理回路チップに極性を切り替える手段を構成する必要がない。したがって、それに係るコストを削減できる。
【0016】
また、上記のセンサモジュールにおいて、前記処理回路チップは、前記一対の差動検出信号用接続パッドから入力された信号の極性を切り替える極性切り替え手段を備えるものであってもよい。
【0017】
この構成によれば、センサチップの表面に平行な検出軸方向以外の物理量センサであれば、処理回路チップの出力は、サイドバイサイド構造とする場合とチップスタック構造とする場合とで極性が変わるので、極性切り替え手段で信号の極性を切り替えればよい。こうすれば、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュールが実現可能となる。
【0018】
また、上記のセンサモジュールにおいて、前記センサチップには、前記センサ素子が複数組内蔵され、前記センサ素子の組数に応じて、前記一対の差動検出信号用パッドが複数組配置されるとともに、前記処理回路チップは、前記センサ素子の組数に応じて前記一対の差動検出信号用接続パッドが複数組配置されるとともに、前記一対の差動検出信号用接続パッドから入力された信号の組を他の信号の組と切り替える複数組切り替え手段を備えるものであってもよい。
【0019】
この構成によれば、サイドバイサイド構造とする場合とチップスタック構造とする場合とで複数組のセンサ素子の検出軸が入れ替わるときに、複数組切り替え手段で他の信号の組と切り替え、さらに必要に応じて信号の極性を切り替えればよい。こうすれば、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュールが実現可能となる。
【0020】
また、本発明の処理回路チップは、差動型で検出するセンサ素子が1組以上内蔵された差動型のセンサチップの差動検出信号を処理するものであり、前記センサチップの外周に臨んで配列されたセンサ接続用パッドを備え、前記センサ接続用パッドが電源接続パッドPとグランド接続パッドと少なくとも一対の差動検出信号用接続パッドからなり、前記一対の差動検出信号用接続パッドは前記電源接続パッド又は前記グランド接続パッドのいずれか一方の両側に配置されるとともに、前記電源接続パッド又は前記グランド接続パッドのいずれか他方は前記センサ接続用パッドの両端に配置されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、センサチップが処理回路チップの横に配置されたサイドバイサイド構造とする場合にも、センサチップが処理回路チップの上に搭載されたチップスタック構造とする場合にも、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしに実現可能となる。また、センサチップや処理回路チップの変更に係るコストを削減できる。
【0022】
また、上記の処理回路チップは、前記一対の差動検出信号用接続パッドから入力された信号の極性を切り替える極性切り替え手段を備えるものであってもよい。
【0023】
この構成によれば、センサチップの表面に平行な検出軸方向以外の物理量センサであれば、処理回路チップの出力は、サイドバイサイド構造とする場合とチップスタック構造とする場合とで極性が変わるので、極性切り替え手段で信号の極性を切り替えればよい。こうすれば、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュールが実現可能となる。
【0024】
また、前記センサチップに前記センサ素子が複数組内蔵されている場合に、上記の処理回路チップは、前記センサ素子の組数に応じて前記一対の差動検出信号用接続パッドが複数組配置されるとともに、前記一対の差動検出信号用接続パッドから入力された信号の組を他の信号の組と切り替える複数組切り替え手段を備えるものであってもよい。
【0025】
この構成によれば、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュールが実現可能となる。また、センサチップや処理回路チップの変更に係るコストを削減できる。
【0026】
また、本発明のセンサチップは、差動型で検出するセンサ素子が1組以上内蔵された差動型のセンサチップであって、前記センサチップの外周に臨んで配列されたセンサパッドを備え、前記センサパッドが電源パッドとグランドパッドと少なくとも一対の差動検出信号用パッドからなり、前記一対の差動検出信号用パッドは前記電源パッド又は前記グランドパッドのいずれか一方の両側に配置されるとともに、前記電源パッド又は前記グランドパッドのいずれか他方は前記センサパッドの両端に配置されていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、センサチップが処理回路チップの横に配置されたサイドバイサイド構造とする場合にも、センサチップが処理回路チップの上に搭載されたチップスタック構造とする場合にも、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしに実現可能となる。また、センサチップや処理回路チップの変更に係るコストを削減できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、センサチップが処理回路チップの横に配置されたサイドバイサイド構造とする場合にも、センサチップが処理回路チップの上に搭載されたチップスタック構造とする場合にも、センサチップ及び処理回路チップの少なくとも一方が両方に対応可能なパッド配置を有している。したがって、サイドバイサイド構造又はチップスタック構造であるとともに、センサチップや処理回路チップのパッド配置を変更して製作し直すことなしに、サイドバイサイド構造及びチップスタック構造の両方に対応可能なセンサモジュールを提供することができる。
【0029】
また、本発明によれば、サイドバイサイド構造及びチップスタック構造の両方に対応可能なセンサモジュールに用いるセンサチップ及び処理回路チップを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、分かりやすいように、図面は寸法を適宜変更している。
【0032】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態のセンサモジュール1の斜視図であり、サイドバイサイド構造のセンサモジュール1の封止樹脂61を部分透過した斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態のセンサモジュール2の斜視図であり、チップスタック構造のセンサモジュール2の封止樹脂62を部分透過した斜視図である。
図3は、第1実施形態のセンサチップ11を示す説明図である。
図4は、サイドバイサイド構造のセンサモジュール1の封止樹脂61を部分透過した平面図である。
図5は、チップスタック構造のセンサモジュール2の封止樹脂62を部分透過した平面図である。
【0033】
図1に示すセンサモジュール1及び
図2に示すセンサモジュール2は、センシング対象が外部の物理量であるセンサを構成している。
図1及び
図2に示すように、複数のチップ(本実施形態では、センサチップ11及び処理回路チップ21)が配置されたモジュールはマルチチップモジュールと呼ばれている。
図1に示すように複数のチップが平面的に配置されている構造をサイドバイサイド構造と呼称し、
図2に示すように複数のチップが積層配置されている構造をチップスタック構造と呼称している。
【0034】
センサチップ11は、
図3に示すように、差動型で検出するXセンサ素子11X及びYセンサ素子11Yが内蔵され、配線によって接続されたセンサパッドP1を備えている。Xセンサ素子11X及びYセンサ素子11Yは、それぞれ固有の感度軸方向を有しているので、センサチップ11の配置方向によって、物理量センサとしての検出軸方向が変化する。本明細書で、「配置方向」とは、例えば
図1に示す座標を用いて表現される。
【0035】
図1では、センサモジュール1は、配線基板31が、Z1−Z2方向に直交する平面上に、センサチップ11がY2側となり、処理回路チップ21がY1側となるように接続されて配置されている。
図3に示すXセンサ素子11Xは、
図1に示すように配置されたときに、X1−X2方向に感度軸を有し、X1側からX2側に向かう向きの特定の物理量を検出する物理量センサである。
図3に示すYセンサ素子11Yは、
図1に示すように配置されたときに、Y1−Y2方向に感度軸を有し、Y1側からY2側に向かう向きの特定の物理量を検出する物理量センサである。一方、
図2に示すように配置された場合は、感度軸方向が180度回転しているので、X2側からX1側に向かう向きと、Y2側からY1側に向かう向きと、の物理量を検出する。
【0036】
このように配置方向によって検出軸方向が変わる物理量センサは、例えば、検出軸方向が2軸の磁気センサ、加速度センサ、角速度センサ、等である。本実施形態では、感度軸方向の検出値に応じて抵抗値が変化する抵抗式の検出素子を用いたブリッジ回路からの出力電圧を得る事例にて説明する。通常は、検出素子の感度軸方向が、センサモジュールとしたときの検出軸方向になる。
【0037】
処理回路チップ21は、センサチップ11から入力された信号を所望の電気信号に変換して出力する。本実施形態では、シリコンウエハに集積回路を形成してから個片化されたベアチップである。処理回路チップ21は、差動増幅器と呼ばれる差動入力を増幅する増幅回路を備えている。なお、センサチップ11又は処理回路チップ21がベアチップでなく、単体でパッケージに収納された状態であってもよい。その場合のモジュールの構造は、マルチパッケージと呼ばれることもある。
【0038】
センサモジュール1のセンサチップ11は、Z2側の裏面が配線基板31に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサパッドP1を備えている。処理回路チップ21は、Z2側の裏面が配線基板31に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサ接続用パッドP2a及び基板接続用パッドP2bを備えている。また、配線基板31は、Z1側の表面にワイヤボンディング用の端子部P3bを備えている。ワイヤボンディング用のセンサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとはボンディングワイヤBW1を介して電気的に接続されている。さらに、処理回路チップ21の基板接続用パッドP2bと配線基板31の端子部P3bとは、ボンディングワイヤBW2を介して電気的に接続されている。
【0039】
センサモジュール2の処理回路チップ21は、Z2側の裏面が配線基板32に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサ接続用パッドP2a及び基板接続用パッドP2bを備えている。そして、センサモジュール2のセンサチップ11は、Z2側の裏面が処理回路チップ21に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサパッドP1を備えている。また、配線基板32は、Z1側の表面にワイヤボンディング用の端子部P3bを備えている。ワイヤボンディング用のセンサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとはボンディングワイヤBW1を介して電気的に接続されている。さらに、処理回路チップ21の基板接続用パッドP2bと配線基板32の端子部P3bとは、ボンディングワイヤBW2を介して電気的に接続されている。
【0040】
次に、本実施形態において、センサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとが配置されている特徴部分について詳述する。
【0041】
センサチップ11のセンサパッドP1は、処理回路チップ21のセンサ接続用パッドP2aとボンディングワイヤBW1で接続するために、センサチップ11の外周の一辺に臨んで配置され、この一辺に沿って一列に配列されている。センサパッドP1は、
図3〜
図5に示すように、電源パッドP1VとグランドパッドP1Gと2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBからなる。差動検出信号用パッドPXA、PXBはグランドパッドP1Gの両側に配置されるとともに、差動検出信号用パッドPYA、PYBはそれらの両側に配置され、さらに、電源パッドP1VはセンサパッドP1の両端のうちの一端(Y+側)に配置される。言い換えれば、グランドパッドP1Gを中心として、2組の差動検出信号用パッドPXA、PXBと差動検出信号用PYA、PYBとがそれぞれ左右対称に配置されている。
【0042】
処理回路チップ21のセンサ接続用パッドP2aは、センサチップ11の外周の一辺に対向する処理回路チップ21の一辺に沿って一列に配列されている。基板接続用パッドP2bは、センサ接続用パッドP2aが配列された一辺とは異なる辺に沿って配列される。本実施形態では、基板接続用パッドP2bがX1側とX2側の2列に配列されている。
【0043】
処理回路チップ21のセンサ接続用パッドP2aは、
図4に示すように電源接続パッドP2V、グランド接続パッドP2G、及び2組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2からなる。センサチップ11の電源パッドP1V、グランドパッドP1G、及び2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBに対応して、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2はグランド接続パッドP2Gの両側に対称配置され、差動検出信号用接続パッドPY1、PY2はそれらの両側に対称配置され、さらに電源接続パッドP2Vはセンサ接続用パッドP2aの両端2箇所に配置される。言い換えれば、グランド接続パッドP2Gを中心として、2組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2と差動検出信号用接続パッドPY1、PY2と、2箇所の電源接続パッドP2Vと、がそれぞれ左右対称に配置されている。
図4に示すように、電源接続パッドP2Vは2箇所のうち、1箇所(X2側)がセンサチップ11の電源パッドP1VにボンディングワイヤBW1を介して接続されるが、もう1箇所(X1側)は接続されない。
【0044】
図5に示すように、チップスタック構造のセンサモジュール2においては、上述したセンサチップ11が処理回路チップ21に積層配置され、モジュール外形がより小型化される。具体的には、配線基板32の寸法が配線基板31の寸法よりも小さい。
図5に示すチップスタック構造のセンサモジュール2においては、センサパッドP1がセンサ接続用パッドP2aと近づけられるようにセンサチップ11の配置方向が
図4とは異なっている。
【0045】
複数のボンディングワイヤを互いに交差するように設けることは通常困難であり、接触して電気的に短絡する等の不具合を引き起こしやすい。このため、
図4及び
図5に示すように、隣り合うボンディングワイヤBW1が並行するように設けられる。
図5では、センサチップ11の配置方向が
図4とは異なっているため、差動検出信号用パッドPXAと差動検出信号用接続パッドPX1とを接続することができず、差動検出信号用パッドPXAは差動検出信号用接続パッドPX2と接続される。同様に、差動検出信号用パッドPXBは差動検出信号用接続パッドPX1と接続され、差動検出信号用パッドPYAは差動検出信号用接続パッドPY2と接続され、差動検出信号用パッドPYBは差動検出信号用接続パッドPY1と接続される。
【0046】
グランドパッドP1Gはグランド接続パッドP2Gと接続され、電源パッドP1Vは前述のように2箇所の電源接続パッドP2Vのうちの1箇所(X2側)と接続される。
【0047】
このようにセンサチップ11の電源パッドP1V及びグランドパッドP1Gは、サイドバイサイド構造又はチップスタック構造のいずれの配置においても同じ状態で処理回路チップ21に接続される。一方、差動検出信号用パッドPXA、PXBは配置によって、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2が入れ替わり、差動検出信号用パッドPYA、PYBも同様に差動検出信号用接続パッドPY1、PY2が入れ替わって接続され、極性が変わることになる。しかしながら、センサチップ11の配置が異なるため、感度軸方向が180度回転しており、検出する物理量の向きも180度異なっている。このため、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2が入れ替わったことによって、処理回路チップ21において電気信号に変換して出力するときには検出軸方向が同じ状態になっている。したがって、センサチップ11及び処理回路チップ21を変更したり、処理回路チップ21に特別な回路を付加したりすることなく、サイドバイサイド構造又はチップスタック構造のいずれの配置においても、対象とする物理量を同じ状態で検出することができる。
【0048】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0049】
本実施形態のセンサモジュール1、2は、差動型で検出するXセンサ素子11X及びYセンサ素子11Yが内蔵されたセンサチップ11と、センサチップ11からの差動検出信号を処理する処理回路チップ21と、を内蔵している。センサチップ11には、互いに直交する感度軸を有するXセンサ素子11X及びYセンサ素子11Yが内蔵される。センサチップ11は、その外周に臨んで配列されたセンサパッドP1を備え、このセンサパッドP1が電源パッドP1VとグランドパッドP1Gと2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBとを有する。1組目の差動検出信号用パッドPXA、PXBは、グランドパッドP1Gを中心として、その両側に対称配置され、2組目の差動検出信号用パッドPYA、PYBは1組目の両側に配置されるとともに、電源パッドP1VはセンサパッドP1の両端のうちの一端に配置される。処理回路チップ21は、センサチップ11の電源パッドP1V、グランドパッドP1G、及び2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBに対応して、電源接続パッドP2V、グランド接続パッドP2G、及び2組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2からなるセンサ接続用パッドP2aを備える。さらに、センサチップ11の電源パッドP1Vに接続可能な電源接続パッドP2Vがセンサ接続用パッドP2aの両端に複数配置されている。
【0050】
この構成によれば、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップ11や処理回路チップ21のパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュール1、2が実現可能となる。また、センサチップ11の表面に平行な感度軸方向の物理量センサであれば、処理回路チップ21の出力は、サイドバイサイド構造とする場合とチップスタック構造とする場合とで極性が変わらないので、処理回路チップ21に極性を切り替える手段を構成する必要がない。したがって、それに係るコストを削減できる。
【0051】
また、本実施形態の処理回路チップ21は、差動型で検出するXセンサ素子11X及びYセンサ素子11Yが内蔵された差動型のセンサチップ11の差動検出信号を処理するものであり、センサチップ11の外周に臨んで配列されたセンサ接続用パッドP2aを備え、センサ接続用パッドP2aが電源接続パッドP2Vとグランド接続パッドP2Gと2組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2を有し、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2はグランド接続パッドP2Gの両側に配置されるとともに、電源接続パッドP2Vはセンサ接続用パッドP2aの両端に配置されている。
【0052】
この構成によれば、センサチップ11が処理回路チップ21の横に配置されたサイドバイサイド構造とする場合にも、センサチップ11が処理回路チップ21の上に搭載されたチップスタック構造とする場合にも、センサチップ11や処理回路チップ21のパッド配置を変更して製作し直すことなしに実現可能となる。また、センサチップ11や処理回路チップ21の変更に係るコストを削減できる。
【0053】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態のセンサモジュール3の斜視図であり、サイドバイサイド構造のセンサモジュール3の封止樹脂63を部分透過した斜視図である。
図7は、本発明の第2実施形態のセンサモジュール4の斜視図であり、チップスタック構造のセンサモジュール4の封止樹脂64を部分透過した斜視図である。
図8は、第2実施形態のサイドバイサイド構造のセンサモジュール3の封止樹脂63を部分透過した平面図である。
図9は、第2実施形態のチップスタック構造のセンサモジュール4の封止樹脂64を部分透過した平面図である。
図10は、第2実施形態の処理回路チップ22が備える極性切り替え手段22cを示す回路図である。
【0054】
図6に示すセンサモジュール3及び
図7に示すセンサモジュール4は、センシング対象が外部の物理量である3軸センサを構成している。
図6及び
図7に示すように、センサチップ12及び処理回路チップ22が配置されたマルチチップモジュールとなっている。
図6に示すように複数のチップが平面的に配置されている構造をサイドバイサイド構造と呼称し、
図7に示すように複数のチップが積層配置されている構造をチップスタック構造と呼称している。
【0055】
センサチップ12は、差動型で検出するXセンサ素子12X、Yセンサ素子12Y、及びZセンサ素子12Zが内蔵されている。Xセンサ素子12X、Yセンサ素子12Y、及びZセンサ素子12Zは、それぞれ固有の感度軸方向を有しているので、センサチップ12の配置方向によって、物理量センサとしての検出軸方向が変化する。
【0056】
図6では、センサモジュール3は、配線基板33が、Z1−Z2方向に直交する平面上に、センサチップ12がY2側となり、処理回路チップ22がY1側となるように接続されて配置されている。Xセンサ素子12Xは、
図6に示すように配置されたときに、X1−X2方向に感度軸を有し、X1側からX2側に向かう向きの特定の物理量を検出する物理量センサである。Yセンサ素子12Yは、
図6に示すように配置されたときに、Y1−Y2方向に感度軸を有し、Y1側からY2側に向かう向きの特定の物理量を検出する物理量センサである。一方、
図7に示すように配置された場合は、感度軸方向が180度回転しているので、X2側からX1側に向かう向きと、Y2側からY1側に向かう向きと、の物理量を検出する。Zセンサ素子12Zは、
図6及び
図7に示す配置ではZ1−Z2方向に感度軸を有し、Z1側からZ2側に向かう向きの特定の物理量を検出する物理量センサである。
【0057】
このように、
図6のサイドバイサイド構造と
図7のチップスタック構造とで、検出軸方向が180度回転する物理量センサと検出軸方向が変わらない物理量センサとが一体でセンサチップ12に内蔵されている。
【0058】
処理回路チップ22は、センサチップ12から入力された信号を所望の電気信号に変換して出力する。本実施形態では、シリコンウエハに集積回路を形成してから個片化されたベアチップである。
図10に示すように、処理回路チップ22は、差動増幅器と呼ばれる差動入力を増幅する増幅回路22dを備えている。
【0059】
さらに、処理回路チップ22は、増幅回路22dの前段において、Zセンサ素子12Zから入力された信号の極性を切り替える極性切り替え手段22cを備えている。具体的には、
図10に示すように、複数のスイッチで配線を切り替える回路によって、極性切り替え手段22cが構成されている。
【0060】
センサモジュール3のセンサチップ12は、Z2側の裏面が配線基板33に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサパッドP1を備えている。処理回路チップ22は、Z2側の裏面が配線基板33に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサ接続用パッドP2a及び基板接続用パッドP2bを備えている。また、配線基板33は、Z1側の表面にワイヤボンディング用の端子部P3bを備えている。ワイヤボンディング用のセンサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとはボンディングワイヤBW1を介して電気的に接続されている。さらに、処理回路チップ22の基板接続用パッドP2bと配線基板33の端子部P3bとは、ボンディングワイヤBW2を介して電気的に接続されている。
【0061】
センサモジュール4の処理回路チップ22は、Z2側の裏面が配線基板34に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサ接続用パッドP2a及び基板接続用パッドP2bを備えている。センサモジュール4のセンサチップ12は、Z2側の裏面が処理回路チップ22に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサパッドP1を備えている。また、配線基板34は、Z1側の表面にワイヤボンディング用の端子部P3bを備えている。ワイヤボンディング用のセンサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとはボンディングワイヤBW1を介して電気的に接続されている。さらに、処理回路チップ22の基板接続用パッドP2bと配線基板34の端子部P3bとは、ボンディングワイヤBW2を介して電気的に接続されている。
【0062】
次に、本実施形態において、センサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとが配置されている特徴部分について詳述する。
【0063】
センサチップ12のセンサパッドP1は、処理回路チップ22のセンサ接続用パッドP2aとボンディングワイヤBW1で接続するために、センサチップ12の外周の一辺に臨んで配置され、この一辺に沿って一列に配列されている。センサパッドP1は、
図8〜
図9に示すように、電源パッドP1VとグランドパッドP1Gと3組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYB、PZA、PZBからなる。差動検出信号用パッドPXA、PXBはグランドパッドP1Gの両側に対称配置されるとともに、差動検出信号用パッドPYA、PYBはそれらの両側に対称配置され、差動検出信号用パッドPZA、PZBはさらにそれらの両側に対象配置され、さらに、電源パッドP1VはセンサパッドP1の両端のうちの一端(Y+側)に配置される。
【0064】
処理回路チップ22のセンサ接続用パッドP2aは、センサチップ12の外周の一辺に対向する処理回路チップ22の一辺に沿って一列に配列されている。基板接続用パッドP2bは、センサ接続用パッドP2aが配列された一辺とは異なる辺に沿って配列される。本実施形態では、基板接続用パッドP2bがX1側とX2側の2列に配列されている。
【0065】
処理回路チップ22のセンサ接続用パッドP2aは、
図8に示すように電源接続パッドP2V、グランド接続パッドP2G、及び3組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2、PZ1、PZ2からなる。センサチップ12の電源パッドP1V、グランドパッドP1G、及び3組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYB、PZA、PZBに対応して、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2はグランド接続パッドP2Gの両側に対称配置され、差動検出信号用接続パッドPY1、PY2はそれらの両側に対称配置され、差動検出信号用接続パッドPZ1、PZ2はさらにそれらの両側に対称配置され、さらに電源接続パッドP2Vはセンサ接続用パッドP2aの両端2箇所に配置される。
図8に示すように、電源接続パッドP2Vは2箇所のうち、1箇所(X2側)がセンサチップ12の電源パッドP1VにボンディングワイヤBW1を介して接続されるが、もう1箇所(X1側)は接続されない。
【0066】
図9に示すように、チップスタック構造のセンサモジュール4においては、上述したセンサチップ12が処理回路チップ22に積層配置され、モジュール外形がより小型化される。
図9に示すセンサパッドP1がセンサ接続用パッドP2aと近づけられるようにセンサチップ12の配置方向が
図8とは異なっている。
【0067】
複数のボンディングワイヤを互いに交差するように設けることは通常困難であり、接触して電気的に短絡する等の不具合を引き起こしやすい。このため、
図8及び
図9に示すように、隣り合うボンディングワイヤBW1が並行するように設けられる。
図9では、センサチップ12の配置方向が
図8とは異なっているため、差動検出信号用パッドPXAと差動検出信号用接続パッドPX1とを接続することができず、差動検出信号用パッドPXAは差動検出信号用接続パッドPX2と接続される。同様に、差動検出信号用パッドPXBは差動検出信号用接続パッドPX1と接続され、差動検出信号用パッドPYAは差動検出信号用接続パッドPY2と接続され、差動検出信号用パッドPYBは差動検出信号用接続パッドPY1と接続され、差動検出信号用パッドPZAは差動検出信号用接続パッドPZ2と接続され、差動検出信号用パッドPZBは差動検出信号用接続パッドPZ1と接続される。
【0068】
グランドパッドP1Gはグランド接続パッドP2Gと接続され、電源パッドP1Vは前述のように2箇所の電源接続パッドP2Vのうちの1箇所(X2側)と接続される。
【0069】
このようにセンサチップ12の電源パッドP1V及びグランドパッドP1Gは、サイドバイサイド構造又はチップスタック構造のいずれの配置においても同じ状態で処理回路チップ22に接続される。一方、差動検出信号用パッドPXA、PXBは配置によって、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2が入れ替わり、差動検出信号用パッドPYA、PYBも同様に差動検出信号用接続パッドPY1、PY2が入れ替わって接続され、極性が変わることになる。しかしながら、センサチップ12の配置が異なるため、感度軸方向が180度回転しており、検出する物理量の向きも180度異なっている。このため、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2が入れ替わったことによって、処理回路チップ22において電気信号に変換して出力するときには検出軸方向が同じ状態になっている。
【0070】
一方、
図9に示すチップスタック構造の差動検出信号用パッドPZAは差動検出信号用接続パッドPZ2と接続され、差動検出信号用パッドPZBは差動検出信号用接続パッドPZ1と接続されるが、サイドバイサイド構造又はチップスタック構造のいずれの配置においても感度軸方向は変わらない。このため、これだけでは、検出する物理量の向きが入れ替わって、極性が変わる。しかしながら、
図10に示すように、極性切り替え手段22cが構成されているので、スイッチで配線を切り替えることによって、対象とする物理量の向きを所望の同じ状態にすることができる。
【0071】
したがって、センサチップ12及び処理回路チップ22を変更することなく、サイドバイサイド構造又はチップスタック構造のいずれの配置においても、対象とする物理量を同じ状態で検出することができる。
【0072】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0073】
本実施形態のセンサモジュール3、4は、差動型で検出するXセンサ素子12X、Yセンサ素子12Y、及びZセンサ素子12Zが内蔵された差動型のセンサチップ12と、センサチップ12の差動検出信号を処理する処理回路チップ22と、を内蔵している。センサチップ12は、その外周に臨んで配列されたセンサパッドP1を備え、センサパッドP1が電源パッドP1VとグランドパッドP1Gと3組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYB、PZA、PZBを有し、差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYB、PZA、PZBはグランドパッドP1Gの両側に対称配置されるとともに、電源パッドP1VはセンサパッドP1の両端のうちの少なくとも一端に配置されている。処理回路チップ22は、センサチップ12の電源パッドP1V、グランドパッドP1G、及び3組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYB、PZA、PZBに対応して、電源接続パッドP2V、グランド接続パッドP2G、及び3組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2、PZ1、PZ2からなるセンサ接続用パッドP2aを備えている。さらに、センサチップ12の電源パッドP1Vに接続可能な電源接続パッドP2Vがセンサ接続用パッドP2aの両端に複数配置されている。
【0074】
この構成によれば、センサチップ12が処理回路チップ22の横に配置されたサイドバイサイド構造とする場合にも、センサチップ12が処理回路チップ22の上に搭載されたチップスタック構造とする場合にも、センサチップ12や処理回路チップ22のパッド配置を変更して製作し直すことなしに実現可能である。すなわち、サイドバイサイド構造及びチップスタック構造の両方に対応可能となる。また、センサチップ12や処理回路チップ22の変更に係るコストを削減できる。
【0075】
また、本実施形態のセンサモジュール3、4は、処理回路チップ22が、1組の差動検出信号用接続パッドPZ1、PZ2から入力された信号の極性を切り替える極性切り替え手段22cを備える。
【0076】
この構成によれば、センサチップ12の表面に平行な感度軸方向以外の物理量センサであれば、処理回路チップ22の出力は、サイドバイサイド構造とする場合とチップスタック構造とする場合とで極性が変わるので、極性切り替え手段22cで信号の極性を切り替えればよい。こうすれば、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップ12や処理回路チップ22のパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュール3、4が実現可能となる。
【0077】
また、本実施形態の処理回路チップ22は、差動型で検出するXセンサ素子12X、Yセンサ素子12Y、及びZセンサ素子12Zが3組内蔵された差動型のセンサチップ12の差動検出信号を処理するものであり、センサチップ12の外周に臨んで配列されたセンサ接続用パッドP2aを備え、センサ接続用パッドP2aが電源接続パッドP2Vとグランド接続パッドP2Gと3組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2、PZ1、PZ2を有し、3組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2、PZ1、PZ2はグランド接続パッドP2Gの両側に対称配置されるとともに、電源接続パッドP2Vはセンサ接続用パッドP2aの両端に配置されている。さらに、処理回路チップ22は、一対の差動検出信号用接続パッドPZ1、PZ2から入力された信号の極性を切り替える極性切り替え手段22cを備える。
【0078】
この構成によれば、センサチップ12の表面に平行な感度軸方向以外の物理量センサであれば、処理回路チップ22の出力は、サイドバイサイド構造とする場合とチップスタック構造とする場合とで極性が変わるので、極性切り替え手段22cで信号の極性を切り替えればよい。こうすれば、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップ12や処理回路チップ22のパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュール3、4が実現可能となる。
【0079】
なお、第2実施形態の特徴について、3軸センサモジュールのセンサモジュール3、4を用いて説明したが、本実施形態は3軸センサモジュールに限定されるものではない。例えば、Zセンサ素子のみの1軸センサモジュールであってもよい。また、複数種の物理量センサを一体化した多軸センサモジュールであってもよい。
【0080】
[第3実施形態]
図11は、本発明の第3実施形態のセンサモジュール5の斜視図であり、サイドバイサイド構造のセンサモジュール5の封止樹脂65を部分透過した斜視図である。
図12は、本発明の第3実施形態のセンサモジュール6の斜視図であり、チップスタック構造のセンサモジュール6の封止樹脂66を部分透過した斜視図である。
図13は、第3実施形態のサイドバイサイド構造のセンサモジュール5の封止樹脂65を部分透過した平面図である。
図14は、第3実施形態のチップスタック構造のセンサモジュール6の封止樹脂66を部分透過した平面図である。
図15は、第3実施形態の処理回路チップ23が備える複数組切り替え手段23cを示す回路図である。
【0081】
図11に示すセンサモジュール5及び
図12に示すセンサモジュール6は、センシング対象が外部の物理量である2軸センサを構成している。
図11及び
図12に示すように、センサチップ13及び処理回路チップ23が配置されたマルチチップモジュールとなっている。
図11に示すように複数のチップが平面的に配置されている構造をサイドバイサイド構造と呼称し、
図12に示すように複数のチップが積層配置されている構造をチップスタック構造と呼称している。
【0082】
センサチップ13は、差動型で検出するXセンサ素子13X及びYセンサ素子13Yが内蔵されている。Xセンサ素子13X及びYセンサ素子13Yは、それぞれ固有の感度軸方向を有しているので、センサチップ13の配置方向によって、物理量センサとしての検出軸方向が変化する。
【0083】
図11では、センサモジュール5は、配線基板35が、Z1−Z2方向に直交する平面上に、センサチップ13がY2側となり、処理回路チップ23がY1側となるように接続されて配置されている。Xセンサ素子13Xは、
図11に示すように配置されたときに、X1−X2方向に感度軸を有し、X1側からX2側に向かう向きの特定の物理量を検出する物理量センサである。Yセンサ素子13Yは、
図11に示すように配置されたときに、Y1−Y2方向に感度軸を有し、Y1側からY2側に向かう向きの特定の物理量を検出する物理量センサである。一方、
図12に示すように配置された場合は、感度軸方向が180度回転しているので、X2側からX1側に向かう向きと、Y2側からY1側に向かう向きと、の物理量を検出する。
【0084】
処理回路チップ23は、センサチップ13から入力された信号を所望の電気信号に変換して出力する。本実施形態では、シリコンウエハに集積回路を形成してから個片化されたベアチップである。
図15に示すように、処理回路チップ23は、差動増幅器と呼ばれる差動入力を増幅する増幅回路23dを備えている。
図15は、増幅回路23dを複数組備える事例である。
【0085】
さらに、処理回路チップ23は、増幅回路23dの前段において、入力された信号の組を他の組と切り替える複数組切り替え手段23cを備えている。具体的には、
図15に示すように、複数のスイッチで配線を切り替える回路によって、複数組切り替え手段23cが構成されている。
【0086】
センサモジュール5のセンサチップ13は、Z2側の裏面が配線基板35に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサパッドP1を備えている。処理回路チップ23は、Z2側の裏面が配線基板35に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサ接続用パッドP2a及び基板接続用パッドP2bを備えている。また、配線基板35は、Z1側の表面にワイヤボンディング用の端子部P3bを備えている。ワイヤボンディング用のセンサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとはボンディングワイヤBW1を介して電気的に接続されている。さらに、処理回路チップ23の基板接続用パッドP2bと配線基板35の端子部P3bとは、ボンディングワイヤBW2を介して電気的に接続されている。
【0087】
センサモジュール6の処理回路チップ23は、Z2側の裏面が配線基板36に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサ接続用パッドP2a及び基板接続用パッドP2bを備えている。センサモジュール6のセンサチップ13は、Z2側の裏面が処理回路チップ23に接着材で固定され、Z1側の表面にワイヤボンディング用のセンサパッドP1を備えている。また、配線基板36は、Z1側の表面にワイヤボンディング用の端子部P3bを備えている。ワイヤボンディング用のセンサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとはボンディングワイヤBW1を介して電気的に接続されている。さらに、処理回路チップ23の基板接続用パッドP2bと配線基板36の端子部P3bとは、ボンディングワイヤBW2を介して電気的に接続されている。
【0088】
次に、本実施形態において、センサパッドP1とセンサ接続用パッドP2aとが配置されている特徴部分について詳述する。
【0089】
センサチップ13のセンサパッドP1は、処理回路チップ23のセンサ接続用パッドP2aとボンディングワイヤBW1で接続するために、センサチップ13の外周の一辺に臨んで配置され、この一辺に沿って一列に配列されている。センサパッドP1は、
図13〜
図14に示すように、電源パッドP1VとグランドパッドP1Gと2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBからなる。差動検出信号用パッドPXA、PXBはグランドパッドP1Gの片側に隣り合って配置されるとともに、差動検出信号用パッドPYA、PYBはグランドパッドP1Gの他の側に隣り合って配置され、さらに、電源パッドP1VはセンサパッドP1の両端のうちの一端(Y+側)に配置される。
【0090】
処理回路チップ23のセンサ接続用パッドP2aは、センサチップ13の外周の一辺に対向する処理回路チップ23の一辺に沿って一列に配列されている。基板接続用パッドP2bは、センサ接続用パッドP2aが配列された一辺とは異なる辺に沿って配列される。本実施形態では、基板接続用パッドP2bがX1側とX2側の2列に配列されている。
【0091】
処理回路チップ23のセンサ接続用パッドP2aは、
図13に示すように電源接続パッドP2V、グランド接続パッドP2G、及び2組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2からなる。センサチップ13の電源パッドP1V、グランドパッドP1G、及び2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBに対応して、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2はグランド接続パッドP2Gの片側に隣り合って配置され、差動検出信号用接続パッドPY1、PY2はグランド接続パッドP2Gの他の側に隣り合って配置され、さらに電源接続パッドP2Vはセンサ接続用パッドP2aの両端2箇所に配置される。
図13に示すように、電源接続パッドP2Vは2箇所のうち、1箇所(X2側)がセンサチップ13の電源パッドP1VにボンディングワイヤBW1を介して接続されるが、もう1箇所(X1側)は接続されない。
【0092】
図14に示すように、チップスタック構造のセンサモジュール6においては、上述したセンサチップ13が処理回路チップ23に積層配置され、モジュール外形がより小型化される。
図14に示すセンサパッドP1がセンサ接続用パッドP2aと近づけられるようにセンサチップ13の配置方向が
図13とは異なっている。
【0093】
複数のボンディングワイヤを互いに交差するように設けることは通常困難であり、接触して電気的に短絡する等の不具合を引き起こしやすい。このため、
図13及び
図14に示すように、隣り合うボンディングワイヤBW1が並行するように設けられる。
図14では、センサチップ13の配置方向が
図13とは異なっているため、差動検出信号用パッドPXAと差動検出信号用接続パッドPX1とを接続することができず、差動検出信号用パッドPXAは差動検出信号用接続パッドPY2と接続される。同様に、差動検出信号用パッドPXBは差動検出信号用接続パッドPY1と接続され、差動検出信号用パッドPYAは差動検出信号用接続パッドPX2と接続され、差動検出信号用パッドPYBは差動検出信号用接続パッドPX1と接続される。
【0094】
グランドパッドP1Gはグランド接続パッドP2Gと接続され、電源パッドP1Vは前述のように2箇所の電源接続パッドP2Vのうちの1箇所(X2側)と接続される。
【0095】
このようにセンサチップ13の電源パッドP1V及びグランドパッドP1Gは、サイドバイサイド構造又はチップスタック構造のいずれの配置においても同じ状態で処理回路チップ23に接続される。一方、差動検出信号用パッドPXA、PXBは配置によって、差動検出信号用接続パッドPY2、PY1に接続され、差動検出信号用パッドPYA、PYBも同様に差動検出信号用接続パッドPX2、PX1に接続されて、感度軸と極性とが変わることになる。しかしながら、
図15に示すように、複数組切り替え手段23cが構成されているので、スイッチで配線を切り替えることによって、対象とする物理量の向きを所望の同じ状態にすることができる。
【0096】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0097】
本実施形態のセンサモジュール5、6は、差動型で検出するXセンサ素子13X及びYセンサ素子13Yが内蔵されたセンサチップ13と、センサチップ13からの差動検出信号を処理する処理回路チップ23と、を内蔵している。センサチップ13には、互いに直交する感度軸を有するXセンサ素子13X及びYセンサ素子13Yが内蔵される。センサチップ13は、その外周に臨んで配列されたセンサパッドP1を備え、このセンサパッドP1が電源パッドP1VとグランドパッドP1Gと2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBとを有する。2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBは、グランドパッドP1Gを中心として、差動検出信号用パッドPXA、PXBはグランドパッドP1Gの片側に隣り合って配置されるとともに、差動検出信号用パッドPYA、PYBはグランドパッドP1Gの他の側に隣り合って配置され、さらに、電源パッドP1VはセンサパッドP1の両端のうちの一端(Y+側)に配置される。処理回路チップ23は、センサチップ13の電源パッドP1V、グランドパッドP1G、及び2組の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBに対応して、電源接続パッドP2V、グランド接続パッドP2G、及び2組の差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2からなるセンサ接続用パッドP2aを備える。そして、センサチップ13の電源パッドP1Vに接続可能な電源接続パッドP2Vがセンサ接続用パッドP2aの両端に複数配置されている。さらに、差動検出信号用接続パッドPX1、PX2、PY1、PY2から入力された信号の組を切り替える複数組切り替え手段23cを備える。
【0098】
この構成によれば、サイドバイサイド構造とする場合とチップスタック構造とする場合とでセンサチップ13と処理回路チップ23とをボンディングワイヤBW1で接続し、複数組切り替え手段23cによって入力された信号を適切に出力するように切り替えることができる。これにより、サイドバイサイド構造とする場合にも、チップスタック構造とする場合にも、センサチップ13や処理回路チップ23のパッド配置を変更して製作し直すことなしにセンサモジュール5、6が実現可能となる。また、センサチップ13や処理回路チップ23の変更に係るコストを削減できる。
【0099】
なお、第3実施形態の処理回路チップ23は、センサチップ13の差動検出信号用パッドPXA、PXB、PYA、PYBの配置に限定されず、例えば、その並び順が一部入れ替わっていても適切に切り替えることが可能である。また、センサチップ11と組み合せる場合にも、複数組切り替え手段23cを適切に切り替えることが可能である。
【0100】
また、第3実施形態の特徴について、2軸センサモジュールのセンサモジュール5、6を用いて説明したが、本実施形態は2軸センサモジュールに限定されるものではない。例えば、3軸センサモジュールであって、センサチップと処理回路チップとが3組の差動検出信号を処理する構成としてもよい。
【0101】
以上のように、本発明の実施形態のセンサモジュール、並びに、これに用いるセンサチップ及び処理回路チップを具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらも本発明の技術的範囲に属する。
【0102】
(1)第1実施形態〜第3実施形態のセンサモジュール、並びに、これに用いるセンサチップ及び処理回路チップにおいて、グランドパッドP1Gを中心として電源パッドP1Vを両端に複数配置する構成としていたが、電源パッドP1Vを中心にグランドパッドP1Gを両端に複数配置するように変更してもよい。
【0103】
(2)第1実施形態〜第3実施形態のセンサモジュール、並びに、これに用いるセンサチップ及び処理回路チップにおいて、処理回路チップの電源接続パッドP2Vがセンサ接続用パッドの両端に複数配置されているとしたが、センサチップの電源パッドP1Vがパッドの両端に複数配置されるものであってもよい。
図16に第1変形例を示す。
図16は、第1変形例のサイドバイサイド構造のセンサモジュール7の封止樹脂を部分透過した平面図である。第1実施形態のセンサモジュール1と同じ符号を用いて、第1変形例のパッド配置が異なる並びであることを示している。この場合、電源パッドP1V及び電源接続パッドP2Vのいずれか一方又は両方が複数配置されていればよい。また、電源パッドP1Vを中心にグランドパッドP1Gが複数配置された構成としてもよい。
【0104】
(3)第2実施形態のセンサモジュール3、4、並びに、これに用いる処理回路チップ22において、極性切り替え手段22cが増幅回路22dの前段に配置されているが、極性切り替え手段22cの前段に入力信号を増幅する増幅器を配置してもよい。
図17に第2変形例を示す。
図17は、第2変形例の処理回路チップ24が備える極性切り替え手段24cを示す回路図である。
図17に示す処理回路チップ24では、増幅回路24dの後段に極性切り替え手段24cを配置し、マルチセレクタを備えたA/D変換回路24eに接続されている。A/D変換回路24eの出力は図示しないデジタル回路によって差動処理が行われる。同様に、第3実施形態のセンサモジュール5、6、並びに、これに用いる処理回路チップ23において、複数組切り替え手段23cが増幅回路23dの前段に配置されているが、逆にしてもよい。
【0105】
(4)第1実施形態〜第3実施形態のセンサモジュールは配線基板を用いたパッケージ形態であったが、金属のリードフレームを加工して形成された端子部とチップの載置部とが設けられたパッケージ形態であってもよい。
【0106】
(5)第1実施形態〜第3実施形態のセンサモジュールは封止樹脂に覆われたパッケージ形態であったが、ボンディングワイヤの周りが気体や真空のキャビティとなるパッケージ形態であってもよい。