(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、採用後、使用者側と従業者側のミスマッチが生じた場合には、祝い金という金銭によるインセンティブにより多少の勤続の可能性はあるにせよ、ユーザは、いずれは離職せざるを得ない状況となる。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、使用者である医療機関と従業者である医療従事者とのミスマッチを極力軽減することで医療従事者の離職を極力防止し、かつ医療機関側の価値も高められるマッチングシステムを実現可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る情報処理装置は、通信部と、記憶部と、制御部とを有する。上記通信部は、医療機関における管理者の端末及び当該医療機関に雇用されている医療従事者の端末と通信可能である。上記記憶部は、上記医療従事者の勤務状況の改善を意図して作成された複数の助言情報と、上記医療従事者の現在までの雇用日数を示す雇用日数情報とを記憶する。上記制御部は、上記医療従事者の端末から、当該医療従事者の勤務状況を複数項目について当該医療従事者自身が評価した第1の医療従事者評価データを定期的に受信するとともに、上記管理者の端末から、上記医療従事者の勤務状況を上記複数項目について上記管理者が評価した第2の医療従事者評価データを定期的に受信するように上記通信部を制御可能である。また制御部は、上記受信された第1の医療従事者評価データと上記受信された第2の医療従事者評価データとの差分を上記複数項目毎に定期的に算出可能であり、上記算出された差分が所定の閾値以上である場合に、上記記憶された複数の助言情報から選択された少なくとも1つの助言情報を上記管理者または上記医療従事者の端末へ送信するように上記通信部を制御可能である。さらに制御部は、上記算出された差分と、上記記憶された雇用日数情報とを基に、上記差分が小さくかつ上記雇用日数が多いほど評価が高くなるように、上記医療機関の評価を示す医療機関評価データを生成可能である。
【0007】
ここで医療機関とは、病院、医院(歯科医院を含む)、診療所のほか、薬局、助産所、施術所、歯科技工所、介護老人保健施設などの医療関連機関も含む概念である。医療従事者とは、当該医療機関(及び医療関連機関)に雇用されている者を指し、例えば、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、診療エックス線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師、柔道整復師等であるが、これらに限られず、また国家資格であるか否かにも関わらない。
【0008】
これにより情報処理装置は、第1の医療従事者評価データと第2の医療従事者評価データとの差分が閾値以上である場合に助言情報を選択して管理者または医療従事者の端末へ送信することで、使用者である医療機関と従業者である医療従事者とのミスマッチを極力軽減し、それにより医療従事者の離職を極力防止できるとともに、上記差分及び雇用日数を基に医療機関評価データを作成し医療機関に医療従事者とのギャップが小さくなるよう当該医療機関評価データの改善を促すことで、医療機関側の価値も高められるマッチングシステムを実現することができる。ここで医療従事者評価データ及び医療機関評価データは、数値データとして生成されてもよいし、所定範囲毎の数値データの段階に応じた、A,B,C,D,E等の複数段階のデータとして生成されてもよい。
【0009】
上記記憶部は、上記医療従事者の就業分野を示す就業分野情報と、上記医療従事者の勤務地を示す勤務地情報とを上記医療従事者毎に記憶してもよい。この場合上記制御部は、医療機関評価データの生成に際し、上記就業分野情報及び上記勤務地情報のうち少なくとも一方に応じて、上記雇用日数に異なる重みを付与してもよい。
【0010】
これにより情報処理装置は、医療従事者の就業分野または勤務地といった勤務環境が雇用日数に影響することを考慮して、勤務環境によって医療機関評価データに偏りが生じるのを防ぐことができる。
【0011】
上記制御部は、上記医療機関に雇用されている他の医療従事者の端末または上記医療機関の患者の端末から、当該他の医療従事者または患者が上記医療従事者の勤務状況を評価した第3の医療従事者評価データを受信するように上記通信部を制御してもよい。さらに制御部は、上記算出された差分と、上記第1の医療従事者評価データと上記受信された第3の医療従事者評価データとの差分の平均値を基に上記医療機関評価データを生成してもよい。
【0012】
これにより情報処理装置は、医療従事者の管理者による医療従事者の評価(第2の医療従事者評価データ)が事実を正確に反映していない可能性がある場合でも、第三者による客観的な評価データ(第3の医療従事者評価データ)を追加的に用いることで、医療機関評価データの信憑性を高めることができる。
【0013】
上記通信部は、外部の求職者の端末または当該求職者がアクセス可能な求人情報提供者の端末と通信可能であってもよい。この場合上記制御部は、上記生成された医療機関評価データを、上記求職者の端末または上記求人情報提供者の端末からの要求に応じて送信するように上記通信部を制御してもよい。
【0014】
これにより情報処理装置は、医療機関評価データを求職者の端末に送信することで、求職者に自身が就職を希望する医療機関の選択に資する情報を提供することができる。
【0015】
上記制御部は、上記医療従事者の退職時に、直近の上記第1の医療従事者評価データ及び上記第2の医療従事者評価データから算出された差分と、上記記憶された雇用日数情報とを基に、上記差分が小さくかつ上記雇用日数が多いほど高くなるように、上記医療従事者の慰労金の額を算出してもよい。
【0016】
これにより情報処理装置は、医療従事者の退職時に、その医療従事者に支払われる慰労金の額を、医療従事者と医療機関との評価のギャップが小さいほど高くなるように算出することで、両者の間のギャップが小さいほど高く評価され多くの慰労金が支払われるシステムを実現することができる。
【0017】
本発明の他の形態に係る情報処理方法は、
医療機関に雇用されている医療従事者の勤務状況の改善を意図して作成された複数の助言情報と、上記医療従事者の現在までの雇用日数を示す雇用日数情報とを記憶し、
上記医療従事者の端末から、当該医療従事者の勤務状況を複数項目について当該医療従事者自身が評価した第1の医療従事者評価データを定期的に受信するとともに、上記医療機関の管理者の端末から、上記医療従事者の勤務状況を上記複数項目について上記管理者が評価した第2の医療従事者評価データを定期的に受信し、
上記受信された第1の医療従事者評価データと上記受信された第2の医療従事者評価データとの差分を上記複数項目毎に定期的に算出し、
上記算出された差分が所定の閾値以上である場合に、上記記憶された複数の助言情報から選択された少なくとも1つの助言情報を上記管理者または上記医療従事者の端末へ送信し、
上記算出された差分と、上記記憶された雇用日数情報とを基に、上記差分が小さくかつ上記雇用日数が多いほど評価が高くなるように、上記医療機関の評価を示す医療機関評価データを生成することを含む。
【0018】
本発明のまた別の形態に係るプログラムは、情報処理装置に、
医療機関に雇用されている医療従事者の勤務状況の改善を意図して作成された複数の助言情報と、上記医療従事者の現在までの雇用日数を示す雇用日数情報とを記憶するステップと、
上記医療従事者の端末から、当該医療従事者の勤務状況を複数項目について当該医療従事者自身が評価した第1の医療従事者評価データを定期的に受信するとともに、上記医療機関の管理者の端末から、上記医療従事者の勤務状況を上記複数項目について上記管理者が評価した第2の医療従事者評価データを定期的に受信するステップと、
上記受信された第1の医療従事者評価データと上記受信された第2の医療従事者評価データとの差分を上記複数項目毎に定期的に算出するステップと、
上記算出された差分が所定の閾値以上である場合に、上記記憶された複数の助言情報から選択された少なくとも1つの助言情報を上記管理者または上記医療従事者の端末へ送信するステップと、
上記算出された差分と、上記記憶された雇用日数情報とを基に、上記差分が小さくかつ上記雇用日数が多いほど評価が高くなるように、上記医療機関の評価を示す医療機関評価データを生成するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、使用者である医療機関と従業者である医療従事者とのミスマッチを極力軽減することで医療従事者の離職を極力防止し、かつ医療機関側の価値も高められるマッチングシステムを実現することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に係る医師・医療機関評価システムの構成を示した図である。
【0023】
同図に示すように、このシステムは、インターネット50上の医師・医療機関評価サーバ100と、病院や診療所等の医療機関内の管理者端末200と、複数の医師端末300とを含む。同図では医療機関として1つのみが示されているが、複数存在していてもよい。
【0024】
医師・医療機関評価サーバ100は、各医療機関における各医師と、各医療機関を評価するための情報処理を実行するサーバであり、管理者端末200及び複数の医師端末300とインターネット50を介して接続されている。
【0025】
管理者端末200は、各医療機関の管理者(例えば院長や理事長、医局長等、各医師を雇用・管理する立場にある者)により医療機関内で使用される端末であり、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレットPC(Personal Computer)、ノートブックPC、デスクトップPC等である。
【0026】
医師端末300(300A,300B,300C...)は、各医療機関に雇用されている医師により医療機関内で使用される端末であり、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレットPC(Personal Computer)、ノートブックPC、デスクトップPC等である。
【0027】
さらに、医師・医療機関評価サーバ100は、インターネット50を介して、医療機関の外部のユーザ端末400(400A,400B...)とも接続可能とされている。外部のユーザ端末400のユーザは、例えば上記医療機関の患者や、当該医療機関に就職を希望している医師(求職者)等であり得る。
【0028】
本実施形態では、医師・医療機関評価サーバ100は、管理者端末200及び医師端末300から、管理者及び医師がそれぞれ当該医師の勤務状況を同一項目について評価した評価データ(医師評価データ)を受信し、両評価データの差分に基づいて、当該医師の勤務状況を改善するための助言情報を管理者または医師またはその両方に提供する。また一方で医師・医療機関評価サーバ100は、上記両評価データの差分に基づいて、当該医療機関を評価した評価データ(医療機関評価データ)も生成する。
【0029】
[医師・医療機関評価サーバのハードウェア構成]
図2は、上記医師・医療機関評価サーバ100のハードウェア構成を示した図である。同図に示すように、医師・医療機関評価サーバ100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入出力インタフェース15、及び、これらを互いに接続するバス14を備える。
【0030】
CPU11は、必要に応じてRAM13等に適宜アクセスし、各種演算処理を行いながら医師・医療機関評価サーバ100の各ブロック全体を統括的に制御する。ROM12は、CPU11に実行させるOS、プログラムや各種パラメータなどのファームウェアが固定的に記憶されている不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の作業用領域等として用いられ、OS、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。
【0031】
入出力インタフェース15には、表示部16、操作受付部17、記憶部18、通信部19等が接続される。
【0032】
表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic ElectroLuminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いた表示デバイスである。
【0033】
操作受付部17は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、その他の入力装置である。操作受付部17がタッチパネルである場合、そのタッチパネルは表示部16と一体となり得る。
【0034】
記憶部18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ(SSD;Solid State Drive)、その他の固体メモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶部18には、上記OSや各種アプリケーション、各種データに加えて、本実施形態における医師及び医療機関の評価処理に必要なソフトウェアプログラム及びデータが記憶される。
【0035】
後述するが、特に本実施形態において、記憶部18は、医師情報データベース、医師評価情報データベース、差分・助言情報データベース、医療機関評価情報データベースを有している。
【0036】
通信部19は、例えばEthernet用のNIC(Network Interface Card)や無線LAN等の無線通信用の各種モジュールであり、上記管理者端末200及び医師端末300との間の通信処理を担う。
【0037】
なお、図示しないが、管理者端末200及び医師端末300の基本的なハードウェア構成も上記医師・医療機関評価サーバ100のハードウェア構成と略同様である。
【0038】
[医師・医療機関評価サーバのデータベース構成]
図3は、上記医師・医療機関評価サーバ100が有するデータベースの構成を示した図である。
【0039】
同図に示すように、医師・医療機関評価サーバ100は、記憶部18に、医師情報データベース31、医師評価情報データベース32、差分・助言情報データベース33、及び医療機関評価情報データベース34を有している。
【0040】
医師情報データベース31は、各医療機関に雇用されている医師に関する情報、すなわち、医師の氏名、識別情報ID、勤務先の医療機関、当該医師の勤務地、当該医師の就業分野、現在までの雇用期間等を記憶している。これらの情報は、医師が医療機関に新たに雇用された段階で例えば管理者端末200から受信される。
【0041】
医師の勤務地は、上記医療機関の本部の所在地とは異なる場合もある。また就業分野とは、例えば内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、整形外科、脳神経外科、心臓外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、リハビリテーション科等の分野である。
【0042】
医師評価情報データベース32は、各医療機関の管理者端末200及び医師端末300から受信した、複数の評価項目に関する医師評価データを医師のID及び医療機関のIDと紐付けて記憶している。
【0043】
当該医師評価データは、各医療機関の医師の勤務状況を、複数の評価項目について当該医師自身が評価した第1の医師評価データと、上記医師の勤務状況を上記と同一の評価項目について当該医師の管理者が評価した第2の医師評価データとに区分されて記憶される。
【0044】
これら第1の医師評価データ及び第2の医師評価データは、上記管理者端末200及び医師端末300から定期的(例えば1カ月毎、3カ月毎、半年毎等)に受信される。後述するが、上記評価データにおける各項目は、例えば勤務状況に関する所定の質問に上記管理者及び医師が選択肢の中から回答を選択する形式とされている。
【0045】
差分・助言情報データベース33は、上記第1の医師評価データと第2の医師評価データとの上記評価項目毎の差分データと、各医療機関に雇用されている医師の勤務状況の改善を意図して作成された複数の助言情報とを記憶している。
【0046】
上記差分データは、例えば、上記第1の医師評価データと第2の医師評価データとが定期的に受信される毎に算出され、医師の評価情報として医師毎に記憶される。当該差分データは、評価対象の医師の人事評価に用いられるほか、当該医師の退職時における慰労金の算出にも用いられる。
【0047】
また助言情報は、上記第1の医師評価データと第2の医師評価データとの間で算出された評価項目毎の差分に応じた、医師の勤務状況を改善させるための助言(テキスト情報)を含む。
【0048】
具体的には、第1の医師評価データ及び第2の医師評価データにおける質問(評価項目)は、その内容に応じたカテゴリ毎に分類されており、助言情報は、当該各カテゴリにおいて大きな差分が存在する場合に、当該カテゴリにおいて医師の勤務状況を改善することを意図して作成されたものである。また、全カテゴリの合計において大きな差分が存在する場合に総合的に対処するための総合助言情報も記憶されている。ここでカテゴリとは、例えば、「院内関係対応」、「患者対応」、「研究的な取り組み」、「責任・管理意識」、「専門職としての態度」等である。さらに、助言情報としては、医師に対する助言情報のみならず、管理者に対する助言情報(医師の勤務状況を改善させるための管理者に対する助言)も記憶されている。
【0049】
医療機関評価情報データベース34は、上記各評価データの評価対象の医師を雇用している医療機関を評価した医療機関評価データを、医療機関の識別情報(ID)と対応付けて記憶している。当該医療機関評価データは、上記第1の医師評価データと第2の医師評価データとの差分と、評価対象の医師の雇用日数に応じて算出される。
【0050】
また医療機関評価情報データベース34には、上記医師情報データベース31に記憶された医師の勤務地及び就業分野に応じて設定された重みデータも記憶している。当該重みデータは、上記医療機関評価データの算出時において、上記評価対象の医師の勤務地及び就業分野に応じて選択され上記雇用日数に対して重みを付与するために用いられる。
【0051】
重みデータは、例えば、全勤務地における医師の就業人口に対する就業人口割合が低い勤務地であるほど大きくなるように設定され、また就業人口が少ない就業分野であるほど大きくなるように設定されている。
【0052】
これら各データベースは、後述する医師・医療機関評価サーバ100による医師・医療機関評価処理において、必要に応じて相互に参照されて用いられる。
【0053】
[医師・医療機関評価サーバの動作]
次に、以上のように構成された医師・医療機関評価サーバ100の動作について説明する。当該動作は、医師・医療機関評価サーバ100のCPU11及び通信部19等のハードウェアと、記憶部18に記憶されたソフトウェアとの協働により実行される。以下の説明では、便宜上、CPU11を動作主体とする。
【0054】
図4は、医師・医療機関評価サーバ100による、医師・医療機関評価処理の流れを示したフローチャートである。当該動作は、各医療機関の各医師について、当該各医師が雇用されてから所定期間が経過する度に定期的に実行される。
【0055】
同図に示すように、医師・医療機関評価サーバ100のCPU11は、まず、ある医療機関の医師端末300から、当該医師端末300のユーザである医師が当該医師自身を評価した第1の医師評価データを受信したか否かを判断する(ステップ41)。
【0056】
医師端末300から第1の医師評価データを受信したと判断した場合(Yes)、CPU11は、当該第1の医師評価データを上記医師評価情報データベース32に記憶する(ステップ42)。
【0057】
続いてCPU11は、上記管理者端末200から、上記評価対象の医師を管理者が評価した第2の医師評価データを受信したか否かを判断する(ステップ43)。
【0058】
管理者端末200から第2の医師評価データを受信したと判断した場合(Yes)、CPU11は、当該第2の医師評価データを上記医師評価情報データベース32に記憶する(ステップ42)。
【0059】
図5は、上記第1の医師評価データの例を示した図である。
【0060】
同図に示すように、第1の医師評価データは、評価項目としての複数の質問テキスト情報と、それに対する回答としての選択肢及びそれを選択するためのチェックボックスから構成されている。選択肢は、質問内容に対する例えば5段階の評価で構成される。当該各選択肢には、例えばその並び順が早いほど高くなるように評価点(スコア)が設定されている。例えば同図の1番目の評価項目の選択肢に関しては、「良好」には5点、「ほぼ良好」には4点、「普通」には3点、「やや悪い」には2点、「悪い」には1点がそれぞれ設定されている。
【0061】
医師・医療機関評価サーバ100は、上記チェックボックスに対する入力がなされていない空の状態の評価フォームを、例えば定期的に医師端末300へ、例えばhtml等の形式のデータとして送信する。医師端末300のユーザである医師は、各質問に対する回答を、チェックボックスを介して入力し、例えばフォーム上の図示しない送信ボタン等を介して、医師端末300から医師・医療機関評価サーバ100へ返信する。
【0062】
上述したように、これらの複数の質問(評価項目)は、「院内関係対応」、「患者対応」、「研究的な取り組み」、「責任・管理意識」、「専門職としての態度」といった、その内容に応じたカテゴリ毎に分類されている。
【0063】
図示しないが、第2の医師評価データについても、上記と同様のチェックボックスが未入力の評価フォームが管理者端末200へ送信され、管理者によってチェックボックスに対する入力がなされて管理者端末200から医師・医療機関評価サーバ100へ返信される。
【0064】
この場合のフォーム上の質問(評価項目)の文章は、管理者が医師を評価するものであるため、医師が医師自身を評価する第1の医師評価データにおける質問の文章とは異なるが、評価対象は同一である。例えば、
図5の第1の医師評価データにおける1番目の質問「院長との関係はいかがですか?」は、第2の医師評価データにおいては、「A田B子医師との関係はいかがですか?」と置き換えられ、第1の医師評価データにおける2番目の質問「個々の患者に応じて、意図的な情報収集ができていますか?」は、第2の医師評価データにおいては、「A田B子医師は、個々の患者に応じて、意図的な情報収集ができていると思いますか?」と置き換えられる。
【0065】
図4に戻り、CPU11は、上記記憶した第1の医師評価データと第2の医師評価データとの差分を算出する(ステップ45)。
【0066】
具体的には、CPU11は、例えば、上記評価項目毎に、第1の医師評価データと第2の医師評価データとの差分を算出する。すなわち、第1の医師評価データ及び第2の医師評価データの各評価項目において、医師及び管理者がそれぞれ選択した回答に設定されている上記評価点の差分が算出される。
【0067】
そしてCPU11は、上記評価項目毎に算出した差分を、上記カテゴリ毎に集計し、さらに全カテゴリの差分を合計した値を算出する。
図6は、その集計結果を示した図である。
【0068】
同図に示すように、「院内関係対応」、「患者対応」、「研究的な取り組み」、「責任・管理意識」、「専門職としての態度」の各カテゴリについて、第1の医師評価データ(自己評価)における医師が選択した選択肢に応じたスコアの合計と、第2の医師評価データ(院長評価)における管理者が選択した選択肢に応じたスコアの合計との差分が算出されている。さらに、「総評」として、それら5つのカテゴリにおける、第1の医師評価データのスコアの合計、第2の医師評価データのスコアの合計、及びそれらの合計の差分も算出されている。
【0069】
図4に戻り、CPU11は、上記算出した第1の医師評価データと第2の医師評価データとのカテゴリ毎の差分または全カテゴリ合計における差分が、所定の各閾値以上であるか否かを判断する(ステップ46)。所定の閾値は、カテゴリ毎の差分については、例えば5点、全カテゴリ合計の差分については例えば15点等であるが、これらに限られない。
【0070】
いずれかのカテゴリまたは全カテゴリ合計における差分が、所定の各閾値以上であると判断した場合(Yes)、CPU11は、当該差分が生じているカテゴリに対応する助言情報または全カテゴリに対応する総合助言情報を、上記差分・助言情報データベース33から選択し、評価対象の医師の医師端末300及び/または当該医師を評価した管理者の管理者端末200へ送信する(ステップ47)。当該助言情報は、例えば電子メールやインスタントメッセージとして送信されてもよいし、医療機関内のLAN上の所定のURLにhtmlデータとしてアップロードされ、当該URLが医師端末300及び管理者端末200に電子メールやインスタントメッセージ等によって通知されてもよい。
【0071】
ここで、助言情報は、カテゴリ毎の各助言情報及び総合助言情報が別個に送信されてもよいが、閾値以上の差分が生じているカテゴリの各助言情報及び総合助言情報が組み合わされて1つの助言情報として送信されてもよい。
【0072】
図7は、当該助言情報の例を示した図である。同図では、管理者に対する助言情報が示されており、総合助言情報に加えて、院内関係対応(院長との関係や規則・方針の順守等)カテゴリに関して医師の改善を促すための管理者に対する助言情報が含まれている。この助言情報を受けて、管理者と医師は必要に応じて勤務状況改善のための面談等を行う。
【0073】
図示しないが、医師に対する助言情報も、同図に示したのと同様の形式で作成され医師端末300へ送信される。
【0074】
図4に戻り、CPU11は、上記医師評価データの全カテゴリに関する差分の合計と、医師情報データベース31に記憶されている評価対象の医師の雇用日数情報とを基に、当該医師が雇用されている医療機関を評価した医療機関評価データを生成する(ステップ48)。
【0075】
具体的には、CPU11は、各カテゴリの差分の合計が小さく、かつ、現在までの雇用日数が多いほど評価が高くなるように、医療機関評価データを生成する。例えば、差分の合計値の逆数または当該逆数に所定の係数が乗じられた値に、雇用日数が乗じられることで医療機関評価データが生成されてもよい。
【0076】
ここでCPU11は、雇用日数をそのまま用いるのではなく、医療機関評価情報データベース34に記憶された重みデータを基に、評価対象医師の上記勤務地情報及び上記就業分野情報のうち少なくとも一方に応じて、雇用日数に重みを付与してもよい。上述したように、重みデータは、就業人口割合が低い勤務地であるほど、また就業人口が少ない就業分野であるほど大きくなるように設定されている。
【0077】
具体的には、当該重みデータは、例えば0より大きく1より小さい値として設定されており、例えば就業人口の多い都心の勤務地について、または就業人口の多い内科については、0.1の重みが設定され、就業人口の少ない過疎地の勤務地について、または就業人口の少ない神経科については、0.9の重みが設定されている。
【0078】
したがってCPU11は、例えば、上記差分の合計値の逆数に雇用日数を乗じ、さらに、上記勤務地または就業分野に応じた重みを乗じることで、上記評価対象の医師に関する医療機関評価データを生成する。
【0079】
これにより、医師の就業分野または勤務地といった勤務環境が雇用日数に影響することを考慮して、勤務環境によって医療機関評価データに偏りが生じるのを防ぐことができる。
【0080】
続いてCPU11は、上記算出された医療機関評価データを上記医療機関評価情報データベース34へ記憶する(ステップ49)。
【0081】
CPU11は、以上の処理を、評価対象の医師及び管理者から当該医師に関する第1の医師評価データ及び第2の医師評価データを受信する度に実行する。したがって、上記医療機関評価データは、評価対象の異なる医師毎に生成されることになる。CPU11は、同一の医療機関について、これら医師毎の医療機関評価データにおけるスコアの平均値を、その医療機関に関する最終的な医療機関評価データとして、医療機関評価データベース34に記憶する。
【0082】
続いてCPU11は、医療機関の外部のユーザ端末400から、医療機関評価データの送信要求を受信したか否かを判断する(ステップ50)。当該送信要求は、例えば、医療機関のIDと共に送信される。
【0083】
そしてCPU11は、上記医療機関評価データの送信要求を受信したと判断した場合(Yes)、上記医療機関評価情報データベース34から、上記送信要求に含まれるIDに対応する医療機関評価データ(医療機関名及びスコア)を抽出し、要求元のユーザ端末400へ送信する(ステップ51)。
【0084】
ここでユーザ端末400は、典型的には、上記IDで識別される医療機関に就職を希望している医師(求職者)の端末である。また、ユーザ端末400は、当該求職者がアクセス可能な求人情報提供者(求人情報サービス会社)の端末(求職者に求人情報を提供する端末)であってもよい。
【0085】
これにより、医療機関評価データが求職者または求人情報提供者の端末に送信されることで、求職者に自身が就職を希望する医療機関の選択に資する情報が提供される。すなわち、医療機関評価データは、医師と医療機関(管理者)との間で、その医師の勤務状況の捉え方に対するギャップが小さく、かつ、当該医師がその医療機関に長く雇用されているほど、大きな値となることから、その値が大きいほど、医師として働きやすい(長く働ける)医療機関であるということができ、求職者は、それを基準として自らが就職を希望する医療機関を見定めることができる。
【0086】
また、CPU11は、ユーザ端末400からの要求に応じて、複数の医療機関の各医療機関評価データ(スコア)の一覧を送信してもよい。
【0087】
また、図示しないが、CPU11は、上記医療機関の医師が退職することが決定した際に、上記第1の医師評価データと第2の医師評価データとの差分と、上記雇用日数情報とを基に、当該退職する医師に支払われる慰労金の額を算出してもよい。例えば、上記差分の逆数またはそれに所定の係数を乗じた値に、上記雇用日数が乗じられ、必要に応じて就業分野や勤務地等のその他の考慮要素に関するパラメータが乗じられることで、慰労金の額が算出されてもよい。
【0088】
これにより、医師の退職時に支払われる慰労金の額が、医師と医療機関との評価のギャップが小さいほど高くなるように算出されることで、両者の間のギャップが小さいほど多くの慰労金が支払われることから、医師に対してそれに対するインセンティブも与えられる。
【0089】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、医師・医療機関評価サーバ100は、第1の医師評価データと第2の医師評価データとの差分が閾値以上である場合に助言情報を選択して管理者または医師の端末へ送信することで、使用者である医療機関と従業者である医師とのミスマッチを極力軽減し、それにより医師の離職を極力防止できるとともに、上記差分及び雇用日数を基に医療機関評価データを作成し医療機関に医師とのギャップが小さくなるよう当該医療機関評価データの改善を促すことで、医療機関側の価値も高められるマッチングシステムを実現することができる。
【0090】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0091】
上述の実施形態では、医師評価データは、医療機関の医師及び管理者によって入力され医師・医療機関評価サーバ100へ送信された。しかし、これに加えて、医師評価データは、当該医療機関の患者や他の医師が評価対象の医師に対する評価を入力することによって作成されてもよい(第3の医師評価データ)。
【0092】
患者から第3の医師評価データが受信される場合、例えば患者が医療機関を訪れ、医療機関内の特定のエリアを通過した際に、医師・医療機関評価サーバ100から患者のスマートフォン等の端末へ、評価対象の医師の評価項目を有する評価フォームを例えばプッシュ通知等によってWi−Fi等を介して送信する。そして、当該患者の端末において各選択肢の選択が入力された医師評価データが、例えばフォーム上の送信ボタン等を介して医師・医療機関評価サーバ100へ送信される。また、患者の端末用に、予めまたは医療機関来訪時に評価入力用のアプリケーションがインストールされ、当該アプリケーションが、例えば位置情報等によって医療機関内に存在することを認識した場合に、当該アプリケーションが起動して上記評価フォームの入力画面が表示されてもよい。
【0093】
他の医師から第3の医師評価データが受信される場合、上記第1及び第2の医師評価データと同様に、定期的に当該他の医師の医師端末300へ上記評価フォームが送信され、当該他の医師による医師端末300上での評価フォームへの入力により、第3の医師評価データが作成され、フォーム上の送信ボタン等を介して医師・医療機関評価サーバ100へ送信される。
【0094】
医師・医療機関評価サーバ100は、上記受信した第3の医師評価データと、上記医師自身により入力された第1の医師評価データとの差分を、上記カテゴリ毎及び評価項目全体について算出し、当該差分と、上記第1の医師評価データと上記第2の医師評価データとのカテゴリ毎及び評価項目全体についての差分との平均値を基に、上記医療機関評価データを生成してもよい。
【0095】
これにより、医師の管理者による医師の評価(第2の医師評価データ)が現状を正確に反映していない可能性がある場合でも、第三者による客観的な評価データ(第3の医師評価データ)を追加的に用いることで、医療機関評価データの信憑性を高めることができる。
【0096】
また、上記第3の医師評価データについては、そのカテゴリ毎及び全カテゴリについてのスコアが、上記慰労金の額の算出に当たって加味されてもよい。例えば、第3の医師評価データのスコアの平均値を1とした場合の、各評価対象の医師の第3の医師評価データのスコアが、慰労金の額に乗じられてもよい。
【0097】
さらに、患者から入力された第3の医師評価データについては、上記第1の評価データとの差分の算出に用いられるのではなく、上記第1の医師評価データと第2の医師評価データとの差分及び雇用日数によって算出された医療機関評価データの補正値として用いられてもよい。具体的には、上記第1の医師評価データと第2の医師評価データとの差分及び雇用日数によって算出された医療機関評価データに、上記第3の医師評価データの合計スコアまたはそれを正規化した値が加算されることで最終的な医療機関評価データが生成されてもよい。これは、患者による医師の評価は、患者による医療機関への評価と捉えることもできるからである。
【0098】
上述の実施形態においては、医療機関の種別については特に言及していないが、例えば、医療機関が大学病院や総合病院である場合と、個人開業医による医院や診療所である場合とで、上記医師評価データの評価項目の内容が変更されてもよい。これは、医療機関の種別によって、可能な医療行為や患者の要求も異なると考えられ、一律の評価基準で評価することが適当でない場合もあるからである。
【0099】
上述の実施形態において、助言情報は、テキスト情報として提示されたが、助言情報はテキスト情報に限られず、例えば、当該テキスト情報に対応する情報をカウンセラーが話す様子を録画した動画像情報または音声情報であっても構わない。
【0100】
上述の実施形態においては、医療機関として病院、医院または診療所を例に挙げ、医療従事者として医師を例に挙げたが、医療機関及び医療従事者はこれらに限られない。すなわち、歯科医院、薬局、助産所、施術所、歯科技工所、介護老人保健施設等の他の医療機関(医療関連機関)を対象として、当該医療機関に雇用されている歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、診療エックス線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師、柔道整復師等の端末及びその管理者の端末と通信可能な評価サーバについても、本発明は同様に適用可能である。
【0101】
本願の特許請求の範囲に記載された発明のうち、「情報処理方法」と記載された発明は、その各ステップを、ソフトウェアによる情報処理によりコンピュータ等の少なくとも1つの装置が自動的に行うものであり、人間がコンピュータ等の装置を用いて行うものではない。すなわち、当該「情報処理方法」は、コンピュータ・ソフトウェアによる情報処理方法であって、コンピュータという計算道具を人間が操作する方法ではない。
【解決手段】医療従事者の端末から、医療従事者の勤務状況を複数項目について医療従事者自身が評価した第1の医療従事者評価データを定期的に受信し、管理者の端末から、医療従事者の勤務状況を複数項目について管理者が評価した第2の医療従事者評価データを定期的に受信し、受信された第1の医療従事者評価データと受信された第2の医療従事者評価データとの差分を複数項目毎に定期的に算出し、算出された差分を基に、記憶された複数の助言情報から選択された少なくとも1つの助言情報を管理者または医療従事者の端末へ送信し、算出された差分と、記憶された雇用日数情報とを基に、差分が小さくかつ雇用日数が多いほど評価が高くなるように、医療機関の評価を示す医療機関評価データを生成する。