特許第6194406号(P6194406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6194406装着可能なデバイスに電子回路を封入するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194406
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】装着可能なデバイスに電子回路を封入するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1486 20060101AFI20170828BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   A61B5/14 340
   G01N27/26 371G
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-505461(P2016-505461)
(86)(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公表番号】特表2016-517716(P2016-517716A)
(43)【公表日】2016年6月20日
(86)【国際出願番号】US2014016051
(87)【国際公開番号】WO2014158400
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】13/851,290
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/034,303
(32)【優先日】2013年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516035068
【氏名又は名称】ヴェリリー ライフ サイエンシズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】エッツコーン ジェイムズ
【審査官】 山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/146740(WO,A1)
【文献】 特開2010−055143(JP,A)
【文献】 特表2005−502389(JP,A)
【文献】 特表2010−516312(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0245444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1486
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着可能なデバイスを作製する方法であって、
電子部品および導電パターンを含む生体適合構造を作製することであって、前記電子部品は、第1の表面および前記第1の表面と反対の第2の表面を有し、前記第2の表面に電気接点を含む、前記作製することを備え、
前記生体適合構造を作製することは、
生体適合材料の第1の層を形成すること、
前記電子部品の前記第1の表面を前記生体適合材料の前記第1の層に配置すること、
前記生体適合材料の第2の層を前記生体適合材料の前記第1の層および前記電子部品の前記第2の表面に亘って形成すること、
前記生体適合材料の前記第2の層の一部を除去することにより前記電気接点を前記電子部品の前記第2の表面に露出させること、
前記電接点を露出させた後、前記導電パターンを形成することであって、前記導電パターンは前記生体適合材料の前記第2の層のセンサ電極および前記センサ電極と前記電気接点との間の電気的相互接点を規定する、前記形成すること、
前記生体適合材料の第3の層を前記導電パターンに亘って形成すること、ならびに
前記生体適合材料の前記第3の層の一部を除去することにより前記センサ電極を露出させることを備え、
前記方法は更に、
前記生体適合構造をポリマーで囲むことであって、前記ポリマーは前記装着可能なデバイスの少なくとも1つの取り付け面を規定する、前記囲むことを備える、
方法。
【請求項2】
前記生体適合材料の前記第1の層を形成することは、加工基板上に前記生体適合材料の前記第1の層を形成することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体適合構造を作製することは更に、
前記センサ電極を露出させた後、前記生体適合材料の前記第1の層を前記加工基板から解放することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記生体適合構造を作製することは更に、
前記センサ電極を露出させた後、前記生体適合材料の前記第1、第2および第3の層が共にシールされるように前記第1、第2の層および第3の層にアニール処理を行うことを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アニール処理を行うことは、前記センサ電極を除いて、前記生体適合構造を前記生体適合材料で完全に封入する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記生体適合材料の前記第2の層の一部を除去することは、
マスキング層を前記生体適合材料の前記第2の層上に形成することであって、前記マスキング層は前記生体適合材料の前記第2の層の前記一部を露出させる、前記形成することと、
前記マスキング層に被覆された前記第2の層の残りの部分を提供するために前記マスキング層により露出された前記生体適合材料の前記第2の層の前記一部をエッチングすることと、
前記マスキング層を前記第2の層の前記残りの部分から除去することと、を備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記生体適合材料の前記第2の層の前記残りの部分は、前記電子部品の前記第2の表面とほぼ面一である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記生体適合材料の前記第3の層の前記一部を除去することは更に、
マスキング層を前記生体適合材料の前記第3の層に形成することであって、前記マスキング層は前記生体適合材料の前記第3の層の前記一部を露出させる、前記形成することと、
前記マスキング層により被覆された前記第3の層の残りの部分を提供するために前記マスキング層により露出された前記生体適合材料の前記第3の層の前記一部をエッチングすることと、
前記マスキング層を前記第3の層の前記残りの部分から除去することと、
を備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記生体適合材料の前記第3の層の前記残りの部分は、前記センサ電極を除いて全ての前記導電パターンを被覆する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記センサ電極は、電気化学センサの作用電極、基準電極、および対電極を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記生体適合構造を作製することは更に、
前記センサ電極の近位にある試薬層を形成すること
を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電子部品は更に、前記第2の表面に追加の電気接点を含み、前記導電パターンは更に、前記生体適合材料の前記第2の表面上のアンテナ、および前記アンテナと前記追加の電気接点との間の電気的相互接点を規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生体適合構造はリング形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記生体適合材料はパリレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記装着可能なデバイスは、眼に装着可能なデバイスであって、前記ポリマーは、前記装着可能なデバイスを角膜表面に取り付けるように構成された凹面と、前記凹面がそのように取り付けられた際に目蓋の動きに適合するよう構成された凸面とを規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
装着可能なデバイスであって、
前記装着可能なデバイスの少なくとも1つの取り付け面を規定するポリマーと、
前記ポリマーに埋め込まれた生体適合構造とを備え、
前記生体適合構造は、
生体適合材料の第1の層と、
生体適合材料の前記第1の層上に配置された電子部品であって、前記電子部品は、生体適合材料の前記第1の層に接着された第1の表面と、前記第1の表面と反対の第2の表面とを有し、前記第2の表面が電気接点を含む、電子部品と、
生体適合材料の前記第1の層上に配置された生体適合材料の第2の層であって、生体適合材料の第2の層は、前記電子部品の前記第2の表面とほぼ面一である表面を有する、生体適合材料の第2の層と、
センサ電極、および前記センサ電極と前記電気接点との間の電気的相互接点であって、前記センサ電極および前記電気的相互接点は生体適合材料の前記第2の層の前記表面に配置された、センサ電極および電気的相互接点と、
生体適合材料の前記第2の層上に配置された生体適合材料の第3の層と
備え、
前記電子部品は、生体適合材料の前記第1の層、前記第2の層、および前記第3の層によって完全に封入される、装着可能なデバイス。
【請求項17】
前記電子部品の前記第2の表面は、追加の電気接点を含み、
前記生体適合構造は更に、アンテナ、および前記アンテナと前記追加の電気接点との間の電気的相互接点を備える、請求項16に記載の装着可能なデバイス。
【請求項18】
前記生体適合構造は、厚さ100マイクロメートル未満の最も厚い部分を有する、請求項16に記載の装着可能なデバイス。
【請求項19】
生体適合構造を提供する方法であって、
生体適合材料の第1の層を形成することと、
前記生体適合材料の前記第1の層に、第1の表面および前記第1の表面と反対の第2の表面を有しかつ前記第2の表面に第1の電気接点および第2の電気接点を含む電子部品を配置し、その結果前記第1の表面が前記生体適合材料の前記第1の層に接触することと、
前記生体適合材料の第2の層を、前記生体適合材料の前記第1の層および前記電子部品の前記第2の表面に亘り形成することと、
前記電子部品の前記第2の表面の前記第1の電気接点および前記第2の電気接点を露出させるために前記生体適合材料の前記第2の層の一部を除去することと、
導電パターンを形成することであって、前記導電パターンは、前記生体適合材料の前記第2の層のセンサ電極およびアンテナ、前記センサ電極と前記第1の電気接点との間の第1の電気的相互接点、および前記アンテナと前記第2の電気接点との間の第2の電気的相互接点を規定する、前記形成することと、
前記生体適合材料の第3の層を前記導電パターンに亘り形成することと、
前記センサ電極を露出させるために、前記生体適合材料の前記第3の層の一部を除去することと、
前記電子部品と前記導電パターンを含む生体適合構造を提供するために、生体適合材料の前記第1の層、前記第2の層、および前記第3の層にアニール処理を行うことであって、前記生体適合材料は、前記センサ電極を除いて前記生体適合構造を完全に封入する、前記アニール処理を行うことと、
を備える方法。
【請求項20】
前記生体適合材料の前記第1の層を形成することは、前記生体適合材料の前記第1の層を加工基板上に形成することを備え、前記方法は更に、
リング形状の構造を形成するために、前記加工基板上の前記生体適合材料の前記第1の層をエッチングすることと、
前記リング形状の構造を前記加工基板から解放することと、
を備える請求項19に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において別段の指示がない限り、このセクションに記載される材料は本願における請求項に対する従来技術ではなく、このセクションに含まれることにより従来技術と認められない。
【背景技術】
【0002】
装着可能なデバイスは、装着可能なデバイスを着用するユーザから検知される少なくとも1つの検体に基づく健康に関する情報を監視するように構成され得る。装着可能なデバイスが眼に装着可能なデバイスである場合、眼に装着可能なデバイスは1つまたは複数の検体を検知するように構成されたセンサ装置を含むコンタクトレンズの形態であり得る。センサ装置は、例えばブドウ糖レベルのような、眼に装着可能なデバイスのユーザの健康に関する情報を監視し得る。更に、センサ装置は健康に関する情報の様々な他の種類を監視し得る。
[先行技術文献]
[特許文献1] 米国特許出願公開第2012/0245444号明細書

【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの態様において、例となる装着可能なデバイスが開示される。装着可能なデバイスは、装着可能なデバイスの少なくとも1つの取り付け表面を規定するポリマーと、ポリマーに埋め込まれる生体適合構造を含む。生体適合構造は、その接触面上の電気接点、センサ電極およびセンサ電極と電気接点との間の電気的相互接点を有する電子部品を含み、生体適合材料はセンサ電極を除いて完全に生体適合構造を封入する。センサ電極は電子部品の接触面とほぼ面一の生体適合材料の表面に配置される。
【0004】
他の態様において、例となる装着可能なデバイスを作製する方法が開示される。その方法は電子部品と導電パターンを含む生体適合構造を作製することを含み、ここで、電子部品は第1の表面および第1の表面と反対の第2の表面を有し、第2の表面に電子接点を含む。生体適合構造を作製することは、生体適合材料の第1の層を形成することと、電子部品の第1の表面を生体適合材料の第1の層に配置することと、生体適合材料の第2の層を生体適合材料の第1の層および電子部品の第2の表面に亘って形成することと、生体適合材料の第2の層の一部を除去することにより電子部品の第2の表面の電気接点を露出させることと、電気接点を露出させた後、生体適合材料の第2の層のセンサ電極およびセンサ電極と電気接点との間の電気的相互接点を規定するために導電パターンを形成することと、生体適合材料の第3の層を導電パターンに亘って形成することと、生体適合材料の第3の層の一部を除去することによりセンサ電極を露出させることと、生体適合構造をポリマーで囲むこととを含む。ポリマーは装着可能なデバイスの少なくとも1つの取り付け面を規定する。
【0005】
更に他の態様において、例としての方法が開示される。その方法は、生体適合材料の第1の層を形成することと、生体適合材料の第1の層に、第1の表面および第1の表面と反対の第2の表面を有しかつ第2の表面に第1の電気接点および第2の電気接点を含む電子部品を配置し、その結果第1の表面が生体適合材料の第1の層と接触することと、生体適合材料の第2の層を生体適合材料の第1の層および電子部品の第2の表面に亘り形成することと、電子部品の第2の表面の第1の電気接点および第2の電気接点を露出するために生体適合材料の第2の層の一部を除去することと、生体適合材料の第2の層のセンサ電極およびアンテナ、センサ電極と第1の電気接点との間の第1の電気的相互接点、およびアンテナと第2の電気接点との間の第2の電気的相互接点を規定する導電パターンを形成することと、導電パターンに亘って生体適合材料の第3の層を形成することと、センサ電極を露出させるために生体適合材料の第3の層の一部を除去することと、電子部品および導電パターンを含む生体適合構造を提供するために生体適合材料の第1の層、第2の層および第3の層をアニール処理することとを含む。生体適合材料はセンサ電極を除いて生体適合構造を完全に封入する。
これらのおよび他の態様、利点および代替物は、適切な場合に添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】外部リーダーを有するワイヤレス通信における眼に装着可能なデバイスを含む例としてのシステムのブロック図である。
図2A】例としての眼に装着可能なデバイスの底面図である。
図2B図2Aの例としての眼に装着可能なデバイスの側面図である。
図2C】眼の角膜表面に取り付けられた図2Aの例としての眼に装着可能なデバイスの側面断面図である。
図2D図2Cに示される例としての眼に装着可能なデバイスの部分拡大断面図である。
図3A】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3B】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3C】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3D】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3E】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3F】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3G】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3H】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3I】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3J】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図3K】電子モジュールが生体適合材料に封入される例としての生体適合構造を作製する段階を示す図である。
図4A】装着可能なデバイスを作製する例としてのプロセスのフローチャートを示す図である。
図4B】生体適合構造を作製する例としてのプロセスのフローチャートを示す図である。
図5】例としての実施形態により構成されたコンピュータ可読媒体を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照して開示されたシステムおよび方法の様々な特徴および機能を記載し、図面において、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、通常同一の符号は同一の要素を示す。本明細書に記載された例としての実施形態は制限することを意図していない。本開示のある態様は、全てが本明細書において考慮される様々な構成において配置および組み合わされ得ることが容易に理解されるであろう。
【0008】
I.概要
装着可能なデバイスは、装着可能なデバイスを着用するユーザから検知された少なくとも1つの検体に基づき、健康に関連する情報を監視するように構成され得る。装着可能なデバイスは少なくとも1つの検体を検知するように構成された感知プラットフォームを含み得る。感知プラットフォームはセンサ装置、制御電子回路およびアンテナを含み得、装着可能なデバイスの少なくとも1つの取り付け表面を規定するポリマー材料に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。制御電子回路は、センサ装置を操作して検体の濃度を示す読み込みを実行し、またアンテナを操作して読み込みと外部リーダーとのワイヤレス通信を実行する。
【0009】
いくつかの例において、装着可能なデバイスは眼に装着可能なデバイスであり得る。眼に装着可能なデバイスは眼の角膜表面に取り付けるように構成された丸いレンズの形態であり得る。感知プラットフォームは角膜の中央領域の近くで受信される入射光との干渉を避けるため眼に装着可能なデバイスの周囲の近くに埋め込まれる。この開示全体で使用されるように、眼に装着可能なデバイスの前方側は、着用者の眼に接触しない眼に装着可能なデバイスの外側に向いている側を示し、一方、眼に装着可能なデバイスの後方側は着用者の眼に接触する眼に装着可能なデバイスの内側に向いている側を示す。
センサ装置は、検体の電気化学的酸化または還元反応を通して発生する電流を計測することにより検体の濃度を計測する電気化学のアンペロメトリセンサであり得る。検体はセンサの作用電極に拡散し、作用電極に吸収される。その後、電気化学的反応が発生する。還元反応は電子が作用電極から検体へ移動する時に生じ、一方酸化反応は電子が検体から作用電極に移動する時に生じる。電子の移動方向は作用電極に付着する電位に依存する。センサの反応(即ち、解析信号)は作用電極と対電極および/または基準電極との間に流れ、作用電極と共に回路を完成させるのに使用される生成電流である。作用電極に適切にバイアスがかけられている時、生成電流は反応速度に比例し得、その結果作用電極を取り囲む検体の濃度の計測を提供できる。
【0010】
いくつかの例では、感知プラットフォームは生体適合構造の形態をとる。生体適合構造は、電気化学センサのセンサ電極を除いて生体適合材料に封入され得る。生体適合材料は、免疫反応を引き起こさずに周囲の環境の流体または他の材料から感知プラットフォーム内の電子回路を保護し得、検体は露出したセンサ電極に到達し得る。
生体適合構造は、電子部品を生体適合材料の第1の層に配置し、電子部品に亘り、かつセンサ電極、アンテナ、および電子部品のそれぞれの電気接点に対するそれぞれの電気的相互接点を規定する導電パターンに亘り1つまたは複数の生体適合材料の層を形成することにより作製され得る。その後、センサ電極に亘る生体適合材料の一部が、例えばエッチングにより除去され得る。
【0011】
II.例としての感知プラットフォーム
図1は外部リーダー120とワイヤレス通信する眼に装着可能なデバイス110を含むシステム100のブロック図である。眼に装着可能なデバイス110は、角膜表面に取り付けるための適切な形状を取り得、かつ感知プラットフォームが少なくとも部分的に埋め込まれるポリマー材料であり得る。感知プラットフォームは電源140、コントローラ150、生体相互作用電子回路160およびアンテナ170を含み得る。
【0012】
いくつかの例としての実施形態において、感知プラットフォームは眼に装着可能なデバイス110の中心から離れて配置され得、よって眼の中央の、光に敏感な領域への光の伝達の干渉を避ける。例えば、眼に装着可能なデバイス110が湾曲した円盤形をしている場合、感知プラットフォームは円盤の周囲(例えば、外周の近く)に埋め込まれ得る。他の例としての実施形態において、感知プラットフォームは眼に装着可能なデバイス110の中心領域またはその近くに位置し得る。例えば感知プラットフォームの一部は、眼への光透過の干渉を緩和するため、入射する可視光を実質的に透過させ得る。更にいくつかの実施形態では、生体相互作用電子回路160は、表示指示に従い眼が受信する光を発信および/または伝達する画素配列164を含み得る。よって、生体相互作用電子回路160は、例えば画素配列164の表示情報(例えば文字、記号、フラッシュパターン)等の眼に装着可能なデバイス110の着用者が感知できる視覚的合図を生成するように眼に装着可能なデバイスの中央に配置されてもよい。
電源140は周囲のエネルギーを収穫してコントローラ150と生体相互作用電子回路160に電力を供給するように構成され、エネルギー収穫アンテナ142および/または太陽電池144を含み得る。エネルギー収穫アンテナ142は入射する無線放射からエネルギーを捕獲し得る。太陽電池144は入射する紫外線、可視、および/または赤外線放射からエネルギーを捕獲するように構成された光電池を含み得る。
整流器/調整器146が捕獲したエネルギーを、コントローラを操作するのに適切なレベルで安定した直流供給電圧141へ調整し、電圧をコントローラ150に供給するのに使用され得る。整流器/調整器146は、周囲エネルギー集積アンテナ142および/または太陽電池144の高い周波数変動を緩和するために1つまたは複数のエネルギー蓄積デバイスを含み得る。例えば、1つまたは複数のエネルギー蓄積デバイス(例えば、コンデンサまたはインダクタ)が直流供給電圧141を調節するために整流器146の出力を超えて平行に連結され得、低域フィルタとして機能するように構成され得る。
【0013】
コントローラ150は生体相互作用電子回路160およびアンテナ170を操作するための指示を実行するように構成される。コントローラ150は、眼に装着可能なデバイス110の生物環境と相互作用するため生体相互作用電子回路160を操作するように構成された論理回路を含む。相互作用は、生物環境からの入力を得るため、例えば生体相互作用電子回路160の検体バイオセンサ162等の1つまたは複数の要素の使用を含み得る。追加としてまたは代替的に、相互作用は、生物環境への出力を提供するため、例えば画素配列164等の1つまたは複数の要素の使用を含み得る。
【0014】
1つの例において、コントローラ150は検体バイオセンサ162を操作するように構成されたセンサインターフェースモジュール152を含む。検体バイオセンサ162は、例えばセンサインターフェースにより駆動される作用電極および基準電極を含むアンペロメトリ電気化学センサ等であってもよい。電圧が作用電極と基準電極との間に付与され、検体に作用電極において電気化学反応(例えば還元および/または酸化反応)を行わせる。電気化学反応は作用電極を通して計測され得るアンペロメトリ電流を生成する。アンペロメトリ電流は検体の濃度に依存し得る。よって、作用電極を通して計測されるアンペロメトリ電流の量は検体の濃度を示すことを提供し得、いくつかの実施形態では、センサインターフェースモジュール152は、作用電極を通して電流を計測しながら作用電極と基準電極の間の電圧差を付与するように構成された定電位電解装置であり得る。
【0015】
いくつかの例では、電気化学センサを1つまたは複数の望ましい検体に対して敏感にさせるために試薬が含まれてもよい。例えば、作用電極に近接するブドウ糖酸化酵素(「GOD」)の層は過酸化水素(H22)を生成するためブドウ糖酸化を触媒し得る。過酸化水素は作用電極で電気的に酸化され、それは電子を作用電極に解放し、結果として作用電極を通して計測され得るアンペロメトリ電流をもたらす。
【0016】
還元または酸化反応の何れかにより生成された電流は反応速度にほぼ比例する。更に、反応速度は、定常状態において、直接または試薬を通して触媒的に、還元または酸化反応を煽る電気化学的センサ電極に到達する検体分子の速度に依存し、検体分子が追加の検体分子が周囲の領域からサンプル領域に拡散する速度とほぼ同じ速度でサンプルの領域から電気化学的センサ電極に拡散する場合、反応速度は検体分子の濃度にほぼ比例する。よって作用電極を通して計測された電流は検体の濃度を示すことを提供する。
コントローラ150はまた、画素配列164を操作するための表示ドライバモジュール154を含んでもよい。画素配列164は別々にプログラム可能な行と列に配置された光透過、光反射および/または発光画素の配列である。個々の画素回路は表示ドライバモジュール154からの情報に従い選択的に光を透過、反射および/または発信するための液晶技術、微小電気機械技術、放射性ダイオード技術等を含んでもよい。そのような画素配列164はまた、ビジュアルコンテンツをカラーにするために1色以上の画素(例えば赤、緑および青の画素)を含んでもよい。表示ドライバモジュール154は、例えばプログラミング情報を画素配列164の別個にプログラムされたピクセルに提供する1つまたは複数のデータ回線およびそのようなプログラミング情報を受信するための画素の群を設定する1つまたは複数のアドレス回線を含み得る。眼に位置するそのような画素配列64はまた、光を画素配列から眼で感知可能な焦点面へ向ける1つまたは複数のレンズを含み得る。
【0017】
コントローラ150はまた、アンテナ170を経由して情報を送信および/または受信する通信回路156を含み得る。通信回路156は、アンテナ170により送信および/または受信される搬送周波数に関する情報を変調および/または復調するため、1つまたは複数の発振器、混合器、周波数インジェクタ等を含んでもよい。いくつかの例としての実施形態では、眼に装着可能なデバイス110はアンテナ170のインピーダンスを外部リーダー120により感知できる方法で変調することによりバイオセンサからの出力を表示するように構成されている。例えば、通信回路156はアンテナ170からの後方散乱放射の振幅、位相および/または周波数の変化を引き起こし得、そのような変化はリーダー120により検知される。
コントローラ150は相互接点151を経由して生体相互作用電子回路160およびアンテナ170に連結される。相互接点151はパターンのある導体材料(例えば金、プラチナ、パラジウム、チタン、銅、アルミニウム、銀、金属、それらの組合せ等)を含んでもよい。
【0018】
図1に示すブロック図は、描画の便宜上、機能性モジュールに関連して記載されることに注目されたい。しかし、眼に装着可能なデバイス110の実施形態は単一のチップ、集積回路および/または物理的構成要素において実施される1つまたは複数の機能的モジュール(「サブシステム」)と共に配置され得る。
【0019】
追加または代替として、エネルギー収穫アンテナ142および通信アンテナ170は同一の、二重目的アンテナ170において実行され得る。例えば、ループアンテナは発電のための入射放射線の収穫と、後方散乱放射を経由した情報の通信の両方を実行できる。
【0020】
外部リーダー120は、眼に装着可能なデバイス110とワイヤレス信号171を送信および受信するアンテナ128(または複数のアンテナ群)を含む。外部リーダー120はまた、メモリ122と通信するプロセッサ126を使用したコンピュータシステムを含む。メモリ122は、これに制限されないが、プロセッサ126により読み出し可能な磁気ディスク、光学ディスク、有機メモリおよび/または如何なる他の揮発性(例えばRAM)または不揮発性(例えばROM)記憶システムを含み得る非一時的コンピュータ可読媒体である。メモリ122は、例えばセンサ読み出し(例えば検体バイオセンサ162から)、プログラム設定(例えば眼に装着可能なデバイス110および/または外部リーダー120の動作を調整する)等のデータの表示を記憶するためのデータストレージ123を含む。メモリ122はまた、プロセッサ126による実行のためのプログラム命令124を含む。例えばプログラム命令124は、外部リーダー120に、眼に装着可能なデバイス110から通信される情報(例えば検体バイオセンサ162からのセンサ出力)の引き出しを可能にするユーザインターフェースを提供させるようにしてもよい。外部リーダー120はまた、眼に装着可能なデバイス110とワイヤレス信号171を送信および受信するアンテナ128を操作するための1つまたは複数のハードウェアコンポーネントを含んでもよい。例えば、発振器、周波数インジェクタ、エンコーダ、デコーダ、増幅器およびフィルタがプロセッサ126からの命令に従いアンテナ128を駆動できる。
外部リーダー120は、スマートフォン、デジタル補助装置またはワイヤレス通信リンク171を提供するのに十分な無線接続性を有する他の可搬のコンピュータデバイスであってもよい。外部リーダー120はまた、例えば通信リンク171が可搬のコンピュータデバイスに通常用いられない搬送周波数で動作する例のように可搬のコンピュータデバイスに接続され得るアンテナモジュールとして実行されてもよい。いくつかの例において、外部リーダー120はワイヤレス通信リンク171にほとんどないまたは低い電力で動作させるために着用者の眼の比較的近くで着用されるよう構成された特殊用途のデバイスである。例えば、外部リーダー120は例えばネックレス、イヤリング等の宝石への組み込み、または例えば帽子、ヘッドバンド等の頭部の近くで着用される衣料品に組み込まれることができる。
【0021】
眼に装着可能なデバイス110が検体バイオセンサ162を含む例において、システム100は眼の表面の涙液膜の検体濃度を監視するように動作され得る。涙液膜の検体モニタとして構成されるシステム100を使用して読み込みを行うため、外部リーダー120は電源140を通して眼に装着可能なデバイス110に電力を付与するために収穫される無線周波数放射171を発することができる。エネルギー収穫アンテナ142(および/または通信アンテナ170)により捕獲される無線周波数電気信号は整流器/調整器146内で整流および/または調整され、調節された直流供給電圧147がコントローラ150に提供される。よって無線周波数放射171は眼に装着可能なデバイス110内の電子部品のスイッチを入れる。スイッチが入ると、コントローラ150は検体バイオセンサ162を作動させて検体濃度レベルを計測する。例えばセンサインターフェースモジュール152は、検体バイオセンサ162内の作動電極と基準電極の間に電圧を付与することができる。付与された電圧は検体に作動電極において電気化学反応を起こすのに十分であり得、よって作動電極を通して計測され得るアンペロメトリ電流を生成する。計測されたアンペロメトリ電流は検体濃度を示すセンサ読み込み(「結果」)を提供できる。コントローラ150はアンテナ170を作動させてセンサ読み込みを外部リーダー120に戻す(例えば通信回路156を介して)ことができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、システム100は、コントローラ150および電子回路160に電力を与えるため眼に装着可能なデバイス110に非継続的に(「間欠的に」)エネルギーを供給するため動作可能である。例えば、無線周波数放射171は涙液膜検体濃度測定を行いかつ結果を伝えるのに十分長く眼に装着可能なデバイス110に電力供給するために供給され得る。例えば、供給された無線周波数放射は、作用電極で電気化学反応を誘発し、得られるアンペロメトリ電流を計測し、かつアンテナインピーダンスを調整して後方散乱放射を計測されたアンペロメトリ電流を表示する方法で調節するのに十分な作用電極と基準電極の間の電位を付与するのに十分な電力を提供し得る。そのような例において、供給された無線周波数放射171は計測を要求するために外部リーダー120から眼に装着可能なデバイス110への問い合わせ信号と見なされる。定期的に眼に装着可能なデバイス110に問い合わせする(例えばデバイスを一時的にオンにするため無線周波数放射171を供給する等)およびセンサ結果を記憶する(例えばデータストレージ123を経由して)ことにより、外部リーダー120は、継続的に眼に装着可能なデバイス110に電力供給せずに経時的に一組の検体濃度計測を蓄積できる。
【0023】
図2Aは例としての眼に装着可能なデバイス210の底面図である。図2Bは例としての眼に装着可能なデバイス210の側面図である。尚、図2Aおよび図2Bの相対的な寸法は必ずしも拡大されている訳ではないが、例としての眼に装着可能なデバイス210の配置を記載する説明の目的のみで提供されている。
【0024】
眼に装着可能なデバイス210は、入射光を眼に伝達するほぼ透過性材料であるポリマー材料220を含み得る。ポリマー材料220は、例えばポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(「polyHEMA」)、シリコーンヒドロゲルまたはこれらの組合せ等の検眼の視力矯正および/または美容のコンタクトレンズを形成するために使用されるものと同様の1つまたは複数の生体適合材料を含み得る。他のポリマー材料も想定され得る。ポリマー材料220は例えばヒドロゲル等の角膜表面を湿らせるように構成された材料を含み得る。いくつかの例において、ポリマー材料220は着用者の快適さを高めるため変形可能な(「非剛性の」)材料である。
コンタクトの装着を容易にするため、眼に装着可能なデバイス210は、(例えば角膜表面を覆う涙液膜を使用した毛細血管の力により)湿らせた角膜表面に接着する(「取り付ける」)ように構成された凹面226を含み得る。図2Aの底面図は凹面226に対向する。眼に対する凹面と共に取り付けられる一方、眼に装着可能なデバイス210の凸面224が、眼に装着可能なデバイス210が眼に取り付けられる間の目蓋の動きに干渉しないように形成される。図2Aに示される底面図から、眼に装着可能なデバイス210の外周近くの外周222は凹曲形を有し、一方眼に装着可能なデバイス210の中心付近の中心領域221は凸曲形を有する。
【0025】
眼に装着可能なデバイス210は、例えば約1センチメートルの直径と約0.1〜約0.5ミリメートルの厚さ等の視力矯正および/または美容のコンタクトレンズと同様の寸法を有し得る。しかし、直径と厚さの値は説明の目的のみで提供される。いくつかの実施形態において、眼に装着可能なデバイス210の寸法は着用者の眼の角膜表面の大きさおよび/または形状に応じて選択されてもよい。いくつかの実施形態において、眼に装着可能なデバイス210は、例えば処方されたコンタクトレンズにより提供される等の所定の、視力を矯正する屈折力を提供するような形状を有する。
【0026】
感知プラットフォーム230は眼に装着可能なデバイス210に埋め込まれる。感知プラットフォーム230は中央領域221から離れて、外周222の近くまたはそれに沿って位置するように埋め込まれ得る。そのような位置は眼に装着可能なデバイス210が着用者の眼に取り付けられた時に感知プラットフォーム230が着用者の視界に干渉しないことを確実にする、その理由は入射光が着用者の眼において眼が感知する部分に伝達される中央領域221から離れて位置するからである。更に、感知プラットフォーム230の一部は、視覚の効果を更に緩和するための透過材料から形成され得る。
【0027】
感知プラットフォーム230は平坦な、円形のリング(例えば中央に穴のあるディスク等)の形状を取り得る。感知プラットフォーム230の平坦な表面(例えば径方向の幅に沿った)は例えばチップ等(例えばフリップチップ取り付けを介して等)の電子回路を取り付け、かつ電極、アンテナおよび/または相互接点を形成するために導体材料をパターン化することを可能にする。感知プラットフォーム230およびポリマー材料220は共通の中央軸についてほぼ円筒形に対称であり得る。感知プラットフォーム230は、例えば約10ミリメートルの直径、約1ミリメートルの径方向幅(例えば内径より1ミリメートル大きい外径)および約50マイクロメートルの厚さを有し得る。これらの寸法は例示の目的のみで提供され、本開示を制限することは決してない。
【0028】
ループアンテナ270、コントローラ250および生体相互作用電子回路260が感知プラットフォーム230に含まれる。コントローラ250は生体相互作用電子回路260およびループアンテナ270を作動させるように構成された論理要素を含むチップでもよく、図1に関連して議論したコントローラ150と同じまたは類似していてもよい。コントローラ250は基板230にも位置する相互接点257によりループアンテナ270に電気的に接続される。同様に、コントローラ250は相互接点251により生体相互作用電子回路260に電気的に接続される。相互接点251、257、ループアンテナ270および如何なる導電性電極(例えば電気化学的検体バイオセンサ等のための)は、如何なる種類の導体材料から形成されてもよく、例えば堆積またはフォトリソグラフィー等のそのような材料をパターン化するのに使用される如何なるプロセスによりパターン化され得る。基板230でパターン化された導体材料は、例えば金、プラチナ、パラジウム、チタン、炭素、アルミニウム、銅、銀、塩化銀、貴材料から作られた導体、金属またはこれらの材料の如何なる組合せであってもよい。他の材料もまた考慮され得る。
図2Aに示すように、生体相互作用電子回路モジュール260は凸面224に対向する感知プラットフォーム230の一側に位置する。例えば生体相互作用電子回路モジュール260が検体バイオセンサを含む場合、そのようなバイオセンサを凸面224の近くになるように感知プラットフォーム230に取り付けることはバイオセンサに凸面224を通して拡散された、または凸面224内のチャネルを通してバイオセンサに到達した検体を感知することを可能にする(図2Cおよび2Dはチャネル272を示す)。
【0029】
ループアンテナ270は平坦な導体リングを形成するために基板230の平坦な面に沿ってパターン化された導体材料の層である。ループアンテナ270は図1に関連して記載されたアンテナ170と同じまたは類似していてもよい。いくつかの例としての実施形態において、ループアンテナ270は完全なループを形成しない。例えば、ループアンテナ270は図2Aに示されるように、コントローラ250および生体相互作用電子回路260の場所を空けるための切り取りを含み得る。しかし、他の例としての実施形態では、ループアンテナ270は感知プラットフォーム230全体の周りを1回以上巻く導体材料の連続した細長い片として配置され得る。そのような巻かれたアンテナ(例えばアンテナリード)の端部間の相互接点は感知プラットフォーム230内のコントローラ250に接続され得る。
【0030】
感知プラットフォーム230はいくつかのまたは全ての要素が生体適合材料に封入される生体適合構造であってもよい。一例では、コントローラ250、相互接点251、257、生体相互作用電子回路260およびアンテナ270は、生体相互作用電子回路260内のセンサ電極を除いて生体適合材料により完全に封入される。
【0031】
図2Cは眼280の角膜表面284に取り付けられた例としての眼に装着可能な電子デバイス210の側面断面図である。図2Dは、図2Cに示された例としての眼に装着可能なデバイスの部分拡大断面図である。尚、図2Cおよび図2Dの相対的な寸法は必ずしも拡大されている訳ではないが、例としての眼に装着可能な電子デバイス210の配置を記載する説明の目的のみで提供されている。いくつかの態様は例示を可能にするためおよび説明を容易にするために誇張される。
【0032】
眼280は上側の目蓋286と下側の目蓋288を眼280の表面上で合わせることにより覆われる角膜282を含む。入射光が角膜282を通して眼280により受信され、眼において光は視覚を刺激するために眼280の光感知要素に光学的に方向付けられる。上側および下側の目蓋286、288の動きは眼280の露出した角膜表面284に亘り涙液膜を分配する。涙液膜は眼280を保護し潤すための涙腺により分泌された水溶液である。眼に装着可能なデバイス210が眼280に取り付けられると、涙液膜は内側層290(凹面226に沿った)および外側層(凸面224に沿った)を提供する凹面226および凸面224の両方を覆う。角膜表面284の内側層290はまた、凹面226と角膜表面284の間の毛細血管の力により眼に装着可能なデバイス210の取り付けを容易にする。いくつかの実施形態において、眼に装着可能なデバイス210はまた、凹面226の湾曲による角膜表面284に対する真空の力により部分的に眼280の上に保持され得る。涙液膜層290、292は約10マイクロメートルの厚さでもよく、合わせて約10マイクロリットルの流体を構成してもよい。
涙液膜は眼の構造の毛細血管を通して血液供給に接触し、個人の健康状態を診断するために分析される血液に見られる多くの生体指標を含む。例えば、涙液膜はブドウ糖、カルシウム、ナトリウム、コレステロール、カリウム、他の生体指標等を含む。涙液膜の生体指標濃度は血液中の対応する生体指標の濃度と体系的に異なり得るが、2つの濃度レベルの関係は血液の濃度レベルに対する涙液膜の生体指標濃度を描くために確立され得る。例えば、ブドウ糖の涙液膜濃度は対応する血液ブドウ糖濃度のおよそ10分の1になるよう確立(例えば実験的に決定)され得る。しかし、他の比率の関係および/または比率でない関係も使用され得る。よって、涙液膜の検体濃度レベルの計測はある体積の血液をランセットで開き人体の外で分析することにより実行される採血技術と比較して生体指標のレベルを監視するための非侵襲性の技術を提供する。
図2Cおよび図2Dにおける断面図に示されるように、感知プラットフォーム230は凸面224の隣接する部分にほぼ平行になるように傾斜され得る。上述の通り、感知プラットフォーム230は内側に向く面232(ポリマー材料220の凹面226に近い)および外側に向く面234(凸面224に近い)を有する平らなリングである。感知プラットフォーム230は面232、234の一方または両方に隣接する電子部品および/またはパターン化された導体材料を含み得る。
【0033】
図2Dに示すように、生体相互作用電子回路260、コントローラ250および導電性相互接点251は、生体相互作用電子回路260が凸面224に対向するように外側に向く面234に取り付けられる。この配置により、生体相互作用電子回路260はチャネル272を通して涙液膜292内の検体濃度を受信できる。しかし、他の例では、生体相互作用電子回路260は生体相互作用電子回路260が凹面226に対向するように感知プラットフォーム230の内側に向く面232に取り付けられ得る。
【0034】
III.例としての生体適合構造の製造
図3A図3Kは、例えば感知プラットフォーム230等の生体適合構造を製造するプロセスの段階を例示する。図3A〜3Kに示された例は全体として、電子回路を封入する生体適合構造を生成するために開発された、連続形成された層を例示する断面図として示される。層は、例えば電気めっき、フォトリソグラフィー、堆積および/または蒸発製造プロセス等の微細加工および/または製造技術により成長され得る。様々な材料が、例えば電線、電極、連結パッド等を形成する目的で、特定の配置における材料のパターン化のためフォトレジストおよび/またはマスクを使用したパターンにより形成され得る。更に、電気めっき技術はまた、電極の配置を金属めっきで被覆するために使用され得る。例えば、堆積および/またはフォトリソグラフィープロセスにより形成された導体材料の配置は金属材料でめっきされ得、望ましい厚さの導電性構造を生成する。しかし、封入された電子回路構造を生成するための図3A図3Kに関連して例示され記載された様々な層の相対的な厚さを含む寸法は、拡大されて示されていない。代わりに、図3A図3Kの図面は説明の目的のみで、様々な層の順番を概略的に示す。
図3Aは生体適合材料の第1の層310に覆われた加工基板302を示す。加工基板302は封入された電子構造の層が組み立てられる如何なる平坦な面でもよい。例えば、加工基板302は半導体装置および/またはミクロ電子工学の製造に使用されるのと同じウェハ(例えばシリコンウェハ)であってもよい。
【0035】
生体適合材料の第1の層310は、例えばパリレンC(例えばジクロロジ−p−キシリレン等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、他のシリコーンエラストマーおよび/または他の生体適合ポリマー材料等のポリマー材料を含んでもよい。生体適合性は一般的に、生物学的宿主と共存するための材料またはデバイスの能力を指す。生体適合材料は一般的に、生物学的宿主または材料の何れかに有害な影響を与えることになる宿主反応(例えば免疫反応等)をもたらさない材料である。生体適合性があることに加え、生体適合材料の第1の層310は封入した電子回路を周囲の環境(例えば導電粒子および/または流体)から隔離する電気絶縁材料であり得る。
生体適合材料の第1の層310は例えば加工基板302の上部の蒸着等の微細加工プロセスにより形成され得、封入された電子構造が形成され得る表面を提供する。生体適合材料の第1の層310は加工基板302に対向する生体適合材料310の表面が平坦な面を形成するようほぼ均一な厚さを有する加工基板302に堆積され得る。1つの例としての実施形態において、生体適合材料の第1の層310は1〜50マイクロメートルの範囲の厚さを有し得る。
【0036】
図3Bは生体適合材料の第1の層に取り付けられたチップ320を示す。チップ320は、例えば1つまたは複数の集積回路(IC)および/または図1のコントローラ150と同様のコントローラのような1つまたは複数の別個の電子部品を含み得る。例えば熱、圧力、ピックアンドプレース器具、またはフリップチップ接続等がチップ320の第1の表面322を生体適合材料310の第1の層に接着させるために使用され得る。チップ320は第1の電気接点326および第2の電気接点328を含む第1の表面322と反対側の第2の表面324を有する。
【0037】
図3Cに示すように、生体適合材料の第2の層330は生体適合材料の第1の層310およびチップ320に亘って形成される。生体適合材料の第2の層330は、第1の層310の真上に形成された層の部分のそれぞれの厚さがチップ320の第2の表面324とほぼ面一になるまで添加される。生体適合材料の第2の層330は露出された第1の層と第1の層の上部に配置されたチップ320の両方に亘って均一に添加され得、その結果第2の層330の一部はチップ320の第2の表面324の上部に形成されるであろう。そのようなチップ320の上部に形成された第2の層330の一部は、図3Cに部分332として示される。
【0038】
図3Dに示されるように、次にマスキング層335がチップ320の第2の表面324の上部に形成された第2の層330の一部332を除いて第2の層330の全体に亘り形成される。いくつかの例において、マスキング層335は金属マスクであり、フォトリソグラフィーまたは金属付着(蒸発またはスパッタリング)を使用して形成され得る。
シリコンウェハおよびウェハの上の材料はその後プラズマに曝される。プラズマはプラズマアッシャー、反応性イオンエッチャー、誘導結合プラズマ等を含み得る。プラズマは生体適合材料の任意の露出された層を通してエッチングし、そのような層を通して加工基板302に到達する。しかし、プラズマはマスキング層またはチップ320をエッチングしない。よってマスキング層は、付与されたプラズマがマスキング層の真下にあるものをエッチングすることを阻止する役割をする。例えばチップ320のような様々な他の要素もマスクの役割をし、プラズマが要素の真下の生体適合材料の層をエッチングすることを阻止する。よって、図3Eに示すように、プラズマは生体適合材料の第2の層330の一部332をエッチングし、チップ320に到達する。生体適合材料の第2の層330の残りの部分はマスキング層によりプラズマエッチングから保護される。
プラズマの付与の後、図3Fに示すようにマスキング層が除去される。マスキング層はいくつもの数の方法によって除去され得る。例えば、マスキング層が金属マスクであれば、除去はウェットエッチングを付与することを含み得る。プラズマの付与およびマスキング層の除去の後に残るものが図3Fに示される。それは、チップ320の露出された第2の表面324と同じ高さの上部表面334を有する生体適合材料の第2の層330である。
【0039】
次に、図3Gに示すように、導電パターンが生体適合材料の第2の層330、第1の電気接点326および第2の電気接点328の真上に作成される。例えば、図1に関連して上記に記載された例としての実施形態と同様に、収穫された無線周波数エネルギーにより電力供給された電気化学的バイオセンサ回路のための要素を生成するために、金属は生体適合材料の第2の層330にパターン化され得る。そのような例としての実施形態において、金属はセンサ電極340、アンテナ350および相互接点352、354を含む要素を形成するためにパターン化され得る。例えば図1に関連して議論されたように、センサ電極340は電気化学的センサの作用電極、ならびに基準および/または対電極を含み得る。
アンテナ350は電子回路に電力供給を行うために収穫された無線周波数放射を受信するのに適切なループアンテナであり得る。アンテナ350は、例えば、上記の図1および図2Aから図2Dに関連して例示されかつ記載されたアンテナと同様、眼に装着可能なデバイスの周辺に配置されるのに適した約5ミリメートルの半径を有するループであってもよい。センサ電極340、相互接点352、354およびアンテナ350はそれぞれ、例えば約5マイクロメートルの厚さで形成され得る。
【0040】
相互接点352、354は、フォトリソグラフィー、蒸発および/または電気めっきにより形成されるワイヤであり得る。相互接点352は、センサ電極340をチップ320の第1の電気接点326に電気的に接続する。相互接点354はアンテナ350をチップ328の第2の電気接点に電気的に接続する。
【0041】
生体適合材料の第2の層330は要素を組み立てるための基板として使用されるのに十分な構造的剛性を含み得る。要素は例えばプラチナ、銀、金、パラジウム、チタン、銅、クロム、ニッケル、アルミニウム、他の金属または導体材料、およびこれらの組合せ等の導体材料から形成されてもよい。いくつかの例としての実施形態は少なくともいくつかの電子回路(例えばインジウムスズ酸化物等)のためのほぼ透明な導体材料を使用してもよい。
いくつかの例としての実施形態において、生体適合材料の第1の層310の上にパターン化された1つまたは複数の要素は、生体適合材料の第2の層330の真上にパターン化されたシード層(または接着層)を含む多層配置であってもよい。そのようなシード層は、生体適合材料およびシード層に亘ってパターン化された金属構造の大部分の両方に接着するように使用され得る。例えば、そのようなシード層は、生体適合材料に良好に接着し、かつ要素を形成する金属構造の残りを電気めっきするためのガイドの役割を果たす材料であってもよい。
【0042】
次に、図3Hに示される生体適合材料の第3の層360が組み立てられた電子部品(即ち、チップ320、センサ電極340、アンテナ350および相互接点352、354)および露出された生体適合材料の第2の層330の残りに亘って形成される。生体適合材料の第3の層360は、生体適合外表面を生成しかつ電子回路を周囲環境から電気的に絶縁するために、生体適合材料の第1の層310と同様に機能する。更に、生体適合材料の第3の層360は組み立てられた電子回路を構造的にサポートし、様々な要素を定位置に保持する。生体適合材料の第3の層350はチップ320を囲んでチップ320の周りの隙間を埋める(よってチップの移動を防ぐ)ことによりチップ320を安定させ得る。いくつかの例において、生体適合材料の第3の層360の堆積は組み立てられた電子回路の等角の被覆を行うこととなる。生体適合材料の第3の層360は、例えば約1から50マイクロメートルの範囲の厚さを有し得る。
生体適合材料の第3の層360は生体適合材料の第1の層310および第2の層330と同じまたはほぼ類似する材料から形成され得、生体適合性かつ電気的絶縁性の両方を有する異なるポリマー材料であってもよい。
好ましくは生体適合材料の第3の層360は堆積されて組み立てられた電子回路の全体に及ぶ連続した層を生成する。生体適合材料の第3の層360は組み立てられた電子回路の設置面積を超えて延伸する領域におよび得る。その結果、組み立てられた電子回路は生体適合材料の第2の層330の真上に存在する生体適合材料の第3の層360の一部により囲まれ得る。
【0043】
次に、図3Iに示されるように、第2のマスキング層370が、例えば上記の図2Aに関連して例示されかつ記載された感知プラットフォーム230の形状と同様の平坦なリングの形状の生体適合材料の第3の層360の上部に添加される。第2のマスキング層370は組み立てられた電子回路をセンサ電極340の真上の領域の少なくとも一部を除いて被覆する。再び、いくつかの例において、マスキング層370は金属のマスクであり、フォトリソグラフィーまたは金属付着(蒸発またはスパッタリング)を使用して形成され得る。
【0044】
シリコンウェハおよびウェハの上の材料はその後再びプラズマに曝される。プラズマはプラズマアッシャー、反応性イオンエッチャー、誘導結合プラズマ等を含み得る。プラズマは第2のマスキング層または例えばセンサ装置340等の露出された電子部品を通してエッチングしない。図3Jに示すように、プラズマは開口362を残して露出された生体適合材料の第3の層360をエッチングする。プラズマはまた第3の層の下の生体適合材料の全ての露出された層をエッチングし、加工基板302に到達する。生体適合材料の第3の層360の残りの部分は第2のマスキング層370によりプラズマエッチングから保護され、第1の層および第2の層の残りの部分はそれらの層の真上に存在する要素により保護され得る。
【0045】
プラズマの付与の後、図3Kに示すように第2のマスキング層370が除去される。第2のマスキング層370はいくつもの数の方法によって除去され得る。例えば、第2のマスキング層370が金属であれば、除去はウェットエッチングを付与することを含み得る。プラズマの付与および第2のマスキング層370の除去の後に残るものが図3Kに示される。よって、生体適合材料の第3の層360はセンサ電極340の少なくとも一部に亘って開口362を除いた要素を被覆する。更に、上記に論じたように、第2のマスキング層370が平坦なリング形状に形成され、よってリング形状を形成しなかった、かつ真上に金属要素を有していなかった生体適合材料の様々な層がプラズマにより除去された。デバイスの可能性のある結果としてのリング形状の例としての上面図が図2Aに感知プラットフォーム230として示される。
図3Aから3Kに特に示されていないが、いくつかの作製プロセスはセンサ電極340の近位にある試薬層を形成する(例えばセンサ電極340の少なくとも作用電極を被覆する)ことを含み得る。試薬層はセンサ電極340の電極を特定の検体に敏感にさせるのに使用される物質を含み得る。例えば、ブドウ糖酸化酵素を含む層がブドウ糖の検知のためにセンサ電極340に付与されてもよい。
【0046】
生体適合構造を生体適合材料に封入するために、生体適合材料の第1の層310、第2の層330および第3の層360がアニール処理され得、その結果これらの層が共にシールされる。アニール処理は、加工基板302を含む組み立てた構造の全体を、第1の層310、第2の層330および第3の層360における生体適合材料をアニール処理するのに十分な温度のオーブンに配置することにより行われ得る。例えばパリレンC(例えばジクロロジ−p−キシリレン等)が約150から200℃の温度でアニール処理され得る。他の生体適合ポリマー材料(例えばPET,PDMS等)はより高いまたはより低いアニール温度を必要とし得る。冷却されると、結果としてシールされた連続した生体適合材料の層が、センサ電極340を除いて組み立てられた電子回路を中に封入する生体適合材料が得られる。
【0047】
最後に、生体適合構造が加工基板302から解放される。1つの例において、アニーリングプロセスに続いて生体適合構造は加工基板302から剥がされ得る。封入された電子回路構造はまた、構造を剥ぎ取る前に余分な生体適合材料を除去するために、(例えば酸素プラズマを適用して)エッチングされ得る。例えば、生体適合材料は、堆積プロセスかアニーリングプロセスのどちらか、またはその両方の間、加工基板302の周りに少なくとも部分的に巻き付いてもよい。
公開された生体適合構造は、例えば眼に装着可能なデバイスまたは植え込み可能な医療デバイス内等の生物環境に組み込むのに適している。生体適合可能な材料を封入することにより、周囲環境は埋め込まれた電子回路からシールされる。例えば、構造が生物学的宿主に植え込まれる、または眼に装着可能なデバイスに配置されて涙液膜に曝される場合、構造は生物学的宿主の流体(例えば涙液、血液等)に曝されることができる。その理由は、センサ電極340が露出されて流体内の1つまたは複数の検体を検知できることを除いて、外部表面の全体が生体適合材料で被覆されているからである。
【0048】
図3A図3Kの記載は、眼に装着可能なデバイスに埋め込まれ得る生体適合構造を製造するプロセルの一例を説明する。しかし、図3A図3Kを参照して記載されるプロセスは、例えば他の植え付け可能な電子医療デバイスへの応用等の、他の応用を目的とする生体適合構造を生成するために使用されてもよい。そのような植え付け可能な電子医療デバイスは、情報を通信する(例えばセンサの結果等)および/または誘導的に収穫されたエネルギー(例えば無線周波数放射等)のためのアンテナを含み得る。植え付け可能な電子医療デバイスはまた電子化学的センサを含み得るか、または他の電子デバイスを含み得る。図3A図3Kを参照して記載されるプロセスは、体の他の部分上またはその中に取り付けられるのに適した生体適合構造を生成するのに使用されてもよい。例として、生体適合構造は、例えば腹部または上腕部の中等の皮膚の下、口腔内の組織または電気信号を読み取るために脳の中に取り付けられまたは植え付けられてもよい。上記に記載した生体適合構造は生体指標を検知する如何なる植え付け可能なデバイスに適用されてもよい。
【0049】
生体適合構造は上記に記載した機能の追加またはその代替として機能を実行するように構成された電子回路を含み得る。例えば、生体適合構造は光センサ、温度センサ、および/または眼科のおよび/または植え付け可能な応用における診断上関連のある情報を検知するのに有用な他のセンサを含み得る。電子回路は、例えば温度読み出しを得て温度情報を伝達、または温度情報を使用して電気化学的センサを使用した計測手順を修正し得る。更に、電子回路は電圧レベルを調整および/または他の電子モジュールとの連結を制御するためのコンデンサ、スイッチ等の組合せを含み得る。
図4Aは装着可能なデバイスを製造するための例としての方法400のフローチャートである。装着可能なデバイスは、例えば図1に示した眼に装着可能なデバイス110または図2A図2Dに示した眼に装着可能なデバイス210等の眼に装着可能なデバイスであり得る。
例としての方法400は電子部品および導電パターンを含む生体適合構造を作製することを含む(ブロック402)。生体適合構造は図3A図3Kを参照して上記のように、または図4Bを参照して以下のように製造され得る。
【0050】
その方法は生体適合構造を少なくとも1つの取り付け面を規定するポリマーで囲むことを含む(ブロック404)。図2A図2Dを参照して記載されるように、眼に装着可能なデバイスのため、ポリマーは透明なポリマーであり得、ディスクまたはレンズの形態を取り得る。よって、ポリマーは角膜表面に取り付けられるように構成された凹面を規定する。他の例において、ポリマーは皮膚または口腔内の組織に取り付けられるように構成される表面を規定し得る。他の種類の取り付け面も可能である。
生体適合構造は様々な方法でポリマーにより囲まれ得る。1つの例では、2段階の射出成形プロセスが使用され得る。第1の段階において、ポリマーの第1の層が型に形成され、生体適合構造が第1のポリマー層に配置される。第2の段階において、第1のポリマー層の生体適合構造を被覆するためにポリマーの第2の層が型に形成される。生体適合構造をポリマーで囲む他の方法も可能である。
【0051】
図4Bは生体適合構造を製造する例としての方法410のフローチャートである。図4Aを参照して上記に記載されるように、製造されると、生体適合構造は取り付け面を規定するポリマーにより囲まれ得る。代替的に、生体適合構造は植え付け可能なデバイスにおいて使用されるか、または他の方法で使用され得る。
例としての方法410において、生体適合構造は電子部品と導電パターンを含む。電子部品は集積回路、個別の要素(例えばトランジスタ、抵抗器またはコンデンサ等)、またはいくつかの他の種類の電子部品であり得る。電子部品は、例えば図1を参照して記載されたコントローラ150であってもよい。この例において、電子部品は第1の表面および第1の表面と反対の第2の表面を有し、例えば図3Bから図3Kを参照して記載されたチップ320等の1つまたは複数の電子接点を第2の表面に含む。
【0052】
例としての方法410は生体適合材料の第1の層を形成することを含む(ブロック412)。生体適合材料の第1の層は、例えば図3A〜3Kを参照して記載されるような生体適合材料の第1の層310と同一または類似していてもよい。1つの例としての実施形態において、生体適合材料の第1の層は、図3A〜3Kを参照して記載された加工基板302のような加工基板上に形成されてもよい。
方法410は更に、電子部品の第1の表面を生体適合材料の第1の層に配置すること(ブロック414)と、生体適合材料の第2の層を生体適合材料の第1の層および電子部品の第2の表面に亘って形成すること(ブロック416)を含む。生体適合材料の第2の層は、例えば図3Cから図3Kを参照して記載された生体適合材料の第2の層330と同様に形成され得る。
【0053】
方法410は更に、生体適合材料の第2の層の一部を除去することにより電気接点を電子部品の第2の表面に露出させること(ブロック418)を含む。生体適合材料の第2の層の一部を除去することは、金属マスクを例えば図3Dから図3Eを参照して記載された金属マスク335等の構造のある部分に付与し、その後第2の層の露出された部分を除去するために構造をプラズマに曝すことを含み得る。
【0054】
方法410は更に、電気接点を露出させた後、導電パターンを形成すること(ブロック420)を含む。導電パターンは、少なくとも生体適合材料の第2の層のセンサ電極、およびセンサ電極と電子部品の電気接点との間の電気的相互接点を規定する。導電パターンはまた、アンテナ、およびアンテナと電子部品の追加の電気接点との間の電気的相互接点を規定し得る。導電パターンは、他の種類の相互接続、ワイヤまたは導電性構造も規定し得る。
【0055】
導電パターンは本明細書に記載された方法の何れかを使用して形成され得る。センサ電極は図3Gを参照して記載されるようにセンサ電極340と同様であってもよい。電気的相互接点は図3Gを参照して記載されるように相互接点352と同一または類似していてもよい。更なる要素がまた、例えば図3Gを参照して上記に記載したアンテナ350および相互接点354等の第2のポリマー層に配置され得る。
方法は生体適合材料の第3の層を導電パターンに亘って形成すること(ブロック422)を含む。生体適合材料の第3の層は図3Hから図3Kを参照して記載された生体適合材料の層360と同様であってもよい。
方法410は更に生体適合材料の第3の層の一部を除去することによりセンサ電極を露出すること(ブロック426)を含む。第3の層の一部は、例えば図3Jから3Kを参照して記載されるようにプラズマの一部を露出することにより除去されてもよい。
アニール処理するプロセスは、上記のように生体適合構造を完全に封入するために、生体適合材料の3つの層をシールしてもよい。
更に、組み立てられた封入された構造は、図3I図3Kを参照して記載されたように、金属マスクを経由してリング形状の構造を形成しその後プラズマを付与するためエッチングされてもよい。例えば、封入された構造は上記の図2A図2Dに関連して示されかつ記載されたリング形状の感知プラットフォーム230と同様の平坦なリング形状を形成するためにエッチングされてもよい。封入された構造はまた、組み立てられた電子回路がシールされた生体適合材料により封入される全体が平坦な構造を形成するために例えば矩形、円形(例えばディスク)、楕円形等の他の形状にエッチングされてもよい。
【0056】
生体適合構造はその後、装着可能なデバイスのポリマー材料に埋め込まれ得る。生体適合構造が平坦なリング形状を与えられた場合、構造は例えば眼に接触して取り付けられる形状の全体に円形のポリマー材料の周辺の領域の周りに埋め込まれ得る。そのようなポリマー材料は、例えば眼の角膜表面、および角膜表面に取り付けられて目蓋の動きに適合するよう構成された凹面と反対側の凸面に亘って取り付けられるよう構成された凹面を有してもよい。例えば、ヒドロゲル材料(または他のポリマー材料)が射出成形プロセスにおいて生体適合構造の周りに形成され得る。
他の実施形態において、解放された封入された構造は、例えば皮膚または口腔内等の体の他の部分に取り付けられる装着可能なデバイスに埋め込まれ得る。例として、生体適合構造は、例えば腹部または上腕部の中等の皮膚の下、口腔内の組織または電気信号を読み取るために脳の中に取り付けられまたは植え付けられてもよい。上記に記載した生体適合構造は生体指標を検知する如何なる植え付け可能なデバイスに適用されてもよい。
【0057】
図5は例としての実施形態により構成されるコンピュータ可読媒体を描く。例としての実施形態において、例としてのシステムは1つまたは複数のプロセッサ、1つまたは複数のメモリの形態、1つまたは複数の入力デバイス/インターフェース、1つまたは複数の出力デバイス/インターフェース、および1つまたは複数のプロセッサにより実行された時にシステムに上記の様々な機能、タスク、性能等を実行させる機械可読の命令を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、開示された技術は、機械可読のフォーマット内の非一時的コンピュータ可読の記憶媒体、または他の非一時的媒体や製品でエンコードされるコンピュータプログラムの命令により実行され得る。図5は本明細書に記載された何れかの方法を実行するために、コンピュータデバイスで計算プロセスを実行するためのコンピュータプログラムを含む例としてのコンピュータプログラム製品の部分的概念図を概略的に示す。
1つの実施形態において、例としてのコンピュータプログラム製品500が信号搬送媒体502を使用して提供される。信号搬送媒体502は、1つまたは複数のプロセッサにより実行された時、図1図4Bに関して上記に記載された機能または機能の一部を提供し得る1つまたは複数のプログラミング命令504を含み得る。いくつかの例では、信号搬送媒体502は、例えばこれに限らないが、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、メモリ等の非一時的コンピュータ可読媒体506を含み得る。いくつかの実施において、信号搬送媒体502は、例えばこれに限らないが、メモリ、読み出し/書き込み(R/W)CD、R/W DVD等のコンピュータ記録可能媒体508であり得る。いくつかの実施において、信号搬送媒体502は、例えばこれに限らないが、デジタルおよび/またはアナログ通信媒体(例えば光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、ワイヤレス通信リンク等)等の通信媒体510であり得る。よって、例えば、信号搬送媒体502はワイヤレスの形態の通信媒体510により搬送され得る。
【0059】
1つまたは複数のプログラミング命令504は、例えばコンピュータで実行可能および/または論理で実行される命令であり得る。いくつかの例において、コンピュータデバイスは、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体506、コンピュータ記録可能媒体508および/または通信媒体510によりコンピュータデバイスに搬送されるプログラミング命令504に応じて、様々な動作、機能または作用を提供するよう構成される。
非一時的コンピュータ可読媒体506はまた、互いに離れて配置され得る多数のデータ記憶要素間で分配され得る。記憶された命令のいくつかまたは全てを実行するコンピュータデバイスは微細加工コントローラまたは他のコンピュータプラットフォームであり得る。代替的に、記憶された命令のいくつかまたは全てを実行するコンピュータデバイスは、例えばサーバ等の、離れて配置されたコンピュータシステムであり得る。
【0060】
本明細書において様々な態様および実施形態が開示されたが、他の態様および実施形態も当業者に明らかになるであろう。本明細書に開示された様々な態様および実施形態は例示の目的であり制限する意図はなく、正しい範囲は以下の請求項に示される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図4A
図4B
図5