特許第6194419号(P6194419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6194419-シリアルバス電圧補償 図000002
  • 特許6194419-シリアルバス電圧補償 図000003
  • 特許6194419-シリアルバス電圧補償 図000004
  • 特許6194419-シリアルバス電圧補償 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194419
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】シリアルバス電圧補償
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20170828BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20170828BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20170828BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H02J1/00 306D
   H02M3/00 U
   H02M3/00 H
   G05F1/56 310U
   G06F1/26 F
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-521990(P2016-521990)
(86)(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公表番号】特表2016-535968(P2016-535968A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】CN2013084826
(87)【国際公開番号】WO2015051490
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】502456909
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ウェイビン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー シャオジュン シュー
(72)【発明者】
【氏名】リンリン ドン
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0068626(US,A1)
【文献】 特表2012−502354(JP,A)
【文献】 特開2000−322134(JP,A)
【文献】 特開2013−109461(JP,A)
【文献】 特開2013−025345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
G05F 1/56
G06F 1/26
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアルバスネットワークであって、
複数のシリアルバスに電力を提供するように構成される電圧レギュレータであって、前記シリアルバスの各々が、前記シリアルバスに結合されるデバイスに前記電圧レギュレータから電力を提供するように、および、前記シリアルバスに結合されるデバイス間でデータを直列に転送するように構成される、前記電圧レギュレータ、
各々が前記電圧レギュレータから前記シリアルバスの1つに電力を切り換えるように構成される複数の電力スイッチであって、前記電力スイッチの各々が、前記電圧レギュレータの出力に結合されるスイッチ入力端子と、前記シリアルバスの1つに結合されるスイッチ出力端子とを含む、前記複数の電力スイッチ、および
前記電圧レギュレータに結合され、前記電力スイッチの各々の前記出力端子に結合される電圧モニタ、
を含み、
前記電圧モニタが、
前記電力スイッチの前記出力端子のバス電圧を比較するように、および
前記比較を介して前記バス電圧のうちの最低バス電圧を識別するように、および
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧が所定の動作電圧範囲内にあるように前記電圧レギュレータの出力電圧を調整するように、
構成される、
シリアルバスネットワーク。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークであって、前記電圧モニタが、
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧を前記電圧レギュレータの前記出力電圧と比較するように、および
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧が、所定の最大差異量よりも多く前記電圧レギュレータの前記出力電圧より低いことに基づいて前記電圧レギュレータの前記出力電圧を調整するように、前記バス電圧のうちの識別された最低バス電圧を印加しないように、
構成される、前記ネットワーク。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワークであって、前記電圧レギュレータに結合されるスケーリングネットワークをさらに含み、前記スケーリングネットワークが、前記電圧レギュレータの前記出力電圧をスケールするように、および前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧との比較のために、前記スケールされたレギュレータ出力電圧を前記電圧モニタに提供するように構成される、前記ネットワーク。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワークであって、前記スケールされたレギュレータ出力電圧との比較のために、前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧をダウンスケールするように構成されるスケーリングネットワークをさらに含む、前記ネットワーク。
【請求項5】
請求項1に記載のネットワークであって、前記電圧レギュレータの前記出力電圧によって前記出力端子の前記電圧が前記所定の動作電圧範囲の上限を超えることに基づいて、前記電力スイッチの各々が前記電力スイッチの前記出力端子の前記バス電圧を減少させるように構成される電圧制御ループを含む、前記ネットワーク。
【請求項6】
請求項1に記載のネットワークであって、前記複数のシリアルバスの各々がユニバーサルシリアルバスである、前記ネットワーク。
【請求項7】
請求項1に記載のネットワークであって、
複数の電圧スケーリング回路をさらに含み、前記スケーリング回路の各々が、前記電力スイッチの1つの電力スイッチの出力端子に結合され、
前記スケーリング回路が、前記出力端子の前記バス電圧をスケールし、比較のために前記スケールされたバス電圧を前記電圧モニタに提供する、
前記ネットワーク。
【請求項8】
シリアルバス電圧制御システムであって、
複数のシリアルバスに電力を提供するように構成される電圧レギュレータであって、前記シリアルバスの各々が、前記シリアルバスに結合されるデバイスに前記電圧レギュレータから電力を提供するように、および、前記シリアルバスに結合されるデバイス間でデータを直列に転送するように構成される、前記電圧レギュレータ、
各々が前記電圧レギュレータから前記シリアルバスの1つへ電力を切り換えるように構成される複数の電力スイッチであって、前記電力スイッチの各々が、前記電圧レギュレータの出力に結合されるスイッチ入力端子と、前記シリアルバスの1つに結合されるスイッチ出力端子と、電圧制御ループとを含む、前記複数の電力スイッチ、および
前記電圧レギュレータに結合され、前記電力スイッチの各々の前記出力端子に結合される電圧モニタであって、前記電圧モニタが、前記スイッチ出力端子の1つから提供される基準電圧に基づいて前記電圧レギュレータの前記出力電圧を調整するように構成される、前記電圧モニタ、
を含み、
前記電圧制御ループが、前記電圧レギュレータの前記調整された出力電圧によって前記出力端子の前記電圧が前記シリアルバスのための所定の動作電圧範囲の上限を超えることに基づいて、前記電力スイッチの前記出力端子の前記バス電圧を減少させるように構成される、
シリアルバス電圧制御システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記電圧モニタが、
前記電力スイッチの前記出力端子のバス電圧を比較し、
前記比較を介して前記バス電圧のうちの最低電圧を識別し、
前記バス電圧のうちの前記識別された最低電圧を前記基準電圧として印加し、
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧が前記所定の動作電圧範囲内にあるように前記電圧レギュレータの出力電圧を調整する、
ように構成される、前記システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、前記電圧モニタが、
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧を前記電圧レギュレータの前記出力電圧と比較し、
前記電圧レギュレータの前記出力電圧が前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧を所定の最大差異量よりも多く超えることに基づいて前記電圧レギュレータの前記出力電圧を調整するように、前記電圧レギュレータの前記出力電圧を印加し、前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧を印加しない、
ように構成される、前記システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記電圧レギュレータに結合される分圧器をさらに含み、
前記分圧器が、
前記電圧レギュレータの前記出力電圧をスケールし、
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧との比較のために、前記スケールされたレギュレータ出力電圧を前記電圧モニタに提供する、
ように構成される、
前記システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記スケールされたレギュレータ出力電圧との比較のために、前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧をダウンスケールするように構成される分圧器をさらに含む、前記システム。
【請求項13】
請求項8に記載のシステムであって、前記複数のシリアルバスの各々がユニバーサルシリアルバスである、前記システム。
【請求項14】
請求項8に記載のシステムであって、
さらに複数の分圧器を含み、前記分圧器の各々が前記電力スイッチの1つの電力スイッチの前記出力端子に結合され、
前記分圧器が、前記出力端子の前記バス電圧をスケールし、比較のために前記スケールされたバス電圧を前記電圧モニタに提供する、
前記システム。
【請求項15】
シリアルバス電力搬送システムであって、
複数のシリアルバスに電力を提供するように構成される電圧レギュレータであって、前記シリアルバスの各々が、前記シリアルバスに結合されるデバイスに前記電圧レギュレータから電力を提供するように、および、前記シリアルバスに結合されるデバイス間でデータを直列に転送するように構成される、前記電圧レギュレータ、
各々が前記電圧レギュレータから前記シリアルバスの1つへ電力を切り換えるように構成される複数の電力スイッチであって、前記電力スイッチの各々が、前記電圧レギュレータの出力に結合されるスイッチ入力端子と、前記シリアルバスの1つに結合されるスイッチ出力端子とを含む、前記複数の電力スイッチ、および
前記電圧レギュレータに結合され、前記電力スイッチの各々の前記出力端子に結合される電圧モニタであって、前記電圧モニタが、最低電圧セレクタと最低電圧リミッタとを含む、前記電圧モニタ、
を含み、
前記最低電圧セレクタが、
前記電力スイッチの前記出力端子のバス電圧を比較し、
前記比較を介して前記バス電圧のうちの最低バス電圧を識別し、
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧が所定の動作電圧範囲内にあるように前記電圧レギュレータの出力電圧を調整するために前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧を印加する、
ように構成され、
前記最低電圧リミッタが、前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧が、前記電圧レギュレータの前記出力電圧を調整するために印加されるには低すぎるか否かを判定するように構成される、
シリアルバス電力搬送システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記最低電圧リミッタが、
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧を、前記電圧レギュレータの前記出力電圧と比較し、
前記電圧レギュレータの前記出力電圧が前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧を所定の最大差異量よりも多く超えることに基づいて前記電圧レギュレータの前記出力電圧を調整するために、前記電圧レギュレータの前記出力電圧を印加し、前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧を印加しない、
ように構成される、前記システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、前記電力スイッチの各々が電圧制御ループを含み、前記電圧制御ループが、前記電圧レギュレータの前記出力電圧によって前記出力端子の前記電圧が前記所定の動作電圧範囲の上限を超えることに基づいて前記電力スイッチの前記出力端子の前記バス電圧を減少させるように構成される、前記システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、前記電圧レギュレータに結合される分圧器をさらに含み、
前記分圧器が、
前記電圧レギュレータの前記出力電圧をスケールし、
前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧との比較のために、前記スケールされたレギュレータ出力電圧を前記最低電圧リミッタに提供する、
ように構成される、
前記システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記スケールされたレギュレータ出力電圧との比較のために、前記バス電圧のうちの前記識別された最低バス電圧をダウンスケールするように構成される分圧器をさらに含む、前記システム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムであって、
さらに複数の分圧器を含み、前記分圧器の各々が、前記電力スイッチの1つの電力スイッチの前記出力端子に結合され、
各分圧器が、前記出力端子の前記バス電圧をスケールし、比較のために前記スケールされたバス電圧を前記最低電圧セレクタに提供する、
前記システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピュータおよび他の電子デバイスは、接続されたデバイス間のデータの転送を提供するためにシリアルインターフェースを一般的に用いる。ユニバーサルシリアルバス(USB)は、電子デバイスをインターフェースするために用いられる様々なシリアルバスの1つである。USBシステムは、一般に、層状スター・トポロジーで接続される、1つまたは複数のホストデバイスと1つまたは複数の周辺デバイスとで構成される。ホストデバイスは、例えば、コンピュータ、スマートフォン、ビデオゲーム機、および他のコンピューティングデバイスを含む。周辺デバイスは、例えば、フラッシュドライブ、プリンタ、キーボード、スマートフォン、カメラ、タブレット、および種々の他のデバイスを含む。USB動作基準は、一連の規格(例えば、USB2.0規格、USB3.0規格等)において規定される。
【0002】
USBインターフェースは、周辺デバイスに電力を供給し得、USBインターフェースに接続される多くのデバイスが、デバイスに関連する電源を介してではなく、シリアルバスを介して電力供給される。USB対応のインターフェースは、接続ケーブルを介して接続されたデバイスに5ボルト(V)を提供する。電力およびデータの提供を促進するために、USB接続ケーブルは、一般に、電力線、接地線、および差動データ線を含む。
【発明の概要】
【0003】
シリアルバスネットワークにおける電圧分布を制御するための装置が本願で開示される。一つの実施態様において、シリアルバスネットワークが、電圧レギュレータ、複数の電力スイッチ、および電圧モニタを含む。電圧レギュレータは、複数のシリアルバスに電力を提供するように構成される。シリアルバスの各々は、シリアルバスに結合されるデバイスへ電圧レギュレータから電力を提供するように、および、シリアルバスに結合されるデバイス間でデータを直列に転送するように構成される。電力スイッチの各々は、電圧レギュレータからシリアルバスの1つへ電力を切り換えるように構成される。電力スイッチの各々は、電圧レギュレータの出力に結合されるスイッチ入力端子、およびシリアルバスの1つに結合されるスイッチ出力端子を含む。電圧モニタは、電圧レギュレータに結合され、且つ、電力スイッチの各々の出力端子に結合される。電圧モニタは、電力スイッチの出力端子のバス電圧を比較するように、および比較を介してバス電圧のうちの最低バス電圧を識別するように、およびバス電圧のこの識別された最低バス電圧が所定の動作電圧範囲内にあるように電圧レギュレータの出力電圧を調整するように構成される。
【0004】
別の実施態様において、シリアルバス電圧制御システムが、電圧レギュレータ、複数の電力スイッチ、および電圧モニタを含む。電圧レギュレータは、複数のシリアルバスに電力を提供するように構成される。シリアルバスの各々は、シリアルバスに結合されるデバイスへ電圧レギュレータから電力を提供するように、および、シリアルバスに結合されるデバイス間でデータを直列に転送するように構成される。電力スイッチの各々は、電圧レギュレータからシリアルバスの1つへ電力を切り換えるように構成される。電力スイッチの各々は、電圧レギュレータの出力に結合されるスイッチ入力端子、シリアルバスの1つに結合されるスイッチ出力端子、および電圧制御ループを含む。電圧モニタは、電圧レギュレータに結合され、且つ、電力スイッチの各々の出力端子に結合される。電圧モニタは、スイッチ出力端子の1つから提供される基準電圧に基づいて電圧レギュレータの出力電圧を調整するように構成される。電圧制御ループは、電圧レギュレータの調整された出力電圧により、出力端子の電圧が、シリアルバスのための所定の動作電圧範囲の上限を超えることに基づき、電力スイッチの出力端子のバス電圧を減少させるように構成される。
【0005】
さらに別の実施態様において、シリアルバス電力搬送システムが、複数のシリアルバスに電力を提供するように構成される電圧レギュレータを含む。シリアルバスの各々は、シリアルバスに結合されるデバイスへ電圧レギュレータから電力を提供するように、および、シリアルバスに結合されるデバイス間でデータを直列に転送するように構成される。電力スイッチの各々は、電圧レギュレータからシリアルバスの1つへ電力を切り換えるように構成される。電力スイッチの各々は、電圧レギュレータの出力に結合されるスイッチ入力端子、およびシリアルバスの1つに結合されるスイッチ出力端子を含む。電圧モニタは、電圧レギュレータに結合され、且つ、電力スイッチの各々の出力端子に結合される。電圧モニタは、最低電圧セレクタおよび最低電圧リミッタを含む。最低電圧セレクタは、電力スイッチの出力端子のバス電圧を比較するように、および比較を介してバス電圧のうちの最低バス電圧を識別するように、おびバス電圧のこの識別された最低バス電圧が所定の動作電圧範囲内にあるように電圧レギュレータの出力電圧を調整するためにバス電圧のうちの当該識別された最低バス電圧を印加するように構成される。最低電圧リミッタは、バス電圧のこの識別された最低バス電圧が、電圧レギュレータの出力電圧を調整するために印加されるには低すぎるか否かを判定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の例示的な態様の詳細な説明について、添付の図面への参照が成される。
【0007】
図1】本願で開示される原理に従った、シリアルバスを介して電力供給されるデバイスを含むシステムのブロック図を示す。
【0008】
図2】本願で開示される原理に従った、シリアルバスのための電力搬送および制御システムのブロック図を示す。
【0009】
図3】本願で開示される原理に従ったシリアルバス電力制御システムの概略図を示す。
図4】本願で開示される原理に従ったシリアルバス電力制御システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定のシステム構成要素を参照するために、下記説明および特許請求の範囲を通して或る用語が用いられる。当業者であれば理解し得るように、同業者は構成要素を異なる名称で参照し得る。本明細書は、名称は異なるが機能が同一である構成要素を区別することを意図していない。下記考察および特許請求の範囲において、「含む(including)」および「含む(comprising)」という用語は、非限定形式で用いられ、それゆえ「〜を含むが、これに限定されない」ことを意味すると解釈されるべきである。また、「結合する(couple)」という用語は、間接的または直接的な電気的接続のいずれかを意味することが意図される。それゆえ、第1のデバイスが第2のデバイスに結合される場合、その接続は、直接的な電気接続によるものであってもよく、または他のデバイスおよび接続を介した間接的な電気接続によるものであってもよい。「〜に基づく(based on)」という記述は、「〜に少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図される。従って、XがYに基づく場合、Xは、Yおよび任意の数の追加の要素に基づき得る。
【0011】
下記考察は、シリアルバス電力搬送および制御システムの種々の態様を対象とする。開示される実施態様の1つまたは複数が好ましいものであり得るが、こうした種々の実施態様は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲を限定するものとして解釈されまたは使用されるべきでない。また、下記の説明が広範な用途を有していること、また、いずれの実施態様の考察も、単なる例示的であることを意味し、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がこうした実施形態に限定されることを暗示することは意図しないことが当業者であれば理解されるであろう。
【0012】
ますます高度化したデバイスがユニバーサルシリアルバス(USB)などのシリアルバスに取り付けられるので、こうしたデバイスの電力需要もまた増大している。例えば、USBに取り付けられるデバイスには、最大3アンペアの充電電流を引き込み得るものがある。デバイスの電流引き込みが増加するにつれて、シリアルバスへ電力を切り換えまたは送る構成要素間の電圧降下も増加する。場合によっては、電圧降下により、バスデバイスに提供される電圧が、こうしたデバイスの動作電圧範囲および/またはシリアルバスを定める標準によって規定される電圧仕様から逸脱し得る。
【0013】
本願で開示されるシリアルバス電圧制御システムは、シリアルバスのインスタンスに電力を送る電力スイッチの各々のバス電圧ダウンストリームを所定の動作電圧範囲内に維持する。制御システムは、各電力スイッチ出力の電圧を監視し、任意の電力スイッチ出力にある最低電圧に基づきスイッチに提供される入力電圧を調整する。従って、各電力スイッチの入力の電圧は、電力スイッチの各々の出力で、動作電圧仕様内の電力を提供するのに十分である。電力スイッチの各々は、スイッチによる電圧出力が最大動作電圧仕様を越えないことを確実にする制御ループを含む。
【0014】
図1は、本願で開示される原理に従った、シリアルバスを介して電力供給されるデバイスを含むシステム100のブロック図を示す。システム100は、USBシステムとして図示されるが、開示される電圧制御/搬送システムは、任意の様々なシリアルバスシステムにおいてシリアルバス電圧を制御するために適用され得る。システム100は、USBハブ102、および複数のUSBデバイス108、110を含む。例えば、USBデバイス110はUSBホストデバイスであり得、USBデバイス108はUSB周辺デバイスであり得る。USBハブ102は、USBインスタンス114を介してUSBデバイス108、110に結合される。USBデバイス108のいくつかが、バス114を介して電力供給または充電され得る。
【0015】
USBハブ102は、ポート106、および電力搬送/制御システム104を含む。ポート106は、各USBインスタンス114のケーブルまたはその他の導電性媒体へのUSBハブ102の接続を提供する。電力搬送システム104は、USBデバイス108による使用のために、USBインスタンス114の各々に電力を提供する。電力搬送システム104は電圧モニタ112を含み、電圧モニタ112は、USBインスタンス114の各々に提供される電圧を監視し、USBインスタンス114のいずれに提供される電力も最小動作電圧閾値より低く下がらないように電圧を調整する。このように、電力搬送システム104は、USBハブ102の構成要素間にある最大電圧降下を補償し、USBデバイス108の各々に提供される電圧が、USBデバイス108のための動作仕様およびUSB規格内にあることを確実にする。
【0016】
便宜上、電力搬送/制御システム104は、図1において、4つのシリアルバス114に電力を提供および制御するものとして図示されるが、実際には、電力搬送/制御システム104の種々の実施態様が、任意の数のシリアルバス114に電力を提供および制御し得る。
【0017】
図2は、電力搬送および制御システム104のブロック図を示す。電力搬送システム104は、電圧レギュレータ202、電圧モニタ112、および複数の電力スイッチ204を含む。電圧レギュレータ202は、所定の電圧で電力スイッチ204に電力を提供する。電圧レギュレータ202は、レギュレータ202の出力の電圧を制御するためにリニアレギュレータおよび/またはスイッチングレギュレータを含み得る。電力は、入力VINを介して電圧レギュレータ202に提供される。基準電圧入力VREFが、電圧レギュレータ202の所定の出力電圧を設定する。入力信号VADJが、電圧レギュレータ202の出力電圧を調整するために電圧レギュレータ202に提供される。
【0018】
電圧レギュレータ202の出力は、入力端子212を介して電力スイッチ204に提供される。電力スイッチ204は、電圧レギュレータ202から、電力スイッチの出力端子214およびシリアルバス114へ電力を切り換える。電力スイッチ204の各々は、電圧レギュレータ202の出力をシリアルバス114に接続する、1つまたは複数のスイッチングトランジスタなどのスイッチを含む。電力スイッチ204は、電圧制御ループ206も含む。電圧制御ループ206は、電力スイッチ204の出力電圧を設定するための追加の制御機構を提供する。例えば、電圧レギュレータ202の出力電圧が、電力スイッチ204を介してシリアルバス114に印加される電圧が最大閾値の値を超えるようなものである場合、電圧制御ループ206は、シリアルバス114に提供される電圧が所定の動作範囲内にあることを確実にするために、スイッチ204の出力電圧を減少させ得る。
【0019】
電圧モニタ112は、シリアルバス114の各々の電圧を監視し、電圧レギュレータ202に制御信号VADJを提供する。電圧モニタ112は、最低電圧セレクタ208および最低電圧リミッタ210を含む。最低電圧セレクタ208は、シリアルバス114の各々にある電圧を比較し、どのシリアルバス電圧が最低かを判定する。電圧モニタ112は、識別された最低シリアルバス電圧に基づき電圧レギュレータ202の出力電圧(VOUT)を調整するために信号VADJを生成し、これにより、識別された最低シリアルバス電圧に関連する、電力スイッチ204および他の電力供給構成要素間の電圧降下を補償する。最低電圧セレクタ208は、シリアルバス114の電圧を比較するための1つまたは複数のコンパレータと、識別された最低シリアルバス電圧を最低電圧リミッタ210に送るためのスイッチまたはマルチプレクサとを含み得る。
【0020】
最低電圧リミッタ210は、電圧レギュレータ202の出力電圧を調整するために印加されるVADJ信号の範囲を制限する。一実施態様において、最低電圧リミッタ210は、最低電圧セレクタ208により識別された最低シリアルバス電圧を、電圧レギュレータ202の電圧出力と比較する。電圧レギュレータ出力電圧が、最低シリアルバス電圧を所定の量よりも多く越える場合、電圧モニタ112は、最低シリアルバス電圧に基づいてではなく、電圧レギュレータ出力電圧に基づきVADJを生成する。このように、(例えば、短絡または他の欠陥の結果として)最低シリアルバス電圧が低すぎる場合、電圧レギュレータ202の出力電圧が過度に低いバス電圧に基づいて変化されることはない。
【0021】
レギュレータ出力電圧が、最低シリアルバス電圧を所定の値よりも多く越えない場合、電圧モニタ112は、識別された最低シリアルバス電圧に基づきVADJを生成する。VADJは、最低シリアルバス電圧に基づく場合には、電圧レギュレータ202にその出力電圧を、最低シリアルバス電圧に関連するスイッチ204の出力端子214の電圧がシリアルバス114の最小動作電圧閾値を超えるようにするかまたは少なくとも最小動作電圧閾値に合致させるレベルまで変化(例えば、上昇)させる。このように、電圧モニタ112は、電力スイッチ204の電圧降下を補償し、電圧レギュレータ202がシリアルバス114の全てをシリアルバス114のための動作電圧仕様内の電圧に駆動するために十分な電圧を提供することを確実にする。
【0022】
最低電圧リミッタ210は、識別された最低シリアルバス電圧を電圧レギュレータ出力電圧と比較するためのコンパレータ、および、最低バス電圧と電圧レギュレータ出力電圧の一方を電圧レギュレータ202に送るためのスイッチまたはマルチプレクサを含み得る。
【0023】
図3は、シリアルバス電力制御システム104の概略図を示す。図3は、電圧レギュレータ202が電力コンバータ302を含むことを示す。電力コンバータ302は、入力電圧VINから出力電圧VOUTを生成するスイッチング電圧レギュレータであり得る。電力コンバータ302の動作は、エラー増幅器304によって制御される。エラー増幅器304は、基準電圧VREFを、電圧モニタ112により生成される調整電圧VADJと比較する。従って、電力コンバータ302は、VADJをVREFに向かって移動させる電圧レベルで出力電圧VOUTを生成する。
【0024】
各電力スイッチ204の電圧制御ループ206は、電圧スケーリング回路312(例えば、分圧器として配されるレジスタ)およびエラー増幅器306を含む。エラー増幅器306は、電力スイッチ204の出力端子の電圧を基準電圧VREF1と比較する。電圧基準VREF1は、電圧レギュレータ202に提供される同一の電圧VREFであってもよく、または、異なる電圧であってもよい。例えば、VREF1は、シリアルバス114への印加のために特定された最大電圧であり得、VREFは、シリアルバス114への印加のために特定された公称電圧であり得る。電力スイッチ204の出力端子の電圧がVREF1を超える場合、エラー増幅器306は、スイッチ308を開くことにより電力スイッチ204の出力端子の電圧を制御し得る。電圧制御ループ206の他の実施態様が、電力スイッチ204(例えば、低損失リニアレギュレータ)の出力の電圧を制御するために異なる技法を適用してもよい。
【0025】
電圧モニタ112は、最低電圧リミッタ210への提供のために、識別された最低シリアルバス電圧をスケールする電圧スケーリング回路310を含む。同様に、電圧レギュレータ202は、最低電圧リミッタ210への提供のために電圧レギュレータ202の出力電圧をスケールする電圧スケーリング回路314を含む。従って、最低電圧リミッタ210は、最低バス電圧と電圧レギュレータ出力電圧とのスケールされた電圧を比較し、これらのスケールされた電圧に基づいてVADJを生成する。例えば、VADJは、スケールされた最低バス電圧またはスケールされた電圧レギュレータ出力電圧のいずれかであり得る。
【0026】
図4は、シリアルバス電力制御システム104の別の実装態様のための概略図を示す。図4の実施態様は、図3に示したような最低電圧セレクタ208の出力ではなく、各電力スイッチ204の出力に電圧スケーリング回路402を含む点を除いて、図4の実施態は図3の実施態様と概ね類似している。
【0027】
上記の考察は、本発明の原理および種々の実施態様の例示であることを意図するものである。上記の開示が完全に理解されれば、多数の変形および改変が当業者に明らかとなろう。下記の特許請求の範囲は、全てのこのような変形および改変を包含するように解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4