特許第6194420号(P6194420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194420
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ヘアコンディショナー
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20170828BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170828BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   A61K8/41
   A61K8/34
   A61Q5/12
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-522425(P2016-522425)
(86)(22)【出願日】2014年6月23日
(65)【公表番号】特表2016-523872(P2016-523872A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014063119
(87)【国際公開番号】WO2014206920
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年2月25日
(31)【優先権主張番号】13382248.6
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516000011
【氏名又は名称】カオウ コーポレイション エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】KAO CORPORATION S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】カスタン バルベラン,ピラール
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス コステロ,ユディ
【審査官】 石川 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/021436(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/016591(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/090219(WO,A1)
【文献】 特表2004−527550(JP,A)
【文献】 特表2004−534807(JP,A)
【文献】 特表2006−523717(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02138156(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00786250(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02335678(EP,A1)
【文献】 国際公開第88/003016(WO,A1)
【文献】 国際公開第97/031617(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/41
A61K 8/34
A61Q 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)と、
ベヘナミドプロピルジメチルアミン(b)と、
1種以上の脂肪族アルコール(c)と、
を含み、前記1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び前記ベヘナミドプロピルジメチルアミン(b)の重量比が1:5〜5:1の範囲にあり、含水量が10重量%以下であり、室温で固体であることを特徴とする、液状ヘアコンディショナー組成物を調製するための固体化粧料組成物。
【請求項2】
前記1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)が、少なくとも式(I)で表される化合物を含む、請求項1に記載の固体化粧料組成物。
【化1】
(式中、X1は、1〜4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基又は1個の芳香族基を含むアルキル基を示し
1は、5〜23個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含む直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基であり、
2及びR3は、それぞれ独立に、H、OH又は−O−Lq−C(O)−R1を示し、
Lは、−(OCH2CH2)a−(OR4CHCH2)b−基(式中、R4は、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を示し、aは0〜20の範囲にある平均の数を示し、bは0〜6の範囲にある平均の数を示し、a+bの合計は0〜26の範囲にある平均の数を示す)を示し、
qは0〜26の範囲にある平均の数を示し、
m、n及びpは、それぞれ独立に、1〜4の範囲にある平均の数を示し、
Aは、陰イオンを示す。)
【請求項3】
前記脂肪族アルコール(c)が、6〜22個の炭素原子を含む脂肪族アルコールを含、請求項1〜2のいずれか一項に記載の固体化粧料組成物。
【請求項4】
前記1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び前記ベヘナミドプロピルジメチルアミン(b)の重量比が1:3〜3:1の範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体化粧料組成物。
【請求項5】
有機酸及び/又は無機酸を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体化粧料組成物。
【請求項6】
前記1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び前記ベヘナミドプロピルジメチルアミン(b)の重量比が2:1である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体化粧料組成物。
【請求項7】
機酸及び/又は無機酸を含まない、請求項1〜4及び6のいずれか一項に記載の固体化粧料組成物。
【請求項8】
水量が0.2重量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体化粧料組成物。
【請求項9】
前記1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)を2.5%〜42%と
前記ベヘナミドプロピルジメチルアミン(b)を2.5%〜42%と
前記1種以上の脂肪族アルコール(c)を50%〜83%と
を含み、ここに示す各量は、活性重量の百分率(前記固体化粧料組成物の総重量に対する)で表される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体化粧料組成物。
【請求項10】
ヘアコンディショナーとしての使用のための液状ヘアコンディショナー組成物を得る方法であって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の固体化粧料組成物を水中に分散するステップa)を含み、前記方法は、15℃〜40℃で行われる方法。
【請求項11】
前記液状ヘアコンディショナー組成物の含水量が10重量%を超える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)の後に行われるステップb)を更に含み、ステップb)は有機酸及び/又は無機酸を添加することを更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
求項10〜12のいずれか一項に記載の方法により得られる液状ヘアコンディショナー組成物の、毛髪をコンディショニング処理するための使用。
【請求項14】
ヒトの毛髪をコンディショニングする方法であって、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法において得られる液状ヘアコンディショナー組成物を毛髪に適用することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物、1種以上のアミドアミン化合物及び1種以上の脂肪族アルコールを含む組成物(以下、化粧料組成物とも称する)に関する。本発明はまた、室温で固体の化粧料組成物、この固体化粧料組成物から調製することができる液状ヘアコンディショナー組成物、更には前記固体化粧料組成物を中程度の温度の水に分散させて液状ヘアコンディショナー組成物を調製するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの毛髪は、周囲環境との接触や頭皮が分泌する皮脂により汚れる。この汚れは髪に不潔な感じや脂っぽい感触を与え、見た目を悪くすることがある。
【0003】
シャンプーで洗髪すると、過剰な汚れや皮脂が落ちて髪が清浄化される。しかし、シャンプーで洗髪した後の毛髪は、濡れて絡まり合い、全体がまとまらない状態となることがある。その後髪が乾くと、毛髪本来の油分や他のコンディショニング成分や保湿成分も奪われるため、髪はパサついた状態、ボサボサの状態、ツヤを失った状態、或いは縮れた状態になることが多い。更に、乾燥に伴い静電気量が上がるため、櫛通りやブラシ通りが悪くなったり、整髪しにくくなったりする。
【0004】
ヘアコンディショニング組成物は広く知られており、通常、上述のトラブルを回避する目的で、シャンプーやリンス直後の髪に適用して、毛髪にコンディショニング作用を与える。このコンディショニング組成物は毛髪の内部にまで作用し、その後、リーブオン(洗い流さないタイプの)コンディショナーとして使用することもできるし、髪から水で洗い流すこともできる。
【0005】
従来、ヘアコンディショニング組成物にはカチオン性界面活性剤が使用されてきた。カチオン性界面活性剤は、分子の正の電荷を有する陽イオン部分に界面活性が存在する。従って、カチオン性界面活性剤は、負に帯電した毛髪表面に引き寄せられて毛髪表面に付着する。カチオン性界面活性剤の中でもヒトの毛髪の処理に特に適しているのが4級アンモニウム化合物及びアルキルアミドアミン化合物である。従って、多くのヘアコンディショニング製品は4級アンモニウム化合物及びアルキルアミドアミン化合物がベースとなっている。
【0006】
ヘアコンディショニング組成物に求められる重要な要件は、ダメージヘアに対しても良好に作用することである。特定の4級エステルアンモニウム化合物と特定のアルキルアミドアミンの組合せが、特にダメージヘアに対する櫛通り力及び帯電防止効果という点で良好に作用することが見出されている。
【0007】
ヘアコンディショナー製品に求められる他の要件は、前述の組成物を調製する際のエネルギー消費量が少ないことである。この見方は、市販のヘアコンディショナー組成物が液状処方物であるものの、前述処方物の成分として使用されるカチオン性界面活性剤には室温で固体のものもあり、室温で水に分散できないという事実に関連する。固体のカチオン性物質を予め溶融させておいても、これを水に分散させるためには水温を少なくとも50〜60℃にする必要がある。アルキルアミドアミンの場合がこれに該当する。アルキルアミドアミンを水に分散させるためには、80℃前後の温水を使用するか、或いはアミドアミンを溶融しておいて、60℃前後に加熱された水に分散させることが必要である。この溶融段階と温水の使用によりエネルギーが消費される。
【0008】
溶融段階を省き、ヘアコンディショナー調製プロセスを簡素化する方法は、その成分として1種以上の4級化合物を含有し、中程度の温度又は室温でも容易に分散可能な固体化粧料組成物を得ることである。
【0009】
従来技術において、特定の4級エステルアンモニウム化合物と特定のアルキルアミドアミン化合物の特定比率での組合せにより得られる固体化合物が、ダメージヘアに対するコンディショニング作用に関し有利な性能が得られるのみならず、1種以上の脂肪族アルコールの配合により室温で水に容易に分散可能となることは知られている。このような分散体は、良好な性能を有する液状ヘアコンディショナーを得るのに適している。
【0010】
実際、4級エステルアンモニウム化合物及びアミドアミンの組合せは従来技術においてよく知られている。特許文献1には、標準的な構成成分に加えて、4級アンモニウム化合物(0.01〜30重量%)及びアルキルアミドアミン化合物(0.01〜30重量%)を含む活性物質の混合物を含み、毛髪をコンディショニングするための水性処方物が記載されている。当該明細書に開示されている組成物を用いてヒトの毛髪を処理することにより、湿潤時及び乾燥時における良好な櫛通り性が得られ、髪の手入れが容易になると共に静電気量低減が達成できる利点がある。
【0011】
特許文献2には、4級アンモニウム化合物及び脂肪酸アミドアミン化合物を含む混合物を、化粧料処方物、特に、ヘアコンディショナー処方物、好ましくはエマルジョン形態のヘアコンディショナー処方物に使用することが記載されている。当該明細書において対処している課題は、シリコーンオイル及びフケ防止剤の両方を混合しても貯蔵安定性及び温度安定性が得られる透明な化粧料処方物、特にヘアケア用、とりわけ毛髪コンディショニング用の化粧料処方物を提供することである。
【0012】
特許文献3には、常温で固体又はペースト状のヘアコンディショナー組成物が記載されている。当該明細書においては、含水量が非常に低く取り扱いが容易なヘアコンディショニング組成物及びそのエネルギー消費量の低い製造方法を提供することを目的としている。当該明細書に開示されている組成物は、16個以上の炭素原子を有する高級アルコール、16個以上の炭素原子を有する高級脂肪酸及び/又はこれらの誘導体を含む成分(a)、カチオン性界面活性剤である成分(b)、並びに融点が70℃以下である多価アルコール及び/又はポリエチレングリコールを含む成分(c)を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0786250号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20040146478号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2394632号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
すなわち、本発明者らはより優れたこの種の組成物の必要性を認識している。従って、本発明の目的は、特に、櫛通り力及び/又は帯電防止効果という点で非常に良好な性能を提供すること、特にダメージヘアに有利な組成物であって、特定の比率の4級エステルアンモニウム化合物及びアルキルアミドアミン化合物を脂肪族アルコールと共に含む組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、室温で固体の組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、ヘアコンディショナー組成物を提供すること、更には本発明による固体組成物を中程度の温度の水に分散させることによって液状ヘアコンディショナーを得ることによるヘアコンディショナー組成物の調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明はその第1の態様において、
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)と、
1種以上のアミドアミン化合物(b)と、
1種以上の脂肪族アルコール(c)と、
を含む組成物であって、
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)の重量比が1:5〜5:1の範囲にある組成物を提供する。
【0016】
本発明の組成物は、一般に、化粧料組成物であるか、或いは化粧料組成物を製造するために使用される組成物である。
【0017】
本発明はその第2の態様において、
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)と、
1種以上のアミドアミン化合物(b)と、
1種以上の脂肪族アルコール(c)と、
を含む、室温で固体の化粧料組成物であって、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)の重量比が1:5〜5:1の範囲にあり、固体化粧料組成物の含水量が10重量%以下である化粧料組成物を提供する。
【0018】
本発明はその第3の態様において、
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)と、
1種以上のアミドアミン化合物(b)と、
1種以上の脂肪族アルコール(c)と、
を含む、ヘアコンディショナー組成物であって、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)の重量比が1:5〜5:1の範囲にあり、ヘアコンディショナー組成物の含水量が10重量%を超えるヘアコンディショナー組成物を提供する。
【0019】
本発明はその第4の態様において、本発明の第2の態様の固体化粧料組成物を、15〜40℃、好ましくは18〜35℃、より好ましくは20〜30℃、最も好ましくは室温の水に分散させることによる、ヘアコンディショナー組成物の調製方法を提供する。
【0020】
本発明はその第5の態様において、本発明の第3の態様によるヘアコンディショナー組成物の、又は本発明の第4の態様により得られる組成物の、毛髪をコンディショニング処理するための使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において、室温とは20℃〜25℃の範囲の温度をいうものとする。
【0022】
特段の指定がない限り、百分率は全て重量百分率である。活性重量とは、組成物の総重量に対する活性物質の重量であり、活性物質とは、特定の作用を担う特定の成分をいうものとする。本出願の範囲における(すなわち、本発明の組成物に関する)活性物質とは、その効果の全体又は一部を誘導する成分の全体、特に、成分(a)、(b)及び(c)である。
【0023】
本発明の主目的は、
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)と、
1種以上のアミドアミン化合物(b)と、
1種以上の脂肪族アルコール(c)と、
を含み、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)の重量比が1:5〜5:1の範囲にある組成物にある。
【0024】
本発明の好ましい実施形態においては、1種以上のアミドアミン化合物(b)は、ベヘナミドプロピルジメチルアミンである。
【0025】
4級エステルアンモニウム化合物(a)
本発明は、エステルクアットとして一般に知られている1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)を含み、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)は、好ましくは、少なくとも1種の式(I)で表される化合物を含み、より好ましくは、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)は、全て式(I)で表される。
【0026】
【化1】
【0027】
(式中、X1は1〜4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基又は1個の芳香族基を含むアルキル基を示し、好ましくは、X1は1〜4個の炭素原子を含むアルキル基であり、より好ましくは、X1はメチル基であり、
1は5〜23個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含む直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基であり、
2及びR3は、それぞれ独立に、H、OH又は−O−Lq−C(O)−R1を示し、
Lは−(OCH2CH2)a−(OR4CHCH2)b−基(式中、R4は、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を示し、aは0〜20の範囲にある平均の数を示し、bは0〜6の範囲にある平均の数を示し、a+bの合計は0〜26、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜6の範囲にある平均の数を示し、最も好ましくは0である)を示し、
qは0〜26の範囲にある平均の数を示し、
m、n及びpは、それぞれ独立に、1〜4の範囲にある平均の数を示し、
Aは陰イオンを示す。)
【0028】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の4級アンモニウム化合物は、好ましくは、エトキシル化もプロポキシル化もされていない。
【0029】
好ましい実施形態においては、m、n及びpは2である。他の好ましい実施形態においては、m及びpは2であり、nは1である。
【0030】
同じく好ましい実施形態においては、qは0〜10の範囲、より好ましくは0〜6の範囲にある平均の数、最も好ましくは0である。
【0031】
Aは、好ましくはハライド、ホスフェート又はアルキルスルフェート、より好ましくはアルキルスルフェート、最も好ましくはメチル硫酸イオンである。
【0032】
好ましい実施形態においては、qは0ではなく、a+bは0ではなく、本発明の4級エステルアンモニウム化合物は、エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたエステルクアットである。エチレンオキシド基及びプロピレンオキシド基の配列の順序は本発明では問題としない。
【0033】
本発明の一実施形態においては、式(I)で表される1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)は、式(I.1)、(I.2)及び(I.3)で表される4級モノエステルアンモニウム化合物、4級ジエステルアンモニウム化合物又は4級トリエステルアンモニウム化合物の少なくとも1種以上の混合物を含む。
【0034】
【化2】
【0035】
(式I.1、式I.2及び式I.3中、R2及びR3は、それぞれ独立に、−H又は−OHを示し、
1は1〜4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基又は1個の芳香族基を含むアルキル基を示し、好ましくは、X1は1〜4個の炭素原子を含むアルキル基であり、より好ましくは、X1はメチル基であり、
1は5〜23個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含む直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基であり、
Lは−(OCH2CH2)a−(OR4CHCH2)b−基(式中、R4は、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を示し、aは0〜20の範囲にある平均の数を示し、bは0〜6の範囲にある平均の数を示し、a+bの合計は0〜26の範囲、好ましくは0〜10の範囲、より好ましくは0〜6の範囲にある平均の数を示し、最も好ましくは0である)を示し、
qは0〜26の範囲にある平均の数を示し、
m、n及びpは、それぞれ独立に、1〜4の範囲にある平均の数を示し、
Aは、陰イオンを示す。)
【0036】
本発明の他の実施形態において、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)は、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン又はこれらの混合物から、好ましくはトリエタノールアミンから得られる。
【0037】
本発明の特に好ましい方法において、式(I)の化合物は、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン又はこれらの混合物、好ましくはトリエタノールアミンを、式R1COOHで表される化合物又はその誘導体(例えば、その塩化物、無水物又はエステル)(式中、R1は上と同義である)と反応させることにより調製される。
【0038】
式R1COOHで表される化合物は、好ましくはC8-24脂肪酸である。脂肪酸は、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、トール油等の植物性油脂及び動物性油脂から得られる天然物質であってもよい。或いは、合成脂肪酸を使用することもできる。この脂肪酸は、全部又は一部が水素化されていてもよい。この脂肪酸は精製されていてもよい。好ましくは、使用される脂肪酸の純度は少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、更に好ましくは少なくとも99重量%である。脂肪酸の天然供給源の殆どは異なる酸の混合物を含むため、天然物質は、好ましくは使用前に精製される。
【0039】
本発明の一実施形態において、R1は、5〜23個の炭素原子、好ましくは9〜21個の炭素原子、より好ましくは14〜21個の炭素原子と、0〜3個の二重結合、好ましくは0又は1個の二重結合とを含む直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基である。
【0040】
直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基の例としては、全部若しくは一部が水素化及び精製されていてもよい、パーム油、ヤシ油、ヒマワリ油、大豆油、パームオレイン油、オリーブ油、キャノーラ油、トール油、牛脂等の植物性油脂及び動物性油脂から得られる生成物、及びパルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸及びエルカ酸又はこれらの混合物等の合成脂肪酸から得られる生成物が挙げられる。好ましくは、ヤシ脂肪酸及び一部水素化されたヤシ油脂肪酸が使用される。
【0041】
本発明の方法に使用することができるC8-24脂肪酸の代表的な例としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸及びエルカ酸又はこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
アルカノールアミン又はアルカノールアミンの混合物と、式R1COOHで表される化合物、例えば、C8-24脂肪酸との反応はエステル化であり、この反応は、当該技術分野において知られている条件、例えば、特許出願ES-A-2021900号明細書に記載される条件下で行うことができる。しかしながら、本発明の化合物はジエステルであるため、エステル化反応はジエステルの収率が最大になる条件下で行われることが好ましい。
【0043】
エステル化反応に使用されるアルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン)に対する式R1COOHで表される化合物又はその誘導体(例えば、C8-24脂肪酸)の比率は、好ましくは2.5未満、より好ましくは1.2〜2.5である。好ましくは、エステル化反応は、次亜リン酸やパラトルエンスルホン酸等の触媒の存在下で行われる。従来の安定剤及び/又は酸化防止剤(トコフェロール、BHT、BHA、クエン酸等)もエステル化反応混合物中に存在させることができる。
【0044】
好ましくは、このエステル化反応は、120℃〜220℃の温度で行われる。好ましい反応時間は2〜10時間である。好ましくは、この反応は、約5〜200mbarの減圧下に行われる。反応の進行は、一般的方法(例えばTLC又はHPLC)を利用してモニターすることができる。反応は、例えば、式R1COOHで表される化合物の消費量によりモニターすることができる。
【0045】
生成物には、式R1COOHで表される化合物の未反応物もある程度含まれていてもよい。
【0046】
エタノールアミンを使用した場合、本発明の組成物はメチル化アルカノールアミン、メチル化トリエタノールアミンも含む傾向にある。
【0047】
アミドアミン化合物(b)
本発明は1種以上のアミドアミン化合物(b)を含み、この1種以上のアミドアミン化合物(b)は、好ましくは、少なくとも式(II)で表されるアミドアミン化合物を含み、より好ましくは、1種以上のアミドアミン化合物(b)は、全て式(II)で表される。
【0048】
【化3】
【0049】
(式中、R1は8〜36個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアルキル基を示し、
2は1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、
3及びR4は、それぞれ独立に、1〜3個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキル基を示す。)
【0050】
本発明の一実施形態において、1種以上のアミドアミン化合物(b)は式(II)で表され、式中、R1は、好ましくは6〜24個の炭素原子を有し、より好ましくは12〜24個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアルキル基を示し、R2は、好ましくは3個の炭素原子を含む直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、R3及びR4は、それぞれ独立に、好ましくはメチル基を示す。
【0051】
本発明の他の実施形態において、アミドアミン化合物(b)は、ラウラミドプロピルジメチルアミン、ミリスタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、オレアミドプロピルジメチルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0052】
本発明の特に好ましい実施形態において、アミドアミン化合物(b)はベヘナミドプロピルジメチルアミンである。
【0053】
1種以上のアミドアミン化合物(b)は、一般に、脂肪酸(天然物質由来脂肪酸又は脂肪酸混合物)及びジメチルアミノプロピルアミンを反応させることにより得られる。
【0054】
ベヘナミドプロピルジメチルアミンは、ベヘン酸(ドコサン酸)組成物及びジメチルアミノプロピルアミンを反応させることにより得ることができる。
【0055】
ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドは、式(II')で表される。
【0056】
R−CO−NH(CH2)3−N(CH3)2 (II')
【0057】
(式中、Rは基本的にC21アルキル基に相当する)
【0058】
ベヘン酸は合成トリグリセリド以外に、天然油脂から誘導されることが好ましい。利用可能な天然供給源に応じて、ベヘン酸の脂肪酸組成(すなわち、ベヘン酸組成)は、ベヘン酸のみならず、少量のパルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、リグノセリン酸(C24)等、他の脂肪酸も含む。従って、成分(b)中のベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド又はその塩の含有率は、60重量%以上、好ましくは75重量%以上である。特に好ましくは、RのC21含有率は85重量%以上であり、C17の含有率は5重量%未満である。
【0059】
本発明によれば、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドの塩も化合物(b)として使用することができる。前記塩は、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドを、有機酸及び/又は無機酸(塩酸、リン酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、L-グルタミン酸、ピログルタミン酸等)、C6〜C22脂肪酸(ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等)若しくはこれらの混合物、又は下式で表されるアルキルエーテルカルボン酸で、中和又は部分中和することにより得られる。
【0060】
R−O−(CH2CH2O)n−CH2COOH
【0061】
(式中、Rは、C2〜C10アルキル鎖、好ましくはC6〜C8アルキルを示し、nは、1〜10の範囲、好ましくは3〜8の範囲の値である。)
【0062】
市販のアミドアミンの例としては、商品名AMIDET(登録商標)APA-18(INCI:ステアラミドプロピルジメチルアミン)及びAMIDET(登録商標)APA-22(INCI:ベヘナミドプロピルジメチルアミン)(いずれもカオー・ケミカルズ・ヨーロッパ)に対応するものが挙げられる。
【0063】
脂肪族アルコール(c)
本発明は、1種以上の脂肪族アルコール(c)を含み、好ましくは、脂肪族アルコール(c)は、6〜22個の炭素原子を含む脂肪族アルコールを含む。
【0064】
6〜C22脂肪族アルコールは、天然油脂から誘導された脂肪族アルコール及び合成原料から誘導された脂肪族アルコールである。好ましい油脂としては、パーム油、ヤシ油、ヒマワリ油、菜種油、ヒマシ油、オリーブ油、大豆油、動物性脂肪(牛脂、骨油等)、魚油、これらの硬化油及び半硬化油並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
6〜C22脂肪族アルコールは、エトキシル化及び/又はプロポキシル化されていてもよく、平均アルコキシル化度は1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、最も好ましくは2〜8である。
【0066】
好ましい実施形態においては、脂肪族アルコールは、アルコキシル化されていない脂肪族アルコールである。
【0067】
6〜C22脂肪族アルコールの例としては、カプリルアルコール(1-オクタノール)、ペラルゴンアルコール(1-ノナノール)、カプリンアルコール(1-デカノール)、ラウリルアルコール(1-ドデカノール)、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、パルミトレイルアルコール(シス-9-ヘキサデカン-1-オール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、イソステアリルアルコール(16-メチルヘプタデカン-1-オール)、エライジルアルコール(9E-オクタデセン-1-オール)、オレイルアルコール(シス-9-オクタデセン-1-オール)、リノレイルアルコール(9Z,12Z-オクタデカジエン-1-オール)、エライドリノレイルアルコール(9E,12E-オクタデカジエン-1-オール)、リノレニルアルコール(9Z,12Z,15Z-オクタデカトリエン-1-オール)、エライドリノレニルアルコール(9E,12E,15E-オクタデカトリエン-1-オール)、リシノレイルアルコール(12-ヒドロキシ-9-オクタデセン-1-オール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドデコサノール)、エルシルアルコール(シス-13-ドコセン-1-オール)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
市販の脂肪族アルコールの例としては、商品名KALCOL(登録商標)6098(INCI:セチルアルコール))、KALCOL(登録商標)8098(INCI:ステアリルアルコール))、KALCOL(登録商標)6850P(INCI:セテアリルアルコール)(いずれもカオー・ケミカルズ・ヨーロッパ)に対応するものが挙げられる。
【0069】
本発明の化粧料組成物
本発明の主目的は、
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)と、
1種以上のアミドアミン化合物(b)と、
1種以上の脂肪族アルコール(c)と、
を含み、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)の重量比が1:5〜5:1の範囲にある、化粧料組成物にある。
【0070】
本発明の好ましい実施形態においては、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)の重量比は1:3及び3:1、より好ましくは2:1である。
【0071】
本発明の特に好ましい実施形態においては、本発明による化粧料組成物は、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)と、ベヘナミドプロピルジメチルアミン(b)と、1種以上の脂肪族アルコール(c)とを含み、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及びベヘナミドプロピルジメチルアミン(b)の重量比は1:5〜5:1の範囲にある。
【0072】
本発明の他の好ましい実施形態においては、本発明による化粧料組成物は室温で固体の化粧料組成物であり、この固体化粧料組成物の含水量は10重量%以下である。
【0073】
更なる好ましい実施形態においては、本発明による化粧料組成物は室温で固体の化粧料組成物であり、この固体化粧料組成物の含水量は5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、最も好ましくは0.2重量%以下である。
【0074】
本発明の他の実施形態においては、本発明による化粧料組成物は、
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)を、2.5%〜42%、好ましくは13%〜25%、より好ましくは20%〜24%と、
1種以上のアミドアミン化合物(b)を、2.5%〜42%、好ましくは6%〜25%、より好ましくは7%〜15%と、
1種以上の脂肪族アルコール(c)を、50%〜83%、好ましくは60%〜75%、より好ましくは65%〜70%と、
を含み、ここに示した量は、活性重量の百分率(本発明の組成物の総重量に対する)として表される。
【0075】
本発明の化粧料組成物は、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)、1種以上のアミドアミン化合物(b)及び1種以上の脂肪族アルコール(c)を80℃又は85℃で完全に均質化するまで撹拌しながら混合した後、混合物を室温まで冷却することによって調製することができ、これにより造粒に適した固体を得ることができる。
【0076】
ヘアコンディショナー組成物:
更に本発明は、
1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)と、
1種以上のアミドアミン化合物(b)と、
1種以上の脂肪族アルコール(c)と、
を含むヘアコンディショナー組成物であって、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)の重量比が1:5〜5:1の範囲にあり、ヘアコンディショナー組成物の含水量が10重量%を超え、好ましくは30重量%を超え、より好ましくは50重量%を超え、更に好ましくは80重量%を超え、一層好ましくは90重量%を超え、最も好ましくは95重量%を超える、ヘアコンディショナー組成物を提供する。
【0077】
本発明の好ましい実施形態においては、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)の重量比は1:3〜3:1の範囲にある。
【0078】
本発明の他の好ましい実施形態においては、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)のモル比は、1:13〜2:1の範囲、より好ましくは1.26:1〜1:8の範囲にある。
【0079】
本発明の特に好ましい実施形態においては、1種以上の4級エステルアンモニウム化合物(a)及び1種以上のアミドアミン化合物(b)のモル比は1:1.25である。
【0080】
本発明の他の実施形態は、本発明のヘアコンディショナー組成物を得るための方法であって、前記方法は、本発明による固体組成物を水に分散させるステップa)を含み、この方法は、15〜40℃、好ましくは18〜35℃、より好ましくは20〜30℃、最も好ましくは室温で行われる。
【0081】
上述の方法により得られる組成物は、ヘアコンディショナーとしての使用に適している。従って、本発明によるヘアコンディショナー組成物又は本発明において定義した方法により得られるヘアコンディショナー組成物の、毛髪をコンディショニング処理するための使用も本発明の一部である。
【0082】
ヒトの毛髪のコンディショニング方法であって、本発明によるヘアコンディショナー組成物又は本発明に定義した方法により得られるヘアコンディショナー組成物を毛髪に適用し、更に毛髪から水で洗い流すか、或いは洗い流さないタイプのコンディショナーとして毛髪上に放置する方法も本発明の一部である。
【0083】
本発明による化粧料組成物及びヘアコンディショナー組成物はまた、油成分、シリコーン化合物、粉末、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリマー、金属イオン封鎖剤、UV防御因子、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料油、静菌剤等を更なる助剤及び添加剤として含むことができる。
【0084】
油分の例としては、液状油、固形油、ワックス、炭化水素油及び合成エステル油が挙げられる。好適な油成分は、例えば、6〜22個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪族アルコールをベースとするゲルベアルコール、直鎖C6〜C22脂肪酸と直鎖C6〜C22脂肪族アルコールとのエステル、分岐C6〜C22カルボン酸と直鎖C6〜C22脂肪族アルコールとのエステル(例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシル及びエルカ酸エルシル等)である。同じく好適なのは、直鎖C6〜C22脂肪酸と分岐アルコール(より具体的には2-エチルヘキサノール)とのエステル、ヒドロキシカルボン酸と直鎖若しくは分岐のC6〜C22脂肪族アルコールとのエステル、直鎖及び/又は分岐脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、二量体ジオール又は三量体トリオール)及び/又はゲルベアルコールとのエステル、C6〜C10脂肪酸をベースとするトリグリセリド、C6〜C18脂肪酸をベースとする液体モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、C6〜C22脂肪族アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(より具体的には安息香酸)とのエステル、C6〜C12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐アルコール若しくは2〜10個の炭素原子及び2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのエステル、植物油(アボカド油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ババスパーム油、ボラージ油、ピーナツ油、ホホバ油、キャノーラ油、大麻油、大豆油、マリアアザミ油、ベニバナ油、ショクヨウカヤツリ油、ヤシ油、菜種油、ブラッククミン油、小麦胚芽油、ヒマワリ油、亜麻仁油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、クルミ油、オリーブ油等)、分岐1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖及び分岐のC6〜C22脂肪族アルコール炭酸エステル、ゲルベ炭酸エステル、安息香酸と直鎖及び/又は分岐C6〜C22アルコールとのエステル、アルキル基1個当たり6〜22個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐の対称又は非対称ジアルキルエーテル、ポリオールとエポキシ化脂肪酸エステルとの開環生成物、シリコーンオイル及び/又は脂肪族若しくはナフテン系炭化水素(例えばジアルキルシクロヘキサン)である。
【0085】
ワックスの例としては、天然ワックス(例えば、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、モクロウ、エスパルトワックス、コルクワックス、グアルマワックス、ライスオイルワックス、サトウキビロウ、オウリキュリワックス、モンタンロウ、ミツロウ、シェラックロウ、鯨ロウ、ラノリン(羊毛ワックス)、尾腺分泌(ウロピジアル)脂、セレシン、オゾケライト(地ロウ)、ペトロラタム、パラフィンロウ、マイクロワックス等)、化学変性ワックス(硬化ワックス)(例えば、モンタンエステルワックス、サゾールワックス、水添ホホバワックス等)及び合成ワックス(例えば、ポリアルキレンワックス及びポリエチレングリコールワックス等)が挙げられる。
【0086】
炭化水素油の例としては、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ペトロラタム及びマイクロクリスタリンワックスが挙げられる。
【0087】
好適なシリコーン化合物としては、室温で液状であっても樹脂状であってもよい、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン並びにアミノ−、脂肪酸−、アルコール−、ポリエーテル−、エポキシ−、フッ素−、グリコシド−及び/又はアルキル−変性シリコーン化合物が挙げられる。好ましいシリコーン化合物は、25℃のパラフィン系油に可溶なシリコーンオイルである、疎水性シリコーンオイルである。本発明により使用される疎水性シリコーンオイルとしては、揮発性及び不揮発性シリコーンオイルの両方が挙げられる。
【0088】
具体例としては、式{(CH3)2SiO}x(式中、xは、3〜6である)を有する環状メチルシロキサン又は式((CH3)2SiO{(CH3)2SiO}ySi(CH3)3(式中、yは0〜5である)を有する短鎖直鎖メチルシロキサンが挙げられる。
【0089】
好適な環状メチルシロキサンのとしては、例えば、沸点が134℃の固体であり、式{(Me2)SiO}3を有するヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3);沸点が176℃であり、粘度が2.3mm2/sであり、式{(Me2)SiO}4を有するオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4);沸点が210℃であり、粘度が3.87mm2/sであり、式{(Me2)SiO}5を有するデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)(シクロメチコン);及び沸点が245℃であり、粘度が6.62mm2/sであり、式{(Me2)SiO}6を有するドデカメチルシクロヘキサシロキサン(DE)が挙げられる。
【0090】
好適な短鎖直鎖メチルシロキサンとしては、例えば、沸点が100℃であり、粘度が0〜65mm2/sであり、式Me3SiOMe3を有するヘキサメチルジシロキサン(MM);沸点が152℃であり、粘度が1.04mm2/sであり、式Me3SiOMe2SiOSiMe3を有するオクタメチルトリシロキサン(MDM);沸点が194℃であり、粘度が1.53mm2/sであり、式Me3SiO(MeSiO)2SiMe3を有するデカメチルテトラシロキサン(MD2M);沸点が229℃であり、粘度が2.06mm2/sであり、式Me3SiO(Me2SiO)3SiMe3を有するドデカメチルペンタシロキサン(MD3M);沸点が245℃であり、粘度が2.63mm2/sであり、式Me3SiO(Me2SiO)4SiMe3を有するテトラデカメチルヘキサシロキサン(MD4M);及び沸点が270℃であり、粘度が3.24mm2/sであり、式Me3SiO(Me2SiO)5SiMe3を有するヘキサデカメチルヘプタシロキサン(MD5M)が挙げられる。
【0091】
更に、フェニルトリメチコン、ビス(フェニルプロピル)ジメチコン、ジメチコン、ジメチコノール等の長鎖直鎖シロキサンも挙げられる。
【0092】
粉末の例としては、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、リチア雲母、黒雲母、バーミキュライト、ベントナイト、ヘクトライト、ラポナイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼石膏)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー)、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム及びステアリン酸アルミニウム)及び窒化ホウ素;有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン−アクリル酸コポリマー樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ(テトラフルオロエチレン)粉末及びセルロース粉末);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン及び酸化亜鉛);無機赤色顔料(例えば、酸化鉄(赤酸化鉄)及びチタン酸鉄);無機褐色顔料(例えば、γ-酸化鉄);無機黄色顔料(例えば、黄酸化鉄及びオークル);無機黒色顔料(例えば、黒酸化鉄及び低次酸化チタン);無機紫色顔料(例えば、マンゴバイオレット及びコバルトバイオレット);無機緑色顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム及びチタン酸コバルト);無機青色顔料(例えば、群青及びコンジョウ);パール顔料(例えば、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、有色酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス及び魚鱗箔);金属粉末顔料(例えば、アルミニウム粉及び銅粉);有機顔料(例えば、ジルコニウムレーキ、バリウムレーキ又はアルミニウムレーキ)(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号等の有機顔料);並びにクロロフィル、β-カロテン等の天然色素が挙げられる。
【0093】
両性界面活性剤の例としては、イミダゾリン型両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム及び2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキシド-1-カルボキシエチルオキシ-2-ナトリウム塩);及びベタイン型界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン及びスルホベタイン)が挙げられる。
【0094】
親油性非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタン脂肪酸エステル(モノオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ソルビタンペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロール、ソルビタンテトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロール等);グリセロール又はポリグリセロール脂肪酸エステル(グリセロールモノ綿実油脂肪酸エステル、モノエルカ酸グリセロール、セスキオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、グリセロールα,α'-オレイン酸ピログルタミン酸エステル、グリセロールモノステアリン酸リンゴ酸エステル等);プロピレングリコール脂肪酸エステル(プロピレングリコールモノステアリン酸エステル等);硬化ヒマシ油誘導体;及びグリセロールアルキルエーテルが挙げられる。
【0095】
親水性非イオン性界面活性剤の例としては、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(モノオレイン酸POE-ソルビタン、モノステアリン酸POE-ソルビタン、テトラオレイン酸POE-ソルビタン等);POE-ソルビトール脂肪酸エステル(POE-モノラウリン酸ソルビトール、POE-モノオレイン酸ソルビトール、POE-ペンタオレイン酸ソルビトール、POE-モノステアリン酸ソルビトール等);POE-グリセロール脂肪酸エステル(POE-モノオレイン酸グリセロール、POE-モノステアリン酸グリセロール、POE-モノイソステアリン酸グリセロール、POE-トリイソステアリン酸グリセロール等);POE-脂肪酸エステル(POE-ジステアリン酸、POE-モノジオレイン酸、エチレングリコールジステアリン酸等);POE-アルキルエーテル(POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型界面活性剤(プルロニック等);POE/POP-アルキルエーテル(POE/POP-セチルエーテル、POE/POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE/POP-モノブチルエーテル、POE/POP-水素化ラノリン、POE/POP-グリセロールエーテル等);テトラPOE/テトラPOP-エチレンジアミン縮合物(テトロニック等);POE-ヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体(POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレエート);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(POE-ソルビトールミツロウ等);アルカノールアミド(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;並びにリン酸トリオレイルが挙げられる。
【0096】
好適なカチオン性ポリマーは、例えば、カチオン性セルロース誘導体(例えば、アマーコール社よりPolymer JR 400の商品名で入手可能な4級化ヒドロキシエチルセルロース等)、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとのコポリマー、4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾール重合体(例えば、ルビカット(BASF)等)、ポリグリコールとアミンとの縮合物、4級化コラーゲンポリペプチド(例えば、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン等)、4級化コムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー(例えば、アモジメチコン等)、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンとのコポリマー(サンド社製Cartaretine)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー、ポリクオタニウム型ポリマー、ポリアミノポリアミド及びその架橋水溶性ポリマー、カチオン性キチン誘導体(例えば、微結晶分布状態であってもよい4級化キトサン等)、ジハロアルキル(例えば、ジブロモブタン)とビスジアルキルアミン(例えば、ビスジメチルアミノ-1,3-プロパン)との縮合物、カチオン性グアー(例えば、セラニーズ社製Jaguar CBS、Jaguar C-17、Jaguar C-16等)、4級化アンモニウム塩重合体(例えば、ミラポール社製Mirapol A-15、Mirapol AD-1、Mirapol AZ-1)である。
【0097】
好適なアニオン性、両イオン性、両性及び非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー及びこれらのエステル、非架橋及びポリオール架橋されたポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸エステルコポリマー、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/メタクリル酸tert-ブチルアミノエチル/メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム三元コポリマー並びに誘導体化されていてもよいセルロースエーテル及びシリコーンである。
【0098】
UV防御因子の例としては、室温で液体又は結晶であり、紫外線を吸収して、吸収したエネルギーをより長い波長の放射線の形態(例えば、熱)として放出することができる有機物質(光遮蔽剤)が挙げられる。UV-B遮蔽剤は、油溶性又は水溶性のものを用いることができる。次に示すのは油溶性物質の例である:3-ベンジリデンカンファー又は3-ベンジリデンノルカンファー及びこれらの誘導体、例えば、3-(4-メチルベンジリデン)-カンファー;4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4-(ジメチルアミノ)-安息香酸-2-エチルヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)-安息香酸-2-オクチルエステル及び4-(ジメチルアミノ)-安息香酸アミルエステル;ケイヒ酸のエステル、好ましくは4-メトキシケイヒ酸-2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシケイヒ酸プロピルエステル、4-メトキシケイヒ酸イソアミルエステル、2-シアノ-3,3-フェニルケイヒ酸-2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン);サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸-2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸-4-イソプロピルベンジルエステル、サリチル酸ホモメンチルエステル;ベンゾフェノン誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンジルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンジルマロン酸ジ-2-エチルヘキシルエステル;トリアジン誘導体、例えば2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン、オクチルトリアゾン等;プロパン-1,3-ジオン、例えば1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4T-メトキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオン等;2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸並びにそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルカンモニウム塩等;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸及びその塩;3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)-ベンゼンスルホン酸及び2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)-スルホン酸並びにこれらの塩等。
【0099】
典型的なUV-A遮蔽剤としては、特に、ベンゾイルメタン誘導体、例えば、1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(パーソル1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)-プロパン-1,3-ジオン等が挙げられる。
【0100】
UV-A及びUV-B遮蔽剤は、無論、混合物の形態で使用することもできる。上述の可溶性物質の他に、不溶性顔料、すなわち、微細分散した金属酸化物又は金属塩もこの目的に使用することができる。好適な金属酸化物の例としては、特に、酸化亜鉛及び二酸化チタンに加えて、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウム及びセリウムの酸化物並びにこれらの混合物が挙げられる。ケイ酸塩(タルカム)、硫酸バリウム及びステアリン酸亜鉛も塩として使用することができる。この酸化物及び塩は顔料の形態でスキンケア用エマルジョン及びスキンプロテクトエマルジョン及びメークアップ化粧料に使用することができる。粒子の平均径は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、より好ましくは15〜30nmとすべきである。これらの形状は球形とすることができるが、楕円形粒子又は他の非球状粒子を使用することもできる。顔料は、表面処理、すなわち、親水化又は疎水化することもできる。典型的な例は、被覆二酸化チタン、例えば、Titandioxid T 805(デグサ)又はEusolex T2000(メルク)等である。好適な疎水性被覆材料としてはとりわけシリコーンが挙げられ、特にトリアルコキシオクチルシラン又はシメチコンである。所謂マイクロ顔料又はナノ顔料は、好ましくは、日焼け止め製品に使用される。好ましくは、微細化された酸化亜鉛が使用される。
【0101】
上述の主要な防御因子の2グループに加えて、酸化防止剤型の補助的な防御因子も使用することができる。酸化防止剤型の補助的な日光防御因子は、UV光が皮膚に浸入することにより開始される光化学反応の連鎖を阻止する。好適な酸化防止剤の典型的な例としては、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びこれらの誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びその誘導体、ペプチド(D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン等)及びこれらの誘導体(例えば、アンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、リコペン)及びこれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、システアミン並びにこれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、ラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリル及びグリセリルの各エステル)及びこれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、スルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホキシミン、ペンタ−、ヘキサ−及びヘプタ−チオニンスルホキシミン)(ごく少量の混和する量で添加)が挙げられ、更には、(金属)キレート剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビルビリン、ビルベリジン、EDTA、EGTA及びその誘導体、不飽和脂肪酸及びこれらの誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体、ユビキノン及びユビキノール並びにこれらの誘導体、ビタミンC及びその誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、Mgリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル)、トコフェロール及びその誘導体(例えば、ビタミンE酢酸エステル)、ビタミンA及び誘導体(ビタミンAパルミチン酸エステル)及びベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン及びその誘導体(α-グリコシルルチン)、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレトレジン酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシ−ブチロフェノン、尿酸及びこれらの誘導体、マンノース及びその誘導体、スーパーオキシドディスムターゼ、亜鉛及びその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレン及びその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)並びに本発明の目的に適したこれらの活性物質の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド及び脂質)が挙げられる。
【0102】
金属イオン封鎖剤の例としては、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸4Na塩、エデト酸ジナトリウム、エデト酸トリナトリウム、エデト酸テトラナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸及びヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウムが挙げられる。
【0103】
ビタミン類の例としては、ビタミンA、B1、B2、B6、C及びE並びにこれらの誘導体;パントテン酸及びその誘導体;並びにビオチンが挙げられる。
【0104】
酸化防止剤の例としては、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール及び没食子酸エステルが挙げられる。酸化防止剤助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、セファリン、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸及びエチレンジアミンテトラ酢酸が挙げられる。
【0105】
好適な香料油は、天然及び合成芳香物質の混合物である。天然芳香物質としては、花の抽出物(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎及び葉の抽出物(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実の抽出物(アニス、コリアンダー、キャラウェイ、ジュニパー)、果皮の抽出物(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根の抽出物(ナツメグ、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、モッコウ、イリス、カラムス)、木部心材の抽出物(マツ、サンダルウッド、グアイヤクウッド、シダーウッド、ローズウッド)、ハーブ及び草の抽出物(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針葉及び枝(トウヒ、モミ、パイン、モンタナマツ)、樹脂及びバルサムの抽出物(ガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナックス)が挙げられる。動物性原料、例えば、シベット及びビーバーも使用することができる。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素の各タイプの製品である。エステル型の香料化合物としては、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、メチルフェニルグリシド酸エチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリル及びサリチル酸ベンジルが挙げられる。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば、8〜18個の炭素原子を含む直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、フィリアール(filial)及びブルゲオナールが挙げられる。好適なケトンとしては、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノン及びメチルセドリルケトンが挙げられる。好適なアルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロオール、フェニルエチルアルコール及びテルピネオールが挙げられる。炭化水素としては、主として、テルペン類及びバルサム類が挙げられる。しかしながら、合一することで快い芳香を生み出す異なる香料化合物の混合物を使用することが好ましい。他の好適な香料油は、主としてアロマ成分として使用されている比較的揮発性の低い精油である。その例としては、セージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、シナモンリーフ油、ライムブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチバー油、オリバナム油、ガルバナム油、ラボラナム油及びラバンジン油が挙げられる。次に示すものは、好ましくは、単独で又は混合物のいずれかの形態で使用される:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボアザンブレンフォルト、アンブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス、シトラス油、マンダリン油、オレンジ油、グリコール酸アリルアミル、シクロベルタール、ラバンジン油、サルビア油、β-ダマスコン、ゼラニウム油(ブルボン)、サリチル酸シクロヘキシル、フェルトフィスクール(Vertofix Coeur)、イソEスーパー、フィクソライド(Fixolide)NP、エベルニル、イラルダインガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット、イロチル及びフロラマット。
【0106】
静菌剤の典型的な例としては、特に、グラム陽性菌に作用する防腐剤、例えば、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル、クロロヘキシジン(1,6-ジ-(4-クロロフェニル-ビグアニド)-ヘキサン)、TCC(3,4,4'-トリクロロカルバニリド)等が挙げられる。香料及び精油の多くは抗菌性も有している。活性物質の典型的な例としては、チョウジ油、ハッカ油及びタイム油に含まれるオイゲノール、メントール及びチモールが挙げられる。
【0107】
以下、実施例を挙げて当業者に本発明を十分に明確にかつ完全に説明するが、これらは本明細書において上に述べた本発明の主題の本質的範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0108】
本発明に係る固体組成物の調製
以下、本発明による固体組成物を調製するための非限定的な例を示す(一般的方法)。
【0109】
不活性雰囲気中、パーム油脂肪酸(220g)をステンレス鋼製反応器に導入し、トリエタノールアミン(74.9g)を撹拌しながら加えた。反応物から水分を除去するために、混合物を160〜180℃で少なくとも4時間加熱した。脂肪酸の少なくとも90%をエステル化するために、残存酸度を求める酸/塩基分析により反応の進行をモニターした。
【0110】
黄色液体生成物(280.4g)は、エステル化されていない脂肪酸、モノ−、ジ−及びトリエステル化トリエタノールアミンの混合物から基本的になり、未反応のトリエタノールアミンも残存している場合がある。4級化を行うために、エステル化により得られた生成物(271.4g)に硫酸ジメチル(58.1g)を50〜90℃で撹拌しながら加えた。4時間消化を行った後、残留アミンが実質的に完全に消失したことを酸/塩基分析により確認した。得られたエステルクアット(EQ-HC)(329.5g)をセテアリルアルコール(989.1g)で希釈した。不活性雰囲気を維持し、生成物の撹拌を継続したまま、ベヘナミドプロピルジメチルアミン(133.9g)を加えて完全に均質化した。生成物が均質化した後、室温に冷却した。アミドアミンのアミン塩(カチオン性界面活性剤)を生成するために複数の組成物の一部は乳酸で中和し、他の一部は中和しなかった。
【0111】
表1に、固体組成物を調製するために使用した原料を示す。表1に示す各成分の量は、各原料に含まれる活性重量の百分率である。調製は一般的方法に従い行った。
【0112】
表1の組成で調製された組成物の物理的特性を表2にまとめる。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
表2に示す生成物は全て淡色固体であり、融点(示差走査熱量計DSC-Q20(ティー・エイ・インスツルメント))は60〜70℃である。
【0116】
試料を20℃、相対湿度80%で保存し、この条件下で一定の時間が経過した後、秤量することによって吸湿性を測定した。
【0117】
硬度は、針入度試験器(ノーマテスト社)を用いて間接的に測定した。針入度が高いほど試料の硬度は低い。
【0118】
針入度が30未満であり、融点が43℃を超える試料が造粒可能であると見なされる。
【0119】
試料を溶融した後、針入度を測定する前に24時間かけて室温まで放冷する。測定時に印加する重量を30秒間で150gとし、針入度試験器の貫入針の針入度を読み取った。
【0120】
各組成物の流動性を確認するために、Haake Rhestress 600レオメータ(サーモ・フィッシャー)を用いて粘度対温度のレオグラムを測定した。条件:85〜30℃、ω=201/s、#13。
【0121】
全ての特性に関し、ベヘナミドプロピルジメチルアミンを含む組成物、すなわち、試料A、B、E及びFが好ましい。中和していない試料(A及びE)がより好ましい。
【0122】
室温における分散性
表1に記載した試料は全て淡色固体であるが、エステルクアット、ベヘナミドプロピルジメチルアミン及び脂肪族アルコールを含む表1の試料A、B、E及びFのみが加熱を必要とすることなく、室温で機械的撹拌のみを行うことによって水に分散させることができる。
【0123】
上述の各組成物(カチオン性活性物質(エステルクアット及びアミドアミン)1.5%及び脂肪族アルコール3%)を水に入れ、25℃で2時間、250rpmで撹拌して試料(300g)を調製し、室温における水分散性を評価した。各試料をASTM 50フィルタ(300ミクロン)で加圧下に濾過した。次いで、フィルタ上に残留した残渣を50℃で24時間乾燥させ、秤量した。組成物A、B、E及びFのみが完全に濾過可能であった。従って、本発明に関してはこれらの組成物が好ましい。
【0124】
他の試料は、試料を濾過する際に大きな固体残渣があり、完全に濾過することができなかった。このことは、これらの生成物を室温で完全に分散することができなかったことを示唆している。
【0125】
ヘアコンディショナー組成物中における性能
表3に示す処方物の性能も評価した。エステルクアット及びアミドアミンを2種の異なる比率で含むヘアコンディショナーを調製し(いずれの比率も活性物質の比率である)、櫛通り力を評価した。各処方ともカチオン性活性物質(4級エステルアンモニウム化合物及びアミドアミン)を1.5%及び脂肪族アルコールを3%を含む。
【0126】
櫛通り力の低下は良好な性能の指標であり、組成物の有利な特徴の一つである。
【0127】
櫛通り力をダイナモメータ(インストロン5543、セル:1kg、速度:500mm/分)を用いて求めた。白人のダメージヘアの毛束(約20g、長さ22cm)を湿潤及び乾燥条件下で10回コーミングし、得られた値の平均値を求めた。
【0128】
表3から分かるように、本発明による組成物は櫛通り力が非常に低い。
【0129】
【表3】