特許第6194424号(P6194424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194424
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】磁束制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/20 20060101AFI20170828BHJP
   H01F 7/02 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01F7/20 H
   H01F7/02 D
【請求項の数】31
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-532584(P2016-532584)
(86)(22)【出願日】2016年3月3日
(65)【公表番号】特表2017-522712(P2017-522712A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】KR2016002152
(87)【国際公開番号】WO2016178473
(87)【国際公開日】20161110
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0062559
(32)【優先日】2015年5月4日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0012438
(32)【優先日】2016年2月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516246756
【氏名又は名称】チェ,テ グァン
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ,テ グァン
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0124739(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1427066(KR,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0279541(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0361860(US,A1)
【文献】 特表2013−537712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/20
H01F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と第2面が形成され、強磁性体であるNポールピースと、第1面と第2面が形成され、強磁性体であるSポールピースと、前記NポールピースにN極が接触し、前記SポールピースにS極が接触するように配置される永久磁石とを備えるポールピースアセンブリ、
第1面と第2面が形成され、磁性体である第1外側ポールピース、
第1面と第2面が形成され、磁性体である第2外側ポールピース、
第1面と第2面が形成され、磁性体であるベースポールピース、
前記Nポールピース、前記Sポールピース、前記第1外側ポールピース、前記第2外側ポールピース及び前記ベースポールピースの少なくとも一つに巻き付けられるコイル、及び
前記コイルに印加される電流を制御する制御装置を含み、
前記Nポールピースの第1面は、前記ベースポールピースの第1面と対面し、前記Sポールピースの第1面は、前記ベースポールピースの第2面と対面し、前記Nポールピースの第2面は、前記第1外側ポールピースの第1面と対面し、前記Sポールピースの第2面は、前記第2外側ポールピースの第1面と対面し、
前記ポールピースアセンブリは、前記ベースポールピースの第1面及び第2面が、前記Nポールピースの第1面及び前記Sポールピースの第1面から各々磁気的に離隔され、前記Nポールピースの第2面と前記Sポールピースの第2面が、前記第1外側ポールピースの第1面と前記第2外側ポールピースの第1面と各々磁気的に接触する第1位置と、前記ベースポールピースの第1面及び第2面が、前記Nポールピースの第1面及び前記Sポールピースの第1面と各々磁気的に接触し、前記Nポールピースの第2面及び前記Sポールピースの第2面が、前記第1外側ポールピースの第1面及び前記第2外側ポールピースの第1面から各々磁気的に離隔される第2位置との間で移動可能であり、
前記制御装置は、前記コイルに印加される電流を制御することにより、前記ポールピースアセンブリの位置を前記第1位置と前記第2位置との間で転換させ、これによって、前記第1外側ポールピースの第2面と前記第2外側ポールピースの第2面との間の磁束の変化を引き起こす、ことを特徴とする磁束制御装置。
【請求項2】
前記Sポールピースは、第1Sポールピースであり、前記永久磁石は、第1永久磁石であり、
第1面と第2面が形成され、強磁性体である第3外側ポールピースをさらに含み、
前記ポールピースアセンブリは、第1面と第2面が形成され、強磁性体である第2Sポールピースと、前記NポールピースにN極が接触し、前記第2SポールピースにS極が接触するように配置される第2永久磁石をさらに含み、
前記ベースポールピースは、第3面をさらに備え、
前記第2Sポールピースの第1面は、前記ベースポールピースの第3面と対面し、前記第2Sポールピースの第2面は、前記第3外側ポールピースの第1面と対面し、
前記ポールピースアセンブリが前記第1位置に位置した場合、前記第2Sポールピースの第1面と前記ベースポールピースの第3面が磁気的に離隔され、前記第2Sポールピースの第2面と前記第3外側ポールピースの第1面が磁気的に接触し、前記ポールピースアセンブリが前記第2位置に位置した場合、前記第2Sポールピースの第1面と前記ベースポールピースの第3面が磁気的に接触し、前記第2Sポールピースの第2面と前記第3外側ポールピースの第1面が磁気的に離隔され、
前記コイルは、前記Nポールピース、前記第1Sポールピース、前記第2Sポールピース、前記第1外側ポールピース、前記第2外側ポールピース、前記第3外側ポールピース及び前記ベースポールピースの少なくとも一つに巻き付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の磁束制御装置。
【請求項3】
前記Nポールピースは、第1Nポールピースであり、前記永久磁石は、第1永久磁石であり、
第1面と第2面が形成され、強磁性体である第3外側ポールピースをさらに含み、
前記ポールピースアセンブリは、第1面と第2面が形成され、強磁性体である第2Nポールピースと、前記SポールピースにS極が接触し、前記第2NポールピースにN極が接触するように配置される第2永久磁石をさらに含み、
前記ベースポールピースは、第3面をさらに備え、
前記第2Nポールピースの第1面は、前記ベースポールピースの第3面と対面し、前記第2Nポールピースの第2面は、前記第3外側ポールピースの第1面と対面し、
前記ポールピースアセンブリが前記第1位置に位置した場合、前記第2Nポールピースの第1面と前記ベースポールピースの第3面が磁気的に離隔され、前記第2Nポールピースの第2面と前記第3外側ポールピースの第1面が磁気的に接触し、前記ポールピースアセンブリが前記第2位置に位置した場合、前記第2Nポールピースの第1面と前記ベースポールピースの第3面が磁気的に接触し、前記第2Nポールピースの第2面と前記第3外側ポールピースの第1面が磁気的に離隔され、
前記コイルは、前記第1Nポールピース、前記第2Nポールピース、前記Sポールピース、前記第1外側ポールピース、前記第2外側ポールピース、前記第3外側ポールピース及び前記ベースポールピースの少なくとも一つに巻き付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の磁束制御装置。
【請求項4】
前記コイルは、前記ポールピースアセンブリが前記第2位置に位置した場合に形成される内部循環磁束の経路上に位置する少なくとも一つの第1コイルと、前記永久磁石と前記第1外側ポールピースの第2面との間、又は前記永久磁石と前記第2外側ポールピースの第2面との間に位置する少なくとも一つの第2コイルとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の磁束制御装置。
【請求項5】
前記コイルは、前記ポールピースアセンブリが前記第2位置に位置した場合に形成される内部循環磁束の経路上に位置する少なくとも一つの第1コイルと、前記第1永久磁石と前記第2外側ポールピースの第2面との間、又は前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記第1外側ポールピースの第2面との間、又は前記第2永久磁石と前記第3外側ポールピースの第2面との間に位置する少なくとも一つの第2コイルとを含む、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の磁束制御装置。
【請求項6】
前記コイルは、前記Nポールピースに巻き付けられ、
前記コイルは、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記ベースポールピースとの間に位置する第1コイルと、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記第1外側ポールピースとの間に位置する第2コイルとを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の磁束制御装置。
【請求項7】
前記コイルは、前記Sポールピースに巻き付けられ、
前記コイルは、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記ベースポールピースとの間に位置する第1コイルと、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記第2外側ポールピースとの間に位置する第2コイルとを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の磁束制御装置。
【請求項8】
前記第1外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の磁束制御装置。
【請求項9】
前記第2外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の磁束制御装置。
【請求項10】
前記第3外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の磁束制御装置。
【請求項11】
前記ポールピースアセンブリは、前記ポールピースアセンブリに含まれるポールピース同士の相対移動を防止する固定手段をさらに含む、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の磁束制御装置。
【請求項12】
前記コイルは、前記ポールピースアセンブリに含まれるポールピースには巻き付けられない、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の磁束制御装置。
【請求項13】
前記Nポールピース及び前記Sポールピースの何れか一つは、他の一つを囲むように配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の磁束制御装置。
【請求項14】
前記Sポールピースは、前記Nポールピースを囲むように配置され、
前記第2外側ポールピースは、前記第1外側ポールピースを囲むように配置され、
前記ベースポールピースと前記第2外側ポールピースとの間には、前記ポールピースアセンブリを囲むように配置される外側支持体がさらに備えられる、ことを特徴とする請求項13に記載の磁束制御装置。
【請求項15】
前記Nポールピースは、前記Sポールピースを囲むように配置され、
前記第1外側ポールピースは、前記第2外側ポールピースを囲むように配置され、
前記ベースポールピースと前記第1外側ポールピースとの間には、前記ポールピースアセンブリを囲むように配置される外側支持体がさらに備えられる、ことを特徴とする請求項13に記載の磁束制御装置。
【請求項16】
前記ベースポールピースと前記第1外側ポールピースとの間に配置され、前記Nポールピースを貫通して前記ポールピースアセンブリの移動をガイドする内側支持体がさらに備えられる、ことを特徴とする請求項13に記載の磁束制御装置。
【請求項17】
前記ベースポールピースと前記第2外側ポールピースとの間に配置され、前記Sポールピースを貫通して前記ポールピースアセンブリの移動をガイドする内側支持体がさらに備えられる、ことを特徴とする請求項1に記載の磁束制御装置。
【請求項18】
前記内側支持体を貫通してその端部が前記ベースポールピースに螺合されると共に、ヘッドが前記第1外側ポールピースに係止することで前記ベースポールピースと前記第1外側ポールピースを結合させる結合ボルトがさらに備えられる、ことを特徴とする請求項16に記載の磁束制御装置。
【請求項19】
前記内側支持体を貫通してその端部が前記ベースポールピースに螺合されると共に、ヘッドが前記第2外側ポールピースに係止することで前記ベースポールピースと前記第2外側ポールピースを結合させる結合ボルトがさらに備えられる、ことを特徴とする請求項17に記載の磁束制御装置。
【請求項20】
前記内側支持体を貫通してその端部が前記第1外側ポールピースに螺合されると共に、ヘッドが前記ベースポールピースに係止することで前記ベースポールピースと前記第1外側ポールピースを結合させる結合ボルトがさらに備えられる、ことを特徴とする請求項16に記載の磁束制御装置。
【請求項21】
前記内側支持体を貫通してその端部が前記第2外側ポールピースに螺合されると共に、ヘッドが前記ベースポールピースに係止することで前記ベースポールピースと前記第2外側ポールピースを結合させる結合ボルトがさらに備えられる、ことを特徴とする請求項17に記載の磁束制御装置。
【請求項22】
前記外側支持体は、常磁性体材質又は非磁性材質を有する、ことを特徴とする請求項14又は15に記載の磁束制御装置。
【請求項23】
前記内側支持体は、常磁性体材質又は非磁性材質を有する、ことを特徴とする請求項16又は17に記載の磁束制御装置。
【請求項24】
前記ベースポールピースは、前記ベースポールピースの第1面を含む突出部を備え、
前記コイルは、前記突出部に巻き付けられるように配置される、ことを特徴とする請求項14に記載の磁束制御装置。
【請求項25】
前記ベースポールピースは、前記ベースポールピースの第2面を含む突出部を備え、
前記コイルは、前記突出部に巻き付けられるように配置される、ことを特徴とする請求項15に記載の磁束制御装置。
【請求項26】
前記コイルは、前記第1外側ポールピースに巻き付けられるように配置される、ことを特徴とする請求項14に記載の磁束制御装置。
【請求項27】
前記コイルは、前記第2外側ポールピースに巻き付けられるように配置される、ことを特徴とする請求項15に記載の磁束制御装置。
【請求項28】
前記第1外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項13に記載の磁束制御装置。
【請求項29】
前記第2外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項13に記載の磁束制御装置。
【請求項30】
前記第1外側ポールピースの第2面及び前記第2外側ポールピースの第2面の何れか一つは、円形の形態を有する、ことを特徴とする請求項13に記載の磁束制御装置。
【請求項31】
前記第1外側ポールピースの第2面及び前記第2外側ポールピースの第2面の何れか一つは、四角形の形態を有する、ことを特徴とする請求項13に記載の磁束制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁束制御装置に関し、さらに具体的には、永久磁石からの磁束を制御することにより、外部に流出される磁束の強度を制御する磁束制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、永久磁石は、周辺に磁場を形成し、この磁場内に位置する磁性体に磁気的に影響を及ぼす。しかし、永久磁石から引き起こされる磁束は制御することが難しく、電磁石等の代替手段が用いられてきた。
【0003】
しかし、このような電磁石は、磁力の発生時に電流を持続的に供給しなければならず、電流の供給が突然切れるようになる場合、磁力が消えるようになることで、ホールディングされていた磁性体のホールディングが解除されることがあり、安定性において問題となってきた。安定性を担保するためには、電磁石装置に高価な無停電電源装置(UPS、Uninterruptible Power Supply)がさらに付加されなければならなかった。これによって、電磁石装置は、持続的な電流消耗によるコストだけでなく、安定性の担保のための無停電電源装置を備えなければならないので、生産費と維持費の両面で問題となってきた。
【0004】
そこで本出願人は、特許文献1乃至3に示すように、永久磁石の磁束の制御を通して磁場を装置の外部に発生又は除去することにより、磁性体に影響を及ぼす装置を開発してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10−1319052号
【特許文献2】韓国登録特許公報第10−1498864号
【特許文献3】韓国登録特許公報第10−1512610号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明において解決しようとする課題は、少量のエネルギの消耗で永久磁石からの磁束を制御し、装置の外部への磁場を発生又は除去できる磁束制御装置を提供することにある。
【0007】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係る磁束制御装置は、第1面と第2面が形成され、強磁性体であるNポールピースと、第1面と第2面が形成され、強磁性体であるSポールピースと、前記NポールピースにN極が接触し、前記SポールピースにS極が接触するように配置される永久磁石とを備えるポールピースアセンブリ、第1面と第2面が形成され、磁性体である第1外側ポールピース、第1面と第2面が形成され、磁性体である第2外側ポールピース、第1面と第2面が形成され、磁性体であるベースポールピース、前記Nポールピース、前記Sポールピース、前記第1外側ポールピース、前記第2外側ポールピース及び前記ベースポールピースの少なくとも一つに巻き付けられるコイル、及び、前記コイルに印加される電流を制御する制御装置を含む。前記Nポールピースの第1面は、前記ベースポールピースの第1面と対面し、前記Sポールピースの第1面は、前記ベースポールピースの第2面と対面し、前記Nポールピースの第2面は、前記第1外側ポールピースの第1面と対面し、前記Sポールピースの第2面は、前記第2外側ポールピースの第1面と対面する。前記ポールピースアセンブリは、前記ベースポールピースの第1面及び第2面が、前記Nポールピースの第1面及び前記Sポールピースの第1面から各々磁気的に離隔され、前記Nポールピースの第2面と前記Sポールピースの第2面が、前記第1外側ポールピースの第1面と前記第2外側ポールピースの第1面と各々磁気的に接触する第1位置と、前記ベースポールピースの第1面及び第2面が、前記Nポールピースの第1面及び前記Sポールピースの第1面と各々磁気的に接触し、前記Nポールピースの第2面及び前記Sポールピースの第2面が、前記第1外側ポールピースの第1面及び前記第2外側ポールピースの第1面から各々磁気的に離隔される第2位置との間で移動可能である。前記制御装置は、前記コイルに印加される電流を制御することにより、前記ポールピースアセンブリの位置を前記第1位置と前記第2位置との間で転換させ、これによって、前記第1外側ポールピースの第2面と前記第2外側ポールピースの第2面との間の磁束の変化を引き起こす。
【0009】
本発明の他の特徴によると、前記Sポールピースは、第1Sポールピースであり、前記永久磁石は、第1永久磁石であり、第1面と第2面が形成され、強磁性体である第3外側ポールピースをさらに含む。前記ポールピースアセンブリは、第1面と第2面が形成され、強磁性体である第2Sポールピースと、前記NポールピースにN極が接触し、前記第2SポールピースにS極が接触するように配置される第2永久磁石をさらに含む。前記ベースポールピースは、第3面をさらに備え、前記第2Sポールピースの第1面は、前記ベースポールピースの第3面と対面し、前記第2Sポールピースの第2面は、前記第3外側ポールピースの第1面と対面する。前記ポールピースアセンブリが前記第1位置に位置した場合、前記第2Sポールピースの第1面と前記ベースポールピースの第3面が磁気的に離隔され、前記第2Sポールピースの第2面と前記第3外側ポールピースの第1面が磁気的に接触し、前記ポールピースアセンブリが前記第2位置に位置した場合、前記第2Sポールピースの第1面と前記ベースポールピースの第3面が磁気的に接触し、前記第2Sポールピースの第2面と前記第3外側ポールピースの第1面が磁気的に離隔される。前記コイルは、前記Nポールピース、前記第1Sポールピース、前記第2Sポールピース、前記第1外側ポールピース、前記第2外側ポールピース、前記第3外側ポールピース及び前記ベースポールピースの少なくとも一つに巻き付けられる。
【0010】
本発明のまた他の特徴によると、前記Nポールピースは、第1Nポールピースであり、前記永久磁石は、第1永久磁石であり、第1面と第2面が形成され、強磁性体である第3外側ポールピースをさらに含む。前記ポールピースアセンブリは、第1面と第2面が形成され、強磁性体である第2Nポールピースと、前記SポールピースにS極が接触し、前記第2NポールピースにN極が接触するように配置される第2永久磁石をさらに含む。前記ベースポールピースは、第3面をさらに備え、前記第2Nポールピースの第1面は、前記ベースポールピースの第3面と対面し、前記第2Nポールピースの第2面は、前記第3外側ポールピースの第1面と対面する。前記ポールピースアセンブリが前記第1位置に位置した場合、前記第2Nポールピースの第1面と前記ベースポールピースの第3面が磁気的に離隔され、前記第2Nポールピースの第2面と前記第3外側ポールピースの第1面が磁気的に接触し、前記ポールピースアセンブリが前記第2位置に位置した場合、前記第2Nポールピースの第1面と前記ベースポールピースの第3面が磁気的に接触し、前記第2Nポールピースの第2面と前記第3外側ポールピースの第1面が磁気的に離隔される。前記コイルは、前記第1Nポールピース、前記第2Nポールピース、前記Sポールピース、前記第1外側ポールピース、前記第2外側ポールピース、前記第3外側ポールピース及び前記ベースポールピースの少なくとも一つに巻き付けられる。
【0011】
本発明のまた他の特徴によると、前記コイルは、前記ポールピースアセンブリが前記第2位置に位置した場合に形成される内部循環磁束の経路上に位置する少なくとも一つの第1コイルと、前記永久磁石と前記第1外側ポールピースの第2面との間、又は前記永久磁石と前記第2外側ポールピースの第2面との間に位置する少なくとも一つの第2コイルとを含む。
【0012】
本発明のまた他の特徴によると、前記コイルは、前記ポールピースアセンブリが前記第2位置に位置した場合に形成される内部循環磁束の経路上に位置する少なくとも一つの第1コイルと、前記第1永久磁石と前記第2外側ポールピースの第2面との間、又は前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記第1外側ポールピースの第2面との間、又は前記第2永久磁石と前記第3外側ポールピースの第2面との間に位置する少なくとも一つの第2コイルとを含む。
【0013】
本発明のまた他の特徴によると、前記コイルは、前記Nポールピースに巻き付けられ、前記コイルは、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記ベースポールピースとの間に位置する第1コイルと、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記第1外側ポールピースとの間に位置する第2コイルとを含む。
【0014】
本発明のまた他の特徴によると、前記コイルは、前記Sポールピースに巻き付けられ、前記コイルは、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記ベースポールピースとの間に位置する第1コイルと、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石と前記第2外側ポールピースとの間に位置する第2コイルとを含む。
【0015】
本発明のまた他の特徴によると、前記第1外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい。
【0016】
本発明のまた他の特徴によると、前記第2外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい。
【0017】
本発明のまた他の特徴によると、前記第3外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい。
【0018】
本発明のまた他の特徴によると、前記ポールピースアセンブリは、前記ポールピースアセンブリに含まれるポールピース同士の相対移動を防止する固定手段をさらに含む。
【0019】
本発明のまた他の特徴によると、前記コイルは、前記ポールピースアセンブリに含まれるポールピースには巻き付けられない。
【0020】
本発明のまた他の特徴によると、前記Nポールピース及び前記Sポールピースの何れか一つは、他の一つを囲むように配置される。
【0021】
本発明のまた他の特徴によると、前記Sポールピースは、前記Nポールピースを囲むように配置され、前記第2外側ポールピースは、前記第1外側ポールピースを囲むように配置され、前記ベースポールピースと前記第2外側ポールピースとの間には、前記ポールピースアセンブリを囲むように配置される外側支持体がさらに備えられる。
【0022】
本発明のまた他の特徴によると、前記Nポールピースは、前記Sポールピースを囲むように配置され、前記第1外側ポールピースは、前記第2外側ポールピースを囲むように配置され、前記ベースポールピースと前記第1外側ポールピースとの間には、前記ポールピースアセンブリを囲むように配置される外側支持体がさらに備えられる。
【0023】
本発明のまた他の特徴によると、前記ベースポールピースと前記第1外側ポールピースとの間に配置され、前記Nポールピースを貫通して前記ポールピースアセンブリの移動をガイドする内側支持体がさらに備えられる。
【0024】
本発明のまた他の特徴によると、前記ベースポールピースと前記第2外側ポールピースとの間に配置され、前記Sポールピースを貫通して前記ポールピースアセンブリの移動をガイドする内側支持体がさらに備えられる。
【0025】
本発明のまた他の特徴によると、前記内側支持体を貫通してその端部が前記ベースに螺合されると共に、ヘッドが前記第1外側ポールピースに係止することで前記ベースと前記第1外側ポールピースを結合させる結合ボルトがさらに備えられる。
【0026】
本発明のまた他の特徴によると、前記内側支持体を貫通してその端部が前記ベースに螺合されると共に、ヘッドが前記第2外側ポールピースに係止することで前記ベースと前記第2外側ポールピースを結合させる結合ボルトがさらに備えられる。
【0027】
本発明のまた他の特徴によると、前記内側支持体を貫通してその端部が前記第1外側ポールピースに螺合されると共に、ヘッドが前記ベースポールピースに係止することで前記ベースポールピースと前記第1外側ポールピースを結合させる結合ボルトがさらに備えられる。
【0028】
本発明のまた他の特徴によると、前記内側支持体を貫通してその端部が前記第2外側ポールピースに螺合されると共に、ヘッドが前記ベースポールピースに係止することで前記ベースポールピースと前記第2外側ポールピースを結合させる結合ボルトがさらに備えられる。
【0029】
本発明のまた他の特徴によると、前記外側支持体は、常磁性体材質又は非磁性材質を有する。
【0030】
本発明のまた他の特徴によると、前記内側支持体は、常磁性体材質又は非磁性材質を有する。
【0031】
本発明のまた他の特徴によると、前記ベースポールピースは、前記ベースポールピースの第1面を含む突出部を備え、前記コイルは、前記突出部に巻き付けられるように配置される。
【0032】
本発明のまた他の特徴によると、前記ベースポールピースは、前記ベースポールピースの第2面を含む突出部を備え、前記コイルは、前記突出部に巻き付けられるように配置される。
【0033】
本発明のまた他の特徴によると、前記コイルは、前記第1外側ポールピースに巻き付けられるように配置される。
【0034】
本発明のまた他の特徴によると、前記コイルは、前記第2外側ポールピースに巻き付けられるように配置される。
【0035】
本発明のまた他の特徴によると、前記第1外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい。
【0036】
本発明のまた他の特徴によると、前記第2外側ポールピースにおいて、第1面の面積が第2面の面積よりも大きい。
【0037】
本発明のまた他の特徴によると、前記第1外側ポールピースの第2面及び前記第2外側ポールピースの第2面の何れか一つは、円形の形態を有する。
【0038】
本発明のまた他の特徴によると、前記第1外側ポールピースの第2面及び前記第2外側ポールピースの第2面の何れか一つは、四角形の形態を有する。
【発明の効果】
【0039】
本発明の磁束制御装置によると、装置内部の永久磁石から外部への磁場の発生及び除去を、その転換時にのみ少量の電流を装置内部のコイルに印加することにより制御でき、装置の外部に位置する磁性体に影響を及ぼすことができる。即ち、本発明の磁束制御装置によると、少量のエネルギの消耗で磁性体をホールディング又は解除でき、また、外部の磁性体の運動を引き起こすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図2】本発明の一実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図4】本発明の一実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図5図1乃至図4の磁束制御装置において、コイルの配置だけを異にした変形例である。
図6】本発明の他の実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図7】本発明の他の実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図8】本発明の他の実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図9】本発明の他の実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図10図6乃至図9の磁束制御装置において、コイルの配置だけを異にした変形例である。
図11図6乃至図9の磁束制御装置において、コイルの配置だけを異にした変形例である。
図12】本発明のまた他の実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図13】本発明のまた他の実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
図14】本発明のまた他の実施例に係る磁束制御装置の概略斜視図である。
図15図14の磁束制御装置の概略断面図である。
図16図15の磁束制御装置の変形例の概略断面図である。
図17】本発明のまた他の実施例に係る磁束制御装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現される。従って、本実施例は、単に本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇のみにより定義される。
【0042】
素子(elements)又は層が異なる素子又は層の「上(on)」と称されるものは、他の素子の真上、若しくは中間に他の層又は他の素子を介在した場合を全て含む。
【0043】
第1、第2等が様々な構成要素を述べるために用いられるが、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないことは勿論である。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いるものである。従って、以下において言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得ることは勿論である。
【0044】
明細書全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0045】
図面において示された各構成要素の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために示されたものであり、本発明は、示された構成要素の大きさ及び厚さに必ずしも限定されるものではない。
【0046】
本発明の数々の実施例の各々の特徴は、部分的又は全体的に互いに結合又は組み合わせ可能であり、当業者が十分に理解できるように、技術的に様々な連動及び駆動が可能であり、各実施例が互いに対して独立して実施可能であるか、又は関連して共に実施可能である。
【0047】
先ず、図1乃至図5を参照して、本発明の磁束制御装置の基本的構成及び原理について説明する。
【0048】
図1乃至図4は、本発明の一実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。また、図5は、図1乃至図4の磁束制御装置において、コイルの配置だけを異にした変形例である。
【0049】
図1乃至図4を参照すると、本実施例の磁束制御装置1000は、ポールピースアセンブリ1100と、第1外側ポールピース1200と、第2外側ポールピース1300と、ベースポールピース1400と、コイル1500と、制御装置(図示しない)とを含む。
【0050】
ポールピースアセンブリ1100は、Nポールピース1110と、Sポールピース1120と、永久磁石1130とを含む。Nポールピース1110は、鉄のような強磁性体であり、第1面1111及び第2面1112を備える。また、Sポールピース1120は、鉄のような強磁性体であり、第1面1121及び第2面1122を備える。永久磁石1130は、Nポールピース1110にN極が接触し、Sポールピース1120にS極が接触するように配置される。
【0051】
ポールピースアセンブリ1100は、後述する外側ポールピース1200、1300とベースポールピース1400との間で移動されるように構成されるので、Nポールピース1110とSポールピース1120が互いに固定されるように少なくとも一つの固定手段1101が備えられることが好ましい。固定手段1101は、磁束に影響を及ぼすことのない非磁性の材質であるか、又は弱く影響を及ぼすアルミニウムのような常磁性体からなることが好ましく、Nポールピース1110とSポールピース1120の内部空間の占有を最小化するようにヘッドのない無頭ボルトであることが好ましい。
【0052】
第1外側ポールピース1200は、第1面1201及び第2面1202を備え、鉄のような強磁性体からなる。また、第2外側ポールピース1300は、第1面1301及び第2面1302を備え、鉄のような強磁性体からなる。また、ベースポールピース1400は、第1面1401及び第2面1402を備え、鉄のような強磁性体からなる。
【0053】
Nポールピース1110の第1面1111は、ベースポールピース1400の第1面1401と対面する。Sポールピース1120の第1面1121は、ベースポールピース1400の第2面1402と対面する。Nポールピース1110の第2面1112は、第1外側ポールピース1200の第1面1201と対面する。Sポールピース1120の第2面1122は、第2外側ポールピース1300の第1面1301と対面する。このような面間の対面がなされるようにポールピース1110、1120、1200、1300、1400が配置されることで、磁束の回路(閉磁路)が提供される。
【0054】
ポールピースアセンブリ1100は、第1位置(図1及び図2での位置)と第2位置(図3及び図4での位置)との間で移動可能に構成される。ここで、第1位置とは、ベースポールピース1400の第1面1401及び第2面1402がNポールピース1110の第1面1111とSポールピース1120の第1面1121から各々磁気的に離隔され、Nポールピース1110の第2面1112及びSポールピース1120の第2面1122が第1外側ポールピース1200の第1面1201及び第2外側ポールピース1300の第1面1301と各々磁気的に接触するポールピースアセンブリ1100の位置を意味する。
また、第2位置とは、ベースポールピース1400の第1面1401及び第2面1402がNポールピース1110の第1面1111及びSポールピース1120の第1面1121と各々磁気的に接触し、Nポールピース1110の第2面1112及びSポールピース1120の第2面1122が第1外側ポールピース1200の第1面1201及び第2外側ポールピース1300の第1面1301から各々磁気的に離隔されるポールピースアセンブリ1100の位置を意味する。
【0055】
ここで、「磁気的に接触する」という意味は、図1乃至図4に示されたように直接接触することで磁気的に連結される場合を含むが、直接接触しなくてもゴム材質の緩衝材が介在されて接触する場合も含む。即ち、ポールピース間が離隔されても、ポールピース間の引力が直接接触した時と対比して、例えば、80%以上(これは、90%以上、70%以上、等であってもよい)になれば、磁気的に接触した状態であるといえる。
【0056】
また、「磁気的に離隔される」という意味は、引力が互いに大きく作用しない程度に離隔されることを意味する。例えば、ポールピースが直接接触した時の引力と対比して、例えば、10%以下(これは、20%以下、5%以下等であってもよい)の引力が作用するように離隔されたものであれば、磁気的に離隔されたといえる。
【0057】
ポールピースアセンブリ1100の移動は、様々な方式で具現され得る。例えば、本実施例のように、ポールピースアセンブリ1100を貫通するガイド棒1001が採用される。ガイド棒4001は、磁束に影響を及ぼさないように、非磁性体又は常磁性体からなることが好ましい。ポールピースアセンブリ1100の移動は、その他にも、レール、リニアガイド(linear guide)等の公知の移送方法によりなされ得る。また、具体的な他の実施形態は、図15及び図16を参考にして後述する。
【0058】
コイル1500は、Nポールピース1110、Sポールピース1120、第1外側ポールピース1200、第2外側ポールピース1300及びベースポールピース1400の少なくとも一つに巻き付けられる。コイル1500に電流が供給されると、磁場が形成され、巻き付けられたポールピース1110、1120、1200、1300又は1400の内部の磁束に影響を及ぼすようになる。
【0059】
コイル1500は、磁束の制御が可能であり、また容易な箇所に位置する。例えば、コイル1500は、本実施例のように、永久磁石1130を挟んでNポールピース1110及びSポールピース1120に各々一つずつ配置され得る。その他のコイル1500の配置は、後述する。
【0060】
制御装置(図示しない)は、コイル1500に印加される電流の方向及び強度を制御する。制御装置は、コイル1500に直流を供給することにより、コイル1500の周辺に磁場を形成する。
【0061】
以下においては、上述した構成を有する磁束制御装置1000の作動方法について説明する。
【0062】
図1を参照すると、ポールピースアセンブリ1100が第1位置に配置されると、永久磁石1130により第1外側ポールピース1200の第2面1202及び第2外側ポールピース1300の第2面1302が磁化されることで、第2面1202、1302の外側に磁場が形成される。即ち、第2面1202、1302の外側に磁性体や永久磁石が位置すると、引力又は斥力を受けるようになる。例えば、ポールピースアセンブリ1100が図1のような状態にあれば、第2面1202、1302に鉄のような磁性体である貼付対象1がホールディングされ得る。貼付対象1がホールディングされると、破線のような磁束が形成される(図1のような状態を「磁場印加状態」と称する)。
【0063】
第1外側ポールピース1200の第2面1202及び第2外側ポールピース1300の第2面1302間に形成される磁場を最小化するか、又は無くすためには、図2のように、制御装置がコイル1500に電流を印加すればよい。
【0064】
コイル1500に印加される電流の方向は、図1の破線のような磁束を減少させ、永久磁石1130からの磁束がベースポールピース1400に向かうように誘導するように設定される。
【0065】
コイル1500に印加される電流の強度が強くなるほど、図1の破線の磁束は弱くなり、予め設定された或る電流強度では、外側ポールピース1200、1300に向かう磁束は、殆どなくなるようになる。このような場合、永久磁石1130からの磁束は、Nポールピース1110の第1面1111及びSポールピース1120の第1面1121に向かうようになり、Nポールピース1110/Sポールピース1120及びベースポールピース1400の間には引力が作用する。これによって、ポールピースアセンブリ1100は、第2位置に移動され、ベースポールピース1400に接触することとなる。
【0066】
ポールピースアセンブリ1100とベースポールピース1400が接触すると、図3の破線のような磁束が形成される。このような磁束は、磁束制御装置1000の内部を循環するので、「内部循環磁束」と定義する。この内部循環磁束が一旦形成されると、永久磁石1130から引き起こされる磁束は、装置1000の外部への流出が最小化される。特に、Nポールピース1110の第2面1112及びSポールピース1120の第2面1122には、ある程度の残留磁気が形成され得るが、Nポールピース1110及びSポールピース1120は、第1外側ポールピース1200と第2外側ポールピース1300から各々離隔されるので、第1外側ポールピース1200と第2外側ポールピース1300の第2面1202、1302には、残留磁気が殆ど形成されないか、又は0となり得る(図3のような状態を「磁場非印加状態」と称する)。
【0067】
また、図1のような状態、即ち、磁場印加状態を作るためには、図4のように、コイル1500に電流を印加すればよい。このとき、コイル1500に印加される電流の方向は、図2でのコイル1500に印加される電流の方向と反対である。図4のように電流が印加されると、内部循環磁束は弱くなり、再びポールピースアセンブリ1100が第1位置に移動される。これによって、第1外側ポールピース1200及び第2外側ポールピース1300の第2面1202、1302の外側間に磁場が形成される。
【0068】
上述したように、制御装置は、コイル1500に印加される電流を制御することで、ポールピースアセンブリ1100を第1位置と第2位置との間に移動できるようにし、これによって、第1外側ポールピース1200及び第2外側ポールピース1300の第2面1202、1302の外側に磁場の形成を最大化又は最小化できる(即ち、磁場印加状態と磁場非印加状態の転換が可能である)。
【0069】
このとき、コイル1500に電流が印加される必要がある時は、磁場印加状態と磁場非印加状態を転換する時だけであり、磁束の経路を変える程の電流だけを印加すればよい。図1のような磁場印加状態と、図3のような磁場非印加状態では、いかなる電流の消耗も不要であるので、電気の消耗を最小化できる。また、コイル1500に対する電流の印加が遮断される非常時にも、磁場印加状態と磁場非印加状態が変換されないだけで、現状態を維持するようになるので、安全性の側面でも優れている。
【0070】
一方、コイル1500の配置は、多様に設定され得るが、図5の磁束制御装置1000’のように、第1外側ポールピース1200、第2外側ポールピース1300及びベースポールピース1400にもコイル1500が配置され得る。例えば、コイル1500は、一つだけ配置されてもよい。コイル1500が図5のようにポールピースアセンブリ1100に巻き付けられないように配置される場合は、ポールピースアセンブリ1100が軽くなって移動において有利である。
【0071】
このように、コイル1500は、ポールピースアセンブリ1100が図3のような第2位置に位置した場合に形成される内部循環磁束の経路上に位置する少なくとも一つの第1コイルと、永久磁石1130と第1外側ポールピース1200の第2面1202との間、又は永久磁石1130と第2外側ポールピース1300の第2面1302との間に位置する少なくとも一つの第2コイルとを含むことが好ましい。
例えば、図1乃至図4の実施例において、第1コイルは、Nポールピース1110に巻き付けられているコイルであり、図5の実施例において、第1コイルは、ベースポールピース1400に巻き付けられているコイルである。また、図1乃至図4の実施例において、第2コイルは、Sポールピース1120に巻き付けられているコイルであり、図5の実施例において、第2コイルは、第2外側ポールピース1300に巻き付けられているコイルである。
【0072】
コイル1500の配置は、例示されたもの以外にも多様に設定され得る。コイル1500の個数が多いほど、磁場印加状態と磁場非印加状態の転換のための電流の大きさが小さく、また、コイル1500の巻き付け数を減らすこともできる。しかし、コイル1500の個数が多くなるほど、配線が複雑となり、占有空間が大きくなる。従って、コイル1500の個数と配置は、磁場印加状態と磁場非印加状態を転換でき、かつ、制御が容易であり、占有空間を最小化できる条件で最適化されなければならない。これは、永久磁石1130の個数、強度、ポールピース1110、1120、1200、1300、1400の厚さ、長さ等を考慮して実験により決定すればよい。
【0073】
図6乃至図9は、本発明のまた他の実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。また、図10及び図11は、図6乃至図9の磁束制御装置において、コイルの配置だけを異にした変形例である。
【0074】
図6乃至図9を参照すると、本実施例の磁束制御装置2000は、ポールピースアセンブリ2100と、第1外側ポールピース2200と、第2外側ポールピース2300と、ベースポールピース2400と、コイル2500と、第3外側ポールピース2600とを含む。
【0075】
本実施例の磁束制御装置2000は、図1乃至図4の磁束制御装置1000を横に拡張したものである。このために、ポールピースアセンブリ2100は、磁束制御装置1000のポールピースアセンブリ1100に比べて、一つの第2永久磁石2150と一つの第2Sポールピース2140をさらに含み、ベースポールピース2400は、横に長くなり、第3外側ポールピース2600がさらに備えられる。
【0076】
ポールピースアセンブリ2100は、Nポールピース2110と、第1Sポールピース2120と、第1永久磁石2130と、第2Sポールピース2140と、第2永久磁石2150とを含む。ここで、Nポールピース2110、第1Sポールピース2120及び第1永久磁石2130は、上述したNポールピース1110、Sポールピース1120及び永久磁石1130と同一の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
第2Sポールピース2140は、第1面2141と第2面2142とを備え、磁性体からなる。第2永久磁石2150は、Nポールピース2110にN極が接触し、第2Sポールピース2140にS極が接触するように配置される。
【0078】
第1外側ポールピース2200と第2外側ポールピース2300は、上述した第1外側ポールピース1200と第2外側ポールピース1300と同一の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0079】
ベースポールピース2400は、第3面2403を備えることで横に拡張されたことを除いては、上述したベースポールピース1400と同一であるので、詳細な説明は省略する。第2Sポールピース2140の第1面2141は、ベースポールピース2400の第3面2403と対面する。
【0080】
第3外側ポールピース2600は、第1面2601及び第2面2602を備え、磁性体からなる。第2Sポールピース2140の第2面2142は、第3外側ポールピース2600の第1面2601と対面する。
【0081】
ポールピースアセンブリ2100が図6及び図7のように第1位置に位置した場合、第2Sポールピース2140の第1面2141とベースポールピース2400の第3面2403が磁気的に離隔され、第2Sポールピース2140の第2面2142と第3外側ポールピース2600の第1面2601が磁気的に接触し、ポールピースアセンブリ2100が図8及び図9のように第2位置に位置した場合、第2Sポールピース2140の第1面2141とベースポールピース2400の第3面2403が磁気的に接触し、第2Sポールピース2140の第2面2142と第3外側ポールピース2600の第1面2601が磁気的に離隔される。
【0082】
コイル2500は、Nポールピース2110、第1Sポールピース2120、第2Sポールピース2140、第1外側ポールピース2200、第2外側ポールピース2300、第3外側ポールピース2600、及びベースポールピース2400の少なくとも一つに巻き付けられる。本実施例において、コイル2500は、第1永久磁石2130及び第2永久磁石2150を挟んでNポールピース2110にのみ巻き付けられており、これは、装置2000の体積を削減する観点から好ましい。
【0083】
本実施例における磁束制御装置2000は、さらなる第2面2602を有することにより、磁場を発生させる面積をさらに増加できる。これと同様に、横方向に任意に磁束制御装置2000は拡張され得る。
【0084】
一方、ポールピースアセンブリ2100を固定する非磁性体である固定手段2101が備えられ得るが、固定手段2101は、例示されたものとは異なり、一つの部材からなり、Nポールピース2110を貫通する形態になされてもよい。
【0085】
図6乃至図9の状態は、図1乃至図4の状態と各々対応するので、動作に関する詳細な説明は省略する。
【0086】
一方、コイル2500の配置は、多様に設定され得るが、図10の磁束制御装置2000’のように、第1外側ポールピース2200及びベースポールピース2400にもコイル2500が配置され得る。また、例えば、コイル2500は、ベースポールピース2400と第1永久磁石2130又は第2永久磁石2150との間に一つだけ配置されてもよい。コイル2500が図5のようにポールピースアセンブリ2100に巻き付けられないように配置される場合は、ポールピースアセンブリ2100が軽くなって移動において有利である。
【0087】
このように、コイル2500は、ポールピースアセンブリ2100が図8のような第2位置に位置した場合に形成される内部循環磁束の経路上に位置する少なくとも一つの第1コイルと、第1永久磁石2130と第2外側ポールピース2300の第2面2302との間、又は第1永久磁石2130及び第2永久磁石2150と第1外側ポールピース2200の第2面2202との間、又は第2永久磁石2150と第3外側ポールピース2600の第2面2602との間に位置する少なくとも一つの第2コイルとを含むことが好ましい。
例えば、図6乃至図9の実施例において、第1コイルは、Nポールピース2110の上側に巻き付けられているコイルであり、図10の実施例において、第1コイルは、ベースポールピース2400に巻き付けられているコイルである。また、図6乃至図9の実施例において、第2コイルは、Nポールピース2110の下側に巻き付けられているコイルであり、図10の実施例において、第2コイルは、第1外側ポールピース2200に巻き付けられているコイルである。
【0088】
また、例えば、コイル2500は、図11の磁束制御装置2000’’のように、第1永久磁石2130を挟んで第1Sポールピース2120に2つ、第2永久磁石2150を挟んで第2Sポールピース2140に2つが配置されてもよい。
【0089】
コイル2500の配置は、例示されたもの以外にも多様に設定され得る。コイル2500の個数が多いほど、磁場印加状態と磁場非印加状態の転換のための電流両が小さく、また、コイル2500の巻き付け数を削減できる。しかし、コイル2500の個数が多くなるほど、配線が複雑となり、占有空間が大きくなる。従って、コイル2500の個数と配置は、磁場印加状態と磁場非印加状態を転換することができ、かつ、制御が容易であり、占有空間を最小化できる条件で最適化されなければならない。これは、永久磁石2130、2150の個数、強度、ポールピース2110、2120、2140、2200、2300、2400、2600の厚さ、長さ等を考慮して実験により決定すればよい。
【0090】
図12及び図13は、本発明のまた他の実施例に係る磁束制御装置の概略断面図である。
【0091】
図12及び図13を参照すると、本実施例の磁束制御装置3000は、ポールピースアセンブリ3100と、第1外側ポールピース3200と、第2外側ポールピース3300と、ベースポールピース3400と、コイル3500と、第3外側ポールピース3600とを含む。
【0092】
図12及び図13の磁束制御装置3000は、図1乃至図4の磁束制御装置1000と比較すると、第2Nポールピース3140、第2永久磁石3150及び第3外側ポールピース3600をさらに備えることにより、横に装置を拡張したものである。また、図6乃至図9の磁束制御装置2000と比較すると、永久磁石の極が反対に位置し、Sポールピース3120が中央に位置する点で差がある。
【0093】
ポールピースアセンブリ3100は、第1Nポールピース3110と、Sポールピース3120と、第1永久磁石3130と、第2Nポールピース3140と、第2永久磁石3150とを含む。ここで、第1Nポールピース3110、Sポールピース3120及び第1永久磁石3130は、上述したNポールピース1110、Sポールピース1120及び永久磁石1130と同一の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0094】
第2Nポールピース3140は、第1面3141と第2面3142とを備え、磁性体からなる。第2永久磁石3150は、Sポールピース3120にS極が接触し、第2Nポールピース3140にN極が接触するように配置される。
【0095】
第1外側ポールピース3200と第2外側ポールピース3300は、上述した第1外側ポールピース1200と第2外側ポールピース1300と同一の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0096】
ベースポールピース3400は、第3面3403を備えることで横に拡張されたことを除いては、上述したベースポールピース1400と同一であるので、詳細な説明は省略する。第2Nポールピース3140の第1面3141は、ベースポールピース3400の第3面3403と対面する。
【0097】
第3外側ポールピース3600は、第1面3601及び第2面3602を備え、磁性体からなる。第2Nポールピース3140の第2面3142は、第3外側ポールピース3600の第1面3601と対面する。
【0098】
ポールピースアセンブリ3100が図12のように第1位置に位置した場合、第2Nポールピース3140の第1面3141とベースポールピース3400の第3面3403が磁気的に離隔され、第2Nポールピース3140の第2面3142と第3外側ポールピース3600の第1面3601が磁気的に接触し、ポールピースアセンブリ3100が図13のように第2位置に位置した場合、第2Nポールピース3140の第1面3141とベースポールピース3400の第3面3403が磁気的に接触し、第2Nポールピース3140の第2面3142と第3外側ポールピース3600の第1面3601が磁気的に離隔される。
【0099】
コイル3500は、第1Nポールピース3110、Sポールピース3120、第2Nポールピース3140、第1外側ポールピース3200、第2外側ポールピース3300、第3外側ポールピース3600、及びベースポールピース3400の少なくとも一つに巻き付けられる。本実施例において、コイル3500は、第1永久磁石3130及び第2永久磁石3150を挟んでSポールピース3120にのみ巻き付けられており、これは、装置3000の体積を削減する観点から好ましい。
【0100】
本実施例における磁束制御装置3000は、さらなる第2面3602を有することにより、磁場を発生させる面積をさらに増加できる。これと同様に、横方向に任意に磁束制御装置3000は拡張され得る。
【0101】
一方、ポールピースアセンブリ3100を固定する非磁性体である固定手段3101が備えられ得るが、固定手段3101は、例示されたものとは異なり、一つの部材からなり、第1Nポールピース3110を貫通する形態になされてもよい。
【0102】
図12及び図13の状態は、図1及び図3の状態と各々対応し、また、図6及び図8の状態と各々対応するので、動作に関する詳細な説明は省略する。
【0103】
一方、コイル3500の配置は、多様に設定され得るが、詳細な説明は、図6乃至図11の磁束制御装置2000、2000’、2000’’に関する説明と重複するので、これを参照すればよく、詳細な説明は省略する。
【0104】
一方、上述した磁束制御装置1000、1000’、2000、2000’、2000’’、3000において、第1外側ポールピース1200、2200、3200の各々の第1面1201、2201、3201の面積が、各々の第2面1202、2202、3202の面積よりも大きいことが残留磁気を減らし、磁束を集中できるので、好ましい。また、第2外側ポールピース1300、2300、3300の各々の第1面1301、2301、3301の面積が、各々の第2面1302、2302、3302の面積よりも大きいことが、同一の理由で好ましい。また、第3外側ポールピース2600、3600の各々の第1面2601、3601の面積が、各々の第2面2602、3602の面積よりも大きいことが、同一の理由で好ましい。面積の差は、本明細書において例示されたように、面取り形態になされてもよく、フィレット形態になされてもよい。
【0105】
図14は、本発明のまた他の実施例に係る磁束制御装置の概略斜視図である。また、図15は、図14の磁束制御装置の概略断面図である。
【0106】
本実施例の磁束制御装置4000は、図1乃至図5の磁束制御装置1000と類似した構成を有し、同一の役割をする構成要素は、同一の参照番号を用いて説明する。
【0107】
図14及び図15を参照すると、本実施例の磁束制御装置4000は、ポールピースアセンブリ1100と、第1外側ポールピース1200と、第2外側ポールピース1300と、ベースポールピース1400と、コイル1500と、制御装置(図示しない)とを含んで構成される。
【0108】
ポールピースアセンブリ1100は、Nポールピース1110とSポールピース1120と永久磁石1130とを含んで構成される。Nポールピース1110は、略円筒状の形状を有し、Sポールピース1120は、Nポールピース1110を囲むように略環状の形状を有する。永久磁石1130は、二つ以上が配置され得る。その他のポールピースアセンブリ1100の構成は、図1乃至図4のポールピースアセンブリ1100に関する構成と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0109】
第1外側ポールピース1200は、略円筒状の形状を有し、第2外側ポールピース1300は、第1外側ポールピース1200を囲むように略環状の形状を有する。
【0110】
ベースポールピース1400は、第1面1401を含む突出部1410を含む。コイル1500は、この突出部1410に巻き付けられる。従って、コイル1500は、外側に露出されない。
【0111】
ポールピースアセンブリ1100、第1外側ポールピース1200、第2外側ポールピース1300及びベースポールピース1400の間の結合は、外側支持体1610、第1内側支持体1620及び第2内側支持体1630により達成され得る。
【0112】
外側支持体1610は、ベースポールピース1400と第2外側ポールピース1300との間にポールピースアセンブリ1100を囲むように配置される。外側支持体1610は、ベースポールピース1400及び第2外側ポールピース1300に各々強く結合されることにより、ベースポールピース1400と第2外側ポールピース1300が互いに連結される。
【0113】
第1内側支持体1620は、ベースポールピース1400と第1外側ポールピース1200との間に配置される。この第1内側支持体1620は、Nポールピース1110を貫通してポールピースアセンブリ1100の移動をガイドする。第1内側支持体1620は、中空の円筒状の形状を有し、中空には結合ボルト1621が挿入される。結合ボルト1621は、その端部がベースポールピース1400に螺合されると共に、ヘッド1622が第1外側ポールピース1200に係止することでベースポールピース1400と第1外側ポールピース1200を結合させる。
【0114】
第2内側支持体1630は、ベースポールピース1400と第2外側ポールピース1300との間に配置される。この第2内側支持体1630は、Sポールピース1120を貫通してポールピースアセンブリ1100の移動をガイドする。第2内側支持体1630は、中空の円筒状の形状を有し、中空には結合ボルト1631が挿入される。結合ボルト1631は、その端部がベースポールピース1400に螺合されると共に、ヘッド1632が第2外側ポールピース1300に係止することでベースポールピース1400と第2外側ポールピース1300を結合させる。
【0115】
第1内側支持体1620及び第2内側支持体1630は、ベースポールピース1400と外側ポールピース1200、1300との間の距離を一定に維持させる役割をすると共に、ポールピースアセンブリ1100の移動をガイドする役割をする。従って、ポールピースアセンブリ1100の移動時の摩擦を減らすために、第1内側支持体1620及び第2内側支持体1630の外周面の表面粗さは、小さければ小さいほど有利である。
【0116】
外側支持体1610、第1内側支持体1620及び第2内側支持体1630は、常磁性体材質又は非磁性の材質を有することで磁束に影響を及ぼさないことが好ましい。例えば、支持体1610、1620、1630は、アルミニウム、アルミニウム合金、高分子樹脂等からなり得る。
【0117】
一方、結合ボルト1621、1631も支持体1610、1620、1630と同様に、常磁性体材質又は非磁性体材質を有することが好ましい。
【0118】
結合ボルト1621、1631によりベースポールピース1400と外側ポールピース1200、1300との間の力の伝達が可能となるので、耐えるべき荷重の条件を適宜考慮して結合ボルト1621、1631の直径、長さ、個数等を定めればよい。本実施例においては、4個の第2内側支持体1630と結合ボルト1631が適用される場合を例示しているが、さらに多数の支持体と結合ボルトを用い得る。
【0119】
一方、このような支持体1610、1620、1630及び結合ボルト1621、1631の構成は、上述した磁束制御装置1000、2000、3000にも勿論適用可能である。
【0120】
コイル1500は、磁束が形成される任意のポールピースにも巻き付けられ得るが、本実施例のように、ベースポールピース1400の突出部1410に巻き付けられることが、制御電力を最小化できるので、好ましい。しかし、制御電力が多少多くなっても、コイル1500は、第1外側ポールピース1200に巻き付けられてもよい。また、突出部1410及び第1外側ポールピース1200に各々巻き付けられてもよい。このようなコイル1500の配置は、設計仕様に合わせて適宜選定すればよい。
【0121】
作動方法は、図1乃至図4を参照して上記において説明したとおりであるので、詳細な説明は省略する。
【0122】
一方、本実施例においては、Nポールピース1110及び第1外側ポールピース1200が、Sポールピース1120及び第2外側ポールピース1300に各々囲まれるように配置されることを例示したが、逆に、Sポールピース1120及び第2外側ポールピース1300が、Nポールピース1110及び第1外側ポールピース1200に各々囲まれるように配置されてもよい。
【0123】
図16は、図15の磁束制御装置の変形例4000’の概略断面図である。
【0124】
図15においては、結合ボルト1621、1631のヘッド1622、1632が外側ポールピース1200、1300に位置するようにしたが、これとは逆に、図16のように、ヘッド1622、1632がベースポールピース1400側に配置されるように、結合ボルト1621、1631をベースポールピース1400側から挿入して結合してもよい。
【0125】
具体的に、本実施例の磁束制御装置4000’においては、第1内側支持体1620を貫通してその端部が第1外側ポールピース1200に螺合されると共に、ヘッド1622がベースポールピース1400に係止することでベースポールピース1400と第1外側ポールピース1200を結合させる結合ボルト1621がさらに備えられ得る。
【0126】
また、本実施例の磁束制御装置4000’においては、第2内側支持体1630を貫通してその端部が第2外側ポールピース1300に螺合されると共に、ヘッド1632がベースポールピース1400に係止することでベースポールピース1400と第2外側ポールピース1300を結合させる結合ボルト1631がさらに備えられ得る。
【0127】
このような構成及び結合方法は、外側ポールピース1200、1300の第2面1202、1302の面積を増加できるので、好ましい。
【0128】
図17は、本発明のまた他の実施例に係る磁束制御装置5000の概略斜視図である。
【0129】
本実施例の磁束制御装置5000は、略四角形の形態を有する第1外側ポールピース1200を有することを特徴とすること以外に他の構成は、図14及び図15乃至図16の磁束制御装置4000と同一である。
【0130】
一方、上述した磁束制御装置4000、5000において、第1外側ポールピース1200の第1面1201の面積が第2面1202の面積よりも大きいことが残留磁気を減らし、磁束を集中できるので、好ましい。また、第2外側ポールピース1300の第1面1301の面積が第2面1302の面積よりも大きいことが同一の理由で好ましい。面積の差は、本明細書において例示されたように、面取り形態になされてもよく、フィレット形態になされてもよい。
【0131】
上述した磁束制御装置1000、1000’、2000、3000、4000、5000によると、装置の外部に磁場を発生又は除去することができ、磁性体ホールディング装置として利用され得る。また、磁場の変動を起こすことにより、装置の外部に位置する磁性体を運動させることもできる。これによって、発電装置、動力機関等に応用され得る。
【0132】
一方、本発明の磁束制御装置1000、1000’、2000、3000、4000、5000は、外側ポールピース1200、1300の第2面1202、1302に磁性体として存在しなくても、コイル1500に印加される電流を制御することにより、ポールピースアセンブリ1100の第1位置と第2位置との間の移動が可能であり、これによって、磁場印加状態と磁場非印加状態との間の転換が可能である。
【0133】
上述した磁束制御装置1000、1000’、2000、3000、4000、5000の制御は、少量の直流電流で可能であり、磁場印加状態と磁場非印加状態の転換時にのみ用いられるので、電力消耗が小さい。従って、環境にやさしいエネルギ提供手段としても利用され得る。
【0134】
さらに、磁束制御装置4000、5000のように、Nポールピース1110及びSポールピース1120の何れか一つが、他の一つを囲むように配置して、第1外側ポールピース1200及び第2外側ポールピース1300の何れか一つが他の一つを囲むように配置される構造を選択した場合、生産プロセスが簡単化され、生産コストを節減できる。また、第1外側ポールピース1200の第2面1202と第2外側ポールピース1300の第2面1302が互いに隣接する部分を最大化でき、ホールディング力を極大化できる。
【0135】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者ならば、本発明の技術的思想及び必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施され得ることが理解できるであろう。それ故、以上において記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解されるべきである。
【0136】
1 貼付対象(磁性体)
1000、1000’、4000、4000’、5000 磁束制御装置
1001 ガイド棒
1100 ポールピースアセンブリ
1101 固定手段
1110 Nポールピース
1111 第1面
1112 第2面
1120 Sポールピース
1121 第1面
1122 第2面
1130 永久磁石
1200 第1外側ポールピース
1201 第1面
1202 第2面
1300 第2外側ポールピース
1301 第1面
1302 第2面
1400 ベースポールピース
1401 第1面
1402 第2面
1500 コイル
【0137】
1410 突出部
1610 外側支持体
1620 第1内側支持体
1621 結合ボルト
1622 ヘッド
1630 第2内側支持体
1631 結合ボルト
1632 ヘッド
【0138】
2000、2000’、2000’’ 磁束制御装置
2001 ガイド棒
2100 ポールピースアセンブリ
2101 固定手段
2110 Nポールピース
2120 第1Sポールピース
2130 第1永久磁石
2140 第2Sポールピース
2141 第1面
2142 第2面
2150 第2永久磁石
2200 第1外側ポールピース
2201 第1面
2202 第2面
2300 第2外側ポールピース
2301 第1面
2302 第2面
2400 ベースポールピース
2401 第1面
2402 第2面
2403 第3面
2500 永久磁石
2600 第3外側ポールピース
2601 第1面
2602 第2面
【0139】
3000 磁束制御装置
3001 ガイド棒
3100 ポールピースアセンブリ
3101 固定手段
3110 第1Nポールピース
3120 Sポールピース
3130 第1永久磁石
3140 第2Nポールピース
3141 第1面
3142 第2面
3150 第2永久磁石
3200 第1外側ポールピース
3201 第1面
3202 第2面
3300 第2外側ポールピース
3301 第1面
3302 第2面
3400 ベースポールピース
3401 第1面
3402 第2面
3403 第3面
3500 永久磁石
3600 第3外側ポールピース
3601 第1面
3602 第2面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17