特許第6194426号(P6194426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6194426オプトエレクトロニクス部品およびその製造方法
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  • 特許6194426-オプトエレクトロニクス部品およびその製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194426
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/56 20100101AFI20170828BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20170828BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01L33/56
   H01L33/62
   H01L33/54
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-532670(P2016-532670)
(86)(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公表番号】特表2016-527729(P2016-527729A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2014066852
(87)【国際公開番号】WO2015018843
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年4月5日
(31)【優先権主張番号】102013215650.2
(32)【優先日】2013年8月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】クロモティス パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ペイケル ルートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】バーデ トルステン
(72)【発明者】
【氏名】キーナー シモーヌ
(72)【発明者】
【氏名】グロッセ クリスティン
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−138425(JP,A)
【文献】 特開2011−204986(JP,A)
【文献】 特開2009−033107(JP,A)
【文献】 特開2012−019062(JP,A)
【文献】 特開2010−239043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の第1の接触部(310)を有するハウジング(200)と、
前記第1の接触部(310)上に配置されたオプトエレクトロニクス半導体チップ(500)と、を備え、
前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(500)および前記第1の接触部(310)は、シリコーンを含む第1の層(610)によって少なくとも部分的に被覆され、
SiOを含む第2の層(620)が前記第1の層(610)の表面(612)に配置され、
前記第2の層(620)の厚さ(621)は、10nm〜1μmであり、
第3の層(630)が前記第2の層(620)の上方に配置され、
前記第1の層(610)の厚さ(611)は、1μm〜100μmある、
オプトエレクトロニクス部品(100)。
【請求項2】
前記第1の層(610)の厚さ(611)は、5μm〜20μmである、
請求項1に記載のオプトエレクトロニクス部品(100)。
【請求項3】
前記第1の接触部(310)は、銅を含む、請求項1または2に記載のオプトエレクトロニクス部品(100)。
【請求項4】
前記ハウジング(200)は、ハウジングフレーム(400)を有し、
前記第1の接触部(310)は、前記ハウジングフレーム(400)内に埋め込まれている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(100)。
【請求項5】
前記ハウジング(200)は、キャビティ(410)を有し、
前記第1の接触部(310)は、前記キャビティ(410)の基底領域(420)内に配置されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(100)。
【請求項6】
前記第2の層(620)の厚さ(621)は、50nm〜200nmである、請求項1〜のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(100)。
【請求項7】
前記ハウジング(200)は、前記第1の接触部(310)から電気的に絶縁された導電性の第2の接触部(320)を有し、
前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(500)と前記第2の接触部(320)との間に電気接続部(540)が存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(100)。
【請求項8】
− 導電性の第1の接触部(310)を有するハウジング(200)を設けるステップと;
− オプトエレクトロニクス半導体チップ(500)を前記第1の接触部(310)上に配置するステップと;
− シリコーンを含む第1の層(610)を前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(500)および前記第1の接触部(310)上に少なくとも部分的に配置するステップと;
− SiOを含む第2の層(620)を前記第1の層(610)の表面(612)に形成するステップであって、前記第2の層(620)を形成することは、前記第1の層(610)の一部を変化させることによって実行される、ステップと;
− 第3の層(630)を前記第2の層(620)の上方に配置するステップと、を含み、
前記第1の層(610)の厚さ(611)は、1μm〜100μmある、
オプトエレクトロニクス部品(100)の製造方法。
【請求項9】
前記第1の層(610)の厚さ(611)は、5μm〜20μmである、
請求項8に記載のオプトエレクトロニクス部品(100)の製造方法。
【請求項10】
前記第1の層(610)の前記一部を変化させることは、酸化によって実行される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の層(610)の前記一部を変化させることは、プラズマ処理によって実行される、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の層(610)を配置するステップは、ポッティング法または噴射法によって実行される、請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オプトエレクトロニクス部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅で構成された埋め込まれたリードフレーム部を有するハウジングを有するオプトエレクトロニクス半導体チップを備えるオプトエレクトロニクス部品を形成することが知られている。そのようなオプトエレクトロニクス部品の場合、上記オプトエレクトロニクス半導体チップは、リードフレーム部上に配置され、ポッティング材料内に埋め込まれている。そのようなオプトエレクトロニクス部品の上記リードフレーム部の銅がポッティング材料を通ってオプトエレクトロニクス半導体チップのpn接合まで拡散し得ることが知られている。上記拡散した銅は、オプトエレクトロニクス半導体チップを劣化させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
オプトエレクトロニクス部品を提供することが本発明の目的の1つである。かかる目的は、請求項1の特徴を含むオプトエレクトロニクス部品によって達成される。オプトエレクトロニクス部品の製造方法を特定することが本発明のさらなる目的である。かかる目的は、請求項8の特徴を含む方法によって達成される。様々な発展形態を従属請求項において特定する。
【0004】
オプトエレクトロニクス部品は、導電性の第1の接触部を有するハウジング、および、第1の接触部上に配置されたオプトエレクトロニクス半導体チップを備える。このオプトエレクトロニクス部品では、オプトエレクトロニクス半導体チップおよび第1の接触部は、シリコーンを含む第1の層によって少なくとも部分的に被覆されている。SiOを含む第2の層が第1の層の表面に配置されている。第3の層が第2の層の上方に配置されている。有利なことに、本オプトエレクトロニクス部品のSiOを含む第2の層は、拡散バリアとして使用されることができる。特に、SiOを含む第2の層は、銅の拡散バリアとして機能することができる。その結果、有利なことに、銅がオプトエレクトロニクス半導体チップのpn接合へ拡散することを低減することができるかまたは回避することができる。その結果、有利なことに、オプトエレクトロニクス半導体チップの拡散した銅によって起こり得る劣化を低減することができるかまたは回避することができる。
【0005】
本オプトエレクトロニクス部品の一実施形態では、第1の接触部は銅を含む。その結果、有利なことに、第1の接触部は高い導電性を有する。また、かかる高い導電性により有利なことに、第1の接触部は、はんだ付けによって電気的に接触されることができる。
【0006】
本オプトエレクトロニクス部品一実施形態では、ハウジングはハウジングフレームを有する。この場合、第1の接触部は、ハウジングフレーム内に埋め込まれている。ハウジンフレームは、エポキシ樹脂等のプラスチックまたはセラミックス等を含むことができる。本オプトエレクトロニクス部品のハウジングフレームは、成形工程によって、または、スピンドルディスペンサ、噴射装置(jetter)、もしくは、時間−圧力ディスペンサ(time-pressure dispenser)を用いたポッティング工程等によって製造されることができる。
【0007】
本オプトエレクトロニクス部品の一実施形態では、ハウジングはキャビティを有する。この場合、第1の接触部は、キャビティの基底領域内に配置されている。この場合、本オプトエレクトロニクス部品のオプトエレクトロニクス半導体チップもハウジングのキャビティ内に配置されることができ、キャビティ内で外部からの機械的影響によるダメージから保護されることができる。キャビティは追加的に、オプトエレクトロニクス部品の光反射体等を形成することができる。有利なことに、オプトエレクトロニクス部品の第1の接触部およびオプトエレクトロニクス半導体チップの上方に配置された第1の層、第2の層、および、第3の層は、技術的経費をほとんど必要とせずにキャビティ内に配置されることができる。オプトエレクトロニクス部品の第3の層は、オプトエレクトロニクス半導体チップの機械的保護のために使用されることができる。しかしながら、第3の層はまた、さらなる機能を果たすこともできる。一例を挙げると、第3の層は、オプトエレクトロニクス部品のオプトエレクトロニクス半導体チップによって出射された電磁放射の波長を変換することができる。
【0008】
本オプトエレクトロニクス部品の一実施形態では、第1の層の厚さは、1μm〜100μm、好ましくは5μm〜20μmである。一例を挙げると、オプトエレクトロニクス部品の第1の層の厚さを10μmとすることができる。このように、有利なことに、第1の層が非常に薄いため、第1の層内において銅は非常にわずかな程度にのみ拡散することができる。
【0009】
本オプトエレクトロニクス部品の一実施形態では、第2の層の厚さは、10nm〜1μm、好ましくは50nm〜200nmである。一例を挙げると、オプトエレクトロニクス部品の第2の層の厚さを100nmとすることができる。この場合、有利なことに、オプトエレクトロニクス部品の第2の層は、銅の拡散バリアとして機能する。
【0010】
本オプトエレクトロニクス部品の一実施形態では、ハウジングは、導電性の第2の接触部を有し、この第2の接触部は第1の接触部から電気的に絶縁されている。この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップと第2の接触部との間に電気接続部が存在する。オプトエレクトロニクス半導体チップと第2の接触部と間の電気接続部は、ボンドワイヤ等によって形成されることができる。この場合、有利なことに、オプトエレクトロニクス部品のオプトエレクトロニクス半導体チップは、第1の接触部および第2の接触部を介して電気的に駆動されることができる。
【0011】
オプトエレクトロニクス部品の製造方法は、導電性の第1の接触部を有するハウジングを設けるステップと、第1の接触部上にオプトエレクトロニクス半導体チップを配置するステップと、シリコーンを含む第1の層をオプトエレクトロニクス半導体チップおよび第1の接触部上に少なくとも部分的に配置するステップと、SiOを含む第2の層を第1の層の表面に形成するステップと、第3の層を第2の層の上方に配置するステップと、を含む。有利なことに、かかる方法によってSiOを含む第2の層が拡散バリア、特に銅の拡散バリアとして機能するオプトエレクトロニクス部品を製造することができる。かかる拡散バリアが一体化されていることによって、本方法によって得られるオプトエレクトロニクス部品では、オプトエレクトロニクス部品のオプトエレクトロニクス半導体チップの銅の拡散による劣化は低減される。
【0012】
本方法の一実施形態では、第2の層を形成するステップを第1の層の一部を変化させることによって実行する。その結果、有利なことに、第2の層の製造を特に単純に行うことができる。特に、第2の層を成膜するための専用のプロセスステップが第2の層を製造するために必要とされない。
【0013】
本方法の一実施形態では、第1の層の一部を変化させることは、酸化によって実行される。この場合、第1の層が含有するSiをSiOに変化させる。
【0014】
本方法の一実施形態では、第1の層の一部を変化させることは、プラズマ処理によって実行される。有利なことに、プラズマ処理は、第1の層が含有するSiをSiOに変化させることに適している。この場合、プラズマは、第2の層が第1の層の表面に形成されるように第1の層の表面に実質的に作用する。
【0015】
本方法の一実施形態では、第1の層を配置するステップをポッティング法または噴射法(jetting)によって実行する。その結果、有利なことに、費用効果が高く、再現可能な第1の層を配置する工程を行うことができる。その結果、有利なことに、本方法は大量生産に適している。
【0016】
本発明の上記性質、特徴、および、利点、ならびにそれらの実現方法は、図面に関連して詳細に説明される例示的な実施形態の以下の記述に関連してさらに明らかとなり、またさらに明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】オプトエレクトロニクス部品の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、オプトエレクトロニクス部品100の一部の概略断面側面図を示す。オプトエレクトロニクス部品100を発光ダイオード部品等とすることができる。
【0019】
オプトエレクトロニクス部品100は、ハウジング200を備える。ハウジング200は、上面201、および、上面201とは反対側に位置する下面202を有する。オプトエレクトロニクス部品100のハウジング200は、ハウジングフレーム400、および、ハウジングフレーム400内に埋め込まれたリードフレーム300を備える。ハウジングフレーム400は、エポキシ樹脂等の電気絶縁性プラスチック材料またはセラミックス等を含むことができる。ハウジングフレーム400は、成形工程によって、または、スピンドルディスペンサ、噴射装置、もしくは、時間−圧力ディスペンサを用いたポッティング工程によって製造されることができる。
【0020】
リードフレーム300は、金属等の導電性材料を含む。特に、リードフレーム300は銅を含むことができる。銅には良好な導電性を有する利点があり、はんだ付けによる電気的接触に適している。
【0021】
リードフレーム300は、上面301、および、上面301とは反対側に位置する下面302を有する。リードフレーム300は、第1の接触部310と第2の接触部320とにさらに分割されている。第1の接触部310および第2の接触部320は、物理的に互いに離間し、かつ、電気的に互いに絶縁されている。接触部310,320をリードフレーム部ということもできる。
【0022】
リードフレーム300の接触部310,320は、リードフレーム300の上面301および下面302の両面が少なくとも部分的にハウジングフレーム400の材料によって被覆されるようにハウジングフレーム400内に埋め込まれている。図示の例では、リードフレーム300の下面302は、ハウジングフレーム400の材料によって完全に被覆されている。リードフレーム300の第1の接触部310および第2の接触部320のいずれにおいても、上面301はハウジングフレーム400の材料によって部分的に被覆され、部分的に露出している。
【0023】
オプトエレクトロニクス部品100のハウジング200は、ハウジングの上面201にキャビティ410を有する。キャビティ410は、ハウジング200の上面201におけるハウジングフレーム400内の凹部(depression)として形成されている。ハウジング200の上面201において、キャビティ410は、例えば円板状または矩形の断面を有することができる。図1の断面図では、キャビティ410は、ハウジング200の上面201から角錐台状に次第に幅が狭くなっている。しかしながら、キャビティ410を円柱状または他の形状にすることもできる。
【0024】
オプトエレクトロニクス部品100のハウジング200のキャビティ410は、基底領域420および周囲の壁部430を有する。壁部430は、ハウジングフレーム400の材料によって形成されている。壁部430は、キャビティ410の側面を形成している。オプトエレクトロニクス部品100のハウジング200のキャビティ410の壁部430は、オプトエレクトロニクス部品100によって出射された電磁放射を集めることに使用される反射体を形成することができる。基底領域420は、キャビティ410の基底面を形成している。リードフレーム300の第1の接触部310および第2の接触部320の上面301の一部は、ハウジング200のキャビティ410の基底領域420において露出している。
【0025】
オプトエレクトロニクス部品100は、オプトエレクトロニクス半導体チップ500をさらに備える。オプトエレクトロニクス半導体チップ500を発光ダイオードチップ(LEDチップ)等とすることができる。オプトエレクトロニクス半導体チップ500は、上面501、および、上面501とは反対側に位置する下面502を有する。オプトエレクトロニクス半導体チップ500の上面501は、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の放射出射面を形成している。オプトエレクトロニクス半導体チップ500は、放射出射面を形成する上面501において可視光等の電磁放射を出射するように設計されている。
【0026】
オプトエレクトロニクス半導体チップ500の第1の電気コンタクトパッド510がオプトエレクトロニクス半導体チップ500の上面501に形成されている。第2の電気コンタクトパッド520がオプトエレクトロニクス半導体チップ500の下面502に形成されている。オプトエレクトロニクス半導体チップ500によって電磁放射を出射するために、第1の電気コンタクトパッド510および第2の電気コンタクトパッド520を介して、オプトエレクトロニクス半導体チップ500に電圧を印加することができる。
【0027】
オプトエレクトロニクス半導体チップ500は、オプトエレクトロニクス部品100のハウジング200のキャビティ410内に配置されている。オプトエレクトロニクス半導体チップ500は、キャビティ410の基底領域420において、リードフレーム300の第1の接触部310の上面301に配置されている。この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の下面502は、第1の接触部310の上面301に対向している。オプトエレクトロニクス半導体チップ500は、第1の接触部310に電気接続部530によって接続されている。電気接続部530は、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の下面502におけるオプトエレクトロニクス半導体チップ500の第2の電気コンタクトパッド520と第1の接触部310の電気的接触を形成している。電気的接続部530は、はんだ等によって形成されることができる。
【0028】
オプトエレクトロニクス半導体チップ500の第1の電気コンタクトパッド510は、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の上面501に形成され、オプトエレクトロニクス部品100のハウジング200のリードフレーム300の第2の接触部320にボンドワイヤ540によって電気接続している。この場合、ボンドワイヤ540は好ましくは、完全にハウジング200のキャビティ410内で伸長している。ボンドワイヤ540の代わりに、他の電気接続部をオプトエレクトロニクス半導体チップ500の第1の電気コンタクトパッド510とオプトエレクトロニクス部品100のハウジング200の第2の接触部320との間に設けることもできる。
【0029】
オプトエレクトロニクス半導体チップ500と、オプトエレクトロニクス部品100のハウジング200のキャビティ410の基底領域420と、壁部430の一部とが第1の層610によって被覆されている。この場合、第1の層610は好ましくは、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の上面501全体、および、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の上面501と下面502との間に延在するオプトエレクトロニクス半導体チップ500の側面を被覆している。さらに、第1の層610は好ましくは、リードフレーム300の第1の接触部310および第2の接触部320の上面301の、ハウジング200のキャビティ410の基底領域420において露出している部分を被覆している。第1の層610は好ましくは、連続的かつ閉じた層を形成している。
【0030】
第1の層610はシリコーンを含む。第1の層610は、ポッティング法または噴射法等によって設けられている。この場合、噴射法は、第1の層610の材料をノズルを通して圧力をかけて塗布する方法を意味する。好ましくは、第1の層610は、オプトエレクトロニクス半導体チップ500をキャビティ410内に配置した後、かつ、ボンドワイヤ540を配置した後に設けられている。
【0031】
第1の層610は、厚さ611を有する。厚さ611は好ましくは、1μm〜100μmである。第1の層610の厚さ611は特に好ましくは、5μm〜20μmである。一例を挙げると、第1の層610の厚さ611を10μmとすることができる。したがって、第1の層610の厚さは、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の寸法、および、ハウジング200のキャビティ410の寸法に比して小さい。
【0032】
第2の層620が第1の層610の表面612に配置されている。第2の層620はSiOを含む。第2の層620は、厚さ621を有する。第2の層620の厚さ621は好ましくは、10nm〜1μmである。第2の層620の厚さ621は特に好ましくは、50nm〜200nmである。一例を挙げると、第2の層620の厚さ621を100nmとすることができる。
【0033】
第2の層620は好ましくは、第1の層610の表面612に位置している第1の層610の一部を変化させることによって形成されている。この場合、第1の層610の一部の材料が部分的に酸化されている。この場合、第1の層610のSiがSiOに変化されている。好ましくは、第1の層610の表面612に位置している第1の層610の一部を変化させることはプラズマ処理によって実行されている。第1の層610の材料の一部を変化させることによって第2の層620を形成する工程をガラス化ということもできる。
【0034】
第3の層630が第2の層620の上方に配置されている。好ましくは、第3の層630は、ほぼ完全にキャビティ410を充填している。この場合、第3の層630の厚さは、第1の層610の厚さ611および第2の層620の厚さ621よりも相当に大きな厚さであることができる。好ましくは、オプトエレクトロニクス半導体チップ500およびボンドワイヤ540は、ほぼ完全に第3の層630の材料内に埋め込まれている。その結果、第3の層630は、オプトエレクトロニクス半導体チップ500およびボンドワイヤ540を外部からの機械的影響によるダメージから保護する。
【0035】
第3の層630はシリコーンを含むことができ、また、ポッティング法等によってキャビティ410内に導入されていてもよい。第3の層630はまた、オプトエレクトロニクス半導体チップ500によって出射された電磁放射の波長を変換するために設けられた、埋め込まれた波長変換粒子を含むこともできる。この目的のために、埋め込まれた波長変換粒子は、第1の波長の電磁放射を吸収することができ、次いで、第2の波長の(通常は、より長波長の)電磁放射を出射することができる。波長変換粒子は、有機蛍光体または無機蛍光体を含むことができる。波長変換粒子はまた、量子ドットを含むこともできる。
【0036】
第1の層610、第2の層620、および、第3の層630は共に、オプトエレクトロニクス部品100のポッティング部600を形成している。
【0037】
オプトエレクトロニクス部品100のポッティング部600のSiOを含む第2の層620は、拡散バリアを形成している。特に第2の層620は、銅の拡散バリアを形成している。オプトエレクトロニクス部品100のハウジング200のリードフレーム300の接触部310,320から放出された銅は、第2の層620を通って侵入することができないか、または、わずかな程度にのみ第2の層620を通って侵入することができる。これによって、リードフレーム300の接触部310,320から放出された銅がポッティング部600を通って、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の上面501近傍に配置されたオプトエレクトロニクス半導体チップ500のpn接合まで拡散することを防止する。銅のオプトエレクトロニクス半導体チップ500のpn接合への拡散は、オプトエレクトロニクス半導体チップ500の劣化を助長し得る。第2の層620によって形成された拡散バリアは、そのような銅の拡散によって引き起こされるオプトエレクトロニクス半導体チップ500の劣化を防止するかまたは低減する。
【0038】
好ましい例示的な実施形態に基づき、本発明を図示し、詳細に説明した。しかしながら、本発明は、上述の例に限定されない。また、当業者であれば、開示した例に基づき、本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の変形形態を得ることができる。
【0039】
本願は、独国特許出願第102013215650.2号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
【符号の説明】
【0040】
100 オプトエレクトロニクス部品
200 ハウジング
201 上面
202 下面
300 リードフレーム
301 上面
302 下面
310 第1の接触部
320 第2の接触部
400 ハウジングフレーム
410 キャビティ
420 基底領域
430 壁部
500 オプトエレクトロニクス半導体チップ
501 上面
502 下面
510 第1の電気コンタクトパッド
520 第2の電気コンタクトパッド
530 電気接続部
540 ボンドワイヤ
600 ポッティング部
610 第1の層
611 厚さ
612 表面
620 第2の層
621 厚さ
630 第3の層
図1