特許第6194445号(P6194445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194445
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】排水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/298 20060101AFI20170904BHJP
   E03C 1/22 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   E03C1/298
   E03C1/22 Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-36384(P2013-36384)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-163159(P2014-163159A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕史
(72)【発明者】
【氏名】宇野 光貴
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3004551(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3166721(JP,U)
【文献】 特開2012−180656(JP,A)
【文献】 特開2011−190617(JP,A)
【文献】 実開平04−061163(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管2と、
排水管2内に構成配置される、常時閉塞し、尚かつ排水が発生した際には開口する弁体34を備えた逆止め弁3と、
から構成される排水装置において、
前記逆止め弁3より上流に、排水管2の内径を全周に沿って縮めて逆止め弁3の開口よりも小径となるまで断面積を狭めた絞り機構5を構成したことを特徴とする排水装置。
【請求項2】
前記逆止め弁3を、弁体34がガイドされることによって弁座に対し垂直に当接し作動するリフト逆止め弁31としたことを特徴とする前記請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記逆止め弁3の弁体34を一点を支点として弧状運動を行い、流体の逆流時にも弁座に圧着するスイング逆止め弁32としたことを特徴とする前記請求項1に記載の排水装置。
【請求項4】
前記逆止め弁3を、上流側に形成された開口部、開口部から連続して形成され、先端が互いに当接する弾性の板状に形成された一対の弁体34、から構成される自己閉鎖弁33から構成されることを特徴とする前記請求項1に記載の排水装置。
【請求項5】
前記絞り機構5を、断面視略山形形状となるよう形成されたことを特徴とする前記請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の排水装置。
【請求項6】
前記絞り機構5を、下方に向けて縮径する漏斗形状となるようノズル状に形成したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内側に下水からの異臭や害虫の逆流を防止する為や、排水管の下流からの逆流水を上流側へ逆流することを防止する為などで用いられる、排水管内の逆止め弁が使用される排水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よく知られた排水装置としては、例えば図13に示したものがある。この排水装置は、例えば洗面ボウルや台所のキッチンシンク、浴室などに用いられる排水装置である。
この排水装置は、槽体と、排水口と、排水管と、水封式排水トラップと、から構成される。
槽体は、本従来例では洗面所に用いられる洗面ボウルである。具体的には、箱体であって、箱体の下部にはキャビネットが構成されている。
排水口は、槽体底面に開口される孔であって、後述する排水管が接続される。また、槽体内の排水は排水口から排水管へと排出される。
排水管は、排水口に接続された管体であって、この管体は最終的には下水管へと配管される。
水封式排水トラップは、本従来例では排水管を略U字状に屈曲させた管体であって、該屈曲部分に排水の一部を貯水することで排水管をシールし、下水からの臭気や害虫を室内側へ逆流させないようにする部材である。また、水封式排水トラップは最終的には下水管へと接続される。(特許文献1)
【0003】
上記従来例の排水装置は以下のような排水の流れとなる。
洗面ボウルである槽体内に排水が発生すると、排水口に開口した排水口から排水管内へと排水が排出され、排水管に接続された水封式排水トラップ内に排水が排水される。その後、排水トラップを通過した排水は最終的には下水管へと排水される。
【0004】
従来よく知られた排水装置としては、例えば図14に示したものがある。この排水装置は、例えば洗面ボウルや台所のキッチンシンク、浴室などに用いられる排水装置である。
この排水装置は、槽体と、排水口と、排水管と、自己閉鎖弁と、から構成される。
槽体は、本従来例では洗面所に用いられる洗面ボウルである。具体的には、箱体であって、箱体の下部にはキャビネットが構成されている。
排水口は、槽体底面に開口される孔であって、後述する排水管が接続される。また、槽体内の排水は排水口から排水管へと排出される。
排水管は、排水口に接続された管体であって、この管体は最終的には下水管へと配管される。また、排水管内部には後述する自己閉鎖弁を配置構成する。
自己閉鎖弁は、弾性を有する樹脂により形成されており、上流側の端部が開放された軸方向視円形の開口部が形成されるとともに、下流側の端部はこの開口部から連続して形成され側部が閉じられた一対の弁体の先端を重ねた形状となっている。これにより、外力が加わっていない場合及び下流側から圧力が加わった場合には、弁体の先端が重ね合わされた状態を維持して、下流からの臭気などの上流側への逆流を防ぎ、上流側から排水が流入した場合には、弁体の先端が離反して排水を下流側に流下させることができる。(特許文献2)
【0005】
上記の排水装置は以下のような排水の流れとなる。
洗面ボウルである槽体内に排水が発生すると、排水口に開口した排水口から排水管内へと排水が排出され、排水管内に配置された自己閉鎖弁内に排水が排水される。排水の圧力により自己閉鎖膜がその弾性により弁体部分が開口し、排水が弁体を通過することとなる。その後、自己閉鎖弁を通過した排水は最終的には下水管へと排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−301491号公報
【特許文献2】特開2012−136836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した従来例(特許文献1)の一般的な水封式排水トラップを使用した排水装置は、例えば槽体から多量の排水を排出した際などに発生する、排水管体内が満水になり負圧になることよって、水封式排水トラップの封水までも負圧により吸引されて、封水が無くなってしまう破封とよばれる現象が発生しやすい。このような破封が発生してしまうと、排水管の室内側と下水側をシールするための封水が無くなってしまうので、下水からの臭気や害虫が室内側へと逆流してしまうといった問題が発生する。(特許文献1)
また、前記した従来例(特許文献2)の排水装置では、水封式排水トラップの上記課題を解決するために水封式排水トラップの代用として逆止め弁である自己封鎖弁を使用している。この自己閉鎖弁を用いた排水装置では、上記のように封水を内部に備えないから、管体内が負圧になったとしても、排水が終了すれば排水管のシールは自身の弁体が閉鎖する為、下水側と室内側は適切に遮断され、下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流することがない。しかしながら、水封式排水トラップと比較すれば非常に有益な自己閉鎖弁は以下の問題がある。
槽体に排水が発生した場合に、排水は排水口から排水管内に排出されるが、管体が満水となる前は排水管内周面に沿うように流下してゆく。そうすると、逆止め弁である自己封鎖弁にも外周に沿うように排水が流下することとなる。そうすると、逆止め弁である自己封鎖弁の当接している弁体には排水が流下する外周部分しか水圧が加わらず、弁体が十分に開口することができず、初期の排水時点での排水流量が非常に悪かった。
また、当該問題は自己封鎖弁にだけ発生しうる課題ではなく、例えばリフト式逆止め弁であったり、スイング式逆止め弁でも、弁体に加わる排水の水圧が初期排水時であれば弁体の外周にしか加わらず、弁体に加わる圧力の分布にバラツキが発生し、弁体の開口が非常に悪く、結果的に排水流量が非常に悪かった。
【0008】
以上のことから、本願発明は以下の課題を解決する。
1.逆止め弁を用いた排水装置において、初期排水時の排水が排水管の外周から流下する場合でも、逆止め弁が円滑に開口するようにする。
2.逆止め弁を用いた排水装置において、排水流量を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の排水装置は、排水管2と、排水管2内に構成配置される、常時閉塞し、尚かつ排水が発生した際には開口する弁体34を備えた逆止め弁3と、から構成される排水装置において、前記逆止め弁3より上流に、排水管2の内径を全周に沿って縮めて逆止め弁3の開口よりも小径となるまで断面積を狭めた絞り機構5を構成したことを特徴とする排水装置である。
【0010】
請求項2に記載の排水装置は、前記逆止め弁3を、弁体34がガイドされることによって弁座に対し垂直に当接し作動するリフト逆止め弁31としたことを特徴とする前記段落0009に記載の排水装置である。
【0011】
請求項3に記載の排水装置は、前記逆止め弁3の弁体34を一点を支点として弧状運動を行い、流体の逆流時にも弁座に圧着するスイング逆止め弁32としたことを特徴とする前記段落0009に記載の排水装置である。
【0012】
請求項4に記載の排水装置は、前記逆止め弁3を、上流側に形成された開口部、開口部から連続して形成され、先端が互いに当接する弾性の板状に形成された一対の弁体34、から構成される自己閉鎖弁33から構成されることを特徴とする前記0009に記載の排水装置である。
【0013】
請求項5に記載の排水装置は、前記絞り機構5を、断面視略山形形状となるよう形成されたことを特徴とする前記段落0009乃至段落0012のいずれか一つに記載の排水装置である。
【0014】
請求項6に記載の排水装置は前記絞り機構5を、下方に向けて縮径する漏斗形状となるようノズル状に形成したことを特徴とする前記段落0009乃至段落0012のいずれか一つに記載の排水装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の本発明は、逆止め弁3より上流に、排水管2の内径を縮めて断面積を狭めた絞り機構5を構成したことから、排水管2の外周から排水が流下しても、絞り機構5によって排水管2の中央部分に排水が流下され、逆止め弁3の中央に排水が流下されることになるので、逆止め弁3の作動性が向上し、排水流量が向上する。また、絞り機構5を構成したことによってベンチュリ効果が発生し、排水管2内に負圧が生じ、結果的に排水流量が向上する。また、排水管2内に負圧が生じても、本発明は逆止め弁3が構成されている為、自身で排水管2を常時閉塞するため排水管2内の負圧に影響されない。従って水封式排水トラップと比較した場合に排水管2内に負圧が発生しても封水切れによる破封現象、例えば下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流してしまう現象が発生しない。
請求項2に記載の本発明は、逆止め弁3を、弁体34がガイドされることによって弁座に対し垂直に当接し作動するリフト逆止め弁31としたことから、自身で排水管2を常時閉塞することができるため排水管2内の負圧に影響されない。従って水封式排水トラップと比較した場合に排水管2内に負圧が発生しても封水切れによる破封現象、例えば下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流してしまう現象が発生しない。
請求項3に記載の本発明は、逆止め弁3の弁体34を一点を支点として弧状運動を行い、流体の逆流時にも弁座に圧着するスイング逆止め弁32としたことから、自身で排水管2を常時閉塞することができるため排水管2内の負圧に影響されない。従って水封式排水トラップと比較した場合に排水管2内に負圧が発生しても封水切れによる破封現象、例えば下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流してしまう現象が発生しない。
請求項4に記載の本発明は、逆止め弁3を、上流側に形成された開口部311、開口部311から連続して形成され、先端が互いに当接する弾性の板状に形成された一対の弁体34、から構成される自己閉鎖弁33から構成したことにより自身で排水管2を常時閉塞することができるため排水管2内の負圧に影響されない。従って水封式排水トラップと比較した場合に排水管2内に負圧が発生しても封水切れによる破封現象、例えば下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流してしまう現象が発生しない。
請求項5に記載の本発明は、絞り機構5を、断面視略山形形状となるよう形成したことにより、排水管2の通水面積を一旦縮小または狭窄することができ、山形部分の上流より山形部分の下流に負圧が発生し、排水を負圧により引き込むことが出来、排水流量が結果的に向上する。尚、この効果をベンチュリ効果と呼ぶ。このベンチュリ効果とは、流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させ、圧力が低い部分が作り出される現象を指す。また、排水に負圧が生じる前の初期排水時においては、排水管2の内周に沿うように排水がされても、絞り機構5によって内周から排水管2の中央部分(中心軸部分)に強制的に排水が流下するため、下流に配置された逆止め弁3の中央に排水が流下することができる。
請求項6に記載の本発明は、絞り機構5を、下方に向けて縮径する漏斗形状したことにより、排水管2の通水面積を一旦縮小または狭窄することができる。また漏斗形状上流より漏斗形状より下流に負圧が発生し、排水を負圧により引き込むことが出来、排水流量が結果的に向上する。尚、この効果をベンチュリ効果と呼ぶ。このベンチュリ効果とは、流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させ、圧力が低い部分が作り出される現象を指す。また、排水に負圧が生じる前の初期排水時においては、排水管2の内周に沿うように排水がされても、絞り機構5によって内周から排水管2の中央部分(中心軸部分)に強制的に排水が流下するため、下流に配置された逆止め弁3の中央に排水が流下することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1の排水装置の逆止め弁(自己閉鎖弁)が閉塞時を示す断面図である。
図2】実施例1の排水装置の逆止め弁(自己閉鎖弁)が開口した時を示す断面図である。
図3】実施例2の排水装置の逆止め弁(スイング式逆止め弁)が閉塞時を示す断面図である。
図4】実施例2の排水装置の逆止め弁(スイング式逆止め弁)が開口した時を示す断面図である。
図5】実施例3の排水装置の逆止め弁(リフト逆止め弁)が閉塞時を示す断面図である。
図6】実施例3の排水装置の逆止め弁(リフト逆止め弁)が開口した時を示す断面図である。
図7】その他の実施例の絞り機構を示す断面図である。
図8】その他の実施例の絞り機構を示す断面図である。
図9】その他の実施例の絞り機構を示す断面図である。
図10】その他の実施例の絞り機構を示す断面図である。
図11】その他の実施例の絞り機構を示す断面図である。
図12】その他の実施例の絞り機構を示す断面図である。
図13】従来例(特許文献1)を示す断面図である。
図14】従来例(特許文献2)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
以下に図1乃至図2に図示した排水装置の実施例を、図面を参照しつつ説明する。
本実施例の排水装置は、槽体1と、排水口12と、排水管2と、絞り機構5と、逆止め弁3と、から構成される。
槽体1は、本実施例では洗面台のボウルであって、架台等の上に載置される内部に排水を貯水/排水する箱体である。
排水口12は、槽体1底面に開口された孔であって、下方に排水管2が接続される。当該排水口12によって、槽体1内に貯水した排水を槽体1外へ排出することができる。また、排水口12には図示しないが栓体が備えられ、使用者が当該栓体によって排水口12を閉塞/開口することにより槽体1内の貯水/排水をコントロールする。
排水管2は、前記排水口12に接続される管体であって、最終的には床下の下水管へと接続される管体である。尚、当該排水管2内には、後述する逆止め弁3を配置構成する。
絞り機構5は、入り口円筒部51、入り口円錐管52、スロート部53、出口円錐管54、とから構成される。尚、入り口円筒部51、入り口円錐管52、スロート部53、出口円錐管54はいずれも排水管2の管路の中心軸と同軸に配置構成されている。
入り口円筒部51は、排水管2の管路内周と略同径の管路であって、排水口12から流下した排水が一番最初に到達する絞り機構5内への入り口部分である。また、後述するスロート部53に対して上流側に位置する部分となる。
入り口円錐管52は、入り口円筒部51から続いて角度のある傾斜面を備えた円錐管形状となっている箇所である。最終的には後述のスロート部53まで連続する。当該角度は下流に向かう程縮径するように構成される。
スロート部53は、排水管2の内周面の通水面積を中心軸方向に縮めた部分であって、排水管路の通水面積の最小断面部分である。このスロート部53は、入り口円錐管52から連続して構成され、後述する出口円錐管54へと連続する。尚、スロート部53は入り口円錐管52の傾斜角度の始点から出口円錐管54の傾斜角度の終点までの垂直距離の長さの三分の二の位置にくるように構成されている。
出口円錐管54は、前記スロート部53から連続する傾斜角度を備えた円錐管形状を成している。また、当該角度は下流に向かうほど拡径するように構成される。この出口円錐管54の傾斜面の角度は、入り口円錐管52の傾斜角度よりも小さい角度となるように構成される。
絞り機構5は、断面視上流側の傾斜面の角度(入り口円錐管52の傾斜角度)が下流側の傾斜面の角度(出口円錐管54の傾斜角度)よりも大きい三角形形状となっている。
また、当該絞り機構5によって、排水管2の通水面積を一旦縮小または狭窄することによりスロート部53上流よりスロート部53下流に負圧が発生し、排水を負圧により引き込むことが出来、排水流量が結果的に向上する。尚、この効果をベンチュリ効果と呼ぶ。このベンチュリ効果とは、流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させ、圧力が低い部分が作り出される現象を指す。また、排水に負圧が生じる前の初期排水時においては、排水管2の内周に沿うように排水がされても、絞り機構5のスロート部53によって内周から排水管2の中央部分(中心軸部分)に強制的に排水が流下するため、下流に配置された逆止め弁3の中央に排水が流下することができる。
逆止め弁3は、本実施例では自己閉鎖弁33と呼ばれる、自身の弾性力により弁体34を封鎖することのできる逆止め弁3を使用している。
自己閉鎖弁33は、弾性を有する樹脂により形成されており、上流側の端部が開放された軸方向視円形の開口部311が形成されるとともに、下流側の端部はこの開口部311から連続して形成され側部が閉じられた一対の弁体34の先端を重ねた形状となっている。これにより、外力が加わっていない場合及び下流側から圧力が加わった場合には、弁体34の先端が重ね合わされた状態を維持して、下流からの臭気などの上流側への逆流を防ぎ、上流側から排水が流入した場合には、弁体34の先端が離反して排水を下流側に流下させることができる。この自己閉鎖弁33は、前記排水管2内の前記絞り機構5の下流側に配置構成する。
【0018】
上記排水装置は以下のような排水の流れとなる。
槽体1内に排水が発生すると、槽体1底部の排水口12から排水口12に接続された排水管2へと排水される。排水管2内の排水は絞り機構5の入り口円筒部51を介して入り口円錐管52内に流入する。そしてスロート部53を通過して出口円錐管54へと排水される。
この絞り機構5に排水が通過する際には以下の作用が発生する。
スロート部53によって排水管2内が一旦縮径することによりスロート部53上流よりスロート部53下流に負圧が発生し、負圧により排水を下流側へと引き込まれ排水流量が結果的に向上する。(ベンチュリ効果)また、排水に負圧が生じる前の初期排水時においては、排水管2の内周に沿うように排水がされても、絞り機構5のスロート部53によって内周から排水管2の中央部分(中心軸部分)に強制的に排水が流下するため、下流に配置された自己閉鎖弁33中央に排水が流下することができる。この自己閉鎖弁33は開口部311から連続して形成され側部が閉じられた一対の弁体34の先端を重ねた形状に弁体34が構成されている為、閉じられた側部方向から排水が流入すると弁体34に加わる水圧が小さい為、出来るだけ弁体34の中央部分に流下するほうが良い。そして、当該絞り機構5のスロート部53によって、排水は弁体34に対し中心軸付近に流下できるので、弁体34にバランス良く排水が流下することが出来るので、弁体34の開口/閉口の作動性が非常に優れている。
また、絞り機構5から排水された排水は逆止め弁3である自己閉鎖弁33に到達する。自己閉鎖弁33の開口部311から排水は流入し、排水の圧力により自己閉鎖弁33の弁体34の当接が解除され、弁体34が開口し、自己閉鎖弁33の下流側へと排水が排水される。最終的に排水は排水管2から下水管へと排水される。また、排水が終了すると、自己閉鎖弁33の弁体34が自身の弾性により再度当接し閉塞することができる。自己閉鎖弁33が閉塞すると排水管2の下水側と室内側は遮断されるので、下水からの臭気や害虫が室内側へと逆流することはない。
【実施例2】
【0019】
以下に第二実施例の排水装置の実施例を、図面を参照しつつ説明する。
本実施例の排水装置は、図3及び図4に記載した槽体1と、排水口12と、排水管2と、絞り機構5と、逆止め弁3と、から構成される。
槽体1は、本実施例では洗面台のボウルであって、架台等の上に載置される内部に排水を貯水/排水する箱体である。
排水口12は、槽体1底面に開口された孔であって、下方に排水管2が接続される。当該排水口12によって、槽体1内に貯水した排水を槽体1外へ排出することができる。また、排水口12には図示しないが栓体が備えられ、使用者が当該栓体によって排水口12を閉塞/開口することにより槽体1内の貯水/排水をコントロールする。
排水管2は、前記排水口12に接続される管体であって、最終的には床下の下水管へと接続される管体である。尚、当該排水管2内には、後述する逆止め弁3を配置構成する。
絞り機構5は、入り口円筒部51、入り口円錐管52、スロート部53、出口円錐管54とから構成される。尚、入り口円筒部51、入り口円錐管52、スロート部53、出口円錐管54はいずれも排水管2の管路の中心軸と同軸に配置構成されている。
入り口円筒部51は、排水管2の管路内周と略同径の管路であって、排水口12から流下した排水が一番最初に到達する絞り機構5内への入り口部分である。また、後述するスロート部53に対して上流側に位置する部分となる。
入り口円錐管52は、入り口円筒部51から続いて角度のある傾斜面を備えた円錐管形状となっている箇所である。最終的には後述のスロート部53まで連続する。当該角度は下流に向かう程縮径するように構成される。
スロート部53は、排水管2の内周面の通水面積を中心軸方向に縮めた円筒状の箇所であって、排水管路の通水面積の最小断面部分である。このスロート部53は、入り口円錐管52から連続して構成され、円筒部分を介して後述する出口円錐管54へと連続する。
出口円錐管54は、前記スロート部53から、出口まで連続する傾斜角度を備えた円錐管形状を成している。また、当該角度は下流に向かうほど拡径するように構成される。この出口円錐管54の傾斜面の角度は、入り口円錐管52の傾斜角度と略同一角度となるように構成される。
また、絞り機構5のスロート部53の周囲の形状は、断面視台形形状となっている。
また、当該絞り機構5によって、排水管2の通水面積を一旦縮小または狭窄することによりスロート部53上流よりスロート部53下流に負圧が発生し、排水を負圧により引き込むことが出来、排水流量が結果的に向上する。また、排水に負圧が生じる前の初期排水時においては、排水管2の内周に沿うように排水がされても、絞り機構5のスロート部53によって内周から排水管2の中央部分(中心軸部分)に強制的に排水が流下するため、下流に配置された逆止め弁3の中央に排水が流下することができる。
逆止め弁3は、本実施例ではスイング逆止め弁32と呼ばれる、一点を支点として弧状運動を行う弁体34を用いる。本実施例では、回動自在なピンを軸として常時弁体34が閉口する方向に付勢されたアーム部4が備えられ、当該アーム部4に弾性部材から成る弁体34が構成される。
また、排水管2には弁座が構成され、当該弁座には上記弁体34が常時着座するようになっている。
当該スイング逆止め弁32は、バネ等の付勢により常時弁座に弁体34が閉口しており、更に弁体34が開口中に下流から排水が逆流しても、背圧により弁体34が弁座に圧着する。
このスイング逆止め弁32は、排水が発生すると排水の圧力や加重により弁体34が押し下げられ、弁体34に連動してアーム部4がピンを中心として回動する。そうすると弁体34が弁座より離間するので排水管2の閉塞が開放され、排水管2上流からの排水を下流排水管2へと排水することができる。また、当該スイング逆止め弁32は常時閉塞しているので、下流からの臭気などが上流側へ逆流するのを防ぎ、また上流側から排水が流入した場合には、弁体34が排水の圧力により下方に押動される。すると付勢されていた弁体34が、ピンを軸として回動し弁座から離反して排水管2の閉塞が開口され、排水を下流側に流下させることができる。
【0020】
上記排水装置は以下のような排水の流れとなる。
槽体1内に排水が発生すると、槽体1底部の排水口12から排水口12に接続された排水管2へと排水される。排水管2内の排水は絞り機構5の入り口円筒部51を介して入り口円錐管52内に流入する。そしてスロート部53を通過して出口円錐管54、出口へと排水される。
この絞り機構5に排水が通過する際には以下の作用が発生する。
スロート部53によって排水管2内が一旦縮径することによりスロート部53上流よりスロート部53下流に負圧が発生し、負圧により排水を下流側へと引き込まれ排水流量が結果的に向上する。(ベンチュリ効果)また、排水に負圧が生じる前の初期排水時においては、排水管2の内周に沿うように排水がされても、絞り機構5のスロート部53によって内周から排水管2の中央部分(中心軸部分)に強制的に排水が流下するため、下流に配置されたスイング逆止め弁32の弁体34中央に排水が流下することができる。このスイング逆止め弁32は、アーム部4によってピンと弁体34が常時付勢されている為、弁体34に加わる応力が中央部分のほうが直接的に付勢力に対向できるので、絞り機構5のスロート部53によって、排水は弁体34に対し中心軸付近に流下できるので、弁体34にバランス良く排水が流下することが出来る。従って弁体34の開口/閉口の作動性が非常に優れている。
また、絞り機構5から排水された排水は逆止め弁3であるスイング逆止め弁32に到達する。スイング逆止め弁32に排水が流下し、この排水の圧力によりスイング逆止め弁32の弁体34の着座が解除され、ピンを軸として回動する。弁体34が開口し、スイング逆止め弁32の下流側へと排水が排水される。最終的に排水は排水管2から下水管へと排水される。また、排水が終了すると、スイング逆止め弁32の弁体34が付勢力により再度弁座に着座し排水管2を閉塞することができる。スイング逆止め弁32が閉塞すると排水管2の下水側と室内側は遮断されるので、下水からの臭気や害虫が室内側へと逆流することはない。
【実施例3】
【0021】
以下に第三実施例の排水装置の実施例を、図面を参照しつつ説明する。
本実施例の排水装置は、図5及び図6に示したように、槽体1と、排水口12と、排水管2と、絞り機構5と、逆止め弁3と、から構成される。
槽体1は、本実施例では洗面台のボウルであって、架台等の上に載置される内部に排水を貯水/排水する箱体である。
排水口12は、槽体1底面に開口された孔であって、下方に排水管2が接続される。当該排水口12によって、槽体1内に貯水した排水を槽体1外へ排出することができる。また、排水口12には図示しないが栓体が備えられ、使用者が当該栓体によって排水口12を閉塞/開口することにより槽体1内の貯水/排水をコントロールする。
排水管2は、前記排水口12に接続される管体であって、最終的には床下の下水管へと接続される管体である。尚、当該排水管2内には、後述する逆止め弁3を配置構成する。
絞り機構5は、ノズルやフローノズルとよばれる、筒状であって、出口部分に行くにしたがって狭窄する漏斗状の部材を用いる。本実施例ではノズル56と呼ぶ。
絞り機構5のノズル56は、入り口円錐管52、スロート部53、によって構成される。
入り口円錐管52は、ノズル56の入り口から続いて形成される角度のある傾斜面を備えた円錐管形状となっている箇所である。後述のスロート部53まで狭窄するように連続する。当該角度は下流に向かう程縮径するように構成される。
スロート部53は、排水管2の内周面の通水面積を中心軸方向に縮めた円筒状の箇所であって、排水管路の通水面積の最小断面部分である。このスロート部53は、入り口円錐管52から連続して構成され、出口側端部は円筒形状となっている。尚、本実施例では出口側端部は円筒状としているがこの部分を中心軸方向に向かって縮径するように傾斜角度を備えたり、更に逆に外側方向に向かって傾斜する角度を備えても構わない。
また、絞り機構5のノズル56の形状は、断面視漏斗形状となっている。
また、当該絞り機構5によって、排水管2の通水面積を一旦縮小または狭窄することによりスロート部53上流よりスロート部53下流に負圧が発生し、排水を負圧により引き込むことが出来、排水流量が結果的に向上する。また、排水に負圧が生じる前の初期排水時においては、排水管2の内周に沿うように排水がされても、絞り機構5のスロート部53によって内周から排水管2の中央部分(中心軸部分)に強制的に排水が流下するため、下流に配置された逆止め弁3の中央に排水が流下することができる。
逆止め弁3は、本実施例ではリフト逆止め弁31と呼ばれる、弁体34がガイドされることによって弁座に対し垂直に当接し作動する逆止め弁3を使用する。
当該リフト逆止め弁31は、排水管2の管路途中に弁座面を構成し、当該弁座面中心(管路中心)に軸311を構成し、当該軸311に対して上下動自在に動作するリング状の弁体34を軸311外周に配置構成する。また、軸311下端には弁止めを構成し、弁止めと弁体34の間には、常時弁体34が上方向(弁体34が閉塞する方向)に付勢するスプリング312を配置している。このスプリング312により、弁体34は常時弁座面に着座して排水管2を閉塞する。そして、上流から排水が流下した場合には、排水の圧力により弁体34に負荷が加わり、弁体34に向けられたスプリング312の付勢力に対向して弁体34が下降することができる。弁体34が下降すると弁座が開口するので排水が弁体34より下流に排水することができる。また、排水が終了すると、弁体34に対して応力が無くなるので弁体34に向けられたスプリング312の付勢力により弁体34が上昇し、弁座面に着座する。そうすると排水管2は弁体34によって閉塞されるので、排水管2の下水からの臭気や害虫が室内側へ逆流することがない。また、弁体34が開口中(つまり排水中)に下流から排水が逆流しても、背圧により弁体34が弁座に圧着するため逆流水が室内側へ逆流する事もない。
【0022】
上記排水装置は以下のような排水の流れとなる。
槽体1内に排水が発生すると、槽体1底部の排水口12から排水口12に接続された排水管2へと排水される。排水管2内の排水は絞り機構5のノズル56入り口に流入する。そしてスロート部53を通過して出口からノズル56外へと排水される。
この絞り機構5に排水が通過する際には以下の作用が発生する。
スロート部53によって排水管2内が一旦縮径することによりスロート部53上流よりスロート部53下流に負圧が発生し、負圧により排水を下流側へと引き込まれ排水流量が結果的に向上する。(ベンチュリ効果)また、排水に負圧が生じる前の初期排水時においては、排水管2の内周に沿うように排水がされても、絞り機構5のスロート部53によって内周から排水管2の中央部分(中心軸部分)に強制的に排水が流下するため、下流に配置されたリフト逆止め弁31の弁体34中央に排水が流下することができる。このリフト逆止め弁31は、弁軸311下端から弁体34までスプリング312によって弁体34が常時閉塞する方向に付勢されている為、弁体34に加わる応力が中央部分のほうが直接的に付勢力に対向できるので、絞り機構5のスロート部53によって、排水は弁体34に対し中心軸付近に流下できるので、弁体34にバランス良く排水が流下することが出来る。従って弁体34の開口/閉口の作動性が非常に優れている。また、軸311が排水管2に対して中央に配置され、スプリング312も軸311に対して中央に配置されているので、排水の応力がより強くスプリング312に働きかけることができるので更に弁の作動性が良くなる。
また、絞り機構5から排水された排水は逆止め弁3であるリフト逆止め弁31に到達する。リフト逆止め弁31に排水が流下し、この排水の圧力によりリフト逆止め弁31の弁体34の着座が解除され、軸311を軸として下降する。そうすると排水管2が開口し、リフト逆止め弁31の下流側へと排水が排水される。最終的に排水は排水管2から下水管へと排水される。また、排水が終了すると、リフト逆止め弁31の弁体34が付勢力により再度弁座に着座し排水管2を閉塞することができる。リフト逆止め弁31が閉塞すると排水管2の下水側と室内側は遮断されるので、下水からの臭気や害虫が室内側へと逆流することはない。
【0023】
本発明は前記した実施例のほか、特許請求の範囲を越えない範囲で適宜変更は可能である。
例えば、前記実施例の排水装置では排水管2を側面方向に屈曲して構成しているが、適宜直管等の配管にしてもかまわない。
また、前記実施例の排水装置は洗面ボウルに使用されているが、台所やフロ等の排水管2に使用されてもかまわない。
また、図7に示したように、絞り機構5の形状を、断面視上流側の傾斜面及び下流側の傾斜面が等辺となる略二等辺三角形形状としてもかまわない。
また、図8に示したように、絞り機構5の形状を、断面視略直角三角形の形状とし、且つ下流側に斜面が構成されてもかまわない。
また、図9に示したように、絞り機構5の形状を、断面視略直角三角形の形状とし、且つ上流側に斜面が構成されてもかまわない。
また、図10に示したように、絞り機構5の形状を、断面視上流側の傾斜面の角度が下流側の傾斜面の角度よりも小さい角度の形状としてもかまわない。
また、図11に示したように、絞り機構5の形状は山形状であっても、断面視が絞り機構5の入り口からスロート部53まで盛り上がるような傾斜で連続するように構成しても構わない。
また、図12に示したように、絞り機構5の形状は山形状であっても、断面視が絞り機構5の入り口からスロート部53までえぐれた形の傾斜で連続するように構成しても構わない。
また、前記実施例では入り口円筒部51を構成したが、特に構成しなくてもかまわない。
また、前記実施例では出口に円筒部(出口円筒部55)を構成していないが、図7乃至図12に記載しているように構成しても良い。この出口円筒部55は、出口円錐管54より続いて、排水管2内周とほぼ同径とした円筒管部分である。
【符号の説明】
【0024】
1 槽体
12 排水口
2 排水管
3 逆止め弁
31 リフト逆止め弁
311 軸
312 スプリング
32 スイング逆止め弁
33 自己封鎖弁
331 開口部
34 弁体
4 アーム部
5 絞り機構
51 入り口円筒部
52 入り口円錐管
53 スロート部
54 出口円錐管
55 出口円筒部
56 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14