(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0017】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図1乃至
図3に示した、本発明の第一実施例の逆流防止弁を備えた配管構造は、以下に記載する、洗面台Sと、管体Tや逆流防止弁1等からなる配管部材と、その他の部材より構成されてなる。
洗面台Sは、床面上に設置され、内部に配管部材を配置するキャビネット部Cと、該キャビネット部Cの上方に配置される、上方が開口した槽体であって、底面に、内部に溜めた排水を排出するための洗面排水口S1を備えた洗面ボウルSBと、から構成されてなる。
配管部材は、洗面ボウルSB内に生じた排水を、下水側の配管に接続するための部材であって、以下に記載する管体T、アダプター部材3、逆流防止弁1、等より構成される。
管体Tは、洗面台Sの洗面ボウルSBより生じた排水を、下水側の配管に接続するための円筒状の部材であって、直線状の直管や、角度を持って屈曲したエルボ管、また下記に詳述する取出口付き継手管6等の種類がある。これらは硬質樹脂、または金属材などから構成され、ナット部材や、接着剤などを利用して接続される。
取出口付き継手管6は、管体Tの一種であって、略円筒形状であって、上方に取出口6aを、上方側面と下端とに他の配管部材(管体T)との接続用の管体部分8を、それぞれ備えてなる。尚取出口6aの内側面には、後述するアダプター部材3の回転ロック式嵌合部4と嵌合する突起部9を備えてなる。
アダプター部材3は、略円筒形状の配管部材であって、円筒形状の部材の側面から下端に向かって、アダプター部材3内部に流体(本実施例の場合排水)が通過する流路部3bを備えてなる。流路部3bの位置は、アダプター部材3を取出口付き継手管6の内部に配置した時、
図1乃至
図2のように、取出口付き継手管6の側面の管体部分8に、流路部3bの上流の端部が合致するように構成されてなる(後述する回転ロックが適正に行われた場合に、取出口付き継手管6の側面の管体部分8に、流路部3bの上流の端部が合致するように構成されてなる)。また、円筒形状の上端側の端部には、取出口付き継手管6の取出口6aを閉塞する、取っ手(図示せず)を備えた蓋部5を構成してなる。
また、下端側の端部であって、流路部3bの下流側端部の外周部分に、後述する逆流防止弁密閉部1dに密閉的に当接し、嵌合する、側面方向に向かって凸となるリブ部分を周縁に沿って備えた取付部3aを備えてなる。
尚、アダプター部材3は、蓋部5の下方にて、回転ロック式嵌合部4を備えてなり、アダプター部材3を取出口付き継手管6内に配置した後、アダプター部材3をある程度回転させることで、回転ロック式嵌合部4と突起部9を嵌合させ、アダプター部材3を取出口付き継手管6内に固定することができる。
逆流防止弁1は、配管構造の内部に配置固定される、シリコンゴムなど弾性を有する素材から構成される部材であって、略筒形状にして本体部1aと、本体部1aの上流側の端部に備えた開口部1bと、本体部1aの下流側の端部に備えた、対向する面同士が漸次近接するように設けた傾斜により当接することで閉塞される閉塞部1cと、を備えてなる。
この逆流防止弁1は、上記のように構成したことで、上流側の端部である開口部1bから排水が流入すると、その重量/水圧により、下流側の閉塞部1cが弾性変形し、開口して内部の排水を排出する。排水の排出が完了し、内部の排水の量が減少すると、開口した閉塞部1cが弾性により元の閉塞状態に変形し、閉塞部1cが閉塞する。
下流側から屋内側に臭気や排水、害虫類などが逆流しようとした場合、配管の途中に配置されたこの逆流防止弁1の閉塞部1cが閉塞していることにより、通過することができないため、この逆流防止弁1よりも上流側に逆流することができない。また通気や排水の逆流が生じた場合でも、外周方向から圧力が加えられた場合では、閉塞部1cの対向する面同士がより強く当接するため、閉塞を維持し、下流側から上流側への通過、即ち逆流を防止する。
このように、排水を行う配管構造の内部に配置され、下流側から屋内側への臭気や害虫類の逆流を防止する部材を、排水トラップと呼ぶ。尚、排水トラップは臭気や害虫類の逆流を防止する機能が必須である一方で、排水の逆流に対しては防止する機能が必須では無いが、この第一実施例の排水トラップである逆流防止弁1は、排水などに対しても逆流を防止する機能を有している。
更に本第一実施例の逆流防止弁1には、弾性を有する本体部1aと一体に構成される逆流防止弁密閉部1dが備えられてなる。
該逆流防止弁密閉部1dについて詳述すると、本体部1aの周縁に、周縁に沿って連続して設けられる、断面略コの字形状の部分であって、コの字の開口が内側方向を向いて形成されてなる。このようにコの字形状としたことで、コの字の上側の面と下側の面、即ち対向する面Pが形成されてなる。
また、逆流防止弁密閉部1dの断面視略コの字形状の外周部分に、コの字の外周部分に周縁に沿って連続して設けた凸条からなるアダプター密閉部2を設けてなる。該アダプター密閉部2は、アダプター部材3に取り付けられた逆流防止弁1を、取出口付き継手管6内に配置したとき、アダプター密閉部2の凸条の外側面が、取出口付き継手管6の、内側面であって、上流の管体部分8と下流側の管体部分8の間に配置され、アダプター部材3と、管体である取出口付き継手管6の内部との間で密閉を生じるように構成されてなる。
また、アダプター部材3の蓋部5の周縁に、断面円形の弾性素材をリング状に構成した、Oリング部材Oを備えてなる。このOリング部材Oは、上述した逆流防止弁1の素材に比べ、比較的表面が滑らかで滑り性のよい素材にて構成されてなる。
また、上記洗面台Sが設置される床面の床下空間には、下水側に繋がる、床下配管が備えられてなる。
【0018】
上記した各部材から構成される、洗面台の逆流防止弁を備えた配管構造は、以下のようにして施工され、排水を下水側に排出する。
床面上に、洗面ボウルSB及びキャビネットからなる洗面台Sを設置する。次に、洗面ボウルSBの洗面排水口S1から、下水側の床下配管迄を、管体Tによって配管接続する。この管体Tの配管接続においては、
図1に示したように、洗面ボウルSBの排水口に接続した管体Tに、エルボ管を接続して、一端キャビネット奥側側壁に向かって配管を屈曲させ、更に取出口付き継手管6を介して配管方向を下方に向けた後、直管を利用し床下配管に接続する。接続部分はパッキングを利用したナット締め固定、または接着剤を利用した接着固定で行い、各接続部分を漏水等が生じないように充分な密閉強度にて接続する。また配管接続に際しては、直線状の管体Tをカットすることで位置あわせを行う。
また、アダプター部材3に逆流防止弁1を接続する。この接続においては、逆流防止弁1の逆流防止弁密閉部1dを、アダプター部材3の取付部3aに嵌合させて取り付ける。具体的には、逆流防止弁密閉部1dの断面略コの字形状の部分において、コの字の開口から、コの字の内部に、アダプター部材3の取付部3aのリブ部分を収納するようにして嵌合させることで、アダプター部材3に逆流防止弁1を密閉的に嵌合させ、接続固定する。このように、逆流防止弁密閉部1dのコの字形状において、コの字の上側の面と下側の面、即ち対向する面Pに、アダプター部材3の取付部3aのリブ部分が上下から挟持されるようにして嵌合することで、アダプター部材3と逆流防止弁1の間が密閉的に接続される。
最後に、取出口付き継手管6の取出口6aから、逆流防止弁1を接続したアダプター部材3を挿入し、アダプター部材3を取出口付き継手管6に嵌合固定させる。
この時には、アダプター部材3は、蓋部5の側面に回転ロック式嵌合部4を備えてなり、アダプター部材3を取出口付き継手管6内に配置した後、アダプター部材3をある程度回転させることで、アダプター部材3を取出口付き継手管6内に固定することができる。
この時、逆流防止弁密閉部1dの断面視略コの字形状の外周部分に設けたアダプター密閉部2が、取出口付き継手管6の内面に、周縁に沿って連続して当接し、上流の管体部分8と下流側の管体部分8の間に配置され、逆流防止弁1を介して、アダプター部材3と取出口付き継手管6の内部との間で密閉を生じる。これにより、逆流防止弁1の外部と管体Tの内部との間で密閉が達成され、逆流防止弁1の上流側と下流側の間で、逆流防止弁1の閉塞部1cが閉塞されている状態において、流体である排水の通過が生じないようにすることができる。
また、蓋部5により取出口6aが閉塞され密閉される。この蓋部5の側面には、Oリング部材Oが備えられており、このOリング部材Oを介して蓋部5外側面と取出口6aの内周縁が当接することで、取出口6aが水密的に閉塞され密閉される。尚、上述のように、このOリング部材Oは、逆流防止弁1の素材に比べ、比較的表面が滑らかで滑り性のよい素材にて構成されてなるため、アダプター部材3を回転ロックによって嵌合させる際に、摩擦の程度が低くなり作業性が良くなる。
【0019】
上記のように構成した洗面台Sの配管構造では、下水側の臭気や害虫類は、
1.排水が無い状態では逆流防止弁1の閉塞部1cは閉塞しており、逆流防止弁1の閉塞部1cを通過して下流側から上流側(屋内側)に逆流することはできない。
2.逆流防止弁1とアダプター部材3との間は、逆流防止弁密閉部1dと取付部3aとが嵌合していることと、取付部3aと逆流防止弁1の本体部1aに由来する弾性を備えた逆流防止弁密閉部1dとが水密的に当接することから、密閉されており、逆流防止弁1とアダプター部材3との間を通過して下流側から上流側(屋内側)に逆流することはできない。
3.管体T内面とアダプター部材3との間は、逆流防止弁1に設けたアダプター密閉部2が管体T内面に当接していることと、逆流防止弁1の本体部1aに由来する弾性を備えたアダプター密閉部2が、管体T内面と水密的に当接することから、密閉されており、アダプター部材3と管体T内面の間を通過して下流側から上流側(屋内側)に逆流することはできない。
また通気や排水の逆流が生じた場合でも、外周方向から圧力が加えられた場合では、閉塞部1cの対向する面同士がより強く当接するため、閉塞を維持し、下流側から上流側への通過、即ち逆流を防止する。
このようにして、配管構造内に配置された逆流防止弁1の上流側と下流側は、配管構造内を流体が上流から下流側へ適切に通過している状態以外の時は、逆流防止弁1の密閉により区画されている。
【0020】
洗面ボウルSB内部に排水が生じると、排水は、洗面排水口S1から、管体Tを介し、側面の管体部分8から取出口付き継手管6の内部に流入し、逆流防止弁1内部に溜まる。
逆流防止弁1内部に溜まった排水の重量/水圧により、逆流防止弁1の閉塞部1cは、弾性変形を生じて開口されるため、内部の排水が排出され、そのまま排水は取出口付き継手管6の下流側の管体部分8から、管体Tを介して下水側である床下配管に排出される。排水の排出が終了し、逆流防止弁1内部の排水が失われると、排水の重量/圧力が無くなったことで、閉塞部1cは再び弾性変形し、閉塞部1cを閉塞して、排水が完了する。
このように、本実施例の逆流防止弁1は、排水を上流側から下流側に排出することが可能である一方で、下流側から上流側(屋内側)への臭気や害虫類(及び排水)の逆流を防止する機能を有することから、排水トラップとして機能する。
【0021】
また、長期間の使用により、逆流防止弁1や配管構造内に塵芥などが堆積した場合、アダプター部材3と取出口付き継手管6との嵌合を解除し、アダプター部材3を管体である取出口付き継手管6の上端に設けた取出口6aから取り出すことで、逆流防止弁1やアダプター部材3の清掃を行うことができる。また、配管構造内部に塵芥等が溜まって管詰まりを生じた場合等は、アダプター部材3を取り出した後、取出口6aから高圧洗浄器やカンツール機など、管体Tの清掃器具を配管構造内部に挿通して、管詰まりを解消することができる。
【0022】
次に、本発明の第二実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図4乃至
図6に示した、本発明の第二実施例の逆流防止弁を備えた配管構造は、以下に記載する、浴槽Bと、洗い場パンWと、管体Tや逆流防止弁1等からなる配管部材と、その他の部材より構成されてなる。
浴槽Bは、上方が開口した槽体であって、底面に、内部に溜めた浴湯を排出するための浴槽排水口B1を備えてなる。
洗い場パンWは、浴室の使用者が身体を洗うなどする、浴槽Bに隣接して備えられた防水パンであって、底面に洗い場パンW上の排水を排出するための洗い場パン排水口W1を備えてなる。
配管部材は、浴槽B内の排水や、洗い場パンW上に生じた排水を、浴槽排水口B1また洗い場排水口を介して下水側の配管に接続するための部材であって、以下に記載する管体T、アダプター部材3、逆流防止弁1、等より構成される。
管体Tは、洗面台Sの洗面ボウルSBより生じた排水を、下水側の排水主管に接続するための円筒状の部材であって、直線状の直管や、角度を持って屈曲したエルボ管、また下記に詳述する流入口付き継手管7等の種類がある。これらは硬質樹脂、または金属材などから構成され、ナット部材や、接着剤などを利用して接続される。
流入口付き継手管7は、管体Tの一種であって、略円筒形状であって、上方に流入口7aを、側面の対向位置に、上下に分かれるようにして他の配管部材(管体T)との接続用の管体部分8を、それぞれ備えてなる。また、流入口7aは洗い場排水口に対して水密的に接続可能に構成されてなる。尚流入口7aの内側面には、後述するアダプター部材3の回転ロック式嵌合部4と嵌合する突起部9を備えてなる。
アダプター部材3は、略円筒形状の部材であって、円筒形状の上端から下端に向かって、アダプター部材3内部に流体(本実施例の場合排水)が通過する流路部3bを備えてなる。
また、下流側の端部であって、流路部3bの下流側端部の外周部分に、逆流防止弁密閉部1dに密閉的に当接し、嵌合する、取付部3aを備えてなる。
取付部3aについて詳述すると、流路部3bの下流側端部の外周部分に、周縁に沿って連続して設けられる、断面略コの字形状の部分であって、コの字の開口が外側方向を向いて形成されてなる。このようにコの字形状としたことで、コの字の上側の面と下側の面、即ち対向する面Pが形成されてなる。
尚、アダプター部材3は、側面部分にて、回転ロック式嵌合部4を備えてなり、アダプター部材3を流入口付き継手管7内に配置した後、アダプター部材3をある程度回転させることで、回転ロック式嵌合部4と突起部9を嵌合させ、アダプター部材3を流入口付き継手管7内に固定することができる。
逆流防止弁1は、配管構造の内部に配置固定される、シリコンゴムなど弾性を有する素材から構成される部材であって、略筒形状にして本体部1aと、本体部1aの上流側の端部に備えた開口部1bと、本体部1aの下流側の端部に備えた、対向する面同士が漸次近接するように設けた傾斜により当接することで閉塞される閉塞部1cと、を備えてなる。
この逆流防止弁1は、上記のように構成したことで、上流側の端部である開口部1bから排水が流入すると、その重量/水圧により、下流側の閉塞部1cが弾性変形し、開口して内部の排水を排出する。排水の排出が完了し、内部の排水の量が減少すると、開口した閉塞部1cが弾性により元の閉塞状態に変形し、閉塞部1cが閉塞する。
下流側から屋内側に臭気や排水、害虫類などが逆流しようとした場合、配管の途中に配置されたこの逆流防止弁1の閉塞部1cが閉塞していることにより、通過することができないため、この逆流防止弁1よりも上流側に逆流することができない。また通気や排水の逆流が生じた場合でも、外周方向から圧力が加えられた場合では、閉塞部1cの対向する面同士がより強く当接するため、閉塞を維持し、下流側から上流側への通過、即ち逆流を防止する。
このように、排水を行う配管構造の内部に配置され、下流側から屋内側への臭気や害虫類の逆流を防止する部材を、排水トラップと呼ぶ。尚、排水トラップは臭気や害虫類の逆流を防止する機能が必須である一方で、排水の逆流に対しては防止する機能が必須では無いが、この第二実施例の排水トラップである逆流防止弁1は、排水などに対しても逆流を防止する機能を有している。
更に本第二実施例の逆流防止弁1には、弾性を有する本体部1aと一体に構成される逆流防止弁密閉部1dが備えられてなる。
該逆流防止弁密閉部1dについて詳述すると、本体部1aの内周縁に、内周縁に沿って連続して設けられるリブ部分であって、取付部3aのコの字の内部に嵌合するように形成されてなる。
また、逆流防止弁密閉部1dの外周部分に、周縁に沿って連続して設けた凸条からなるアダプター密閉部2を設けてなる。該アダプター密閉部2は、アダプター部材3に取り付けられた逆流防止弁1を、流入口付き継手管7内に配置したとき、アダプター密閉部2の凸条の外側面が、流入口付き継手管7の、内側面であって、上流の管体部分8と下流側の管体部分8の間に配置され、アダプター部材3と、管体である流入口付き継手管7の内部との間で密閉を生じるように構成されてなる。
【0023】
上記の各部材から構成される浴槽・浴室の逆流防止弁1を備えた配管構造は、以下のようにして施工され、排水を下水側に排出する。
洗い場排水口に、流入口付き継手管7の流入口7aを接続固定する。次に、流入口付き継手管7の上流側の管体部分8を浴槽排水口B1に、下流側の管体部分8を下水側の配管に、それぞれ管体Tによって配管接続する。管体Tの接続部分はパッキングを利用したナット締め固定、または接着剤を利用した接着固定で行い、各接続部分を漏水等が生じないように充分な密閉強度にて接続する。また配管接続に際しては、直線状の管体Tをカットすることで位置あわせを行う。
また、アダプター部材3に逆流防止弁1を接続する。この接続においては、逆流防止弁1の逆流防止弁密閉部1dを、アダプター部材3の取付部3aに嵌合させて取り付ける。具体的には、配管部材であるアダプター部材3の取付部3aの断面略コの字形状の部分において、コの字の開口から、コの字の内部に、逆流防止弁1の逆流防止弁密閉部1dのリブ部分を収納するようにして嵌合させることで、アダプター部材3に逆流防止弁1を密閉的に嵌合させ、接続固定する。このように、取付部3aのコの字形状において、コの字の上側の面と下側の面、即ち対向する面Pに、逆流防止弁1の逆流防止弁密閉部1dのリブ部分が、上下から挟持されるようにして嵌合することで、アダプター部材3と逆流防止弁1の間が密閉的に接続される。
最後に、流入口付き継手管7の流入口7aから、逆流防止弁1を接続したアダプター部材3を挿入し、アダプター部材3を流入口付き継手管7に嵌合固定させる。
この時には、アダプター部材3は、アダプター部材3の側面にて、回転ロック式嵌合部4を備えてなり、アダプター部材3を流入口付き継手管7内に配置した後、アダプター部材3をある程度回転させることで、アダプター部材3を流入口付き継手管7内に固定することができる。
また、逆流防止弁密閉部1dの外周部分に設けたアダプター密閉部2が、流入口付き継手管7の内面に、周縁に沿って連続して当接し、上流の管体部分8と下流側の管体部分8の間に配置され、逆流防止弁1を介して、アダプター部材3と流入口付き継手管7の内部との間で密閉を生じる。これにより、逆流防止弁1の外部と管体Tの内部との間で密閉が達成され、逆流防止弁1の上流側と下流側の間で、逆流防止弁1の閉塞部1cが閉塞されている状態において、流体である排水の通過が生じないようにすることができる。
【0024】
上記のように構成した浴槽・浴室の配管構造では、下水側の臭気や害虫類は、
1.排水が無い状態では逆流防止弁1の閉塞部1cは閉塞しており、逆流防止弁1の閉塞部1cを通過して下流側から上流側(屋内側)に逆流することはできない。
2.逆流防止弁1とアダプター部材3との間は、逆流防止弁密閉部1dと取付部3aとが嵌合していることと、取付部3aと逆流防止弁1に由来する弾性を備えた逆流防止弁密閉部1dとが水密的に当接することから、密閉されており、逆流防止弁1とアダプター部材3との間を通過して下流側から上流側(屋内側)に逆流することはできない。
3.管体T内面とアダプター部材3との間は、逆流防止弁1に設けたアダプター密閉部2が管体T内面に当接していることと、逆流防止弁1の本体部1aに由来する弾性を備えたアダプター密閉部2が、管体T内面と水密的に当接することから、密閉されており、アダプター部材3と管体T内面の間を通過して下流側から上流側(屋内側)に逆流することはできない。
また通気や排水の逆流が生じた場合でも、外周方向から圧力が加えられた場合では、閉塞部1cの対向する面同士がより強く当接するため、閉塞を維持し、下流側から上流側への通過、即ち逆流を防止する。
このようにして、配管構造内に配置された逆流防止弁の上流側と下流側は、配管構造内を流体が上流から下流側へ適切に通過している状態以外の時は、逆流防止弁の密閉により区画されている。
【0025】
浴槽排水口B1上に排水が生じると、排水は、浴槽排水口B1から、管体Tを介し、側面の管体部分8から流入口付き継手管7の内部に流入し、逆流防止弁1内部に溜まる。
逆流防止弁1内部に溜まった排水の重量/水圧により、逆流防止弁1の閉塞部1cは、弾性変形を生じて開口されるため、内部の排水が排出され、そのまま排水は流入口付き継手管7の下流側の管体部分8から、管体Tを介して下水側の配管に排出される。排水の排出が終了し、逆流防止弁1内部の排水が失われると、排水の重量/圧力が無くなったことで、閉塞部1cは再び弾性変形し、閉塞部1cを閉塞して、排水が完了する。
また、洗い場パンW上に排水が生じると、排水は、洗い場パン排水口W1から、流入口7aを介し、流入口付き継手管7の内部に流入し、逆流防止弁1内部に溜まる。以下は浴槽排水口B1からの排水と同様の手順にて排水が行われ、洗い場パンW上に生じた排水の排水が完了する。
このように、本実施例の逆流防止弁1は、排水を上流側から下流側に排出することが可能である一方で、下流側から上流側(屋内側)への臭気や害虫類の逆流を防止する機能を有することから、排水トラップとして機能する。
【0026】
また、長期間の使用により、逆流防止弁1や配管構造内に塵芥などが堆積した場合、アダプター部材3と流入口付き継手管7との嵌合を解除し、アダプター部材3を管体である流入口付き継手管7の上端に設けた流入口7aから取り出すことで、逆流防止弁1やアダプター部材3の清掃を行うことができる。また、配管構造内部に塵芥等が溜まって管詰まりを生じた場合等は、アダプター部材3を取り出した後、流入口7aから高圧洗浄器やカンツール機など、管体Tの清掃器具を配管構造内部に挿通して、管詰まりを解消することができる。
【0027】
次に、本発明の第三実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図7乃至
図9に示した、本発明の第三実施例の逆流防止弁1を備えた配管構造は、以下に記載する、換気ファンFと、管体T等からなる配管部材(換気ダクト管)と、その他の部材より構成されてなる。
換気ファンFは屋内と屋外との間で通気を行うための、空気の流れを生じさせる部材である。本実施例では屋内から屋外へ通気を行うために、屋内から屋外に向かって空気の流れを生じさせる(従って、屋内側が上流、屋外側が下流となる)。
配管部材は、屋内と屋外との間で通気を行うための、換気ファンFから屋外側への空気の流れを導くための部材であって、以下に記載する管体T、アダプター部材3、逆流防止弁1等より構成される。
管体Tは、内部に空気が流れる、アルミニウム等の金属材によって構成される筒状の部材であって、直線状の直管や、角度を持って屈曲したエルボ管、また下記に詳述する取出口付き継手管6等の種類がある。これらの管体Tは、ビスとナット部材などを利用して接続し、換気ファンFから目的とする部屋(又は位置)までつり下げ金具Kなどを利用し、天井につり下げるようにして配管する。
取出口付き継手管6は、管体Tの一種であって、略円筒形状であって、側面に取出口6aを、円筒の両端に他の配管部材(管体T)との接続部分を、それぞれ備えてなる。また、取出口6aを閉塞する蓋部5を備えてなる。
アダプター部材3は、略円筒形状の部材であって、円筒形状の部材の両端に、アダプター部材3内部に流体(本実施例の場合空気)が通過する流路部3bを備えてなる。
また、下流側の端部であって、流路部3bの下流側端部の外周部分に、逆流防止弁密閉部1dに密閉的に当接し、嵌合する、断面凹形状に屈曲する事で、上流方向に向かって凸となるリブ部分を周縁に沿って備えた取付部3aを備えてなる。
逆流防止弁1は、配管構造の内部に配置固定される、シリコンゴムなど弾性を有する素材から構成される部材であって、略筒形状にして本体部1aと、本体部1aの上流側の端部に備えた開口部1bと、本体部1aの下流側の端部に備えた、対向する面同士が漸次近接するように設けた傾斜により当接することで閉塞される閉塞部1cと、を備えてなる。
更に本第三実施例の逆流防止弁1には、弾性を有する本体部1aと一体に構成される逆流防止弁密閉部1dが備えられてなる。
該逆流防止弁密閉部1dについて詳述すると、本体部1aの内周縁に、内周縁に沿って連続して設けられる、断面略コの字形状の部分であって、コの字の開口が下流側方向を向いて形成されてなる。このようにコの字形状としたことで、コの字の上側の面と下側の面、即ち対向する面Pが形成されてなる。
また、逆流防止弁密閉部1dの断面視略コの字形状の外周部分に、コの字の外周部分に周縁に沿って連続して設けた凸条からなるアダプター密閉部2を設けてなる。該アダプター密閉部2は、アダプター部材3に取り付けられた逆流防止弁1を、取出口付き継手管6内に配置したとき、アダプター密閉部2の凸条の外側面が、取出口付き継手管6の、内周面であって、アダプター部材3と、管体である取出口付き継手管6の内部で密閉を生じるように構成されてなる。
この逆流防止弁1は、上記のように構成したことで、換気ファンF等を作動させる事などで上流側の端部である開口部1bから正圧を作用されるか、または下流側から負圧が作用されるかして、下流側に比べ上流側の圧力が増大すると、その圧力差により、下流側の閉塞部1cが弾性変形し、開口して上流側から下流側へ内部の空気を通気させる。換気ファンFが停止する等して上流側と下流側の気圧差が無くなると、開口した閉塞部1cが弾性により元の閉塞状態に変形し、閉塞部1cが閉塞する。
上流側に比べ下流側の圧力が増大した場合、外周方向から圧力が加えられる事となり、閉塞部1cの対向する面同士がより強く当接するため、閉塞を維持し、下流側から上流側への通過、即ち逆流を防止する。
また、逆流防止弁密閉部1dの外周部分に、周縁に沿って連続して設けた凸条からなるアダプター密閉部2を設けてなる。該アダプター密閉部2は、アダプター部材3に取り付けられた逆流防止弁1を、取出口付き継手管6内に配置したとき、アダプター密閉部2の凸条の外側面が、取出口付き継手管6の、アダプター部材3と、管体である取出口付き継手管6の内部との間で密閉を生じるように構成されてなる。
【0028】
上記の各部材から構成される換気ファンFの逆流防止弁を備えた配管構造は、以下のようにして施工され、屋内から屋外への通気(換気)を行う。
建物の、屋外に面した位置の開口に、換気ファンFを設置する。
次に、換気を行う対象の部屋(位置)から、換気ファンF迄を、つり下げ金具K等を利用しつつ、途中に取出口付き継手管6を介して、配管接続する。接続部分はビスとナット部材等を利用したナット締め固定等で行い、各接続部分を通気洩れが生じないように充分な密閉強度にて接続する。
また、アダプター部材3に逆流防止弁1を接続する。この接続においては、逆流防止弁1の逆流防止弁密閉部1dを、アダプター部材3の取付部3aに嵌合させて取り付ける。具体的には、逆流防止弁密閉部1dの断面略コの字形状の部分において、コの字の開口から、コの字の内部に、アダプター部材3の取付部3aのリブ部分を収納するようにして嵌合させることで、アダプター部材3に逆流防止弁1を接続固定する。このように、逆流防止弁密閉部1dのコの字形状において、コの字の内側の面と外側の面、即ち対向する面Pに、アダプター部材3の取付部3aのリブ部分が内側と外側から挟持されるようにして嵌合することで、アダプター部材3と逆流防止弁1の間が密閉的に接続される。
最後に、取出口付き継手管6の取出口6aから、逆流防止弁1を接続したアダプター部材3を挿入し、アダプター部材3を取出口付き継手管6に嵌合固定させる。
この時には、取出口6aからアダプター部材3を挿入し、取出口6よりも下流の、管体Tの内側面に開口が無い部分にスライドさせる。この時、逆流防止弁密閉部1dの断面視略コの字形状の外周部分に設けたアダプター密閉部2が、管体Tの内側面に、周縁に沿って連続して当接し、逆流防止弁1を介して、アダプター部材3と取出口付き継手管6の内部との間で密閉を生じる。
これにより、逆流防止弁1の外周と管体である取出口付き継手管6の内周との間で密閉が達成され、逆流防止弁1の上流側と下流側の間で、逆流防止弁1の閉塞部1cが閉塞されている状態において、流体である空気の通過が生じないようにすることができる。
最後に、蓋部5により取出口6aを閉塞して、建物の換気の為の換気ファンの、逆流防止弁を備えた配管構造の施工が完了する。
【0029】
上記のように構成した換気ファンFの配管構造では、
1.通気が無い状態では逆流防止弁1の閉塞部1cは閉塞しており、逆流防止弁1の閉塞部1cを通過して下流側(屋外側)から上流側(屋内側)に空気が逆流することはない。
2.逆流防止弁1とアダプター部材3との間は、逆流防止弁密閉部1dと取付部3aとが嵌合していることと、逆流防止弁1の本体部1aに由来する弾性により逆流防止弁密閉部1dと取付部3aとが気密的に当接することから、密閉されており、逆流防止弁1とアダプター部材3との間を通過して下流側(屋外側)から上流側(屋内側)に空気が逆流することはない。
3.管体T内面とアダプター部材3との間は、逆流防止弁1に設けたアダプター密閉部2が管体T内面に当接していることと、逆流防止弁1の本体部1aに由来する弾性によりアダプター密閉部2が管体T内面と逆流防止弁1を介して気密的に当接することから、密閉されており、逆流防止弁1とアダプター部材3との間を通過して下流側(屋外側)から上流側(屋内側)に空気が逆流することはない。
このようにして、配管内に配置された逆流防止弁1の上流側(屋内側)と下流側(屋外側)は、配管内を空気が上流側(屋内側)から下流側(屋外側)へ適切に通過している状態以外の時は、逆流防止弁1の密閉により区画されている。
【0030】
換気ファンFを作動させ、屋外に向けて気体の排気を行うと、配管の逆流防止弁1よりも下流側の気圧は上流側の気圧に比較して低くなり、逆流防止弁1の下流側の方が、上流側に比べて負圧(低圧)になる。このように、下流側に比べ上流側の圧力が増大すると、その圧力差により、逆流防止弁1の閉塞部1cは、弾性変形を生じて開口されて気圧の高い上流側(屋内側)から気圧の低い下流側(屋外側)に通気を生じる。換気ダクトを停止させるなどにより、逆流防止弁1の上流側(屋内側)と下流側(屋外側)との気圧差が解消されると、閉塞部1cは再び弾性変形し、閉塞部1cを閉塞して、通気が終了する。
【0031】
換気ダクトが動作していない状態(または換気ダクトにより生じる空気の流れが充分でない場合)において、上流側に比べ下流側の圧力が増大した場合、外周方向から圧力が加えられる事となり、閉塞部1cの対向する面同士がより強く当接するため、閉塞を維持する。
また、アダプター密閉部2、管体T内面、逆流防止弁1の間も密閉されて通気が生じないように構成されていることから、下流側(屋外側)から上流側(屋内側)に空気が逆流を生じることはない。
【0032】
また、長期間の使用により、逆流防止弁1等が劣化する等して、メンテナンスが必要になった場合、蓋部5による取出口6aの閉塞を解除し、アダプター部材3と取出口付き継手管6との嵌合を解除し、アダプター部材3を取出口6aから取り出すことで、逆流防止弁1やアダプター部材3の清掃/交換を行うことができる。
【0033】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば上記第一実施例、第二実施例においては、配管構造は排水機器の排出を行う排水配管に対応するものであるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、給水管に対して行う配管構造に採用してももちろん構わない。
また、上記各実施例では、アダプター部材3を採用した場合、アダプター密閉部2を、逆流防止弁1の逆流防止弁密閉部1dの外側面に、凸条として設けているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、逆流防止弁1上であれば、どの位置に構成しても構わないし、また、
図10に示したように管体Tの内面の傾斜面や、
図11に示したように管体Tの内面の段部に当接するように構成しても構わない。また、
図10や
図11の実施例のように、適切に当接するので有れば、必ずしも凸条を必要とするものでもない。