特許第6194447号(P6194447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6194447折り鶴用折紙、及び、折り鶴用折紙の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6194447
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】折り鶴用折紙、及び、折り鶴用折紙の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/16 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   A63H33/16 D
   A63H33/16 B
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-243609(P2016-243609)
(22)【出願日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年12月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516378493
【氏名又は名称】藏町 紀隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】藏町 紀隆
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−005198(JP,U)
【文献】 米国特許第04925429(US,A)
【文献】 特開2007−328119(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3193977(JP,U)
【文献】 特開2016−194695(JP,A)
【文献】 特開2004−147892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の紙素材を折り曲げ部分を介して折り曲げることで折り鶴を組み立てられる折り鶴用折紙であって、
前記折り鶴の一部を構成する羽根部分、尾部分及び首部分と、
前記羽根部分、尾部分及び首部分の根元となる根元部分と、
を有し、
前記根元部分は、前記折り鶴の一部を構成する背中部分と、前記折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部と、を有し、
前記接合部は、前記折り鶴の組み立て後に前記背中部分の外周を囲むように接合されて組み立て後の前記折り鶴の形態を維持することを特徴とする、折り鶴用折紙。
【請求項2】
前記羽根部分、前記尾部分、前記首部分及び前記根部分の少なくともいずれかに、前記紙素材を部分的に切り抜いた切り抜き模様加工が施されていることを特徴とする、請求項1に記載の折り鶴用折紙。
【請求項3】
前記接合部には切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の上下方向の組み合わせにより、前記折り鶴の組み立て後の形態が維持されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の折り鶴用折紙。
【請求項4】
前記接合部には差込部と被差込部が形成され、前記差込部と前記被差込部の左右方向の組み合わせにより、前記折り鶴の組み立て後の形態が維持されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の折り鶴用折紙。
【請求項5】
前記折り曲げ部分に窪み加工が施されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の折り鶴用折紙。
【請求項6】
一枚の紙素材を折り曲げ部分を介して折り曲げることで折り鶴を組み立てられる折り鶴用折紙を製造する方法であって、
前記折り鶴用折紙は、
前記折り鶴の一部を構成する羽根部分、尾部分及び首部分と、
前記羽根部分、尾部分及び首部分の根元となる根元部分と、
を有し、
前記根元部分は、前記折り鶴の一部を構成する背中部分と、前記折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部と、を有し、
前記接合部は、前記折り鶴の組み立て後に前記背中部分の外周を囲むように接合されて組み立て後の前記折り鶴の形態を維持するものであり、
前記羽根部分、尾部分及び首部分の少なくともいずれかに、前記紙素材を部分的に切り抜いた切り抜き模様加工が施されており、
前記折り曲げ部分に窪み加工が施されているものであり、
前記窪み加工、前記切り抜き模様加工及び前記折り鶴用折紙の外周を切り抜く加工が、レーザーカットにより行われることを特徴とする、折り鶴用折紙の製造方法。
【請求項7】
前記窪み加工、前記切り抜き模様加工及び前記折り鶴用折紙の外周を切り抜く加工が、前記窪み加工、前記切り抜き模様加工、前記折り鶴用折紙の外周を切り抜く加工の順で行われることを特徴とする、請求項6に記載の折り鶴用折紙の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り鶴用折紙とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙製の鶴を作るには、正方形の折紙などの素材を日本古来の折り方で折って、折り鶴としていた。正方形の素材を折るには、複雑に繰り返し折る必要があり、折り方を覚えるのは難しく、本などを見ながら折るのは手間であった。この問題を解決するために、従来、簡略化した異形の折紙素材が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−48998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるような簡略化した異形の素材では、折り曲げによって固定される部分が少なくなるため、完成した折り鶴の形を維持するのが難しかった。完成した折り鶴を接着剤や他の部品で留める方法も考えられるが、コストがかさむとともに手間が掛かるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、折り鶴を簡単に作ることができ、接着剤などを必要とせず折り鶴の形を維持することが可能な、折り鶴用折紙とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、一枚の紙素材を折り曲げ部分を介して折り曲げることで折り鶴を組み立てられる折り鶴用折紙が提供される。本発明の折り鶴用折紙は、羽根部分、尾部分及び首部分と、前記羽根部分、尾部分及び首部分の根元となる根元部分と、を有し、前記根元部分に、前記折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
かかる折り鶴用折紙(折り鶴用シート)によれば、折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部を設けることで、羽根部分、尾部分及び首部分を折り曲げ部(折り曲げ線、折線)を介して折り曲げるだけで、折り鶴を簡単に作ることができ、簡単に折り鶴の形態を維持することが可能である。このような接合部を一枚の紙素材の中に設けたことで、折り鶴の組み立て後に形態を維持するために、接着剤や他の部品を必要としない。またコストも掛からない。このようにして、折り鶴を簡単に作ることができ、接着剤などを必要とせず折り鶴の形を維持することが可能である。
【0008】
本発明は以下のようなさまざまな応用が可能である。以下に説明する本発明の応用例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0009】
例えば、前記羽根部分、前記尾部分、前記首部分及び前記根部分の少なくともいずれかに、前記紙素材を部分的に切り抜いた切り抜き模様加工が施されていてもよい。このような切り抜き模様加工によれば、切り絵のような芸術性の高い折り鶴とすることができる。
【0010】
また、前記接合部には切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の上下方向の組み合わせにより、前記折り鶴の組み立て後の形態が維持されるようにしてもよい。このような切り欠き部を上下方向に組み合わせるだけの簡易な方法により、折り鶴の組み立て後の形態を維持することが可能である。
【0011】
前記接合部には差込部と被差込部が形成され、前記差込部と前記被差込部の左右方向の組み合わせにより、前記折り鶴の組み立て後の形態が維持されるようにしてもよい。このような接合部を左右方向に差し込むだけの簡易な方法により、折り鶴の組み立て後の形態を維持することが可能である。
【0012】
前記折り曲げ部分に窪み加工が施されているようにしてもよい。折り曲げ部分に窪み加工(凹凸加工)を施すことで、折り曲げやすく、美しい折り鶴にすることができる。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の第2の観点によれば、一枚の紙素材を折り曲げ部分を介して折り曲げることで折り鶴を組み立てられる折り鶴用折紙を製造する方法が提供される。本発明の折り鶴用折紙の製造方法において、前記折り鶴用折紙は、羽根部分、尾部分及び首部分と、前記羽根部分、尾部分及び首部分の根元となる根元部分と、を有し、前記根元部分に、前記折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部が設けられているものであり、前記羽根部分、尾部分及び首部分の少なくともいずれかに、前記紙素材を部分的に切り抜いた切り抜き模様加工が施されており、前記折り曲げ部分に窪み加工が施されているものである。そして、前記窪み加工、前記切り抜き模様加工及び前記折り鶴用折紙の外周を切り抜く加工が、レーザーカットにより行われることを特徴とする。
【0014】
かかる製造方法によれば、折り鶴用折紙の製造を1台のレーザーカット装置により一連の工程で行うことができる。このため、各加工部分を正確にきれいに形成できるとともに、厚い紙でも切り抜き模様加工を壊さずに形成できる。さらに、量産ができるなどの優れた効果が得られる。
【0015】
本発明の第2の観点においてもさまざまな応用が可能である。例えば、前記窪み加工、前記切り抜き模様加工及び前記折り鶴用折紙の外周を切り抜く加工を、このとおりの順序、すなわち、前記窪み加工、前記切り抜き模様加工、前記折り鶴用折紙の外周を切り抜く加工の順で行われるようにしてもよい。
【0016】
このような順序でレーザーカット加工を行うことにより、製品の不良を少なくすることができる。すなわち、窪み加工(折り曲げ部分の加工)を最初にするのは、穴の加工(切り抜き模様加工)により生じる穴の切カスが下に落ちないで紙の上に跳ね上がって残ってしまうと、切カスの上を加工することになるからである。また、外周を切り抜く加工を最後にするのは、この加工を先にすると、周りの紙と離れてしまうため、窪み加工(折り曲げ部分の加工)と穴の加工(切り抜き模様加工)の位置がずれる可能性がある。この点、上記の順序でレーザーカット加工を行うことによって、このような不具合が低減し、製品の不良を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、折り鶴を簡単に作ることができ、接着剤などを必要とせず折り鶴の形を維持することが可能である。本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態の折り鶴用折紙を示す図である。
図2】折り方の第1ステップを示す図である。
図3】折り方の第2ステップを示す図である。
図4】折り方の第3ステップを示す図である。
図5】折り方の第4ステップを示す図である。
図6】折り方の第5ステップを示す図である。
図7】完成した折り鶴を示す図である。
図8】第2の実施形態の折り鶴用折紙を示す図である。
図9】完成した折り鶴を示す図である。
図10】第3の実施形態の折り鶴用折紙を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の折り鶴用折紙を示す図である。本実施形態の折り鶴用折紙100は、図1に示したように、基本形に切断されており、折り曲げ部分は曲げ易いように窪み加工(凹凸加工)されている。折り鶴用折紙100は、一枚の紙素材を折り曲げ部分を介して折り曲げることで折り鶴を組み立てられるものである。以下、詳細に説明する。
【0021】
折り鶴用折紙100は、図1に示したように、一枚の紙素材上に、羽根部分110(110a、110b)、尾部分120及び首部分130と、これら部分110〜130の根元となる根元部分140と、を有する。そして、根元部分140に、折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部142が設けられていることを特徴とする。以下、各部分について、さらに詳細に説明する。
【0022】
羽根部分110は、図1に示したように、上部の羽根部分110aと下部の羽根部分110bとからなる。羽根部分110は、後述するように、上部の羽根部分110aと下部の羽根部分110bとが重ねられた後、開いた状態に折られることで、折り鶴の羽根を形成する。
【0023】
尾部分120は、後述するように、2つ折りにされることで、折り鶴の尾を形成する。
【0024】
首部分130は、後述するように、2つ折りにされた後、頂部が折り返されることで、折り鶴の首と口ばしを形成する。
【0025】
根元部分140は、上記の部分110〜130の根(付け根)となる部分である。完成形の折り鶴としては背部分(背中部分)を構成する。根元部分140には、図1に示したように、折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部142(142a、142b、142c、142d)が設けられている。
【0026】
各接合部142には切り欠き加工C1、C2が形成されている。折り曲げ時にこの切り欠き加工C1、C2の組み合わせにより、接合部142が接合される。切り欠き加工C1とC2の違い等については、さらに後述する。
【0027】
以上、折り鶴用折紙100の構成について説明した。
次に、折り鶴用折紙100の折り方について、図2図7を参照しながら説明する。
【0028】
まず、図1の基本形から、図2に示したように、上下方向中心の折り曲げ部分L1を中心に二つ折りに曲げ、羽根部分110a、110bを折り合わせる。図3は、上下方向中心の折り曲げ部分L1を中心に二つ折りに曲げ、羽根部分110a、110bを折り合わせた状態を示す。
【0029】
次に、図3に示したように、尾部分120と首部分130の根元の折り曲げ部分L2とL3を谷折り、折り曲げ部分L4を山折りに曲げる。図4は、尾部分120と首部分130の根元の折り曲げ部分L2とL3を谷折り、折り曲げ部分L4を山折りに曲げた状態を示す。
【0030】
次に、図4に示したように、羽根部分110bの根元の折り曲げ部分L5を谷折りに曲げる。図5は、羽根部分110bの根元の折り曲げ部分L5を谷折りに曲げた状態を示す。
【0031】
次に、図5に示したように、接合部分142a、142b、142c、142dの根元の折り曲げ部分L6を谷折りに曲げ、接合部分142a、142bと、接合部分142c、142dとを接合させる。本実施形態では、接合部分142は、図5に示したように、接合部分142a、142bと、接合部分142c、142dとを、それぞれ上下方向から組み合わせる形状である。これにより、完成後の折り鶴の形が維持できるのである。
【0032】
次に、図5の状態から、図6に示したように、首部分130の折り曲げ部分L7を山折り、折り曲げ部分L8を谷折りして口ばしを形成し、さらに、羽根部分110a、110bの折り曲げ部分L9を山折りに曲げる。
【0033】
以上のようにして、図7に示したように、折り鶴が完成する。なお、以上の折り曲げ順序は一例であり、折り曲げ順序を適宜入れ替えてもよい。例えば、上述した接合部分142の接合は、口ばしと羽根の形成の後に行ってもよい。
【0034】
以上、折り鶴用折紙100の構成と折り方について説明した。
次に、折り鶴用折紙100の製造方法について説明する。
【0035】
図1の折り鶴用折紙100を製造するために、本実施形態では、レーザーカット装置を使用したレーザーカットを行う。レーザーカットによれば、以下のような効果がある。
・レーザーカットにて折り曲げ部分を削って折り曲げやすくなる。
・厚い紙でも穴(切り絵)部分を壊さずに折ることができる。
・レーザーカットなので量産ができる。
【0036】
また、レーザーカットにおいて、折り目加工と切り抜き加工(穴加工)を行うことができる。折り目加工になるか切り抜き加工(穴加工)になるかは、レーザーのパワー(光の強弱)とスピード(遅速)を紙の種類(厚さ・硬さ)ごとにレーザーカット装置への数値入力にて設定することができる。
【0037】
まず、図1に示した折り鶴用折紙100を作成するために十分な大きさの紙素材を用意する。本実施形態において、レーザーカットを行う箇所は、折り曲げ部分L1〜L9と外周である。まず、折り曲げ部分L1〜L9の加工を行う。その後に、外周を切り抜いて、図1に示した折り鶴用折紙100を製造することができる。
【0038】
最初に折り曲げ部分L1〜L9を製造し、その後に外周を切り抜くことにより、不良を少なくすることができる。すなわち、外周を最初にカットすると、周りの紙と離れてしまうため、折り部分の位置がズレる可能性があるからである。また、外周を先にカットすると、外周をカットした場合の切カスが紙の上に残ってしまうことがあり、この場合に切カスの上をカットすることになるからである。
【0039】
以上のようにして、上記優れた効果を有する折り鶴用折紙100を製造することができる。
【0040】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部142(142a〜142d)を設けることで、羽根部分110(110a、110b)、尾部分120及び首部分130を折り曲げ部(折り曲げ線、折線)L1〜L9を介して折り曲げるだけで、折り鶴を簡単に作ることができ、簡単に折り鶴の形態を維持することが可能である。このような接合部142を一枚の紙素材の中に設けたことで、折り鶴の組み立て後に形態を維持するために、接着剤や他の部品を必要としない。またコストも掛からない。このようにして、折り鶴を簡単に作ることができ、接着剤などを必要とせず折り鶴の形を維持することが可能である。
【0041】
また、接合部142には切り欠き部Cが形成され、このような切り欠き部Cを上下方向に組み合わせるだけの簡易な方法により、折り鶴の組み立て後の形態を維持することが可能である。
【0042】
また、折り曲げ部分L1〜L9に窪み加工(凹凸加工)を施すことで、折り曲げやすく、美しい折り鶴にすることができる。この窪み加工は、例えば、山折り部分は2本の窪みを設け、谷折り部分は1本の窪みを設けることができる。窪みの本数は紙の厚さなどにより、窪みの本数を変えてもよい。山折り部分を1本の窪みとしてもよい。
【0043】
また、折り鶴用折紙の製造を1台のレーザーカット装置により一連の工程で行うことができる。このため、各加工部分を正確にきれいに形成できるとともに、厚い紙でも切り抜き模様加工を壊さずに形成できる。さらに、量産ができるなどの優れた効果が得られる。
【0044】
また、本実施形態の順序でレーザーカット加工を行うことによって、不具合が低減し、製品の不良を少なくすることができる。
【0045】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、図8及び図9を参照しながら説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の点については重複説明を省略し、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
本実施形態の折り鶴用折紙200は、図8に示したように、羽根部分210(210a、210b)、尾部分220、首部分230及び根部分240に、紙素材を部分的に切り抜いた切り抜き模様加工Gが施されていることを特徴とする。なお、図8では、各部分210〜240のすべてに切り抜き模様加工Gを施した一例を示しているが、切り抜き模様加工Gは、各部分210〜240のすべてに施す必要はなく、必要な部分に施すことができる。
【0047】
折り鶴用折紙200のその他の構成については、上記第1の実施形態の折り鶴用折紙100と実質的に同様である。
【0048】
折り鶴用折紙200の折り方については、上記第1の実施形態と実質的に同様である。羽根部分210(210a、210b)、尾部分220及び首部分230が素材が一枚のため、上記第1の実施形態と同様に折ることによって、図9に示したような美しい模様の折り鶴とすることができる。
【0049】
折り鶴用折紙200の製造方法について説明する。
【0050】
まず、図8に示した折り鶴用折紙200を作成するために十分な大きさの紙素材を用意する。本実施形態において、レーザーカットを行う箇所は、折り曲げ部分(第1の実施形態のL1〜L9に対応する部分)と切り抜き模様加工Gと外周である。まず、折り曲げ部分の加工を行う。その後に、切り抜き模様加工Gの加工を行う。その後に外周を切り抜いて、図1に示した折り鶴用折紙100を製造することができる。
【0051】
最初に折り曲げ部分を製造し、その後に、切り抜き模様加工Gの加工を行い、その後に外周を切り抜くことにより、不良を少なくすることができる。すなわち、
・外周を最初にカットすると、周りの紙と離れてしまうため、折り部分と穴の加工の位置がズレる可能性がある。
・折り曲げ部分を最初にカットするのは、穴を先にカットした場合に穴の切カスが下に落ちなく、紙の上に跳ね上がって残ってしまうと、切カスの上をカットすることになるからである。
【0052】
以上のようにして、上記優れた効果を有する折り鶴用折紙200を製造することができる。
【0053】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加え、羽根部分210(210a、210b)、尾部分220及び首部分230に、紙素材を部分的に切り抜いた切り抜き模様加工Gが施されていることで、切り絵のような芸術性の高い折り鶴とすることができる。
【0054】
また、本実施形態の順序でレーザーカット加工を行うことによって、切り抜き模様加工Gを施した場合であっても、不具合が低減し、製品の不良を少なくすることができる。
【0055】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について、図10を参照しながら説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の点については重複説明を省略し、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0056】
本実施形態は、接合部分の形状が上記第1の実施形態と異なる。本実施形態の折り鶴用折紙300は、図10に示したように、接合部342(342a〜342d)に、差込部P1と被差込部P2とからなる。そして、差込部P1と被差込部P2とが左右方向に接合されることにより、折り鶴の組み立て後の形態が維持されることを特徴とする。
【0057】
折り鶴用折紙300のその他の構成については、上記第1の実施形態の折り鶴用折紙100と実質的に同様である。
【0058】
折り鶴用折紙300の折り方は、差込部P1と被差込部P2の点以外は、上記第1の実施形態と同様である。また、折り鶴用折紙300の製造方法も、差込部P1と被差込部P2の点以外は、上記第1の実施形態と実質的に同様である。差込部P1と被差込部P2もレーザーカットにて容易に加工することが可能である。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加え、接合部342には差込部342aと被差込部342bが形成され、このような差込部342aと被差込部342bを左右方向に差し込むだけの簡易な方法により、折り鶴の組み立て後の形態を維持することが可能である。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、上記第1の実施形態では、接合部142の切り欠き部Cの形態として、切り欠き部Cの上下方向の組み合わせにより、折り鶴の組み立て後の形態が維持されることについて説明したが、本発明はこれに限定されない。切り欠き部は左右方向やその他の方向から組み合わせる形態であってもよい。
【0062】
また、上記第3の実施形態では、接合部342の差込部P1と被差込部P2の形態として、差込部P1と被差込部P2の左右方向の組み合わせにより、折り鶴の組み立て後の形態が維持されることについて説明したが、本発明はこれに限定されない。差込部と被差込部は上下方向やその他の方向から組み合わせる形態であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、折り曲げ部分L1〜L9に窪み加工が施されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、折り曲げ部分には、折り曲げ線を印刷するようにしてもよい。
【0064】
以上説明した各実施形態、変更例及び応用例の内容は、適宜組み合わせて実施できる。例えば、切り抜き模様加工(切り絵加工)を施した折り鶴用折紙(第2の実施形態)において、差込部と被差込部とからなる接合部を設ける(第3の実施形態)こともできる。このように任意の組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 折り鶴用折紙
110(110a、110b) 羽根部分
120 尾部分
130 首部分
140 根元部分
142(142a、142b、142c、142d) 接合部
L1〜L9 折り曲げ部分
C1、C2 切り欠き加工
P1 差込部
P2 被差込部
【要約】      (修正有)
【課題】折り鶴を簡単に作ることができ、接着剤などを必要とせず折り鶴の形を維持することが可能な、折り鶴用折紙とその製造方法を提供する。
【解決手段】折り鶴用折紙は、一枚の紙素材上に、羽根部分110a、110b、尾部分120及び首部分130と、これら部分110a,110b〜130の根元となる根元部分140と、を有する。そして、根元部分140に、折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部142a、142b、142c、142dが設けられていることを特徴とする。折り鶴の組み立て後に形態を維持するための接合部142a、142b、142c、142dを設けることで、簡単に折り鶴の形態を維持することが可能である。このような接合部を一枚の紙素材の中に設けたことで、折り鶴の組み立て後に形態を維持するために、接着剤や他の部品を必要としない。
【選択図】図1
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