(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パージ装置は、前記排ガス再循環ラインに前記パージガスを供給するパージガス供給ラインと、前記パージガス供給ラインを開閉するパージバルブと、前記パージガスを排出するパージガス排出ラインとを備えることを特徴とする請求項2に記載のEGRシステム。
操縦ハンドルによる後進側指令操作時に機関の前進回転数がクラッシュ判定の設定回転数以上であるとき、または、操縦ハンドルによる前進側指令操作時に機関の後進回転数がクラッシュ判定の設定回転数以上であるとき、または、クラッシュ判定以外に任意でクラッシュ操作を行ったとき、前記クラッシュ操作信号が前記制御装置に出力されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のEGRシステム。
前記EGRバルブは、前記排ガス再循環ラインにおける前記スクラバより前記燃焼用ガスの流れ方向の上流側に配置されるEGR入口バルブと、前記排ガス再循環ラインにおける前記スクラバより前記燃焼用ガスの流れ方向の下流側に配置されるEGR出口バルブとから構成され、前記排ガス再循環ラインにおける前記スクラバより前記燃焼用ガスの流れ方向の下流側で且つ前記EGR出口バルブより前記燃焼用ガスの流れ方向の上流側に送風機が設けられ、
前記制御装置は、前記EGR運転緊急停止モードの実行時、前記EGR入口バルブと前記EGR出口バルブを閉動作すると共に前記送風機の駆動を停止することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のEGRシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前進航行中の船舶は、危険回避のために船体を後進させるクラッシュアスターンを実施することがある。即ち、比較的大きな船舶の場合、船舶の運航状況によっては、危険を回避するために内燃機関の回転方向を直ちに逆転し、船舶を緊急停止させる。この場合、内燃機関が排ガス再循環装置を作動させて航行しているときに、クラッシュアスターンを実施し、内燃機関の回転方向を逆転させると、シリンダ内の酸素が希薄状態のままで一時的に回転数が低下することから、着火性が悪化して後進側の出力が低下してしまうおそれがある。すると、船舶を緊急停止させることが困難となる。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、排ガス中の有害物質を低減することができると共にクラッシュ操作時に進行方向とは逆方向の出力を十分に確保することができるEGRシステム及び船舶の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明のEGRシステムは、エンジンから排出される排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記エンジンに再循環する排ガス再循環ラインと、前記排ガス再循環ラインに設けられるEGRバルブと、前記排ガス再循環ラインを流れる前記燃焼用ガスに対して液体を噴射するスクラバと、前記EGRバルブ及び前記スクラバを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、クラッシュ操作信号の入力時に前記EGRバルブを閉止するEGR運転緊急停止モードを実行可能である、ことを特徴とするものである。
【0008】
従って、EGR運転緊急停止モードの実行時、EGRバルブを閉止することで、EGR運転が早期に停止されるため、クラッシュアスターンやクラッシュアヘッドが実施されても、シリンダ内での空気希薄状態とならないため、着火性が悪化することはなくエンジン出力が低下することはない。その結果、クラッシュ操作時に進行方向とは逆方向の出力を十分に確保できるため、船舶を緊急停止することができる。
【0009】
本発明のEGRシステムでは、前記排ガス再循環ラインにパージガスを供給するパージ装置を備え、前記制御装置は、さらに前記パージ装置を制御し、EGR運転停止信号の入力時に前記EGRバルブを閉止すると共に前記パージ装置を作動してその後に前記スクラバの駆動を停止するEGR運転停止モードと、前記クラッシュ操作信号の入力時に前記EGRバルブを閉止して前記パージ装置の作動を停止する前記EGR運転緊急停止モードとを実行可能であることを特徴としている。
【0010】
従って、EGR運転停止モードの実行時、EGRバルブを閉止してパージ装置を作動した後にスクラバを作動することで、排ガス再循環ラインへの燃焼用ガスの導入が停止され、この排ガス再循環ラインにパージガスが供給されるため、排ガス再循環ラインに残留した腐食成分がパージガスと共に排出される。一方、EGR運転緊急停止モードの実行時、EGRバルブを閉止してパージ装置を作動させないことで、EGR運転を早期に緊急停止させることができる。
【0011】
本発明のEGRシステムでは、前記パージ装置は、前記排ガス再循環ラインに前記パージガスを供給するパージガス供給ラインと、前記パージガス供給ラインを開閉するパージバルブと、前記パージガスと共に残留する腐食成分を排出するパージガス排出ラインとを備えることを特徴としている。
【0012】
従って、EGR運転停止モードの実行時、パージバルブを開放することでパージガスをパージガス供給ラインから排ガス再循環ラインに供給するため、パージガスと腐食成分がパージガス排出ラインから排出されることとなり、パージガスの供給とパージガス及び腐食成分の排出を適正に実施することができる。
【0013】
本発明のEGRシステムでは、操縦ハンドルによる後進側指令操作時に機関の前進回転数がクラッシュ判定の設定回転数以上であるとき、または、操縦ハンドルによる前進側指令操作時に機関の後進回転数がクラッシュ判定の設定回転数以上であるとき、または、クラッシュ判定以外に任意でクラッシュ操作を行ったとき、前記クラッシュ操作信号が前記制御装置に出力されることを特徴としている。
【0014】
従って、クラッシュアヘッドとクラッシュアスターンの実施時、進行方向とは逆方向への出力を十分に確保することができる。
【0015】
本発明のEGRシステムでは、前記EGRバルブは、前記排ガス再循環ラインにおける前記スクラバより前記燃焼用ガスの流れ方向の上流側に配置されるEGR入口バルブと、前記排ガス再循環ラインにおける前記スクラバより前記燃焼用ガスの流れ方向の下流側に配置されるEGR出口バルブとから構成され、前記排ガス再循環ラインにおける前記スクラバより前記燃焼用ガスの流れ方向の下流側で且つ前記EGR出口バルブより前記燃焼用ガスの流れ方向の上流側に送風機が設けられ、前記制御装置は、前記EGR運転緊急停止モードの実行時、前記EGR入口バルブと前記EGR出口バルブを閉動作すると共に前記送風機の駆動を停止することを特徴としている。
【0016】
従って、EGR運転緊急停止モードの実行時、EGR入口バルブとEGR出口バルブを同時または順に閉動作すると共に、送風機の駆動を同時に停止することで、排ガス再循環ラインへの排ガスの導入と再循環ガスのエンジンへの供給を直ちに停止することができ、エンジンの出力を早期に安定させることができる。
【0017】
また、本発明の船舶の運転方法は、推進用のエンジンと、前記エンジンから排出された排ガスの一部を燃焼用ガスとして前記エンジンに再循環させるEGRシステムと、を備える船舶の運転方法において、クラッシュアスターンまたはクラッシュアヘッドの実施時に前記EGRシステムの作動を停止する、ことを特徴とするものである。
【0018】
従って、クラッシュアスターンやクラッシュアヘッドが実施されても、シリンダ内での空気希薄状態が解消され、着火性が悪化することはなくエンジン出力が低下することはない。その結果、排ガス中の有害物質を低減することができると共に、クラッシュ操作時に進行方向とは逆方向の出力を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のEGRシステム及び船舶の運転方法によれば、クラッシュ操作信号の入力時にEGRバルブを閉止するEGR運転緊急停止モードを設けるので、排ガス中の有害物質を低減することができると共に、クラッシュ操作時に進行方向とは逆方向の出力を十分に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るEGRシステム及び船舶の運転方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0022】
図1は、本実施形態のEGRシステムを表す概略構成図である。
【0023】
本実施形態にて、
図1に示すように、舶用ディーゼルエンジン10は、エンジン本体11と、過給機12と、EGRシステム13とを備えている。
【0024】
エンジン本体11は、図示しないが、プロペラ軸を介して推進用プロペラを駆動回転させる推進用の機関(主機関)である。このエンジン本体11は、ユニフロー掃排気式のディーゼルエンジンであって、2ストロークディーゼルエンジンであり、シリンダ内の吸排気の流れを下方から上方への一方向とし、排気の残留を無くすようにしたものである。エンジン本体11は、ピストンが上下移動する複数のシリンダ(燃焼室)21と、シリンダ21に連通する掃気トランク22と、シリンダ21に連通する排気マニホールド23とを有している。そして、エンジン本体11は、掃気トランク22に給気ラインG1が連結され、排気マニホールド23に排気ラインG2が連結されている。
【0025】
過給機12は、コンプレッサ(C)31とタービン(T)32とが回転軸33により一体に回転するように連結されて構成されている。この過給機12は、エンジン本体11の排気ラインG2から排出された排ガスによりタービン32が回転し、タービン32の回転が回転軸33により伝達されてコンプレッサ31が回転し、このコンプレッサ31が燃焼用ガス(空気及び/または再循環ガス)を圧縮して給気ラインG1からエンジン本体11に供給する。
【0026】
コンプレッサ31には、更に、外部から空気(大気)を吸入する吸入ラインG3と、EGRブロア44により再循環ガスが送られる排ガス再循環ラインG7が設けられており、EGR運転時には、吸入ラインG3からの空気と、排ガス再循環ラインG7からの再循環ガスが混合器(図示略)で混合されることで燃焼用ガスが生成される。なお、混合器は、必ずしも再循環ガスと空気を混合する機能のみを備える装置である必要はなく、コンプレッサ31に装着されるサイレンサ(図示略)に上記の機能を備えたものを混合器として設けてもよい。
【0027】
タービン32は、このタービン32を回転させた排ガスを排出する排気ラインG4が連結されており、この排気ラインG4は、図示しない排ガス処理装置を介して煙突(ファンネル)に連結されている。
【0028】
EGRシステム13は、排ガス再循環ラインG5、G6、G7と、EGR入口バルブ(開閉弁)41と、スクラバ42と、デミスタユニット43と、EGRブロア(送風機/C)44と、EGR出口バルブ(開閉弁)45と、パージ装置46と、制御装置80とを備えている。このEGRシステム13は、エンジン本体11から排出された排ガスの一部である再循環ガスを空気と混合した後、過給機12により圧縮して燃焼用ガスとしてエンジン本体11に再循環するとき、この再循環ガスから有害物質を除去するものである。
【0029】
なお、以下の説明にて、排ガスとは、エンジン本体11から排気ラインG2に排出された後、排気ラインG4から外部に排出されるものであり、再循環ガスとは、排気ラインG4から分離された一部の排ガスが排ガス再循環ラインG5、G6、G7によりエンジン本体11に戻されるものである。
【0030】
即ち、排ガス再循環ラインG5は、一端部が排気ラインG4から分岐されるようにその中途部に接続され、他端部がスクラバ42に連結されている。排ガス再循環ラインG5は、EGR入口バルブ41が設けられている。EGR入口バルブ41は、排ガス再循環ラインG5を開閉することで、排気ラインG4から排ガス再循環ラインG5に分流する排ガスをON/OFFする。なお、EGR入口バルブ41を流量調整弁とし、排ガス再循環ラインG5を通過する排ガスの流量を調整するようにしてもよい。
【0031】
スクラバ42は、再循環ガスに対して水(洗浄液)を噴射することで、含有するSOxや煤塵など微粒子(PM)といった有害物質を除去するものである。スクラバ42は、中空形状をなすスロート部51と、排ガスが導入されるベンチュリ部52と、拡大部53とを備えている。スクラバ42は、ベンチュリ部52に導入された再循環ガスに対して水を噴射する水噴射部54を備えている。そして、スクラバ42は、ベンチュリ部52に再循環ガスが導入される排ガス再循環ラインG5が連結され、拡大部53に有害物質が除去された再循環ガス及びミスト(排水)を排出する排ガス再循環ラインG6が連結されている。なお、本実施形態では、ベンチュリ式を採用しているが、この構成に限定されるものではない。
【0032】
排ガス再循環ラインG6は、一端部がスクラバ42に接続され、他端部がEGRブロア44に連結されている。この場合、排ガス再循環ラインG6は、その経路上にデミスタユニット43が配置されている。なお、スクラバ42とデミスタユニット43を独立して構成したが、一体に構成してもよい。
【0033】
デミスタユニット43は、水噴射により有害物質が除去された再循環ガスとミスト(排水)を分離するものである。デミスタユニット43は、デミスタ本体(図示略)を洗浄するデミスタ洗浄装置56が設けられている。また、デミスタユニット43は、排水をスクラバ42の水噴射部54に循環する排水循環ラインW1が設けられている。そして、この排水循環ラインW1は、排水を一時的に貯留するホールドタンク57と、排水を送給する送給ポンプ58と、排水から有害物質を除去する水処理装置(例えば、遠心分離器)59が設けられている。
【0034】
EGRブロア44は、スクラバ42内の再循環ガスを排ガス再循環ラインG6からデミスタユニット43に導くものであり、電動モータ(M)64により駆動する。
【0035】
排ガス再循環ラインG7は、一端部がEGRブロア44に接続され、他端部が混合器(図示せず)を介して過給機12のコンプレッサ31に連結されており、EGRブロア44により再循環ガスがコンプレッサ31に送られる。排ガス再循環ラインG7は、EGR出口バルブ45が設けられている。EGR出口バルブ45は、排ガス再循環ラインG7を開閉することで、排ガス再循環ラインG7の再循環ガスをコンプレッサ31に送り込む。なお、EGR出口バルブ45を流量調整弁とし、排ガス再循環ラインG7を通過する再循環ガスの流量を調整するようにしてもよい。
【0036】
また、給気ラインG1にエアクーラ(冷却器)65が設けられている。このエアクーラ65は、コンプレッサ31により圧縮されて高温となった燃焼用ガスと冷却水と熱交換することで、この燃焼用ガスを冷却するものである。
【0037】
パージ装置46は、排ガス再循環ラインG5,G6,G7にパージガス(空気)を供給することで、残留する腐食成分を排出するものである。そのパージ装置46は、パージガス供給ラインG11と、パージバルブ71を備えている。この場合、排ガス再循環ラインG5、G6、G7及び給気ラインG1がパージガス排出ラインとして機能する。パージ装置46は、パージガス供給ラインG11からパージガスを供給し、排ガス再循環ラインG7から腐食成分と共にパージガスを排出する。排ガス再循環ラインG5,G6,G7は、給気ラインG1を介してエンジン本体11に連結されている。
【0038】
パージガス供給ラインG11は、一端部が大気に開放され、他端部が排ガス再循環ラインG5の中途部に連通している。即ち、パージガス供給ラインG11は、他端部がEGR入口バルブ41とスクラバ42との間の排ガス再循環ラインG5の中途部に接続されている。なお、パージガス供給ラインG11は、一端部が圧縮空気供給源に接続されていてもよい。圧縮空気供給源は、例えば、圧縮機と蓄圧タンクなどから構成されており、圧縮機により生成した圧縮空気を蓄圧タンクに溜めるものであり、船内で使用する各種機器に対して圧縮空気を供給することができる。
【0039】
パージバルブ71は、パージガス供給ラインG11を開閉可能である。そのため、EGR入口バルブ41を閉止し、パージバルブ71を開放すると、パージガスとしての外気(空気)がパージガス供給ラインG11の一端部から吸入され、このパージガス供給ラインG11を通して排ガス再循環ラインG5に供給することができる。
【0040】
制御装置80は、EGR入口バルブ41、EGRブロア44、EGR出口バルブ45、送給ポンプ58、水処理装置59、パージバルブ71の作動を制御可能となっている。即ち、制御装置80は、船舶の運航状態(運航海域)に応じてEGR入口バルブ41、EGRブロア44、EGR出口バルブ45、送給ポンプ58、水処理装置59、パージバルブ71の作動を制御する。
【0041】
制御装置80は、現在の船舶の運航海域がNOxの排出量を規制するECA(NOx規制海域)外であれば、EGRシステム13によるEGR運転を停止する。つまり、EGR入口バルブ41、EGR出口バルブ45、パージバルブ71を閉止すると共に、EGRブロア44、送給ポンプ58、水処理装置59の駆動を停止する。すると、エンジン本体11からの排ガスは、全量が排気ラインG4から外部に排出される。
【0042】
一方、制御装置80は、現在の船舶の運航海域がNOxの排出量を規制するECA(NOx規制海域)内であれば、EGRシステム13によるEGR運転を開始する。つまり、EGR入口バルブ41、EGR出口バルブ45を開放すると共に、EGRブロア44、送給ポンプ58、水処理装置59の駆動を開始する。すると、エンジン本体11から排出された排ガスは、一部が排気ラインG4から排ガス再循環ラインG5、G6、G7に供給される。
【0043】
そして、制御装置80は、現在の船舶の運航海域がECA内からECA外に移行されると、EGRシステム13によるEGR運転状態からEGR運転停止状態に切替る。つまり、EGRブロア44の回転数を低下させると共に、EGR入口バルブ41を閉止する一方、パージバルブ71を開放させる。すると、エンジン本体11からの排ガスは、全量が排気ラインG4から外部に排出される。また、パージガス供給ラインG11から排ガス再循環ラインG5に供給された空気は、排ガス再循環ラインG5、G6、G7、給気ラインG1を通してエンジン本体11の掃気トランク22に送給される。
【0044】
ここで、EGRシステム13による具体的な作用について説明する。
【0045】
エンジン本体11は、掃気トランク22からシリンダ21内に燃焼用ガスが供給されると、ピストンによってこの燃焼用ガスが圧縮され、燃焼用ガスに対して燃料が噴射されることで自然着火し、燃焼する。そして、発生した燃焼ガスは、排ガスとして排気マニホールド23から排気ラインG2に排出される。エンジン本体11から排出された排ガスは、過給機12におけるタービン32を回転させた後、排気ラインG4に排出され、EGR入口バルブ41が閉止しているときは、全量が排気ラインG4から外部に排出される。
【0046】
一方、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45が開放しているとき、排ガスは、その一部が排気ラインG4から排ガス再循環ラインG5に流れる。排ガス再循環ラインG5に流れた排ガスの一部である再循環ガスは、スクラバ42により有害物質が除去される。即ち、スクラバ42は、再循環ガスがベンチュリ部52を高速で通過するとき、水噴射部54から水が噴射されることで、この水により冷却されると共に、SOxや煤塵などの微粒子(PM)が水と共に落下して除去される。
【0047】
スクラバ42により有害物質が除去された排ガスは、排ガス再循環ラインG6に排出され、デミスタユニット43により再循環ガスとミスト(排水)が分離された後、EGRブロア44及び排ガス再循環ラインG7を介して過給機12に送られる。そして、この再循環ガスは、吸入ラインG3から吸入された空気と混合されて燃焼用ガスとなり、過給機12のコンプレッサ31で圧縮された後、エアクーラ65で冷却され、給気ラインG1からエンジン本体11に供給される。
【0048】
ところで、船舶が前進航行中、例えば、前方を別の船舶が横切るように航行するとき、危険回避のために船体を緊急停止させる必要がある。特に、比較的大きな船舶の場合、内燃機関の回転方向を直ちに逆転するクラッシュアスターンまたはクラッシュアヘッドを実施し、船舶を緊急停止させる。ところが、舶用ディーゼルエンジン10がEGR運転を行っているときは、空気に再循環ガスが混合された燃焼用ガスをシリンダ内に供給しているため、シリンダ内の酸素が希薄状態にある。そのため、EGR運転中にクラッシュアスターンまたはクラッシュアヘッドを実施すると、シリンダ内の酸素が希薄状態であることから、着火性が悪化して後進側の出力が低下してしまうおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、EGR運転中にクラッシュアスターンまたはクラッシュアヘッドを実施すると、EGR運転を緊急停止させるようにしている。即ち、EGRシステム13の運転状態から停止状態に移行するとき、制御装置80は、EGR運転停止信号の入力時にEGRシステム13の運転を完全に停止するEGR運転停止モードと、クラッシュ操作信号の入力時にEGRシステム13の運転を緊急停止するEGR運転緊急停止モードとを実行可能となっている。
【0050】
船舶は、操縦ハンドル(図示略)を操作することで、前進及び後進、停止、航行速度を切り替えることができる。前進側から、航海航行モードしてナビゲーション・フル・アヘッド(Navigation Full Ahead:航海(常用)速力での前進全速)港湾内航行モードとしてフル・アヘッド(Full Ahead:港内速力での前進全速回転数)、ハーフ・アヘッド(Half Ahead:港内速力での前進半速回転数)、スロー・アヘッド(Slow Ahead:港内速力での前進微速回転数)、デッド・スロー・アヘッド(Dead Slow Ahead:港内速力での前進最微速回転数)、主機停止がある。そして、主機停止から後進側に、デッド・スロー・アスターン(Dead Slow Astern:後進最微速回転数)、スロー・アスターン(Slow Astern:後進微速回転数)、ハーフ・アスターン(Half Astern:後進半速回転数)、フル・アスターン(Full Astern:後進全速回転数)がある。乗員は、操縦ハンドルを各位置に切り替えることで、船舶の前進、後進、停止、航行速度を切り替えることができる。
【0051】
ここで、クラッシュアスターンとは、前進側のフル・アヘッド、ハーフ・アヘッド、スロー・アヘッド、デッド・スロー・アヘッドのいずれかからフル・アスターンに操作するものである。また、クラッシュアヘッドとは、デッド・スロー・アスターン、スロー・アスターン、ハーフ・アスターン、フル・アスターンのいずれかからフル・アヘッドに操作するものである。本実施形態にて、上述したクラッシュ操作信号とは、操縦ハンドルによるフル・アヘッドと後進側との間での操作時、または、フル・アスターンと前進側との間での操作時に制御装置80に出力されるものである。
【0052】
以下、本実施形態のEGRシステムにおける運転停止制御について説明する。
図2は、本実施形態のEGRシステムにおけるEGR運転停止切替制御を表すフローチャート、
図3は、EGR運転停止制御を表すフローチャート、
図4は、EGR運転緊急停止制御を表すフローチャートである。
【0053】
本実施形態のEGRシステムにおける運転停止制御において、
図1及び
図2に示すように、ステップS11にて、EGRシステム13が運転中であるとき、ステップS12にて、制御装置80は、クラッシュ操作信号が入力したかどうか、つまり、クラッシュアスターンまたはクラッシュアヘッドが実施されたかどうかを判定する。ここで、クラッシュ操作信号が入力していないと判定(No)されると、ステップS13に移行する。ステップS13にて、制御装置80は、EGR運転停止信号が入力されたかどうかを判定する。このEGR運転停止信号は、EGR運転停止ボタン(図示略)が押されたときに出力されるものであり、EGR運転停止ボタンの操作により制御装置80に入力される。ここで、EGR運転停止信号が入力されていないと判定(No)されると、何も処理せずにこのルーチンを抜ける。
【0054】
一方、ステップS13にて、EGR運転停止ボタンの操作により制御装置80にEGR運転停止信号が入力されたと判定(Yes)されると、ステップS14に移行し、制御装置80は、EGR運転停止モードのシーケンスを開始する。また、ステップS12にて、クラッシュ操作信号が入力したと判定(Yes)されると、ステップS15に移行し、制御装置80は、EGR運転緊急停止モードのシーケンスを開始する。
【0055】
まず、EGR運転停止モードの処理について説明する。
図1及び
図3に示すように、ステップS21にて、EGR運転停止シーケンスが開始され、ステップS22にて、制御装置80は、EGRブロア44の回転数を減少させ、ステップS23にて、EGRブロア44の回転数が予め設定された回転数以下になったかどうかを判定する。ここで、EGRブロア44の回転数が設定回転数以下になるまで待機(No)し、EGRブロア44の回転数が設定回転数以下になったと判定(Yes)されたら、ステップS27に移行する。
【0056】
また、ステップS24にて、制御装置80は、EGR入口バルブ41の閉動作を開始し、ステップS25にて、EGR入口バルブ41の開度が予め設定された開度以下になったかどうかを判定する。ここで、EGR入口バルブ41の開度が設定開度以下になるまで待機(No)し、EGR入口バルブ41の開度が設定開度以下になったと判定(Yes)されたら、EGR入口バルブ41の開度を微開状態に維持し、ステップS27に移行する。
【0057】
ステップS26にて、ステップS23でEGRブロア44の回転数が設定回転数以下になり、且つ、ステップS25でEGR入口バルブ41の開度が設定開度以下になるまで待機(No)し、EGRブロア44の回転数が設定回転数以下になり、且つ、EGR入口バルブ41の開度が設定開度以下になったと判定(Yes)されたら、ステップS27に移行する。
【0058】
ステップS27にて、制御装置80は、パージバルブ71の開動作を開始する。ステップS28にて、パージバルブ71の開度が全開になったかどうかを判定する。ここで、パージバルブ71の開度が全開になるまで待機(No)し、パージバルブ71の開度が全開になったと判定(Yes)されたら、ステップS29にて、EGR入口バルブ41の閉動作を再開し、ステップS30にて、EGR入口バルブ41の開度が予め設定された開度(ほぼ全閉)以下になったかどうかを判定する。ここで、EGR入口バルブ41の開度が全閉になるまで待機(No)し、EGR入口バルブ41の開度が全閉になったと判定(Yes)されたら、ステップS31にて、排ガス再循環ラインG5のパージ処理を予め設定された規定時間だけ実行する。
【0059】
即ち、EGR入口バルブ41が所定開度まで閉止され、パージバルブ71が開放されていることから、パージガスとしての空気(大気)が排ガス再循環ラインG5、G6、G7、コンプレッサ31、給気ラインG1を介してエンジン本体11の掃気トランク22に連通されている。また、排ガス再循環ラインG5、G6、G7は、中途部にEGRブロア44が設けられ、このEGRブロア44が低回転で駆動されていることから、掃気トランク22側へのガス流れが作用する。そのため、排ガス再循環ラインG5、G6、G7に残留していた腐食成分は、パージガス供給ラインG11からの空気により除去され、腐食成分を含むパージガスが掃気トランク22に送り込まれる。
【0060】
ステップS32にて、制御装置80は、パージバルブ71が開放されてから規定時間が経過してパージが完了したかどうかを判定する。ここでは、EGR入口バルブ41の開度が全閉したと判定されてから所定の規定時間が経過したかどうかを判定する。つまり、規定時間が経過するまで排ガス再循環ラインG5、G6、G7のパージ処理を実行する。この排ガス再循環ラインG5、G6、G7のパージ処理時間(規定時間)は、例えば、パージ処理を実行する機器や配管のボリューム(容積)、単位時間当たりにパージガス供給ラインG11に取り込まれた空気量、パージ領域における腐食成分濃度などに基づいて設定される。
【0061】
排ガス再循環ラインG5、G6、G7のパージ処理が完了し、制御装置80は、EGR入口バルブ41の開度が全閉したと判定されてから規定時間が経過するまで待機(No)し、EGR入口バルブ41の開度が全閉したと判定されてから規定時間が経過したと判定(YES)されたら、ステップS33にて、EGRブロア44の駆動を停止する。続いて、制御装置80は、ステップS34にて、パージバルブ71を閉止し、ステップS35にて、EGR出口バルブ45を閉止する。その後、ステップS36にて、デミスタ洗浄装置56を作動してデミスタユニット43を洗浄し、ステップS37にて、スクラバ42を停止すると、ステップS38にて、EGR運転が完全に停止される。このスクラバ42の停止時に、送給ポンプ58と水処理装置59の駆動停止による水噴射部54による水噴射の停止である。
【0062】
なお、排ガス再循環ラインG5、G6、G7のパージ処理中にエンジン本体11の運転が停止すると、排ガス再循環ラインG5、G6、G7に残留していた腐食成分を含むパージガスを掃気トランク22に送り込むことが困難となる。そのため、本実施形態では、例えば、入港時には、その前の段階でEGR運転を完全に停止する。
【0063】
次に、EGR運転緊急停止モードの処理について説明する。
図1及び
図4に示すように、ステップS51にて、EGR運転緊急停止シーケンスが開始され、ステップS52にて、制御装置80は、EGRブロア44の駆動を停止する。また、ステップS53にて、制御装置80は、EGR入口バルブ41の閉動作を開始し、ステップS54にて、EGR出口バルブ45の閉動作を開始する。すると、ステップS55にて、EGR運転が緊急停止される。このとき、エンジン本体11から排出された排ガスは、過給機12におけるタービン32を回転した後、排気ラインG4に排出され、EGR入口バルブ41が閉止したことで全量が排気ラインG4から外部に排出され、エンジン本体11に供給されることはない。そのため、舶用ディーゼルエンジン10は、EGR運転が停止され、再循環ガスがシリンダ内に供給されていないことから、シリンダ内が酸素希薄状態ではなくなる。すると、クラッシュアスターンの実施に対して、エンジン回転数が低下しても着火性が悪化することはなく、後進側の出力が十分に確保される。
【0064】
その後、EGRシステム13によるEGR運転が緊急停止された状態で、船舶の緊急停止操作が解除されると、クラッシュ操作信号の出力が停止される一方、EGR運転開始信号が出力される。制御装置80は、EGR運転開始信号が入力されると、EGRシステム13によるEGR運転を再開する。このとき、制御装置80は、EGR入口バルブ41とEGR出口バルブ45を開放すると共に、EGRブロア44の駆動を開始する。
【0065】
また、EGRシステム13によるEGR運転停止モードとEGR運転緊急停止モードにおける各種機器の動作について説明する。
図5は、EGR運転停止制御を表すタイムチャート、
図6は、EGR運転緊急停止制御を表すタイムチャートである。
【0066】
EGR運転停止モードにおいて、
図1及び
図5に示すように、時間t1にて、EGR運転停止モードが開始されると、同時に、EGR入口バルブ41の閉動作が開始され、EGRブロア44の回転数が減少する。そして、時間t2にて、EGR入口バルブ41が微開となり、EGRブロア44の回転数が所定回転数になると、パージバルブ71の開動作を開始し、排ガス再循環ラインG5、G6、G7のパージ処理を開始する。
【0067】
パージバルブ71の開度が全開になると、時間t3にて、EGR入口バルブ41を再び閉動作し、時間t4にて、全閉する。さらに、時間t5にて、パージ処理を実行する規定時間が経過すると、パージバルブ71を閉止すると共にEGRブロア44の駆動を停止し、EGR出口バルブ45を閉止する。また、このとき、デミスタ洗浄装置56を作動してデミスタユニット43を洗浄し、時間t6にて、スクラバ42の水処理装置59の駆動を停止することでEGR運転が完全に停止される。
【0068】
EGR運転緊急停止モードにおいて、
図1及び
図6に示すように、時間t11にて、クラッシュ操作信号が入力されると、EGR運転緊急停止モードが開始される。即ち、エンジン負荷が低下し、同時に、EGR入口バルブ41の閉動作が開始され、EGR出口バルブ45が閉止され、EGRブロア44の回転数が更に減少する。ここで、EGR運転が緊急停止される。なお、
図6にて、主機負荷の一点鎖線は、主機負荷0を表すものであり、上方側が前進側の主機負荷、下方側が後進側の主機負荷である。
【0069】
その後、時間t12にて、後進側におけるエンジン負荷が最大となり、時間t13にて、後進側におけるエンジン負荷が減少を開始し、時間t14にて、エンジン負荷が0となると、クラッシュ操作信号の出力が停止する。そして、前進におけるエンジン負荷が上昇した後、時間t15にて、EGR運転開始モードが実行される。即ち、EGR入口バルブ41とEGR出口バルブ45が開動作されると共に、EGRブロア44の駆動が開始される。そして、時間t16にて、EGR入口バルブ41が全開となり、EGRブロア44の回転が一定となる。
【0070】
このように本実施形態のEGRシステムにあっては、排ガス再循環ラインG5,G6,G7と、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45と、スクラバ42と、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45を開閉制御可能であると共にスクラバ42を駆動制御可能な制御装置80とを備え、制御装置80は、クラッシュ操作信号の入力時にEGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45を閉止するEGR運転緊急停止モードを実行可能である。
【0071】
従って、EGR運転緊急停止モードの実行時、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45を閉止することで、EGR運転が早期に停止されるため、クラッシュアスターンやクラッシュアヘッドが実施されても、シリンダ内での空気希薄状態とならないため、着火性が悪化することはなくエンジン出力が低下することはない。その結果、クラッシュ操作時に進行方向とは逆方向の出力を十分に確保できるため、船舶を緊急停止することができる。
【0072】
本実施形態のEGRシステムでは、排ガス再循環ラインG5,G6,G7にパージガスを供給して残留する腐食成分を排出するパージ装置46を設け、制御装置80は、EGR運転停止モードの実行時、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45を閉止してパージ装置46を作動
した後にスクラバ42の駆動を停止し、EGR運転緊急停止モードの実行時、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45を閉止し
てパージ装置46の作動を停止する。従って、EGR運転停止モードの実行時、排ガス再循環ラインG5,G6,G7への再循環ガスの導入が停止され、この排ガス再循環ラインG5,G6,G7にパージガスが供給されるため、排ガス再循環ラインG5,G6,G7に残留した腐食成分がパージガスと共に排出される。一方、EGR運転緊急停止モードの実行時、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45を閉止してパージ装置46を駆動させないことでEGR運転を早期に緊急停止させることができる。
【0073】
本実施形態のEGRシステムでは、操縦ハンドルによるフル・アヘッドと後進側との間での操作時またはフル・アスターンと前進側との間での操作時にクラッシュ操作信号を制御装置80に出力している。従って、クラッシュアヘッドとクラッシュアスターンの実施時、進行方向とは逆方向への出力を十分に確保することができる。
【0074】
本実施形態のEGRシステムでは、制御装置80は、EGR運転緊急停止モードの実行時、EGR入口バルブ41とEGR出口バルブ45を同時に閉動作すると共に、EGRブロア44の駆動を停止する。従って、排ガス再循環ラインG5,G6,G7への排ガスの導入と再循環ガスのエンジン本体11への供給を直ちに停止することができ、エンジン出力を早期に安定させることができる。
【0075】
本実施形態のEGRシステムでは、パージ装置46は、排ガス再循環ラインG5,G6,G7にパージガスを供給するパージガス供給ラインG11と、パージガス供給ラインG11を開閉するパージバルブ71と、パージガスと共に残留する腐食成分を排出するパージガス排出ラインとしての給気ラインG1を設けている。従って、EGR運転停止モードの実行時、パージバルブ71を開放することでパージガスをパージガス供給ラインG11から排ガス再循環ラインG5,G6,G7に供給するため、パージガスと腐食成分が給気ラインG1から排出されることとなり、パージガスの供給とパージガス及び腐食成分の排出を適正に実施することができる。
【0076】
また、本実施形態の船舶の運転方法にあっては、推進用のエンジン本体11と、エンジン本体11から排出された排ガスの一部である再循環ガスを空気と混合した後に燃焼用ガスとしてエンジン本体11に再循環させるEGRシステム13とを設け、クラッシュアスターンまたはクラッシュアヘッドの実施時に、EGRシステム13の作動を停止する。従って、クラッシュアスターンやクラッシュアヘッドが実施されても、シリンダ内での空気希薄状態が解消され、着火性が悪化することはなくエンジン出力が低下することはない。その結果、排ガス中の有害物質を低減することができると共に、クラッシュ操作時に進行方向とは逆方向の出力を十分に確保することができる。
【0077】
なお、上述の実施形態にて、パージ装置46として排気ガス再循環ラインG5にパージガス供給ラインG11とパージバルブ71を設け、再循環ガスとパージガスをエンジン本体11に排出するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、再循環ガスとパージガスを排気ラインG4から外部に排出してもよい。また、排気ガス再循環ラインG7にパージガス供給ラインとパージバルブを設けてもよい。また、給気ラインG1からエンジン本体に供給される燃焼用ガスをパージガスとして用いてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態にて、舶用ディーゼルエンジンとして、主機関を用いて説明したが、発電機として用いられるディーゼルエンジンにも適用することができる。
【課題】EGRシステム及び船舶の運転方法において、排ガス中の有害物質を低減することができると共にクラッシュ操作時に進行方向とは逆方向の出力を十分に確保することができる。
【解決手段】排ガス再循環ラインG5,G6,G7と、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45と、スクラバ42と、EGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45を開閉制御可能であると共にスクラバ42を駆動制御可能な制御装置80とを備え、制御装置80は、クラッシュ操作信号の入力時にEGR入口バルブ41及びEGR出口バルブ45を閉止するEGR運転緊急停止モードを実行可能である。