特許第6194511号(P6194511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194511
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】ランプの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   B60Q1/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-238781(P2013-238781)
(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-98256(P2015-98256A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚樹
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−236813(JP,A)
【文献】 特開2009−292245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前端または後端に配置されたランプと、
前記ランプの上部を車体に対して連結するとともに、車両上方からの衝撃荷重があった際に破断する第1脆弱部を有する上部連結部と、
前記ランプの下部の一部を前記車体に対して上下方向に回転自在に支持する支持部と、
前記ランプの下部において、前記支持部とは前後方向において離間して並設されるとともに前記車体に対して連結された下部連結部であって、前記衝撃荷重があった際に破断する第2脆弱部を有し、前記第2脆弱部が破断したとき、車幅方向の外側への前記ランプの移動を許容する下部連結部を有するランプの取付構造。
【請求項2】
前記第1脆弱部を有する上部連結部が、前記ランプの上部において、前部または後部のいずれか一方に、或いは前部及び後部にそれぞれ設けられている請求項1に記載のランプの取付構造。
【請求項3】
前記上部連結部は、前記ランプから延びる取付片であり、
前記第1脆弱部は、前記取付片に設けられた薄肉部である請求項1または請求項2に記載のランプの取付構造。
【請求項4】
前記取付片には、前記取付片の延出方向に単数または複数の補強リブが設けられており、
前記薄肉部は、前記補強リブ間に設けられた溝を含む請求項3に記載のランプの取付構造。
【請求項5】
前記取付片の周縁にはリブが設けられており、
前記薄肉部は、前記リブに設けられた切欠を含む請求項4に記載のランプの取付構造。
【請求項6】
前記溝及び前記切欠は、一直線上に配置されている請求項5に記載のランプの取付構造。
【請求項7】
前記下部連結部は、前記車体に設けられた嵌合部に対して離脱不能に嵌合する嵌合爪と、
前記嵌合爪を支持する支持板部と、
前記支持板部を補強する複数の補強部を含み、
前記補強部に前記第2脆弱部が設けられている請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載のランプの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ランプの取付構造は、特許文献1及び特許文献2が公知である。特許文献1では、ヘッドランプの上部取付部を支持する車体側のブラケットが、ヘッドランプの下部に設けられた回動支点を中心とした円弧の接線方向に沿った向きに形成されている。また、前記ブラケットに対して前記上部取付部が重ね合わされて取付ネジにて締め付け固定されている。また、前記取付ネジには、脆弱部として細径のピン部を有する。
【0003】
特許文献1では、車両の前面が軽く衝突した時にヘッドランプの斜め上方からの衝撃が加わると、ヘッドランプが前記回動支点を中心に後方へ回動しようとして、前記ブラケットの前記取付ネジのピン部を破断するようにしている。このことによって、軽衝突時には、前記取付ネジのみを破壊して、ヘッドランプ自体の破壊を抑制するようにしている。
【0004】
特許文献2では、ヘッドランプは、脆弱部を有する上側結合部を介してラジエータサポートと結合されるとともに下側結合部を介してバンパリインフォースメントと結合されている。特許文献2では車両上方から衝撃荷重が入力されると、前記上側結合部は、前記脆弱部にて破断するとともに、下側結合部ではバンパリインフォースメントとは結合状態を維持することによりヘッドランプを後方へ回転するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−237795号公報
【特許文献2】特開2009−78689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したいずれの従来技術も、上側から衝撃荷重があった場合、ランプは後方に回転することにより、そのときの衝撃を緩和するようにしているが、この方法では上側からの衝撃荷重があった場合の衝撃の緩和には限界がある。
【0007】
本発明の目的は、車両上方からの衝撃荷重があった場合、ランプを後方へ回転する場合よりもさらに衝撃の緩和ができるランプの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、本発明のランプの取付構造は、車両の前端または後端に配置されたランプと、前記ランプの上部を車体に対して連結するとともに、車両上方からの衝撃荷重があった際に破断する第1脆弱部を有する上部連結部と、前記ランプの下部の一部を前記車体に対して上下方向に回転自在に支持する支持部と、前記ランプの下部において、前記支持部とは前後方向において離間して並設されるとともに前記車体に対して連結された下部連結部であって、前記衝撃荷重があった際に破断する第2脆弱部を有し、前記第2脆弱部が破断したとき、車幅方向の外側への前記ランプの移動を許容する下部連結部を有するを有するものである。
【0009】
また、前記第1脆弱部を有する上部連結部が、前記ランプの上部において、前部または後部のいずれか一方に、或いは前部及び後部にそれぞれ設けられていることが好ましい。
また、前記上部連結部は、前記ランプから延びる取付片であり、前記第1脆弱部は、前記取付片に設けられた薄肉部であることが好ましい。
【0010】
また、前記取付片には、前記取付片の延出方向に単数または複数の補強リブが延出されており、前記薄肉部は、前記補強リブ間に設けられた溝を含むことが好ましい。
また、前記取付片の周縁にはリブが設けられており、前記薄肉部は、前記リブに設けられた切欠を含むことが好ましい。
【0011】
また、前記溝及び前記切欠は、一直線上に配置されていることが好ましい。
また、前記下部連結部は、前記車体に設けられた嵌合部に対して離脱不能に嵌合する嵌合爪と、前記嵌合爪を支持する支持板部と、前記支持板部を補強する複数の補強部を含み、前記補強部に前記第2脆弱部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両上方からの衝撃荷重があった場合、ランプを後方へ回転する場合よりもさらに衝撃の緩和ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態のランプの取付構造の斜視図。
図2】一実施形態のランプの取付構造の分解斜視図。
図3】上部連結部の斜視図。
図4】上部連結部の断面図。
図5】他の上部連結部の斜視図。
図6】下部連結部の斜視図。
図7】軸受部の斜視図。
図8】下部連結部の拡大斜視図。
図9】下部連結部の断面図。
図10】(a)は衝突前のヘッドランプの取付構造の概略断面図、(b)は衝突後のヘッドランプの取付構造の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をヘッドランプの取付構造に具体化した一実施形態について図1図10を参照して説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、ヘッドランプは車両の右側のヘッドランプの取付構造について説明する。左側のヘッドランプの取付構造は、左右が逆転していることだけが異なるため、説明を省略する。
【0015】
図1図2に示すヘッドランプ10は、車両11の前端に設けられた前照灯であって、ランプ本体12と、ランプ本体12を前方から覆うように組み付けられたレンズ14を有する。ヘッドランプ10内には、例えば、図示しないロービーム用ランプ、ハイビーム用ランプ、及びポジジョンランプ等が組み込まれている。レンズ14及びランプ本体12は、合成樹脂からなる。
【0016】
ヘッドランプ10は、図1図2に示すランプ本体12の上部に一体に設けられた第1取付片20、第2取付片30及び図6に示すランプ本体12の下部に一体に設けられた下部連結部50にてラジエータサポート16に対して連結されている。
【0017】
また、ヘッドランプ10は、ランプ本体12の下部に一体に設けられた軸連結部60に対してフロントフェンダー40が有するバンパーサポート42を介してボルト80が締結されることにより連結されている。前記ラジエータサポート16及びバンパーサポート42は、車体の一例である。
【0018】
ラジエータサポート16は、車幅方向にそれぞれ平行して延びるラジエータサポートアッパ16a、ラジエータサポートロア16bと、ラジエータサポートアッパ16aとラジエータサポートロア16bの両端部同士を連結するラジエータサポートサイド16c等を備える。また、ラジエータサポートアッパ16aの両端部には後方に延びるアッパサイド部16dが設けられている。なお、図2では、ラジエータサポートアッパ16aの車両の右端部から後方に延びるアッパサイド部16dのみが図示されている。これらのラジエータサポート16を構成する各部品は、金属製であるが、合成樹脂製であってもよく、或いは、金属製の部品と合成樹脂製の部品を組み合わせてもよい。
【0019】
(第1取付片20について)
図3に示すように、ヘッドランプ10の第1取付片20は、車両の前後方向において、ヘッドランプ10の重心の位置より例えば車両前方側に位置するようにランプ本体12の上部において前部に設けられている。また、第1取付片20は、ランプ本体12よりも車幅方向において、車体の中央に向けて突出されている。第1取付片20は、ラジエータサポート16のアッパサイド部16dに対して、例えばボルト23を用いて締結されている。第1取付片20は上部連結部の一例である。
【0020】
図1図2に示すように、第1取付片20は、ランプ本体12から斜め後方に延出されている。図3図4に示すように第1取付片20は、底部22と、底部22の上面周縁全体に上方へ突出したリブ24と、底部22の基端から先端側に延出した複数の補強リブ25と、底部22の先端に設けられた前記ボルト23を通す貫通孔26を有する。補強リブ25の延出方向は、第1取付片20の延出方向と同じである。
【0021】
また、図3に示すように底部22の基端において、リブ24と補強リブ25間、及び補強リブ25間の底部22には、それぞれ溝28が一直線上に並ぶように凹設されている。また、リブ24には、前記溝28と並ぶように切欠29が形成されている。
【0022】
前記溝28及び切欠29は、第1脆弱部及び薄肉部の一例である。
(第2取付片30について)
図1図2及び図5に示すようにヘッドランプ10の第2取付片30は、車両の前後方向において、ヘッドランプ10の重心の位置より例えば車両後方側に位置するようにランプ本体12の上部において後部に設けられている。また、第2取付片30は、ランプ本体12よりも車幅方向において、車体の中央に向けて突出されている。
【0023】
第2取付片30は、ラジエータサポート16のアッパサイド部16dに対して、例えばボルト33を用いて締結されている。取付片は、上部連結部の一例である。
図1図2に示すように、第2取付片30は、ランプ本体12から斜め後方に延出されている。図5に示すように第2取付片30は、底部32と、底部32の上面周縁全体に上方へ突出したリブ34と、底部32の基端から先端側に延出した複数の補強リブ35と、底部32の先端に設けられた前記ボルト33を通す貫通孔36を有する。補強リブ35の延出方向は、第2取付片30の延出方向と同じである。
【0024】
また、図5に示すように底部32の基端において、リブ34と補強リブ35間、及び補強リブ35間の底部32には、それぞれ溝38が一直線上に並ぶように凹設されている。また、リブ34には、前記溝38と並ぶように切欠39が形成されている。
【0025】
前記溝38及び切欠39は、第1脆弱部及び薄肉部の一例である。
また、図10(a)に示すように、ラジエータサポート16の上方には、エンジンコンパートメント及びヘッドランプ10の上方の部位を覆うフロントフード31が設けられている。
【0026】
(下部連結部50について)
図6に示すようにヘッドランプ10の下部連結部50は、車両の前後方向において、ヘッドランプ10の重心の位置より例えば車両前方側に設けられている。
【0027】
具体的には図8図10(a)に示すように下部連結部50は、ランプ本体12の下部に対して下方に延びるとともに、後方向に面する板状の板壁部51と、板壁部51の左側部、右側部及び下部のそれぞれの周縁から後方向に突出した左周壁部52、右周壁部53及び下周壁部54を有する。板壁部51の側面の略中央には、上下方向に延びる補強リブ55が設けられている。左周壁部52、右周壁部53及び補強リブ55により、板壁部51が補強されている。板壁部51は、支持板部の一例である。また、左周壁部52、右周壁部53及び補強リブ55は、板壁部51を補強するための補強部の一例である。
【0028】
また、下周壁部54の上面には、複数の補強リブ56が並設されている。その補強リブ56の先端は、下周壁部54から車幅方向に突出する突部57が形成されている。補強リブ56により、下周壁部54が補強されている。また、下周壁部54の下面には嵌合爪58が形成されている。嵌合爪58は、板壁部51により支持されている。
【0029】
図2に示すようにラジエータサポートサイド16cの右側面には、嵌合部材70が固定されている。嵌合部材70には、図9に示すように、上下方向に貫通する係止孔74を有する。係止孔74の上方に位置するように係止孔74の後縁には、導入ガイド片72が形成されている。導入ガイド片72は、前記係止孔74に対して上方に位置するように離間して配置されている。前記嵌合部材70は嵌合部の一例である。
【0030】
導入ガイド片72は、図9に示すように、ヘッドランプ組み付け時に前記突部57が導入ガイド片72と嵌合部材70の上面との間に挿入された際、前記突部57を組み付け方向である後方へガイドする。また、下部連結部50は、嵌合爪58が係止孔74の縁部に係止することにより、嵌合部材70から離脱不能に固定されている。
【0031】
図8図9に示すように、左周壁部52内面、右周壁部53内面及び補強リブ55の一側面には、凹溝52a、53a、55aが凹設されている。凹溝52a、53a、55aがそれぞれ形成されていることにより、左周壁部52内面、右周壁部53内面及び補強リブ55には薄肉部を有する。本実施形態では、凹溝52a、53a、55aはそれぞれ上下一対設けられている。凹溝52a、53a、55aの幅は左周壁部52、右周壁部53及び下周壁部54で囲まれた空間の開口側が広く形成され、板壁部51側に行くほど狭くなるように形成されている。このようにすることにより、薄肉部として形成された凹溝52a、53a、55aは、前後方向において、外側(前側)に負荷がかかった際、開口側から破断しやすいようにされている。
【0032】
なお、前記幅は、上記構成に限定されない。例えば、前記幅は一定でもよく、或いは、左周壁部52、右周壁部53及び下周壁部54で囲まれた空間の開口側が狭く形成され、板壁部51側に行くほど広くなるように形成してもよい。なお、この場合は、本実施形態よりも破断はしにくくなるが、薄肉部であるため、溝を形成しない場合に比して、破断がしやすい。なお、溝の断面形状は限定するものではない。
【0033】
前記凹溝52a,53a,55aは、下部連結部50(取付片)に設けられた第2脆弱部の一例である。
(軸連結部60について)
図2に示すように前記フロントフェンダー40の前端部は、ラジエータサポート16におけるアッパサイド部16dの下方に配置されるとともに前記バンパーサポート42が設けられている。バンパーサポート42の表面は、車幅方向の右側に面している。
【0034】
前記バンパーサポート42には、図10(a)に示すように、ヘッドランプ10のレンズ14の下部に配置されるバンパー44が取り付けられて支持されている。なお、図2では、説明の便宜上、バンパー44の図示を省略している。
【0035】
図2に示すように前記バンパーサポート42には、前記ボルト80を挿通するための貫通孔43が形成されている。前記ボルト80は、前記貫通孔43に挿通されて、図7に示すようにランプ本体12の後部下端に設けられた軸連結部60に螺合されている。
【0036】
図7に示すように軸連結部60は、略ボックス状に形成されて、端面に前記ボルト80が螺合する雌ネジ孔62が形成されている。雌ネジ孔62のボルト挿入口は、車幅方向の右側に面している。前記ボルト80が前記軸連結部60に対して螺合されていることにより、ヘッドランプ10はバンパーサポート42に対して上下方向に、すなわち、ボルト80の軸心の周りで回動自在にされている。前記ボルト80及びバンパーサポート42は、ヘッドランプを上下方向に回転自在に支持する支持部の一例である。
【0037】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成されたヘッドランプの取付構造の作用を説明する。
図10(a)に示すように、例えばヘッドランプ10の車両上方のフロントフード31に対して衝突体90が衝突して、フロントフード31に対して車両上方からの衝撃荷重が入力される。すると、図10(b)に示すようにフロントフード31が変形してヘッドランプ10に当接し、該ラジエータサポート16とヘッドランプ10とが結合されている第1取付片20及び第2取付片30、並びに下部連結部50へ車両上方からの衝撃荷重が伝達される。
【0038】
すると、第1取付片20及び第2取付片30には、溝28、38及び切欠29、39が設けられているので、図10(b)に示すように、車両上方からの衝撃荷重が入力されると、これらの部分において、第1取付片20及び第2取付片30が破断する。
【0039】
また、前記衝撃荷重が下部連結部50に伝達されると、図8に示す凹溝52a,53a,55aが設けられているので、同部分において、破断する。
この結果、図10(b)に示すようにヘッドランプ10の下部が、ラジエータサポート16のラジエータサポートサイド16cから前方向へ移動して離脱する。ここで、下部連結部50は、車両の前後方向において、ヘッドランプ10の重心の位置より例えば車両前方側に設けられている。
【0040】
このため、ヘッドランプ10(ランプ本体12)の上部及び下部がラジエータサポート16から離脱すると、該ヘッドランプ10は、自重及び車両上方からの衝撃荷重により、図10(b)に示すように軸連結部60に結合したボルト80の周りで車両下方へ回転変位する。また、車幅方向の外側(右側)へヘッドランプ10が移動する。このようにヘッドランプ10が回転変位及び車幅方向へ移動することで、フロントフード31の変形ストロークを増加させて、衝突エネルギーの吸収性を確保することにより、衝撃の緩和をすることができる。
【0041】
すなわち、凹溝52a,53a,55a(第2脆弱部)が破断することで、車幅方向の外側へヘッドランプ10が移動するため、衝突体90が衝突するヘッドランプの車幅方向内側から外側へのストロークをより稼ぐことができる。このストロークの稼ぎにより、衝突エネルギーの吸収性を確保して、衝撃の緩和をすることができる。
【0042】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のヘッドランプの取付構造は、車両11の前端に配置されたヘッドランプ10は、その上部を車体に対して連結するとともに車両上方からの衝撃荷重があった際に破断する溝28,38、切欠29,39(第1脆弱部)を有する第1取付片20、第2取付片30(上部連結部)を備える。また、ヘッドランプ10は、その下部の一部を前記車体に対して上下方向に回転自在に支持するバンパーサポート42、ボルト80(支持部)を備える。
【0043】
また、ヘッドランプ10の下部において、バンパーサポート42、ボルト80(支持部)とは前後方向において離間して並設されるとともに車体に対して連結された下部連結部50を備える。下部連結部50は、衝撃荷重があった際に破断する凹溝52a,53a,55a(第2脆弱部)を有する。下部連結部50は、凹溝52a,53a,55a(第2脆弱部)が破断すると、車幅方向の外側へのヘッドランプ10の移動を許容する。この結果、本実施形態によれば、車両上方からの衝撃荷重があった場合、ヘッドランプ10を後方へ回転する場合よりもさらに衝撃の緩和ができる。また、第2脆弱部が破断することで、車幅方向の外側へヘッドランプが移動するため、衝突体が衝突するヘッドランプの車幅方向内側から外側へのストロークをより稼ぐことができる。
【0044】
(2)本実施形態では、第1取付片20及び第2取付片30(上部連結部)は、ヘッドランプ10の上部において前部及び後部にそれぞれ設けられている。この結果、車両上方からの衝撃荷重があった場合、ヘッドランプ10は、各取付片が備える第1脆弱部の破断による衝撃緩和ができる。
【0045】
(3)本実施形態では、上部連結部は、ヘッドランプ10から延びる第1取付片20、及び第2取付片30で形成されている。また、第1脆弱部は、第1取付片20及び第2取付片30に設けられた薄肉部としている。この結果、本実施形態によれば、第1脆弱部を薄肉部にすることにより、第1取付片20及び第2取付片30を容易に脆弱化できる。
【0046】
(4)本実施形態では、第1取付片20及び第2取付片30には、第1取付片20及び第2取付片30の延出方向と同方向に延出する複数の補強リブ25、35が設けられている。また、薄肉部は、補強リブ25、35間に設けられた溝28、38を含む。
【0047】
この結果、本実施形態によれば、車両上方からの衝撃荷重があった場合、補強リブ25、35間に設けられた溝28、38により、第1取付片20及び第2取付片30を破断することができる。
【0048】
(5)本実施形態では、第1取付片20、第2取付片30の周縁にはリブ24,34が設けられている。また、薄肉部は、リブ24,34に設けられた切欠(29、39)を含む。この結果、本実施形態によれば、車両上方からの衝撃荷重があった場合、第1取付片20、第2取付片30の周縁のリブ24,34に設けられた切欠29,39によって第1取付片20及び第2取付片30を破断することができる。
【0049】
(6)本実施形態では、溝28及び切欠29は、一直線上に配置されている。また、溝38及び切欠39は、一直線上に配置されている。この結果、本実施形態では、一直線上に配置した薄肉部により、好適に第1取付片20及び第2取付片30を破断することができる。
【0050】
(7)本実施形態では、下部連結部50は、車体に設けられた嵌合部材70(嵌合部)に対して離脱不能に嵌合する嵌合爪58を有する。また、嵌合爪58を支持する板壁部51(支持板部)を有する。また、板壁部51(支持板部)を補強する左周壁部52、右周壁部53及び補強リブ55(補強部)を有する。
【0051】
そして、左周壁部52、右周壁部53及び補強リブ55(補強部)に凹溝52a,53a,55a(第2脆弱部)が設けられている。この結果、本実施形態によれば、車両上方からの衝撃荷重があった場合、左周壁部52、右周壁部53及び補強リブ55(補強部)に凹溝52a,53a,55a(第2脆弱部)により、下部連結部50を破断による衝撃緩和ができる。
【0052】
なお、本実施形態は以下のように変更した実施形態としてもよい。
・前記実施形態では、ランプとしてヘッドランプとしたが、他のランプとして、リヤコンビネーションランプとしてもよい。
【0053】
・前記実施形態では、車体の一例としてラジエータサポート16としたが、車体はこの一例に限定されるものではなく、
・前記実施形態では、前記溝28を第1脆弱部としたが、前記溝28を例えば透孔に代えてもよい。
【0055】
・前記実施形態は、第1脆弱部を底部22の基端に設けたが、基端に限定するものではなく、第1脆弱部を貫通孔26と基端の間に設ければよい。また、前記溝28はリブ24と補強リブ25間、及び補強リブ25間の底部22に設けたが、一部の溝を省略してもよい。
【0056】
・前記実施形態において、第1脆弱部として設けた切欠29、39または溝28、38のいずれか一方を省略してもよい。
・前記実施形態では、溝28、38及び切欠29、39を、一直線上に並ぶように配置したが、配置の仕方は限定するものではない。例えばジクザグ状に配置してもよい。
【0057】
・前記実施形態では、前記補強リブ25、35の数を複数としたが、単数であってもよい。
・前記実施形態では、第1取付片20及び第2取付片30をそれぞれ設けたが、いずれか一方を省略してもよい。この場合、単一の取付片となるため、この取付片をヘッドランプ10の前後方向の中央部等に設けるようにすればよい。
【0058】
・上部連結部として、3つ以上設けるようにしてもよい。
・前記実施形態では、ボルト80及びバンパーサポート42を支持部としたが、この構成に限定されない。例えば、ボルトに代えて、バンパーサポートを介して軸連結部60に対して嵌合したピンでもよい、また、バンパーサポート42を、他の車体を構成する部材としてもよい。
【0059】
・前記実施形態の構成中、支持部と、下部連結部の前後関係を逆にしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…ヘッドランプ、11…車両、12…ランプ本体、14…レンズ、
16…ラジエータサポート、16a…ラジエータサポートアッパ、
16b…ラジエータサポートロア、16c…ラジエータサポートサイド、
16d…アッパサイド部、
20…第1取付片、22…底部、24…リブ、25…補強リブ、
26…貫通孔、28…溝、29…切欠、
30…第2取付片、31…フロントフード、32…底部、33…ボルト、
34…第2リブ、35…補強リブ、36…貫通孔、37…切欠、38…溝、
39…切欠、40…フロントフェンダー、
42…バンパーサポート、43…貫通孔、44…バンパー、
50…下部連結部、51…板壁部(支持板部)、52…左周壁部、
52a…凹溝、53…右周壁部、53a…凹溝、54…下周壁部、
55…補強リブ、55a…凹溝、56…補強リブ、57…突部、
58…嵌合爪、
60…軸連結部、62…雌ネジ孔、70…嵌合部材(嵌合部)、
80…ボルト(支持部)。
図1
図2
図3
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図10