【実施例】
【0042】
以下本発明を実施例によって、さらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
なお、実施例中の数値は以下のような方法で測定した値である。
【0043】
(平均繊維径)
不織布の表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率100倍)を撮影し、その写真からn=30にて繊維径を測定した平均値を算出した。
【0044】
(目付)
200mm×200mmの試料を使用し、80℃の恒温槽中に30分放置後、デシケータ(乾燥剤:シリカゲル)中で30分放置する。その後取り出し、感量10mgの化学天秤で測定して、m
2当りの重量に換算した。
【0045】
(通気抵抗)
図2に示す測定冶具により、試料大きさφ75mm、有効濾過面積φ50.5mm、濾材通過風速50cm/secの条件下で測定した。
【0046】
(厚み)
荷重686Paの圧力を加えた時の値を測定した。
【0047】
(剥離強度)
図4に示す様に測定する。試験片の大きさは幅50mm、長さ200mmとして、引張速度100mm/minとする。
図4のL寸法は、スタート時200mmで終了時280mm(剥離量40mm)とし、その間の平均値を剥離強度とする。なお強度の計測は株式会社島津製作所製オートグラフを用いた。
【0048】
(燃焼性)
FMVSS302に従ってMD方向、TD方向について試験を行い、合否を判定した。
【0049】
(トルエン脱臭性能)
25℃、相対湿度50%雰囲気中で、80ppmのトルエンガスを風速20cm/secにて試験濾材に通風した。通風1分後に濾材の上下流の濃度をそれぞれガステック製検知管で測定し、上流側のガス濃度から下流側のガス濃度を減じた値を上流側のガス濃度で除した値の百分率で示した。測定は6cm×6cmに切り取った濾材単板サンプルで行った。
【0050】
(プリーツ性)
レシプロ式のプリーツ加工機を用いて濾材幅200mm、プリーツ山高20mmにて300山連続してプリーツ加工を実施した。加工後の濾材の層間剥離および濾材破れが無いものをプリーツ加工性良好とした。
【0051】
[実施例1]
平均繊維径27μm、目付30g/m
2、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート繊維からなるスパンボンド不織布を上流カバー層として用いた。
活性炭として、平均粒径500μm、JIS K 1474(2007)活性炭試験法6.1.2の1/10トルエン蒸気平衡吸着量が30%であるヤシガラ系粒状活性炭と、熱可塑性粉末樹脂としてポリエチレン樹脂(平均粒径20μm、MI 24g/10min、融点106℃)とポリエステル系樹脂(平均粒径50μm、MI 13g/10min、融点115℃)を、10:0.5:0.5の重量比にて秤量し、均一になるまで撹拌混合した。この混合粉粒体を前記上流カバー層に総量100g/m
2になるように均一に散布した。
その上に鞘がポリエチレン樹脂、芯がポリエチレンテレフタレート樹脂からなる芯鞘型複合繊維スパンボンド不織布(平均20μm、目付20g/m
2、厚み0.2mm)を下流カバー層として重ね合わせ、テフロン(登録商標)/ガラス製のベルト間に挟み込み、このベルト間隔を0.5mm、圧力100kPaに設定し140℃、30秒間熱プレス加工実施した。その後冷却し所望の空気清浄用濾材を得た。
【0052】
[実施例2]
ヤシ殻活性炭とポリエチレン樹脂とポリエステル系樹脂の混合比率を10:1:1に変更した以外は実施例1と同様に実施し、空気清浄用濾材を得た。
【0053】
[実施例3]
ヤシ殻活性炭とポリエチレン樹脂とポリエステル系樹脂の混合比率を10:1.5:1.5に変更した以外は実施例1と同様に実施し、空気清浄用濾材を得た。
【0054】
[実施例4]
実施例3において、ポリエチレン樹脂をエチレン−アクリル酸共重合体(平均粒径10μm、MI 9g/10min、融点105℃)に変更した以外は実施例3と同様に実施し、空気清浄用濾材を得た。
【0055】
[実施例5]
実施例3において、ポリエチレン樹脂をエチレン−酢酸ビニル共重合体(平均粒径200μm、MI 12g/10min、融点97℃)に変更した以外は実施例3と同様に実施し、空気清浄用濾材を得た。
【0056】
[実施例6]
平均繊維径27μm、目付30g/m
2、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート繊維からなるスパンボンド不織布をビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛が0.1g/m
2、アクリルバインダー(ガラス転移点60℃)が10g/m
2となるよう配合比率を調整した水溶液に浸漬、乾燥して上流側カバー層を作成した。活性炭として、平均粒径500μm、JIS K 1474(2007)活性炭試験法6.1.2の1/10トルエン蒸気平衡吸着量が30%であるヤシガラ系粒状活性炭と、熱可塑性粉末樹脂としてポリエチレン樹脂(平均粒径20μm、MI 24g/10min、融点106℃)とポリエステル系樹脂(平均粒径50μm、MI 13g/10min、融点115℃)を、10:1.5:1.5の重量比にて秤量し、均一になるまで撹拌混合した。この混合粉粒体を前記上流カバー層に総量100g/m
2になるように均一に散布した。
その上に鞘がポリエチレン樹脂、芯がポリエチレンテレフタレート樹脂からなる芯鞘型複合繊維スパンボンド不織布(平均20μm、目付20g/m
2、厚み0.2mm)を下流カバー層として重ね合わせ、テフロン(登録商標)/ガラス製のベルト間に挟み込み、このベルト間隔を0.5mm、圧力100kPaに設定し140℃、30秒間熱プレス加工実施した。その後冷却し所望の空気清浄用濾材を得た。
【0057】
[比較例1]
鞘がポリエチレン樹脂、芯がポリエチレンテレフタレート樹脂からなる芯鞘型複合繊維スパンボンド不織布(平均20μm、目付20g/m
2、厚み0.2mm)を上流カバー層として用いた。
活性炭として、平均粒径500μm、JIS K 1474(2007)活性炭試験法6.1.2の1/10トルエン蒸気平衡吸着量が30%であるヤシガラ系粒状活性炭と、熱可塑性粉末樹脂としてポリエチレン樹脂(平均粒径20μm、MI 24g/10min、融点106℃)とポリエステル系樹脂(平均粒径50μm、MI 13g/10min、融点115℃)を、10:1.5:1.5の重量比にて秤量し、均一になるまで撹拌混合した。この混合粉粒体を前記上流カバー層に総量100g/m
2になるように均一に散布した。
その上に上流カバー層と同じ不織布を下流カバー層として重ね合わせ、テフロン(登録商標)/ガラス製のベルト間に挟み込み、このベルト間隔を0.5mm、圧力100kPaに設定し140℃、30秒間熱プレス加工実施した。その後冷却し所望の空気清浄用濾材を得た。
【0058】
[比較例2]
上流カバー層および下流カバー層ともに平均繊維径27μm、目付30g/m
2、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート繊維からなるスパンボンド不織布を用いた以外は、比較例1と同様にして作成し空気清浄用濾材を得た。
【0059】
[比較例3]
平均繊維径27μm、目付30g/m
2、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート繊維からなるスパンボンド不織布を上流カバー層として用いた。
活性炭として、平均粒径500μm、JIS K 1474(2007)活性炭試験法6.1.2の1/10トルエン蒸気平衡吸着量が30%であるヤシガラ系粒状活性炭と、熱可塑性粉末樹脂としてポリエステル系樹脂(平均粒径50μm、MI 13g/10min、融点115℃)を、10:3の重量比にて秤量し、均一になるまで撹拌混合した。この混合粉粒体を前記上流カバー層に総量100g/m
2になるように均一に散布した。
その上に鞘がポリエチレン樹脂、芯がポリエチレンテレフタレート樹脂からなる芯鞘型複合繊維スパンボンド不織布(平均20μm、目付20g/m
2、厚み0.2mm)を下流カバー層として重ね合わせ、テフロン(登録商標)/ガラス製のベルト間に挟み込み、このベルト間隔を0.5mm、圧力100kPaに設定し140℃、30秒間熱プレス加工実施した。その後冷却し所望の空気清浄用濾材を得た。
【0060】
[比較例4]
熱可塑性粉末樹脂としてポリエチレン樹脂(平均粒径20μm、MI 24g/10min、融点106℃)を使用した以外は比較例3と同様の方法にて空気清浄用濾材を得た。
【0061】
[比較例5]
鞘がポリエチレン樹脂、芯がポリエチレンテレフタレート樹脂からなる芯鞘型複合繊維スパンボンド不織布(平均20μm、目付20g/m
2、厚み0.2mm)を上流カバー層として用いた。
活性炭として、平均粒径500μm、JIS K 1474(2007)活性炭試験法6.1.2の1/10トルエン蒸気平衡吸着量が30%であるヤシガラ系粒状活性炭と、熱可塑性粉末樹脂としてポリエチレン樹脂(平均粒径20μm、MI 24g/10min、融点106℃)を、10:3の重量比にて秤量し、均一になるまで撹拌混合した。この混合粉粒体を前記上流カバー層に総量100g/m
2になるように均一に散布した。
その上に上流カバー層と同じ不織布を下流カバー層として重ね合わせ、テフロン(登録商標)/ガラス製のベルト間に挟み込み、このベルト間隔を0.5mm、圧力100kPaに設定し140℃、30秒間熱プレス加工実施した。その後冷却し所望の空気清浄用濾材を得た。
【0062】
[比較例6]
平均繊維径27μm、目付30g/m
2、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート繊維からなるスパンボンド不織布を上流カバー層として用いた。
活性炭として、平均粒径500μm、JIS K 1474(2007)活性炭試験法6.1.2の1/10トルエン蒸気平衡吸着量が30%であるヤシガラ系粒状活性炭と、熱可塑性粉末樹脂としてポリエステル系樹脂(平均粒径50μm、MI 13g/10min、融点115℃)を、10:5の重量比にて秤量し、均一になるまで撹拌混合した。この混合粉粒体を前記上流カバー層に総量100g/m
2になるように均一に散布した。
その上に鞘がポリエチレン樹脂、芯がポリエチレンテレフタレート樹脂からなる芯鞘型複合繊維スパンボンド不織布(平均20μm、目付20g/m
2、厚み0.2mm)を下流カバー層として重ね合わせ、テフロン(登録商標)/ガラス製のベルト間に挟み込み、このベルト間隔を0.5mm、圧力100kPaに設定し140℃、30秒間熱プレス加工実施した。その後冷却し所望の空気清浄用濾材を得た。
【0063】
以上、実施例および比較例にて得られた空気清浄用濾材について通気抵抗、剥離強度、燃焼性、トルエン脱臭性能、プリーツ加工性の評価を実施した。実施した結果を表1および表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
実施例1〜6は通気抵抗が低く、さらにポリエチレンテレフタレート不織布をカバー材に含み、またポリエステル系樹脂バインダーが併用されているので燃焼性に優れ、剥離強度が高いため、プリーツ加工時に濾材が剥離したり破れることもなく加工性は良好である。
一方、比較例1、2ではカバー層の材質が1種に対して、熱可塑性樹脂の材質が2種であるため、接着性に劣り剥離強度が低くプリーツ加工性に劣る。比較例3、4ではカバー層の材質が2種であるが、熱可塑性樹脂の材質が1種であり剥離強度が低く、加工性に劣っている。比較例5では剥離強度は高いが燃焼性に劣っている。さらに比較例6では熱可塑性樹脂の増量により剥離強度は高いが通気抵抗も高くなっており濾材として使用できない。