(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記研磨剤の平均一次粒径が前記外添剤の平均一次粒径よりも大きく、前記研磨剤の平均一次粒径が0.01〜10μmである、請求項1又は2に記載の静電荷像現像剤。
前記外添剤の添加量が、前記トナー母粒子に対する前記外添剤の被覆率が100%となる量に加え、更に前記研磨剤に対する前記外添剤の被覆率が0%を超え100%以下となる量である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像剤。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、「X〜Y」との記載は、XからYの間の範囲だけでなく、その両端であるX及びYも含む範囲を表す。例えば、「X〜Y」が数値範囲であれば、数値の大小に応じて「X以上Y以下」又は「X以下Y以上」を表す。
【0012】
1.静電荷像現像剤
本実施形態の静電荷像現像剤は、トナー母粒子、及び、外添剤を含む静電荷像現像トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)、並びに、前記外添剤と逆極性を有する帯電制御剤が表面に付着した研磨剤、を含有することを特徴とする。
本実施形態の静電荷像現像剤は、二成分現像剤であっても、一成分現像剤であってもよいが、非磁性一成分現像剤として好適に用いることができ、非磁性一成分接触現像方式による静電荷像現像剤としてより好適に用いることができ、また、クリーナレス(現像同時クリーニング)方式を用いた画像形成装置に用いることが特に好ましい。
【0013】
電子写真プロセスでは、撹拌/帯電/現像/転写/回収を繰り返すことで、トナー表面の外添剤が脱離/遊離し、現像ローラ上や像保持体(「感光体」ともいう。)に移行する。移行した外添剤は、帯電不良を引き起こしたり、トナーの樹脂成分やワックスなどの固着を誘発させて筋や白点/色点などの印字障害の要因となっている。外添剤の遊離は粒径/形状/表面処理などと関連しており、小粒径のものや異形のものは遊離し難いが付着すると剥がれ難く、大粒径のものや真球形、表面をオイル処理したのものなどは遊離し易いために、トナーとして長期間での安定性が得られないといった問題がある。
【0014】
従来、現像ローラ表面では、現像ローラと外添剤を介してトナー母粒子が付着しているが、現像の際には、外添剤の一部がトナー母粒子から脱離してローラ表面に残る。脱離した外添剤は、再度、トナーと接触した際にトナー側に付着回収されるが、一般的には外添剤とトナー母粒子は同極性のため回収力が十分ではなく、現像ローラ表面に定常的に残っていく。
本発明者らが鋭意検討した結果、トナー母粒子及び外添剤と逆極性の研磨剤を添加することで、接触した際に剥がれ易くなり、現像ローラから回収されることでトナー成分の固着によるフィルミングを抑制することができることを見いだした。同様に、感光体上に転写残りとして付着したトナー及び外添剤についても、逆極性の研磨剤が接触した際に剥がれ易くなり、トナー成分の固着によるフィルミングを抑制することができることを本発明者らは見いだした。
また、感光体上に移行した外添剤による帯電不良や印字障害により引き起こされると推定される画像濃度の低下についても、本実施形態の静電荷像現像剤を使用することにより、連続使用時においても画像濃度に優れることを本発明者らは見いだした。
【0015】
本実施形態の静電荷像現像剤において、外添剤と、研磨剤表面に付着している帯電制御剤とは、逆極性に帯電しており、トナー母粒子及び外添剤と、前記帯電制御剤とは、逆極性に帯電していることがより好ましい。上記態様であると、現像時に感光体上に移行し転写後に残存する外添剤を電気的に付着させることにより、特に、非磁性一成分現像方式クリーナレスシステムであっても、外添剤フィルミングの発生をより抑制し、画像欠陥のより少ない画像が得られる。また、トナー母粒子と外添剤とは、同極性に帯電していることが好ましい。
非磁性一成分現像方式では、二成分現像とは異なり、キャリアのように現像後のトナー担持体上にカウンターチャージを持つ粒子は存在しないため、感光体上に移行した粒子を電気的にスキャベンジすることは困難である。また、非磁性一成分接触現像では、帯電したトナーを直流(DC)電圧のみで飛翔させ現像する非接触DC現像が一般的に用いらているため、感光体上の外添剤を電気的に現像ロールへ戻す力は働かない。そのため、本実施形態の静電荷像現像剤の効果がより発揮される。
【0016】
本実施形態の静電荷像現像剤における研磨剤表面に付着している帯電制御剤の帯電極性は、負帯電性であっても、正帯電性であってもよいが、負帯電性であることが好ましい。
すなわち、前記帯電制御剤が負帯電性である場合は、上述したように、外添剤が正帯電であることが好ましく、外添剤及びトナー母粒子が正帯電であることがより好ましい。
また、前記帯電制御剤が正帯電性である場合、上述したように、外添剤が負帯電であることが好ましく、外添剤及びトナー母粒子が負帯電であることがより好ましい。
【0017】
1−1.静電荷像現像トナー
本実施形態において、静電荷像現像トナーは、トナー母粒子と外添剤とを含有する。トナー母粒子は、結着樹脂を少なくとも含有することが好ましく、必要に応じて着色剤、離型剤等を含有する。
本実施形態における静電荷像現像トナーは、非磁性一成分トナーとして好適に用いられる。
【0018】
(トナー母粒子)
(1)結着樹脂
トナー母粒子が含有する結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体、更にはこれらの混合物が挙げられる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合樹脂、又は、これらと前記ビニル樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0019】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂は、例えば、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を、単独又は適宜組み合わせて公知の方法により得られる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びこれらの共重合樹脂を結着樹脂として使用する場合、重量平均分子量Mwが20,000以上100,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上30,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。
【0020】
これらの中でも、結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
本実施形態に使用されるポリエステル樹脂は、ポリオール成分とポリカルボン酸成分から重縮合により合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。更に、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
三価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、エチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸は、エチレン性不飽和二重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0021】
多価アルコール成分としては、二価の多価アルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1.5〜6)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
三価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂(「非結晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)では、前記した原料モノマーの中でも、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
【0022】
また、トナーに低温定着性を付与するために結着樹脂の一部として結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂では、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましく、主鎖部分の炭素数が4〜20である直鎖型ジカルボン酸、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。また、炭素数が4以上であると、エステル結合濃度が低く、電気抵抗が適度であり、トナー帯電性に優れる。また、20以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0023】
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、又は、その低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
多価カルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性。及び、低温定着性に優れる。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
【0025】
本実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度Tmは、50〜100℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましく、50〜80℃であることが更に好ましい。上記範囲であると、剥離性及び低温定着性に優れ、更にオフセットが低減できるので好ましい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度の測定には、示差走査熱量計を用い、室温(20℃)から180℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂は、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融解温度とみなす。
【0026】
一方、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、30℃以上であることが好ましく、30〜100℃であることがより好ましく、50〜80℃であることが更に好ましい。上記範囲であると、使用状態においてガラス状態であるため、画像形成時に受ける熱や圧力によってトナー粒子が凝集することがなく、機内に付着堆積することがなく、長期間にわたって安定した画像形成能が得られる。
ここで、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法に従い、例えば、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度が得られる。
【0027】
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、10,000〜60,000であることが好ましく、15,000〜45,000であることがより好ましく、20,000〜30,000であることが更に好ましい。
また、非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜90,000であることがより好ましく、20,000〜80,000であることが更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、それぞれ上記の数値の範囲内であると、画像強度と定着性が両立されるので好ましい。上記の重量平均分子量は、いずれもテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で得られる。樹脂の分子量はTHF可溶物をTSK−GEL(GMH(東ソー(株)製))等を使用して、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出される。
【0028】
前記結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、1〜50mgKOH/gであることが好ましく、5〜50mgKOH/gであることがより好ましく、8〜50mgKOH/gであることが更に好ましい。上記範囲であると、定着特性及び帯電安定性に優れるので好ましい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
【0029】
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。また、金属触媒やブレンステッド酸触媒等の重縮合触媒を使用することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造してもよい。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150℃〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価や分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
【0030】
結着樹脂のガラス転移温度は、40℃以上80℃以下の範囲にあることが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲であることにより、最低定着温度が維持されやすくなる。
トナー母粒子における結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、トナーの全重量に対して、10〜95重量%であることが好ましく、25〜90重量%であることがより好ましく、45〜85重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、定着性、帯電特性等に優れる。
【0031】
(2)着色剤
本実施形態において、得られる画像の着色を目的として、トナー母粒子は着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性等の観点から任意に選択すればよい。
着色剤は、染料であっても顔料であってもよいが、耐光性や耐水性の観点から、顔料であることが好ましい。また、着色剤は有色着色剤に限定されるものではなく、白色着色剤、金属色を呈する着色剤であってもよい。
【0032】
例えばシアントナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などが用いられる。
マゼンタトナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同70、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同185、同202、同206、同207、同209、同238等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが用いられる。
イエロートナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同74、同93、同97、同128、同155、同180、同185、同139等のイエロー顔料などが用いられる。
また、ブラックトナーにおいては、その着色剤として、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、磁性粉、Mn含有の非磁性粉などが用いられる。また、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー顔料を混合して、ブラックトナーとしてもよい。
着色剤としては、表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用してもよい。上記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等のカラートナーが調製される。
【0033】
着色剤の使用量は、特に制限はないが、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
【0034】
なお、本実施形態において、着色剤を含有しないクリアトナー(透明トナー)を含むトナーセットとしてカラー画像を形成してもよい。光沢付与が望まれるカラートナー像に対し、その上ないし周辺に転写定着することで良好な光沢画像を得るためのクリアトナーとして好適に使用される。
【0035】
(3)離型剤
本実施形態において、トナー母粒子は離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0036】
離型剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましく、3〜15重量%であることがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
【0037】
(4)帯電極性
本実施形態において、トナー母粒子及びトナーの帯電性を制御するため、トナー母粒子表面を表面処理してもよいし、トナー母粒子に帯電制御剤を添加してもよいが、トナー母粒子表面を表面処理することが好ましい。
なお、特に帯電性を制御しない場合、負帯電のトナー母粒子となることが多い。
トナー母粒子が正帯電となるように表面処理する方法としては、ポリアリルアミン類やポリアミノプロピルビグアナイド(ポリヘキサナイド)等をトナー母粒子表面に付着又は反応させる方法が好適に挙げられる。
前記ポリアリルアミン類やポリアミノプロピルビグアナイドにおけるアミノ基やビグアナイド基は、塩を形成していてもよい。
また、前記ポリアリルアミン類におけるアミノ基は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、及び/又は、第3級アミノ基であってもよい。
ポリアリルアミン類としては、ポリアリルアミン、アリルアミン塩重合体、メチルジアリルアミン塩重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ポリジアリルアミン、ジアリルアミン塩重合体等が挙げられる。
また、市販のポリアリルアミン類としては、ニットーボーメディカル(株)製のPAAシリーズ及びPASシリーズ等が挙げられる。
【0038】
また、ポリアリルアミン類やポリアミノプロピルビグアナイド等によるトナー母粒子の表面処理方法としては、トナー母粒子を含む分散液にポリアリルアミン類やポリアミノプロピルビグアナイド等を添加し、分散液のpHを5〜7に調整して、当該pHで維持し、表面処置を行う方法が好ましく挙げられる。
ポリアリルアミン類やポリアミノプロピルビグアナイドの添加量は、トナー母粒子の全重量に対し、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜2重量%であることがより好ましく、0.05〜0.1重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、正帯電量がより多く、また、正帯電安定性に優れるトナーが容易に得られる。
【0039】
また、トナー母粒子に添加してもよい帯電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩、及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料;高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミノアクリル系樹脂、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
また、負帯電性の帯電制御剤としては、例えば、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/又はスルホニル基を含有する樹脂等が挙げられる。
これらの帯電制御剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤の添加量は、トナー母粒子の全重量に対して、0.1〜5重量%であることが好ましい。添加量が上記範囲内であると、良好な帯電性が得られる。
【0040】
(5)その他の成分
本実施形態において、トナー母粒子は上記の成分に加え、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、無機粒子、有機粒子、滑剤、研磨剤等が例示される。
【0041】
トナー粒子の形状係数SF1が、125以上140以下が好ましく、125以上135以下がより好ましく、130以上135以下が更に好ましい。
トナー粒子の形状係数SF1は、下記式により求められる。
・式:形状係数SF1=(ML
2/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナー粒子の光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0042】
(外添剤)
本実施形態において、非磁性一成分トナーは、トナー母粒子と外添剤とを含有する。外添剤を使用することにより、トナー母粒子に、適度な流動性及び帯電性を与え、また、電荷交換性が向上する。
外添剤としては、無機粒子及び有機粒子が例示されるが、無機粒子であることが好ましい。
無機粒子の材質としては、例えば、シリカ、酸化チタン等が挙げられる。
有機粒子としては、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂及びスチレン系樹脂などの樹脂粒子が挙げられ、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等の粒子が挙げられる。
これらの中でも、シリカ粒子又は酸化チタン粒子が好ましく、シリカ粒子がより好ましい。
【0043】
また、外添剤としては、表面をシランカップリング剤またはシリコーンオイル等で疎水化処理したシリカ粒子が更に好ましく挙げられ、シリコーンオイル処理シリカ粒子が特に好ましく挙げられる。疎水性シリカ粒子としては、RA200H(日本アエロジル(株)製)、HVK2150、H30TA(クラリアント社製)などが用いられる。
外添剤は、更に必要に応じ所望の添加剤とともに、ヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合し、トナー母粒子に外添してもよい。
【0044】
本実施形態の静電荷像現像剤における外添剤の添加量は、トナー母粒子に対する外添剤の被覆率が100%となる量よりも大きいことが好ましく、前記トナー母粒子に対する前記外添剤の被覆率が100%となる量よりも大きく、かつ前記トナー母粒子及び前記研磨剤に対する前記外添剤の被覆率が100%となる量よりも小さいことがより好ましい。上記態様であると、感光体表面への外添剤を含むトナー成分のフィルミングがより抑制され、画像濃度により優れる。
また、外添剤の添加量がトナー母粒子に対する外添剤の被覆率が100%となる量よりも大きい場合、本実施形態の静電荷像現像剤における外添剤の添加量は、トナー母粒子に対する外添剤の被覆率が100%となる量に加え、更に研磨剤に対する外添剤の被覆率が0%を超え100%以下であることが好ましく、0%を超え50%以下であることがより好ましく、1〜35%であることが更に好ましく、5〜25%であることが特に好ましい。上記態様であると、感光体表面への外添剤を含むトナー成分のフィルミングがより抑制され、画像濃度により優れる。
【0045】
トナー母粒子に対する外添剤の被覆率の算出方法としては、以下の方法が好適に挙げられる。また、研磨剤に対する外添剤の被覆率の算出方法は、以下の方法において、トナー母粒子の代わりに研磨剤を適用すればよい。
製造時の処方から算出する方法としては、以下の式により算出する方法が挙げられる。
被覆率(%)=√3/2π×(D・ρt)/(d・ρs)×C×100
(式中、Dはトナー母粒子の体積中位粒径(D
50)(μm)、dは外添剤の平均粒径(μm)、ρtはトナー母粒子の比重、ρsは外添剤の比重、Cはトナー母粒子と外添剤の重量比(外添剤/トナー母粒子)を示す。)
また、静電荷像現像剤又は静電荷像現像剤から求める方法としては、以下の方法が好適に挙げられる。
まず外添剤が配合されたトナー中の、トナー粒子(トナー母粒子の表面に外添剤が付着している粒子)の走査電子顕微鏡像を、3万倍以上の視野で撮影する。このとき、トナー母粒子のなるべく平坦な表面を撮像することが好ましい。次いで、得られた画像について、画像解析にて、1個のトナー粒子におけるトナー母粒子の面積及び外添剤の投影面積を求め、下記式(2)により、トナー粒子1個についての外添剤被覆率を計算する。
外添剤被覆率=(外添剤の投影面積の合計/トナー母粒子の面積)×100(%)・・・(2)
そして、視野内の各トナー粒子それぞれについて、トナー粒子1個についての外添剤被覆率を求め、これらの値を平均した平均値を「外添剤被覆率(単位:%)」とする。
【0046】
外添剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、特に限定されないが、2種以上を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましい。
外添剤の体積平均粒径は、1〜200nmであることが好ましく、1〜100nmであることがより好ましく、3〜80nmであることが更に好ましく、5〜50nmであることが特に好ましく、10〜40nmであることが最も好ましい。上記態様であると、本実施形態の効果がより発揮される。
外添剤の添加量としては、トナー母粒子100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましく、0.5〜5重量部であることが更に好ましい。
【0047】
(トナーの製造方法及びトナー物性)
<トナー物性>
トナーの体積平均粒径は、2μm以上12μm以下が好ましく、2.5μm以上10μm以下がより好ましく、3μm以上9μm以下が更に好ましい。トナーの体積平均粒径が上記範囲内であると、流動性に優れ、また、高解像度な画像が得られる。
なお、トナー、トナー母粒子等の粒子の平均粒径測定には、コールターマルチサイザー−II型(ベックマン・コールター社製)を用いて好適に測定される。この場合、粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定される。粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を体積D
50v、数D
50pと定義する。体積平均粒径はD
50vとして算出され、数平均粒径はD
50pとして算出される。
【0048】
<トナーの製造方法>
本実施形態において、トナーの製造方法は、特に制限はなく、公知の方法により製造すればよい。
例えば、結着樹脂、着色剤、必要に応じて、離型剤、帯電制御剤等の成分を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練し、この後、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で微粉砕し、風力分級機により、目的とする粒径のトナー粒子を得る混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた不定形状のトナー粒子を機械的な衝撃力により球形化して作製する乾式の高速機械衝撃法;分散媒中で不定形状トナーを球形化して作成する湿式溶融球形化法;結着樹脂を乳化させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法;結着樹脂を得るための単量体、着色剤、及び、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂、着色剤、及び、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等;が使用される。また上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造を形成する製造方法を行ってもよい。
これらの中でも、本実施態様における静電荷像現像トナー(トナー母粒子)は、混練粉砕法又は乳化凝集法を用いて製造されたトナーであることが好ましい。
【0049】
外添剤をトナー母粒子へ外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には例えば、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて乾式でトナー母粒子表面に付着する方法、外添剤を液体に分散させた後、スラリー状態のトナーに添加し乾燥させ表面に付着する方法、又は、湿式方法として、乾燥トナーにスラリーをスプレーしながら乾燥する方法が挙げられる。
【0050】
1−2.研磨剤
本実施形態の静電荷像現像剤は、前記外添剤と逆極性を有する帯電制御剤が表面に付着した研磨剤を含有する。
研磨剤の材質としては、酸化セリウム(CeO
2)、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、炭化ケイ素などが用いられる。
これらの中でも、酸化セリウム又はアルミナが好ましく、酸化セリウムが特に好ましい。上記態様であると、感光体表面への外添剤を含むトナー成分のフィルミングがより抑制され、画像濃度により優れる。
このような研磨剤の粒子としては、具体的には例えば、三井金属鉱業(株)製の酸化セリウム(CeO
2)(商品名:E−05、E−10又はE−30)、住友化学(株)製のアルミナ(商品名:AKPシリーズ又はHIPシリーズ)、キャボット社製のアルミナ(商品名:EP−BT0409)、共立窯業原料(株)製のチタン酸ストロンチウム(商品名:ST−03)、イビデン(株)製の炭化ケイ素(商品名:ウルトラファイン)などが挙げられる。
【0051】
本実施形態に用いられる研磨剤粒子は、前記外添剤と逆極性を有する帯電制御剤が表面に付着した粒子である。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、例えば、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、モノアゾ鉄錯体、第四級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられる。
このような帯電制御剤としては、具体的には例えば、クロム錯塩型アゾ染料S−32,33,34,35,37,38,40,44(オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスビロンブラックTRH、BHH(保土谷化学工業(株)製)、モノアゾ鉄錯体T159,T129(保土谷化学工業(株)製)、カヤセットブラックT−22,004(日本化薬(株)製)、アルミニウム錯塩E−86(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、カリックスアレーン化合物等を使用することができる。
これらの中でも、研磨剤における負帯電性の帯電制御剤としては、金属錯化合物であることが好ましく、クロム錯塩化合物、アルミニウム錯塩化合物又は鉄錯塩化合物であることがより好ましく、クロム錯塩化合物であることが更に好ましい。上記態様であると、感光体表面への外添剤を含むトナー成分のフィルミングがより抑制され、画像濃度により優れる。
また、研磨剤における正帯電性の帯電制御剤としては、第四級アンモニウム塩化合物であることが好ましい。上記態様であると、感光体表面への外添剤を含むトナー成分のフィルミングがより抑制され、画像濃度により優れる。
【0052】
研磨剤表面への帯電制御剤の付着方法については、特に制限はなく、公知の方法により行えばよいが、帯電制御剤を溶解させた水混合性有機溶媒と水の混合溶液に研磨剤を分散し、冷却又は水を滴下させる方法が好適に挙げられる。
本実施形態に使用される水混和性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチルなどのエステル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類が用いられ、帯電制御剤の種類によって適宜選択される。帯電制御剤は、水混和性有機溶媒に対する溶解度が、0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、更に水に対する溶解度が0.01未満であることが好ましく、0.001未満であることがより好ましい。例えば、Cr錯塩型アゾ系帯電制御剤、Cr錯塩型アルキルサリチル酸系帯電制御剤、1:2型Cr錯塩系帯電制御剤、Zn錯塩型オキシカルボン酸系帯電制御剤、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo,Cr,Feの金属錯体等の負帯電性の帯電制御剤が好適に用いられる。
【0053】
本実施形態において、研磨剤の平均粒径(体積平均粒径)は、外添剤の平均粒径よりも大きいことが好ましく、研磨剤の平均粒径が外添剤の平均粒径の5〜100倍であることがより好ましく、研磨剤の平均粒径が外添剤の平均粒径の10〜100倍であることが更に好ましい。上記態様であると、感光体表面の研磨効果を十分得られ、感光体表面への外添剤を含むトナー成分のフィルミングがより抑制され、また、得られる画像の画像濃度により優れる。
また、研磨剤の体積平均粒径は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましく、0.1μmを超え〜2μmであることが更に好ましく、0.3〜1μmであることが特に好ましい。上記範囲であると、感光体表面への外添剤を含むトナー成分のフィルミングがより抑制され、画像濃度により優れる。
研磨剤や外添剤の体積平均粒径の測定は、以下の方法により測定するものとする。
測定装置としては、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定し、電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用する。
測定法としては、まず、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、重量又は体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径をそれぞれ重量平均粒径又は体積平均粒径と定義する。
【0054】
本実施形態の静電荷像現像剤における、研磨剤の含有量は、静電荷像現像トナー100重量部に対して、0.01〜15重量部であることが好ましく、0.05〜8重量部であることがより好ましく、0.1〜5重量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、感光体表面への外添剤を含むトナー成分のフィルミングがより抑制され、画像濃度により優れる。
なお、本実施形態の静電荷像現像剤中におけるトナー母粒子と、外添剤と、研磨剤との分離方法としては、特に制限はなく、公知の方法により分離すればよいが、例えば、遠心分離法や篩分法等が挙げられる。
【0055】
1−3.キャリア
本実施形態の静電荷像現像剤は、非磁性一成分現像剤や二成分現像剤として好適に用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に用いられるキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。また、マトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0056】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
また、キャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、10μm以上500μm以下の範囲であることが好ましく、30μm以上100μm以下の範囲であることがより好ましい。
【0058】
また、キャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、及び、必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0059】
前記二成分現像剤における静電荷像現像トナーとキャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100の範囲であることが好ましく、3:100〜20:100の範囲であることがより好ましい。
また、本実施形態の静電荷像現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
【0060】
2.プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置
本実施形態の画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像ロール上に現像剤層を形成し、前記像保持体に接触して静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を被転写体に転写する転写工程と、前記被転写体に前記トナー像を定着する定着工程と、を含み、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であることを特徴とする。
また、本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記像保持体の表面に静電潜像を形成させる露光手段と、前記静電潜像を、トナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を被転写体の表面に転写する転写手段と、前記被転写体の表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であることを特徴とする。
【0061】
前記各工程及び各手段は、それ自体一般的であり、例えば、特開2012−203369号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ基等の画像形成装置を用いて実施することができる。
【0062】
前記潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
被記録媒体としては、公知のものを使用することができ、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態の画像形成方法は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング工程を有していてもよいが、クリーニング工程を有しないことが好ましい。
また、本実施形態の画像形成装置は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング手段を有していてもよいが、クリーニング手段を有しないことが好ましい。
【0063】
本実施形態の画像形成方法においては、更にリサイクル工程をも含む態様でもよい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施される。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムに適用してもよい。
【0064】
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して該像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段とを有し、前記現像剤が、本実施形態の静電荷像現像剤であることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段を少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、除電手段等を含んでいてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
【0065】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
【0066】
本実施形態の静電荷像現像剤は、静電荷像現像トナーとして非磁性一成分トナーを使用した非磁性一成分現像剤として好適に用いられる。
非磁性一成分現像剤を用いて現像する画像形成装置の一例について、
図1及び
図2を用いて以下に説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成方法により画像を形成するための、タンデム方式の画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置100は、ハウジング50内において4つの電子写真感光体(像保持体)1Y、1M、1C、1Kが中間転写ベルト20に沿って相互に並列に配置されている。電子写真感光体1K、1C、1M、1Yは、例えば、電子写真感光体1Yがイエロー、電子写真感光体1Mがマゼンタ、電子写真感光体1Cがシアン、電子写真感光体1Kがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成することが可能である。
【0067】
電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール2Y、2M、2C、2K、現像装置4Y、4M、4C、4K、1次転写ロール5Y、5M、5C、5K、が配置されている。この場合には、それぞれの電子写真感光体と現像装置が同一のユニットすなわち、プロセスカートリッジとして装着できるように構成されている。1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ中間転写ベルト20を介して電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kに当接している。
更に、ハウジング50内の所定の位置には露光装置3が配置されており、露光装置3から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写の各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト20上に重ねて転写される。
ここで、帯電ロール2Y、2M、2C、2Kは、電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて感光体に電圧を印加し、感光体表面を予め定められた電位に帯電させるものである(帯電工程)。なお、本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム若しくは帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行ってもよい。また、コロトロン若しくはスコロトロンを用いた非接触方式による帯電を行ってもよい。
【0068】
露光装置3としては、電子写真感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。
現像装置4Y、4M、4C、4Kには、後述する非磁性一成分トナー又は非磁性一成分現像剤を接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行うことができる(現像工程)。そのような現像装置としては、非磁性一成分トナー又は非磁性一成分現像剤を用いる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものを選択することができる。一次転写工程では、1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kに、像保持体上のトナーと逆極性の1次転写バイアスが印加されることで、像保持体から中間転写ベルト20へ各色のトナーが順次1次転写される。
【0069】
中間転写ベルト20は駆動ロール22、バックアップロール24により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール26は、中間転写ベルト20を介してバックアップロール24と当接するように配置されている。
2次転写ロール26に、中間転写ベルト20上のトナーと逆極性の2次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト20から被記録媒体Pへトナーが2次転写される。バックアップロール24と2次転写ロール26との間を通った中間転写ベルト20は、例えば駆動ロール22の近傍に配置されたクリーニングブレードを有するクリーニングユニット30或いは、除電器(不図示)により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。また、ハウジング100内の所定の位置にはトレイ(被記録媒体トレイ)40が設けられており、トレイ40内の紙などの被記録媒体Pが移送ロール30により中間転写ベルト20と2次転写ロール26との間、更には相互に当接する2個の定着ロール28の間に順次移送された後、ハウジング100の外部に排紙される。また、本実施形態の画像形成装置は、クリーニングユニット30を有しない装置がより好適に挙げられる。
【0070】
次に、現像装置について詳述する。
図2に示すように、現像装置4は、不図示の駆動源によって矢印A方向に回転可能な像保持体1と当接するように配置され、像保持体(感光体)1の回転に伴い矢印B方向に従動回転可能な現像ロール52と、現像ロール52に接続されたバイアス電源54と、現像ロール52の回転方向において現像ロール52と像保持体1との当接部よりも下流側の位置に、現像ロール52に圧接するように配置され、現像ロール52の回転に対して逆行するように矢印C方向に回転可能な現像剤かき取り部材56と、現像ロール52の回転方向において、現像ロール52と現像剤かき取り部材56との圧接部よりも下流側且つ現像ロール52と像保持体1との当接部の上流側の位置に、現像ロール52に当接するように配置されたトナー層規制部材58と、現像ロール52の像保持体56が配置された側と反対側に位置し、現像ロール52が配置された側に開口部を有する筐体62と、筐体62内に配置されたアジテーター60とから構成される。
【0071】
なお、トナー層規制部材58は、筐体62の開口部を閉鎖するように、その一旦が筐体62の開口部に固定されている。また、筐体62の開口部のトナー層規制部材58が取り付けられている側(開口部上側)と反対側(開口部下側)は、現像ロール52や現像剤かき取り部材56の下側を覆うように構成されている。ここで、現像剤(静電荷像現像剤)64は、筐体62の下側に堆積するように配置されており、現像ロール52の下側と筐体62の開口部下側との間の空間を隙間なく満たすと共に、トナーかき取り部材56を覆うように堆積している。また、現像剤64は筐体62内に設けられたアジテーター60により、適宜、筐体62内部から、現像ロール1が配置された筐体62開口部側へと供給されるようになっている。
【0072】
現像に際しては、まず、筐体62内の現像剤64が、アジテーター60から現像剤かき取り部材56により現像ロール52表面に供給される。次に、現像ロール52表面に付着した現像剤64が、トナー層規制部材58によって、現像ロール52表面に均一な厚みのトナー層を形成するように付着する。なお、このとき、現像ロール52上には、非磁性一成分トナー及び外添剤回収剤が均一な厚みのトナー層を形成するように付着している。続いて、静電潜像(不図示)が形成された像保持体1表面と、バイアス電源54によりバイアス電圧が印加された現像ロール52との間の電位差に応じて、現像ロール52表面に付着している現像剤64中の非磁性一成分トナーが、像保持体1側に移着し、静電潜像が現像される。なお、現像を終えた後の現像ロール52表面に残留している現像剤64は、現像剤かき取り部材56によってかき取られる。
【0073】
また、本実施形態において、像保持体の外添剤を、現像ロールを介して現像装置に回収するクリーニング工程を更に含むことが好ましい。
図2を参照して説明すれば、本実施形態において転写工程後に像保持体1に残留する外添剤(不図示)は、像保持体1と現像ロール52との接触により、現像ロール52へと移行し、現像装置4に回収されることが好ましい。これにより、像保持体のクリーニング手段やクリーニング工程を別途設けることなく、像保持体の転写残トナーがクリーニングされる。このとき、像保持体1と接触する現像現像ロール52上には、外添剤回収剤が存在しており、この外添剤回収剤と外添剤が接触することで外添剤が像保持体1から外添剤回収剤表面への移行し、これによって外添剤は外添剤回収剤と共に現像装置4に回収される。
なお、上記のクリーニング工程において、感光体上の転写残トナーも現像ロールを介して現像装置に回収されることが好ましい。
【0074】
本実施形態において、像保持体と現像ロールは
図2に示すように、順方向に回転しながら接触することが好ましい。順方向に回転しながら接触することにより、接触時間をより多くすることができる。
また、このとき、像保持体に対する現像ロールの相対速度が1.1倍〜2.5倍であることが好ましい。すなわち、像保持体の回転速度を1としたとき、現像ロールの回転速度が1.1〜2.5であることが好ましい。現像ロールの回転速度を像保持体の回転速度よりも速くすることにより、現像量(感光体に移行する非磁性一成分トナーの量)を増やすことができるので好ましい。
像保持体に対する現像ロールの相対速度は、1.1倍〜2.5倍であることが好ましく、1.15倍〜2.0倍であることがより好ましく、1.2倍〜1.8倍であることが更に好ましい。
【0075】
本実施形態において、画像形成装置は、プロセスカートリッジを備えることが好ましい。すなわち、それぞれの電子写真感光体と現像装置がプロセスカートリッジとして装着できるように構成されていることが好ましい。
本実施形態のプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱され、本実施形態の静電荷像現像剤を収容し、かつ像保持体の表面に形成された静電潜像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備えることを特徴とする。
【実施例】
【0076】
以下に実施例を参照して本実施態様について更に説明するが、本実施態様はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0077】
<被覆率の算出方法>
トナー母粒子に対する外添剤の被覆率(C1)は、以下の式により算出した。
被覆率(%)=√3/2π×(D・ρt)/(d・ρs)×C×100
(式中、Dはトナー母粒子の体積平均粒径(D
50)(μm)、dは外添剤の平均粒径(μm)、ρtはトナー母粒子の比重、ρsは外添剤の比重、Cはトナー母粒子と外添剤との重量比(外添剤/トナー母粒子)を示す。)
また、トナー母粒子に対する外添剤の被覆率100%の外添剤を除いた研磨剤に対する外添剤の被覆率(C2)は、前記C1からトナー母粒子に対する外添剤の被覆率100%分を除いた外添剤の量について、上記式におけるトナー母粒子を研磨剤に置き換え、算出した。
【0078】
<トナー及びトナー母粒子の体積平均粒径の測定方法>
トナー及びトナー母粒子の体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、まず、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000とした。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、重量又は体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径をそれぞれ重量平均粒径又は体積平均粒径と定義する。
【0079】
<分子量の測定>
分子量の測定には、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行う。試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×10
4
数平均分子量Mn=13.7×10
4
となることにより確認することができる。
また、GPCのカラムとしては、前記条件を満足するTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を用いた。
【0080】
<分散液中の粒子、研磨剤及び外添剤の平均粒径の測定>
分散液中の粒子や外添剤の平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)により測定した。
【0081】
<樹脂分散液中の樹脂粒子、又は、樹脂のガラス転移点の測定>
樹脂のガラス転移温度Tgの測定には、示差走査熱量計((株)島津製作所製、DSC50)を用いた。
【0082】
(実施例1)
−研磨剤1の調製−
二酸化セリウム(三井金属鉱業(株)製E−05、平均粒径400nm)に対し、帯電制御剤(クロム錯塩型アゾ染料、オリエント化学工業(株)製S−32)1重量部を水混合性有機溶媒としてメタノール中に添加した後に超音波分散機を用い30分間処理した。その後研磨剤の表面に帯電制御剤が析出するように、分散液を撹拌しながら、1分間あたり分散液の0.5〜2.0重量%程度の量の水を滴下して、研磨剤の表面に帯電制御剤を析出させた後、濾過、洗浄乾燥することにより、研磨剤1を調製した。
【0083】
−結晶性結着樹脂粒子分散液(1)の調製−
・デカン酸ジメチル:100重量部
・1,9−ノナンジオール75.0重量部
・ジブチルすずオキサイド0.12重量部
以上の成分を混合・溶解した溶液を、減圧操作により容器内の空気を減圧し、更に窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌しながら窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら180℃で8時間反応させた後、徐々に減圧しながら230℃まで温度を上げて7時間反応させた後、冷却して、重量平均分子量が22,500の結晶性結着樹脂を用意した。
【0084】
結晶性結着樹脂100重量部とメチルエチルケトン60重量部と、イソプロピルアルコール20重量部とを、撹拌しながら45℃に加熱して樹脂を溶解させた後、10%アンモニア水溶液25重量部を加え、更にイオン交換水400重量部を徐々に加えて転相乳化を行い、その後減圧し、脱溶媒することで、体積平均粒径が174nmの結晶性結着樹脂粒子分散液(1)を作製した。なお、この分散液の樹脂粒子濃度が30重量%となるように水分量を調整した。
【0085】
−非結晶性結着樹脂粒子分散液(1)の調製−
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.1):85重量部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2):217重量部
・フマル酸:80重量部
・テレフタル酸:49重量部
以上の成分を混合・溶解した溶液を、減圧操作により容器内の空気を減圧し、更に窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌しながら窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら190℃で18時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度を上げて9時間反応させた後、冷却して、重量平均分子量が42,500の非結晶性結着樹脂を用意した。
【0086】
非結晶性結着樹脂100重量部とメチルエチルケトン45重量部と、イソプロピルアルコール10重量部とを三口フラスコに収容し、撹拌しながら45℃に加熱して樹脂を溶解させた後、10重量%アンモニア水溶液25重量部を加え、更にイオン交換水400重量部を徐々に加えて転相乳化を行い、その後減圧し、脱溶媒することで、体積平均粒径が150nmの非結晶性結着樹脂粒子分散液(1)を作製した。なお、この分散液の樹脂粒子濃度が30重量%となるように水分量を調整した。
【0087】
−離型剤分散液の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP9、融点77℃):60重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):4重量部
・イオン交換水:200重量部
以上の成分を混合した溶液を120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液を調製した。なお、この分散液の離型剤濃度が30重量%となるように水分量を調整した。
【0088】
−着色剤分散液の調製−
・カーボンブラック(キャボット社製:BP1300):50重量部
・非イオン性界面活性剤ノニポール400(花王(株)製):5重量部
・イオン交換水:200重量部
以上の成分を混合溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散し、この分散液の着色剤濃度が25重量%となるように水分量を調整して、着色剤分散液を得た。
【0089】
<トナー母粒子1の調製>
非結晶性結着樹脂粒子分散液(1)600重量部と、結晶性結着樹脂粒子分散液(1)85重量部と、着色剤分散液100重量部と、離型剤分散液110重量部と、カチオン界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50)1.5重量部とを丸型ステンレス製フラスコに収容し、0.1規定の硫酸を添加してpHを3.7に調整した後、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの濃度が10重量%の硝酸水溶液30重量部を添加し、その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて30℃において分散した。加熱用オイルバス中で1℃/分で45℃まで加熱し、45℃で2時間保持した後、この分散液中に、非結晶性結着樹脂粒子分散液(1)を緩やかに340重量部追加して、更に1時間保持した。
その後、0.1規定の水酸化ナトリウムを添加してpHを7.5に調整した後、撹拌を継続しながら1℃/分で85℃まで加熱して3時間保持した後、20℃/minの速度で20℃まで冷却し、これを濾過し、イオン交換水で洗浄した後、得られたウェットケーキをイオン交換水によりリスラリーし、10重量%トナー母粒子分散液とした。
【0090】
表面処理剤としてポリアリルアミン(ニットーボーメディカル(株)製PAA−HCl−10L、アリルアミン塩酸塩重合体、重量平均分子量:20,000)をイオン交換水で希釈し、ポリアリルアミン1重量%溶液を調製した。
得られたトナー母粒子分散液を撹拌しながら、前記ポリアリルアミン溶液をトナー成分100重量%に対して0.05〜0.1重量%添加した。その後、硝酸溶液を用いてpHを5〜7に調整し、1時間以上撹拌しながら放置した。なお、途中pHが変動した場合はpH5〜7に調整した。処理後、通水洗浄・乾燥し、正帯電のトナー母粒子1を得た。
【0091】
<トナー1及び静電荷像現像剤1の調製>
トナー母粒子1 100重量%に対し、表1に記載の外添剤と表1に記載の研磨剤とをそれぞれ表1に記載の被覆率となるように添加し、ヘンシェルミキサーにより3,500rpmにて15分間撹拌処理し、分級して、トナー1を含む静電荷像現像剤1を得た。
【0092】
<評価>
富士ゼロックス(株)製DocuPrint P300 dを用い、32℃、80%RHの温湿度環境下で印字濃度5%パターンにて、用紙(ゼロックス社製Xerox Business 4200 20lb 8.5x11)を使用し、8,000枚の連続印字を行い、感光体のフィルミング状態の目視判断による評価と、画質印字濃度をX−Rite938にて測定し評価した。評価結果を表1に示す。
目視判断の評価基準は、「◎:初期と変動なき状態」、「○:感光体表面の光沢について、初期に比べて、やや低い状態」、「△:感光体両端の非印字領域にフィルミングがみられるが、印字特性上問題なき状態」、「×:印字領域に筋状の部分的なフィルミング有り」とした。
印字濃度の評価基準は、「◎:初期〜連続印字後の印字濃度が1.3以上」、「○:初期〜連続印字後の印字濃度が1.2以上1.3未満」、「△:初期〜連続印字後の印字濃度が1.1以上1.2未満」、「×:印字濃度が1.1未満」とした。
【0093】
(実施例2〜7及び9、並びに、比較例1)
外添剤、研磨剤及び帯電制御剤の種類、並びに、これらの使用量を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像剤を作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0094】
(実施例8)
トナー母粒子1の作製において、得られたウェットケーキを真空乾燥機を用いて乾燥させ、未処理のトナー母粒子を作製し、また、外添剤、研磨剤及び帯電制御剤の種類、並びに、これらの使用量を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像剤を作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
各実施例又は比較例において使用した表1に記載の各外添剤、研磨剤、帯電制御剤を以下に示す。
【0097】
<外添剤>
シリカ粒子(平均粒径30nm、正帯電、日本アエロジル(株)製NA50H)
シリカ粒子(平均粒径12nm、正帯電、日本アエロジル(株)製RA200H)
シリカ粒子(平均粒径25nm、正帯電、キャボット社製TG7120)
シリカ粒子(平均粒径16nm、負帯電、日本アエロジル(株)製R972D)
【0098】
<研磨剤>
二酸化セリウム(CeO
2、平均粒径400nm、三井金属鉱業(株)製E−05)
アルミナ(Al
2O
3、平均粒径620nm、住友化学(株)製AKP−3000)
アルミナ(Al
2O
3、平均粒径15nm、キャボット社製EP−BT0409)
【0099】
<帯電制御剤>
Cr錯塩(クロム錯塩型アゾ染料、負帯電性、オリエント化学工業(株)製S−32)
Al錯塩(負帯電性、オリエント化学工業(株)製E−86)
Fe錯塩(モノアゾ鉄錯体、負帯電性、保土谷化学工業(株)製T159)
四級アンモニウム塩(正帯電性、オリエント化学工業(株)製P−51)